〇フーパ―というクィディッチキーパー
ロンとクィディッチ選抜試験で争うグリフィンドールの生徒です。
腕はいいが、性格が最悪
〇ロンとハーマイオニーが監督生
2人は5年生になるとともに任命されます。ホグワーツ5年目初日、ロンは監督生として1年生を呼びかける際にありえない暴言をしてハーマイオニーに怒られてます。
14. 死の恐怖
僕は五年生になった。
列車の中で久しぶりにあった友達らは「あーもう5年生かー」「あっという間だったな」「ふくろう試験!ふくろう試験!アーッ!」といったことを口々にもらしている。
もしこの感想が普通だとしたら、僕はいささか特殊なのだろう。
「7年通って、まだ5年生かあ…」
特殊過ぎた。
僕はタイムリープをする力を持っている。
多分生まれつきなのだろうが、この力に気がついたのは9歳の頃だ。当時の僕は自分の隠れた才能に驚き喜んだものだったが、それを自分の意思で起こすことができず、徐々に夢であったと思うようになっていった。
しかし、ホグワーツに入学すると、この力が頻発するようになり、徐々に特性もわかってきた。
まず、誰かが死ぬところをこの目で見なくてはいけないこと。
今まで、ハリーが高いところから落ちたり、ハリーが呪文をくらったり、ハリーが事故にあったりしてきたところを多数見てきたので、おそらくそうであろうと思っていた。また、セドリックの遺体を見てもタイムリープが起こらなかったことから、明確に死の瞬間ではないといけないのでは無いかと仮説を立てていた。
次に、戻る時間はその死を回避できる地点であること。
今まで、何度もタイムリープを繰り返してきたが、結果的にタイムリープが起きる原因となる死は今まで回避してこれた。3年次にタイムリープを2回した時は2回とも同じ地点に戻ったが、結果的には死を回避できた。そのときほぼ1年分も戻ったせいで、ホグワーツ3年生を実質3年過ごしたことになっているのだが、些細な問題である。些細な問題か……?
他のタイムリープで戻った分も合わせると1年くらいは多分あるので、5年生になったばかりにも関わらず、すでに7年ほどホグワーツに通っていた計算になる。留年のシステムがないホグワーツにおいて、僕は最も長く学生であった魔法使いとして歴史に名を残すかもしれない。できれば、違うことで名を残したいところではあるが。
この力の副作用とでも言えばいいのだろうか、僕の中で死に対する関心が異様に低くなってしまっていた。
誰かが死んでもあまり悲しまなくなり、むしろ死を利用しようとさえしてた。だが、僕は去年、死を初めて実感した。命の抜けた体を初めて見た。
僕はそこで初めて死に恐怖した。命の不可逆性も感じた。死に対して人より関わっていたからこそ、それらをより強く感じた。これからは誰も死なせない。この力なんて使わなくてもすむようにしたい。
もっと強くなろう。
僕はホグワーツ行きの特急の中でそう誓ったのだった。
そう誓ったのだが。
「……開放的で効果的で、かつ責任ある新しい時代へ」
大広間での演説を終えたピンクの大きなガマガエルがでっかい尻を椅子に落とした。ダンブルドアはじめ、先生陣と生徒のごく一部がまばらな拍手を送っていた。
「ありがとうございました。アンブリッジ先生。まさに啓発的じゃった」
ダンブルドアはそれから諸連絡を続けた。
なんだあのガマガエル。要領の得ない話で耳をすり抜けていってたのだが、役人は会話に中身をもたせてはいけないのだろうか。それとも話の中身のないやつが役人になるのだろうか。
そう考えたときにふとパーシーの顔が頭をよぎった。
それに、ダンブルドアの生まれた地方では「啓発的」は「たまらん馬鹿が精一杯くそみたいな話をしていて滑稽だ」みたいな意味があるのだろうか。あったとしたら僕はダンブルドアに一生ついていきたい。
「ええ、本当に啓発的だったわ」
ハーマイオニーが低い声でそういった。彼女も皮肉がうまくなったものだ。
「ありゃこれまでで最高につまらない演説だった。パーシーと暮らしてた僕がそういうんだぜ」
僕は呆れながら言った。あの話から得られるものなんて、何もないと思った。
だがハーマイオニーが言うには、どうやらあのガマガエルの言葉の裏には「魔法省がホグワーツに干渉する」という意味が含まれていたらしい。
馬鹿げている。しかもそのガマガエルは闇の魔術に対する防衛術の先生ときた。これで去年一昨年みたいな実践的でマシな授業になるとは思えない。
そうこうしているうちに宴会は終了した。嫌な予感を胸に秘めつつ、僕は監督生として1年生の案内に向かった。
「おい――おい、おまえたち、ジャリども!」
「ロン!」
