イチグンからニグン落ち   作:らっちょ

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漆黒の剣との会話回。

漆黒の剣の過去や生い立ちに関しては、完全なる捏造となっておりますのでご了承下さいませ。


 



第24話 冒険者の宴

 

 

 ――初っ端から盛大にやらかしてくれたぜ、この骸骨魔王。

 

 迂闊な言動には気をつけようと呟いておきながら、この大惨事である。

 

 

 草原に転がった小鬼(ゴブリン)達の屍を見て、漆黒の剣やリィジーはドン引きである。

 

 あの状況では敵を始末するより他に手が無かったとは言え、幾ら何でもこれは()りすぎだ。 

 

 彼らの俺達を見る目も、英雄に憧れる冒険者の視線というよりは、異次元の怪物に遭遇した被害者の視線である。 

 

 

(……まぁ、あんな風に魔物の大群を一方的に嬲れば当然の反応だよなぁ)

 

 

 地獄絵図となった血染めの草原を一瞥し、漆黒の剣のリーダーであるペテルは戸惑いながらも俺に尋ねて来た。

 

 

「……えっと、どうしましょうか()()

 

 

 そう言って彼の指し示したのは、草原に散乱した魔物達の死体だ。

 

 この事故現場の痕跡を、どうやって処理すれば良いのか考えあぐねていたのだろう。

 

 

 冒険者は魔物を討伐した際などは、耳や角などの換金出来る部位だけを確保し、残りの不要な躯はその場で処分するのが常識である。

 

 森の近くならば放置が基本。死体は獣達が餌として勝手に処理してくれるからだ。

   

 

(……しかし、今回の場合はそうもいかんのだよなぁ)

 

 

 何せ百数体の小鬼(ゴブリン)人喰い大鬼(オーガ)の群である。

 

 放置しておけば森から大量の魔獣達を呼び寄せる要因に成り得るし、深い恨みを宿して死んだ遺体はアンデッドとして蘇り易い。

 

 こんな状態を放置すれば、二次災害が発生してしまうし。そもそもこの光景を他の冒険者や旅人が目撃してしまえば、何らかの異変として調査隊が派遣されるだろう。

 

 故に後始末は必要不可欠なのだが、一体一体耳を切り取って丁寧に埋葬していれば、丸一日掛けても終わらない大仕事となってしまう。 

 

 

「……おっ?」

 

 

 さてどうするかと頭を悩ませていると、足元にすり寄って来た暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)が触腕を伸ばし、クイクイと俺の袖を引っ張った。

 

 後始末なら自分に任せろと言わんばかりのアピールである。

 

 

(……う~ん。本当は人前で見せびらかすような力じゃないんだが、この状況じゃそんな我儘も言ってられないか)

 

 

 方針転換を決めた俺は、不安そうに此方の出方を伺っているペテルに対し、遺体を処理するアテはあるので大丈夫だと告げた。

 

 

「じゃあ頼んだぞ、暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)」 

 

 

 そう命じると、暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)は円盤状に平べったくなり、一番近くの小鬼(ゴブリン)の遺体の真下に滑り込む。

 

 すると小鬼(ゴブリン)の遺体が底なし沼に沈み込むように消えていった。

 

 

「えっ!?小鬼(ゴブリン)の死体が消えたっ!?」

 

「私の使役する眷属の能力の一つですよペテルさん。大きな荷馬車一つ分ぐらいの物体を収納することが出来るんです。生き物なんかは仕舞えないですけどね」

 

「す、凄いっ!こんな利便性の高い召喚モンスター、僕は見たことも聞いたこともありませんよっ!」

 

「……だからモモン殿のチームは手ぶらで旅に出られる訳であるな」

 

「……その上戦闘も熟せるとか、とんでもねぇ魔物だぜこりゃ」

 

 

 そういって多彩な能力を保有する暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)を、褒め称える漆黒の剣の面々。

 

 ごめん、真っ赤な嘘です。

 相手に抵抗されなければ生き物でも収納可能だったりします。

 

 本当はこの子、荷馬車どころかナザリック第4階層の階層守護者であるガルガンチュアを丸呑みに出来るぐらいの荷物を仕舞えるんです。

 

 しかも収納されてるものにはデフォルトで《保存/プリザベイション》が掛かるみたいだから、死体も腐らず鮮度も抜群。

 

 更に言うなら分裂体同士で繋がっている為、上手く使役すれば人や荷物の長距離輸送も可能なんだ。

 

 ――そんな事実を馬鹿正直に話してしまえば、色々と問題になりそうなので誤魔化しておいた。

 

 

 討伐の証明部位である耳だけは回収し、残りは跡形もなく溶かしてしまったと漆黒の剣のメンバーには説明したが、実際は百数体分の小鬼(ゴブリン)人喰い大鬼(オーガ)の屍が丸々残っている。

 

 どうせアインズさんが後でアンデッド化するだろうし、このまま屍を野晒しにしたり破棄するよりも、再利用する方が、彼らの供養にもなるだろうと思ったからだ。

 

 

 ――目的を果たす為には必要な処置であった。

 ――多少の犠牲は致し方のないことだろう。

 

 

(……あれ?何かこの考え方って、凄くナザリック的な発想じゃないか?)  

