SIX HUNDRED~俺の600族が最強過ぎなんだが~   作:ディア

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第4話 インテリボーマンダ、マンダー

「待って」

空の柱から飛び立とうとすると独特の衣装の女の子に話しかけられた。

「何か用か?」

これで九日十日なんてボケをするようであれば準備しなくてはならないんだが。

「さっき貴方、チャンピオン達と戦った人よね?」

「ホウエン地方のチャンピオンとその四天王とならさっき戦ったな」

「やっぱり……私の名前はヒガナ。流星の民の一族よ」

「そのヒガナが俺に何の用だ?」

「私に教えて欲しい。これからやるべきことを」

初対面の人間にそれを尋ねるのか? いやその前に流星の民の一族ってなんだよ。等と思っているとマンダーがボールから飛び出てきた。

『流星の民の一族と言えばホウエン地方の伝承に伝わっている一族ですね。彼らの役目は宇宙から飛来する侵略者を守るという使命に負われているはずですが……そんなものとは縁遠いシックさんに教えを乞うのかが不可解ですね』

マンダーはユクシーか何かに知識を与えられたボーマンダなんじゃないかと言われるほど頭が良く、このようなボーマンダとは無縁な知識もある。

 

「正確にはポケモンバトルを通して、私の進むべき道を教えて欲しい。私は流星の民の伝承者として生きてきたんだ。だけどその役目が終わって残りの人生、何をすればいいのかわからないんだ」

『そういうことですか。シックさん、ここは私にお任せ下さい』

マンダーはポケモンバトルはそんなに好きではなく、今のように自ら望んでやるのは珍しい。本来ならイリアに任せて彼女のストレスを発散させるがマンダーが自ら進んでやるとなればこちらを優先させる。

「わかった。マンダー、やってくれるな?」

『ほっほっほっ、普段ならイリアさんにお任せするのですが先程あの爆弾厨に邪魔されたせいか消化不足でしてね。流星の民相手なら良い運動になりますよ』

ダン……どんだけ迷惑をかければ気が済むんだ?

 

 

 

「それじゃいくよ……!」

ヒガナが出してきたポケモンはヌメルゴン。ナメクジのような姿で雨によってしか進化しない癖に水は複合されず、竜のみという単体タイプのポケモンだ。

 

「マンダー、メガシンカだ!」

マンダーのメガシンカによって翼が三日月を彷彿させる姿に変わっていきメガボーマンダになると、すぐさま指示を出した。

「マンダー、後はお前に任せる」

本来ならこんな指示はポケモントレーナーとして認められない。しかしマンダーの強さは俺が引き出したとしても9割弱しか力を出せない。マンダーの強さは俺の他のポケモンとは違い、その頭脳にある。

 

ところでポケモン将棋というのはご存知だろうか。ポケモン将棋とは普通の将棋とは違い、駒に強さがあることや駒を裏返して動かす点ではむしろ軍人将棋のそれと言って貰って構わないだろう。駒の強さの基準はポケモンのタイプによって決まり、相手に与えるダメージが2倍以上なら攻めた方が残り、それ未満なら攻められた方が残る。

さてそのようなポケモン将棋だが、ポケモンバトルの変わりに使われることはない。ポケモンをゲットするにはポケモンバトルで捕まえたいポケモンを弱らせることが最も重要であって、ポケモン将棋とポケモンを弱らせることは因果関係にないからだ。勿論ポケモン将棋でゲットされたポケモンは一匹を除いて皆無だ。

その一匹こそこのマンダーだ。初対面の時のマンダーは既にボーマンダで、タツベイ達のリーダーだった。タツベイのうち一頭を捕まえようとしたらマンダーが割って入り、その頃にはある程度意志疎通が出来るようになっていた為彼の提案に乗る──つまりポケモン将棋で勝負した。幸いにも俺は軍人将棋やポケモン将棋に精通していた為、マンダーに勝ってマンダーをゲットすることが出来たが、他の種目で勝てと言われたら無理だろう。

マンダーは驚くことにポケモンの知識を初め、統計学や心理学等の人間の知識も高卒の俺よりも優秀だ。しかも今年に至ってはタマムシ大学特別講師とポケモン将棋アマ九段の肩書きを得るくらいに頭が良くなっていて、俺よりも頭が良いのは確実だ。

 

スパコン並みと言われるメタグロスにしたって、チェスや将棋などの計算出来るものは出来るが人間の行動等計算出来ないものは出来ない。それをマンダーは当たり前のようにする正真正銘の怪物だ。

 

つまり何が言いたいかと言うと、マンダーはメタグロス以上の頭脳を使って攻撃を予測し、回避しまくるのでシングルバトルであればよほどの相手でない限りマンダーだけで倒してしまうし、そのよほどの相手はギラギラただ一頭のみだ。ダブルバトルになったり、トリプルバトル、ローテーションバトルになったらいくらマンダーが賢くとも他の奴らがマンダーの命令を聞かないので俺に指示を任されている。

 

