イチグンからニグン落ち   作:らっちょ

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※19話大幅に話の展開を修正。

・腹パン、骸骨ボウリングネタ削除⇒土下座、被害ネタ追加。

【R10:真理の魔眼】(エメス・ゲイザー)の仕様変更。
 弱体化させて、オンオフは出来ない縛りを加えました。



遂に新しい章に突入!
間もなく外の世界での冒険活劇が始まります!


そしてタグ変更&追加
『微エロ』が加わりました。

……つまり、どういうことか判りますよね?



第二章 ~冒険者活劇編~
第19話 御褒美と御乱心


 

 

 暗く冷たい空間を漂っている。

 

 光の一切届かない深海に、ズブズブと沈み込んでいくような不思議な感触。

 

 息苦しさは感じないが、身体中を包んだ気怠さは消えず、ただ重力に任せて落ちていくことしか出来ない。

 

 自分という存在が曖昧になり、記憶も朧げで不鮮明だ。

 

 

(……ここは何処だ?……俺は何で此処に居るんだっけ?)

 

 

 判らないが、何故かこの場所に既視感がある。

 

 こんな寂しい場所を故郷のように感じるなど、俺も遂に狂ってしまったのだろうか?

 

 

(……暗い……寒い……怠い……眠い。

……俺、もう疲れたよパトラ●シュ)

 

 

 ――パトラ●シュって、一体誰だっけ?

 

 まぁいいやとそんな疑問を打ち払って瞼を閉じると、寒さが薄れ身体がポカポカと温かくなってきた。

 

 

「――嗚呼」

 

 

 そんな温かさに釣られるように瞼を開くと、真っ暗だった空間を割り開くように神々しい光が射し込んでいた。

 

 そして光の階から現れたのは、四人の天使達。

 

 黒髪・赤髪・青髪・金髪と個性豊かな美少女達が、皆同様に慈しむような微笑みを浮かべながら俺の下へと舞い降りて、優しく身体を抱き起してくれる。

 

 4人の天使達に支えられた俺の身体は、フワリと宙に浮かび上がる。

 

 徐々に近づく神々しい光に、誘蛾灯に誘われる蛾の如く両手を伸ばす俺。

 

 

「……今なら、何か逝ける気がする」

 

 

 心地好い微睡(まどろみ)に身を任せながら、天使達に運ばれているとガシリと何かに足首を掴まれた。

 

 

「――え゛っ?」

 

 

 見れば真っ黒な粘体生物が絡みついており、此方を奈落の奥底へと引き摺り落とそうとしているではないか。

 

 

「ああ゛っ!?」

 

 

 俺を運んでいた天使達は、そんな粘体生物の触腕によって奈落の底へと叩き落された。

 

 真っ暗な暗闇には、いつの間にか無数の骸骨が蠢いており、そんな亡者達に呑み込まれるように、失墜した天使達の姿が掻き消えてしまう。

 

 

「ひっ!?」

 

 

 そんな悍ましい光景を見て、必死に光の射し込む空間に逃げようともがくが、粘体生物は真っ黒な鎖となり、俺の身体を雁字搦めに拘束して身動きを封じる。

 

 そんな黒い鎖の先端を掴んで、奈落の底に引き摺り落とそうとするのは、骸骨の群の中でも一際邪悪な存在である。

 

 漆黒のローブをその身に纏った骸骨魔王は、目を爛々と紅く輝かせながら、凄まじい腕力でグイグイと鎖を手元に手繰り寄せる。

 

 抵抗虚しく奈落の底へと引き摺りこまれた俺に対し、骸骨魔王は耳元で囁くように呟いた。

 

 

『……逃がす訳ないじゃないですか』

 

 

 その瞬間、周囲の骸骨達の空虚な眼孔が一斉に俺の方を向き。ガチャガチャと不協和音を鳴らしながら俺を囲むようにスクラムを組んで壁となる。

 

 

よ、止せっ……止めろぉおお!?

 

 

 天高く積まれた躯の塔がバラバラに崩れ落ち、視界が髑髏で覆い尽くされる。

 

 そんな骸骨の流星群が降り注ぐ中、俺の意識は再び暗転するのであった。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・

 

 

 

 

 

「~~~ッ!?」

 

 

 ビッショリとした脂汗に不快感を感じながら、俺はガバッと跳ね起きる。

 

 先ほどまでの悍ましい光景を思い出し、身体の震えが止まらなかった。

 

 

「だ、大丈夫ですかイチグン様ッ!?」

 

 

 そんな俺を心配そうに覗き込んでくるのは金髪メイドのシクスス。

 

 ちゃんと肉があり、皮膚があり、温かな血が通っている存在。

 

 目の前の相手が骸骨じゃなかったことに心底感謝しながら、俺は彼女を手繰り寄せてギュッと抱きしめた。

 

 

「イ、イチグン様ッ!?」

 

「……嗚呼、俺生きてる。生きてるよシクスス。

……凄く良い匂いがする……温かい……柔らかい……癒される。

……シクススが俺の傍に居てくれて本当にッ、本当に良かったッ!」

 

 

 死から目覚めて最初に見た相手が、骸骨魔王のアインズさんとかだったら、俺はきっと耐え切れなくなり発狂していただろう。

 

 

「~~~~ッ!?」

 

 

 そんな感謝の気持ちを込めながら彼女を抱擁すると、絶句しながら頬を紅く染めてプルプル震えるシクスス。

 

 ……よくよく考えてみれば、これって完全にセクハラではないだろうか?

