基本原作に沿って進むので、
あ、このイベントまで進むんだ
と言う目安になっております。
幼稚園でのあの一幕の後、俺達はあちこち遊び歩きすくすくと成長した。
遊び歩きとは言ったが、それは幼稚園児であるこの体ではなく、大人としての視点を持つ俺から見てである。子供の体で際限なく行われるケイドロならぬヒロヴィラは、間違いなく隠れたり、探ったり、追いかけたりを全力で繰り返す、遊びの体をしたインターバル走。
子供であっても、いや、子供だからこそ子供の社会という物があり、付き合いがあり、それは子供どうしの遊びである。一緒に遊ばないと言うのは、除け者につながるし、それは無個性であるデクに向けられる。だからこそ積極的にトレーニングになる遊びを選んでデクと他の子供達を巻き込んで遊ぶ。女の子仲間のおままごとなんかしてる暇はないんだぜ。
ふはははは、俺はかっちゃんではなくTSかっちゃんだからな。デクの交友関係だって気にしてやるのだ。
そして休みの日は、ヒーロー事務所のオッサンの所の訓練施設に一緒に行って、俺は個性制御の訓練をし、デクは格闘技の訓練をする。
この個性制御訓練がけっこう難しい。個性は限界まで使うと最大値を伸ばせるようになるんだそうだ。限界突破って感じだな。俺の場合は限界まで大きな爆破をすると、手の皮が酷い事になる。むしろ限界まで爆破したら、指が折れそうだ。なのでそこそこのデカイ爆破は最後に、小さい爆破をものすごい高速で繰り出す訓練をする。デカイ爆破も連続爆破も、結局は一度の発汗量と爆破タイミングの違いだけなので、限界突破には至れるはずだ。出す爆発する汗の量は同じだからな。
限界まで個性を使用して、個性の使用自体に慣れる。
爆発のサイズが一定になる様に意識して、制御能力を鍛える。
爆発の寸前まで持って行きながら、爆発を我慢する寸止めの練習。
この寸止めの練習は大事だ。手を向けて爆破しようとした時に、間に何かが割って入ったり飛び込んできたりしたら、巻き込んでしまって大参事になる。爆破キャンセルは日常の為にも重要な訓練なので、完璧にできるように練習した。感覚としては、コショウをぶちまけてくしゃみが出そうになるのを必死に我慢する感じ。失敗すると爆発する。難しかった。
ただ、爆破し過ぎで手の皮が厚くて硬くなってきている。女の子としてそれはどうなんだろう?
女の子の手ってやーらかーい物じゃね?
クソがっ!ハンドクリーム買わねえといけねーじゃねーか!
そしてこのヒーロー事務所、副業主体に移行した。ヴィランとの闘いで受けた怪我が原因で、ヒーローとしての活動に制限がかかったらしい。それでもヒーロー続けてるのは、やっぱりヒーローとしての誇りがあるからだろう。かっこいいじゃねえか、でもあんま無理すんなよ!
そうこうしてるうちに中学生だ。
女かっちゃんこと俺は、色々成長した。髪質が父親似だったのか、爆発ヘアーじゃなかったのでポニーテールにしている。
「この髪は馬の尻尾じゃねえ、爆弾の導火線だ。赤信号と同じ、あぶねえぞってえ印よ。」
口からはこう出てしまうが、気を長く持て、すぐ怒るな、短気は損気、導火線はまだ長い……みたいに言ってるつもりだ。原作かっちゃんの呪いは今日も元気だ。
そして、胸がやたらとデカくなった。
いくら爆破の個性だからって胸まで爆発させんでもいいだろうに。爆乳中学生とか、ロリコン共の視線がうぜえ……
普段はあんまり目立たないようにサラシを巻いてる。胸潰すように巻くから苦しい。だが、しっかり押さえてないと激しく動くと乳がモゲルかと思うぐらい痛い。牛乳に相談しすぎた……
牛乳は俺に効き過ぎたが、デクにもそれなりに効いた。原作よりも5cm程大きくなったぞ!
あんま変わらねえじゃねえか! 俺だけ効きすぎだボケがあっ!
