魔法界のベンチャー企業が魔法のプログラミングに成功させて一儲けしてたりとかあったら面白いな
追記: ごめんなさい、間違ってアズガバンのとこに挿入してしまいました。炎のゴブレット編の最終回で合ってます
恐れていた事態が起きた。
幾度となくタイムリープで問題を解決してきた僕だったが、それができたのには理由があった。
第一に、十分に準備できるだけの時間を飛ぶことが出来たこと。
未来を知っていても、それに対策できなくては意味がない。場合によっては飛びすぎることもあったが、準備に時間が足りなかったことは一度もなかった。
2年生のときの二回のタイムリープは飛んだ時間こそ短かったものの、その時間内で解決することが出来たのだ。
次に、僕がどうにかすればなんとかなる事象しかおきていなかったことだ。
いままでの出来事は、ほんの些細なことがきっかけで発生したものだった。そのきっかけにさえ触れることが出来たら、僕でもどうにかできるくらいだ。
例えば、今年一回目のタイムリープのときは、セドリックにドラゴンのことを教えただけで解決できた。僕自身にドラゴンを倒す力はないが、ドラゴンにセドリックが殺される未来を回避することは十分に可能なのだ。
だが、今回のタイムリープはそのどちらも満たしていない。
僕はいま客席に座って手をめいっぱい握っていた。
隣に座っているハーマイオニーは両手を握り、目をつむって何かを祈っていた。
いや、祈っている内容は丸わかりだ。それはハリーの無事と優勝だろう。
今は第三の課題の真っ最中なのだから。
どうするどうするどうする!?
なんで戻ってくるのがこの時間なんだ!
もっと前に戻してくれれば、セドリックが死ぬのも回避できたし、ムーディが死喰い人とつながってる証拠も手に入れることが出来たかもしれないのに!
僕の力だけでムーディを倒すなんてまず無理だ。あのときも自分が何をされたのかなんてわからなかった。
他の人に協力を要請しようにも、ムーディが死喰い人と通じてるなんて言って信じてくれる人がいるとは思えない。ダンブルドアでさえ信じ込んでるに違いない。
じゃあどうすればいい。今のうちにムーディに呪文でもかけるか?いや確実にぼくが悪者になってしまう。
ハリーが帰ってきたらこの場に拘束しておくか。ムーディと二人だけにならないように。いや、ハリーは呆然として、とても僕の言うことなんて聞いてくれそうには見えなかった。一般的に考えたら、あの場にいるよりホグワーツの中の方が安全だし、何より、静かな場所で話を聞くことが必要だった。
準備する時間もない、自分だけの力じゃどうしようもない。
この状況を解決する方法を僕は一つだけ知っていた。でも、僕はこれを今まで避け続けていた禁じ手だ。本当にやってしまっていいのだろうか。
僕は目をぎゅっとつむって、しばらく考えた後、目をあけてある決心をした。
僕は座っていた客席を離れ、ダンブルドアのいる審査員席の方まで近づいた。みんなが試合に集中していたからか、最初から警備とかがいないからかはしらないが、僕はだれに止められることもなくそこにたどり着くことが出来た。
これは僕の人生の中でも一大決心だ。
深く深呼吸をして、自分を落ち着かせる。
やがて意を決したように、ダンブルドアの肩をちょんと突いた。ダンブルドアは不思議そうな顔をしてこちらに振り向いた。それが僕だと分かると少し顔が柔らかくなったが、疑問を持った顔に変わりはない。
「……ダンブルドア先生、もうすぐハリーとセドリックが戻ってきます。ですが、そのセドリックはすでに死んでいて、ハリーは例のあの人が復活したって言います。そして、ムーディ先生がハリーを連れ出します。もしこのことが本当に実現したら、その後に僕が言うことを信じてくれませんか?」
ハリーが危険なんですと付け加え、僕は小さな声でダンブルドアにそういった。
ダンブルドアはそれを聞くと、僕の目をじっと見つめたまま、疑惑の表情をうかべていた。そして、何か発言しようと口を開いた瞬間、スタジオが大きく湧いたため、それに気を取られ声が実際に出ることはなかった。
僕もダンブルドアもスタジアムの中央に顔を向ける。ハリーが、セドリックの亡骸を抱きしめたまま震えていた。
ダンブルドアはすぐさまそちらに駆け出した。
僕は動けなかった。