 

 

 幾ら襲い掛かって来た魔物とは言え、人に近しい亜人種を一方的に虐殺したんだぞ。

 

 普通の人間ならば、この残酷な光景に良心を痛めたり、嫌悪感を抱いて気持ち悪くなったりするのではないだろうか。

 

 そんな事実に気付いた俺は、急に背筋がゾクリと寒くなった。

 

 

(……俺は、本当に俺のままだよな?)

 

 

 半ば無意識に、自らの掌をジッと眺める。

 

 ――自分という人間(イチグン)が、自分という存在(一ノ瀬 軍馬)を見失っているのではないかと恐怖心を抱いてしまったのだ。

 

 

「どうしましたかイチグンさん?」

 

「……いえ、何でもありませんよモモンさん」 

 

 

 そんな不安を誤魔化すように頭を振った俺は、仕事を終えてじゃれついてくるスライムを一撫ですると、野営の準備を始めたペテル達に合流して、夕餉(ゆうげ)の支度を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・

 

 

 

 

 

 夜の(とばり)を、焚火の炎が赤く彩る。

 

 ビルなどの人工的な灯りの一切存在しない異世界の夜は、想像以上に真っ暗で肌寒い。

 

 だからこそ冒険者や旅人達は、理由が無い限りは闇夜での行動を避ける。

 

 日が暮れると同時に焚火を囲い、休息する為の拠点を構え、暖をとって英気を養うのだ。

 

 

 アンデッドの種族特性故にそういった苦悩がないアインズさんも、元居た世界では絶対に出来ないようなアウトドア体験に興味津々といった様子。

 

 積極的に漆黒の剣のメンバーに話し掛けて、野営の準備を手伝っている。

 

 

 俺とニニャの役割は調理担当である。

 

 渡された食材を用いて自由に調理してくれて構わないとのことだったので、ルプーが近くの小川で捕獲して来た川魚や、ダインが森の入口で収穫してきた茸や山菜を用いて川魚のムニエルをつくる。

 

 

「……毎度のことながら思うけど、お前ってホント優秀だよなぁ」

 

 

 俺がそう呟きながら黒く瑞々しい体表を撫でると、暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)は誇らしげにポヨンと跳ねた。

 

 こんな調理の場ですら、暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)は八面六臂の活躍を魅せる。

 

 体内に保管していた調味料や調理器具を取り出し、調理台に変形して料理のサポート。

 蛇口に変形して体内に保有している無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)から綺麗な水を供給してくれる。

 

 調理の過程で生まれた生塵もパクリと呑み込んで跡形もなく消化。

 

 更に使い終わった調理器具なども体内で綺麗に洗浄してくれる為、片付ける手間が省けた。

 

 一家の台所に一匹ずつ欲しいスライムである。

 

 

「……いや、駄目だな。一家に一匹とか過剰供給すぎるわ」

 

『……?』

 

 

 俺の言葉に疑問を抱いたのか、首を傾げるように身を捩る暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)

 

 この愛らしい外見に騙されそうになるが、先程の虐殺劇ではルプー以上に魔物を狩り殺した実績を持つ凶悪なスライムだ。

 

 味方なら頼もしい魔物だが、敵に回せばこれほど恐ろしい魔物は居ないだろう。

 

 こんなスライムが他にも居るなんて状況は絶対に勘弁願いたいものだ。

 

 

「――よし、完成っと」

 

 

 そんなこんなで料理は完成し、仮設テントの設営も終わって野営の準備も整った。

 

 皆で焚火を囲いながらも、取り皿に調理された料理を配り、冒険者達の宴が始まる。

 

 どうやら俺のつくった川魚のムニエルに関しては、漆黒の剣やリィジー達は味わったことのない未知の料理のようで、見た目や香りを確かめながら、おっかなびっくりといった感じでフォークを握り、ほぐした魚の身を口に含んだ。

 

 

「「うっ、美味いっ!?」」

 

「ハハハッ、そう言って頂けると料理人冥利に尽きますよ」

 

 

 どうやら彼らにも、この味は受け入れて貰えたらしい。

 

 美味しそうに食べ始めた彼らの反応にホッと胸を撫でおろして、自分の木皿にニニャの作ったスープを自分の取り皿によそう。

 

