Dr.JDです。
それと皆様、遅れながら明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げまする。
前回の投稿から日がかなり経過してしまっていますので、今の心境を一言で表します。
今年初の投稿だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
以上です。
さて、昨夜の騒動から一夜明けた翌日。
平沢唯は演奏するために協会へと向かっていました。
そこで新たに出会う人物達とは………?
それでは続きをどうぞ!
[ピンチ!]
2012年、7月16日、12;08;42
高校2年生 桜ヶ丘高校 軽音部所属
平沢 唯(ひらさわゆい)
尾阿嵯(おあさ)町 尾阿嵯ホテル前 道路
――――昨日の騒動から明けた翌日。
目を覚ましたのは、ムギちゃんの別荘の一室にあるベッドの上でした。
廃診療所から脱出できた安堵と緊張感の緩みによって、私は気を失ったとのことでした。
ムギちゃんに聞いた話によると、廃病院は多くの瓦礫の山を築いたけど、怪我人は誰も出てないと言ってました。
ただ、いつの間にか医院長室にいた女性は消えていたそうです。
どこの誰で、助けてくれたお礼が言いたかったのですが、居なくなってしまったのでは、仕方がありません。
今回の騒動は多くの謎を残したまま、終結しそうでした。
でもとにかく………。
平沢 唯
「みんな無事で良かった!」
田井中 律
「唯、どうしたんだ?昨日の肝試しでも思い出してたのか?」
平沢 唯
「それもそうだけど、誰も怪我しなくて良かったって!」
私の真向かいに座って、窓の外を眺めていたりっちゃんに、心配そうに声を掛けられました。
少しだけ暗い顔をしてたけど、他に目立ったところはありませんでした。
………もしかして、昨日私達を危険な目に遭わせてしまった負い目を感じているのでしょうか?
自分で同意したとは言え、最初にオバケ屋敷ツアーを提案したのはりっちゃんだったから。
そのせいで怪我をするかもしれない事に、自責の念に駆られているのかもしれません。
だから私は――――
平沢 唯
「りっちゃーん。そんな格好でそんな姿勢で座ってたら、下着が見えちゃうよー?」
田井中 律
「あら唯ちゃん、あたしの下着をご所望なのー?」
するとりっちゃんはわざとらしくスカートの裾をピラッと僅かに上げました。
その顔には先程のような暗い顔はなく、いつものムードメーカーが表に出てきました。
よかった、暗い表情が取れて。
秋山 澪
「おい律、教会に着いたらそんな貞操を無視した行動は控えろよ?私達はセレモニーの演奏会のために出席するんだからな」
田井中 律
「分かってるって。さすがにお客さんの前でこんな恥ずかしいことしないって」
秋山 澪
「どうだか………」
澪ちゃんは呆れながらも、りっちゃんを心配しているようでした。
澪ちゃんはあの現場に居合わせていなかったため、そこまで精神的に参ってる様子はありません。
でも身体はどこか震えていて、それを紛らわそうとしている様子です。
多分だけど、澪ちゃんはこれから始まる演奏会に対して緊張しているような………?
そんなことを考えている時でした。
キキイィィィィィッ!!
