個性把握テストと言われたが、実際は一般的に学校で行う体力テストを個性ありで行うだけだ。
元が体力テストだけあって、体力を強化できる系統の個性に有利ではある。
まあ、どんな個性でも使いようではあるが、増強系はオールラウンダーだ。
50m走
飯田が好記録を出したが、クラウチングスタートからの両手両足を使った爆速ターボ改で2秒フラットを出す。普通に爆速すると、爆風で隣のレーンを走るデクが巻き込まれる。だが、爆発で走る事をあらかじめ伝えて、お互いのレーンの端に寄っておいたし、爆発を爆風特化にした上で収束させる事ができるようになっていたのでデクを吹き飛ばさずに走る事ができた。というか飛んだ。まるで人間ロケットだ。
ゴールまで一気に飛びぬけて、ゴール後にずざーっと滑って止まる。
デクもフルカウルができるように訓練が進んでいたので、2秒少しと俺に迫る好記録だ。直線なら4つの噴射口を全部後ろに向けて飛べるから、俺の方が速い。あれだ、ロボットが変形したら速く飛べるみたいなやつだ。
デクと目が合った。思わずハイタッチ……いいだろ、別に。お互いいい記録が出たんだし。
睨むなよ峰田。お前もいい記録出来たら女子とハイタッチぐらいできるって。誰とできるかは知らんが。
握力
これは仕方がない。爆発で握力は強化できないのだ。爆風に負けないように握力はつけたが、ちょっと力が強すぎる女子ぐらいの力しか出せない。
デク、障子、あと万力を出した八百万が目立った活躍をしていた。
砂藤、5倍ぐらいじゃあの連中を相手取るには力不足気味だな。
いい能力なんだがなぁ……格闘技やるといいぞ? 多分相性がいい。
インパクトの瞬間だけパワーを5倍! とかめっちゃ少年漫画的だろ。
立ち幅跳び
跳ぶ瞬間に、足の爆発を重ねて大きく跳躍する。記録は30mちょい。
空中でも爆破を続ければさらに記録を伸ばせただろうが、テストはまだ続く。
10分程度の全力行動ならともかく、授業一杯爆発させ続けたらスタミナがもたない。
原作でもそうだったが、途中で足手まといになるようなやり方は相澤先生の嫌いなパターンだ。
クレバーにペース配分考えて、最後までハイパフォーマンスを出さなきゃな。
反復横跳び
峰田がもぎもぎの反発で、ものすごい勢いで跳ね回っていた。分身するレベルの高速反復横跳びは、この種目でダントツの計測不能だった。
俺も左右の小爆破で回数を増やしたが峰田程の記録は出せなかった。
って言うか、あいつ。あのレーンもう使えねえじゃねえか。なんで自分で剥がせないんだ? ああいうのって自分だけが剥がせるってのが強みになるもんじゃないのか? もっと個性鍛えたら化けるぞ、ありゃあ。
デクも残像が映るぐらい反復横跳びしていた。
フルカウルって、なんかパワーとスピードに特化しすぎてないか?
オールマイト見習ってマッスルフォーム身につけろよ。マッチョなデク、かっこいいと思うぞ?
その後も順調にソフトボール投げや上体起こしと進んでいく。
爆速でスピードは誰にも負けねえ自信がある。爆発の威力を使えるのがソフトボール投げぐらいしかないのが残念だが、素の力だってトレーニングを続けていたんだ。他の奴らにもそうそう引けを取らない。
デクもフルカウルを身につけていたおかげで、かなりの好記録を出し続けている。
と言うか完全に上位陣だ。最下位の心配はない。
心配がある奴は峰田だ。
反復横跳びはダントツだが、他の種目が軒並み低い。
体格の問題だから仕方ないとは言え、個性のもぎもぎではパワーやスピードを強化する事は出来ねえ。
戦闘では便利でいい能力だが、こんな体力テストでは全く役に立たねえ。
それが分かっているからこそ、峰田もめちゃくちゃ焦っている。
残っているのは長距離走と長座体前屈。
長座体前屈は体格からして無理としか言えない。
もぎもぎを繋いで伸ばしたとしても、もぎもぎ自体はピンと伸びるものでもないから使えねえ。
つまり、なにか記録を残せるとしたら、次の長距離走だけだぞ?
