SIX HUNDRED~俺の600族が最強過ぎなんだが~   作:ディア

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亀更新で申し訳ありません……これからも遅くなります。


第8話 守銭奴ジャラランガ、ジャック

アローラと言えばアローラ地方の挨拶になり、アローラ地方と言えば熱帯のバカンスになる。俺はその熱帯のバカンスに来ていた。

 

「よし、これで三匹目だ」

そのバカンスで俺はナマコブシ投げのバイトしていた……仕方ないだろう。にじマメ切れそうになって大慌てでにじマメを購入したら吹っ掛けられたんだから。

『おーい、こっちも三匹投げ終わったぞ』

ジャラランガのジャック。カルネさんとの試合が終わった後、ポニ島で捕まえた俺のポケモンだ。とんでもない守銭奴で金のことに関してはかなりうるさく、自らを色違いに見せかけ普通の観光客からポケモンハンターまで、ありとあらゆる変装したジャック目当ての人間から金目のものを奪っていた。

しかしその実力は野生のポケモンながらにして戦闘狂のイリアを倒し、ブリタを追い詰めたほどだ。その実力を見込んでハイパーボールやタイマーボール等で粘ったけど一向に捕まえられず、諦めていた。ゴージャスボールを見せた瞬間に自らゴージャスボールの中に入っていき捕まえることが出来た。

「それなら取り分は半々だな」

俺のセリフから分かる通り、ジャックは俺を手伝う代わりに取り分を寄越せと要求してきた。一応働いたから金はやるが守銭奴過ぎて泣けてくる。

ただ、こいつの長所は強い上にゴルメの天敵だということだ。ゴルメは色違いの隠れ特性のヌメルゴンなだけあり希少価値が高く、ジャックはそれに目をつけてゴルメの名声を利用して金儲けに走った。具体的には色違いかつ隠れ特性のヌメルゴンのぬめぬめした汗を塗ると美容効果があると噂を流してゴルメに触る度に金を収集していた。最初のうちはミニスカートの若い女も集まってゴルメも満足げだったがそのうちオバサンばかり集まりうんざりしてしまい、ゴルメは精神的にダメージを負って休養中だ。いくら助平爺でもオバサンに付きまとわれたら嫌だよな。

『よし! さあいくぞ!』

そしてジャックがグイグイ押して、金を貰うように俺を促す。

 

 

 

「──ということでバイト代!」

そして2万円貰い、ジャックに1万渡す。

『おおサンキュー。それでこそ、我が主よ!』

ジャックが歓喜し、それを収納しようとすると声をかけられた。

「ちょっとお兄さん。ポケモンにくれるんだったら僕達にそのお金ちょーだいよ」

黒ずくめで怪しい格好をした男二人がそう話しかける。このまえマンダーの部下だったヒガナのボーマンダよりもチンピラと言っていい男達が現れ、俺たちを集る。

「去れ。お前らにやる金はこの世にもあの世にも存在しない」

「寄越せってんだ!」

そいつらはジャックの懐にあった金を奪い、笑みを浮かべる。

「おい──」

『貴様ら、安楽死と即死どっちがいい?』

俺がキレる前にジャックがキレ、二人のうち金を盗った方の頭を鷲掴みにしてつるし上げる。

「グァァァっ!?」

そしてアイアンクロー。ジャラランガの握力は知らないがジャラランガのタイプは竜・闘。闘は物理攻撃に優れたポケモンが多く、カイリキーに至っては最早化け物としか言いようがないくらいのパワーを持っている。

 

「さて、どうする? このままお前達の有り金を置いて去れば見逃してやる。しかし去らないと……」

ジャックに目を合わせると、頭を鷲掴みにされた方の男の悲鳴がさらに大きくなる。

「や、やめでぐれーっ!!」

「わ、わかった! だから離してくれ!」

二人が財布を俺の足元に向けて投げる。

「よし、ジャック離してやれ」

ジャックが手を離すと、二人がその場から逃げるように立ち去っていった。

「一応、サツんところに届けてやるか」

『いやまて。警察に届ける前に慰謝料として金を抜き取っておこうじゃないか』

「ジャック、それは横領だ。余計なことでパクられたくはない」

『パク……ああ、逮捕か。そう言えばリックの件でいちゃもんつけてきたトレーナーどうなったんだ?』

「あいつか。死んだ」

『死んだ? まさか殺したのか? 殺したんだな?』

「竜の里の出身にも関わらず、竜ポケモンであるサザンドラに逃げられたから、手持ちのポケモンに信頼されなくなって裏切られて壮絶な最期を迎えたらしい」

『……とはなんとか言いつつ暗躍したんだろ?』

「さあな。俺がしたことはほとんどない。ましてや奴に害を加えた覚えはない」

 