 嫌そうに身を震わせて涙目になってるし。

 

 人が優しくしてればつけあがり上がって、キモイから離せよ、この糞野郎といった感じだな。

 

 自分で言ってて泣けるが、当然の反応である。

 

 

「――すまないシクスス。感極まってつい抱きしめてしまったみたいだ。非礼を許して欲しい」

 

「……あっ」

 

 

 自らの非を詫びながらシクススから離れると、何故か彼女は悲しそうに虚空に手を伸ばし、所在なさげに引っ込める。

 

 そんな反応に首を傾げる俺に対し、エプロンドレスの前でモジモジと両手を組みながら、照れ臭そうに視線を逸らすシクスス。

 

 解せない反応である。

 トイレに行きたいなら、俺のことなど気にせずに行けば良いのに。

 

 

――リア充爆ぜろッ!!

 

 

 そんな風に考えていると、骸骨魔王が扉の影から唐突に飛び出して来た。

 

 天に両手を掲げ、目を爛々と光らせながら意味不明な戯言を宣いつつ、抑えきれない負の感情を絶望のオーラに乗せて撒き散らす。

 

 本当に爆発させられては堪らないし、レベルの低いシクススも居るので、即座に彼女を背に庇い結界でガード。

 

 精神安定化を繰り返しながら、漸く落ち着きを取り戻したアインズさんに対して、俺は話し掛ける。

 

 

「……何、暴走してるんですかアインズさん?」

 

「……すみません。つい感情が昂りまして」

 

 

 ついでで絶望のオーラを撒き散らすのは勘弁して欲しいのだが。

 

 此処に居ると俺は兎も角、シクススの身が危ないので、部屋から退避するように命じる。

 

 シクススは熱にうなされるように頬を抑えながら、フラフラとした足取りで去っていった。

 

 

「……大丈夫かな、シクスス?」

 

 

 アインズさんへのお辞儀すら忘れているなんて、いつもの彼女らしからぬ失態である。

 

 体調不良ならば、後でペストーニャ辺りに回復魔法を掛けて貰った方が良いかもしれないな。

 

 

「……回復魔法が必要なのは、貴方の頭の中だと思いますけどね」

 

「なんでやねん」

 

 

 そんな下らない掛け合いをアインズさんとしていると、シクススの去った扉からコキュートスとデミウルゴスが現れた。

 

 

「ゴ復活御喜ビ申シ上ゲマス、イチグン様。

血沸キ肉躍ル見事ナ死合イデゴザイマシタ」

 

「万事アインズ様の御計画通りに物事が進んでおります。

イチグン様のその雄姿、この余興でナザリックの末端に至るまで十二分に伝わったことでしょう」

 

「……死合い?……余興?」

 

 

 そういって開口一番に褒め称える二人の言葉を聞いて、死闘の記憶が蘇る。

 

 

 そうだ、俺は余興の一環として階層守護者であるシャルティアと闘い。健闘虚しく無惨に殺されてしまったのだ。

 

 そんな騒動の切っ掛けを作った骸骨は、虫眼鏡のようなものをアイテムボックスから取り出し、此方を観察しながら一言。

 

 

「狙い通りデスペナは発生してませんね。

寧ろ、シャルティアや眷属を倒したことでステイタスが底上げされたようです。

 

――良かったですねイチグンさん」

 

 

 そういってサムズアップしながらアルカイックスマイルを浮かべる骸骨。

 

 

「…………」

 

 

 俺はその言葉を聞いて無表情になり、光を宿さぬ瞳でアインズさんを凝視する。

 

 

「……よ、良かったですねぇ。あ、アハッ、アハハッ!」 

   

 

 俺は目をクワッと見開き、無言のまま彼を睨み続ける。

 

 するとアインズさんの眼孔の焔が、ウルトラマンのカラータイマーのようにピコンピコンと激しく揺らめく。

 

 そして次の瞬間、赤い焔は精神安定化の光と共にフッと掻き消えた。

 

 

 脱力した彼は床に両手と膝をつき、深々と腰を折り曲げて髑髏(しゃれこうべ)を垂れる。

 

 

「――この度は、私の不用意な提案で多大なる御迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」

 