ハーマイオニーに怒られた。1年生をジャリと呼んではいけないらしい。そういうことは校則にちゃんと規定してほしいものだ。まあ流石に「下級生をジャリ呼ばわりすることを禁ずる」みたいな校則まで書き出したら、校則がいくつあっても足りないし、そんなこと起こるわけ無いか。
案の定、闇の魔術に対する防衛術の授業はクソだった。
呪文を使わない。理論だけ学ぶ。ハリーやディーンの言っていた通り、これが一体何の役に立つというのだろうか。
これだったら、ロックハートの方がまだマシだったぜ。少なくともあいつは呪文を禁じていなかったし、それに実践重視だった。なお、本人の実践は一度も見たことがない。
そして何よりも許せないのは、あいつがハリーに対して体罰をしていることだ。ハリーは、体罰のことを他の先生にいうことをあいつに対する負けだと考えているため、その罰則を甘んじて受けている。
このままじゃダメだ。僕達だけでアンブリッジに立ち向かえるようにしなきゃ。いやアンブリッジだけじゃない。死喰い人にも、例のあの人にも、僕達は立ち向かわなきゃいけないんだ。
今日は宿題を片付けるために日の出とともに起きたので異常なくらい眠いが、善は急げだ。僕は夜中にハリーとハーマイオニーを集めた。ハリーは、キーパーの選抜試験を来週に控えているので、そのことでクィディッチメンバーで会議していたらしく少し遅れてきた。ちなみに選抜自体にはハリーは罰則で行けないことが確定している。おのれアンブリッジ。
「そういうわけなんだが、どうかな。ハリー、ハーマイオニー」
僕は闇の魔術に対する防衛術の実践的な自主練をする組織の設立を彼らに提案した。僕なりに考えた結果、これが一番目的の達成に有効だと思ったからだ。
「私もちょっと考えていたわ。今のホグワーツにいても、私達に戦う力はつかないわ。だから、やるの自体は賛成なんだけど、勝手なことをして騎士団に迷惑をかけないかがちょっと不安だわ」
ハーマイオニーからの賛同が一瞬で得られたことに何より驚いた。彼女は規則を何より重んじるので、先生に対する反逆とも取れるこの組織の設立を何より反対すると思っていた。
「ダンブルドアなら、それもお見通しにしてそうだけどね。それに、もしダメって言われたらその時やめればいいさ。誰に魔法を教えてもらおうか?」
「ホグワーツの先生には頼めないわね。立場上私達に個人的に教えるのは難しいと思うわ。ハリーがやるのはどうかしら?」
ハリーが教える。いいアイデアだ。彼ほど闇の魔術と戦ってきた学生はいないだろう。それに組織のシンボルとしては最適だ。アンブリッジに対しても、例のあの人に対しても。
「僕には無理だよ。今までなんとかなってたのも偶然の要素がでかいし……」
しまった。今日のハリーはネガティブモードか。クィディッチの会議で疲れてるし、無理もないか。ポジティブモードの時なら、ちょっと押せば、普通にやってくれそうなものだけど、タイミングが悪かったな。
「じゃあ、特定の先生を持たないで、僕達の中で実践していきつつレベルアップしていく感じにするか」
「とりあえずそれでいいんじゃないか。あと場所は――」
「人数が――」
「日時は――」
数日後、僕達は行動を開始した。
僕達三人はこうして魔法の訓練をする組織の結成をした。といっても、3人しかいないが。
ハリーの経験やハーマイオニーの知識から役に立つ呪文をピックアップし、実践し、改善していくというシンプルなものではあったが、意外とタメになることが多かった。武装解除の呪文や失神呪文は意外と使う機会がなかったので、思っていた以上にできなかったのだ。
人数を僕達だけに留めたのは情報漏えいを避けるためであり、ハリーとハーマイオニーの負担を減らすためだ。結果的にハリーが教える形になってしまうので、あまり大人数だと肝心のハリーのレベルアップにならないと考えたのだ。
しばらくその活動を続けていると、フレッドやジョージ、ジニーも興味を持ったので、一緒に活動するようになった。彼らなら信用もできるし、3人増えたくらいだったら、大きな問題も無いだろうと踏んだのだ。
活動は叫びの屋敷で行っていたため、多少大きな音を立てても怪しまれることはなく、忍びの地図での監視も相まって、アンブリッジに見つかることはなかった。
今回はうまくやれてる。僕にはそういう自信があった。
2月の初め。
いつものように叫びの屋敷で練習をしていたときのことだった。
「違う!杖の振り方はこうだ!何度言ったら分かるんだ!」
「やってるじゃないか!俺ができてないからって当たらないでくれ!」
「ジニー!痛いよ!そんな強く魔法をかけないでくれ!」
「あら、手心加えてさしあげましょうか?死喰い人達もきっと体が弱いことでしょうしね」
魔法の練習中にハリーとジョージ、フレッドとジニーが言い争いをしていた。最近ではよく見る光景だ。ここ最近、クィディッチメンバーたちは見て分かるほど機嫌が悪いのだ。魔法の練習中もお互い当たったりしている。