一応、したことと言えば奴のポケモンフードに精神安定剤を混ぜただけだが。

 

何故、精神安定剤を混入させたかというと、俺が混入した精神安定剤は上がり症のポケモンに使わせる薬で緊張を緩めてくれるが、その代わり薬が効きすぎると思考が停止してトレーナーを指示を聞かなかったり、こだわり系アイテムを装備したかのように一つの技に固執したりする。道具を持たせていないのに自分のポケモンがそんな状態になったら堪ったものじゃないだろう。しかし、あいつのポケモンは虐げられていてピリピリしていて見ていられない状態だったのでリラックスさせたんだからむしろ感謝してほしいくらいだ。

 

『ほとんどって……』

「まあ、サツのところに届けるのは俺の立場上、流石に面倒だからその財布の中身をどうするかと言うと手袋をしてまず抜き取る」

 

俺はサツを信用していない。イッシュ地方の事件の際に通報したアイリスは同郷の仲間を救おうとしたからまだ分かるにしても、あいつらは第三者の立場に立たなければならないのに一方的に俺を犯人と決めつけて逮捕したアホだ。その事で名誉毀損で訴えても仕事だからという理由で棄却された世の中はぶっ飛んでいる。杜撰な捜査でこっちは逮捕されているんだから、仕事という理由では説得力皆無だというのに。そんな訳で俺はサツは当然、公共団体組織も信用できない。利用するかされるかのビジネス関係くらいにしか思っていない。

そんな歪みきっていた俺はとにかく証拠を残さず如何にしてサツを出し抜くかに命をかけており、先日の一件だってサツを出し抜いている。

 

『ふむふむ』

「そしてジャックの鱗に絡ませる」

『なるほど』

「そんで持って近くのスナバァに財布を渡す」

「更にジャックの上に乗って」

『儂に乗ってどうする?』

「退散!」

スタコラサッサとジャックと共にライドポケモンのケンタロスようにその場を去った。

 

 

 

「ここまで来ればもう安心だろう」

あれから海を渡り、山を登り、 ポニの大峡谷を越えようとしていた。

『そうだな』

「ところでジャック、気がついているか?」

『……ああ。こいつらか』

ジャックはジャラランガの種ポケモン──進化していないポケモン、または進化しないポケモンのことを指す。主に前者で使われる──ジャラコを手に握り、俺に見せる。

いつの間にか取ってきたかは知らないが、それと、縄張りに入ったせいで俺達はぬしポケモンと思われるジャラランガとジャラコ達の群れに囲まれていた。

『懐かしいのう、若造』

ぬしポケモンのジャラランガが前に現れ、歩み寄るとジャックは笑みを浮かべる。

 

『久しぶりだな爺。まだ群れの長やっていたのか』

『ほざけろくでなしが。ワイ(お前)のことを後継者として認めようとしたら旅に出た挙げ句、人間のポケモンとして暮らしとるとはどぎゃんこっちゃ。おかげでおいどんがまだ現役でやらなあかんタイ』

『あれから爺を満足させるのはいないのかよ』

『素質のみだったらワイ並みの奴らは居るタイ。せやけどワイのようにまだ殻を破れん』

「からをやぶるって……ジャックは使えるのか?」

からをやぶるはポケモンの技で物理防御や特殊防御の能力が格段に落ちる代わりに物理攻撃、特殊攻撃、素早さの3つが格段に上がる技だ。からをやぶる戦法ではタスキを持たせたパルシェンが有名だが、確かジャラランガはからをやぶるを覚えなかったはずだぞ。

『いや、からをやぶるそのものは使えん。長の言う殻の破るは、スケイルノイズを覚えることだ。儂らジャラランガはスケイルノイズを覚えて初めて一人前と認められる。ジャラランガに伝わる奥義、ブレイジングソウルビートを扱える訳だからな』

そういう事情があったのか。

「なるほど……群長」

『群長っておいどんのことか?』

「そうだ。ブレイジングソウルビートを一度見せれば一皮剥けるんじゃないのか?」

『それは確かに言えるタイ』

「じゃあ呼び出してくれ。ジャックが見本を見せる」

『儂か……』

「お前以外に誰が出来るんだ?」

『金にならないことはやりたくない』

ジャックがそう宣言してくれたので俺は遠慮なく、イリア、マンダー、ブリタ、リックをジャックに敵対するように真正面に出した。ギラギラ、ダン、ゴルメを出さないのは手持ちのポケモンが6匹までしか持てず、ダンとゴルメは留守番している。ギラギラ? 察しろ。