車両が突然、急ブレーキが掛かって車内が激しく揺れました。
私も進行方向に向かって身体が倒れました。
中野 梓
「うわあぁ!」
あずにゃんの叫びが私達の鼓膜を大きく振動させました。
すると運転している席から斉藤が顔を出して、全員の安否を確認し始めます。
齋藤
「皆様!お怪我はございませんか!?」
琴吹 紬
「私は大丈夫よ!他のみんなは!?」
座席に倒れたムギちゃんがすぐに起き上がって、他の部員を見つめました。
田井中 律
「いたたたたぁ、あたしはとりあえず平気。澪と梓と唯は?」
秋山 澪
「いつつ、私も大丈夫。梓は?」
中野 梓
「はいっ、何とか平気です。かなり驚きましたけど」
田井中 律
「んで、唯は?」
平沢 唯
「う、っう、っう………」
田井中 律
「お、おい唯。どうしたんだよ?そんな涙目で」
平沢 唯
「うっ、服の上にジュースを零しちゃったんだよー!せっかくの服がぁぁ」
涙目で顔をぐしゃぐしゃになった私の服を全員で見つめられました。
確かに黒い修道服の上からオレンジジュースが掛かっていました。
あまり目立ちはしないが、シミがかなりの大きさになっていたので、気にならないと言えば嘘になる。
そんな感じの汚れでした。
平沢 唯
「うっ、せっかくの初ライブがこんな姿じゃ、みっともなくて出れないよ~」
泣きそうな顔で平沢は近くにあるタオルで拭こうとするが、それでもやっぱり汚れは落ちてくれなかった。
田井中 律
「それにしても、何で急に止まったりなんかしたんだ?」
少しずれたカチューシャを手で直したりっちゃんが、運転席を通り越して、前方の車両に目を向けてました。
田井中 律
「あれ?そういえば斉藤さんは?」
琴吹 紬
「少し様子を見に行ってくるそうよ。しばらく動けないようだったら、別の手段で教会へ向かわなきゃいけないから」
田井中 律
「うおっ!?そうだった!澪、今何時だ!?」
事態に驚いたりっちゃんが、携帯電話で時刻を見ます。
秋山 澪
「えーっと、今は12時10分を過ぎたところだなって、もうそんな時間か!早く向こうの会場に行かないと、段取りとかもできない!」
田井中 律
「お、落ち着け澪!えーっと、このまま車が動かなかったらどうなる?あの遠い教会をこの炎天下の中を重たい楽器を運ばなきゃいけないってのかっ、むきー!そんなの無理ー!」
琴吹 紬
「困ったわね。何でこんな事に、あっ。あの人に聞いてみたらどうかしら?」
琴吹が指差す方を見ると、車の間を通る1人の体格の良いサングラスをした男性がこちらへ向かって来ているところでした。
琴吹 紬
「すみません。ちょっと良いですか?」
ムギちゃんから声を掛けると、男性は大して嫌な反応をせずにこちらに顔を向けてくれました。
サングラスを外した男性はよく見ると、どこかの外人らしく、話しかけたムギちゃんは難色を示していましたが。
体格の良い外人
「何だろうか、御嬢さん?」
流暢な日本語を話してきたので、一安心するムギちゃん。
琴吹 紬
「この先で事故とかが起きたんですか?怪我人とかは?」
体格の良い外人
「子供が信号無視して横断歩道を渡ってしまったのが原因だ。玉突き事故にはならなかったが、車が混雑してるとのことだ。ま、復旧するのにはしばらく掛かるんじゃないか?」
田井中 律
「おいおい、そんなんじゃライブの時間に間に合わないぞ!」
体格の良い外人
「何か事情がありそうだな。急いでいるなら、あそこのタクシー乗り場から拾えばいいんじゃないか?」
男性が親指を後方に指しました。
そこには立派なホテルが建っていて、下の正面玄関横にタクシー乗り場があり、幸いにも人も混んでいる様子はないため、乗るのだとしたら今がチャンス。
体格の良い外人
「気を付けろよ。この辺りは物騒だからな」
琴吹 紬
「あ、どうもありがとうございました」
さっさとそう告げると、男性は乗っていた黒の車を走らせて、その場からすぐに消えてしまいました。
平沢 唯
「と、とりあえずタクシーでも拾おっか?お客さんとかもいないし」
田井中 律
「でも楽器はどうする?あたしのドラムは向こうの物を借りるとして、唯と梓のギターと澪のベース、ムギのキーボードはタクシーに乗せられるか?」
こうしている間に、演奏開始時刻までの時刻が刻一刻と迫ってきます。
まー、とりあえず特に変わったところはなかったから、この辺は割愛するね。
どうにかして協会へ辿り着いた私達は、太陽光を全身に浴びることになりました。
同時に、モワッとした熱風に似た暑さを肌で感じました。
ううぅ、暑くて溶けちゃうよ………。
琴吹 紬
「大丈夫?唯ちゃん」
聖母マリアのような笑みで、私を心配してくれるムギちゃん。
その姿も相まって、そう錯覚してしまうほどに、ムギちゃんの姿は似合ってました。
??????
「皆様、ようこそいらっしゃいました」
と、そこへ別のシスターさんが現れました。
頭を深く下げて居るとこを見るに、彼女が私達を招待してくれた人なのかな?
