ゲート 奴隷 彼の地にて、斯く戦えり   作:顔面要塞

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何かイロイロ軍事資料を漁っていると、あっという間に時間が過ぎてしまいますねぇ。

やっつけ連載はじめてますw

御気に増えてビビっていますw

間違いがございましたら、よろしくご指摘のほどお願い致します!!

拳段から獣段に落ちた俺に怖いものなど無い!!

スイマセン・・・結構へこんでます・・

鉄拳7fr・・・難しいよ・・ごめんよキング・・・


傭兵

帝国の聖地、アルヌスの丘。

 

神聖なる帝国の父祖達が、神にに導かれて訪れた栄光の地。しかし、輝かしい歴史を刻み続けた時は過ぎ去り。今では異界の軍勢が占拠する敗北の地となっていた。

 

丘の周囲に張り巡らされた楔形の陣地には、周囲の風景に溶け込むような緑のマダラ服を着込んだ者達が配置に着き。帝国の攻撃を警戒していた。だが、あまり緊張感は感じられない。何故なら、遥かな高みから電子の目によって周囲を伺う存在がおり。侵入を試みる存在を監視していたからだった。

 

帝国が銀座に攻め込んでから二ヶ月。銀座に突如出現した古代ローマのような集団が、接触を試みた『民間人』を虐殺。待機していた重武装の治安部隊と、緊急出動した日本自衛軍によって殲滅された事件。『門』を通じて逆襲に転じた地球政府だったが、『異界』のファンタジー過ぎる状況に、頭を抱えたくなっていた。

 

『門』から出現した軍勢よりも、異世界から侵入してきた彼等の肉体の中に存在するであろう未知の病原体。それらを発見し、駆除または隔離を行わなければならない事の方が面倒な事だった。

 世界防疫機関が安全宣言を発表するまで、銀座周辺は『門』を中心に半径10kmにわたって閉鎖・隔離され。多数が検挙されたテロ集団と、防衛にあたった全ての人員を研究・防疫・隔離しなければならなかった。この期間に、銀座に出店している商店や会社等は、保険適用外の事態について、政府に補償を求めて訴訟まで起こしていた。

 

 史上空前の好景気に沸く地球政府にとっては、大した事が無い事案だったが。未知なるフロンティアに向けて、宇宙大航海時代に突入しようとしていた時期に、アナクロな思考をもったアホウ共を相手にするにも時間が惜しい。かといって、ほおっておけば何かしら同じことが起きるかもしれない。『門』自体の研究は急ピッチで進められていたが、恒久的に閉鎖する方法は発見されていなかった。

 

 ではどうするか?大軍でもって攻め込み、帝国を消滅させるか?いや、帝国を屠った所で他の奴等が同じことを企まないとは限らない。では、ありったけの反応弾を放り込み異界自体を不毛の地とするか?これまた、時空的に接触しているかもしれないコチラ側に、何かしらの影響が出るかもしれない。様々な案が出ては消え、議論は平行線を辿っていた。

 

 面倒になった政府は、情報が圧倒的に足りない事が原因と断じて。異界調査の為に、新設の部門を設ける事に決定したのである。(本当の所は宇宙に掛かりきりで、大した利益も望めない事を新設の部門に放り投げただけだが)

 

かくして、『異界事態対処法案』が様々な思惑と打算、妥協の末に可決され『異界事態対処集団』が結成されるのであった。仰々しい名前とは裏腹に。構成される人員は、加盟各国から参加申し込みのあった志願者を中心に選別。紛争が終了した事によって、大幅に縮小された各国軍隊から指揮、統率、情報、兵站、捜索、戦闘など、各種技能を保持した軍人が派遣される事になったので在る。

要は、実質的なリストラで在る。生きていくには飯を食わなければならないから、仕事が必要になる。然れども、新しく建軍された宇宙軍には必要のない余分な人材。局地防衛などの任務には、新しい若い兵隊が就く。

それでは、『楽の出来そうな』部門に転属した方が良いに決まっていた。給料も悪くなく、対戦する相手は近代火器も実用化できていないアナクロな連中。かてて加えて、『門』の防衛と現地反政府勢力の支援が主な任務。何より、『まだ必要としてくれる』事が大きな理由だった。

 

 

 『そんな動きじゃ良いマトだ!!!死にたいのかクズ共!!外壁ランニング、もう五周追加だ!!!』

 

