またしてもリリィ未登場。
カルデアに召喚されて数日が経っていたが、慣れというのは怖いものであんなにも嫌だったベッドの共有、別の表現をするならば添い寝は嫌ではなくなっていた。むしろ、他のよく知らないサーヴァントと違って、気が楽だ。
それでも寝るときは極力離れているのだが、目が覚めるとなぜかいつもジャンヌの顔がすぐ側にある。というよりも抱きつかれている。
「起きなさい、聖女様。いつまで人を抱き枕にしてるのよ」
「……あぁ、オルタ。おはようございます」
「なんでいつも一緒に寝てるのに、私より起きるのが遅いのよ? あと、アンタどんだけ寝相悪いのよ」
「それは……その……」
顔を赤くして、口籠るジャンヌ。嫌な予感がする。
「オルタの寝顔が可愛いかったので、つい……」
どうやらジャンヌは私が眠った後に、特等席で私の寝顔を堪能していたらしい。
「汚らわしい、寄らないで下さい」
「ごめんなさい、オルタ。でも、私はやましいことはしていません」
「抱きついておいて、やましいことはしていないですって? アンタの言うやましいことって……」
ジャンヌが変なことを言うので、抱きつかれる以上のことを想像してしまった。私の顔も真っ赤に染まる。
「だから、変なことはしていませんって!」
「とんだ変態聖女様ね! マスターのために我慢してたけど、もう一緒に寝てあげないんだからっ」
私がそう言うと、ジャンヌが目に涙を浮かべながら語った。
「オルレアンで私達は分かり合うことができなかった。でも、今は私の隣に居てくれる。それが嬉しかったんです。しかし、私はオルタの気持ちを考えていませんでした……」
ちょっと何泣いているのよ。これじゃあ私が悪いみたいじゃない。
「分かったわよ、ここに居てあげるから泣くのをやめなさい。その代わり今度はアンタが寝顔を見せなさい。聖女様の間抜けな寝顔をたっぷり笑ってあげるわ」
これで辱めを受けさせることができると勝ち誇る私だったが、甘かった。
「分かりました。その……私が寝ている間はオルタの好きにしていいですから」
だから、どうしてそこで嬉しそうにするのよ。完全に調子が狂っているところに追撃が来る。
「オルタ……大好きです!」
ジャンヌが抱きつてくる。もう払い除けるのも面倒になっていた。
部屋のドアが開く――
「ノックはしたんだけど……私は何も見てないから、準備ができたら2人とも管制室に来てね」
そう言うとマスターはすぐにドアを閉め、去って行く。この後、管制室で私達は何とも言えぬ温かい目で見られたのは言うまでもない。