ハイスクールD×Ω   作:tubaki7

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episode17

「えっ、聖一参加しないのか?」

 

 レイティングゲームの宣言がなされた後の部室で説明を受けていた一誠が開口一番にそう呟いた。レイティングゲームとは、簡単に言ってしまえば悪魔同士の揉め事が起きた際、公平に決着をつける為に設けられたもの。その名の通りゲーム方式ではあるが、このゲームには最低でも5人の参加者が必要となる。ルールは他にも存在するが、早い話がリアル版チェス、といった感じでいたって勝敗はシンプルなもの。リアスら最上級悪魔や、先祖代々から続く銘家などの当主その候補には、〝駒〟を持つ物がおり、それを与えられた物のみがこのゲームに参加できる。

 

「僕はグレモリーの協力者ではあるけど、眷属じゃないから」

「それに、聖一君は僕たちのように役割をもっていない」

「早い話が、参加資格を最初から持ってないのと同意義なんです」

 

 聖一、祐斗、小猫の順で説明する。それにがっかりと肩を落とす一誠。あれだけ啖呵をきっておいて今更それとはなんとも呆れた男だ、とツッコミを入れたいリアスだったが、彼の意見には自分も正直なところ賛同する。相手はあの不死の異名を持ち、いまだ無敗のライザー・フェニックス。対戦成績から言っても戦力差から言っても、聖一が出場できないのは相当なハンディキャップだ。悪魔に対して絶対的アドバンテージを握れるアギトの力。それを使いこなし、先ほどのように素手で触れただけでもあのダメージだ。それこそ変身してしまえばもはや悪魔というだけで勝ち目は存在しないだろう。そうすれば、いくら不死の力といえど再生が間に合わないのであれば意味がない。が、その聖一が出場不可。先ほど唯一敵の動きに反応できたレイナーレさえもが同じく参加できない。

 

 リアスは頭を抱えた。

 

「・・・今回は聖一の力を借りる気は毛頭ないわ。これは私達、グレモリー眷属の問題よ。よって、現戦力でライザーと戦うわ」

「そこで」

 

 リアスが話を切り替えると、朱乃が何やら笑みを浮かべながら全員の注目を集める。

 

「みんなで合宿をしま~す」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 朱乃の合宿宣言から、さっそく各々で準備をすることに。レイナーレと聖一も帰宅し、準備を進める。参加できずとも、せめてみんなの食事面や健康管理だけはと彼のきっての希望だ。ちなみにレイナーレは彼の同伴として同行することになっている。自身が堕天使であるため、彼女の攻撃はおのずと悪魔とは相性が悪い。こと一誠に関しては格闘戦ならまだしも、能力を使ってとなると殺しかねないので訓練相手を聖一共々断念したという形になる。

 

「なんだか妙なことになったわね。悪魔同士に内輪揉めに巻き込まれたり、その中身が政略結婚だったり」

「リアス部長も、この話は以前から毛嫌いしてたんだ。でも、昨日その話が急に推し進められて困ってたみたい」

「けどそれでどーしてイッセー君に夜這いなんてするわけ?」

「よ、夜這い!?」

 

 バッグに入れかけた野菜を思わずポトリと落としてしまう。

 

「よ、よよよ夜這いって、あ、あああの、よよよよ・・・」

「落ち着きなさいよもう・・・」

 

 あの変態魔人やドS鬼畜女と長年の付き合いがあってもこういう話題に免疫がないとは。ついていてもおかしくはないと思っていたがまさかこれほどまでに初心となるとすこしこの先が心配になってくる。

 

  まあ、それはそれとして

 

 床に落ちたジャガイモを掴んでバッグの中に入れる。

 

(でも夜這いまでしたってことは・・・あの男、相当嫌われてるわね)

 

 軽く同情しながらもこれで詰め忘れはないかとメモを見ながら中身を確認する。聖一は依然としてあたふたした状態から戻ってはこないが、見てて面白いのでこのまま放っておくことにして、ふと自分の手を見る。あの時、ほぼ無意識下で真っ先に反応できた。鍛えたわけではない。なのに、あの中で唯一聖一に向けられた殺意を、その方向を察知して止めることができた。明らかに反応速度が以前よりも格段に上がっている。これは一体なんなのか。それを自問自答しながら、レイナーレは再び作業に戻ることにした。