 

「むぅ、美味であるっ!」

 

「えぇ、それに食べると活力が湧き上がってくるみたいですっ!」

 

 

 そりゃそうだろうとも。

 ナザリック地下大墳墓の料理長特製の調味料を使用しているからな。

 

 冒険者として旅立つ前に、料理長が必要になるだろうからと調理器具や調味料一式を用意してくれたのだ。

 

 調理に用いることで解毒効果や疲労回復効果を発揮するらしいので、冒険者にとってはポーション並に有難い代物である。

 

 

「ほぉ~、薬味一つでこうも川魚が味わい深くなるとはのう」

 

「この料理と比べるとニニャのスープは随分と見劣りしちまうなぁ~」

 

「……ルクルットはスープ無しで構いませんね。川の水でも飲んでください」

 

 

 ムスッとした表情でスープの入った木皿を取り上げるニニャに、そんな彼女に対して慌てて平謝りするルクルット。

 

 和気藹々とした食事会が続く中、遂に疑問を抱いたのかペテルが遠慮気味に呟いた。

 

 

「……えっと、イチグンさんとモモンさんは食べないんですか?」

 

「「……」」

 

 

 先程から仮面と兜を被ったまま、一切食事に手をつけない俺達を不思議そうに眺めるペテル。

 

 そんな彼の素朴な問いかけに対し、俺とアインズさんは思わず重苦しい雰囲気を纏い、身を強張らせてしまう。

 

 

『……遂に来ましたかアインズさん』

 

『……ええ、来てしまいましたねイチグンさん』

 

 

 冒険者として登録してしまった以上、決してこの問題は避けては通れない。

 

 互いに意を決して、仮面と兜を取り払って素顔を白日の下に晒した。

 

 

「――ふわっ!?」

 

「――なんと精悍な顔立ちッ!怪しげな仮面の下は想像以上に男前であるっ!?」

 

 

 ニニャの熱の篭った視線や、ダインの誉め言葉に俺の心は深く抉られた。

 

 そりゃ精悍でしょうとも。

 これは理想の姿をそのまま投影した、ゲームのアバターであるイチグンの姿。

 

 ナザリックの配下達に大不評であった、貧弱で貧相な本来の姿(一ノ瀬 軍馬)ではないのだから。

 

 

「……ハハハッ、有難うございます」

 

 

 言いようの無い悔しさや虚しさから、思わず言葉が上擦り、頬が引き攣ってしまう。

 

 そんな俺達の近くでは、まるで正反対なやり取りが行われていた。

 

 

「……えっと。想像してたよりも、随分と優しそうですねっ!」

 

「……普通の冴えないおっさんだな」

 

 

 兜を外したアインズさんを見て、微妙な表情を浮かべる二人。

 

 ペテルは何かを誤魔化すように声を張り上げ、ルクルットはどストレートに感想を述べた。

 

 

「――ぐっ!?」

 

 

 現実(リアル)の姿である鈴木悟を若干美化させて変身しただけに、冴えないおっさん呼ばわりされたアインズさんは、動揺を隠せぬまま胸を抑えてよろめく。

 

 精神安定化によって何とか心の平穏を取り戻した彼は、俺と同時に念話で叫んだ。

 

 

『『……だから仮面(兜)は取りたくなかったんだよッ!』』

 

 

 ――完全なるミスであった。

 

 冒険者登録する際に、俺はアバターであるイチグンの姿に変身し、アインズさんは現実世界の鈴木悟の姿を元に変身したのだが、そのせいで初手からそれぞれの心を抉られるという結果になった。

 

 俺はイチグンの姿を褒められる度に、本当の姿じゃないんだと惨めな気分になり。アインズさんは現実世界の姿を貶される度に、自分の容姿に自信が持てなくなって失望する。

 

 双方ともにトラウマを刺激され、精神的なダメージを受ける破目になるのだ。

 

 

(……いや、それだけで済むならまだ良い。問題はルプーだよ)

 

 

 周りから容姿を比較され、アインズさんの姿を小馬鹿にされる度に、彼女の怒りが蓄積されていくのだ。

 

 現にルプーのルクルットを見る目は冷ややかであり、隠し切れない嫌悪感が滲み出ている。

 

 

(……ハァ~、勘弁してくれよ)

 

 

 こういったことが何度か続いた為、このままでは対人関係で問題が起こると、俺達は互いに素顔を隠して活動することを決意したのだ。

 

 根本から変装した姿を変えれば良いだけの話なのだが、冒険者登録を行った際に変装した姿を冒険者組合に登録している。

 

 故に姿をコロコロと変える訳には行かず、この姿がデフォルトになってしまったのだ。

 

 

 ダインはう~んと顎髭を擦りながら、興味津々といった様子で尋ねてくる。 

 

