ハイスクールD×Ω   作:tubaki7

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episode13

 

「う~ん・・・・」

 

 

休日の昼下がり、ショッピングモールにてショーウィンドウの前で唸るのは黒髪の、右腕にシュシュを巻いたワンピース姿の天野夕麻ことレイナーレだ。立っているのはファッションショップの前、華麗に着飾ったマネキンを、正確にはその下にある値段を見て唸っている。眉間に皺をよせ、難しい顔をしているところに、店のドアが開いて中から店員が出てくる。

 

 

「よろしかったら試着してみますか?」

 

「え…あ、いや私は――――」

 

 

断ろうかと言うとき、ポケットの中が震えた。夕麻はそれに助かったと内心息をついて店員に断りを入れて携帯をポケットから取り出しディスプレイの表示を見る。――――聖一からだ。

 

 

「もしもし」

 

《レイナーレさん、今どこ!?》

 

 

息が荒い。伝わる雰囲気からして走っているようでなにやら緊迫した雰囲気も感じる。

 

 

「今近所の洋服屋の前だけど」

 

《よかった!一誠、ビンゴだよっ》

 

《でかいぜレイナーレ!》

 

《こういう時くらいボケるのやめようよ!》

 

 

こんな時までなにやってんだあの男は・・・・とため息をつくと同時にどうしてこんな焦っているのかを訊こうとするも電話の向こうはそれどころじゃなさそうな状況で仕方なく推測で物事を判断することに。

 

情報一、二人は走っている。結構長い間らしく普通の人間ならばバテていることだろう。ということは、何かに追われているか・・・・いや、その可能性は低い。アギトである聖一がいる時点でその可能性は排除される。慢心や買い被りすぎかもしれないが、存在自体が大きな意味をもつアギトはそれだけでかなりの抵抗となる為狙われているという線はない。

 

情報二、焦っている。物理的なものに追われていると言うのは先ほどの仮定で消えた。となれば、時間的な形のないもの。だが自分の居場所を訊いてきたということは二人が目指している、あるいはそれ以外の“何かしら”に自分が関わっているということ。

 

情報三、ビンゴ、という聖一の言葉。電話が既に切れているためそれを言ったかどうかは確認できないものの、たしかにビンゴと言った。ということは、向こうの目的とする場所がここであり、自分であるということ。

 

 以上の事柄から、レイナーレは推測する。二人がいまどういう状況におかれているのかを。

 

 

「いた!見つけた!」

 

 

一誠と聖一が此方に走ってくる。その前に・・・・何かいる・・・・?

 

 

黒い陰が此方に向かってくる。しかもかなりの速さで普通の人間には見えていないようだ。二人にしか見えず、尚且つこの速さ。普通の動物のそれではない。

 

 

「だったら――――」

 

 

向かってくる、動きは変則的だが目で追えないほどの動きじゃないし何より・・・・アギト程じゃない!

 

 

聖一と相対した時の恐怖心から比べれば、この程度どうということはない。レイナーレは臆することなく向かってくるそれに回し蹴りで対応し、見事にとらえる。感覚からして骨の一本くらいは折った気もするが、何事もなかったかのようにそれは体勢を立て直し走り去っていった。そのあと遅れて二人がやってきた。汗だくで春先だというのに夏のような様で膝に手を置き肩で息をする。

 

 

「はあ、はあ・・・・クソっ、また見失った・・・・!」

 

 

一体何を追いかけているのか。そう訊こうとした時、聖一の顔が上がり此方を見上げてくる。汗で濡れた躰に、頬に張り付いた髪の毛と上気した頬、潤んだ瞳が自分を映し出しているのを見て。

 

 不覚にも、かわいいと思ってしまった。

 

 

「レイナーレさん、大丈夫…?怪我、ない・・・・?」

 

「だ、大丈夫よ・・・・それよりも何今の?」

 

 

そっぽを向いて照れを隠しながらレイナーレは訊う。どうして此奴はこうも・・・・!

