シンとレンの十二の冒険   作:kuraine

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第18話 道中

 ダンジョンを攻略してから数時間が経ち、二人はアルキトラの街の中にいた。

 

「朝に出たのにすっかり夜ですね。」

 

「ああ、そうだな。今日は宿に泊まって、明日、朝早くに出るか。」

 

「そうですね。この時間だと、馬車も出してくれないでしょうしね。」

 

 二人は今まで泊まっていた宿に戻り、この日はすぐに寝た。朝になり、朝食をとると馬車を出してくれる所に向かった。

 

「今回の目的地は、少し長旅になりそうだな。」

 

「そうですね。まずは、海を渡るために港町のレジアルという町まで行きましょう。港町だから新鮮な魚とか色んな物や人もいて凄く賑わっているところです。」

 

「へ〜、それは早く行ってみたいな。」

 

 レンの話にシンは想いを膨らませていた。すると、二人は馬車を出してくれる所に着いた。

 

「ここで馬車を出してもらえるか聞いてみましょう。」

 

「ああ。」

 

 建物の中に入ると、男がカウンターで紙に何かを書いている所だった。シン達が入ってくるとその手を止めて挨拶をしてきたので、二人も挨拶を返した。

 

「レジアルまで行きたいんですけど、馬車は出ますか?」

 

「それなら丁度出ますんで乗って下さい。」

 

「分かりました。」

 

「ラッキーだったな。」

 

「そうですね。」

 

 二人はレジアル行きの馬車に乗った。二人の他にも何人か乗っていて、馬車は馬が二頭で引いており、一人だけで馬車を引いて行くようだ。

 

「これからの予定はどんな感じなんだ?」

 

「とりあえず、村や町によって休憩しつつ、レジアルまで向かうって感じですかね。リネオスの兵士の人たちと違って、色々な所に寄りながら行くので遅くはなるけど、歩くよりはマシって感じですね。」

 

「なるほどな。」

 

 シンはレンからこれからの予定を聞いて、なんとなく旅の全貌を想像する事ができた。

 

 

 二人がアルキトラを出発してから四日が経っていた。

 

「アルキトラから出発して四日経ったけど、景色が変わり映えしないな。」

 

「当たり前でしょ?森の中をずっと通って来ているんだから。歩きで、道まで無かったらもっと大変だったんだからね?分かってるの?」

 

 シンが木ばかりの変わり映えしない景色に飽きて愚痴に近い言葉を発すると、レンが今の状況のありがたみを分かっているのかという顔をしながらシンを見ていた。

 

「それはそうだけどな。なんかこうパッとしないよな。」

 

「はぁ〜……」

 

 シンはレンの言う事も理解しているつもりだったが、少し前のダンジョンを攻略して神器を手に入れた時のことを思い出すと、馬車に乗って、ただただ座っている今との落差に自然と愚痴っぽい言葉が出てきた。レンはそれを察していたらしく、ため息が自然と漏れていた。

 

「ヒヒ〜〜〜ン」

 

 馬の大きな声が聞こえてきた。すると、馬車が止まって動かなくなった。

 

「何かあったのか?」

 

 そう思ってシンが馬車から外を見ると、そこには何処かで見た男達が道を塞ぎ、馬車を通れなくしていた。

 

「悪いがここを通りたいんだったら、あるもの全部置いて行ってもらおうか。」

 

 そう言うと、男達は剣や銃など様々な武器を取り出し、馬車を操っている男を脅していた。すると、シンは武装した男達のことを見て、その男達がレンと出会った村の酒場で脅してきた反乱勢力のチンピラ達だった事を思い出した。

 

「あいつら王都の件で捕まったんじゃないのか?」

 

 シンが疑問に思っていると、レンがシンの隣に来て同じく外を見た。

 

「あの人たちって私たちを襲ってきた反乱勢力の人達ですよね?」

 

 レンもこのチンピラ達の事を覚えていたらしく、シンと同じような事を思っていた。

 

「あいつらに襲われて人質でもとられたら面倒だ、先に降りて倒した方が良さそうだな。」

 

「それもそうですね。」

 

 シンとレンは馬車から降り、チンピラ達の方へ歩いて行く。すると、馬車を操っていた男がシン達のことに気づいて慌てて話しかけてきた。

 

「あんた達、何やってんだ!早く戻れ!」

 

 シン達に馬車を操っている男が危険を察して怒鳴った。すると、その声に気づいたチンピラ達が声のした方向を睨みつけた。

 

「おい、なんだ!?何やってやがる!?」

 

 チンピラ達が馬車を操っている男を怒鳴りつけた。すると、馬車で隠れていたシンとレンの姿が馬車からだんだん見えてきた。

 

「まったく、懲りない奴らだな。」

 

「本当ですね。」

 

 シンとレンが呆れたといった顔でチンピラ達の前に現れた。馬車から見えてきたシンとレンの姿にチンピラ達の顔がどんどん青ざめていった。

 

「お前ら捕まったんじゃ無いのか?」

 

「捕まる前にギリギリで逃げ出したんだよ。」

 

 シンが質問をすると、チンピラ達の一人が答えた。

 

「なるほどな。それでまだこんな事をしていると。」

 

「どうしようもない人達ですね。」

 

 シンとレンは呆れていると、チンピラ達は震えながら武器を構えた。

 

「こうなったら、やるしかねーだろ。」

 

 チンピラ達が震えた声でそう言って武器を構えていると、シンは懐からサニアを取り出し、横の森に向かって、サニアを横に振り払った。すると、サニアの剣筋通りに森の木が百メートル程薙ぎ倒されていた。それを見たチンピラ達は悲鳴を上げながらバラバラに森の方へ逃げていった。

 

「もう、悪さすんなよ〜〜!!」

 

 シンの言っている事など届く間もなく、チンピラ達は見る影も無く消えていった。

 

「シン!やりすぎです!こんなに木を切ってどうするんですか!?それに、人がいたら大変な事になってるんですよ!?もう!」

 

「俺もここまでやるつもりは無かったんだよ。まさか、こんなに強いなんてな、、」

 

 レンはシンのやりすぎた行動に怒りを露わにし、眉間を寄せていた。シンは弁解をするものの、レンはそれでも怒っていた。すると、馬車を操っていた男が話し掛けてきた。

 

「すいません。あなた方が危険に晒されてしまうと思い、つい怒鳴ってしまいました。まさか、こんなにお強いとは。」

 

「いえいえ、そんな事ないです。お気になさらず。この人がやり過ぎてしまって申し訳ないです。」

 

 馬車を操っていた男が謝罪をしてきたが、レンはそれを謙遜し、シンがやりすぎてしまった事に謝罪をした。

 

「いえいえ、助けて頂いたことに変わりは無いですから、お礼と言ってはなんですが交通費はタダで結構です。」

 

「タダですか?そんなの悪いですよ。」

 

「感謝の気持ちと思って受け取ってください。」

 

「そうですか?すみません……」

 

 レンは男の申し出に遠慮していると、感謝の気持ちということで受け取って欲しいと言われ、レンは申し訳ない気持ちはあったがありがたく受け取ることにした。

 

「シンはこれから神器の使い方には注意してくださいね。」

 

「はい……分かりました。」

 

 レンが少し怒った顔でシンに言うと、シンは反省して今回のことを肝に銘じた。

 

次回、深夜の村の訪問者

 

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