ハリー・ポッターと野望の少女   作:ウルトラ長男

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┌┤´д`├┐<ズノウガタリン!
皆様こんばんわ。量産型キュベレイを量産中のウルトラ長男です。
そしてそんなグリプス戦役どころか第一次ネオジオン抗争時代のMSまで蔓延る戦場で、未だに時代遅れのデンドロビウムを駆るウラキさんマジイケメン。
というか普通に無双します。何この旧式MS怖い。
ガンダムMKⅡも馬鹿にされながらネオジオン抗争を戦い抜きましたし、案外時代遅れでも何とかなるのかもしれませんね。

よし、マルフォイ。ちょっとボール乗ってVガンダム時代の戦場にフォイしてみようか。


第25話 決意と意地

 それは去年の、クリスマス休暇を過ぎた頃の事。

 イーディスがミラベルと仲違いし、ハリー達と行動を共にしていた時の出来事だ。

 

 その日のスリザリン寮内において、生徒達が思わず目を止めてしまう実に奇妙な構図が展開されていた。

 それは椅子に座り、足を組んで片方を見下す2年生の少女と、その少女の足元で頭を垂れる5年生、という涙の出る光景だ。

 本来ならば下級生の模範となるべき上級生……それもクィディッチチームのキャプテン、マーカス・フリントともあろう者がわずか12歳の少女に頭を垂れている。

 しかしその光景を不自然と思う者は一人もいなかった。

 年齢を問わず、全てを傅かせるような覇気がその少女にはあった。

 彼女……ミラベル・ベレスフォードの前では生まれた順番など何の意味も為さなかったのだ。

 

「くどいぞ、マーカス・フリント。何度同じ事を言わせる気だ?」

「…………」

 

 不機嫌を隠そうともせず告げるミラベルに、ただマーカスは無言で頭を下げ続ける。

 この少女相手に下手なおべっかや世辞は逆効果だ。故に出来るのは、誠意を示す事のみ。

 まるで巨大な手で押さえつけられているかのような圧迫感を感じながら、ただマーカスは不動の姿勢を保つ。

 

「何度来ようが私はチームには入らん。失せろ」

 

 マーカスがここにいる理由。それはミラベルをチームにスカウトする為だ。

 普通ならば、この我の強すぎる少女をチームに入れるような事は考えないし、ここまで喰らい付きもしない。

 しかし今は、グリフィンドールに勝つ為に、ミラベルという鬼札がどうしても欲しい。そう思える程に、彼は追い詰められていた。

 

 彼がキャプテンになる以前、スリザリンは常に優勝杯を獲得してきた。

 6年間連続の優勝杯獲得という輝かしい歴史。しかしマーカスはそこに泥を塗った。

 去年は杯こそ獲得出来たもののグリフィンドールとの直接対決自体は惨敗。肝心の優勝すらも、ハリー・ポッターが賢者の石を巡る騒動でダウンしたから取れたに過ぎない。

 

 そして今年に至ってはチーム全員がニンバス2001を持っているにも関わらずの惨敗。

 優勝杯すらも奪われそうになっている……否、もはや奪われるのはほぼ確定的だろう。

 勝つ為にはあらゆる手を尽くしたはずだった。スネイプに頼んで練習中のグリフィンドールからコートを奪い、ニンバス2001の為にマルフォイだってチームに入れた。

 どんな汚い手を使ってでも、勝利という結果をチームの皆に持ち帰れればよかった。

 なのに残ったものは、“卑怯者の負け犬”という不名誉極まりない結果だけだ。

 

「そこを、どうか……」

 

 再三、頭を下げて頼み込むマーカス。

 その彼の頬に、何の予告もなくミラベルの靴がめり込み、盛大に蹴り飛ばした。

 その細い足のどこからそんな力が出ているのか、蹴り飛ばされたマーカスは談話室の椅子をいくつも巻き込んで壁に激突し、その余波で立てかけてあった肖像画が床に落ちた。

 

「私は失せろと言ったのだ。聞こえなかったか?」

 

 上級生を足蹴にしておいて何の罪悪感も感じていないかのように……いや、実際感じていないのだろう。ミラベルは全く悪びれずに言い放つ。

 まさに暴君。まさに唯我独尊。

 己の意思を曲げようとする不敬者はたとえ上級生であろうと排除するのがこの少女だ。

 彼女は再び足を組むと、倒れ伏したマーカスを不機嫌そうに見下ろす。

 ミラベルの蹴りによって齎されたダメージは甚大で、歯を折られた口や鼻からは止め処なく血が流れ、床を赤く染め上げていた。

 マダム・ポンフリーならば折れた歯くらいどうとでも治療出来るが、これがマグルの世界ならば一生ものの傷だ。

 