琴吹 紬
「本日はお招きいただき、ありがとうございます。オルソラさん」
オルソラ・アクィナス
「このような暑い中、ご来場頂き、ありがとうございます。私は、当施設の責任者であるオルソラ・アクィナスと申します。以後お見知りおきを」
そして再び頭を深く下げると、そこにはまたも聖母マリアのような笑みがありました。
まさか短時間で会ったこともないマリアの事を口にするなんて、思いも寄りませんでした。
オルソラ・アクィナス
「ここで話すのも何ですし、中へお入り下さい。この後の演奏会についてお話ししたいこともありますし」
私達とそう年齢が変わりそうにないシスターさん、オルソラさんの提案でとりあえず協会へ案内されました。
それぞれで自分の愛用楽器を手に持ち、彼女の後へ続いて入りました。
――――最初の感想としては、天井付近にあるステンドグラスがキレイだな、でした。
教会の中は、太陽の光がステンドグラスによって輝いています。
そして何より。
平沢 唯
「おおー、ここは冷房が効いていてすごく過ごしやすい」
中野 梓
「あれ?唯先輩って暑さも寒さもダメなんじゃありませんでしたか?」
秋山 澪
「修道服が良い感じに体温を調整してるんじゃないか?ほら、暑い時期でも長袖だし」
オルソラ・アクィナス
「他のお客様に合わせたのでございますよ。ところで、この後の事なのですが」
琴吹 紬
「はい、確か本日出席されている方々へ演奏会を開くんですよね?そのために、私達を呼んだと」
オルソラ・アクィナス
「そうでございます。ただ、本来であるならば私達の演奏する担当の者が居るのですが、先日の事故で怪我をしてしまいました。そのため、皆様も招待されている身である故、このようなお願いをしてしまい、申し訳ありません」
再び頭を深く下げるオルソラさんを見て、私は。
平沢 唯
「謝らないで?せっかく招待してくれたんだもん、ここは来てくれてありがとう、で充分だよ!ねぇみんな?」
田井中 律
「おう!まさか合宿2日目でもうバンドするなんて思わなかったけど、ちょうどいいぜ!」
中野 梓
「私は演奏さえ出来ればいいので、特に問題ありません」
秋山 澪
「私も特に異論はありません。ムギは?」
琴吹 紬
「ふふ。言わずとも、ね?それでオルソラさん。具体的な段取りはどうしましょう?」
オルソラ・アクィナス
「………」
そこでオルソラさんは、私達を凝視しながら息を止めていました。
私達、何か変な事を口にしてしまったでしょうか?
そう思いましたが、すぐに杞憂と知りました。
オルソラ・アクィナス
「ああ、いえ。すみません、少しボーッとしてしまいました。それで、この後の予定としましては――――」
………この後の流れは、以下の通りになるそうです。
12:30 来賓が到着
13:00 演奏会を開始
13:15 演奏会終了
とまぁ、こんな単純なスケジュールでした。
演奏会が15分しかないのは残念だけど、お客さんの前で演奏できるのは嬉しいです。
やる曲に関しては、私達の曲で良いとのこと。
そんなので良いのかとりっちゃんは言ってたけど、オルソラさんは別に構わないと言ってました。
もっとも、今から教会の曲をやって欲しいと言われも、一度も通したことのない曲を、演奏できるはずがありません。
そんな無茶な注文はしないと思いますが。
オルソラ・アクィナス
「なので、本番10分前にはスタンバイをお願いしたいのでございます。何かご質問は?」
田井中 律
「はいはーい。本番までは自由ってことでいいの?」
オルソラ・アクィナス
「はい。ただ、時間厳守でお願いします。それと、皆様に限った話ではありませんが、他のお客様とのトラブルは回避してほしいのでございます」
秋山 澪
「まぁ、トラブル起こしそうなのは律くらいだから問題はないか」
田井中 律
「おいコラ。なにトラブルメーカーの称号付けてんのさ?」
オルソラ・アクィナス
「ふふふっ。仲がよろしいようで………おっと、では私は来賓の方の迎えがありますので、これで」
琴吹 紬
「分かりました」
段取りが一通り終わると、オルソラさんはその場から去って行きました。
するとりっちゃんが両肩を震わせています。
緊張しているのでしょうか?
