【本編完結】時をかけるロンウィーズリー   作:おこめ大統領

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ロン・ウィーズリーと謎のプリンス
17. 凍て空の失敗


 8月初旬

 僕はホグワーツに来ていた。

 

 学校内にいる学生は僕だけだろう。なぜなら今は夏休みだからだ。

 別に補習を受けてるわけでもなく、家に帰るのが嫌で学校に潜んでるわけでもない。ダンブルドアにお呼ばれしたのだ。

 

 話は今朝に遡る。

 

 僕の元に一通の郵便が届いた。

 内容はこうだ。

 

 『学期末の話の続きがしたい。11時にこの手紙を手に持って待っていてくれ。ご両親には、帰りが遅くなると伝えておくのじゃぞ?ちなみに、わしはペロペロ酸飴が好きじゃ』

 

 魔法省の戦いが終わってすぐ後に、夏休みに話したいとは言われていたが、まさかこんなに早く手紙が来るとは思わなかったので僕は少し驚いた。まだ夏休みに入って1週間もたってないぞ。

 それにこの内容から察するに手紙に何か仕掛けがあるな。多分ポートキーだろうけど。

 

 予想は案の定当たり、時間になると僕はお腹をグイッと引っ張られる感覚に襲われ、足が地面から離れたと思ったら、次の瞬間にはホグワーツに来ていたのだ。

 

 そして現在、午前11時5分、僕は到着地点から少し歩き、校長室の前まで来ていた。

 校長室を守るガーゴイル像に「ペロペロ酸飴」というと、意思を持ったかのに動き出し、道を開けた。中に入ると、ダンブルドアが椅子に座ったまま出迎えてくれた。

 

「よう来てくれた。わざわざありがとう」

 

「いえ、僕もお話聞きたかったですし」

 

 もしかしたら、すこしつっけんどんな声色だったかもしれない。昨年のこともあり、ダンブルドアに対して、あまりいい感情を抱いていなかったからだ。

 

「そりゃ良かった。さて、何から話そうかの」

 

 ダンブルドアはそう言うと少し考える素振りを見せる。そのうちに僕は部屋にあった椅子を1つひったくってきて、ダンブルドアの机の前に座った。

 

「まずは、君の力についてわかったことを共有しようかの。その前に、1つ確かめたいことがあるのじゃがよろしいかな?」

 

「はぁ、確かめたいことって一体何ですか?」

 

「君の魔法に対する耐性じゃ。ほれ」

 

 ダンブルドアがそういって僕に杖を向けた。僕はまぶたが重くなった。眼を開けようと努力しようとしたが、思い虚しく、僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

「ロン、起きるのじゃ」

 

 その言葉と、体が揺さぶられていることによって、僕の意識はやんわりと戻ってきた。目の前にはダンブルドアがいるが、なぜいるのかが最初わからなかった。

 徐々に頭が覚醒していき、僕はいきなりダンブルドアに魔法をかけられたことを思い出した。

 

「ダンブルドア先生、いきなり何するんですか!てか僕に何の呪文をかけたんですか?」

 

 僕は少し警戒しながら言った。ただでさえ怪しいと思っていた人にいきなり魔法をかけられたんだ。警戒しないほうがおかしい。ぶん殴らなかっただけほめてほしいくらいだ。

 

「いきなりですまんかった。構えられると検証にならんのでな。かけたのは簡単な眠りの呪文じゃ。正確には眠気を誘発する魔法じゃが。だが今ので1つ確信が得られた」

 

 ダンブルドアは僕を起こしながら言った。僕が椅子にちゃんと座ったことを確認すると、話を続けた。

 

「君の魔法耐性はあきらかに弱まっている。つまり、君の魂が年齢の割に明らかに脆くなっておるのだ」

 

「魂、ですか?確かに僕は呪文は効きやすい体質って以前に言われたことがありますけど……」

 

 僕は少し困りながら答えた。いきなり魂とか魔法耐性とか言われてもいまいちピンとこないからだ。ただ、4年の時に偽ムーディに同じようなことを言われたことは覚えていた。

 

「呪文の効きやすさ、つまり魔法耐性は、一般的には魂の強さに比例すると言われておる。魂について語ると非常に長くなってしまうので、ここでは魂が弱いと魔法の効果を受けやすいこと、そして魂の強さは21歳くらいにかけ強くなっていき、それ以降弱くなっていくということだけ覚えておいてくれ」