中3の春。進路希望調査の日。
通学中にデカイヴィランが暴れて、シンリンカムイが戦って、横からマウントレディが飛び蹴りでトドメ刺した日の事だ。
デクが夢中でヒーローノートにメモしてたのをひっ捕まえて学校に向かってのホームルーム。
「えーおまえらも三年ということで、本格的に将来を考えていく時期だ!!
今から進路希望のプリント配るが……皆!! ……だいたいヒーロー科志望だよね。」
『はーいっ!』
まるでそれを合図にしたように教室中で個性を出し始める。やかましいわ!
「うんうん。皆良い個性だ。でも校内で個性発動は原則禁止な!
そういえば爆豪は『雄英高』志望だったな。」
「国立の!? 今年偏差値79だぞ!?」
「倍率も毎度やべーんだろ!?」
一旦落ち付いたはずの教室がまたざわざわ騒がしくなる。
「そういや……緑谷も雄英志望だったな」
クラスの目線が一斉にデクの方に向き、一瞬の沈黙から一斉に笑い出す。
「はああ!? 緑谷あ!? ムリっしょ!!」
「勉強できるだけじゃヒーロー科は入れねえんだぞー!」
「そっ、そんな規定もうないよ! 前例がないだけで……」
「爆豪みたいな派手な個性ならまだしも、『無個性』のお前なんかじゃ無理だろ!」
なんだと? 俺の育てたデクがヒーローに成れねえわけがねえだろ!?
「騒がしいわ! 誰が何処受けようが個人の自由だ!」
思わず一喝。でも、いつもの事なので……
「ははは、また爆豪の緑谷贔屓が出た。」
「せっかくいい個性なんだからさー、幼馴染みでも無個性なんか見切りつけちゃえよぉ、爆豪。」
「ふんっ!」
色々やってきたけど、この時代の無個性率はもはや2割。無個性に対する偏見は根深い。
俺があんまりムキになってデクをかばうと、余計に落ち込むから不機嫌さをアピールして話を切り上げさせる。
ホームルームが終わって授業が始まる。
無個性が何だってんだ、デクはそんなの関係なしにめっちゃいい子やねんぞ。
中学になって色々と変わった。やっぱり性別差ってのはデカイ。今の個性の時代にこう言うのは時代遅れかもしれないが、古くから通じる価値観として、女にかばわれるというのは男には辛いものがある。女としての自分にだいぶ慣れた俺でも、そんな男の意地ぐらいは分かる。
デクも幼稚園の時から今までずっと努力を続けてきているんだ。もっと自信持てばいいのに、無個性と言う偏見に一番囚われているのがデクだ。あの学生服の下にゃ、引き締まった筋肉が詰まってる。性格的にしやしないだろうが、喧嘩したらこのクラスでも、たとえ個性を使ったとしても上から数えた方が早いぐらい強くなってるってのに。
うじうじ悩んでるのが気に食わなくて、一足先に学校から帰る。
「言いたい奴には言わせとけ。お前の努力は誰よりも俺が分かってる。」
一言言ってからな!
むしゃくしゃして、帰りに寄り道しながら帰る。いつものヒーロー事務所だ。今日は休日じゃないからオッサンの副業の手伝いして帰る。
俺だって毎週日曜に訓練場借りてる事に感謝ぐらいするんだ。もう親戚のおっさんぐらいの気やすい付き合いだ。
そしてその帰り。なんか降ってきた。
それは泥みたいな物が入ったペットボトルで、落下の衝撃で中身がぶちまけられた。
「うわっきたねえ! しかも臭えっ! くっそ、ついてねえぜ。」
さっさと帰って風呂に入ろう……臭い女の子ってありえない。それが俺とか、もっとありえない。
ん? まてよ? 何か引っかかるぞ? 記憶の彼方からの警告のようなものが……あっ!
「隠れミノ……」
「ヘドロ野郎!?」
気が付いた時はヘドロみたいに臭い液体状のヴィラン、ヘドロ野郎が俺に巻き付いていた。
くそ、何とか引きはがさないと、このままじゃヤベエ!