田井中 律
「くぅー!人前でのライブはやっぱ気分が良いだろうな!ワクワクしてきたぜ!」
琴吹 紬
「そうね、粗がない演奏をしましょう。今日のお客さんは今までとは違って、地元では有名な方々が多く出席されてると思うから」
中野 梓
「もちろんです!相手が誰だろうが、関係ありません!!」
………それぞれがやる気を出す中、例外が居ました。
そう、皆が知ってる澪ちゃんでした。
秋山 澪
「………ごめん、皆。私ちょっと、と、トイレに行ってくる………」
田井中 律
「お、おう。行ってらっしゃい」
顔が真っ青の澪ちゃんは、身体中をガタガタ震わせながら外へ向かいました。
さすがのりっちゃんでも、本気で緊張している澪ちゃんにちょっかいは出せなかったようです。
それ程までに澪ちゃんは緊張でガチガチになっているのでしょう。
よく見ると、他のみんなもそれなりにプレッシャーを感じているのか、落ち尽きなくソワソワしています。
琴吹 紬
「そうだわ!皆で一緒に外へ行きましょう?」
平沢 唯
「おおー!賛成!」
中野 梓
「良いんですか?この場を離れちゃって」
琴吹 紬
「演奏時間まではまだ時間はあるから、直前に戻ってくればいいわ。外の空気を吸って、気分転換でもしましょう?」
平沢 唯
「でも澪ちゃんを置いては行けないよ。澪ちゃんは一番、緊張してたから、誰かが傍に居ないと」
シスター
「それでしたら、私がこの場に残ってますので、皆様はお出かけ下さい。秋山様には私から伝えておきますので」
部屋の隅に立っていたシスターさんの申し出が、すごくありがたかったです。
これで澪ちゃんとすれ違いにならずに済みそうです。
琴吹 紬
「ではお願いします。それじゃ、皆行きましょう?」
………外へ出た途端、再びあの熱風が全身に襲い掛かりました。
身体から汗がブワッと噴き出し、早くもハンカチのお世話になりそうです。
やばい、早くも外へ出てきたのを後悔し始めている。
平沢 唯
「あ”ー溶けるぅぅ………」
中野 梓
「にゃ!?そう言ってるのに、抱き付いてこないで下さい!!」
ふむ、これこそ一家に一台、あずにゃんだね!
………アホなことを考えてないで、私はドリンクを探すことにしました。
早くも喉がカラカラになりました。
でも肝心のドリンクはこの場にはないので、人が沢山居るのでぶつからないように移動しないと行けません。
田井中 律
「うへぇ。この中を移動しなきゃダメなの?」
中野 梓
「なら他のシスターさんがドリンクを持ってくるまで待ちますか?」
琴吹 紬
「そうね。本番前に疲労を溜めないようにしましょう」
全会一致でその場に留まります。
すると背後から聞いたことのある声が聞こえました。
弦巻 こころ
「あら、あなた達!あなた達もこのパーティーに来てたのね!!」
そこには昨日の廃病院で偶然に出会った、えと、弦巻こころちゃん達でした。
彼女の後ろには昨日出会った子も居ました。
琴吹 紬
「あら、こころちゃん。こんにちは。もしかしてオルソラさんが言ってた来賓って」
弦巻 こころ
「こんにちは!そうよ、あたし達、ハローハッピーワールドよ!」
田井中 律
「ん?ハローハッピーワールド?なんだそりゃ?」
弦巻 こころ
「それはね、世界中の人々を笑顔にするために結成されたバンドよ!あたしはボーカルをやってるわ!よろしくね!!」
平沢 唯
「ハローハッピーワールド、かぁ。ふふ、すごく可愛らしい名前だね!」
弦巻 こころ
「ありがとう、唯!!」
中野 梓
「へぇ、弦巻さん達もバンドをやってたんだ。私達もバンドをやってて、この後に演奏するんですよ。よかったら聞きに来て下さい」
瀬田 薫
「ふふ、こんなにも可愛らしい子猫ちゃんに誘って貰えるとは、今日はなんて幸運なんだろうか。ああ、儚い!」
松原 花音
「あの、ちなみになんて名前のバンド名なんですか?」
田井中 律
