【本編完結】時をかけるロンウィーズリー   作:おこめ大統領

4 / 24
10/22 屋敷しもべ関連大幅修正


4. 二の舞は演じない

 目を開けたロンは、すぐにタイムリープをしていることに気がついた。

 

 先程までの体の重さはどこにも無く、周囲も見慣れた談話室、目の前にはハリーとハーマイオニー、それにネビル。

 

 ロンは()()()()()()であろうとなんとなく思った。賢者の石の部屋に行く前にネビルに止められたのは記憶に新しいためである。

 

ネビルには悪いけど、ハーマイオニーがネビルに金縛り呪文かけたのはちょっと面白かったな。まさかハーマイオニーがあんな強硬策に出るなんて。

 

その光景をもう一度見れると少し不謹慎にワクワクしていたが、ハーマイオニーはなぜか足音を大きくたてながら自室に戻っていった。そしてハリーがそっとつぶやいた。

 

「グリンゴッツは、何かを隠すには世界で一番安全な場所だ――多分ホグワーツ以外ではな……」

 

 

 

え。あれ?このやりとりって三頭犬と初めてあったときにしたやつじゃなかったか?

てことは、結構戻ってないか?

 

 

 

数時間前どころか数ヶ月も戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 同室の友達の寝息を聞きながら、僕は自身の力について考察していた。

 

 

 そもそもなんでこの日に戻ったんだろうか。

 僕がタイムリープに慣れてきたから、今まで以上に戻れるようになったのか。それともここに変えるべき何かがあるからなのか。今までのことを考えると後者な気がする。

 

 変えるべき何かって何だろう。

 今はちょうどハリーが賢者の石について知った直後だ。知る直前だったらまだしも、知ってしまってる以上ハリーは絶対に飛び込んでいくだろうしな。というか知らなかったとしても、相手がハリーを殺しに来るかもしれない。ハリーを事件から遠ざけられない以上、この段階でできることって結局犯人探ししかない気もする。

 

 個人的には、チェス対策がしたいな。

 流石にハーマイオニーが相手の駒に殴られるのがわかっててそれの対策をしないわけにはいかないしな。あ、しまった。薬の部屋の謎解きみたいなやつ、ちゃんと覚えておけばよかった。

 

 そしてあいつ、本当にスネイプだったか?

 声が違ったような気がするんだよな。でも、他に誰かと言われると、特に心当たりがないし。他の男の教師って可能性もあるけど、スネイプが外から連れてきた仲間っていう可能性もあるし、なんとも言えないな。一番確実なのは、賢者の石を守ってるあの罠のところであいつに捕まえることだな。

 

 そんでもって一番の問題はあの屋敷しもべ妖精だ。

 正直あいつさえいなかったらなんとかなっていた気もする。あの男はハリーに触ったら苦しんでた。よく分からないけど、多分ハリーはあの力で例のあの人も倒したんだ。あいつしかいなかったらハリーは倒せてたかもしれない。屋敷しもべ妖精を撃退する魔法とかも調べておくか。

 

 条件さえ整えば、僕達だけでなんとかなる気がしてきたな。

 となったら僕のすべきことは、

 

「なるべく歴史を変えないように動きつつ、屋敷しもべと賢者の石の守りの対策をすることだな」

 

 

 僕がざっくりした行動指針をたてたところで、朝日が窓から差し込んできた。すっかり目も冴えてしまったので気晴らしに談話室に降りていくことにした。

 

 階段を降りきる前に、談話室の方からなにやら気配がしたので、何となく気配を消してしまう。そっと様子を窺うと、ちょうど屋敷しもべ妖精が暖炉を掃除していた。

 

「あいつ、あの屋敷しもべ妖精か?なんであいつがこんなとこに」

 

 僕は予期せぬ存在に思わず声を出してしまった。すると、屋敷しもべ妖精がこちらを振り返り、しまったといった表情を浮かべた。

 

「申し訳ございません!私めの粗雑な作業のせいで起こしてしまいました。私めは悪い屋敷しもべ妖精でございます!」

 

 屋敷しもべ妖精はキーキー声でそういうと涙目になってしまった。先程まで警戒していたがこの反応におもわずあたふたしてしまう。

 

「あー違う違う!元々起きてたんだよ!大丈夫、君の気配はここにくるまで全くわからなかったよ!いい屋敷しもべ妖精だね!うん。うちにもほしいくらいさ」

 

 僕は屋敷しもべ妖精に近づき、ドウドウと落ち着かせるように言った。するとさっきまで涙目だった屋敷しもべ妖精の目から涙が溢れ出した。

 

「あぁ!そう言っていただけて大変嬉しゅうございます。坊っちゃんはお優しいです。校長先生とは大違いです!」

 

 そこまでいって、屋敷しもべ妖精はハッとなって自分を痛めつけだした。

 

 僕はただただ困惑した。この屋敷しもべ妖精は、見た目は先程見たハリーを殺したやつと同じような見た目をしていたのだ。ただ、ホグワーツの屋敷しもべ妖精はみんな同じような外見をしている可能性があるので、まだ断定は出来ない。

 

 だが、一つ彼は気になることを言った。

 

「校長先生とは違って、ってどういうことだい?ダンブルドアが君たちをいじめているのかい?」

 

「いえ、違います。彼は私めのご主人さまをいじめるのです!私めは正確にはホグワーツの屋敷しもべではなく、ここで教師をなさってるご主人様に仕えているのです。ホグワーツにいる間もお仕えできるようにと、ご主人様がホグワーツまで連れてきてくれたのです。ご主人さまは私にとてもよくしてくださるのに、ダンブルドア校長はご主人さまをまるでゴミのように扱うそうです。ご主人さまが申しておりました!」

 

 ダンブルドアが教師をいじめている?そんな話はきいたことない。それにこいつがハリーを殺したやつと同じやつだとしたら、あの時のあいつは教師ってことか。やっぱスネイプなんじゃないのか?