 

  そして、合宿当日。先に朱乃から場所を教えてもらった二人は山小屋にて昼食の準備に取り掛かる。隣で補佐しながらも相変わらず手際よく調理する聖一を横目でチラチラと観察しながら思った。

 

 ああ、やっぱり性別間違ってるとおもう。と。

 

「・・・レイナーレさん、今僕のこと軽くディスリませんでした?」

「そんなことないわよ」

 

 視線で勘づかれたのか、慌てて誤魔化す。慣れない口笛も吹いてしまっている為益々怪しいかもしれない。疑うように、探るように視線をジト目で向ける聖一から逃れようとそっぽをむけば、リビングに続く扉を開く音がしてホッと息をつく。

 

「わあ、いい香りがします!」

「準備がいいわね、さすが」

「おおっ!聖一の飯が唯一の楽しみだ・・・」

 

 すっかり疲れ切った一誠に対し、他の面々はそうでもない顔で入ってくる。これは荷物を置いて間もなくして訓練を始めたようで、六人ともジャージ姿で所々土汚れが目立つ。

 

「たくさん用意したから、着替えてお風呂入っちゃって」

「はい。それじゃ、女の子から先に入りましょうか」

 

 朱乃の一言を聞いて、瞬間一誠の目つきが変わる。それを見て「ああ、また碌でもないこと考えてるな」と即座にわかる当たり、なんだか毒されている気もする。まあ、ここで止めなかったら後々彼がさらにひどい目に合いそうなのでそれはよろしくない。

 

「一誠、言っておくけど覗いたら容赦なくご飯抜きだから」

「やめさせていただきます」

 

 色気より食い気。彼の場合、いつもこうだったらいいのにと呆れながら、聖一はエプロンを取る。

 

「それじゃ、私も入ってこよっと」

「あとは僕がやっておくから。いってらっしゃい」

「・・・ねえ」

 

 すると、どうしたことだろうか。レイナーレは来ていたシャツの襟もとをずらし始めた。ただでさえ朱乃、リアスに続いて豊満な胸、その谷間が顔を見せる。そして一言。

 

「私と一緒に、お風呂入らない?」

 

 その一言を聞いてまず一誠は鼻血を滝のように流し、祐斗は目を背けた。はたして聖一は・・・。

 

「せっかくだけど遠慮しておきます。それにそんなことしたら服が伸びちゃいますよ?せっかく似合ってるのに台無しになっちゃうじゃないですか」

「え、あ、あの・・・」

 

 ショック。そして普通に乱した服を正され、揚句褒められた。このコンボにさすがのレイナーレも頬を赤らめ口どもってしまう。そしてその姿を見て何を脳内でどう変換したのか「そのシチュもまた至高ッ!」と拳を力強く握る一誠。この男、とうとう落ちるとこまで落ちたかと状況とは対照的に溜息をつく。まともに反応をしているのは祐斗ただ一人だ。

 

「はい、これでよし。それじゃ、いってらっしゃい」

「い、いってきます?」

 

 なされるがままに、レイナーレはリビングを出た。

 

「・・・悔しい」

 

 こうして、合宿の一日目は過ぎていくのであった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 それから、初日と合わせて約三日間。特殊な結界を展開していた為感覚的には数週間にも及ぶ合宿は終了となった。それから一日の休日を挟み、いよいよ今夜はライザーとの決戦になる。残念ながら参加資格をもたない二人は自宅で大人しく留守番という形になってしまった。観戦するという手もあったが、それだと気が気でないためと言って聖一があえてこうして帰ってきたのだ。しかし、そう言いだし激励をもって送り出した当の本人はそわそわして落ち着かない様子。

 

「そんなに緊張したってどーにもならないわよ?」

「だ、だって心配で・・・」

 

 気持ちはわからないでもない。そう言ってコーヒーを一口。おかしい、塩味がする。入れたのは砂糖のはずだが。

 

「レイナーレさん、それ塩だよ」

「・・・新しいコーヒーの可能性を研究してるのよ」

 