発破かけてやるか。こいつが居ないと、USJでデクがヤベー。
……いや、そんなのは自分に吐いた嘘の言い訳だ。
デクを育てた事に恥じる物はないが、デクの成長の為に犠牲が出るなんてのが嫌なんだ。
俺が原作介入したから、なかった犠牲が出てしまったと言う事が嫌なんだ。
これは、デクの問題じゃなく、原作を知ってる俺の気持ちの問題で、ただの我儘だ。
スケベ小僧の視線は嫌だが、俺はこいつが嫌いじゃない。雄英で一緒に生活して、ヒーローになってほしい。
「葡萄頭、次の長距離走でなにか残せなきゃ……テメーは終わりだぞ?」
「ば、爆豪!?」
すげー切羽詰まった顔で悲鳴を上げる峰田。だが、こいつのもぎもぎを使えば長距離走で結果を出すことは可能だ。
長距離走なんて言ってるが、結局のところ個性を使う5キロの徒競走。
しかもトラックを周回するだけだ。周回するところがいい。
「反復横跳びで見せたテメーの頭の玉。なんにでもくっついて、お前自身は跳ねる。間違ってないな?」
「あ、ああ。俺のもぎもぎはそう言う個性なんだ。
なんの力の足しにもならねえ! どうしようもないんだっ!」
「やりようはあるだろ、次の長距離走ならな。どんな能力も使いようだ。」
相澤先生なら、本当に峰田を除籍にするだろう。
体格と言うあからさまな弱点を補う努力を怠ってきたヤツに、ヒーローは務まらないと。
だが、一つでも根性を見せられれば除籍にはしないはずだ。
原作でデクの時にそうだったように。
だから、峰田に策を授ける。
「一発でも失敗したらその後はダメかもしれねえ危険な賭けだ。
だが、上手くいけば長距離走で一番になれる。
根性見せてみろや、葡萄頭!」
「オイラやってみるよ! 健闘を祈っててくれ!」
「根性のあるやつぁ嫌いじゃねえ。やってみせろ。」
長距離走のスタートラインに並び、簡単な合図で走り始める。
「かっちゃん、峰田君にアドバイスしてたね。」
隣を走るデクが、なにやら楽しそうに喋りかけてきた。
「ああ、あのままだとあいつはヒーローに成れねえからな。」
「かっちゃんって口は悪いけど優しいよね。ボクもずっと助けられてきたし。」
「ばっ! なな、なに言ってやがる!」
まさかデクにからかわれる日が来るとは思わなかった! 俺は優しくないぞー! 不良少女バクゴーなんだぞー!
クソっ、耳まで赤くなってる気がする。
「先行くぞゴルァッ!」
爆速で直線を高速で駆け抜ける。これは逃げではない! ないったらないんだ!
峰田は1周目をあえてアウトコースを走りながら、等間隔にもぎもぎをコースに投げていく。
原作の体育祭では設置しながらその上を走っていたが、今の時点ではまだそれはできないようだ。
2周目に入った時、そこからが峰田の本当のスタートだ。
「いくぞーっ!」
もぎもぎに一歩目をかけ、峰田が跳ねた。次々ともぎもぎの上を跳び進む。
それは一歩踏むたびにどんどんと加速していき、ちょっと危険な速度にまで達した。
前世の格ゲーのゲージつかったコンボ技みたいに後ろに分身を引き連れる程の驚異的な速度!
でも加速しきってしまったら、一歩でも足を踏み外したら転倒し大怪我する危険がある、ある種の賭け。
それが俺の授けた策だ。
インコースだと旋回半径がきつくて曲がり切れない程の速度。だからこそのアウトコース。
他の生徒との接触事故を避けるためと、少しでもコースアウトする率を下げるための大外。
最後まで集中切らすんじゃねーぞ、峰田!
原作でのお前は、追い詰められて泣きが入ってからの爆発力がすげーやつだった。
テメーの根性と底力、相澤先生に見せつけてやれ!
峰田は長距離走をたった数分で走り抜き、ぶっちぎりで1位になった。その次はスクーターを出した八百万。そして走るのに向いてる飯田と続いた。
飯田の最高速、なかなかヤバイな。速度に乗りきるのに時間がかかって八百万には追いつけなかったが、もっと距離があるか、ギアのあげ方が上達すれば誰も追いつけなくなりそうだ。
しかも、まだ高校生になったばかり。個性限界を伸ばしたら、まだギアそのものが増えるはずだ。委員長みたいな見た目の癖に走り屋すぎだろ、オイ。
その次にデク、俺は真ん中あたりだった。峰田のジャンプに影響が出ないように、あの後爆速を使わなかったし、その後のアクシデントもあったから仕方ねえ。
峰田がゴールした後に止まれなくなって泣きだして、見てた俺まで焦った。
俺の授けた策の結果だし、しょうがねえと爆速で後ろから追いついて捕まえて止めてやったら、あの野郎、俺の胸を堪能してやがった。
「根性あんじゃねえか、峰田。もう大丈夫だぞ?」
「ふへへへへ、これがヘドロの時の爆乳ぅ……」
「このクソブドウがっ!」
クソがっ! 峰田はこう言うやつだったよ! USJでも隙あらば梅雨ちゃんの胸触ってたしな! 見直した瞬間見損なったよ!