 『なんだぁ?その射撃の腕前は!!教本を読んでいないのか!?それとも座学の時に眠っていたのか!!腕立て100追加だ!!』

 

 『駄目だ!ダメだ!!もう一度だ!!たらたら動くんじゃない!!』

 

 深夜に降った雨もやみ、涼しい風が吹いているアルヌスの丘。優しく吹き付ける風に乗って、拡声器での指導の声が響き渡る。

 

 軍隊に於いての屋台骨に当たる軍曹達が、新任の兵達を骨の髄からシゴキあげている光景が広がっていた。しかし、訓練風景は何処か違和感が存在していた。

 

 練兵の為に叱咤激励を行う練兵軍曹達は普通の姿だったが。訓練を受けている者達は様々な人種で構成されていて、統一性が無かったのである。

 人種では無い。様々なヒト種である。そう、体格はそれぞれ違うし、肌の色や髪の色、瞳の色など違っていても気にならないが。戦闘被服の隙間から見え隠れする体毛や、突き出た口に鼻。特異な形状をしたヘルメットに収納されたピコピコ動く耳など。

 練兵軍曹にしても驚きを禁じ得ない者達で構成されていたのだった。(しかし、気にしていたのは最初の二日間だけで。それ以降は『鬼』となって異形の集団を訓練していたが)

 

 『ライネル?随分と勇ましい名前だな?エェ!?しかし、今の貴様はソンナ名前には値しない!クソにたかるウジ虫の様な動きじゃ、帝国の飛竜に食われて御仕舞いだ!!腕立て50追加だ!!』

 『4本も腕もあるのに鈍い動きしか出来ないのか!?どうせ貴様の余分な腕は〇〇ニーする時しか役には立たん!!もう一度だ!!!』

 『そのバカみたいな図体に気合を入れろ!!!機敏に動かなければ、帝国のオカマ共の振るう剣に当たっちまうぞ?まぁ、オスでもないお前にはお似合いの最後だろうがな!?だが、安心しろ。そうさせないために俺が居る。更に5周走って来い!!!』

 

地球政府に加盟する各国から派遣された軍人達が、鬼ですら逃げ出すのではないかと思われる程の声を張り上げ、様々な姿の現地人達を訓練とゆう地獄巡りに旅出させていた。

帝国の奴隷として死ぬしか許されなかった彼等は、死ぬ事すら楽に思える状態に叩き落とされていた。

 

帝国公用語でさえ、理解し習得したとは言えない者達が。給料と待遇の良さに目が眩み、契約書にサインをした結果がコレだった。

 

毎日、毎日、言語の習得と。異界事態対処集団(彼等)が装備する兵器への習熟訓練。其れ等を運用出来るように一から行われる、肉体改造に近い体力錬成訓練。言語の習得に合わせて行われる基本的な算術から、高度に学問的な専門分野の座学。また、収めた学問を使っての兵器の運用や作戦行動訓練。その他にも衛生講習や調理実習、偽装、索敵、車両操作、整備などなど……

 

契約してから一ヶ月しか経っていないにも関わらず。訓練に投入される物資や人員は、帝国最精鋭の第1軍ですらゴミにしか感じられない程のものだった。普通のヒト種ならアッサリ逃げ出すか、気が触れてしまうかするだろう。

 

しかし、帝国を遥かに上回る年月を『戦争』につぎ込んできた地球側にとって。子供に近い人間を、効果的に戦闘兵器に作り変えることなど造作もない事だったのである。度重なる戦乱から得られた経験と知識が、遠慮会釈なく奴隷だった者達に放り込まれ、『使える』者に変化させられて行くのだった。

 

 

 

 地球政府が異界事態対処法案に基づいて、異世界(特別地域)に逆侵攻してから半年。

 

 投降してきた奴隷集団を取り込み、過酷な訓練を施して『アルヌス傭兵団』を結成。今日は、訓練終了に合わせて現地偵察に赴く記念すべき日となっていた。

 

 

 銀座事件で得た様々な情報を元に。『門』を潜り抜けて侵攻した異世界の大地。

 