「「ア、アインズ様ぁ!?」」

 

 

 それは実に見事な謝罪であった。

 

 ブラック企業の営業マンとして働いていた経験故か、土下座までの流れがスムーズであり、口上に一切の淀みがなかった。

 

 

 そんなアインズさんの唐突な行動に、階層守護者二人組は大慌て。

 

 デミウルゴスなどパニック症状を起こし、尻尾が荒ぶってヤバいことになっている。

 

 何故なら彼は俺の真横に立っていた。

 

 アインズさんの土下座は、見方によってはデミウルゴスに対して跪き、頭を垂れているようにも見えるので、忠誠心の高い彼からすれば、在り得ない状況なのだろう。

 

 彼は即座に床に身を這わせ、アインズさん以上の平身低頭の姿勢で土下座。額は比喩ではなく床に減り込む程に下げられていた。

 

 そんな姿勢を崩さぬまま、デミウルゴスは切羽詰まった様子で叫ぶ。

 

 

「アインズ様ッ!どうか土下座をお辞め下さいッ!至高の御方が頭を下げるなど相応しくありませんッ!」

 

「ならぬッ!コレは己が不手際に対する誠意の構えッ!故に私は許されるまで、この姿勢を一切崩さぬッ!」

 

「アインズ様御乱心ッ!!アインズ様御乱心ッ!!」

 

 

 土下座で向かい合う、デミウルゴスとアインズさん。

 

 コキュートスはオロオロと慌てふためき、アインズさんの身体に四本腕を伸ばしては引っ込め、伸ばしては引っ込めと無限ループ。

 

 土下座は止めさせたいが、主の望みは土下座を維持することだ――といった感じで葛藤しているのだろう。

 

 

「……はぁ~」

 

 

 そんな混沌とした状況に思わず毒気を抜かれてしまい、盛大な溜息を吐きながらアインズさんに手を差し出す。

 

 

「……頭を上げて下さいアインズさん。いつまでもそうされると心苦しいです」

 

「……許して……くれるんですか?」

 

 

 縋るように此方の足首を掴み、上目遣いで俺の顔を見上げるアインズさん。

 

 その姿でされると、違う意味で心にグッと来るので辞めて貰えますか?

 

 具体的に言うなら、臨死体験での出来事を鮮明に思い出しそうでトラウマです。

 

 流石に今回の余興に関しては、文句を言いたいことが山ほどある。

 

 しかし、こうして素直に謝ってくれたし、これ以上は場が益々混乱しそうなので追求しないことにしよう。

 

 

 そう思っていると、デミウルゴスが理解不能と言わんばかりに顔を上げ、慄きながらも尋ねて来る。

 

 

「ア、アインズ様の至らぬ点とは!?……この緻密で一部の隙もない計画に、一体どんな穴があったのでしょうかッ!?」

 

 

 ……デミウルゴスって凄く有能だけど、アインズさんへの色眼鏡が酷過ぎるせいで、時折、明後日の方向に思考がぶっ飛ぶよなぁ。

 

 彼もそんな色眼鏡を取っ払い、正常な状態で物事を判断すれば理解出来るはずだ。こんなものガバガバで、穴だらけでの綱渡り作戦でしかなかったと。

 

 

 何だあのシャルティアの殺意は。

 俺を嬲り殺しにする気満々だったじゃないか。

 

 もし少しでも選択肢を誤れば余興は大失敗に終わり、俺は惨めな姿を晒しながら公開処刑されるところであった。

 

 善戦が出来たのは此方の戦略が嵌り、相性と運が良かったからに過ぎない。普通なら負けて当然の戦いなのだ。

 

 

 そして何でシャルティアの蘇生アイテムを取り上げておかなかった?

 

 おかげでこちとら満身創痍状態で、ラスボスと第二ラウンドを行う破目になったんだぞ。

 

 仮にも余興の運営責任者なら、その辺のゲームバランスはしっかり管理しろよ。 

 

 

 その上、痛みは課金アイテムで緩和されるからと聞いていたのに、よがり狂うほどの激痛が走ったんですけど。

 

 おかげで後半戦は地獄のような苦しみを味わいながら、戦う破目になったではないか。

 

 そう問いただすと、彼は顎に手を置き悩んだ末に、ポンと両手を打つ。

 

 

「――ああ、そっか。俺はアンデッドだから痛覚が鈍化してただけか」

 

 

 勘違いでしたテヘペロと言わんばかりに、自分の失敗を誤魔化そうとするアインズさん。

 

 

「ハハハッ、アインズ様でもそのような勘違いをなさるのですね」

 

「種族ノ違イ故、気付カヌノモ仕方ノナイ事カト」

 

 

 そんな主の人間らしい失態に、和む階層守護者二人組であったが、当事者である此方としては笑いごとでは済まされない。

 

 何とかそんな骸骨に一矢報いてやろうと、俺は悲しそうに眉を歪めたまま、情感を込めてボソリと呟いた。

 

 

「――シャルティア可哀想に。余興で蘇生アイテムを使ってしまったんですよね?

