ハイスクールD×Ω   作:tubaki7

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episode15

自室の机で壮大な溜息をつきながら頭を抱えてうな垂れてみる。時刻は昼の12時ちょうどをさしておりちょうど腹の虫も鳴き始める頃だ。気分転換になにか食べようと下へと降りるも誰もいない。作り置きもないということはと冷蔵庫に貼ってある当番表とかかれた紙を見る。

 

 

「今日の食事当番はアーシアか…って、そういえばアーシアもいない」

 

 

はて、どこへ行ったのやらと頭を掻きながらふとテーブルを見る。そこにはかわいらしいイラスト付きの置手紙が置いてあり、昼は聖一の家に行くからお腹がすいたら来てほしいとのこと。内容文からして今日は聖一の家にオカ研のメンバーが集まっているらしい。いつの間にと思ったがそういえばアーシアが何度も自分の事を呼んでいたような、と回想してみる。宿題に集中していて声が聞こえない、なんてことは生きてきても、悪魔として生まれ変わってもないと思っていたが人間やれば東低の事は何とかなってしまうものではないかと本気で思う・・・・・・・・まあ、悪魔なんだが。

 

ともあれこれでは宿題どころではない。さっそくしたくを済ませて家を出る。愛車にまたがりペダルに足をかけて漕ぎ出せば、涼しい風が頬を伝う。こういう夏の近い春のポカポカとした陽気はなんとも心地よい。自転車で普通に走れば約5分といったところに聖一の家はある。今はレイナーレと二人暮らしらしいが今回はオカ研メンバーも一緒ということもありにぎやかな声が外にまで聞こえてくる他、鼻をすり抜けるかぐわしい香りが胃袋をさらに刺激する。

 

 

「ごめん、じゃあちょっと行って…あ、一誠。いらっしゃい」

 

「おう。どこか行くのか?」

 

「うん。ちょっと材料切らしてて。これから買い出しに行くところなんだけど、手伝ってもらえないかな?ジュース奢っちゃうよ」

 

「行く行く」

 

 

一誠と並んで買い出しのため目指すは近所でも安いと評判のスーパー。今日は確か特売もやっていた筈だとチラシを片手にしっかりと買うもののチェックを怠らないところを見るとますます主婦の文字が似合うようになってきたと思う。顔立ちも中性的でどちらかといえば女の子よりなため声を出さなければ確実にそこらへんの男にはナンパされるだろう。

 

 

「ねえねえそこの子」

 

 

ホラ、来た。声のした方を見ればいかにもかっこいい感じの男が立っていた。しかも二人。これは参ったなと二人して顔を見合わせて苦笑する。これにはさすがの聖一も困ったらしくどう答えていいかわからないでいると、男達の目が聖一ではなく此方へと向いた。聖一を見る目とは違い、どこか嫌煙するような目だ。それを見て、ああ、これはよからぬ勘違いをしているな、と直感した。

 

なので。

 

 

「あの~、何か勘違いされているようなんで一応。此奴、男ですよ?」

 

 

気まずそうに一誠が気を使って言うと今度は男二人が互いに顔を見合わせて次の瞬間には吹き出した。腹を抱えて笑ている。

 

 

「おいおい、嘘つくならもっとマトモな嘘つけっての」

 

「この顔でどこが男なんだよ、バカか!?」

 

 

馬鹿はどっちだ、と言いたいが聖一のことをそもそもこれっぽっちもしたないのでそれを言ったところで導火線に火をつけるようなものなのでやめておく。再び困ったなと聖一と顔を見合わせる。やはりここは自分が、と口を開こうとしたところで一誠がそれを遮った。見てみると、まかせろとサムズアップを決めている。正直、嫌な予感しかしない。意気揚々と前へとでる。その一誠に機嫌を損ねたのか二人は彼を睨むようにして背を低くする。それをみてこんなシーンを漫画で見たことあるなとその時の情景を思い浮かべながらそれを貸してくれたのが一誠だったのを思い出す。漫画はよくあるバトル漫画のだったのが現実との違いだが、これはもしやそういうシーン再現でもしようというのか?