 『門』周辺で迎撃に出た帝国軍を完膚なきまでに殲滅し。周辺30kmを掌握。これ以上の面倒が起きない様に、銀座事件で確保した高級将官達を和平交渉の使者として近傍に在るイタリカに派遣するも、返答期限である一か月を過ぎても明確な返答は無く。形だけの使者の派遣に終わっていた。(もっとも。貴族達の子弟である軍人達の身柄については、各貴族たちから水面下での接触があり。交換条件として、帝国内の情報提供や交渉の受付役を約束させていたが)

 

 銀座事件で捕虜になった者の身柄については、尋問が終了した者の中から高級軍人を選抜。順次交渉の窓口役を依頼していた。最初こそは難色を示していたが、様々なモノを使った説得により(宝石や貴金属。食物、衣服、酒、ゲームなどなど・・勿論、そのテの女性。果ては軌道エレベーターでの宇宙観賞など・・)捕虜の大多数が、進んで交渉役を引き受けてくれていた。

 

 当然と言えば当然で。意気揚々と異界に侵攻したものの、雨霰と放り込まれるガス弾や捕獲ネット、鎮圧用ゴム弾の物量の前に為すすべくなく敗退。

 それでも、抵抗するモノには容赦ない『火の矢』が突き刺さり、無慈悲な『死』が訪れる。今まで経験した事も無い戦いでPTSDを発症する者も居て、戦いにすらならなかったのである。

 

初めは、言葉も通じない世界での捕虜生活が不安だらけだったが。一日三度は飯が出て運動も出来、仲間達とも時間制限があるが話も出来る。帝国でも重要な入浴も許される。(しかも、帝国ですら見たことも無いシャワーやシャンプーハット、垢すりタオル、電気風呂、きめ細やかな石鹸などなど…)

他の時間はお互いの言語を学び合うための聞き取りで。一ヶ月もすると、ソコソコに遣り取りができる様になっていた。人間、安全と安心。それと豊かな生活を送っていると故郷が恋しくなるもので、特地に帰還する事を願う様になっていた。(余りの居心地の良さと、進み過ぎた魔法の様な世界に憧れ。亡命を希望する者も居たが…)

 

対して地球側と言えば、捕虜との意思疎通で帝国が攻めて来た理由がある程度把握できた。『門』と同じ原理で地球側に偵察に来た者達が、情報と共に幾人かの日本人を拉致。拉致した日本人の武力を調査し、開戦を決断したというものであった。

 

 なんともお粗末な開戦理由だった。情報を聞き出した尋問官や、それらの尋問調書を統合して研究した調査官は、どう上に報告したか悩むほどだった。

 帝国を維持するために戦争が必要などとは、何時の時代の話やら・・・しかし、拉致被害者がいるなら奪還しなければならず。その一点だけでも、逆侵攻は必要と判断された。

 

 侵攻してきた帝国軍の装備と、捕虜への尋問調査によって。帝国軍の規模と装備、戦術などが研究・調査され。充実した装備を準備していけば、戦いにすらならない事が判明したのも、逆侵攻への理由になった。しかし、問題になったのは『門』の大きさと、いつ相互の行き来が出来なくなるかもしれない事だった。

 

 逆侵攻してみても、『門』の大きさは限られていて。一日に通行できる交通量はたかが知れている。(銀座の中心地だったが、治安と『門』の不安定さを理由に半径1kmは政府が買い上げて研究・防備施設に建て替えられていた。)補給の続かない軍隊など意味が無いし、大兵力を展開した後に通行不可などになったら目も当てられない。

 幸い、『門』自体の研究は急ピッチで進んでいて。何とか通行を維持する事は可能となった。(『門』に入っている不可思議な文様が、ある種の回路であり。はめこまれた宝石や貴金属は起動するための装置だと判明。さらに、特殊な脳波に反応して起動する事も把握でき。その起動に必要な脳波の所持者も確保することが出来た)

 

 条件は整ったが、進んでヤル気のある者が極少数だったため。妥協と打算、一部の熱意ある人々によって『異界事態対処法案』が可決・成立し。『異界事態対処集団』が結成され、異世界(特別地域)へと侵攻するのであった。

 

 帝国の捕虜達への尋問と調査によって、異世界(特別地域)の風土や慣習、人種などが判明。それらを発表するに至り、一部の人々に熱狂的に受け入れられ。政府が考える想定人員よりも遥かに多くの人々が『異界事態対処集団』に志願してきたのは驚きだったが・・・。

 