 

「冒険者の中には戦闘で顔に手傷を負った者達も居るので、そう言った者達は鎧や仮面で顔を隠す場合もあるのである。

しかし見た所、イチグン殿にはそういった手傷は無いし、何故そのような奇妙な仮面で顔を隠すのだろうか?」

 

 

 至極全うな意見を語るダイン。

 それは予め想定していた問答でもあったので、サラリと答えることが出来た。

 

 

「この仮面は高価な魔道具で、かなり使い勝手が良いので愛用しているのですよ」

 

 

 紛れもない事実である。

 この仮面はアインズさんから渡された『黒の契約者』(ダーカーザンブラック)という聖遺物級(レリック)のアーティファクトだ。

 

 装備している者に〈闇視〉(ダーク・ヴィジョン)〈遠視〉(ロング・ヴィジョン)〈俯瞰視〉(ロケート・ヴィジョン)などの探索能力を付与してくれる優れものである。

 

 

 俺の異能とも相性が良いし、何より仮面で顔面を隠せるのが便利である。

 

 例えば他の冒険者達から何らかの理由で魔法を掛けて貰う時、俺は『R10:真理の魔眼』(エメス・ゲイザー)の効果により、相手の魔法の効果対象外になってしまうことが多々ある。

 

 素顔のままだと相手から露骨に視線を逸らしたりしないといけないが、仮面をつけていれば目を瞑るだけで対処出来るのだ。

 

 故に仮面をつけていた方が、精神面でも実用面でも何かと都合が良いのである。

 

 

「我ながら怪しい恰好であるのは理解しているのですが、利便性を重視して常に身に着けるようにしてるんですよ」

 

「成程、納得である」

 

 

 こうして仮面を装備する対外的な理由は、漆黒の剣に受け入れられた。

 

 説明を終えた俺は木皿に入ったスープを掬いとって口に含んだ。

 

 

「……うん、美味い」

 

「アハハッ、そう言って頂けるとお世辞でも嬉しいですよ」  

 

 

 少し自嘲気味に笑うニニャに、本心からの言葉であると告げる。

 

 確かに塩諄(しおくど)さが目立ち、ナザリックの洗練された食事と比べれば数段劣るかもしれないが、旅路で味わう食事としては上等な部類である。

 

 

 俺達はそういった問題とは無縁であるが、通常の冒険者は旅路の際に荷物をある程度選別しなければならない。

 

 人数分の食糧や水分の確保もそうだし、その他諸々の旅に必要な備品も用意する必要がある。

 

 更に装備やその装備をメンテナンスする道具なども加えると、荷物はかなり嵩張ってしまう。

 

 大量に荷物を用意すれば旅の足枷となるし、逆に少なすぎればいざという時に対応出来ない。

 

 ニニャはそれらのバランスを考えた上で、食料は腐り易く重量のある果実などのナマモノを極力避け。保存が利いて軽量な乾物や塩漬け肉などを用意しているのだ。

 

 恐らく料理が塩辛いのも、彼女なりの仲間への気遣いだろう。

 

 日中での長時間の運動は脱水症や熱中症に陥り易い。塩分と水分を同時に補給出来る消化に優しいスープは旅路には最適なのだ。

 

 そう語ると、漆黒の剣やリィジーは感心したように唸る。

 

 

「……そう言われれば、ニニャが食事番をするようになってから疲れが翌日に残らなくなったな」

 

「正しく縁の下の力持ちであるな」

 

「つーか良くそんなこと知ってたなニニャ」

 

「昔スレイン法国の書物を読む機会があって偶々知ったんです。

……というか塩分や水分が何故必要かなんて初めて知りましたよ」

 

「――随分と幅広い見識を持っておるんじゃなぁイチグン殿は。

その魔導国では、回復魔法や薬学に対する教育も行き届いておるのかぇ?」

 

 

 げっ、やらかした!?

 ニグンの知識で熱中症や脱水症など知識もあったから、この世界では割と常識なのかと思い込んでた。

 

 ニニャは一体何処でその知識を手に入れたのだと尋ねて来るし、リィジーはそんな知識の中に医薬品に関するものもあるのではと狡猾な話術で会話を誘導しようとする。

 

 これは不味いと思った俺は、哀愁漂わせながらポソリと呟いた。

 

 

「……色々ありましてね。つい最近まで一人旅をしていたものですから」

 

 

 そういうと彼らは、これ以上此方の過去を追求するような真似を止めてくれた。

 

 人には語れないような、暗い過去があるとでも思ってくれたのだろう。皆、バツが悪そうに俺から視線を逸らして顔を俯かせる。

 

 善意につけこむような卑劣な手段であるが、これ以上追求されるとドツボに嵌りそうなので許して欲しい。

 