創造主であるペロロンチーノさんから与えられた、()()()()()()()()なのに」

 

「――うぐっ!?」

 

 

 もし余興で使わなければ、蘇生アイテムを摩耗せずに済んだはずだ。

 

 そして俺も、生首コロコロホールインワンはなかったはずである。

 

 そう言外に告げるとアインズさんは良心の呵責から胸を抑えて苦しむが、デミウルゴスが否と声高らかに反論する。

 

 

「それは違いますイチグン様ッ!

アインズ様はあえて蘇生アイテムを持たせたまま、余興を実施したのです」

 

 

 そうすることにより、俺の実力はシャルティアを凌駕しうると配下達にアピールし、更にシャルティアにも勝利という華を持たせて余興を締め括ることが出来たのだと語るデミウルゴス。

 

 確かに結果的には物事は良い方向に躍進したが、それはあくまで結果論である。

 

 そもそも、それが事実だとするなら。シャルティアの貴重なアイテムは、彼の計画によって摩耗されたということになるんですけど?

 

 

 そういうとデミウルゴスはスッと立ち上がり、胸に手を当てて答える。

 

 

「確かにシャルティアは大切な品を失ったでしょう。

しかし、アインズ様の神算鬼謀とも言うべき計画の礎となったのです。決して()()()()()()などではないのですよ」

 

「――――」

 

 

 そして盛大に主にトドメを刺すデミウルゴス。

 

 アインズさんは無言になって、空虚な眼孔で地面と睨めっこ。

 

 計算し尽くされた行動ではなく、単なるうっかりであったなどとは最早口が裂けても言えないだろう。 

 

 そんなタイミングでコキュートスが、プシューっと冷気を吐き出しながらデミウルゴスの意見に賛同する。

 

 

「ソノ通リデゴザイマス。主ノ為ニ身ヲ削ル事コソ配下ノ最大ノ誉レ。

ダカラコソ、アウラヤマーレモ喜ンデ犠牲ヲ受ケ入レタノデス」

 

「――え゛っ?」

 

 

 ……アウラやマーレが犠牲となった?

 

 凄く不穏な発言が聞こえて来たんだが、それは一体どういう意味なんだコキュートス?

 

 

 彼から話を聞き出すと、俺の最後に放った攻撃により結界が破壊されそうになり、マーレが慌ててそれを修復したらしい。

 

 そして大規模な結界修復を行い、魔力が枯渇しかけていたマーレに対し、更地になった闘技場の修繕をその場で命じたアインズさん。

 

 マーレは喜んで魔力を絞りつくし、《大地の大波/アース・サージ》で闘技場を整地。

 全てをやり切ったマーレは、魔力枯渇で昏睡状態となりペストーニャの下に搬送されたらしい。

 

 

 そしてアウラは直接的な被害こそないものの、結界が破壊されかけた際に、闘技場にあった魔獣の調教部屋が塵一つ残らず崩壊したらしい。

 

 その中にあった『カルカン』や『カルカン・ハイグレード』などの稀少なユグドラシルアイテムが纏めて消失し、アウラは大樹の木陰に蹲って涙目になっていたという。

 

 

(……嗚呼、聞くんじゃなかった)

 

 

 非常に居た堪れない気持ちになる。

 全部俺とアインズさんが切っ掛けとなって起こった大惨事ではないか。

 

 照らし合わせたかのように俺とアインズさんは視線を交わし、《伝言/メッセージ》にて密談する。

 

 

『……これじゃ俺達の勤めてたブラック企業よりも酷い職場環境ですよ。

彼女達の忠義や犠牲には、何かしらの形で報いた方が良くないですかアインズさん?』

 

『……はい。我ながら酷い上司だと改めて自己嫌悪中です』

 

 

 そう言って今までにないぐらいに気落ちするアインズさん。

 

 人間の感情が薄れた彼でも、今回の出来事は流石に罪悪感を刺激されたらしい。

 

 

 大丈夫さ。人間は失敗を糧として成長出来る生き物なのだから。

 

 そんな気持ちを込めながら、死の支配者(オーバーロード)の背中をポンッと叩いて、彼女達への謝罪の言葉を一緒に考えるのであった。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・

 

 

 

 

 

 様々な出来事があった、余興という名の殺し合い。

 

 失うものは余りにも大きかったが、それでも有意義な結果を残すことは出来た。

 

 

 少なくとも当初の目的である実力アピールは出来たし、俺の異能の特異性なども理解して貰えただろう。

 

 これにより此方に対して殺意を抱いている配下達も、下手な敵対行動は危険であると思ってくれれば御の字なのだが……彼女にそれを期待するのは土台無理な話だな。

 

