たった一度のクリスマス   作:タマモワンコ

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その1:召喚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥界の女神エレシュキガル。それが私の名前。

 

メソポタミアの冥界を治め、死んだ人々の魂を閉じ込める冥府の女神。本来ならば人の側につくべきではない悪神の類いの一柱。

 

そんな私も―――人理焼却の際には人の側についた。

 

利害や結果が一致したというのも確かにある。

 

だがなにより―――私は彼に、人類最後のマスターである藤丸立香に惹かれたのだ。

 

穢れた私を想ってくれた。

 

無へと落ちかけた私を救ってくれた。

 

今までにここまで純粋に想われなかったのもあるだろう。

 

私の依り代となったこの女の子の影響もあるだろう。

 

それでも。

 

それでも、私は彼に惹かれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………なのだけれど。

 

 

 

 

「………さっぱり呼ばれないのだわ!?」

 

 

ダワーダワーダワー…

 

 

 

 

…ああ、私の叫びは虚しく冥界へ溶けていくー…

 

 

…わかっていたことだ。

 

立香と……えっと、あるてら?が助けてくれたときに話してくれたことで覚悟したことだ。一年待つこと。それはわかっている。

 

わかっているけれど…

 

「まだなのかしら…。あと数時間でクリスマスなのだわ…。」

 

いや、立香は絶対に呼んでくれるはず!

 

…はず、よね?

 

ええい、疑うなんてはしたない!彼は呼んでくれるわ!

 

 

…うん、呼ばれたときのために身だしなみを整えておかないと…。

 

そう、この身だしなみを整えにいく一歩は立香と共に歩む第一歩なのよ!

 

さあ、落ち着いて…深呼吸…吸ってー、吐いてー。

 

よし!じゃあ一歩を…

 

 

 

すかっ。

 

 

 

「へ?」

 

あれ、地面は?え、穴?穴!?

 

「ちょ、一歩目で落ちたのだわあぁぁぁぁぁ!?」

 

ああ、おーちていくおちていくー。どーこまでもおちていくー。

 

ってどこかの料理漫画のような反応をしている場合ではないのだわ!?凄い深い穴なのだわ!?

 

………はっ、まさかこれが英霊召喚!?な、ならかっこよく着地しないとなのだわ!クールに、COOLに…そう、最高のCOOLを…は違うわね。

 

 

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「深すぎるのだわ!?」

 

 

ってああ、もうクールが崩れてしまった!おのれ英霊召喚システム、まさか私を試してくるとは!

 

…なんてことを考えていたら出口っぽい光が見えてきたのだわ!?ちょっと、まだ心の準備が!

 

だー!もう!なるようにしかならないのだわ!やってやるわ、存分に!

 

すてらあああああああああああ!

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………光が、収まる。

 

目の前には盾の女の子(マシュだったかしら?)と………立香が、立っていた。

 

…うん、取り敢えず息を吐いて…

 

「ふぅ……。

 

……サーヴァント・ランサー。冥界の女主人、エレシュキガル。召喚に応じ参上したわ。

 

一個人に力を貸すのは不本意だけど、呼ばれた以上は助けてあげる。感謝なさい。」

 

……よしっ!掴みはこれで大丈夫なはずよ!立香の反応は…

 

「…。」

 

「…。」

 

…あれ?

 

「……。」

 

「……。」

 

…えっと、その…あれ?

 

「………。」

 

「………。

 

って、なんで黙っているのかしら!?

私、立派な女神なんですけど!?」

 

「………………。」

ガシッ

 

「んにゃぁ!?」

 

え、え?ちょっと、どういうこと?え、わたし抱きつかれてる?こ、これが俗にいうハグ?それともバグ?ど、どういうことなのだわ―!?

 

 

「…ぐすっ、やっと…」

 

「うへ?」

 

やば、なんかプルプル震えて…え、震えてる?え、泣いてる!?

 

も、もしかして私を呼びたくなかったとか!?そ、それなら立香にはとても悪いことをしてしまったのかも知れないのだわ!?えっと、えっとどうすればいいのだわー!?

 

「えっと、立香、その…」

 

「やっと、会えた…!」

 

「………ほへ?」

 

「よかった…!一年も経ってたんだし、もしかしたらエレシュキガルが来てくれないかと思って…!」

 

………なるほど。

 

全く、この子は心配性なんだから。

 

「大丈夫よ、立香。一年なんて一瞬だったのよ?だから…」

 

優しく、言う。(女神)だった頃はできなかった、(サーヴァント)だからできる笑顔で。

 

「サーヴァント、エレシュキガルは貴方の元に召喚されたのだから!だから、泣くのは止めて、笑顔よ笑顔!」

 

…全く、悪神である私がこんな事を言うのはなんという皮肉だろうか。

 

でもまあ、サーヴァントとしていられる今くらいは…楽しく過ごしてみようかしら。

 

「…うん、ありがとうエレちゃん。」

 

「まさかの愛称呼び!?流石に気が早すぎると思うのだわ!?」

 

「え、そうかな?」

 

不意討ち過ぎて消滅仕掛けたのだわ…。

 

「…まあ、これからよろしくなのだわ。呼び方とかもゆっくりと馴れていくから、取り敢えずはそれでいいわ。」

 

「ゆっくり…あっ。」

 

…?

 

なぜ立香は大変な事を思い出したような顔をしてるのかしら?

 

それに後ろのマシュちゃんもなんだかこう、すまない…って感じの顔をしているのだわ。

 

…なんなのかしら。

 

「えっと…その…エレちゃん、ごめん。」

 

「え、なんで立香が謝るの?」

 

「その…サーヴァントは、26日に全員退去しなきゃ駄目なんだ。だから、居られるのはクリスマスの間だけ…なんだ。」

 

「なん…ですって…!?」

 

そ、そんなぁ…せっかく立香と居られると思ったのに…。

 

「だから、せめてクリスマスだけは一緒に居よう?カルデアも紹介しなきゃだしね。」

 

…。

 

「…。」

 

「えっと…僕じゃ嫌かな?」

 

 

「…まさか。むしろ嬉しいのだわ!ええ、今日一日しっかりとリードしてね?」

 

「…ええ、喜んで、女神さま?」

 

「ふふ、今の私はただのサーヴァントよ。それじゃ…行きましょうか、立香?」

 

「うん、じゃあマシュ、後はおねがいしてもいいかい?」

 

「もちろんです、先輩。今日一日、エレシュキガルさんをしっかりとリードなさってください。」

 

「ありがと、マシュ。それじゃ、レッツゴー!」

 

「おー!なのだわ!」

 

 

…なんだか、お姫様と騎士みたいで少し面白いのだわ。

 

まるで一泊二日のカルデア旅行だけれど、それならそれでしっかりと楽しむとしましょう。

 

一体、どんな出会いがあるのかしら…楽しみなのだわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ただの息抜きで書いたから続きは未定。もしかしたら続くかも。
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