「やれ。ジャック。やらなければこの場にいる全員がお前に襲撃する。お前達、ジャックを倒した奴はガラマメ10個褒美としてやる」

 

『死ねやジャックぅっ!』

真っ先に襲いかかったのはリック。いつもののんびりした顔つきではなく目が座っており、サザンドラのタイプである悪・竜のポケモンそのものになっていた。食いしん坊もほどほどにしておけよ……

『ガラマメ10個に興味はないけど、さっきの借りを返させてもらうわ!』

イリアがそれに続き、冷気を纏った手を握りジャックに迫る。

『ハイ、ホウエッピー──ホウエンの平和の略、とある芸人のネタ──!』

お笑い芸人の真似をしてブリタがドラゴンクローを放つ。

『皆さんお待ちなさい! ここは大人しく様子を見てから攻めなさい!』

マンダーはまもるを使い、様子をみていた。

 

「さあ、ジャックいくぞ」

『ここまでお膳立てされちゃ仕方ないな』

Zリングをかざし、ドラゴンZと同じポーズを取る。昔島巡りしておいて大正解だったな。島キングにはならなかったが。

四匹──実質三匹による総攻撃をジャックの出したブレイジングソウルビートにより打ち消した。

「あんなのありか?」

その攻撃をくらったイリアとリックが倒れ、ブリタもタスキを使ってギリギリ耐えたが満身創痍、唯一体力に余裕があるのがマンダーだけという有り様で、如何にブレイジングソウルビートが強いかわかってしまう。そんな技だった。

『痛かった……今のは痛かったぞー!』

マンダーが珍しくキレ、荒ぶる。口からはかいこうせんを放とうとするが、それは悪手だった。

『遅いっ!』

『しまっ──』

『切腹ぅぅっ!』

ジャックがスケイルノイズで攻撃し、マンダーとブリタが倒れた。

『ブレイジングソウルビートは相手一匹以上に当たれば使ったポケモンの全ての能力が上がるZ技だ。相手がみがわりを使っても音技だから技は通る。うまく使えばこの通り相手が複数でもまとめて倒せる』

講座が終わり、歓声が上がる。

 

 

 

そしてジャラランガ達がこんな声をあげた。

『俺、この人に着いていきたい!』

『俺も!』

俺に着いていきたいって思えるのか?

『たわけたことを抜かすな!』

群長が怒りの声を露にして他のジャラランガ達を一喝するも、若いジャラランガは不満げに唸る。

『だってさっきの技Z技だからトレーナーがいないと出来ないんでしょ?』

『まあな……』

『俺もブレイジングソウルビートを使いたい。だから連れてってくれ!』

『俺も!』

 

そう言うことか。確かにブレイジングソウルビートはZ技であり、ジャラランガZとそれの発動する道具であるZリングを持っているトレーナーと一体になって初めて出来る技だ。ドラゴンZを持っているトレーナーは多くともジャラランガZを持っているポケモントレーナーは極稀で、あのワタルさんですら持っていない。俺がジャラランガZを持っているのは道中にカプ・レヒレに貰ったからに過ぎない。

 

『馬鹿者! スケイルノイズを覚えておらんワイ(貴様)等が仰山居っても迷惑なだけタイ。それだったらスケイルノイズを覚えているこいつ(ジャック)の一匹の方が良かタイ』

「そういうことだ。俺はジャラランガはジャック一匹だけで十分だ」

『でも……』

『このトレーナーはいずれ世界の王者になる。その時儂がブレイジングソウルビートを放ってジャラランガとブレイジングソウルビートの名を上げてみせる。そうなればお前達にも良いトレーナーがつくようになる』

『……わかった。だから、絶対に俺達ジャラランガの栄光を築き上げてくれ』

『おうよ』

そしてポニの大峡谷を乗り越え日輪の祭壇に着いた。そこで俺達は写真を取り、帰ることにした。

 

 

 

「なあジャック」

『ん?』

「名を上げるとは言ったけどお前は金目的だよな」

『まあな。金こそが全てな儂にとって、ゴージャスボールを持ってかつあれだけ強いポケモンを持つトレーナーはシックが初めてで、金の匂いがしたからゲットされたんだよ』

「金の匂いねぇ……」

そんな匂いあるのだろうか。ふとそんな風に思っていると何やら騒がしい。もしや、あのババア達か? だとしたら嫌な予感がするな……俺が出来ることはその場を去るしかない。幸いここは観光地で二度と来なければ良いだけの話だ。逃げ切れる!




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