先程座っていた場所からではちゃんとは見えなかったセドリックの亡骸を、はっきりと視認することが出来たから。
その目は見開かれていた。体は硬直して、皮膚もどこか青白い。
僕が今まで見てきたどの死よりも、それは生々しかった。
今まで見てきた死が、より一層身近なものに感じてきて、僕は気がついたら震えが止まらなくなっていた。
今までのこと、そしてつい先程の世界が脳にフラッシュバックする。
これほどまでに死を怖いと感じたことはなかった。
「ミスターウィーズリー。君は一体何を知っておる?」
ダンブルドアは僕の両肩を掴み、小さすぎず、それでいて周りに聞こえない絶妙なその声で、僕はわれに返った。いつの間にかダンブルドアは僕のいた客席の方まで戻ってきていたのだ。
「先生、裏切り者はムーディです!あいつがハリーを殺そうとしてます!場所はあいつの部屋です!」
僕がそう言うと、ダンブルドアは「ミネルバ!セブルス!」と叫び、尋常ではないスピードで学校の方に向かった。セドリックを取り囲んでいたスネイプとマクゴナガル先生もそれに続いた。
僕もそれに続こうとしたところで、城から白い鳥が飛んでくるのが見えた。それはまっすぐ僕のもとに来て「そこでまっておれ」とダンブルドアの声で話すとそのまま消えてしまった。ダンブルドアの守護霊だろうか?
僕はハーマイオニーの元に戻って待機しておくことにした。今すぐにでもハリーに会いたいが、ハーマイオニーをいかせるわけにもいかないし、ダンブルドアの指示もあるしで、競技場でじっと待っていた。僕の脚は落ち着きなく小刻みに揺れており、僕もそれを止める気にはなれなかった。
僕達はママや兄弟達とも合流し、みんなでダンブルドアを待っていた。ママは「ダンブルドアもついているんです。きっとだいじょうぶよ」と言っていたが、だれよりもママが震えていたことに僕は気がついた。
一時間ほどたった頃だろうか。マクゴナガル先生が僕達のもとに来た。
「ウィーズリー、グレンジャー、ダンブルドア校長がお呼びです。医務室に向かいましょう。ミセスウィーズリー、あなた達もよろしければご一緒に」
「先生!ハリーはどうなりましたか?!」
「安心なさい、ポッターは無事です。今は校長が話を聞いているところです。ポッターもあなた達といたほうが心休まるでしょう」
その言葉に僕達はホッとした。
ムーディのことも聞きたかったが、ダンブルドアと僕の話を聞いていないマクゴナガル先生にそれを聞くのは不自然だと判断したので、やめておいた。
医務室に行く間、誰も何も話さなかったので、静かな城の中に僕達の足音だけが響いていた。
医務室につくとハリーはすでに眠っていた。一瞬死んでいるのかとビクッとしたが、寝息が聞こえくると緊張感もとけた。
ベッドのそばでは、黒い大型犬が心配そうにウロウロしていたが、こちらの気配に気がつくと、小走りで近づいてきた。
「パッドフット、ハリーの具合はどうだい?」
パッドフットとは、この大型犬ことシリウス・ブラックのコードネームの1つである。マクゴナガル先生はどうかわからないが、ママは確実にシリウス・ブラックが味方であるということを知らないので、それを気遣ってそう呼んだ。
パッドフットはおすわりをし、静かにワンと吠えた。この様子からするにおそらく大丈夫だろう。すると、奥からダンブルドアがするりと現れた。
「ハリーは今しがた眠ったところじゃ。皆にはハリーに寄り添っていてほしい。ハリーは大変な戦いを終えてきたばかりじゃ」
「先生、一体何があったんですか?」
ママは不安そうな声でそう尋ねた。ダンブルドアは重苦しい声色でそれに答えた。
「復活したのじゃ。ヴォルデモートが」
そこにいたみんなが息を飲んだ。例のあの人の名前をためらいなく口にしたためだ。ダンブルドアはそれに構わず話を続けた。
ハリーとセドリックが墓場にいったこと、セドリックが殺されたこと、復活したヴォルデモートとハリーが対決し、逃げ帰ってきたこと。
僕達は静かにそれを聞き続けた。
「というわけじゃ。今後についてはもう少ししたら話そうと思う。とりあえず今はここで待っといてくれ。ああロン、少しいいかね」
僕はファーストネームで呼ばれたことに少し驚いたが、よく考えたらこの場にミスターウィーズリーは4人もいることに気づき納得した。僕はダンブルドアと一緒に医務室を出て、そしてそのまま校長室に向かった。
