ハイスクールD×Ω   作:tubaki7

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episode14

 

――――もうすぐだ

 

 

 

 

 

――――もうすぐで会える

 

 

 

 

 

――――もうすぐで、彼方に会える

 

 

 

 

 

――――もうすぐで、あなたの全てを取り戻せる

 

 

 

 

 

――――だから、邪魔する者たちを消し去ってやる

 

 

 

 

――――すべては、彼方の為に・・・・・

 

 

 

 

 

 

でも―――――

 

 

 

 

 

 

「彼方の為・・・・ダレダッケ・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで4軒目・・・・さすがにキビシイかな」

 

 

メモ帳に赤ペンでバッテンをくれながら聖一は傾いてきた太陽を見て呟く。疲労と苛立ちで段々と根気がすり減ってきたのを感じながらそれを吐き出すようにため息をつく。グレムリンは一向に見つからずその足取りも掴めない現状はオカ研メンバーにとってはかなり過酷だった。

 

 

「全員でこれだけ探してもどこにもいないどころか手がかり一つないなんて…」

 

 

小猫がイヤそうにため息をつく。これだけ探し回って何一つないのだ、ため息だってつかなければやていけないとフォローを入れる裕斗でもその顔には疲労の色が見える。正直もうそっとしておきたいというのが本音だがこれはリアスの決定したこと。眷属であり彼女の駒である自分たちがそれに背いては彼女の面子に泥を塗るのも同じ。せめて何かひとつでも手がかりがあればと合流したメンバーとともに街を歩き回る。休日だというのに、この仕打ちはナイと一誠でさえぼやき始めた。ついには「せめて巨乳のおねーさんを追いかけるってないようなら」とぶっ壊れ始めた彼を聖一はツッコミを入れる元気もなく乾いた苦笑いでブレない幼馴染に返す。

 

 ふと、レイナーレが何か思いついたように立ち止まる。

 

 

「アタシが襲われたのはファッションショップの前、その前は雑貨屋だった・・・・」

 

「ああ、たしかな。しかも女物だなんて、あいつメスなのかな?」

 

「いや、あれはオスだよ。その特徴として額の角がメスより鋭利なんだ」

 

「ってことはやっぱり今回の騒動はオスなんだね」

 

 

ファッションショップ、女物の雑貨屋、性別がオス・・・・。レイナーレの中でいくつもの点が線となって繋がっていく。そして――――

 

 

「もしかして、あのグレムリン・・・・」

 

「そうかしたの?」

 

「・・・・聖一、手伝って」

 

 

急に聖一の手を引いて駆けだすレイナーレ。それに一誠達も慌てて追いかけようとするが、

 

 

「リアス・グレモリーに伝えなさい!“この街の一番古くから住んでいる上級悪魔について調べなさい”って!」

 

「それってどういうこと!?」

 

「いいから!夜までにしないと色々面倒なことになるわよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。星が輝き、その輝きをさらに明るくし、地上に散りばめたような明かりを放つ街。それを小高くなった丘から見下ろす影がある。

 

 

「この街もずいぶんと変わったわね。50年前まではこの街もあなたの好きな景色だったでしょうに」

 

 

そして、少女は確信に至る。これまで地道に調べ上げ推理した結果は彼女の思った通りにこの場に揃う。

 

 

「盗まれたのは全て女性もの。何故オスのあなたがそんなものまで集めるのか・・・・理由はただ一つ。50年前に亡くなったあなたの主、上級悪魔であるマモリア。この街では随分と大きな勢力を担っていた昔の眷属の一員があなただった。そうよねグレムリン」

 

 

レイナーレの言葉にグレムリンは振り返らず意識と言葉のみをこちらに向けてくる。

 

 

 

「・・・・この街はあの人が愛した街だ。あの時も、そして今も。これからもそれは変わらない」

 

「でも変わらないものなんてないのよ。悲しいことにね。時が経てばそれに合わせて人も街も変わっていく。それは私達も例外じゃないのよ」

 

 

時が季節を変えるように、人もまた変わっていく。悪魔であろうと堕天使であろうと、それは変わらないのがこの世界の神でも覆せない絶対的な理の一つだ。それに抗うのであれば、それこそ神をも殺すしかないだろう。まあ、それでも変わるかどうかなんてわからないが。

 

それでもレイナーレは知っている。過去にとらわれ、今を見つめることを恐れる彼の背中がそれをレイナーレに教えていた。

 

 

「・・・・ならば、作りかえればいい」

 

