雷帝と人理を救います   作:ばんちゃん
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第4話

 

 

 

『所長!その反応は、サーヴァントです!!』

 

ドクターの焦った声が私たちに届く。

それは、確かに現実を示していた。

 

「そんな…どうして!?」

 

「マリーちゃん、今はそれを考えてる場合じゃないよ!まずはあの人をなんとかしないと!」

 

そうだ、銀ちゃんの言う通りだ。

私は恐怖を呑み込んで銀ちゃんに言葉をかける。

 

「銀ちゃん、勝てる?」

 

「うん。ちょっと嫌な感じがするけど、勝てるよ。心配はいらない。」

 

「わかった。銀ちゃん、頑張ってね。」

 

私は出来る限りの笑顔を浮かべて銀ちゃんにお願いする。

すると、銀ちゃんは今まで以上ににこやかな笑顔を見せた。

 

「任せて!オレに勝てるのはそうそういないよ!」

 

そう言った銀ちゃんは、そのまま影のような人との戦闘体制に入る。

私に出来るのは、銀ちゃんの頑張りを見届けることだけ。

平凡な私に、所長クラスの魔術は使えないし、マシュみたいに戦えない。

今だってマシュに守ってもらわないとまともに戦いを見ることすらできない。

でも、それでも、私たちのために戦う銀ちゃんを置いてここから離れるなんてことは出来なかった。

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 

「人間のくせにやりますね。」

 

銀ちゃんの攻撃をのらりくらりとかわしながら影の人は呟いた。

 

「お姉さん、そこそこ強いけど、その程度の速さじゃオレは捉えられないよ。」

 

「まだ一度も私に攻撃を当てていないのに、何を言っているのでしょうか。」

 

事実そうだった。

銀ちゃんは、影の人からの攻撃を全てギリギリの間合いで見切ったようにかわしていた。

だけどそれは相手も同じで、銀ちゃんの攻撃もまた、影の人には当たっていない。

 

「準備運動って大事だよね。」

 

銀ちゃんは影の人がどんな動きをしても対処できるように構え直した。

 

「銀ちゃん?」

 

その次の瞬間だった。

私には時が止まっていたんじゃないかと錯覚するくらい、まさに文字通り一瞬で影の人が地に倒れたのだから。

 

「うん、感覚も戻った。」

 

影の人の横には手を握っては開いてを繰り返す銀ちゃんの姿がある。

銀ちゃんが一瞬で倒したというのは明確だった。

 

「くっ…貴方…何者ですか…?」

 

影の人は息も絶え絶えに、呟くようにそう言った。

 

「無限城の雷帝。そう呼ばれてるよ。」

 

「無限城……ふっ、まさか貴方のような存在が召喚されるとは…。」

 

影の人は銀ちゃんを知ってるかのようなことを呟いた。

だから私は、影の人に何を知っているのかを聞こうと口を開いたけど、言葉が発せられる事はなかった。

 

だって、影の人がその目を覆っていた目隠しを外したのだから…

 

 

 

 

 

「貴方はここで私とともに消えてもらいます!」

 

 

 

 

 

倒れていた影の人は、見開いたその両の眼で銀ちゃんを捉えた。

その直後だ、銀ちゃんの身体に異変が起きた。

 

 

「なっ!?オレの身体が!?」

 

 

銀ちゃんは自分の身体を見下ろしながら、でも動くことができなかった。

何故なら…

 

銀ちゃんの身体が、石化して行っていたからだ。

 

 

『まさか!彼女はメドゥーサだとでも言うのか!?』

 

ドクターからそんな通信が走る。

流石の私でもメドゥーサは知っている。

ゴルゴン三姉妹の末っ子の女神であり、蛇の化け物。

その両の眼で捉えた対処を石化させる魔眼を所持している。

魔術になに1つ詳しくない私ですら知ってるくらい有名な人(?)だ。

 

「まず…い!」

 

銀ちゃんは必死に抵抗するけど、石化の進行は止まらない。

 

「銀ちゃん!!」

 

「来るな!来ちゃダメだ。これはオレがなんとかするから、みんなは逃げてくれ!」

 

「そんなのできないよ!」

 

銀ちゃんはあんな状況だと言うのに、私たちに向けて笑顔を向けている。

 

「大丈夫。信じて!」

 

銀ちゃんは完全に石化する直前にそう私たちにその言葉を伝えてくれた。

 

「うん!マシュ、逃げるよ!所長も!!」

 

未だにサーヴァントが現れたショックで呆然としている所長の手を引き、私たちはあの影の人から離れていく。

なんだかんだいって銀ちゃんにあれだけされたからだろう、すぐには動かないようで影の人は身体を休めている。

でも、ある程度回復したらすぐに追いかけて来るだろう、それまでに私たちはあの影の人から逃げ切らなければならない。

 

「ドクター!何処か安全な場所は!?」

 

『待って!今検索してる!!あった!そのまままっすぐ行けば大きな屋敷がある、そこならすぐにはバレないはずだよ』

 

私たちはドクターの指示通りに、指定された屋敷を目指して全力で走り抜けたのだった。

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 

「………。」

 

休んだことで体力を回復したメドゥーサはその場で立ち上がり、完全に石化したその男を見る。

 

「運が悪かった、と言うことです。」

 

誰にも届くことない言葉を彼女は呟いて、その石像から視線を外した。

 

「ああ、そうだな。お前は運が悪かった」

 

その声は聞こえるはずのない男の声。

 

「な、何故!?」

 

「言っただろう、俺は無限城の雷帝だと。」

 

そこに立っていたのは、先程メドゥーサがその眼で石化させた男、天野銀次だった。

だが、その様子がおかしい。

 

「成る程、それが真の姿、ですか。『裁定者(ルーラー)』。」

 

「お前が知る必要はない。」

 

彼に、先程まであった柔らかな笑顔はもうない。

あるのは、ただ目の前の敵を排除することだけを考えている男の眼だった。

 

 

 

 

 








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