(何せ、最初に侵攻してきたときに顕われた怪異達ゴブリンやコボルト・オーガー・トロルなどが居るのは判明していたから。エルフや獣娘、翼人、ドラ娘、人魚などなどファンタジー要素テンコ盛り!!応募してきた歴戦の軍人ですら『ケモッコハーレム王に、俺はなる!!』なんて真剣に語る者も出る始末・・宇宙開発に忙しい人々にとっては、丁度良い事案になったのかもしれない・・・)

 

 かくして、派遣される兵力は一個旅団編成。それに、近接支援の航空隊と現地人を雇用して訓練する部隊。50名ほどの研究・調査・疫学調査の為の医者、学者陣。帝国と交渉するための政府外交団の派遣が決定されたのであった。

 

 

 

 『諸君らが過酷な訓練を耐え抜き、この場に立つ事は。訓練を指導してきた我々にとっても、喜ばしいことである!!異世界の装備、言語、学問、慣習、医療などなど・・専門分野をも収め、初めて『アルヌス傭兵団』として周辺地域に派遣されることは輝かしい一ページとなるであろう!!終わり!!』

 

 『敬礼!!』

 

 『アルヌス傭兵団!偵察部隊!出動!!』

 

 特地派遣部隊司令ブライアン・シェリダン少将の訓示が終了。訓練を終了した者達が、誇らしげな顔と緊張した雰囲気を纏いながら。各分隊毎に割り当てられた車両に搭乗し、それぞれの偵察地域に向けて出発してゆく。

 

 元は鉱山奴隷だったとは思えない精悍な顔つきと、鍛え上げられた肉体を戦闘服に包み。忠誠を誓った『アルヌス傭兵団』の隊旗をあしらったワッペンに手を当てながら、それぞれの覚悟を持って任地に赴く者達。

 

 「よう!バルド!なんだか凄い事になっちまったなぁ?まさか、異世界の軍隊に入っちまうとはな?」

 M2A3ブラッドレー歩兵戦闘車の操縦席から、マイクを通してソランのお気楽な声が流れてくる。

 

 「鉱山奴隷としてクソみたいな扱いで一生を終えるよりはマシだろ?だが、こんな事になるとは思わなかったがな。」

 車長席から前方を進む特地派遣隊・日本自衛軍のハンヴィーを見ながら返すバルド。

 

 「でも、待遇は最高だし、飯も旨いし、給料まで出るんだから。俺は帰る所も無いから、ありがたいよ。」

 砲手席で羽根を折りたたんだフェザーが、鳥人種ならではの長距離視界で周辺警戒を行いながら笑顔を造る。

 

 「確かにな。俺も記憶が無いし、帰る所も無い。そういう意味では『アルヌス傭兵団』が故郷とも云えるかもな?」

 「バルドの言葉が正しいな。俺も故郷に帰る気も無い。皆が居る傭兵団が忠誠の対象だ」

 兵員室でM240HACOG装備機関銃を点検していたライネルが、走行中の車両音に負けない声で吠えていた。

 

 「おっ!?ライネルの滑舌が良くなったなぁ!英語の習得が原因なのかもな?」

 同じく十分な体格を持ち、且つ四本の腕を備えた六肢族のガイウスが。M240HACOG装備の給弾ボックスを確認しながら茶化していた。

 

 「ら・・ライネルと違って・・まだ、上手くしゃべれない・・でも、訓練のお蔭で自分に自信が持てたよ」

 狼系ヒト種のハンクが、マクミランTAC50の運搬ケースを大事そうに撫でながらガイウスに微笑んでいた。

 

 「皆、それぞれに此処に忠誠を誓う事柄が在るのか・・・」

 肩に付けられた『アルヌス傭兵団』のワッペンを撫でながら独り言ちるバルド。

 

 「独り言は、もっと小さい声で言ってくれ?皆、仲間だし。家族のようなもんさ?」

 バルドの声を聞きつけたソランが、気恥ずかしそうに気持ちをだす。

 

 「そうだな・・・さぁ!!そろそろコダ村が見えてくるぞ!既にジエイグンの連中が接触をしているが、今回の主役は俺達だ!気を抜くなよ!!」

 

 アルヌスから続く草原の中の街道。車長席からコダ村の炊事の煙が見える。その先に広がる青空を見ながら、仲間達を頼もしく感じるバルドだった。

 

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