 

 場の空気が和んだ後は、そんな余興の話になり。アインズさんは興奮した様子で語る。

 

 

 

「ハハハッ、シャルティアとの闘いを見ましたけど壮絶の一言でした。Lv55とLv100なんて普通は覆せるような実力差じゃないんですよ?」

 

「まぁ運の要素もかなりありましたけどね」

 

 

 そもそもシャルティアは油断していたし、此方の情報を知らな過ぎた。

 

 彼女が油断なく最初から挑み、此方の情報を事前に仕入れていれば、最早勝負にすらならなかっただろう。

 

 此方の持っていた切り札(ジョーカー)も、十全に機能してくれたしな。

 

 

「――しかし、話に聞いていた以上に凶悪ですね。イチグンさんが持つその固有異能(ユニークスキル)は」

 

 

 そう、俺の身体にはニグンが持っていた『眷属強化』の異能の他に、もう一つの異能が宿っていたのだ。

 

 

(……薄々怪しいとは思っていたけど、まさか仮想世界で使用していた固有異能(ユニークスキル)生まれながらの異能(タレント)として発現するとはなぁ) 

 

 

 思い返してみれば、不自然な出来事は沢山あった。

 

 アインズさんの精神安定化の光が見えたり。〈上位物理無効化Ⅲ〉を突破して、俺の投げた枕やスリッパが彼にダメージを与えたり。課金アイテムを用いた隠蔽や八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)の〈完全不可視化〉を看破したりと普通では在り得ない出来事の数々。

 

 ――それらの出来事は、全て俺の固有異能(ユニークスキル)が関わっていたのだ。

 

 

「……失礼ですが、もしや先ほどのシャルティアとの闘いにおける不自然な現象は、全てイチグン様の異能によるものなのでしょうか?」

 

「ああ、その通りだよ。異能の詳細については教えられないけどね」

 

 

 この異能は現在俺が保有する手札の中でも、暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)に匹敵する切り札である。

 

 相手がその対処方法を知らないからこそ、最大限の効果を発揮出来るものなので、今のところアインズさんにしかその詳細を語るつもりはない。

 

 切り札は隠してこそなんぼだしな。

 

 

 そういうとデミウルゴスは意味深な含み笑いを浮かべながら、飄々と語る。

 

 

「……成程、確かに軽率な質問でした。

イチグン様のその()()()に感服致します」

 

「……ハハハッ、そりゃどうも」

 

 

 ……ご慧眼(ごけいがん)ねぇ。恐らくデミウルゴスは此方の異能の効果を、あの余興でのやり取りで8割方理解しているのだろう。

 

 そして私はある程度理解してますが、他に言いふらすつもりは一切ないと暗に告げられた。

 ――本当に恐ろしいぐらいに有能な悪魔である。

 

 

(……この異能に目覚めたのは僥倖だったな)

 

 

 俺のプレイしていたゲームでも、ユグドラシルの世界秘宝のようなゲームバランスを崩壊させかねないモノは存在していた。

 

 ただし、それは誰にでも譲渡可能なアイテムとしてではなく、特定の条件を満たすことで覚醒するプレイヤー当人にしか使えない固有異能(ユニークスキル)としてだが。

 

 固有異能(ユニークスキル)にも、R1~R10までの階級が存在しており。その中でも飛び抜けた効能を持っていたR10の固有異能は『十指』と呼ばれ、恐れられていた。

 

 

 そしてそんな十指の中でも、最もヤバいと言われていたのが、俺の取得していた固有異能『R10:真理の魔眼』(エメス・ゲイザー)である。

 

 

 この異能の効果は文字通り、目に関する能力である。

 

 自分の視界内に入った敵に対して発動。

 透明・隠蔽などの特殊効果を全て貫通し、相手の情報を探ることが可能となる。

 

 故に相手は此方の視界に入ると隠密行動が出来なくなり、不意打ちのつもりで近づいたのに隙だらけの姿を晒すことになるのだ。

 

 

 更にその効果はあくまでオマケに過ぎず、この能力の真価は別にある。

 

 ――この能力の真髄。

 それは『視界で捕捉している相手の使用したバフや妨害障壁を無視する』というものである。

 

 判り易く説明するなら、相手のバフや妨害障壁を用いた攻防を全て貫通してダメージ計算が行われるのだ。

 

 相手がバフを重ね掛けして防御力を上げたとしても、此方が与えるダメージは、本来のステイタスに依存したものになるので意味がない。

 

 攻撃に関しても同様。それどころか此方はバフで上がった防御力で、相手の攻撃をやり過ごしたり、致命傷を回避することだって可能なのだ。

 

 その上、防御魔法や防御スキルなども無効化するので、相手は回避行動しかとることが出来ない。

 