「クソッ! 離れろや不燃ゴミがっ! 吹き飛べ!」
思わず爆破するも、こうも密着されていたんじゃ引き剥がせない! 俺自身を巻き込んで爆破したとしても、剥がせるかどうかわからねえ。その上、液体状の体は掴んで引っぺがす事もできない。
「大丈ー夫。身体を乗っ取るだけさ。苦しいのは約45秒……すぐに楽になるさぁ。
それに、いい個性持ってるじゃないかあ! 大当たりだぜえ!」
「きゃーっ! ヴィランが女の子を襲ってるわあ!」
「誰かヒーロー呼べっ!」
周囲が騒がしくなってきた。クソっ! 剥がれろ!
ヘドロの分際でJCに抱きつくとか、事案じゃすまさねーぞっ! ゴルァッ!
あっ! 服は剥がれるな! ヘドロだけ剥がれろ! やめろこの変態がっ!
JCにスライムプレイかよ、完全にR18じゃねーか! あ、サラシがっ!
来たのはデステゴロか? デステゴロじゃ役に立たねえ! 次! チェンジだチェンジ!
あ、やっべ、俺の爆破で火事おきてんじゃねーか! すまんバックドラフト、火事は頼んだ。
これ以上火が付くのはまずい、効果の薄い爆破はもう使えねえ。
くっそ何とかしねえとそろそろ息がヤベエ……
ぐっ、意識が、誰か……デク……助け……
「うわああああっ!」
何かが飛んできてヘドロの目に当たって拘束が緩む。助かった! 息ができる!
ヒーローだ! あ? デク?
「デク! 何してんだ! てめえ! バカ! 怪我すんぞ、早く逃げろ! 何で来た!?」
「君が、君が助けてって顔をしたから!」
うぐっ! デク、立派に育ったな……こんな状況なのにキュンと来やがったじゃねえか!
その後、駆け付けたオールマイトに助けられて、俺もデクも大きな怪我もなく助けられた。
やっぱりオールマイトはかっけー。そして俺のデクもかっけーなあ!
オールマイトに助けられ、ヒーロー達によく耐えたと褒められるが、「俺が逃げそこなったせいでこんな大事になっちまったんだから、あんま褒めないでくれ。」と
「それからバックドラフト。
俺が考えなしに個性使って抵抗したせいで火が付いたところ、消してくれて助かった。ありがとう。」
火事ってのは恐ろしいもんだ。それと戦う消防士でもあるバックドラフトは、例えヴィランと戦っていなかったとしても、間違いなく人々の日常を守るヒーローだ。
で、次はデクだ。他のヒーローにも叱られていたが、俺も言わずにいられない。
「デク! おめー、無策で来やがったな!
液状で物理効かねえんだから、せめて近所のホームセンターでセメントかなんか、固められるようなもん用意してこいよ。
前から言ってただろ、身体鍛えて、道具使って、頭使えって。
プロヒーローですら手が出しづらいやっかいなヴィランだってのに、無策で来るんじゃねえよ!」
ヒーローに叱られて落ち込んでいたデクが、助けられた俺にまで言われてますます落ち込む。
「そんで最後に、助けに来てくれてありがとよ。嬉しかったぜ……ヒーローみたいだった。」
「か、かっちゃん!」
俺はデレる時はデレられるツンデレ。落としてから上げるぐらいわけないぜ。くそ、恥ずかしい。耳まで熱いぜ。
その後俺は、警察で事情聴取うけて、迎えに来てた両親に連れられて帰った。
心配かけてしまって悪かったな。
この日までは原作の動きがない日々だったから、完全に油断してたぜ……
こっからはもう油断なんかしねえ!
あと、テレビからネットに出回った爆乳JCベトベト事案とか言う動画、上げた奴ブッコロスぞゴルァッ!
TSかっちゃんがヘドロに襲われたら、どうみても事案ですね。
絵面だけ見ても、完全にR18ですよ。
鋼メンタルなかっちゃんじゃなきゃ、立ち直れないところだった。
そして、マンガ世界だけあって、牛乳の効果がばつぐんだった。
耳郎ちゃんも、もっと牛乳飲めばいいと思うよ。