 

そう言って、グレムリンは胸の前で手を翳す。ニヤリと口角を歪め手の中で魔力が収束していくのを見てレイナーレは身動き一つすることなく見つめる。

 

 

「あの方が愛したこの街をつくりかえる。そうすればきっと帰ってきてくれる!そしたらまた僕を褒めてくれる!撫でてくれる!」

 

 

「・・・・そうね。私もこの街が嫌い“だったわ”。でもね――――そんな嫌いな街でも、心の底から愛している人たちもいるのよ。今のあなたと同じようにね」

 

 

その呟きが来おけるわけもなくグレムリンの火球は街むけて放たれる。が、建物を粉々に吹き飛ばすかのように見えたそれは見えない何かにより妨害され、消えた。余波で大規模な停電が起こり明かりが消えるも、建物自体には被害はない。驚愕するグレムリンにレイナーレとは別の声が聞こえた。

 

 

「さすが姫島先輩の結界だ。このくらいならビクともしない」

 

「展開までに時間がかかりましたけどねぇ」

 

 

あらあらうふふと笑いながら裕斗と朱乃が木陰からでてくる。

 

 

 

「っち、この!」

 

 

再び放つ火球だが、それを弾く二つの影。

 

 

「へっへ~、俺参上!」

 

「イッセー先輩、犬の糞踏んでます」

 

「げぇ!?せっかくカッコよく決めたのにぃ・・・・」

 

 

嘆くイッセーを見て笑う三人とレイナーレ。そして今度は反対から声が聞こえる。

 

 

「まあそういうことだから。あなたが抱いていた幻想もここまでってわけ。現実逃避するならまっとうに生きた方がマシよ?」

 

 

赤毛のリアス。そのリアスに今度はグレムリンが火球を放つ。しかしそれも展開された赤い魔法陣により阻止され、苛立ったグレムリンは特攻してくる。鋭く光る眼光が闇に光り、爪が彼女の肢体を捉えるべく伸びる。しかし、それもまた届くことはなく。受け止めたのは異形の存在だった。

 

 

『もういい…もういいじゃないか。こんなことしても、君が望むものはなにも手に入らない』

 

 

悲しみを帯びた声が拡声器を通したような声で聞こえてくる。受け止めた拳からは拒絶反応を起こした細胞が蒸発する煙が上がりグレムリンは跳び退く。

 

 

「違う!僕はあの人の為に――――」

 

「じゃあ、なぜ自分の主のことを名前で呼ばないのよ」

 

「それは・・・・・・・・あれ?なんで、なんで・・・・!?」

 

 

混乱するグレムリン。愛おしい、あれほど大切に想ってきたはずの人の名前なのに、さっき聞いたはずなのに、どうして出てこないんだ!?

 

 

「逸れとして長く行き過ぎたのよ。こうして自我を保っていること自体奇跡ね」

 

 

その答えをレイナーレが言う。

 

 

「逸れ…?違う!僕の主はここにいる!それにホラ、あそこにはいつもお世話になっていた写真館があって・・・・その向こうの山には、たくさんの動物たちたいて、反対側には綺麗な小川が流れていて、夏にはいつもみんなとご主人様と一緒に遊びに出かけて、その近くには――――」

 

「いい加減にしなさい!それはあなたの作りだした幻想だって言ってるでしょ!」

 

 

紅い槍を展開してグレムリンが守るようにして立っていた後ろにいる女性に投げる。それが貫き、辺りを鮮血に染める。かと思われたが、血など一滴も垂れずかぶっていた帽子が風に飛ばされその正体が露わになる。

 

 

「言ったはずよ。あなたの主、マモリアはもうとっくの昔に死んでるの。彼女の眷属で生き残っているのは・・・・あなたただ一人よ」

 

 

リアスの言葉にグレムリンは天を仰ぐ。何かが自分の中から崩れ落ちていく音を聴きながら彼は淡く輝く月をただ見上げた。しかしその瞳はなにを映すわけでもなくただただ虚空を見ていた。その姿に一誠は以前見たあの教会での出来事がフラッシュバックして目を伏せた。

 

 

「・・・・もういいじゃない。あなたは充分待った。だったらもう休みなさい。ご主人様の腕の中で」

 

「・・・・褒めてくれるかな?僕のこと、嫌いになってたりしないかな・・・・?」

 

「ええ、もちろんですよ。だってあなたが一番マモリアさんのことを想っていたんですから。そんな一途で頑張り屋さんなグレムリンさんのこと、嫌いなんてならないですよ。きっと笑顔で、“お疲れさま、よく頑張ったね”って、褒めてくれます」