 シャルティアのバフで上がった攻防をやり過ごせたり、防御障壁を無効化したのは全てこの異能の効果である。

 

 

 それだけでも反則染みた効果であるのだが、この異能の最も厄介な能力が『視界で捕捉している相手の使用したスキル・魔法・アイテムの効果対象にならない』というものである。

 

 大半のゲームに言えることだが、スキル・魔法・アイテムなどの効果は、対象となる相手を選んで発動する仕様になっている。

 

 しかし、この『R10:真理の魔眼』(エメス・ゲイザー)を発動している最中は、相手は能力の行使対象として自分を選べない。

 

 そして対象を指定出来ないが故に、対象を選ぶ能力は効果を発揮することが出来ず不発に終わってしまうのだ。 

 

 

 故にシャルティアの〈清浄投擲槍〉(せいじょうとうてきやり)は、追尾効果が発動しなかった。

 

 俺を対象として発動しようとした《時間停止/タイムストップ》は、対象を選択出来ずに不発に終わってしまったのだ。

 

 

(……尤もこの異能にも弱点はあるんだけどな)

 

 

 この力は、相手のスキルを使用禁止にしたり、弱体化させる類のものではない。

 

 故に相手のバフやスキル自体は効果を発揮しているので、素早さを上げて視界の外から攻撃されてしまえば、この能力は効果を発揮せず無意味となる。

 

 不意打ちで斬り落とされた両腕は、シャルティアを目視していなかった為、【呪詛騎士】(カースドナイト)のスキルの効果対象に選ばれてしまい、再生することが出来なかったのだ。

 

 

 そして能力の対象は、敵味方問わず視界に捉えた相手全てに発動してしまう。

 

 つまりパーティプレイの際に、視界に入っている仲間達から十分な援護を受けることが出来ないのだ。

 

 パーティ戦の基本は、相手を視野範囲に入れながら連携を取るのが基本だったので、それが制限されてしまうこの異能は、他のプレイヤー達から敬遠され、連携が取りにくいとパーティ戦で除け者にされがちだった。

 

 

 更に対象に選べないだけであり、範囲魔法など対象を選ばない効果などは普通に有効なのだ。

 

 もしシャルティアが《時間停止/タイムストップ》を俺に対してではなく、自分自身に使用した場合は、従来の効果を発揮しており、此方の行動を阻害していただろう。

 

 

 そもそも視界内に入った相手にしか発動出来ない為、目視出来ない物陰や遠距離から攻撃されるとアウトであるし。他者から支援バフや妨害障壁を掛けて貰った相手は、この固有異能では打ち消すことが出来ない。

 

 メリット・デメリット含めて、使いこなすのが難しい固有異能なのである。

 

 

(……それでも強力な能力であることには変わりないけどな。ゲーム時代ではこの異能をフル活用した戦略を組んでたし)

 

 

 俺が職業【混沌召喚士】(カオス・サマナー)を取得し、使役する眷属を暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)に拘ったのにもそれなりに理由がある。

 

 召喚士系統の職業で召喚した眷属は、ゲームの仕様上、術者の肉体の一部として扱われる。

 

 そしてスライム系統の魔物は〈R1:分裂〉(ディヴィジョン)〈R2:視界共有〉(ビューシェアリング)というスキルを覚えることが可能。

 

 コレを『R10:真理の魔眼』(エメス・ゲイザー)と組み合わせ、暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)が行えばどうなるか?

 

 最悪の奇襲攻撃、鉄壁の防御布陣の完成である。

 

 

 スライムの分裂体を偵察に出させ、〈R2:視界共有〉(ビューシェアリング)にて敵の存在を視認。

 

 その上で、《R5:刺し穿つ朱槍(スピア・ザ・グングニル)》のような遠距離攻撃で一方的に狙撃する。

 

 相手は探索スキルなどにより、此方の居場所を調べることも出来ない。

 

 何故なら探索は相手を探すという仕様上、対象を選ぶ効果に分類されるからだ。

 

 

 もし仮に位置を特定されたとしても、狙撃のような遠距離攻撃で此方を捕捉して反撃は出来ない為、防戦一方となり。防壁やバフは貫通されるので、回避一辺倒となる。

 

 

 防御布陣に関しても、言うまでもないだろう。

 

 ただでさえ硬い暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)に、高火力の単体攻撃魔法が使用出来なくなるのだ。

 

 高火力の範囲魔法で殲滅しようにも、発動待機時間があるので、それまでに素早い暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)を効果範囲外に逃がすなり、術者に接近させて自爆させるなり、状態異常をばら撒くなど取れる手段は沢山ある。

 

 

 これがゲーム時代、俺が愛用していた基本戦術である。

 

 そんな布陣に加え、プレイヤーに1体だけ同行可能なお供NPCの職業は後衛職を選び、金と時間を惜しみなく投資して『十指』の固有異能を覚醒させた。

 

