シンとレンの十二の冒険   作:kuraine

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第51話 エスタルト到着

 サントリアを出発してから四日が経ち、二人はエスタルトに着いた所だった。エスタルトは村と言いつつも、町より少し小さいぐらいの村にしては大きめな所だった。家は木製でできており、所々に家畜を飼うための囲いがあり、その中には鶏や牛などの家畜がいた。道には何人か行き来している人もいて、それなりに活気はあるようだった。

 

「ここがエスタルトか……」

 

「早速、グラートを探してみよう。」

 

「ああ、そうだな。」

 

 村を見渡していたシンにレンはそう言って、村の中を歩いた。二人は歩いていると、前の方に〈食事処〉と書かれた看板のある店を見つけた。

 

「あそこでグラートの事を聞いてみよう。」

 

「そうだな、あそこなら何かと知ってるかもしれないしな。」

 

 二人はそう言うと、店の中に入った。中は至って普通で、テーブルと椅子がセットでいくつか置かれている。二人がこの村に着いた時間のためか客はいなく、店主の男だけだった。

 

「いらっしゃい、好きな所に座ってくれ。」

 

「どうする?ついでに飯も済ませるか?」

 

「そうだね、ご飯食べよっか。」

 

 二人はそう言うと、適当な席に座ってご飯を頼んだ。それから暫くすると、店主がご飯を持ってきた。

 

「はいよ。注文は以上だな?」

 

「ああ。」

 

 店主がご飯を出しながらそう言ってきた。

 

「お聞きしたい事があるんですけど、良いですか?」

 

「なんだ?」

 

 レンがそう言っていうと、店主が不思議そうな顔をして言った。

 

「実はグラートという人を探してさっきこの村に来たんですけど、知りませんか?」

 

「グラートさんを?」

 

 レンがグラートという名を出すと、店主は驚いた顔をしてグラートの名を口にした。

 

「知ってるんですか!?」

 

「知ってるも何も、この村を救ってくれた大恩人だ。」

 

 レンが驚きながら聞くと、店主がそんな事を言った。

 

「大恩人?」

 

「ああ、実はこの村はほんの数日前まで山賊が蔓延って酷い有様だったんだ。それを、グラートさんが退治してくれてな、この村もやっと平和になったって訳よ。」

 

 シンは店主の言葉を不思議に思って訊き返すと、そんな事を言ってきた。

 

「そうだったんですか……」

 

 それを聞いたレンがその大変さを思ってか、考えた表情で言った。

 

「まあ、でも、今じゃあご覧の通り店を開けるまでには回復したって訳よ。」

 

「なるほどな。それで、グラートは今何処に?」

 

「グラートさんなら王都リネオスに行くって言ってたよ。」

 

「リネオスに!?」

 

 店主の話を聞いた二人は驚いていた。リネオスと言えば、二人が最初に神器を手に入れた所でもあり、良くも悪くも色々な事があった思い入れのある場所だ。店主の話だとそこにグラートは行ったという事だった。

 

「ああ、何でも探している人がいるとかでな。三日ぐらい前にこの村を旅立っていったよ。」

 

「そうか……、色々聞けて助かったよ。ありがとう。」

 

「いやいや、なんの。」

 

 シンが礼を言うと、店主はそう言って厨房に戻って行った。

 

「まさかグラートがリネオスに向かったなんて。」

 

「そうだな、グラートが自分達の行ったことのある街に行くなんてな。」

 

 グラートがリネオスに向かってこの村を出発したという事を店主から聞いた二人はグラートの行動にもどかしさを感じていた。

 

「これから直ぐにリネオスに向かうのか?」

 

「そうね、じゃないとグラートがどこに行ったか分からなくてなるしね。」

 

 シンはレンにこれからの予定を聞くと考えた表情で言った。

 

「ご飯を食べたら村にリネオスまでの馬車があるか聞いてみよ?」

 

「そうだな。まずは早く食べちゃうか。」

 

 レンの提案にシンは相槌をすると、二人はそれからご飯を食べてた。それから暫くして、二人はご飯を食べ終わると、会計の為に店主の元に近づいた。

 

「あんた達は旅の人だろ?彼氏彼女で旅とは羨ましいね〜」

 

「……ッ!?」

 

「ん、ん……、そういう訳じゃない……」

 

 店主の突然の発言に、レンは顔を赤くして驚いていた。シンはというと、頰をほんの赤くする程度で咳払いをして、店主の発言を否定していた。

 

「お?そうだったのか?てっきり付き合ってるもんだと思ったぜ。」

 

 店主は意外と言ったか顔をしながら言った。すると、顎を手で触りながら二人の事をじっと見て何かを考えているような表情をしていた。

 

「……時間の問題だな……」

 

 二人の事を見ていた店主がそんな事を言った。

 

「……」

 

「……」

 

 店主の言葉に二人は顔を赤くするだけで何も言うことは無く、下を向いて、恥ずかしさからただただこの時間が早く終わるのを願っているようだった。

 

「まあ、仲良くな?」

 

 それをを見ていた店主が二人を見兼ねてか、呆れた感じで言った。

 

「ああ。……それはそうとして、この村にリネオスまでの馬車はないか?」

 

 店主の助言にシンは軽く返事をすると、話を変えて、レンと話していたリネオスまでの馬車の有無を聞いた。

 

「それなら村の外れに馬車を出している所がある。この店を出て右に真っ直ぐ行った所にオレンジ色の分かりやすい家が見えてくる筈だ、行けば直ぐに分かると思うぜ。」

 

「そうか、何回も聞いて悪いな。」

 

「良いって事よ。」

 

 こうして、二人は会計を済ませて食事処を後にした。それから二人は店主の言われた通りに村を進んでいると、前方にオレンジ色の木造の家があった。その家の横には馬を留めておく馬舎があり、現に今も馬が数頭いた。

 

「この家の事だよな?」

 

「うん。中に入って、聞いてみよう。」

 

 二人は店主から話に聞いていただけなので少し不安だったが、中に入って聞いてみる事にした。

 

次回、恩人の幼馴染

 

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