SIX HUNDRED~俺の600族が最強過ぎなんだが~ 作:ディア
尚、ネタバレ
今回はナチュラル・ハルモニア・グロピウスが出てきます。
修行の旅、ついでにゼクロムの真の主人探しにマンダーを使って情報収集させ、代わりにゴルメがパーティーに加わった。
「イリア、出てこい」
イリアを出すとそこにはゴルメが腕を広げていた。
『ねえご主人、こいつ何?』
あまりにもその存在を認識したくないのかイリアがゴルメを指差した。
「イリア、ゴルメ。これから修行を行う」
『修行?』
『修行とは、お主のようにほのおのパンチを鳥状に変えたり、れいとうビームを同時に10本放つようにすることか?』
「お前達にそんなムチャをさせるように見えるか?」
そんな曲芸じみたことが出来るのは俺のポケモンの中でブリタとマンダーだけしか出来ないだろう。それをこいつらに強要しても意味がないし、何よりも時間の無駄だ。
『え? もしかして本当に出来るのか?』
そうでなければブリタが俺に着いていく訳ねえだろうが。詳しいことは省くが流石にだいばくはつやみちづれなど自分が死ぬことを前提とする技やへんしん等の専用技は無理だが、俺はほぼ全てのポケモンの技を使える。もちろん指示を出すとかそういう意味ではなく物理的に使えると言う意味でだ。
『セクハラ爺、知らないの? ご主人はほとんどのポケモンの技を使えるわよ。私にれいとうパンチを教えたのも実際に使って見せたしね』
しかし俺はポケモンの技よりも普通に殴る方が好みで、技を使う時は主にダンとゴルメ以外のポケモンに教える時だけだ。
『……改めて思うんじゃが、本当に人間か?』
俺だけじゃなく故郷の皆に聞かせてやりたい言葉だ。ポケモンの技を使えるのは俺だけじゃなく、故郷の皆が使える。だから普通の人間がそれを使えない時はショックを受け、普通に殴るのが好きなこともありそっちはなるべく自重した。
『少なくともあんたのセクハラよりもマシよ』
それは俺を嫌がる要素だってことだぞ、イリア。
「さて、イリアにゴルメ。お前達を呼び出したのは他でもない。お前達で模擬戦をやってもらう」
『こいつと戦うの絶対嫌なんだけど!』
イリアがゴルメと戦うことに嫌悪感を示し、顔を顰める。
『イリアちゃん、そんなこと言わずワシとポケモンバトルしようではないか! グフフッ!』
こいつがいうとポケモンバトルのワードが卑猥な言葉にしか聞こえない。
『こんなセクハラ爺は嫌ぁーっ!』
俺だって嫌だよ。見た目は完璧なのに何で性格がこんなセクハラ爺なのか納得がいかないくらいだ。
「今回、俺がゴルメに指示するからイリアは自分で立ち回ってゴルメを仕留めてみせろ」
『ワシが倒れること前提!?』
「ゴルメが俺の言うことを聞けば倒れることは前提にならなくなる」
俺がゴルメを指示する理由、それはゴルメが一番言うことを聞かないからでそれを改善させなくてはならないからだ。その為にイリアをフリーにさせ、俺の指示がどれだけ正しいかわからせる。
『そんなことをせんでも──』
「ちなみに俺の指示聞かなかったらギラギラのかえんほうしゃの刑だ」
『ぐぅぅぅぅ……クソ! わかったわい!』
ギラギラのかえんほうしゃを食らうのがそんなに嫌なのか、ゴルメがうめき声を上げながら了承した。
「それじゃ始める!」
『うおっしゃぁっ!』
りゅうのまいをして素早さと物理攻撃の威力を向上させるイリア。俺の指示を毎回聞いているだけあって流石に自分の立ち回りも理解しているな。
「ゴルメ、パワーウィップの応用でイリアを絡ませろ」
『ワシ、そういうの大好き!』
一瞬で助平な顔になったゴルメが角を使ってイリアを絡ませた。ゴルメはこういうことに関しては天才的な才能を持つからな。
『離せ! 離さないとマンダーに言いつけるわよ!』
『残念、これはシック公認のポケモンバトルじゃ! 言いつけたところでどうにもならんよ』
どっちが正義でどっちが悪かわからんな。両方竜だけど。
「ゴルメ、れいとうビームだ」
『うひょひょ、ほ~れ、ほ~れ、ここが気持ちいいのか?』
「……ギラギラ、ゴルメにかえんほう──」
『さあて! ふざけてないでやろうかの!』
ゴルメが大慌てでれいとうビームを放つとイリアがダメージを受けた。
『この、爺がぁっ!』
れいとうパンチを応用し、イリアが腕に冷気を纏わせた状態でゴルメの角を掴み凍らせ始めた。
「ゴルメ、絶対離すな! だいもんじでダメージを与えろ!」
『痛いが仕方ない、喰らえ!』
イリアにだいもんじを放ち、ゴルメの角に張り付いていた氷がだいもんじの炎によって融点に達したお陰で水に変化していく。
『それじゃこっちはこれよ!』
今度イリアが出した技はかみなりパンチ。しかしパンチするのではなくそれを先ほどと同様応用し、電気をゴルメに流す。
『痺れるぅぅぅっ! イリアちゃんの電マで快楽に溺れそうじゃぁぁぁっ!』
それは電動マッサージじゃないだろう。そんな突っ込みはさておき、電気と来たか。イリアの奴、本当に立ち回りがうまいな。もし今イリアが野生のポケモンとして出てきたらブリタやマンダーを使っていただろう。
「ゴルメ、ヘドロばくだんで毒にさせろ!」
『すまん、痺れて動けぬ……!』
くそ、タイミングが悪い!