 

 

「ああ、あれ?グレムリンっていう逸れ悪魔だしいよ」

 

「グレムリン?ってたしか・・・・」

 

「うん。本来であれば上級悪魔なんだけど、この土地に古くから住みついてるらしくって結構このあたりのお寺の伝承にも出てきてるんだ」

 

「最近悪戯するようになって被害もでてるんだよ。で、グレムリンをなんとかする為にオカ研総動員で探してたってわけ。やっと見つけたと思ったんだけど・・・・」

 

 

取り逃がした、ということらしい。それにしてもこんな真昼間から悪魔が活動しているとはなんとも珍しいなと思いつつ頭の中の情報を整理する。

 

二人の説明にもあるとおり、グレムリンというものは本来上級悪魔に値し、その姿はめったに目撃されたことがない。悪戯好きで昔の戦争においても敵味方問わず場を引っ掻き回していたというきじつが多々存在する。見かけは猫のようで愛くるしいものの、その性質はまさに“悪魔らしい”。

 

 

「だいたいわかったわ。で、そのグレムリンによる被害っていうのは?」

 

「それが・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何よコレ。まるで猿じゃない」

 

 

朱乃から渡された被害報告を見てレイナーレは呟く。あがっているのは八百屋での盗難やひったくり、そして今回のファッションショップ襲撃未遂。どれもかれもやっていることは猿か、もしくは節操なしの泥棒のそれだ。こんな奴が上級悪魔なのかと思うと目も当てられない。

 

 

「悪魔も千差万別ね。で、此奴をとっ捕まえればいいの?」

 

「ええ。でも速さは彼方の経験したとおりよ。動きはすばしっこいし、見かけもこんなだから中々見つからない。おまけに魔力もそれなりにあるから手ごわくって」

 

 

リアスには珍しくお手上げのようでもう打つ手がないと両手をあげる。だがかといってこのまま放っておいたら被害は増えるばかりでもしかしたら関係のない人間を襲うこともあり得るかもしれない。そうなってからでは遅いと動いているのだが活動時間に制限がない為昼でも夜でもお構いなし。最近聖一の帰りが遅かったり極端に疲れていたりしたのはこれが原因かと納得がいったのと同時にため息をつく。

 

 

水臭い。言葉にせず呟いた。

 

 

「アタシも参加するわ」

 

 

レイナーレの言葉に全員が意外そうな顔をする。

 

 

「彼には助けてもらったり衣食住を提供してもらった仮がある。ちょうどなにかお返しを、なんて考えてたところだし・・・・」

 

 

そこで黙り、顔をわずかに赤くしてそっぽを向く。

 

 

「・・・・この部にも、入りたかったから・・・・・」

 

 

誰に聴こえただろうかも怪しいその声はレイナーレの本心。それを知ってか知らずかリアスは笑みを浮かべ、

 

 

「入部を許可します。さて、それじゃあもうひと踏ん張りしましょ。夜までにケリをつけないと」

 

「ですね。それじゃ、もう一度行きましょうか。聖一君、行こう」

 

「うん。レイナーレさんは僕と裕斗君と。一誠は小猫ちゃんとアーシアでいいよね」

 

「ああ。なにかわかったらすぐ連絡、だな」

 

 

出て行くオカ研メンバー。その後ろ姿を見送ったリアスはなんだか嬉しそうに頬を綻ばせた。それをわき見で見ていた朱乃が呟く。

 

 

「・・・・にぎやかになりましたわね。ここも」

 

「ええ。以前は私とあなたと聖一しかいなかったものね」

 

「これからもっと賑やかになりますよ。きっと」

 

「そうね・・・・さ、私達もできる限りのことをしましょう」

 

「はい、部長」




今回のこのグレムリンという逸れ悪魔のお話。実はとある作品のお話をオマージュしています。涙腺崩壊なアレですが、作者が文章力ど構成力が壊滅的なためあまり期待はせずにいてください

では、次は例によって補足


・キャラクターたちが暮す街には古くからグレムリンが住んでいた

・逸れ悪魔であるグレムリンは躰は猫のようで額に角がある。猫と称されているがキツネに近い

・毛色は緑。某カードゲームのグレムリンをめっさかわいくした感じ

・某特撮番組のオマージュ


この話はほぼレイナーレがメインです。戦闘はあるかどうかはわかりませんが、あるといいなと思ってます。ではみなさんまた次回
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