「ふっふっふ。聞いて驚け。あたしらは、そう!かつて時代を築き上げた伝説のバンド!その名も――――」
平沢 唯
「放課後ティータイムでっす!!」
ドドンッ
そんな効果音が付きそうな感じで、発表します。
するとこころちゃんとはぐみちゃんは目をキラキラと輝かます。
弦巻 こころ
「すごくいいじゃない!とっても楽しそうなバンドね!」
北沢 はぐみ
「そうだね!ねぇねぇ、何時から演奏するの?はぐみ達、絶対に聞くからさ!」
琴吹 紬
「1時からよ。正面にステージがあるでしょう?あそこで演奏をするの」
弦巻 こころ
「分かったわ!ふふ、今から楽しみね!」
松原 花音
「それじゃあ皆さん、また後で」
中野 梓
「お待ちしてます」
そう一言残すと、彼女達は去って行きました。
ふふ、どうやら私達のバンド名が気に入ってくれた様です。
平沢 唯
「どうせなら、こころちゃん達の演奏も聴きたかったなぁ」
田井中 律
「そうだな!」
琴吹 紬
「そうね。でも今日はイベントを優先させる必要があるから、また別の機会にでも対バンしましょう?」
中野 梓
「今後のバンドの参考のためにも、彼女達の演奏は聴いてみたいですね」
それぞれが感想を言っていると、お客さんの対応しているオルソラさんの姿がありました。
来賓のこころちゃん達を出迎えて、その後も休まずにお客さんの相手をしているオルソラさんを見たためか、ムギちゃんが声を掛けに行きました。
琴吹 紬
「オルソラさん!」
オルソラ
「あら、琴吹様。それと皆様も。準備の方はよろしいのでしょうか?」
琴吹 紬
「ええ、もちろん。今は気分転換に外へ出てみました」
??????
「オルソラ、この人達ってもしかして」
すると男の人がこちらを見て、オルソラさんに声を掛けていました。
??????
「この人たちが例の代役として呼んだ人たちなのか?」
オルソラ
「はい。こちらが本日の演奏会にて、代役を頼んだ桜ヶ丘高等学校の軽音部の方達でございますよ」
近付いてきた男の人がこちらを見ていました。
私達とそう年齢は変わらないくらいの容姿で、後ろには何人か連れが居るようです。
男の人が2人と、女性が3人。
中野 梓
「は、初めまして!私は中野梓と言います。えと、このあと私達が演奏するので、良かったら見に来て下しゃい!」
??????
「そうでしたか。それは楽しみですね。ああ、申し遅れました。僕は古泉一樹(こいずみいつき)と申します。以後お見知りおきを」
あずにゃんが緊張していたせいか、舌を噛んでしまいました。
ふふ、カワイイ。
と、自己紹介に対して、爽やかな挨拶をしたのは、かなりの美少年です。
夏場と言う暑さが漂うにも関わらず、それを忘れさせるほどのスマイルでした。
平沢 唯
「あずにゃん、緊張してて舌噛んじゃってるよ~。でもでも、演奏会は楽しみにしててね~」
琴吹 紬
「私は琴吹紬。キーボードを担当していて、それでこっちは平沢唯ちゃんです」
平沢 唯
「ふふふ、ギター・ボーカルの平沢唯だよ!!よろしくね!」
田井中 律
「そんであたしは才色兼備で学校一の美少女軽音楽部部長、田井中律(たいなかりつ)様だ!!よろしくぅ!!あとベースの澪って奴がいるんだけど、今はトイレに行ってるから紹介は勘弁な。それで、そっちの人達は?」
気になってしまったりっちゃんは、ついつい質問してしまいました。
後ろにいる残りの人達も、多分古泉君の仲間なんじゃないのかな?
??????
「あたしはSOS団団長の涼宮ハルヒ(すずみや)!!先に自己紹介しちゃったけど、こっちの男は副団長の古泉君!それでオドオドしてるのが」
??????
「あ、朝比奈みくる(あさひな)と言います!えと、お茶を淹れるのが得意です!!今度飲みに来てくださぁい!」
涼宮 ハルヒ
「良い挨拶ねみくるちゃん!それで、こっちで本を読んでる子が」
??????
