ゲストにイリヤとクロ。
「魔力供給の時間よ、イリヤ」
「うぅ、本当にカルデアから賄われている魔力だけじゃ足りないの?」
「それとこれとは別腹よ。まぁ、イリヤが嫌ならマスターから直接……」
「それは絶対駄目ぇー。分かったわよ、早く済ませてよね」
「いただきまーす」
大変です、私より小さな女の子達がキスしています。私も大人の私達とおやすみのキスをしますが、それは頰です。リリィの私には刺激が強過ぎて声を出すこともできないです。
「ご馳走さま。ところであなた、誰?」
「えっ、誰かいるの?」
私の存在に気付いていたようです。気付いているのにあんな濃厚なキスをするなんて。とりあえず、自己紹介をします。
「私はジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィです。ジャックとナーサリーと遊ぶ約束をしていたんですが、部屋を間違えてしまったみたいです。お邪魔しました」
「ちょっと待ってください。サンタさん、誤解です。私の話を聞いてください」
流れで退出しようとしたら呼び止められてしまいました。
「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。イリヤって呼んでください」
「私はクロエ・フォン・アインツベルン。クロでいいわ」
2人が自己紹介をしてくれました。同じ顔に、同じ名前。きっと2人は姉妹なんでしょう。
「イリヤさんに、クロさんですね。それで誤解とは?」
「今、私達がしていたことは必要なことなんです! 決して変なことではないんです」
あまりにも堂々とした姉妹愛。びっくりです。
「ちょっとイリヤ。サンタさん、余計に誤解してるわよ。私から説明してあげるわ」
――2人の関係を説明してもらいました。
「なるほど。クロさんにとっては、イリヤさんからの魔力供給は必要不可欠なんですね」
「誤解が解けてよかったです」
「いえいえ、元々部屋を間違えた私が悪いんです。それでは、今度こそお邪魔しました」
部屋を後にします。誤解はありましたが、2人と仲良くなれて良かったです。
――夜になりました。私もそろそろ寝なくては。ただ、今ふと疑問に思ったことがあり、それが段々と疑問から不安になっていくのでした。
「どうしました、リリィ?」
「実は今日、イリヤさんとクロさんに会って……」
本来の私に今日見たことを話しました。
「それで部屋を後にしたんですが、大人の私達は魔力供給しなくていいんですか? 本来の私から魔力を貰わないと、成長した私は消えちゃうんじゃないですか?」
イリヤさんとクロさん。本来の私と成長した私。同じ関係性ではないですが、不安になってしまったのです。
「オルタから魔力供給が必要とは聞いていませんが……」
「きっと本来の私に借りを作りたくなくて、無理をしているんです」
「確かにあり得ることですね。リリィ、少しいいですか」
先に寝ている成長した私はそのままにして、私と本来の私は行動に移りました。
「リリィ、その恥ずかしいので少し外で待っていてくれますか?」
「はい。素直になれない成長した私を助けてください」
――外で待っていると、成長した私の悲鳴が聞こえてきました。部屋に入ります。
「この変態聖女! 寝込みを襲うなんて許されると思っているの?」
「オルタ、これには事情が……」
本来の私が怒られて泣きそうになっています。早く誤解を解かなければ。
「違うんです、成長した私。成長した私が消えないように、私からお願いしたんです」
私は事情を説明します。
「ふーん。それで私が消えると思ったのね。ところでリリィ、アンタは魔力供給必要なの?」
「私はカルデアから賄われている魔力で充分です。あっ」
そうです。成長した私よりもあり得ない存在である私が魔力供給を必要としていないのです。成長した私も必要ないのでしょう。
「今回のことは許してあげるわ。それと……」
「オルタ、最後が聞き取れなかったんですが」
「何も言ってません。さぁ、寝るわよ」
こうして、またカルデアでの1日が終わりました。成長した私は、ありがとうと言っていた気がしますが、きっと私の聞き間違いでしょう。