「ヌメルゴン、“れいとうビーム”!」

銀色に輝く怪光線がマンダーに向け、発射されるがマンダーは紙一重で避けた。

『ダンさんの“だいばくはつ”よりも分かりやすい攻撃が私に通用するとでも?』

「ヌメルゴン、“れいとうビーム”を撃ち続けて!」

ヒガナがそう指示すると“れいとうビーム”が無数に現れ、マンダーに襲いかかる。しかしマンダーはその前に動いていた。

『さあ、これがシックさん。最高の“おんがえし”ですよ!』

マンダーの攻撃、“おんがえし”が炸裂しヌメルゴンが大ダメージを負う。

「ンゴ……」

「ヌメルゴン!?」

大ダメージどころか、ヌメルゴンが倒れヒガナがヌメルゴンをボールに収納した。

『これがレベル差という奴ですよ。流石にギラギラさんには及びませんが私もレベルは高いほうでしてね』

今日のマンダーはやたら饒舌だな。もしかしてストレス溜まっていたのか?

 

 

 

「ガチゴラス!」

『ほほう、ガチゴラスですか。ヌメルゴンといい竜タイプのポケモンを使うとは流星の民の一族らしいですね』

そんな感想はともかく、ヒガナがガチゴラスにかみくだくを指示してマンダーを襲う。しかしマンダーは口から勢いのある水を吐き出した。

『残念でしたねぇ、私はギラギラさんに勝つために“ハイドロポンプ”も搭載しているんですよ。私に限らずポケモン全体の“ハイドロポンプ”の的中率は悪いんですが、この至近距離から逃すほど私は甘くありませんよ』

その技の名前は“ハイドロポンプ”。水タイプの大技で、岩・竜のガチゴラスとは相性が良く効果は抜群に決まり、ガチゴラスが倒れた。

「ガチゴラス!」

『もっともギラギラさんにはカイリキーの“インファイト”もまともに通じませんがね』

バンギラスは格闘で4倍ダメージを負う為、普通であれば物理攻撃に優れかつ格闘タイプのカイリキーの“インファイト”どころか、マニューラの“けたぐり”を喰らえば倒れる。しかしギラギラはまさしくチートでカイリキーの“インファイト”だろうが関係なく、どんな攻撃を受けても、シグザグマが半径100m位の範囲内に寄ってきたのと同じくらい無反応だ。

 

 

 

「くっ……流石にやるね。こうなったら、とっておきの切り札を見せてあげる」

「とっておきの切り札?」

『その様子、余程の自信有りと見ましたよ』

「いけっ、ボーマンダ!」

『上等じゃおらぁっ!』

チンピラ風に出てきたボーマンダがマンダーをいかくするがマンダーは少しだけ目を見開いていた。

『おや、貴方は……利かん坊の坊やじゃないですか』

『その口調、もしかしてリーダー?』

『私のことをまだリーダーと言ってくれるのですか? 私は貴方を追放したと言うのに』

追放した? あの仲間思いのマンダーが?

『確かにあん時は恨んでいた。だけどもしリーダーが追放してくれなかったら永遠に堕落(ニート)して俺はボーマンダになれなかっただろうし、何よりも今の主人に会えなかった。感謝しているよ』

「ボーマンダ、いくよ!」

『そういうことでさ、リーダー。ボーマンダになった俺の力見せてやるよ』

『いいでしょう。そこまでいうならお相手しましょうか』

マンダーがそう覚悟を決めるとヒガナのボーマンダが変化していき、メガボーマンダへと姿を変えていく。

『これが俺と主人の絆の力だ……!』

「ボーマンダ、“ドラゴンクロー”!」

メガボーマンダがマンダーに“ドラゴンクロー”を仕掛けるがマンダーはそれを難なく避ける。

『確かに素早さや攻撃は上がった様ですが、まだ爪が甘いとしか言い様がありませんよ。“ドラゴンクロー”だけにね』

「ボーマンダ、“ドラゴンクロー”を連発!」

『おやおや、私とあろうものが二回も攻撃をしようとさせてしまうなんて……だけど、勝つのは私です』

マンダーが“りゅうせいぐん”を放ち、メガボーマンダに大ダメージを負わせた。

『流石、リーダー……強いぜ』

『当然です。日々精進しているのですからね』

メガボーマンダが倒れ、ヒガナのモンスターボールに収納される。

 

 

 

「……降参よ」

「いいのか?」

「勝ち目がないのと、自分のやりたいことが少しだけ見えてきたからね」

「なら俺は止めない」

「これだけ力の差を見せつけられて、ポケモントレーナーとして黙っていられるのは心が折れた人達だけ。私は、貴方、いやあんたに絶対に勝ってみせる! その為なら今の勝負を捨ててもいい」

「それがお前の生き甲斐か。ヒガナ」

「これまでポケモンバトルは手段でしかなかったけど、あんたに負けてようやく自分の生き甲斐がポケモンバトルだって気づかされた……もし次会う時はリーグでね」

「おい、俺は──」

俺自身がリーグに出られないことを告げようとするもヒガナがその場を去ってしまう。

 

『やれやれ、カントーのチャンプといい、あの流星の民といい、竜使いは人の話を聞かないんでしょうか?』

「かもしれないな」

マンダーの呆れた声に、俺は同意した。




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