「長門有希(ながとゆき)」
涼宮 ハルヒ
「そんでこいつが雑用係のキョンよ!これがあたし達SOS団のメンバー達よ!」
キョン
「おい待てハルヒ!俺の自己紹介ぐらいちゃんとやれよ!てかさせろよ!」
涼宮 ハルヒ
「あんたの紹介なんて、こんなもんでいいでしょ。他に特記する事もないでしょ?」
キョン君はうぐっと口を尖らせました。
まだ何か言いたそうでしたが、渋々引き下がりました。
うんうん、後で色々と話してみるのも良いかもしれない。
涼宮 ハルヒ
「それで軽音部だっけ?あなた達も演奏するんでしょう?」
平沢 唯
「そうだよー。午後1時からだっけ?ムギちゃん」
琴吹 紬
「ええ。でもさっきのあなた方の話を聞いていると、SOS団も演奏されると聞きましたが?」
ムギちゃんの言葉で、自然とワクワク感が溢れてきました。
そうだ、この人達の演奏も聴けるんだ。
私達とは違うバンドが演奏しているのを見たことがないから、楽しみになってきました。
だから私は、ハローハッピーワールドやSOS団に対して羨望に近い眼差しを向けているのでしょう。
涼宮 ハルヒ
「一番最初に演奏することになったの!だから悪いけど、あんた達はあたし達の後に演奏するんだけど、それで良いかしら?」
………ふえ?
彼女の言った言葉に、軽音部とオルソラさんが言葉に詰まりました。
え?先に演奏するの?
でもオルソラさんの話じゃ、1時から私達の演奏があるから――――
田井中 律
「おいおいちょっと待ってくれよ。あたしらは何日も前に練習して、こんな暑い中を必死の思いでやって来たんだぞ?それをいきなり差し置いて最初に演奏するけどって、どういうことだよ?」
琴吹 紬
「ちょっと落ち着いて、りっちゃん」
いつの間にか隣でワナワナと震えていたりっちゃんの目が釣り上がっていました。
それをムギちゃんが止めています。
あずにゃんはどうして良いか分からずオロオロするだけです。
私は、不思議と嫌な気持ちにはなりませんでした。
正直、他のバンドがどんな演奏をしてくれるのかがかなり興味があるだけで、順番についてはどちらでもいいと思いました。
オルソラさんは特に口出ししてない所を見るに、順番については気にしてない様子です。
だけど雰囲気はあまりよろしくありません。
私がりっちゃんをフォローしようとしたところで、相手から動きがありました。
キョン
「皆さんの努力を知らずに一方的に言いたいことだけを言い、嫌な気持ちにさせました。すみません。ただ、皆さんは事故に遭われて到着が遅れてしまったと伺いまして、皆さんの調子が元に戻るまでこちらでタイムスケジュールを勝手に変更してしまったんです」
キョン君は私達の前に出て、頭を下げてきました。
私達はその様子を見て驚きつつ、その一言を言った後、キョン君は涼宮さん達に振り向いて、何かを話し始めました。
今後について話しているのかもしれません。
相手に頭を下げさせてしまい、逆にこちらが罪悪感を感じてしまいました。
だから私もりっちゃんに振り向きました。
平沢 唯
「ねぇりっちゃん。りっちゃんは涼宮さん達が先に演奏することに怒ってるんだよね?私達が放課後にお茶しながら練習した曲を、多くのお客さんに先に演奏されちゃうから」
田井中 律
「………だってさ、ひどくないか?さっきまでオルソラさんの口からさ、一番最初に演奏してくれって依頼してくれたのに、当の本人は別にどっちでもいいってんだろ?あんまりだぜ」
琴吹 紬
「でもりっちゃん、それはオルソラさんの気遣いでもあるのよ。到着が遅れてしまった私達に気を遣って、演奏時間をずらすのは間違ってないと思う。りっちゃんの、最初に演奏したい気持ちは分かる」
中野 梓
「先輩、別に演奏が出来なくなるわけじゃないんですから、ここは彼らの演奏を聞きましょうよ」
私はすぐにりっちゃんが怒っている理由を突き止めました。
りっちゃんは普段はおちゃらけているけど、仲間が危ない目に遭ったり、楽しい思い出を台無しにされるのを嫌う性格です。
今回の場合も、最初に演奏できると言う約束だったはずなのに、それを無下にされたことに怒っているのでしょう。
だけど、ここまで怒っているりっちゃんも珍しい。
このまま行っては、りっちゃんと涼宮さんが対立してしまい、楽しい思い出が壊れてしまうかもしれません。
この場を上手く乗り越えるための策を、私なりに考えました。
だから私は――――
平沢 唯
「でね、りっちゃん。別に私は一番最初に演奏できなくたって良いんだよ?私はみんなで、放課後ティータイムで演奏できれば良いんだ。ね?ムギちゃんあずにゃん」
琴吹 紬
「もちろんよ。それと、りっちゃん。私達のために怒ってくれてありがとう。でも、そこまで気にしてないから大丈夫よ?」
中野 梓
「そうですよ。それにしても、律先輩もあんな風に怒るんですね。律先輩の意外な一面が見られました」
2人は私と同意見のようです。
まぁ、それが分かってたから2人に声を掛けたんだけどね。
平沢 唯
「でね、りっちゃん。提案なんだけど――――」
田井中 律
「唯。皆まで言うな。言いたいことは、分かってるよ」
私が言葉を発そうとしますが、当のりっちゃんによって隔てられてしまいました。
えっ、今ので分かったの?
