ハイスクールD×Ω   作:tubaki7

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episode8

 

―――――我ながら理不尽だと思う。

 

そう考えながらリアスは紅茶の入ったカップを傾け中身の液体を流し込む。昨夜の出来事は兵藤一誠にとって苦い経験でもあり、同時に彼の強くなりたいという願望を強くするものとなった。経験上二度目の敗北を記してその二度目はコテンパンにやられ手も足も出ない上に最終的にはまた聖一に助けられ、挙句はアーシアにまでみっともないところを見せてしまった。これにより一誠はこれまでのような雰囲気は一変しやる気に満ち満ちた表情で苦手としていた裕斗にまで特訓を頼み込む次第だ。

 

 でも、こうなるまで放っておいた自分も等々朱乃の事をあまり言えない立場になってくる。

 

 

まあ、それはそうと。

 

 

「今日はバタークッキーです。甘さ控えめ、チョコチップを混ぜたものも一緒にどうぞ」

 

 

この子が作ったお菓子はどれもおいしい。甘さやカロリーもちゃんと計算されており考えて作られているところを見るとなんだか女として負けたような気になる。が、それも一口食べればどうでもよくなる。口に広がる甘さと香しい香り。香ばしさとしっとりとした触感に混じって練り込まれたチョコチップのほのかな苦みがいい具合にアクセントになっており飽きない。それに合わせるはシンプルにストレート。うむ、今日もティータイムは最高だと満足そうに頷く。

 

 

「そういえばイッセーは今日も特訓かしら?」

 

「いえ、今日はアーシアと一緒に街に出かけてるみたいですよ。何かあるようでしたら僕の方から伝えておきますけど」

 

「平気よ。そろそろ彼にも使い魔を、と思ったのだけれど・・・・まあ後でもいいでしょう」

 

 

紅茶を一口。穏やかな昼下がりの休日オカルト研究部の部室だ。

 

 

「・・・・あの神父、なんであの家を狙っていたんでしょうか?」

 

 

ふと朱乃が呟く。内容は昨日遭遇した神父フリード・セルゼンのことだ。アーシアに行動内容を聞くわけにもいかずに自由にさせているが、さすがにあの家を狙った理由が気になるのかそのような呟きをする。その内容は聖一も気になっていた。

 

 

「口封じ、かしら?」

 

「それにしてはずいぶんと手が込んでるかと思います。殺すほどの何かを握っていたと見る方が自然かと」

 

「だとしたら、いったい何を?」

 

「・・・・多分、ですけど。――――アギト関連じゃないでしょうか」

 

 

公表され、“教会”側が困り、尚且つ口封じにとどまらず命を奪うまでに至る大問題。明るみに出れば自分たちが不利になるような情報を握られていたとして、それを密告されれば立場どころか命を狙われかねないものといえば、それしかない。天使にしろ悪魔にしろ堕天使にしろ、アギトに関する情報や文献はそれぞれの所属のトップでさえ慎重に扱わなければその立場をおわれるほどのもの。その中でも“一際ヤバいもの”とあれば、思い浮かぶのは一つ。

 

 

――――“3年前、あの時起きた事件”。自分がアギトとして生きていく切っ掛けとなり、今では自分と朱乃、そしてリアスしか知りうることのない真実。それを明かされれば、困る集団。それが・・・・“教会”だとするならば。

 

なんとも物騒な話題に発展しそうだ。リアスは紅茶を一口飲む。淹れてから時間が経っている為もう冷めてしまったそれを飲み干してカップを置く。

 

 

「アギト関係なら、いずれ“お兄様”にも話を通しておいた方がいいかもしれないわね」

 

「ルシファーさん・・・・でしたっけ」

 

 

「位だけどね」と一言。

 

 

「いずれにせよ、“これはグレモリーにとってもおおきな問題”になりうることかもしれないわ。事態に進展があるようなら、いいわね?」

 

「はい。その時は・・・・お願いします」

 

「ええ。少しは他人と頼ることを覚えてきたようね聖一。エライエライ」

 

 

頭をなでるリアス。その光景を見て面白くないとヘソを曲げる朱乃のフォローを聖一がすること、30分後。

 

 事態は、思わぬ方向に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕天使レイナーレによるアーシアの拉致。目的は、彼女の持つ神器“聖母の微笑”を奪うこと。一誠とのデート中にレイナーレが現れアーシアを拉致したと一誠本人からの報告だ。彼女は仲間であり、友達だ。今すぐにでも助けに行こうとする一誠の言葉にリアスは非情ともいえる対応をする。

 

 

「ダメよ」

 

「どうしてですか!?こうしてる間にも、アーシアは・・・・!」

 

 

拳を握る一誠。

 

場所はわかってる。どこにいるのかわかってるのに助けに行けないのにはそれ相応の理由があった。

 

 

「私達の役目は“戦争”することではないの。不用意に仕掛けて種族同士の抗争にでも発展すればただ事ではすまなくなるわ。しかも彼女はシスター、私達悪魔からしてみれば“内輪もめなんて知ったこっちゃないの”。この意味がわかるかしら?」

 

 

リアスの対応に一誠はその冷めた態度に怒りを募らせる。

 

 

何故、どうしてこうも非常なんだ?アーシアがシスターだから?反対側の存在だからか?

 

だから助けない。だから知ったこっちゃない。そんなの・・・・そんなの・・・・――――

 

 

「――――“イッセーは私の下僕。あなたが無茶をして踏み込むようなマネでもすれば、そのツケは私が取ることになる。くれぐれも、そんな無茶をしないように”。お願いね」

 

 

そう言い残して奥へと消えていくリアスと朱乃。理不尽な掟ともいえる柵を目の当たりにして一誠は強くかみしめ踵を返した。

 

 

「どこへ行くきだい?」

 

「決まってんだろ!アーシアを助けに行く。部長には・・・・うまく言っといてくれ」

 

 

ドアに手をかける一誠。だがその襟元をグイッと引かれてソファに転がされる。小猫だ。いつものように感情のない瞳で自分を見下ろしている。「おまえが行ってどうこうなることではない」と。一誠はその瞳に真っ向から対峙し尚も食い下がろうとする。

 

 

が、

 

 

「準備ができるまでちょっと待っててね」

 

 

・・・・は?

 

 

「いや、え、は?」

 

「だから、準備ができるまで待ってて。いくらなんでも何の策もなしに乗り込んだら危ないよ」

 

 

協力してくれる・・・・のか?でもさっきは「行くな」と言われたばかり。無茶をすれば自分だけではなく三人にもリアスに何を言われるかたまったものではない。そんなこと、自分だけでいいと言う一誠に三人は顔を見合わせて苦笑いする。

 

 

「あのね一誠。部長は“あなたが無茶をして乗り込むようなマネをしたら”って言ったでしょ?立場があるからああいう言い方したけど、裏を返せば一人で行くな、やるならみんなで、って意味なんだよ」

 

「つまり、君一人で行けば返り討ちにあうのは目に見えている。だからここは全員で攻め込んで行こうって部長は言いたかったんだね」

 

 

「案外、メンドクサイ上に不器用。でも・・・・優しい」

 

 

小猫が少し愚痴をこぼして笑みをうかべ締めくくる。言葉の裏に隠された意味をようやく理解した一誠は立ち上がり、二人が去った方を見て、

 

 

「わかりました!“俺、無茶しません!一人では絶対に行きませんから”!」

 

 

頭を下げ、そう言った。

 

 

 待ってろアーシア。今助けに行くからな・・・・・!




関係ないけどまどマギの劇場版を観てきました


ほむほむぇ・・・・・
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