 もちろん、そんなことなどしてない。ましてやコーヒーに塩を入れてなんてことを好んでやるわけもない。これは・・・そう、見た目が同じ白い粉だからいけないのだ。

 

「うちで使ってる砂糖って、ザラメのはずだけど・・・」

 

 逃げ場なし。その言葉がこれほど似合う場面に遭遇したことが今まであっただろうか。そんな訳の分からないコントを続けること約一時間。

 

  ゾクリ。

 

 そんな擬音が似合うほどに、聖一は顔をこわばらせた。まるで、なにか見てはいけないものを見てしまった時のように汗をかきながら。どうしたのかと聞くよりも早く床が光り、中からメイド服の女性―――魔王サーゼクス・ルシファーの女王(クイーン)であり、今回のゲームの仲介人兼見届け人のグレイフィアが転移魔法を持って現れた。そして、彼女がここに現れたということはすなわち、決着がついたことを意味している。

 

「グレイフィアさん、結果は・・・ッ!?」

「・・・単刀直入に申し上げます」

 

 ゴクリ。思わず生唾を呑み込む。そして――――

 

「リアスお嬢様が、降伏を宣言。レイティングゲームは、ライザー様が収められました」

 

 その結果は、無残にも残酷なものであった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 目が覚めれば、見慣れた天井。いつも寝起きに見るその慣れ親しんだ風景と窓を打ち付ける雨音が、今はやけに酷く感じ取れる。時計を見ればまだ昼前。休日であれば惰眠をむさぼっているであろう時間に起きてしまったことにげんなりとしつつ、それらの現実や感覚が無情なまでの結果を彼に突き付ける。

 

 敗北。言葉にしてしまえば、たったそれだけのこと。だが、それだけのことが、今の彼にとってはとてつもない重さで感じられる。

 

「・・・躰の具合はどう?イッセー」

「ああ。ちょっと動かしにくいけど、痛くはねえからへーきへーき」

「・・・嘘。本当は痛いんでしょ?」

 

 親友の言葉に、一誠は無言で頷いた。

 

「・・・禁じ手なんて、また無茶なことしたね。おかげでアーシアが泣きじゃぐって大変だったんだから」

「悪いな。面倒かけちまって」

「・・・そんなことない。イッセーは、凄いよ。だって、こんなにボロボロになるまでリアス部長の為に頑張ったんだもん」

「・・・男なら、誰かの為に強くなれ。昔見た漫画にそんなセリフがあったけど、現実は中々厳しいな」

 

 そう力なくこぼす。彼の一言一言が、聖一には重かった。今は二人しかいないこの部屋に、僅かにすすり泣くような、こみあげるものを堪えるような声が微かに響く。

 

「・・・あの時、もし部長の夜這いを受け入れていれば、こんなことにはならなかったのかな」

「・・・だとしたら、きっとそれはもっと泣いたと思うよ。あの人、ああ見えて結構根は弱いところあるから」

「じゃあ、どうすりゃよかったんだろうな。・・・どうすれば、部長を泣かせないで済んだんだろうな・・・」

 

 あの時。ライザーに挑んだ最後の瞬間に聞いたサヨナラが、今でも耳から離れない。どうすればよかったのかなんて決まっている。自分がもっと強ければよかったんだ。もっと力があれば。もっと、もっと・・・。

 

  しかし、その考えを、聖一は否定した。

 

「ただ強いだけじゃ、あの人と一緒だよ。そんなことよりも、もっと大事なこと、イッセーは僕に教えてくれたよ?」

「俺が・・・?」

「うん。〝お前は、お前のままで変わればいい〟って。力が強いまでもなく、ただ優しいだけじゃなく。僕は、僕として変わればいいんだって・・・だから、僕は自分を見失わないで済んだんだ。あの日イッセーが言ってくれた言葉があったから、僕は今こうして生きてる。だから―――今度は、僕がきみに言うよ。きみは、きみのままで変わればいい」

 

 そう言って、聖一はわずかに震える一誠の変わり果てた赤い左腕を握る。そこから光が灯り、何か(・・)が聖一の手を伝って消えていく。

 