そう疑問を口にする間もなく、次のアクションが起きてしまいました。
田井中 律
「ちょっと待ちなよ」
りっちゃんは私を押しのけると、涼宮さん達の前に立ちました。
後ろ姿を見て思ったのが………シスターさんの格好ですることではないよね。
田井中 律
「演奏出来るってことは、楽器を使えるってことだろ?」
涼宮 ハルヒ
「もちろんよ。でなければ、演奏しようだなんて考えないわよ」
僅かに不機嫌になる涼宮さんとは対照的に、りっちゃんはちょっと嫌らしげに笑みを浮かべます。
こういう時のりっちゃんは大抵、悪い考えをしている時です。
でも、何ででしょう。
少しだけ楽しみにしている自分がいます。
田井中 律
「ならよ。どうだ?演奏対決としゃれ込もうぜ?」
涼宮 ハルヒ
「演奏対決?」
琴吹 紬
「ちょっと、りっちゃん!」
田井中 律
「そうさ。どっちが多くのお客さんを楽しませることが出来るか。それを競うんだ。どうだ、面白そうだろ?」
涼宮 ハルヒ
「いいじゃない!その勝負乗った!それで?」
田井中 律
「あん?それでって?」
涼宮 ハルヒ
「負けた方は何をしてくれるのかしら?さすがに演奏だけの勝負じゃ面白くないわ!」
田井中 律
「へっ、そうこなくっちゃな!なら、そうだな。あたしらはしばらくはここで合宿するから、負けた方は勝った方の言うことをできる限り聞くってのはどうだ?」
中野 梓
「律先輩!?何言ってるんですか!?私達はバンドの練習するために合宿に来たんですよ!?それを――――」
涼宮 ハルヒ
「決まりね!あたしらの演奏を聴いて、途中で逃げ出したりしないでよ?」
田井中 律
「へっ、あたしらの演奏聴いて弟子入り志願しても聞かないからな?………みんな、行こうぜ」
平沢 唯
「あ、待ってよりっちゃーん!」
りっちゃんが言い残すと、私達を連れてその場を離れました。
――――思った通りと言いますか、私が提案する内容をそのまま涼宮さんに告げました。
ただ、考えていたことが一緒だったことが嬉しかった。
私達がステージ近くまでやってくると、ムギちゃんがりっちゃんの肩に触れました。
琴吹 紬
「りっちゃん、良かったの?涼宮さん達とあんな勝負を約束しちゃって」
田井中 律
「いや、悪い。今になって冷静になれたんだけどさ。みんなを巻き込む形になっちまったよな。ごめんな、こんな事になっちまって」
中野 梓
「でも良い刺激にはなりそうです。これって所謂、対バンですよね?沢山のお客さんの前で演奏できるし、どんとこいです!」
琴吹 紬
「腕が鳴るわね。やるからには全力を出して演奏したいわ。唯ちゃんも頑張りましょ?」
平沢 唯
「うん!どんな演奏になるのか、楽しみだよ!」
この後に行われる演奏会で、どんな演奏が聞けるんだろうか?
考えるだけでワクワクしてきます!
でも、はて?
何か大事な事を忘れている気がするけど、何だったかな?
如何だったでしょうか?
キャラの口調は大体こんな感じだと思います。
これからも粗がないように精進して参ります。
P.S
それと、今回初めて感想を頂きました!
ありがとうございます!すごく嬉しいです!
これからも感想などをお待ちしております!