 そんな此方の苦笑いを悪い意味合いとして捉えたのか、ニニャが慌てた様子で話題を変えた。

 

 

「た、確かにイチグンさんは調理も手慣れていましたからねッ!普段から料理をしてるんですか?」

 

「ここ最近はめっきり減りましたが、昔は毎日食事は自分でつくってましたね」

 

 

 長年一人暮らしをすれば、否応なしに家事スキルは高まる。

 

 割と凝り性なところもあったので、年々自分なりの拘りを持つようになり、会社の同僚からは『家政婦かっ!』とツッコまれたぐらいだ。

 

 

「尤もこういった野営での調理は久しくやっていなかったので、新鮮な気分でしたけどね」

 

「そうなんですか?」

 

 

 ニニャの言葉にコクリと静かに頷く。

 

 こういったアウトドアを最後に楽しんだのは、高校三年生の夏休みであった。

 

 一ノ瀬家では毎年夏になると近場のキャンプ場に出かけるという暗黙のルールがあった。

 

 父親は子供っぽくアグレッシブな人だったので、釣りや昆虫採取の為に山や川を連れ回された。

 

 母親は料理好きで田舎育ちだった為、釣った魚の捌き方や、食べられる山菜などを豆知識として教えてくれた。

 

 どれもこれもが懐かしく、楽しい思い出である。

 

 

 そう語ると、ニニャは表情を柔らかく綻ばせながら相槌を打つ。

 

 

「イチグンさんの御両親は素晴らしい方なんですね」

 

「――ええ、本当に素晴らしい両親()()()()

 

 

 だからこそ、そんな両親を二人同時に交通事故で失った時は、立ち直れない程に辛かった。

 

 立ち直る切っ掛けを作ってくれた友人や彼女が、実は詐欺師で両親の遺産を騙し取る為に俺に近づいただけだと知った時は、世の中の全てが信じられなくなった。

 

 現実世界(リアル)ではなく、仮想世界(ゲーム)に救いを求めたのも、現実が非情であることを知ったからだ。

 

 そんな唯一の居場所すら、俺は守り抜くことが出来ずにギルドの仲間達から見捨てられた。

 

 そして積み上げた思い出の全てが、たった一日で跡形もなく消え去ってしまったのだ。

 

 ――目の前で両親を失ってしまった、あの時のように。

 

 

「――――」

 

 

 ポタリポタリと頬を伝って零れ落ちた雫が地面を濡らす。

 

 もう過去の出来事であると割り切っていたはずなのに、心の奥底に沈澱していた淀みが思い出と共に浮かび上がる。

 

 心がグシャグシャに掻き乱され、抑えきれなくなった感情が涙となって溢れ出したのだ。

 

 

「ご、ごめんなさいっ!配慮が足りませんでしたっ!」

 

 

 ニニャが慌てた様子で頭を下げるが、彼女は何も悪くないし、謝る必要など何処にもない。

 

 そう言って場を治めたいのに、口が上手く回らなかった。

 

 

 そんな状況の中、ソッと俺の涙を拭い取ってくれる存在が居た。

 

 膝の上に抱きかかえていた暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)が、器用に触腕を動かして俺の目元を拭いつつ、頭の中に直接語りかける。

 

 

 ――消えてない。

 ――仲間居る。

 

 

 そう強く訴えながら、自分の存在をアピールし、アインズさんやルプーを指し示した。

 

 

(……ハハハッ、確かにその通りだ)

 

 

 こうして嘗ての眷属を従え冒険に赴き。面子こそ違えど、掛け替えのない親友や仲間も居るのだから。

 

 そんな大事な事実を教えてくれた眷属を、感謝の気持ちを込めながら撫でる。

 

 

(……ある意味、一番俺の心情を理解してくれる存在だもんなコイツは) 

 

 

 色んな意味で頼りになるパートナーだ。

 

 いつまでも種族名である暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)やコイツじゃ可哀想だし、何れ相応しい名前をつけてやらないとなぁ。

 

 そんなことを考えながら、ペコペコと頭を下げ続けるニニャを諫めていると、ムードメーカーであるルクルットが、陽気な雰囲気で話し掛けて来る。

 

 

「はいはい、もうこの話は終わり終わり。

ニニャもそうやってペコペコしてたら、猶更場が醒めるし料理も冷めちまうだろーが」

 

「……あぅ」

 

 

 そういってペシッとニニャの後頭部を軽く叩いたルクルットは、黙って事の成り行きを見守っていたアインズさんに話し掛ける。

 

 

「モモンさんも早く食わねぇと、折角の美味い料理が冷めちまうぞ?