 

なんともロマンチストだろうか。すこしだけ彼の事を見直した―――――そう、この時だけは。

 

直後、一誠のとった行動は相手を勇敢に論破するわけでも、ワイルドに立ち向かっていくわけでもなく。相手のてを掴み、引き寄せていっ先は、聖一の胸板。そんなことをだれが予想できただろうか。この二人はもちろん、聖一ですらそんなことは微塵も考えていなかった。よって、素っ頓狂な声を上げてしまう。

 

 

「なッ、この子・・・・胸がない!?」

 

「貧乳か!?スレンダーなのか!?だったら俺大好物だぜ・・・・」

 

 

もう一人が涎をすするように音をたてて袖口をぬぐう。こう温かいとヘンな輩がでてくるといがまさにそれだと納得しつつとりあえず一誠に睨みを飛ばしながらニヤリとしてやったりな顔を浮かべる一誠。まあ彼らしいといえばらしいのかもしれないが。

 

 

「触ったあんたにはわかるだろう?これが女の子のおっぱいか、それとも男のものなのか・・・・!」

 

「あ、ああ。わかる。これは女の子の、スレンダーで緩やかな丘のふくらみがまったく感じられない…。それに、よく見ると体格も丸みが全くない。華奢で肌も白いが、それでもこれは明らかに女の子のソレじゃないことだけは確かだ・・・・!」

 

 

驚愕し、その男の連れも「そうなのか!?」と驚く。またしても一誠が笑う。

 

 

「女の子のおっぱいには夢がある。男の胸板には度胸と勇気がある。小さくても大きくてもそれは同じ。お前ら、おっぱいに対して――――いや、胸そのものにたいして敬意が足りん!この程度も目視で見分けられないとは日本男児の名折れだ!」

 

 

いや、日本男児誤解されるから。そうつっこみを入れるもこのできあがた、名付けて一誠ワールドとでも言おうか。それには何人たりともはいることとはできない。なので自分はこれが終わるのを待つしかないのだが・・・・

 

 

(あの人達、なんだが一誠のこと神様でも見るような目で見てる・・・・さすがはおっぱい星人。いや、聖人かな?)

 

 

ウマいこと言った、なんて自身を評価していると終わったらしくこちらに帰ってきたのでおかえり、ととりあえず言ってみる。一誠は「よき友を得た・・・・」とどうやら満足のいったものになったらしく頷いている。

 

 帰ったら変身してデコピンだな、これ。

 

そんな恐ろしいことを聖一が考えていようとは、この時の一誠は微塵も考えてなどいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物袋を手に帰路につく。途中余分な道草を食ってしまったが予定に問題はない。そろそろ頼んでいた行程に手を付けているころだ、と考えながら土手の上を歩く。近道を選んだためこれで帳消しとなるはずだ。

 

 

「・・・・俺さ」

 

 

一誠が急に雰囲気を変えて立ち止まった。いきなりなんだろうかと思いつつも、聖一は振り返って一誠を見る。

 

 

「正直、心のどっかでお前のこと怖がってた。アギトって力もそうだし・・・・俺自身、この腕もちょっと怖いんだ」

 

「・・・・そっか。たしかに怖いよね。一瞬でいろんなものが変わっちゃったし、変わるかもしれないし。もしかしたら、僕たちがこうして普通に会話することもなくなっちゃうかもしれないし」

 

 

「怖いこと言うな」と一誠。「これでもやんわりと言ったつもりだけどね」と聖一。それから少し苦笑いして休憩しようかと階段に腰かける。カキン、という金属音と青空に昇る飛行機雲に混じって白球が飛んでいく。下のグランドでは野球チームが試合しているらしい。そういえばこんど球技大会があったっけと学校のスケジュールを頭に思い起こしながら流れる穏やかな風に心をゆだねる。

 

 

「…一誠はさ、夢ってある?」

 

「ああ。いずれはハーレム王になるのが俺の夢だ!・・・・って、これじゃ野望だな」

 

 

意気揚々と言ったはいいが意味が違うか、と頭をかいて苦笑いする。それをみて聖一も笑う。

 

 

「そういう聖一はなんかあんのか?料理人とか、菓子作りもうまいしパティシエとかか?」

 

 

それもいいね、と笑む。その笑顔に何かを感じ取り、一誠は首を傾げる。

 

 