『脳ミソぶちまけろぉっ!』
イリアにしては過激な発言だが、それだけゴルメを憎んでいるのだろう。
「ゴルメ、何が何でも放て!」
『クソッタレぇぇっ!』
ゴルメが吐き出したヘドロばくだんがイリアの顔面に炸裂するが腕で防がれてしまった。
「ゴルメ、すまない……」
『いや、ワシらの勝ちじゃ』
「それはどういう──」
意味だ? と尋ねようとしたところでイリアを見るとイリアの両腕と顔の一部がヘドロばくだんの粘液がトリモチのように絡み、身動きが取れなくなっていた。人間でいうところの茶巾縛りのような状態だ。
『くそ、離れないっ!』
『ヘドロばくだん、粘度マシマシ気に入って貰えたかの?』
ヘドロばくだんをえげつない技にしやがって。あんな粘着性のあるヘドロばくだんは避けるしか手段はない。しかも避けたところで地面に設置されるから引っかかないようにそれを意識しざるを得ない。
「ゴルメ、れいとうビームでトドメをさせ」
『了解じゃぁぁぁっ!』
ゴルメのれいとうビームが炸裂し、イリアがその場に倒れた。
その後、ポケセンでイリアについていたヘドロばくだんを引き離してもらうとマンダーが帰って来た。
『シックさん、ただいま見つけました』
マンダーがそう言って背中に乗せてきたのは青さのある緑髪に帽子を被った青年。それを見たイリアが口を開いた。
『やっぱり貴方だったのね? N』
N、N……ああ、イリアを俺の手元に戻してくれたあのトレーナーか。そういえばゼクロム使いとか言っていたな。
「やあイリアちゃん、久しぶりだね」
キザなセリフを普通に吐くなこいつは。
「はじめまして、貴方のゼクロムをお預かりしているシックと申します。イリアから自らを解放して下さったことを聞きました。その件に関しては感謝の言葉しかありません」
「そんな堅くならなくていいよ。僕は僕の正義の為にやったんだから」
「ありがとうございます」
「しかし本当にポケモンの言葉がわかるんだね……僕以外にポケモンの言葉がわかる人間を見るのは初めてだよ」
「そうでもありませんよ。カントーのジムリーダーの超能力者やホウエン地方のアイドルはポケモンの言葉が理解出来るみたいですよ」
「それは是非とも会ってみたい。機会があればそちらに向かってみたいな」
「我々のようなポケモンの言葉を話せるのは滅多にいないだけに、余計にでしょうね」
「ところでゼクロムはどこにいるのかな?」
「こちらです」
そして案内した場所には機嫌の悪いゼクロムが仁王立ちしていた。
『N、遅いではないか』
「ごめんね。でもこうして吹っ切れたよ」
「お二人に一体何が?」
『それは我から話そう。Nは自分の正義が本当に正しいものかわからなくなり、正義の象徴たる我を別のトレーナーに預け、旅をしていたのだ。全くそんなことをせずともいいというのに。とにかくそんな我だがそのトレーナーごとゲーチスに捕らわれ、我はゲーチスのポケモンとして組み込まれた』
「そう。ゲーチスはトレーナーごと捕まえてゼクロムを手にして、プラズマ団の活動を再開し始めたんだ。それを止めるべく虱潰しに活動を止めていたんだけど彼らの勢いは凄まじく止めることは出来なかった。ゼクロムを取り返そうにもいつもゲーチスは消えるし、取り返そうにも取り返せなかったんだ」
それは何とも言えないな。しかし虱潰しと言えばマンダーはイリアの話をずっと覚えていたから虱潰しせずにこんなに早く見つけられたのか?
『しかし何故、ゲーチスと関わりがあるのですか? 聞いている限りではプラズマ団とは何の縁もなさそうに聞こえますが』
「ゲーチスは僕の父親なんだ」
「あんな奴が父親なのか?」
だとしたらNって名前もあのクソ爺がつけたのか? Nといい、サザンドラといい虐待してそんなに楽しいのか?
