SIX HUNDRED~俺の600族が最強過ぎなんだが~ 作:ディア
またもや出番なしのジャック……ジャックの出番の時はその出番がある回の前書きに書きます。
第22話 倫理観の違い
『あと少し……あと少しで、食い放題……』
ふらつきながらも下山するリック。シンオウ地方チャンプを返上してから俺達は修行の旅に出ていた。リックは見ての通りダイエット。こいつは瞬発力のあるデブだが体力がない。タフネスさがあるんだからそれさえ改善すれば最強クラスのサザンドラになり得る。
『今日は梅干し、レモン、グレープフルーツを食いまくるんだ……!』
リックは意外にもすっぱいものが好きなんだっけか。その代わり辛い物が苦手で焼き肉に出てくるキムチは必ずといっていいほど残す。
そう言えば俺のポケモンって好みが結構バラバラなんだよな。
好みをまとめるとこうだ。
辛い物 イリア、ダン
すっぱい物 リック
渋い物 マンダー
苦い物 ゴルメ
甘い物 ブリタ
その他 ギラギラ(にじマメ)、ジャック(不明)
ギラギラはにじマメが好物過ぎて他の食べ物に関してはわからないし、ジャックはお金は大好きだけど食べ物に関しては無頓着だ。腹に溜まればそれでいい風潮がある。
実際、ジャックは俺と出会う前まではフードファイターとしても金を稼ぎながら食事していて、アローラ地方各地の大食いチャレンジを廃業させまくっていてバイキング店では出禁になっている。金もない八方塞がりな状況でジャックはどう暮らしていたかというとコンビニなどで出る生ゴミを漁っていたそうだ。
『到着っ! さあ、行きましょうサー!』
リックが下山するとそれまでの動きが嘘のようにジャンプしながらバイキングレストランへ向かう。その先にあったのはうざい演説だった。
「──という訳で、ポケモンを解放し、ポケモン達を幸せにさせるべきなのです!」
すげえうぜえ。
語彙力がなくなってしまう程度に俺はその演説を聞いてうんざりしていた。
それもそのはず、この爺は過激なポケモン愛護団体を騙ったエゴイストだ。エゴイスト扱いは酷いと思うかもしれないが、言っていることはまさしくエゴイストのそれで不愉快極まりない。ポケモンを解放すれば幸せになれるなどというのは全くの嘘で、幸せになれるなどというそんな戯れ言を信じるのは脳の中身がお花畑な連中か精神的に弱っている奴らだけだ。
「リック、かえんほうしゃ」
そんな弱みにつけこむ爺につい、リックにかえんほうしゃを小さな声で命じてしまった。ワタルさんのこと言えないな。
「ぎゃーっ!?」
「なんだ!?」
「だいもんじだ!」
爺がだいもんじを喰らって火が飛び散るを見て野次馬達が騒然とする。
「リック、なみのりで打ち消せ!」
『こっちはてめえのせいで昼飯食えないからイライラしてんだよぉぉぉっ!』
リックがなみのりし飛び散った火を無理やり揉み消すと爺がずぶ濡れになり鬼の形相に変化していくがお構い無しに俺は前に出る。
「攻撃しましたね?」
「攻撃なんざ知らねえな。むしろ俺は鎮火するように指示したんだ。そのことに感謝してもらいたいくらいだ」
「皆さん聞きましたか! この男は私に攻撃をしたのです。こんな狂暴なトレーナーのポケモンは不幸に違いありません! このようなトレーナーこそポケモンを解放するべきなのです!」
「さっきから聞いていりゃポケモンを幸せにするならポケモンを解放しろだと? ポケモンの幸せはトレーナーから離れない限りそこにあるんだ。むしろ逃がす方がポケモンにしてみりゃ不幸なんだよ。それに解放したらしたでこんな風に襲われることだってあり得るんだ」
「だからといってポケモンを使って人間を攻撃していいという理由にはなり得ません!」
「生憎だが今のは俺の指示じゃない。こいつが勝手にやったことだ」
そもそも俺が指示したのはかえんほうしゃであってだいもんじではない。リックが勝手にだいもんじを放っただけのことである。しかしその事について俺は言わず、放置することで敢えて「
「そもそもポケモンは何も言わずとも自分達でトレーナーを選ぶことを知らねえのか? 一度ポケモンが中に入ったモンスターボールからポケモンが飛び出て逃げるのもそうだが、トレーナーを選ぶポケモンで有名なのが竜だ」
俺の意見に野次馬達がざわめき、隣と話し合う。その空気に便乗し、俺はそれを続ける。
「過激な例だとイッシュ地方の竜の里の出身トレーナーが不相応な竜を手にして殺された事件だ。ポケモン達は放っておいても自らトレーナーを選ぶんだからポケモンを解放しようなんてほざいてもポケモン達からしてみれば迷惑にしかならねえよ。なあ、リック?」
『サー、イエッサー。全く以てその通りでございます!』
「肯定してくれて何よりだ。リック」
「うるさい! 私の邪魔をしてくれた罪、償ってもらおうか!」
爺がそういって取り出してきたポケモン、それは皮肉にもリックと同じ種族であるサザンドラ。だが肥え太っているリックとは違い、痩せこけているだけでなく無数の傷痕が見られ如何にも虐待されている様子だった。
「サザンドラ、だいもんじだ!」
「リック、だいもんじ」
サザンドラ同士のだいもんじ対決。どちらが上か言うまでもなくリックが当然の如く勝ち、爺のサザンドラが倒れた。
