快楽ってなんだろう。
人によって楽しいことって違うわけだし。
3大欲求を満たす瞬間?それは分からない訳ではないが…
少なくとも、この私、クィレルにとっては永遠のテーマなのであろうか。
服従の呪文。かけられた相手はそうとう気分が良くなるらしい。
その服従の呪文を学生2人にかけたその行為自体には、罪悪感はこれっぽっちもない。
そんな私の心は、もう二度と快楽を感じないレベルに闇に染まってるのだろう。
湖の前でしゃがみこんでいる少年少女。その目には生気をまるで感じさせない。どことなく頭がいってる人の類に近い。
あの方の信頼を得るために、人のひとりやふたり。なに、こんなのは朝飯前!
とりあえずは私の部屋に連れてこさせた。
これからは定期的に服従の呪文もかけなければ。
さっさと利用したい。
リン・ブラック。彼女はずっとこちらに閉じ込めさせなければならない。
必要だから。
ハリーポッター。この小僧も必要。賢者の石をとるためには。
とりあえず、私の部屋に入れた。
これからやらなければならないことに、なんとなくイライラしてる。なんでこんなめんどくさい事をやらなければならないのか。
私じゃなくてもいいのに。
胸に来る不快感。ひっきりなしに掻いてる肌。爪に感触があることで、自分って存在してるんだって思える一瞬。
自分が安らかに眠れる日は来るのであろうか。
自分の部屋の窓から見える、ホグワーツの校庭の花。あれを突如掻きむしりたい衝動に追われ、我に返る。
なんて馬鹿らしいことを思ってるんだ自分。そんな暇なんてないだろう?
そのままベッドに眠った。
俺、クィリナス・クィレルは子供の頃から魔法はまあまあ得意だった。
幼いながらに周りより魔法を使える俺を、親は周りにかなり自慢してたっけ。
ホグワーツに入り、レイブンクローに入っても、そこそこ勉強が出来て魔法ができる。人間関係にも満足でそんな自分が大好きだった。
ホグワーツにいた時の忘れられない記憶がある。
自分が1年生の時だった。上級生でいつもいたずらばっかりしているグリフィンドールの4人組。
その人達が校庭で楽しそうに戯れていたのだ。
その中の長身で顔が美形な男子生徒。
その人を見ると一気に顔が真っ赤になって…その瞬間から、彼に夢中になってしまった。
わかりやすく言うと俺はその人に一目惚れしてしまった。同じ男なのに。
許されない恋。
絶対に報われない恋。
これ以上辛い恋なんてない。
そう思っても、彼の普通の女子よりサラサラで麗らかな髪にとかどうしてそんなに?って思うくらい澄んでいる瞳とかもうすべて神々しくて、自分がどうにかなりそうだった。
といっても、あんまりジロジロ見るのもあれだし、そもそも遭遇することすらままならない。
自分が女だったら?彼と同じぐらい美しかったら?勉強するとき以外の時間はそんな疑問が頭の中でぐるぐるになってる。友達からは最近どうした?とよく聞かれる。
にしてもあの神々しさが…
「やっぱクィリナス、あなた最近どうしたの?思春期?」
「思春期だよ。この年代だし。」
「でも、勉強はちゃんとやってるのね。そこは安心した。」
当たり前だ。自己管理はきちんとやる。その前提ではじめて人に迷惑をかけない。そして人に好かれる。
「好きな人、できたの?」
「はあああ?!」
「あら。図星。」
「…そうだよ。」
「…実はね、最近私、失恋したの。」
「え?まじで?」
「…だげど、アタックすることに意味があるんだわ。ダメだったらその時はその時。1回でもいいから、やってみて?」
「…うん。」
花はいつか枯れること、知っているから。
暑いぞおおお