 

「でも、人によってその強さはまちまちなんですよね。なんで脆くなったってわかるんですか?」

 

「きっかけは、わしが君に同じ魔法を二度使用したときに抱いた違和感じゃ。1回目は君が4年生のときに時間移動について告白されたときで、2回目は去年の頭に君が訪ねてきたときじゃ。ほれ、DAの組織を指示したりしたときじゃ。そのときわしは君に開心術という魔法を使用した。簡単に言うと心を読む魔法じゃ。勝手に使用したのを許してほしい。しかし、端的に信用できる情報を確認するにはあれが手っ取り早いのじゃ」

 

 結構衝撃的な情報をぶち込んできた。言われて思い出したが、確かにやたら目を凝視された気がする。あの時に僕は心を読まれてたのか。そのことに少しだけ嫌悪感を覚えた。

 だが今はそれより魂の話の方が気になる。心を読まれたことに関しては、まぁ大したことは考えてなかったはずし、そのおかげでダンブルドアの理解も早かったからトントンだろう、と自分の中で妥協した。

 

「別に大丈夫ですよ。言ってることもわからないことは無いんで」

 

「ありがとう、ロン。そして二回目にそれを使ったときに違和感を感じたのじゃ。どうも以前に比べて、明らかに心を読みやすくなっている、と。そこで今、君が三年生のときに君にかけた魔法と同じものを君に使用し、疑いが確信に変わったのじゃ」

 

 そういえば、三年生の終わり、シリウスの事件が一旦幕を閉じた後、医務室でダンブルドアに眠りの魔法をかけてもらった気もする。僕はそれをなんとなく思い出した。

 

「なるほど。つまり、普通は僕くらいの年齢になると徐々に魔法耐性は上がっていくはずなのに、僕は反対に減ってるからおかしいってことですね」

 

「その通りじゃ。わしは、これは君の力の副作用ではないかと踏んでいる。このまま力を使うことは、もしや危険かもしれない。魂をすり減らす最も簡単な方法は殺人じゃ。つまり、君は過去に戻るたびに殺人を犯したことに近しい影響が体に現れているのじゃ。それに、このまま魔法耐性が下がり続けると、いずれ魔法界で暮らすことも大変になるかもしれん」

 

 僕はダンブルドアのその言葉に戦慄した。人を救えば救うほど、自分は弱くなっていく。助けるほど助ける力がなくなっていく。それに、魔法界で暮らせなくなるかもしれないって。僕は生粋の魔法族だ。今更マグルに適応できるとも思えない。

 

 どうしようかと心の中で慌てふためいていると、ダンブルドアから提案があった。

 

「そこでじゃ。君は自分の力をコントロールする練習をするのじゃ。人の死を見ても過去に戻らない手段を探したり、もっと詳しい条件を探したりするのじゃ。無論、時間をかけて、じゃが。人間の死など、そうそう巡り会えるものでもないからの。そして、その実験の記念すべき一人目の被験者は、おそらくわしになるじゃろう」

 

「えっ?どういうことですか?まさか、ダンブルドア先生、この実験のために死ぬなんて言わないですよね?!」

 

 さすがにそれははばかられる。僕の力を確かめるためだけに死んで良い生命があるはずなんてない。ましてや最強の魔法戦士ダンブルドアだ。いくらなんでも、吊り合わない。たとえ、僕がダンブルドアをそこまで好きじゃないにしてもだ。

 

「それは違う。君の力の研究のために死ぬのではない。むしろ、わしが死ぬついでにそれを試してほしいのじゃ。わしは近い将来、1年以内に亡くなるじゃろう。だからもし、その場面に立ち会ったときは、わしのために時間を戻さないでほしい。今は明かせないが、わしは死ぬ必要があるのじゃ」

 

 ダンブルドアの声のトーンが少し落ちたような気がした。本人は普通を取り繕って話そうとしているのだが、僕にはそれが無理しているように感じた。だからこそ、逆にその話が本当なのだろうとも思った。

 

「どうしても、死ななくてはいけないんですか?」

 

「どうしてもじゃ。頼む」

 

 僕はその場で決めることが出来なかった。

 ダンブルドアの決意の本気さは感じた。だけど、僕はダンブルドアに生きていてほしい。僕はどうしていいかわかんなくなって、一旦家で考えたいと言って、家までポートキーで飛んだ。