「ば、ばかな……! こっちはいのちのたまを持たせているのだぞ!?」
いのちのたま。持たせると持たせたポケモンの体力が削る代わりに物理、特殊攻撃の威力が増加する道具だ。体力を削るということから人々から忌み嫌われ、それを使うトレーナーはだいばくはつを指示する俺同様に批判の声が上がる。
しかし俺はいのちのたまに関して批判するよりも、そんなものまで持たせていてリックに抗うことすら出来ないようにしたサザンドラを使うなと批判してやりたい。サザンドラは竜でありプライドも高く、扱いづらいのはわかるが余りにも実戦慣れしていない上に鍛えてすらいない。これだけ短気なら揉め事の一つや二つ普通に起こしてポケモンバトルを何度も繰り返して強くなるはずだが、あまりにも弱い。
「ざまあねえな~」
「き、貴様ぁっ!」
悪巧みをした上に最後は時代劇のサムライに切り捨てられそうな悪人面で俺が挑発すると爺がすぐにデスカーンを取り出す。馬鹿だ。サザンドラですら手も足も出ないというのにデスカーンを取り出すなんて蛮勇以外の何者でもない。ある意味尊敬する。予想通り、腹を空かしイラついているリックに瞬殺される。
「ポケモンを虐待した上に弱いポケモンにしてなぁ…………お前、腹切れ」
「腹切れだと? この私、ゲーチスに腹切れだと!? ふざけるなぁっ!」
爺、もといゲーチスが顔を真っ赤に染め、次のポケモンを取り出す。
「出でよ、ゼクロム!」
そのポケモンはイッシュ地方の伝説のポケモン、ゼクロム。イッシュ地方のもう一つの伝説ポケモンレシラムと対立するポケモンでタイプは竜&雷と意外とメジャーなものだ。
「フハハハ! これがイッシュ地方に伝わる伝説ポケモンゼクロムだ! 貴様のような小僧相手に使うには少々もったいないが裁きを下すには丁度良い! いけ、ゼクロム!」
『うるさい』
俺ではなくゲーチスに天罰下り、雷が直撃するとゲーチスは倒れた。
「な、ぜだ? ゼクロム、私はお前の主人だぞ」
『黙れ。我を捕まえた若造ならともかく貴様を主人と認める要素はどこにもない』
ゼクロムがそう言ってゲーチスを雷で気絶──最初死んだかと思ったがしぶとく生きていた。たいした奴だ──させる。まあそうだよな。伝説と呼ばれるポケモン達は普通の竜以上にプライドが高い。こんなポケモンを虐待している爺に言うことを聞くはずもないか。
「因果応報、自業自得。ポケモンを解放する立場になれてよかったじゃねえかゲーチス」
手を合わせ、ゲーチスの冥福を祈ろう。こいつにはイライラすることはあっても殺意までは芽生えなかった。
『さて……あの若造を探しに行く前に少し気晴らしに暴れるか』
「おい、ゼクロム。てめえの好きにさせねえよ」
『そこの人間、我の声を聞き取れるのか?』
「当たり前だ。それでゼクロム、この馬鹿はともかく、俺達はお前に対して無害だ。むしろお前が主人と認めたトレーナーを探すのを手伝おう」
『悪くない。その方が効率的で時間も短縮出来る……だが断る』
「何?」
『我は一度こうだと決めたらやり遂げる主義だ。コロコロ意見を変えるのは嫌いだ』
「そうかよ……やれリック!」
『サー、イエッサー!』
リックのりゅうのはどうがゼクロムに炸裂し、ダメージを与える。何故リックのままにしたかというとリックは伝説のポケモンの一頭であるレックウザを撃破しているからだ。俺は一度だけレックウザ使いと戦ったことがある。その時出したポケモンがリックでレックウザのりゅうせいぐんを二度受けながらもレックウザを倒した。しかしそいつはレックウザを六体も所持しており、二体目のレックウザのりゅうせいぐんをくらいながら半分以上ダメージを与え倒れた。残りはギラギラが蹂躙しレックウザ使いを涙目にさせた。
『驚いたぞ……今の攻撃はあのレシラムと並ぶほどだった』
ダメージこそ与えたがゼクロムはいまだ健在。今度はゼクロムがらいげきを放ちリックにダメージを与えた。
『こんなものレックウザのりゅうせいぐんに比べれば何でもないわぁぁぁっ!』
それはごもっともだ。それ以上の攻撃がギラギラの攻撃なんだよなぁ……
「リック、とどめだ! りゅうせいぐん!」
『これで勝つ!』
『こんな、技ごとき、こんな技ごときぃっ!』
ゼクロムが必死に耐えるが無駄だ。鍛え上げたリックのりゅうせいぐんは特殊防御に優れたゴルメですらギリギリ耐えるくらいしか出来ない。ゼクロムが耐えられるはずもなくその場に倒れた。
「すげえ……! 伝説のポケモンに勝っちまいやがった!」
「しかも顔もよく見るとイケメンだし、ポケモンバトルも強いなんて最高じゃない!」
野次馬達が騒然とし、俺に駆け寄り問い詰めようとするが俺はそれを無視してバイキングレストランの中に入ってリック達に食事をさせた。どうせあの試合を見たらどん引きするだろうしな。
後書きらしい後書き
というわけでリックの性格はずぶといです。
ちなみに好物が判明しているなかで予想を当てるのが最も難しいと思われるのがマンダーで、逆に当てやすいのはブリタなのでヒントを探して見てください。
それでは恒例の。
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