「お、お願いだ、ベレスフォード……スリザリン寮の為に、力を貸してくれ」

 

 しかし、これで懲りるかと思われたマーカスは再びミラベルの前に行き、頭を下げた。

 この少女が簡単に動いてくれない事くらい、わかっている。

 それでも勝利の為には彼女の力が欲しいのだ。

 

 スリザリンは、学校中の嫌われ者だ。

 試合で負ければ他3寮がこぞって大はしゃぎをし、勝てば大ブーイングが巻き起こる。

 だからこそ、せめて勝利という華々しい結果を残してやりかった。

 結果さえあれば、他3寮からの罵りも耐えられる。卑怯と言われようが何だろうが、自分達は勝ったのだ、と堂々と胸を張れる。

 

「勝ちたいんだ……俺は、どうしてもグリフィンドールに! ハリー・ポッターに! オリバー・ウッドに勝ちたいんだッ!」

「貴様……」

 

 恥も誇りも投げ捨てて、ただ懇願する。

 その、勝利のみに執着する姿がミラベルにどんな感情を抱かせたのか。

 彼女は品定めするように眼を細め、床に置かれていたマーカスの手の指に足を合わせた。

 そして少し力を込めるとマーカスの4本の指が弓なりに逸らされ、関節に鈍い痛みが走る。

 もしこれ以上ミラベルが足に力を入れればたちまちマーカスの指が曲がってはいけない方向に曲げられ、凄まじい痛みを味わう事になるだろう。

 

「気が変わった。貴様を試してやろう。

……このまま指をへし折る。もしその痛みに声をあげなければ手を貸してやってもいいぞ?」

「……ッ」

「さあどうする? やめるなら今のうちだぞ」

 

 ハッタリの類か、などとは思わなかった。

 この少女はやると言ったら本当にやる女だ。頷いたが最後、一片の慈悲もなく指をへし折るだろう。

 折れた指くらい、マダム・ポンフリーならば治せる。だがその痛みは想像を絶するに違いない。

 マーカスはゴクリ、と唾を呑み、ミラベルを見上げる。

 正直言って逃げたい。やっぱり諦めます、と言ってこの場から離れたい。

 だが、他3寮から笑い者にされ、嘆く寮の皆の顔を思い出すと逃げてはいけない、という気になる。

 だからこそマーカスは強い決意を宿し、己を見下す少女の黄金の眼を真正面から見据え、言った。

 

「……やめ、ない」

「…………」

「約束、してくれ。俺が耐えたら、チームに入って、スリザリンに勝利を齎すと」

「…………」

 

 ミラベルは無表情でマーカスの眼を覗き、そして初めて笑みを浮かべた。

 それは思わず見惚れそうになる、天使のような美しい微笑みだったが忘れてはならない。この少女は天使などとは程遠い悪鬼である事を。

 彼女は笑みを称えたまま、マーカスの覚悟を賞賛する。

 

「見事だ、マーカス・フリント。貴様のその勝利への執念、他の誰が認めずとも私が認めよう。

故に我が名に懸けて約束しよう。必ず貴様に勝利の美酒を与えてやるとな」

 

 優しさすら感じられる、透き通った声色。

 そして同時に指に走る、堪えがたい激痛。

 マーカスは自分の指がへし折れる音を確かに聞きながら、あまりの激痛に意識が落ちていくのを感じていた。

 

 だが、最後まで悲鳴を上げる事はなく。

 マーカスは来年のスリザリンの勝利を確信しながら、笑みすら浮かべて床に沈んだ。

 その最後の一瞬、マーカスが聞いたのはミラベルの、嘘偽りのない賛辞の言葉。

 

「誇れ、マーカス・フリント。貴様はこの私の助力を勝ち取ったのだ」

 

*

 

 そして時間が移り、現在の10月。

 グリフィンドールのキャプテンであるオリバー・ウッドはクィディッチ競技場の片隅にある冷え冷えとしたロッカールームでチーム全員に檄を飛ばしていた。

 その声にはやってやるぞ、という気迫と、妙な悲壮感が篭っている。

 

「諸君! 今年が最後のチャンスだ。俺の最後のチャンスだ、クィディッチ優勝杯獲得の」

 

 オリバーは選手達の前を行ったり来たりしながら、大声で演説をする。

 

「俺は今年限りでいなくなる。二度と挑戦出来ない。

グリフィンドールはこの7年間、1度しか優勝出来ていない。

その1度の優勝が去年の事だ。輝かしい栄冠だ。俺はこの栄冠を持ったまま学校を去りたい」

 

 そこまで言ってオリバーは一度言葉を切り、拳を握る。

 その顔にはこれまでにない不安と焦燥が見え隠れし、歯をギリギリと噛み締める。

 

「しかしながら、その我らの栄冠を脅かそうとする者がいる!