「・・・そして、僕も戦う」

 

 そう言って立ち上がり出て行こうとする聖一。何か決断したような顔を一瞬みた気がした一誠は痛む躰に鞭を打って上体を起こす。

 

「戦うって、聖一お前何考えて・・・ッ!」

「・・・イッセーが男を見せたんだ。僕だって、やる時はやるよ。それに・・・あの人は僕の大切な人達を傷つけ、嘲笑った。許すことなんて・・・できないよ」

「聖一・・・」

「だから、今度は僕に戦わせて。必ず、みんなでまた明日部室で会おうよ。いつもみたいに」

 

 そう言って、振り返ることなく退室する聖一。外に出れば、レイナーレとアーシアが。

 

「アーシア。イッセーのこと、お願いね」

「聖一さん・・・」

「・・・ま、無茶をするなって言っても聞かないだろうからあたしは止めないけど。・・・でも、必ず勝って帰ってきなさいよ」

「うん。それじゃ・・・行ってきます」

 

 津上聖一は歩きだす。たとえその歩みに痛みを伴おうとも、彼は躊躇うことはなく進む。あの時(・・・)と同じ曇天の下、闘志の炎を滾らせて少年は地獄へと向かった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 会場内は華やかな雰囲気に包まれていた。銘家同士の婚約パーティ、その裏に隠された意図など知る由もなく、綺麗なドレスやスーツに着飾った紳士淑女の悪魔達。ここに集うのは全員上級悪魔とランクづけられるもの達だ。そして、そんな中一際目を引く男が一人。その椅子は、さながら玉座のようにも見える豪華な椅子に足を組んでくつろぐ姿は、容姿も相まってとても貫禄がある。

 

 名を、サーゼクス。リアスの兄にして現魔王の位に君臨する悪魔の頂点、それが彼だ。

 

「どうしたリアス。もっと笑わないと。せっかくのパーティなのに」

「お兄様・・・」

 

 わかってるだろと言うように多少睨みを聞かせてみるも、そんなことはどこ吹く風と言わんばかりに余裕の表情でワイングラスの中の液体を口に含む。

 

「そうだぞリアス。これは俺達の婚約パーティだ。主役がそんな顔してちゃ恰好つかないぜ?」

 

 しらじらしい。言ってやりたいが、こうなってしまってはもう何を言ったところで虚勢にしかならない。リアスは身にまとった純白のドレスを忌々しく見つめ、自身の眷属たちのいる方を見やった。彼らも、気に入らないと言わんばかりにしかめっ面が出てきそうになるのを必死にこらえている。

 

 そう、この婚約には誰一人として納得はいっていない。と言っても、リアスとその周囲だけだが。そもそも強引で個人の意思を無視したも同じこの婚約だ。ぶち壊せるものなら今すぐにでもそうしてやりたい。しかし、自分達は敗北した。その取り決めは、どうあがこうと覆るものではない。

 

  よって、リアスは何もかもに区切りをつける。そうしなければ、彼―――一誠のことを、思い出してしまいそうで。

 

 もうすぐ式の本番が行われる。そうなれば、この無粋な男は間違いなく自分を抱くだろう。初めてを、純潔を好きでもない男に奪われ、蹂躙され、犯される。そうして待っているのは、望まぬ未来。心地よかったあの時間も、居場所も、全てが消える。もう、二度と・・・・。

 

  そう、思っていた。

 

「なんだアレは!?」

「おい、止まれッ!―――ガァァァッ!」

 

 場内に流れるBGMをつんざくように鳴り響いたうめき声は、外からのもの。何事かと思えば、突如扉が開き、そこから一台のバイクが姿を現した。強引に入ってきたのだろう。後方には追いすがる警備の悪魔も見えた。バイクは侵入すると、ホールのど真ん中で後輪を滑らせ停止する。

 

「何事だッ!?」

 

 ライザーがよく響く低音の声でそう問う。するとバイクにまたがっていた人物は車体から降り、ヘルメットを取った。

 

「しょ、聖一!?」

「あらあらまあまあ・・・」

「貴様・・・あの時の人間!」

 