何なら俺がその手付かずの川魚を胃袋に収める作業を請け負ってもいいぜ?」

 

 

 そういってニンマリと笑いながら、空になった木皿を差し出すルクルット。

 

 彼としては場を和ませる冗談のつもりだったのだろうが、アインズさんの答えは違った。

 

 

「ハハハッ、もし宜しければどうぞ」

 

「……え゛っ、マジでくれるんだ」

 

 

 笑いながら空っぽの木皿と自分の皿を交換するアインズさん。

 

 その反応に驚きながらも、深く追求するつもりはないのかルクルットはムニエルに齧り付いた。

 

 

「あぁ、ズルいっす!?私もお替りが欲しいっすッ!」

 

「一人一匹ずつしか用意してないっての」

 

 

 そう言いながらルプーの持っていた空の器に、自分のムニエルを移してやると、感謝の言葉と共にがっつくルプー。

 

 腹を空かせた野良犬を餌付けしている気分になり、少しだけ荒んだ心が和んだ。

 

 

「……しかし、モモン殿はあれだけの激しい戦闘を熟して、それっぽっちの食糧で事足りるのであるか?」

 

「元々食が細いので、十分に足りますよ」

 

 

 そういってアインズさんは、控え目に盛られたスープを口に含んで、硬い黒パンを噛み千切る。

 

 モグモグと咀嚼する素振りを見せながら、食事の感想を口にする。

 

 

「このパンは塩気が利いて美味いですね」

 

「えっ?黒糖を練り込んだパンなので甘いと思いますけど……」

 

「んんっ!?……言い間違えました。スープの塩気と程よい甘さが実に良いですね」

 

「ハハハッ、塩分も大事ですけど、甘味も大事ですからね」

 

 

 ペテルの反応にシドロモドロになりながらも、美味い美味いと大袈裟に食事を平らげるアインズさん。

 

 そんな彼の姿を見ていると、非常に居た堪れない気分になる。

 

 ――何せ彼は食事を口に含んだだけで、一切食べていないのだから。

 

 

(……『変装の腕輪・極』を使えば、飲食は可能になると思ったんだけどなぁ)

 

 

 あのアイテムは大まかなイメージだけで、物体の構造を再現してくれる。

 

 つまり人間に化ければ、消化器官なども再現される為、飲食可能になるはずだと踏んでいたのだが、それは半分失敗に終わってしまった。

 

 確かに問題なく飲食は出来た。しかし、アインズさんの骸骨の身体に備わっていない感覚までは再現することが出来なかったのだ。

 

 

 つまり味覚がないのである。

 

 幾ら不味くても幾ら美味しくても、彼にとっては等しく無味。冷たくない氷を食べ続けるような苦行になるのだ。

 

 そんな状態では、満足に食事を楽しむことなど出来る訳がない。

 

 故に現在は触れることの出来る幻術を展開した上で、口元に暗黒魔粘体(ダークネス・スライム)の分裂体を潜ませ、口に含んだ食糧を回収するという手法で食事の時間を乗り切っているのだ。

 

 

『……すみませんアインズさん。何とか食事を味わえるようにパンドラと人化の指輪の改良を進めてますから、もうちょっとだけ我慢して下さいね』

 

『ハハハッ、気長に待ちますよ。でもこれはこれで案外便利なんですよ?

リアルだと嫌でも糞不味い栄養食を無理矢理食べるしかありませんでしたからね』

 

 

 食事を味わえぬことを然して気にするでもなく、暢気に語るアインズさん。

 

 俺の居た世界と彼の居た世界では、食事情がまるで違うのは判っていたが、彼がこの状態を受け入れてしまっているのは宜しくない。

 

 食事とは生命維持に必要な行為であり、人が人として生きる為に欠かせぬ要素だからだ。

 

 それを不要と切り捨ててしまえば、彼はますます異形種としての肉体に精神が引っ張られ、人間味を失ってしまうだろう。

 

 

(……この問題は早めに解決しないとな)

 

 

 俺はそんな懸念を抱きながらも、漆黒の剣の面々との交流を深めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冒険者達の宴は続く。

 

 

 夜の闇を照らす焚火の炎の中で、漆黒の剣の面々はモモン達に『漆黒の剣』というチーム結成に至るまでの過去を語った。

 

 始まりはペテルだった。

 田舎の農村で生まれた彼は、冒険者に憧れを抱いて碌な準備もせずに裸一貫で飛び出した。

 

 そんな彼は、現実と理想のギャップに苦しみながらも鉄級冒険者となり、魔物討伐などにより剣の腕前を磨いていった。

 

 武技〈斬撃〉や〈要塞〉も、数々の修羅場を潜り抜けて身に着けた技術である。

 

 

 ソロでの冒険に限界を感じたペテルは、同じ階級の冒険者達と即席のチームを組むことが多くなり、そんな際にルクルットと出会った。

 