今年のクィディッチはまるで俺達の優勝を阻もうとしているかのように、強豪揃いだ」

 

 学年が変われば選手も変わる。

 これまでチームを支えた柱とも言える選手が去って弱体化するチームもあれば、逆に期待の新鋭を加えて強化されるチームもある。丁度、2年前にハリーを加えたグリフィンドールのように。

 そして今年は、あろう事か二つのチームでそれが同時に起こってしまった。

 

「ハッフルパフの新しいキャプテン、シーカーのセドリック・ディゴリー!」

 

 ハッフルパフは4寮の中で最も目立たず、脚光を浴びない寮だ。

 しかし極稀にとんでもない英傑が現れるからあの寮は侮れない。

 セドリック・ディゴリーなどがまさにそれで、魔法の才能、容姿、性格全てに優れるという学校の人気者だ。

 しかしそのセドリックすら霞んで見える要注意人物が今回のクィディッチには紛れ込んでいる。

 

「そして、恐れていた最悪の事態が発生した……。

あのミラベル・ベレスフォードが、スリザリンチームへの参加を表明した!」

 

 オリバーの血を吐くような苦々しい言葉に一同が騒然とする。

 この学校でミラベルの名を知らない生徒など一人とて存在しない。

 『暴帝』、『悪鬼』、『バジリスク殺し』など様々な呼び名で恐れられ、あるいは崇められ、そして畏怖される存在。

 その圧倒的な魔法の才は他の追随を許さず、7年生や時には教師ですら凌ぎ、戦いとなれば蛇の王だろうと笑いながら蹂躙する。

 しかしながら、その整いすぎた神の造形美とも言える美貌は他者を惹き付けて止まず、その声は容易く聞く者を虜とし、己が忠実な兵士へと変える。

 そのスリザリン最大のジョーカーとも言える少女が遂に、クィディッチに参戦を決めてしまったのだ。

 

「誤算だった……全く誤算だった! ベレスフォードはクィディッチに全く興味を示していないと油断していた。

マーカスが以前から彼女の才能に目を付けていたのは知っていたが、彼女の性格上、マーカスに従う事は絶対に有り得ないと踏んでいた! 意見を曲げる事はないと確信していた!

だが一体いかなる手段を用いたのか……いや、どうせロクな手段じゃないのだろうが……とにかく、我々にとって最悪の敵が誕生してしまったのだ!」

「で、でもオリバー。所詮は3年生の女子生徒じゃない」

 

 苛立つオリバーをなだめるようにチームメイトのアンジェリーナ・ジョンソンが声をかける。

 しかしその言葉を聞くや、オリバーは「所詮!」と叫び、信じられないという顔でアンジェリーナを見た。

 

「アレは3年生だとか、そういう次元じゃない!

彼女が去年、バジリスクを惨殺したのを忘れたか!?」

「で、でも箒が上手いとは限らないわ! それに私達にはハリーがいる!」

 

 アンジェリーナの言葉を聞き、オリバーは「そうだ」と返す。

 そして肩でゼイゼイと息をして呼吸を整えてから、若干落ち着いたように顔を上げた。

 

「そうだ、その通りだ! 確かにベレスフォードは恐ろしい相手だ。

だが俺達は最高の、学校1の、強烈な、チームだ!

俺達にはとびっきりのチェイサーが3人いる! 負け知らずのビーターが2人いる!