「うん、僕はあの人にプラズマ団の長として振る舞うように育てられたんだ。その頃かな? 僕とイリアが出会ったのも」
『そうね……』
イリアとNが懐かしんでいるとゴルメが口を挟む。
『しかし愚かな父親じゃのう。世の中には親の顔を見せることなく、死んでしまう子供もいるというのに……』
「ゴルメ、それは──」
お前のことを言っているのか? その言葉を呑み込み、話を続けさせる。
『人に限らず心ある者は子供達を喪う悲しみがある。しかしゲーチスは力を求めるあまり心を置き去りにした……のうゼクロム、お主はかつて力を求めた兄の味方をしたそうではないか』
力を求めた兄。イッシュ地方の神話のことだな。イッシュ地方の神話は二人の兄弟が心か力かどちらが大切かでポケモンを巻き込んで大喧嘩したというものだ。
力を求めたのが兄、心を求めたのが弟で二人はそれぞれ秘密兵器と言わんばかりにゼクロムとレシラムを取り出し、ポケモンバトル。勝ったのはレシラムつまり弟側で、心を大切にする方が強いから心を大切にしなさいという教訓をイッシュ地方の人々は受ける。そのはずなのだが、一番問題を起こすのはイッシュ地方の連中である。何とも嘆かわしいものだ。
『それが何だというのだ?』
『皮肉なものじゃのう。力を求める父親はお主には認められず代わりにお主が認めたのは心を求める息子だというのだからの』
『……ふん、貴様にはわかるまい』
「そうなのかい? ゼクロム」
『力だけでは敵わぬことはレシラムと戦った時に薄々気づいていた。そしてゲーチスの時に確信し、あいつを切り捨てただけのこと』
「それで僕を主人と認めたんだね」
『一応だがな。しかしレシラム達に勝つには力と心だけでは足りぬ。太ったサザンドラごときに我が負けたのだからな』
『それは知じゃよ』
マンダーじゃなくゴルメがそんなことを言うなんて珍しいな。
『知?』
「つまり頭を使えってことです。そのポケモンに合わせた技や立ち回りを考えなきゃ強くなれません」
『まあそういうことじゃ。レシラムとやらに地力で勝っても勝負に負けるのはそれしか考えられぬよ』
俺の言葉に付け足すようにゴルメがそう〆る。
「うん……そうだね、彼女は力なくとも心と知があったから僕に勝った。もっと君のことや他のポケモンのことを知らなくちゃいけない」
彼女ねぇ、つまりそのレシラム使いは女か。
『ならワシと勝負しよう。ポケモンバトルではなくワシが使う技を4つ全て当ててみろ。全て当てることが出来たらワシの負けじゃ』
「む、難しいな……」
『それが即座に頭に浮かばないと永遠にお主のライバルには敵わないぞ』
しかし珍しいこともあるものだ。あのゴルメがこんなに積極的に関わるなんて。
「ドラゴンクロー、かえんほうしゃ、10まんボルト、なみのりかな?」
『全部外れじゃ。論外』
「じゃあ一体どんな技を?」
『正解はヘドロばくだん、だいもんじ、れいとうビーム、パワーウィップじゃ』
「一つも合ってない!?」
「何故それを搭載したのか、その理由は自分で考えてくれ」
俺がそう言って突き放すと少しNが考え込んで口を開いた。
「パワーウィップに関しては予測出来なくても仕方ないけど、他の三つに関しては予測が可能。そもそも特殊防御に優れたヌメルゴンを出す状況は限られていて物理攻撃に優れた竜とは相性が悪く、ドラゴンクローやりゅうのはどうを搭載して中途半端な火力にするよりも弱点の多い竜にれいとうビームを搭載して攻撃した方が強いからかな?」
「かえんほうしゃを搭載しない理由は?」
俺が意地悪でそう尋ねると即答だった。
「かえんほうしゃよりもだいもんじを搭載するのは中途半端な威力で攻撃するよりも多少命中率に不安があっても威力がある攻撃の方が倒しやすく、特に鋼対策をしたい場合はそうする」
「じゃあ10万ボルトとなみのりを搭載しない理由は?」
「10万ボルトとなみのりを搭載しない理由。10万ボルトやなみのりは共に特性で無効化されるタイプの技の一つでもあり、水・地のポケモンに弱いということ。そこでパワーウィップ。パワーウィップは草の技でそんな草を弱点とするポケモンにはかなり強く出れる」
「ヘドロばくだんを搭載する意味は?」
「妖対策としか思えない。妖のポケモンは鋼を兼ね備えたクチート等を除きほとんどのポケモンが毒を弱点に持っている。その鋼もだいもんじで対策している」
ほぼ正解。ちゃんと考えれば出来るじゃないか。それにも関わらずレシラム使いに負けたってそのレシラム使いがよっぽど強かったんだろうな。
「しかしこうして考えてみると、やっぱり上には上がいるって考えさせられるよ」
『N……』
「何度か負けたことはあってもこれほどまでに清々しい負けは初めてだよ」
『負けに清々しさもクソもない。負けは負けだ。それを受け入れずどれだけ抗うか──』
「さあ行こうか、ゼクロム。ゲーチスからゼクロムを取り戻した今、プラズマ団は活動を停止しざるを得ない。あの娘達と勝負しにいくなら今しかない」
『ふん、良いだろう。貴様がどれだけ抗うか、このゼクロムが見極めてくれん』
後書きらしい後書き
Nの初期設定の名前はナチュラル・ハルモニア・グロピウスというくっそ長い名前ですのでちゃんと登場しました。しかしこの作品のNの名前はNとしています。何でかって? 面倒だからだよ!
それでは恒例の。
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