 生真面目なペテルと不真面目なルクルットは、当初は互いに反りが合わないと思っていたのだが、チームを組んで活動してみれば思った以上に馬が合った。

 

 生真面目故に騙されやすいペテルを、貧民街で育って荒事に慣れたルクルットが上手く対処し。逆に大雑把な性格や刹那的な行動でミスをするルクルットを、生真面目で人当たりの良いペテルがカバー。

 

 気が付けば二人肩を並べて行動することが増えていった。

 

 

 その頃の二人は冒険者という職業に、凶悪な魔物を打ち倒す英雄のような憧憬を強く抱いており、強さを追い求め魔物討伐などの危険な依頼ばかりを積極的に熟していた。

 

 そんな二人に対して忠告したのが、森司祭として他のチームで活躍していたダインである。

 

 彼は頻繁に怪我をする二人を回復魔法で癒しながらも、腕っぷしだけが冒険者ではないと説いて、知識を蓄えることの重要性を教えた。

 

 ダインの忠告を素直に受け入れて、採取依頼などを請け負うようになり、冒険者として出来ることの幅を広げたペテル達。

 

 そんな彼らの姿にダインは好感を抱いた。

 元々彼が所属していたチームのリーダーは、ダインの忠告を妄言と切り捨て、口答えばかりする疎ましい存在だと排斥していたからだ。

 

 丁度良い機会であると所属しているチームを脱退し、ペテル・ルクルット・ダインの三人はチームとして活動するようになった。

 

 

 リーダーとしての頭角を現したペテルの下、彼らは鉄級冒険者から銀級冒険者へと昇格する。

 

 しかしチームとして活動する上で、彼らには戦闘での決定力が欠けているという問題点も浮き彫りになった。

 

 つまり瞬間的に高火力を叩き出すことの出来る魔法詠唱者が居なかったのだ。

 

 

 そんな時にペテルが目を付けたのが、同じ銀級冒険者としてソロで活躍していたニニャであった。

 

 年若いながらも才能豊かな魔法詠唱者として注目されていたニニャであったが、何処のチームにも所属しないフリーの冒険者であった。

 

 当時のニニャは貴族に妾として攫われて以来、行方不明となった姉のツアレを探すことに執着していた為、チームを組むことで自らの行動範囲が狭まることを懸念していたのだ。

 

 しかし、一人で姉を探しながら冒険者として活動する事にも限界を感じていた為。自らの事情を仲良くなったペテルに相談してみたのだ。

 

 ニニャの壮絶な過去を知ったペテルは、同情しながらも提案する。

 

 姉探しに全面的に協力するから、魔法詠唱者として自分達の冒険を手助けしてくれないかと。

 

 

 こうして欠けていたピースが揃い、銀級冒険者チームである『漆黒の剣』が誕生したのだ。

 

 

「……」

 

 

 そんな彼らの話を聞いて、モモンは自らが仲間達と積み上げた冒険の数々を脳裏に思い浮かべる。

 

 たっち・みーから始まった最初の9人。

 ナインズ・オウン・ゴールから始まった異形種救済を掲げたクラン時代の快進撃。

 

 それらは大きなうねりとなり、ユグドラシルに数々の変化や話題を齎し、1500人のプレイヤーをたった数十人で撃退したナザリック大侵攻は不変の伝説となった。

 

 アインズ・ウール・ゴウン。

 

 彼の輝かしい思い出の詰まった、掛け替えのない居場所である。

 

 

(……そう、大切な仲間達だ。今でもそれは何一つとして変わらない)

 

 

 そんな感傷に浸りながらも、モモンは自らの変化を痛感していた。

 

 嘗ては、そんな仲間達の事を思い出す度に言いようの無い虚無感を味わい、胸が絞めつけられるように痛くなった。

 

 しかし今では、そんな仲間達を思い出す度に懐かしさや楽しい思い出が蘇り、心が満たされて穏やかになる。

 

 

 何故そんな風に心情が変化してしまったのだろうか。

 モモンは自分自身でもその理由が判らなかったが、漆黒の剣との会話を重ねる内にそんな疑問は氷解した。

 

 

「そういえばモモンさんは、イチグンさんと出会うまでは違うチームを率いてたんだっけ?」

 

「ええ、冒険者とは少し違いますが、様々な世界を歩き回って未知の発見を楽しみました――本当に、個性豊かで魅力的で。私には勿体ないぐらいの素晴らしい仲間達でしたよ。

転移事故に巻き込まれて離れ離れとなってしまいましたが、何時か必ず再会するつもりですよ」

 

「アハハッ、凄く大切な仲間達なんですね。

今のイチグンさんやモモンさんのような関係を築いていたのが容易に想像出来ますよ」

 