 人間。ライザーが発した一言に会場はどよめく。この場にいるはずのない人間という種族が侵入しているのだ。しかも、たった一人で真正面から。

 

「僕は津上聖一。見ての通り人間です。しかし、グレモリー家の協力者でもある。・・・そこで。僕はこの婚約に異議を申し出るッ!」

 

 そう告げられ、さらにどよめきと、或は嘲笑が起こった。

 

「何を言い出すかと思えば・・・ふざけるな!この婚儀はもう正式に決まったことだ。貴様のようなちっぽけな人間がどうこうできる話じゃないんだよ」

「なら・・・僕と勝負してください」

「なに?」

「僕と貴方・・・一対一の決闘です」

 

 ほう、とサーゼクスは小さく笑みを浮かべた。

 

「何をバカなことを・・・」

「それとも。僕と決闘して負けるの・・・恐いですか?無敵の不死鳥さん」

 

 いつぞやの会合で、ライザーが煽りにあまり強くないのは知っている。それを意識して完全にバカにしたような口調で煽れば、すかさずライザーの怒りのボルテージは頂点に上る。

 

「調子に乗るなよ人間・・・いいだろう、その申し出、受けて立つ。だが命の保証はしない」

「もちろん。こっちもそのつもりでここまで来ましたから」

「聖一!」

「・・・部長、綺麗なドレスですね。凄く似合ってます。でも、まだそれを着るには早すぎるので・・・着替えて帰る準備をしていてください。朱乃姉ちゃん」

「ええ。さ、リアス。サーゼクス様も、こちらへ」

「うむ。・・・では、楽しませてもらうよ。この余興を、ね」

 

 朱乃に連れられてグレモリー兄妹がホール内にあるVIP席にはけていく。反対にフェニックスの関係者も同様だ。小猫、祐斗は朱乃についてリアス達とともにいる。

 

「初めて会った時から気に食わなかった・・・お前もあの雑魚と一緒だ」

「・・・イッセーを、馬鹿にするな」

「ハン、そういうデカい口はなァ。俺に一撃当ててからするんだなッ!」

 

 結界が展開されると同時に容赦なく火球が聖一に放たれる。威嚇ではない。完全に直撃コースだ。不意打ちと言うにはあまりにも無粋なその攻撃に、普段の冷静さを欠いたリアスは身を乗り出す。

 

 立ち昇る炎。そして高らかに笑うライザー。

 

「やはり人間は弱い。この程度の炎で一瞬にして消し飛ぶとはあっけないなァ・・・」

 

 しかし、その奥に光る何かをライザーは見た。

 

「フフフ・・・大丈夫よリアス。今の聖一君は―――」

 

 そして、ソレは姿を現す。超越肉体の金をベースに、左は超越精神の青、そして右超越感覚の赤を備えただ悠然と立っていた。その躰に、塵一つ着けずに。これにはライザーも驚愕を隠しきれなず、狼狽える。

 

「この中の誰よりも、強い」

「お前・・・なんなんだその姿は!?一体何をしたァ!?」

『まだわからないんですか?思い出してみてくださいよ。貴方の眷属に触れた、僕のこと』

 

 そう言いながら、ゆっくりと歩き出す。ライザーはたじろぎつつも、続けざまに火球を飛ばし続けながら思考する。

 

  焼かれた腕。金色の四肢。今は赤と青の二色に変わっているが・・・この感覚。それは明らかに悪魔ではない。そして、堕天使のものでも。しかし天使というにはあまりにも大きすぎる。どれにも当てはまらない、それどころかこちらの常識すら超越しているような風格。そして、威圧感。そこでようやく、ライザーは今、自分と相対している者の正体へとたどり着いた。

 

「ま、まさか・・・そんな、バカな―――ッ!?」

 

 歩きながら、剣とハルバートを配色の異なる手で握る。

 

「お前は・・・ア、アギト!?」

『そうです。・・・さぁ、行きますよ?言っておきますけど、今の僕は・・・心底、やる気ですからね』

 

 そう呟いて、得物を構えた。




 というわけで駆け足ではありますが元祖てんこ盛り、トリニティ登場。ライザー\(^o^)/オワタ
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