 これにより四方八方から集団で敵が襲い掛かろうが、一発で殲滅出来る火力も確保。

 

 嘗て数十人単位で襲い掛かって来た上位ランカーたちを、ソロプレイで殲滅した時などは非常に痛快であった。

 

 そのプレイ動画を見たプレイヤー達から

 

 『……廃人、いや廃神だな』

 『あの吸血鬼、頭可笑しい』

 『(ゲームバランスが)狂ってやがる』

 『野生のラスボスが降臨した(白目)』

 

 などと言われ、非公式のラスボス認定されたのは懐かしい思い出である。

 

 

(……でもって、そんな『R10:真理の魔眼』(エメス・ゲイザー)の効果は、先のシャルティア戦で十分に効果検証出来た)

 

 

 ほぼゲーム時代と変わらない。

 視界に入った相手に、常時効果が発動してしまうという面倒な仕様までそのままである。

 

 

(……コレって結構チームプレイには足枷になるんだよなぁ)

 

 

 仲間が支援しずらいという部分もそうなのだが、一番厄介なのは情報伝達である。

 

 例えば、俺はアインズさんに配下達に聞かれたくない内緒話をする時は《伝言/メッセージ》を使用するのだが、アインズさんは俺の視界に入っている時は、此方に対して《伝言/メッセージ》を使用出来ない。

 

 判り易く例えるなら携帯の着拒である。

 此方から通話する分には繋がるが、相手は此方に繋がらないのだ。

 

 繋がるタイミングは此方が目を閉じた時か、視線を逸らした時のみ。

 だからアインズさんは俺に話し掛けたくても、念話が繋がらず話せないことも間々あるらしい。

 

 

(……そういった不便な部分はあるが、そこら辺は折り合いをつけていくしかないだろうな)

 

 

 戦闘においては破格の効力を発揮する切り札であることは間違いないのだから。

 

   

(……まぁ、そんな能力をフルで使っても、シャルティアに勝てなかったんだけどなッ!!)

 

 

 嘗てソロ攻略したことのある公式のラスボスの方が、余程良心的でマイルドな仕様であった。

 

 やはり現実世界は仮想世界とは比べものにならぬ程、シビアであると思い知らされる出来事である。

 

 

「……うんっ?」

 

 

 そんなことを考えていると、ふと扉の近くに誰かの気配を感じる。

 

 見ると其処にはボロボロの装備を纏った状態のシャルティアが佇んでおり、バツの悪そうな表情を浮かべて此方の様子を窺っているではないか。

 

 

「……あぅ」

 

 

 そんな彼女と目があうと、凄く気まずそうに視線を逸らされた。

 

 ……そんな彼女の何気ない所作に、鬱蒼とした気分になり、死にたくなってくる。

 

 俺はまだシャルティアに敵意を抱かれているのだろうか?

 

 

 そんな彼女の存在に気付いたのか、アインズさんも扉に視線を向けてシャルティアに労いの言葉を掛ける。

 

 

「――おお、シャルティアか。この度の余興は大義であった。

 

力を取り戻しつつあるイチグンさんを相手に勝利を飾るとはな……流石ナザリック守護者最強だ。お前のことを私は誇りに思うぞ」

 

「は、はい。有難うございます」

 

 

 そう言ってアインズさんに一礼しながらも、チラチラと此方の顔色を窺ってくるシャルティア。

 

 そんな彼女の行動に疑問を抱いたのか、デミウルゴスがその不自然さを指摘する。

 

 

「……先ほどからイチグン様の顔色を窺っているようだが、一体何事かなシャルティア?」

 

「え、え~っと。その……イチグン様は怒ってないでありんすか?」

 

「……はい?」

 

 

 一体何のことか判らず首を傾げる俺に対し、彼女は両手の人差し指をツンツンと合わせながら、ポソポソと語り出す。

 

 余興の対戦相手として力不足だと思われて、自分を対戦相手から外そうとしたのだと怒りを覚えたこと。

 

 その怒りのままに大観衆の前で嬲り殺しにしようと目論んだこと。

 

 挙句の果てに人に堕ちた吸血鬼風情と暴言を吐き捨て、舐めプレイで余興に臨んだ。

 

 更に最後の介錯でしくじり、俺の生首を地面の穴にボッシュートしたこと等々。

 

 

 馬鹿正直に、一から十まで全て語ったシャルティアに対し、デミウルゴスは悩ましそうに顳顬(こめかみ)を押さえながら盛大な溜息を吐いた。

 

 

「……ハァ~、何とも愚かしい。

そのような勘違いで暴走するなど、階層守護者失格ですね」

 

「……うぅ~」

 

 

 デミウルゴスの辛辣な言葉に、シュンと小さくなって涙目となるシャルティア。

 