 

 

グレムリンの言葉にアーシアが答える。振り返ったその瞳からは大粒の涙が溢れ淡く、美しく黄色に反射していた。

 

 

「・・・・そっか・・・・・もう、僕は・・・・僕たちの好きだった街は・・・・もう・・・・」

 

 

その言葉に誰も答えられるはずもなく。グレムリンの事を、ただ見つめた。

 

 

「…なんだか疲れちゃったよ。ねえ、きみ」

 

『なに・・・・?』

 

「眠いからさ。道案内、お願いできるかな?僕じゃご主人様のところ、いけそうにないから」

 

『・・・・うん。わかった』

 

 

額のホーンが展開し、聖一が構える。足にエネルギーが収束して跳躍。雄叫びと共に向かってくるグレムリンを蹴り飛ばした。

 

 

「・・・・ああ、なんだかとっても気が楽になったよ・・・・不思議だ。こんなにも心地いいのは初めてだ・・・・」

 

 

倒れるグレムリンに歩み寄るアギト。隣にしゃがみ、持っていた何かをグレムリンに握らせる。

 

 

『マモリアが生前、死の間際まで持っていたものだよ。マモリアさんも、きみのことすっごく大切に想ってたんだね。そのペンダントに映ってるマモリアさん、すっごく幸せそうに笑ってるよ』

 

 

カバーを開くと、丸く切り取られた小さなグレムリンを抱く笑顔のマモリアが映っていた。二人して頬を寄せ合い、幸せそうに映る二人の姿はセピアの写真でもその時の風景が容易に想像できる。鮮やかな青空、揺れる緑の木々、さらさらと流れる小川に足を入れ白い日傘を差しながら傘と同じいろの帽子とドレスを着るマモリアと、川で遊ぶグレムリンの姿が。

 

 

「・・・・現実でも、こんな風にいたかったな・・・・」

 

『・・・・きっといれるさ。さあ、マモリアさんが待ってる』

 

 

その言葉を聞き、グレムリンは笑顔を浮かべ天へと昇っていった。

 

 

「皮肉なものね・・・・悪魔が死ぬときは天に昇るなんて」

 

「・・・・もしかしたら、それが聖一の力なのかもね」

 

「え?」

 

「種族に関係なく、誰にでも笑顔でいてほしい。それが彼の願いだからよ」

 

 

昇りゆく光を見つめる彼の背中を見ながら、レイナーレは心の中で呟く。

 

 

――――彼もまた、失くした側の者だったのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、それアタシのでしょ!?」

 

「え!?あ、いや、俺は別にそんなつもりは・・・・でもうめェ~」

 

 

いつも通りに集まったオカ研メンバー。しかしそこは部室ではなく昨夜の丘の上だ。大きなレジャーシートを広げ、持ってきた弁当をつまみながらのピクニック。騒がしくも穏やかで楽しい時間、そんな空間に響く声。

 

 

――――ありがとう

 

 

それはどこからきたものか。聞こえた声にきょろきょろとあたりを見回すレイナーレ、その先に追いかけまわされていた一誠は躓いて派手に転んだ。

 

 

「いっててて・・・・どうかした?」

 

 

「・・・・別に。ただの空耳よ」

 

 

浮かべた笑顔に彼女は囁く

 

 

――――どういたしまして

 

 

 いつか、自分もああなるかもしれない。でも、それでも――――

 

 

護りたい世界(いばしょ)が、私にはできた。




というわけでこの回はウルトラマンティガ屈指の神回である「オビコを見た」のオマージュとなっております。ティガファンの皆様色々と申し訳ありませんでした。やはりオマージュはやるものではありませんね・・・・(ーー;)


さて、恒例になりつつある相違い点ですん


・レイナーレ生存による彼女のメイン回

・一誠の性格少し改変

・オリジナル(?)悪魔のグレムリンとアモリア

・聖一たちが暮らす街での現在からマモリア達が生きていた時代までの経緯と歴史


と、こんなところでしょうか。朱乃の作った結界は街全体を覆っています。なぜ彼女がそれほどまでに力があるのかというとその理由につきましては番外編で明らかにいていきたいと思います。ちょいちょいこちらの本編の方では回収しない疑問点が多々ありますがご了承ください。回収しなかったフラグや設定の説明や理由などは全て番外編にて解消します



その内次回予告なんかも考えてみようかな 笑
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