 

 すっかり真っ暗になった空には、雲がかかって星が見えなかった。

 

 

 

 

 

 12月。

 学校が始まり三ヶ月が経過した。

 

 僕は結局あのときの答えを出せずにいた。

 あれ以降ダンブルドアから呼び出しがかかることも特に無いので、僕はいつしかそれについて考えなくなっていた。

 

 今僕の頭を占めているのは、スラグホーン主催のクリスマスパーティに誰を誘おうか、ということだ。

 

 僕は魔法薬学の教授であるスラグホーン先生に気に入ってもらっていた。

 理由は、僕が魔法薬学で優秀な成績を残していることと、あとはこの前の試合でスーパーセーブを連発したキーパーであることも関係あるかもしれない。

 

 僕は去年まで魔法薬のできは普通くらいだった。今でも才能があるとは思えない。

 だが、今年に入って急に成績が良くなった。その理由は僕が「プリンスの教科書」を手にしたからだ。魔法薬学の最初の授業で、僕とハリーは先生から予備の教科書をもらった。もともと授業を受けるつもりはなかったので、そもそも買ってなかったのだ。

 

 その教科書には、魔法薬のより効率的な作り方や未知の呪文が多く載っていた。そのおかげで僕は優秀な成績を残し、先生に気に入ってもらえた。

 

 そしてそのご褒美として先生から貰ったフェリックス・フェリシスという幸運薬をこの前のクィディッチの試合で使ったおかげで僕はスーパーセーブを連発できたのだ。

 試合で使うのは禁止だし、僕も少し後悔はあるが、それでもあれを使わなければ負けていたということで、無理やり自分を納得させていた。

 

 そんなスーパーキーパーこと僕だが、肝心のパーティの相手は捕まえられずにいた。僕は勝手に、自分はハーマイオニーと行くもんだと思っていたが、さっきフェリックス・フェリシスの件で喧嘩したから彼女と行くのは癪だ。

 談話室のソファに座ってそんなことを考えていると、自分の隣に誰か座った。首だけ動かしてそちらを見ると、ラベンダー・ブラウンの姿が確認できた。最近彼女は僕に対しての距離感が近すぎる気がする。ラベンダーはこれでもかってくらいに僕にくっつき、耳元で囁いてきた。

 

「ねぇ、グレンジャーと喧嘩してるってほんと?」

 

「え、まぁそうだね。喧嘩っていうか、向こうが一方的に突っかかってくるんだ。嫌んなっちゃうよ」

 

「そーなんだ。ふぅん。ところで、ロンはスラグホーンのクリスマスパーティに行くのよね。よかったら私と行かない?」

 

 ラベンダーは猫撫で声で僕をパーティに誘った。

 まぁ特に断る理由もないし、いいだろう。もしかしたら、彼女は僕のことが好きなのだろうか。そう思った瞬間、急に彼女が可愛く見えてきた。

 

 こうして、僕はラベンダーとパーティに行くことになった。

 

 クリスマスパーティは意外と楽しかった。

 ハーマイオニーは結局コーマックを誘ってたみたいだ。僕とキーパーの選抜で競ってたやつだ。

 

 全く嫌なやつだよ。多分僕へのあてつけさ。向こうが意地になんなきゃ誘ってもよかったのに。僕はラベンダーとひとしきりいちゃついたあと、部屋に戻ってきた。

 

 パーティは楽しかったけど、ご飯をそんなに食べれなかったからお腹すいたな。ハリーのベッドの上に美味しそうなチョコの入れ物を見つけた。多分もらいものだけど、こんなところに放置してるってことは、断れずにもらったってとこだろ。

 

 どれ、僕が処分しといてやるか。

 

 

 

 

 

ロミルダ、君は…んて美しい…だ。

君の美し……考えて…だけで、僕は幸せ…なれるよ。

なん…今まで気がつ…なかっ……だろう。

ハリーが僕の手…引いてる。ロミル…に会わせ…くれるんだって。

最初にあ…たらなん…声をかけよう。きっと僕…語彙…じゃ彼女の美し…を語りつく…ないや。

え、なに、ハリー、これ飲………くれるの?

 

あり…と…、いただ…よ。

 

 








正史との相違点
・ロンがプリンスの教科書を持っている
・フェリックスフェリシスをガチ試合で使う
・ラベンダーと付き合ってない
・ロンがクリスマスパーティにいく
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