そして俺達のシーカーは常に我がチームに勝利を齎した! それに俺だ! 決めてるキーパーだ!」

 

 オリバーがあらん限りの声で吼え、チームメイト全員が力強く頷く。

 そうだ、恐れる事はない。自分達は間違いなく、近年の中でも最高のクィディッチチームだ。

 これほどの英傑が揃う事など、長いホグワーツの歴史の中でも滅多にない。

 間違いなく、自分達は歴代のグリフィンドールチームの上位に名を連ねる最強のメンバーだ。

 

「そうだ、オリバー!」

 

 フレッドが同調するように言う。

 

「今年は私達の年よ!」

 

 アンジェリーナがそれに続く。

 

「絶対勝つぞ!」

 

 ハリーが勇気を奮い起こすように宣言する。

 確かにミラベルは恐ろしい。いや、むしろハリーほどその強さを知っている生徒も他にはいないだろう。

 だが箒なら自分が勝つ。空の上ならばこちらのフィールドだ。

 たとえあのミラベルが相手であろうと、負ける気はしない!

 そう、ハリーは心から信じていた。

 

 グリフィンドール一同の、勝利に向かわんとする意思。

 それが雄雄しき声となり、この日のロッカールームを熱く揺らした。

 

*

 

 10月末、ハロウィーン。

 その日は記念すべき1回目のホグズミード週末だ。

 まるでクリスマスカードからそのまま抜け出してきたような、雪に覆われた白銀の村にはすでに多くの生徒が集っており、そして各々の興味のままに店を訪問していた。

 ミラベルとイーディスもまたホグズミードを訪れていたが、その場には普段は居合わせないもう一人の同行者が立っていた。

 

「貴様等がそれなりに親しいのは知っていたが、ここまでとは思わなかったぞ。

まさか貴様が同行するとはな……グレンジャー」

 

 ミラベルの視線の先にいるのは妙に萎縮してしまっているハーマイオニーだ。

 別にミラベルは彼女を責めているわけでもなければ睨んでいるわけでもなく、それどころか彼女にしては珍しく好意的ですらあるのだが、それでもミラベルの視線はハーマイオニーにとってプレッシャーらしい。

 その事を察したイーディスがハーマイオニーを庇うように両者の間に立ち、口を開いた。

 

「彼女、一緒に行く相手がいないのよ。ハリーは家族の許可が降りなかったらしいし、ロンは……ほら」

「ああ、聖マンゴに入院中か」

 

 ハーマイオニーが常に行動を共にしていた相手といえばハリーとロンの二人があげられるが、彼らはこの場にいない。

 しかも二人共ここに来るのは絶望的だ。

 ハリーは親族の許可が降りない以前にシリウスに狙われている都合上、教師達も彼を学校の外に出したくないし、そもそも親族からして魔法嫌いの偏見マグルだ。

 ロンに至っては去年にロックハートから受けた忘却呪文のせいで未だ病院から戻れていない。

 不幸中の幸いなのは、彼が受けた呪文が直撃ではなかった事だ。

 そのおかげで忘却の魔法は十分な威力を伴っておらず、後1年も入院すれば学校に復帰出来るだろう、というのが癒者(ヒーラー)の言葉だった。

 

「ま、来ると言うなら私は構わんぞ」

「うん、ありがとう、ミラベル」

 

 特に異論を唱える事もなくあっさりハーマイオニーを受け入れたミラベルにイーディスが礼を言う。

 実の所、ミラベルとしては優秀なハーマイオニーは決して嫌いではないので、断る理由などないのだ。

 例えばこれがグラッブやゴイルなどの何の役にも立たない木偶の棒だったならミラベルは断固として断っただろうし、暴力も辞さなかっただろう。

 よくも悪くも……いや、いい所など1割にも満たないが……とにかく、彼女は好き嫌いがハッキリしているのだ。

 

「まずは予定通りハニーデュークスから回るぞ」

「おっけー」

 

 このホグズミードに来た目的であるお菓子専門、ハニーデュークス。

 そこに真っ先に行く事はすでにミラベルの中で決定事項となっている。

 というより、そもそも彼女がホグズミードに来た理由の大半がそれだ。

 雪の降りしきる村の中を進み、道中にある様々な店を通り過ぎて先へと進む。

 その途中で見かけたパブ『三本の箒』を見て、イーディスが物欲しそうな顔をしたのは、この寒さを思えば仕方のない事だろう。

 

「ミラベル、ハニーデュークスでお菓子買ったら、あそこに寄らない? バタービールっていうの、前から飲んでみたかったんだ」

「ふむ、バタービールか。確かに寒い日はあれに限るな」

 