ちなみにハリー、フレッド、ジョージの三人は以前からのメンバーであり、ジニーは、新キーパーのフーパーがケイティを練習中に怪我をさせてしまったので代わりにチームに参加している。
そして彼らの機嫌が悪いのもこのフーパーが原因である。彼のせいで、グリフィンドールクィディッチチームの環境が一気に劣悪なものになったのだ。
彼は致命的に連携が下手なため、チームは例年以上に多くを強いられることとなっていた。練習の態度も悪く、愚痴をもらしたりチームメイトに悪態をついたりして、いつも周りをイライラさせていた。ただ、キーパー自体はうまいため、やめさせるにやめさせられなかったのだ。
そいつのせいで、クィディッチチームメンバーの疲労はひどく、機嫌もすこぶる悪かった。
それに加え、OWLの宿題や
季節がまた一つ始まったころ、ハリーが夢を見た。内容はシリウスが神秘部で拷問されているというものだ。
この1年、ハリーは何度もこういった夢を見てきた。中には僕のパパが襲われる夢もあった。しかし、それらは現実のものになっていたのだ。なので、今回のこともきっと現実のものなのだろう。少なくともハリーはそう信じている。
ハーマイオニーの提案もあり、念には念をいれ確かめてみたが、シリウスの家の屋敷しもべ妖精であるクリーチャー曰く、シリウスは魔法省に行ってしまったらしい。
こうなったらハリーはどれだけ説得しても魔法省に言ってしまうだろう。長い付き合いだ。それくらいはわかってる。
もう僕達にできることは、現地でハリーが死なないように守るだけだ。一応僕は一人で呪文の練習もしてきた。ハーマイオニーも優秀だ。戦える自信はある。
僕達三人は魔法省に向かった。
そしてその考えが甘かったことをすぐさま思い知ることとなった。
僕はなんて馬鹿なんだ。
ちょっと勉強して強くなったくらいで、死喰い人と対等になったと思いこんでいたんだ。対等とまではいかなくとも、逃げて帰ってこれるくらいの力はあると思っていた。
だが違った。死喰い人は強かった。仮にもあいつらは成人した魔法使いだ。あいつらからしたら僕達なんて子供もいいとこだろう。
「そんなへなちょこ魔法!食らったところで屁でもないわ!まあそもそも食らわんけどな!ははははは!!」
後ろの方から声が聞こえた。嫌に甲高く、悪意に満ちている。その死喰い人から逃げようとすると、今度は別の奴がでてきて通り道を塞ぐ。
「完全に囲まれてるっ……。くそっ、僕が最初から罠だってちゃんとわかってたら!」
ハリーが拳で自分の太ももを殴って言った。奥歯も噛み締めているのだろう、顔の筋肉に力が入っているのがわかった。
「自分を責めるな、ハリー!大丈夫、君はこんな状況を何度もくぐり抜けてきたじゃ……ハーマイオニー!!危ない!!」
僕は視界の端に、ハーマイオニーに飛来してくる呪文を捉えたので思わず飛び出し庇った。魔法は僕の体に触れた瞬間爆発し、僕は数m吹っ飛び、大量の水晶がおいてある棚に突っ込みようやく止まった。
「ロン!」
ハリーがそう言って近くにこようとしたが、僕とハリー、ハーマイオニーの間に一人の死喰い人が立ちふさがった。
「ポッター。予言を渡せ。早くしなければこの小僧が死ぬぞ。よもやお前に選択肢はない」
ハリー、渡しちゃダメだ。
そういったつもりだったが、声は出ていなかった。代わりに口から出た鮮やかな色の血を、僕は懸命に無視した。
ハリーはまだ逡巡していた。僕の目の前にいた死喰い人、ルシウス・マルフォイはため息を吐くと、ハーマイオニーに向かって呪文を唱えた。その呪文が当たると、ぼくと同じように爆発し遠くまで吹き飛んだ。
「グズグズするなよ。早くしないと、どっちも死ぬぞ。渡したらふたりとも治してやる。渡さないと言うなら、次はトドメをさしてやろう」
ハリーの目は絶望でカッと開かれた。下をむき、震えながらも、彼は手に持っていた予言を差し出した。ルシウス・マルフォイはハリーに近づきこれを受け取った。その水晶をうっとりした目でジロジロ見た後、いつもの目でハリーを見据えた
「ご苦労、ポッター」
そういうと、ルシウス・マルフォイはハーマイオニーに向かって死の呪文を唱えた。
ハーマイオニーを緑の光が包み込むと、彼女の小刻みな震えが止まった。
気がつくと僕のほうにも緑の光が近づいてくる。
すぐ目の前に、緑の光が…。
原作との相違点
・ハリーへの体罰に早めに気づいた
・DA(ここでは名無し)の組織が早い
・DAが小規模。
・ロンがキーパー選抜を受けておらず、フーパーがキーパーに
・DAの練習場所が叫びの屋敷
・ハリーと双子がクィディッチを禁止されていない
・神秘部に行ったメンツが少ない