思わず投げ捨ててやった。止まった後だったから怪我しなかったが、怪我しても良かったんじゃねーかな? リカバリーガールに直してもらえるんだから。
ん? なんかデクの顔が笑顔のまま固まってるな。そのまま峰田を捕まえて……?
デクの事だからスケベ談義に花を咲かせることもないだろうし、説教してるのか?
うん、その性欲の権化に説教しても無駄だぞ?
そいつは死ななきゃ治らないタイプのスケベだからな。
そんな様子を見ながら残りの周回を走ってたから、順位が真ん中あたりだったんだよ。
「んじゃ、パパッと結果発表。
トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括表示する。
ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す、合理的虚偽。」
『はーーー!!?』
ほっと胸をなでおろす最下位峰田と、騒ぐ他の生徒達を見ながら、八百万がやれやれといった様子で言う。
「あんなのウソに決まっているじゃない。ちょっと考えればわかりますわ……」
「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類あるから目ぇ通しとけ」
そんなやり取りをして相澤先生は去っていった。
姿が見えなくなった頃、思った事が口を突いて出てしまった。原作知識があるせいでつい口が滑った……
「合理的虚偽って方が嘘じゃねーかよ。まったく人が悪いぜ。」
「かっちゃん、どういう事?」
生徒達の視線が俺に集中する。その中、まるで代表するようにデクが聞いてきた。
「オメーら知らねーのか?
一つ上の学年で、見込みがねえってクラス一つ全員除籍になったって話。
その除籍にした教師は、相澤消太って言うんだぜ?」
『え!?』
生徒達が俺の言葉に凍り付いた。特に峰田の驚愕の表情がクソヒデエ。
一応、本当かどうか調べたんだけど、去年の1年、クラスが一つ少ねえんだよ。
あの話、本当にやってやがったんだ。さすがの俺もビビったわ。
デクのワン・フォー・オールの制御の訓練の様子見る為に一緒に来た時だから、半年前には既に除籍になってやがった。
「相澤消太、抹消ヒーロー・イレイザーヘッド。
自分にも他人にも厳しいストイックすぎるヒーローだ。
よかったな、峰田。テメーには見込みがあるってよ。」
「イレイザーヘッド! そうか! あの包帯とゴーグル!」
デクが今気付いたと叫んだ。
フルカウルを身に付けさせていたから、ソフトボール投げのイベントが起きなかったんだよな。
USJ事件に向けて紹介しといた方がいいだろう。
「さっさと更衣室行って着替えようぜ。今日の授業は終わりみてーだしよ。」
固まったクラスメイト達に一声かけて着替えに向かう。
更衣室で峰田のせいでずれたサラシを巻き直す時に、耳郎にすげえガン見されて騒ぎになった。
おい、やめろ、揉むな! って、今揉んだの誰だ!? また巻き直さないとダメだろうが!
え? 八百万、お勧めのスポブラあんの? 痛くない? 今度一緒に買いに行かない?
悪いな耳郎、テメエの胸の大きさは俺にはどうしようもできん。
牛乳に相談しろ。マンガの世界だからきっと効果があるさ。
俺みたいに。
原作だと明日は戦闘訓練だっけ。
気合い入れていくぞオラアッ!
デクが魔改造されてたら、個性把握テストの最下位って峰田君だよね。
峰田君が除籍されないためには根性を見せるしかない。
除籍の危機は、TSかっちゃんがデクを改造したからと言う事もあって、助ける策を考えたよ。
でも、もぎもぎボールの峰田君が根性みせられる種目なんてあるかな?
なんとか考えたのが、持久走もぎもぎジャンプ作戦。
本来の持久走は1500なので、かなり嘘でできています。
3話頭で、知らないふりをしておきながら、骨と皮の不審者おじさんにあっさりデクをあげてしまったのは、TSかっちゃんが原作を知るからこその「やらかし」です。
実際に辻褄合わせであり、表向きの理由が何一つありません。
ただ、デクはこの時憧れのオールマイトに訓練を付けてもらえることに浮かれて目が眩んでおり、
オールマイトも後継者候補を見つけた! と、今は気が付いていません。
あとで原作知識告白する準備です。
今日は体調が悪いなーと思ったら、指先が震えて手足に力が入らなくなり、目眩はするし頭は痛いしで酷い目に遭いました。
たぶん熱中症。もしかしたらこんなに投稿したの初めてだから、豆腐メンタル症候群かもしれないけど。
みなさんも、この異常な暑さにはお気を付けください。