次の日の昼頃、二人はエルナ方面行きの客船に乗るために船着き場に来ていた。船着き場に着くとエルナ方面行きの客船を見つけた。見た目は木製の船で、大きさは海賊船と例えるのがピッタリなくらいの大きさだった。
「エルナ方面に行きたいんですけど、この船で合っていますか?」
「ああ、この船で合ってるよ。乗るかい?」
「お願いします。」
二人は無事にエルナ方面行きの船に乗る事が出来た。
「これからの予定はどんな感じなんだ?」
「そうね、これからの予定は海を航海して、向こう側にある港町のラクタートまで行ったら、歩いて故郷のエルナに向かうって感じね。」
その時シンは一つ疑問に思った事をレンに質問した。
「この船がラクタートって港町まで行くって事は分かったけど、故郷のエルナまでは馬車を使かった方が早いんじゃないのか?」
「そうなんですが、私の故郷のエルナは北寄りの村なので、基本的に寒くて、雪が降ったりもするので、馬にとっては少し厳しい環境なんです。なので、馬車は使えないんです。」
「なるほど、そういう事か。」
シンはレンの説明で理解した。
「まずは、ラクタートまで一週間かからないぐらいの船の旅ですね。」
「そっか、了解。」
二人がそんな事を話していると、船が帆を張り、太陽の光で輝いている海に出航した。
二人がレジアルを出港してから二日が経った。辺りは何もなく、太陽の光が降り注ぎ輝く海と潮風が吹き、水平線が見えている。二人は今、船の甲板でその景色を見ていた。
「気分転換のつもりできたけど景色も良くて、ポカポカしてて、丁度昼寝をするには最高の天候ですね。」
「ああ。いい天気だな。」
二人は過ごしやすいこの天気に浸っていた。
「なあ、エルナってどんな村なんだ?」
「どんな村ですか。ん〜、」
シンの質問にレンは悩んでいた。
「エルナ村はこの前も話したかもしれませんが、基本的には寒いですね。雪はいつ降ってもおかしくない気候ですね。あとは、村の人はみんな優しい人達ばかりです。」
「へ〜、それは早く行ってみたいな。」
レンの説明にシンは想像を膨らませた。すると、レンは少し悲しげな目をしていた。
「やっぱり、心配か?」
「ええ、レイナとはずっと一緒にいたので、半年も会わなかった事は初めてなんです。それに早ければもう……」
「大丈夫だ!半年も妹の為に頑張ったんだろ?なら、会う時間ぐらい神様が用意してくれるさ。」
「シン……ありがとう。」
レンはレイナの事で不安で一杯だったが、シンの言葉に勇気づけられた。
「おう!……にしても、海って広いんだな。水面に太陽の光が反射して綺麗だし。」
シンはレンに返事をしてから、海の方に体を向けて歩きながらそんな事を言った。すると、シンが見ていた海の水面に泡がブクブクと湧き出ていた。
「なあ、レン。あれなんだ?」
「なにかありました?」
シンが指を指してレンに泡の出ている方向を指さすと、レンが歩いてきて、泡が出ている水面を見た。
「なんですかね?」
レンが不思議に思っていると、泡がどんどん強くなっていった。すると、次の瞬間、泡が出ていた場所の水面が見て分かるぐらい海の流れを表していた。それは、泡の出ていた場所を中心に渦を巻き、どんどん大きさを広げていった。この海の流れの正体は渦潮だった。
「渦潮だー!!何かに掴まれー!!」
船員がそう言うと、渦潮はどんどん大きくなっていき船が渦潮の流れに乗った。すると、船は大きく揺れ、何かに掴まっているので精一杯なぐらいだった。渦潮は更に大きさを広げて三百メートル以上の大きな渦潮になっていた。船も制御出来ないらしく、渦潮の流れに流されるままだった。すると、大きな渦潮の中心から白い何かが見えた。
「渦潮の中になんか見えたぞ。」
「何が見えたんですか?」
船に掴まりながらシンがそう言った。レンはシンが言った何かを探そうと渦潮の中を見た。すると、渦潮の中心から白い石造りの建物が見えてきた。渦潮はその建物を中心に出来ており、どんどんその建物に吸い込まれていくように出来ていた。渦潮は次第に建物の姿を完全に見せ、その建物の周りの地面まで見えていた。渦潮は起きているのに中心には建物が見え、地面すら見えているという現実離れした状況になっていた。
「なんだあれ!?海ってこうなるのか!?」
「そんな訳ないでしょ!?普通じゃありえないです。」
シンは初めての海にこれが普通なのかと思ったが、レンが否定したので普通では無いということが分かった。そんな事を話していると、船はどんどん吸い込まれて行き、もう少しで地面に着くところまで来ていた。
「このままだと地面に着いてしまいます。」
「でも、どうしようもないだろ!?」
すると、船は地面を擦りながら減速していった。地面と当たっている為もの凄い揺れが発生しておりシンやレンを始め、船にいる全員が何かに摑まっていた。すると、ようやっと揺れが収まり船は止まった。
「とんでもね〜な。大丈夫か、レン。」
「はい、大丈夫です。それよりも他の人達は?」
レンが船を見渡すと、怪我をしている人はいないようだった。
「これは一体なんなんだ?」
「分かりません。でも、こうなったのはあの白い建物のせいでしょうね。」
「まあ、状況から見てそうだろうな。行ってみるか。」
「そうですね。」
二人は船に乗っている人の安否を確認してから乗員に説明した後に、白い建物に向かった。
次回、三つ目のダンジョン