 そこまで話した後、屋敷しもべ妖精は何も話してくれなくなった。喋りすぎたと反省しているのだろう。結局主人の名前もその屋敷しもべ妖精の名前も聞けないまま、その朝は終わりを告げた。

 

「それにしても、めんどくさい生きものだったな」

 

 

 

 

 

 

 巡り巡って6月。

 ついにこの日が来た。

 

 この日のためにいろいろと準備をしてきた。

 

 ひとつは、チェス。

 僕はこっそりマクゴナガル先生やフリットウィック先生にチェスの手ほどきを受けていた。あのチェスがマクゴナガル先生の仕掛けた罠だとしたら、攻め方もマクゴナガル先生に寄ったものだろうということで、ここ半年はマクゴナガル先生を倒すことだけに注力していた。チェスが得意だというフリットウィック先生も対マクゴナガル先生戦術の考案に協力してくれた。

 最初はこてんぱんにやられたが、徐々に才能が開花していき、今となってはそこそこ勝てるようになっていた。マクゴナガル先生はロンの成長の喜びと、たかが11歳の子供に負ける悔しさで、とてもむずかしい表情をしていた。

 

 次に、屋敷しもべ。これに関しては、ダンブルドアにどうにかしてもらうことにした。

 具体的には、あの屋敷しもべ妖精が、ご主人である教師がダンブルドアにいじめられていると言っていたことを報告したのだ。

 

 屋敷しもべ妖精は忠誠心が深い。

 屋敷しもべ妖精は基本的に魔法使いを攻撃しない。

 屋敷しもべ妖精の使う魔法は独特かつ強力であり、それに干渉することは難しい。

 

 これらの要素から僕は、ダンブルドアへの敵対心と主への強い忠誠心を持った屋敷しもべ妖精ならばダンブルドアに対して有効な切り札になると敵が考えた、という推論を立てた。実際に前の世界でダンブルドアは屋敷しもべの攻撃に手を焼いていたし、おおよそあってるだろう。

 

 なので僕は、ダンブルドアにそのことを示唆するかたちで伝えることにした。ダンブルドアが賢者の石をあそこに隠したってことは、何者かが石を狙っているということは掴んでいるはずだし、屋敷しもべ妖精が自分に不利な噂を信じているとしったら、流石に敵の策略なんじゃないかと思い、なんかしらの対策をするのではないかと思っての行動だ。

 念のため、屋敷しもべ妖精が苦手な音を出す魔法も覚えてきた。出くわしたとしてもなんとかはなるだろう。

 

 そして一番大変だったことは、ハーマイオニーに冷たく当たったことだ。

 これは前の時間と流れを変えないためにも重要なことだった。別に最初からハーマイオニーと仲良くなりに行こうとしても良かったのだが、トロールの事件がないと本当の友達になれない気がした。タイプが全然違うし、向こうの僕達に対する好感度も地を這うように低いはずだし。好感度が低いのは、主にこの時点までの僕のせいなのだが。

 

 ハロウィンのときに泣かせてしまったときなんて、ホント心が砕け散るんじゃないかってくらい罪悪感があった。そのあとトイレで泣いていることを放っておいたのも内心くそほど焦っていた。もし何かのミスでハーマイオニーを助けに行けなかったら、彼女はトロールの餌食になってしまう。考えるだけでもゾッとする。結果的に助けることができ、友情はなんとか前回通りのものとなった。

 

 そんなことを考えているうちに、三頭犬の部屋の入口までたどり着いていた。僕達三人はそのドアを開けた。

 

 僕の最終決戦が、今始まる!

 

 

 

 

 

 

 僕は隠れ穴の自分の部屋で、この一年間の思い出に浸っていた。

 

「みんな生きているし、賢者の石も奪われていないし、結果的に僕のタイムリープのおかげだとは思うけど、肝心なところは全部人任せだったのはほんとに情けないな……」

 

 今期のホグワーツはすでに終業し、生徒達は既に自宅に帰っていた。学年末に寮のの得点を50点も獲得したことを兄弟が両親に報告したため、今までにないくらい褒められた。兄弟と比較され続けていた僕にとって、それはとても嬉しいことだったのだが、自分に対する無力感を持っていた僕はどことなく素直に喜べなかった。

 

 

 僕に特別な力があることはわかった。

 だが、その特別な力を持つ僕自身は弱いのだ。

 たとえ未来を知っていても、それにうまいこと対処できなくては意味がないのだ。

 

 

 今年の出来事は、肝心なところは全部ダンブルドアとハリーに任せきり。

 情けなかった。

 僕自身も強くならなきゃ。せめてタイムリープのコントロールはできなきゃ。

 自分の意思で起こせるようになれば、もっとうまく物事を進められる気がする。

 

 そう考えたとこで、一つだけ心残りなことがあることを思い出した。

 

 

「あの屋敷しもべ妖精をどうしたのか、ダンブルドアに聞けなかったな」

 

 事件終了後にハリーに事件のあらましを聞いたが、どうやら屋敷しもべ妖精など現れなかったらしい。

 ダンブルドアにそのことをきく勇気など、僕にはなかった。

 

 








原作相違点
なし
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。