「・・・・僕にも、夢が❝あった❞。ずっと前に挫折した夢なんだけどね。そしてもう、二度と叶うことはない・・・・正直、僕は一誠に憧れてるんだよ?強くて、真っ直ぐで。ちょっとエッチなところもあるけど、でもそれもみんなを笑顔にしちゃう。そんな君が、僕にはキラキラして見えるんだ」

 

「・・・・なに言ってんだ。俺なんて肝心な時に竦んで動けねーし、いつもお前に頼ってるんだ。聖一が憧れる要素なんて一個もねーよ」

 

「…一誠。君は君の夢を叶えて。叶えられなかった、僕の代わりに」

 

 

ハーレムはあまり関心しないけどね、と最後に付け加えて立ち上がる。一誠も立ち上がり聖一の後に続いて歩き出す。そこから家に着くまでの間二人は一言も会話を交わすことなく歩き、やがて玄関まで到着しドアに手をかけると、

 

 

「あら、遅かったわね」

 

 

庭から聞こえてくる声。レイナーレが立っていた。

 

 

「みんなもう準備万端よ。それと、木場君がもう限界だって言ってるからさっさと手伝わないと彼潰れるわよ?」

 

 

しまったと一誠はレイナーレに袋を渡し慌てて駆けていく。そのあとを追えば、そこにはバーベキューセットが組まれてなにやらにぎやかな空気になっていた。

 

 

「一誠さん、遅いですよ?もうみんな始めちゃってます」

 

「どうせ、女の人にまた鼻の下を伸ばしてたんじゃないですか?」

 

 

小猫の毒舌にそんなことはないと弁解するもそれをすっかり信じ切ったアーシアは何を言っても頬を膨らませてかいわしくそっぽを向くその仕草がなんとも言えなくかわいいが、今はそれを楽しむ余裕もないのが辛い。

 

 アーシアの誤解を解くのに1時間。それまでは食べたものも食べた気もしないまでに忙しかった。そんなこんなで楽しい昼食も終わり、今は夜。女性陣は彩り鮮やかな浴衣を着て花火を、男性陣はと言うと、疲労もあるため縁側でのんびりしている。

 

 

「・・・・なあ聖一」

 

「なに?」

 

「代わり、ってわけじゃないけどさ。お前の夢、俺が叶えてやるよ。俺ができる範囲になるけどさ」

 

「それは頼もしいね」

 

「だろ?…で、なんなんだ?おまえの夢って」

 

「・・・・普通に生きるのが、僕の夢だ」

 

 

その横顔は、とても穏やかで、切なくて。きっとこういう顔するから、此奴は割とモテるんだろうなと思いながら聖一どうよう鮮やかな光を放つ花火を見る。

 

 

「そっか。それぐらいなら、なんとかやれそうだ」

 

「頼むよ一誠」

 

 

最後は皮肉に言って互いに顔を見合わせて笑う。そこへトイレから帰ってきた裕斗も合流する。

 

 

「どうしたの、二人して笑って。なにかおもしろいことでもあったかな?」

 

 

その裕斗の言葉に互いをもう一度見て、

 

 

「秘密」

 

 

そう、声を揃えた。





これがなにかしらのフラグになるかどうかはみなさんのご想像にお任せします(笑)


さて、もはや恒例となった違い点

・今回の季節は夏。原作はたしか春ぐらいだったはずですがこれを書きたいがばっかりにこうなりました。すみません。


・聖一と一誠の会話。これに関してはどうしても書きたかったものです。とある動画を参考、というかパクッてしまっているのが文章力のなさがにじみ出ていますね。

・使い魔云々。これに関しては次回からということになります。原作よりも一誠がチキってるので今後の展開の為に彼には強くなってもらいたいのでこのような話を設けました。もはや聖一がヒロインな件

・木場君の出番。大丈夫、きっと彼にも活躍の場面はあります。あるったらあるんです。・・・・多分小猫とアーシアも言わずもがな。ファンの皆さんには心から謝罪します。


以上がこの話の違い点ですね。閑話、ととらえていただけたら嬉しいです。ちょっとのんびりした話と、あとは聖一と一誠という案外ありそうでなかった絡みを書きたかったのでプラスしました。本来はスピンオフの最後に持ってくる予定でしたが変更してここに。意味は、最終回へのつなぎです。

では、また次回。感想、意見、要望等随時お待ちしております。可能な限りお応えしたいと思いますので皆さん、ご遠慮なくお願いいたします。ではでは ノシ
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