 お前(デミウルゴス)が言うな。と思わずツッコみそうになってしまったが、何とか自制心を働かせて抑え込む。

 

 だが、理解出来なかった彼女の敵意や殺意の理由が判り、モヤモヤとした気持ちも晴れた。

 

 切っ掛けを作ったのはアインズさんかもしれないが、事態を悪化させたのは俺の不用意な提案や言動であったのだ。

 

 そんな事実が判った俺は、徒労と安堵の感情から思わず笑ってしまった。

 

 

「アハハハッ、そういうことだったのか。

それは恨んで当然ですね。勘違いさせるような言動をとってしまい、申し訳ありませんシャルティアさん」

 

「えっ!?」

  

 

 そしてペコリとシャルティアに向かって頭を下げて、困惑する彼女の誤解を解くために此方の意図を語る。

 

 

「そもそも、私はシャルティアさんを侮ってませんし、最初から強敵であると認識していましたよ?」

 

「えっ、で、でもっ!力不足だから対戦相手を変えるようにとっ!?」

 

 

 うん、言ったね。

 俺ではシャルティアを相手するには力不足であると。

 

 シャルティアが階層守護者の中でも飛び抜けた実力を持っていると判っていたからこそ、俺は階層守護者と対戦するならば、せめて戦闘の得意ではないデミウルゴスを相手にとアインズさんに嘆願したのだ。

 

 尤も、それ以上にシャルティアが好みの異性だったので、殺し合いなどしたくなかったと言うのが本音であるのだが……此方は気恥ずかしいので、墓まで持ち越すとしようか。

 

 

 そんな俺の言葉を聞いたシャルティアは目まぐるしく表情を変えながら、ガシガシと頭を掻き毟って一言。

 

 

「ああっ、私は大馬鹿者でありんすっ~~!!」

 

 

 そういって叫ぶシャルティアに、苦笑いを浮かべる俺。

 

 

 でもそんな馬鹿正直な彼女の反応を好ましく思うからこそ、俺はあんな悲惨な殺され方をしても、彼女を憎めないし、恨めないのだと思う。

 

 人は嘘を吐くことは簡単に出来ても、真実を語って頭を下げることは簡単に出来ないからだ。

 

 

 そんな風に思いながらも、俺は屈んで目線をシャルティアに合わせると、右手を前に差し出した。

 

 

「お互いに勘違いしていたようですし、これまでのことは水に流して仲直りしませんかシャルティアさん?」

 

「――へっ?」

 

 

 そういうと彼女はポカンと放心した後に、クスリと可笑しそうに微笑みながら口を開いた。

 

 

「――シャルティアで構いませんわイチグン様。

堅苦しい敬語も要りませんし、これからは気軽に話しかけてくんなまし」

 

「嗚呼、判ったよシャルティア」

 

 

 そういってシャルティアと握手を交わし、和解する俺。

 

 得られるものなど何もないと思っていたすれ違いであったが、この笑顔を見れただけでも悪くない気分である。

 

 

 そんな大団円の流れであったが、事態は一変。

 

 目の前に居たシャルティアの装備が、ゴトリと全て剥がれ落ちてしまったのだ。

 

 

「……あらっ?」

 

 

 特に動揺することもなく、床に落ちた装備を眺めるシャルティア。

 

 闘いを経て劣化した装備が、自重に耐え切れずに崩れ落ちたのだろう。

 

 一糸まとわぬ彼女の神々しい裸体が、俺の目前に晒された。

 

 

「……ふっ、ふつくしぃ」

 

 

 傷処か染み一つ存在しない白蝋のような柔肌。華奢ながらも女性らしさを兼ね備えたスレンダーな体躯。

 

 殆ど膨らみの存在しない胸部は、それこそが彼女を彩る黄金比そのもの。PADなど不要であると、声高らかに叫びたい気分だ。

 

 

「――嗚呼、我が神よ。全ての出逢いに感謝を捧げます」

 

 

 俺は目の前に現れた尊くも儚い光景を、脳裏に焼き付けるかの如くガン見するのであった。

 

 

「――イチグンさん、色々と台無しです。

《上位転移/グレーター・テレポーテーション》」

 

 

 冷ややかなアインズさんの声と共に、そんな素敵な光景は一変。

 

 脳裏に焼き付いたのは、カサカサと蠢く黒い地面であった。

 

 

 黒棺(ブラックカプセル)に強制転送された俺は、顔面からゴキブリの群にダイブ。 

 

 今日という日は俺にとって、色々な意味で忘れられない一日となった。

 

 

 




恐怖公の眷属A
「親方、空から人間の男がッ!」

恐怖公
「おや、侵入者でしょうか?ムシャムシャして差し上げなさい」

恐怖公の眷属∞
「「わーい、新鮮なお肉だぁ!」」

イチグン
「――――――――ジョウジ」



等というやりとりがあったりなかったり。





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