 

 そんなニニャの何気ない一言に、モモンは判らなかった答えに辿り着く。

 

 

(……そうか、俺はもう一人じゃないからだ)

 

 

 ユグドラシル時代の孤独な地下大墳墓を守る、死の支配者モモンガではない。

 

 自分を理解してくれる親友がおり、仲間達と共に築き上げたナザリックという居場所があり、仲間達の面影を残した配下達が冒険を手助けしてくれている。

 

 そんな事実に改めて気付かされたモモンは、心の底から笑って恩人に礼を言う。

 

 

「ありがとうございますニニャさん。貴方の言葉で大切なことに気付けましたよ」

 

「……えっと、どういたしまして?」

 

 

 首を傾げながらキョトンと呆けるニニャに対し、モモンは苦笑いする。

 

 盲目的に仲間を追い求め、過去の栄光に縋りついていた孤独の亡者はもう居ない。

 

 彼はこれからも仲間に固執するだろうが、今という未知を親友と共に楽しむことが出来る余裕を取り戻すことが出来たのだ。

 

 

 そんな風に己の過去と向き合うことの出来たアインズであったが、未だに過去の自分に囚われたまま進むことの出来ない者も居た。

 

 

(……やはり彼らは俺とは違う)

 

 

 そんな思いを抱きながら、暗い感情でペテルとモモンのやりとりを眺めるイチグン。

 

 嘗てリーダーとしての体験した苦労話を語り合う二人であったが、そこに勝手な行動をした仲間達への愚痴こそ混ざるものの、彼らは仲間を心の底から信頼して、チームを乱すことなく調和を保ち導いていた。

 

 

 イチグンは目を暗く淀ませながら、ギルド長としてチームを率いていた過去を思い出す。

 

 彼の管理していたギルドでは、嘗て仲間同士の対人トラブルによる揉め事が発生し内部分裂が起こった。

 

 そんな問題を治める為に、彼はギルド長として問題の原因となったギルメンに、それ相応の対処をするしかなかった。

 

 結果として、その問題を起こしたギルメンは自主脱退という形でギルドを去っていった。

 

 

 そんな結果を歯痒く思いながらも、イチグンはギルドの人間関係修復に尽力したのだが、その事件をきっかけに様々な問題が誘発して起こり。一人、また一人と穴の開いたバケツから水が零れ落ちるように所属していたメンバーが去っていった。

 

 最後まで尽力してくれた副ギルドマスターも、リアルの諸事情から引退し。そんな副ギルドマスターから、サービス終了間際に言われた言葉が、未だに鋭い棘となって彼の心を蝕んでいた。

 

 

『そんな下らないゲーム如きに時間を割くかよ。大体お前の管理不足のせいでギルドが崩壊したんだろうが。仲間を見捨てたのは他でもないお前自身だぜ』 

 

 

 その言葉に反論の言葉は出なかった。

 

 紛うことなき真実であり、自らの至らなさが引き起こした結果であるからだ。

 

 

 だからこそ彼は、()()()()()を最後まで信じ切ることの出来なかった己の愚かさを呪った。

 

 ギルド長としての役割を果たし、最後まで仲間や配下を見捨てずにナザリックを維持していたアインズとは根本的に違う。

 

 誰一人として居なくなったギルド拠点は、当然の結果であると受け入れるしかなかったのだ。

 

 

 冒険者として本格的に活動を始める前に、アインズはイチグンにリーダーとしてチームを率いてみないかと提案したが、イチグンはそんな提案を即座に断った。

 

 自分のようなものがチームやギルドを率いるのは、分不相応であると思ったからだ。

 

 アルベドから命を狙われているにも関わらず、イチグンが彼女を排斥しようとしないのは、嘗ての最悪の結末を避けたかったから。自分が切っ掛けとなりナザリックに不和を招きたくなかったからである。

 

 ……いや、もしかしたらそんな尤もらしい理由すら、彼の本心を隠した言い訳なのかもしれない。

 

 彼はもう一度やり直したかったのだ。

 誰一人として仲間を見捨てることのないギルド長として、選べなかった最善の結果を掴み取ろうとしているのだ。

 

 

 彼の異常とも言うべき寛容さは、歪な過去の経験が齎した呪縛である。

 

 そんなイチグンの心の悲鳴に、隣で笑うアインズは一切気付くことが出来なかった。

 

 

 ――何れそんなすれ違いが、取返しのつかない悲劇の引き金になるとも知らずに。

 

 

 そんな大きなしこりを残しながらも、冒険者の宴は御開きとなった。

 

 

 




一ノ瀬軍馬の過去やギルドで起こった出来事もサラリと記載。

実はこの回の話は全部本編で繋がる重要な伏線だったりします。


 

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