 バタービールとは『3本の箒』名物の、温かい飲み物だ。

 ビール、と銘打ってはいるが無論本物のビールではない。

 牛乳とバター、卵黄と砂糖で作る甘い飲み物であり、泡だったその姿がビールのように見える事からそう呼ばれているだけだ。

 『3本の箒』名物ではあるが、別にそこでしか飲めない飲み物というわけでもなく、その為ミラベルはどんな飲み物なのかを正確に把握していた。

 

「わかった。後で立ち寄るとしよう」

 

 それだけ言い、ズンズンと先へ進んでいくミラベルの背を見ながら、ハーマイオニーが小声でイーディスへと話しかける。

 その声はなるべく音量を落とそうと努力しているらしく、ミラベルに聞かれたくない話らしい。

 

「ねえイーディス」

「ん? 何?」

「気になってたんだけど、何で貴女はベレスフォードと親しくしているの?」

 

 それはハーマイオニー最大の疑問だった。

 ミラベルとイーディスの二人は、自分やハリー、ロンのように常時行動を共にしているが、この組み合わせにはかなり無理がある、と彼女は考えている。

 片や常識人のイーディス、片や非常識の塊であるミラベル。

 イーディスはスリザリン生ではあるが常識があり、人情があり、そして正しい倫理観を持っている。

 他者の為に心を痛める事が出来るし、こうして行動を共にしているとその優しさもわかる。

 何故スリザリンにいるのかわからないくらいに、イーディス・ライナグルは自分達に近い。

 だがミラベルは違う。

 彼女に常識はないし、人情もない。倫理観も滅茶苦茶でひたすら身勝手だ。

 他人など虫ケラ程度にしか思わないし、哂いながら生き物を殺せる残忍性まで備えている。

 その思想こそスリザリンを否定するものだが、彼女の在り方はまさに傲岸不遜のスリザリン生そのものであった。

 

「正直私、彼女と仲良くしてる貴女の気が知れないわ」

「うーん……まあ、気持ちはわからないでもないけど……」

 

 イーディスとミラベルの組み合わせは、極端に言えばハリーとマルフォイが仲良く手を繋いでマイムマイムするくらいに有り得ない事なのだ。

 価値観も好みも、何もかもが一致しない相手。そんなのは友人として成立し得ない。

 なのにこの二人は友人として共にある。有り得ないはずの矛盾が成り立っている。

 ハーマイオニーはその事が不思議で仕方なかった。

 

「ま、あれでいい所も結構あるんだよ。血筋に関係なく認めてくれたりね」

 

 ミラベルは確かに排他的で選民主義者だ。

 しかしその基準はあくまで本人の能力を考慮したものであり、血筋のみで排するわけではない。

 決してそれが純血主義に比べていいわけではなく、むしろ50歩100歩だが、それでもイーディスのような人物にとってそれは有り難いものであった。

 

「だからこそ、ハリーは気をつけた方がいい」

「え? どうして?」

「一体何があったのかは知らないけど、ミラベルはフリント先輩を認めてしまった。

チームに参加する事を、自分の意見を曲げてまで受け入れてしまった」

 

 つまり、とイーディスは続ける。

 あの友人が前言を撤回してまで力を貸す事を決めた以上、そこに半端はない。

 やるからには徹底的に、無慈悲にやる。それがあの少女の在り方だ。

 ならば……。

 

「グリフィンドールの柱であるハリーを、徹底的に叩きのめすと思う。

ミラベルなら、間違いなくそうする」

 

 その忠告に、ハーマイオニーは顔を青褪めさせ――今はここにいない友の未来に、暗い陰りが差すのを感じた。

 




ミラベル「ふむ、ヌガーとチョコと、後この飴も欲しいな。それから羽根ペン飴に糸楊枝キャンディに……」
イーディス(なんか凄い沢山買ってる)
ハーマイオニー(何故太らない)

┌┤´д`├┐<キヒンガタリン!
今回は去年の一幕、グリフィンドールチームの演説、ホグズミード巡回の3本でお送りしました。
まあ全体的にクィディッチ中心ですね。
というか今回は倒すべき相手がいないのでクィディッチくらいしかないという……。
ワームテール倒してもいいんですけど、それやると帝王さんの復活が遅れて(いつか復活するでしょうが)最悪、ミラベル在学中には戻ってこない恐れすらあります。
ミラベルもそれはわかっているので手出しはしないようです。

ところでロンがいない現状、ワームテールがどこにいるかと言えば、グリフィンドール寮のどこかに潜んでいます。
そしてクルックシャンクスに追い回されております。
しかもロンがいないので誰も庇ってくれません。頑張れ、ワームテール。

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