医務室から少し歩いたところでダンブルドアは止まった。そこにあったガーゴイル像に何かを言うと、それが意思を持ったように動き出し道を譲ったのだ。
ガーゴイル像の脇を抜け、扉をくぐった先は校長室だった。ハリーから校長室の中の様子は聞いたことがあったが、なるほどこれはとても興味深い。
様々なアイテムやギミックがある点ではムーディの部屋に似ているが、校長室はもっと荘厳で、もっと穏やかだった。ダンブルドアの性格がにじみ出てる気がする。
ダンブルドアに促され、近くにあった椅子に座ると、彼も自身の椅子に腰を掛けた。
「さて、わしの聞きたいことはわかっているとは思うが、はっきりと口にだして質問させてもらおう。なぜ、ムーディの裏切りを知っておった?いや、その質問は適切では無いな。訂正しよう。なぜ、未来の出来事を知っておったのじゃ?」
ダンブルドアの今までにない真剣な表情に、少し萎縮するが、僕ははっきりとそれに回答した。
「先生、信じてもらえないかもしれませんが、僕は過去に遡ることができるのです。それも僕の、なんていえばいいんだろう、魂とか精神とか記憶とか、そう言ったものだけが。僕はその力を使って何度も過去を変えてきたんです」
ダンブルドアは信じられないというような顔をした。目を見開き、体を乗り出していた。
「前の世界で、ハリーはムーディに殺されました。それで僕は第三の課題まで戻ったんです。でも、僕にムーディをなんとかできるだけの力はないし、他の人に頼もうにも、ムーディには信頼もあったし、なにより彼がハリーを殺すなんて言ってもだれも信じてくれないと思ったんです!だから僕は、ダンブルドア先生にムーディをなんとかしてもらうために、未来で起きた出来事を話したんです」
早口な僕の話を聞いたダンブルドアはしばらく動かなかった。やがて、ダンブルドアは腰を自分の椅子にかけ直し、僕の目をじっと見ながら口を開いた。
「すると君は、逆転時計とは違った方法で時間を超越するすべを身に着けているということなんじゃな。だが、一体どうやってそんなことを?」
「わかりません。勉強をして身につけたんではなくて、気がついたらこの力が使えていました。でも僕にはこの力がコントロールできないんです。これは人が死ぬ瞬間をみることで、勝手に発動してしまうんです。そして、戻る時間も僕の意思では決まりません。多分その人の死の分岐点に飛んでるんだと思います。だからこそ、今までも何とか人の死を阻止してこれました」
僕はタイムリープについて、自分のわかる限りの見解を述べた。薄々そうだろうなと思っていたことを口に出したことで、自分の力を改めて理解した。
その後、今まで僕が経験してきたことをすべて話した。初めてタイムリープしたときのこと、一年目の屋敷しもべ妖精の対処の仕方のこと、二年目のロックハートの無能さ、三年目のスキャバーズの謎などを。すべて話し終わったときには、喉がカラカラになっていた。
ダンブルドアは僕の眼をじっと見つめ、意を決したかのように口を開いた。
「まことに信じがたいが、全て真実のようじゃな。じゃが、わしにも何故そのような力が君に宿り、どんな仕組みで働いているのかはわからぬ。1つだけ確かなことは、君がこれまで多くの人の命を救ってきたということだ。それはとても気高き行為で、到底誰にでもできる行為では無いということじゃ」
ダンブルドアは一息ついて話を続けた。
「とにかく今日は君も休むべきじゃ。わしとともに医務室に戻ろう。勇気を持って話してくれたことを、わしは誇りに思う」
今まで僕は自分が行ってきたことが正しいことなのか確信が持てなかった。自分が未来を変えてしまったせいで、別の誰かが不幸になってるかもしれない。死の運命から逃れた人は、その代償になにかを失っているのかもしれない。
そんな
思い切ってハリーやハーマイオニーに言おうと思ったこともあった。
でも、できなかった。
馬鹿にされることが怖かった。信じてもらおうにも証拠なんて用意できない。今回みたいに未来で起こる出来事をあてたとしても、信じてもらえるとは限らないし、それにいつどこに戻るかも分からないので、未来に起きる出来事を正確に記憶しておくことは難しかった。
今まで1人だけで戦ってきた僕は、ダンブルドアのその言葉に救われた。
正史との相違点
・なし