シンとレンの十二の冒険   作:kuraine

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第55話 シンの兄

「実はな、シンとレンをアルキトラまで送った兵士がリネオスに帰る途中で殺された。」

 

「なっ!?」

 

「そんなっ!?」

 

 エルフィンからの突然の告白に二人は驚きを隠せなかった。まさか、自分たちを送ってくれた兵士が自分達と離れてから殺されたなんて夢にも思っていなかった。

 

「何があったんだ?」

 

 エルフィンの話を聞いたシンが何故殺されたのか理由が気になり聞いた。

 

「うん、どうやら二人を送り届けた後、リネオスに帰る途中にとある旅人と話していたと言う情報が手に入ってな。たまたまそこを通りかかったという人から聞いた話らしんだが、その人がそれを目撃した場所が兵士が殺された場所と一致していてな。恐らくだが、その旅人と会話をしている最中に殺されたのではないかというのが分かったんだ。それで我々は色々調べているとその人物の特徴が分かってきたんだ。それを今父上に伝えようと思ってな。」

 

「まさか、そんな事があったなんて……」

 

 エルフィンの話を聞いたレンが悲しそうな表情をして言った。

 

「して、その旅人の特徴はどうであった?」

 

「話を聞くと、赤髪で腰に剣を下げている男だとか。」

 

「赤髪に剣!?」

 

「どうかしたのか?」

 

 エルフィンの話を聞いたシンが驚いた顔で言った。エルフィンはそんなシンを見て不思議がっていた。

 

「もしかしたら、俺の兄さんかもしれない……」

 

「兄さん?どういう事だ?」

 

 シンの言った事にエルフィンは真剣な眼差しで聞いた。すると、シンは眉間に皺を寄せて目を横に向け、何かを考えているようだった。

 

「確証は無い。でも、俺の兄、ニールは赤い髪で腰に剣を下げているはずだ……、それに、兄さんならやり兼ねない……」

 

 シンは兄の事を思い出しているのか、重い表情で言った。

 

「ん〜なるほど、確かに目撃証言と一致しているな。」

 

 シンの話を聞いたエルフィンが顎に手を触れて言った。シンは自分の兄が人を殺しているとは考えたく無かったが、自分の父親ですら殺している兄が今更、人を殺す事を躊躇するのかと疑問に思い複雑な心境だった。

 

「……思い出した。私、その人にあった事あるかも。」

 

「何だって!?」

 

 シンとエルフィンの会話を聞いていたレンが急にそんな事を言った。シンはそんなレンの発言に驚いていた。

 

「私、アルキトラで赤い髪の腰に剣を下げている人に声を掛けられて、リネオスまでの道を尋ねられた事があったの。何処かで見た事があるような気がしてたんだけど、もしかしたらシンの面影があったからそう思ったのかもしれない。」

 

「兄さんが……」

 

「……」

 

 レンの話を聞いたシンが下を向いて唇を噛み、辛そうな顔をした。そんなシンを見たレンは心配になり声を掛けようとしたが、シンの初めて見る表情に声を掛けられなかった。

 

「まあ、聞いた限りだとシンの兄さんである可能性が高いな。もう少し情報を集めてみるか……」

 

「すまない。」

 

「気にするな。お前は何も悪く無い。」

 

 申し訳なさそうに謝るシンに、エルフィンは優しく声を掛けた。

 

「エルフィンよ、その赤髪の人物の情報をもう少し集めてくれ。」

 

「はい。」

 

「しかし、こうも殺人が起こるとは……世も末だな……」

 

「七つの罪人の件もありますからね、お身体に気をつけて下さい。」

 

 王様が腕を前で組みながら言うと、エルフィンが王様の身体を案じてそう言った。すると、階段の方から誰かが走って上がってくる音が聞こえてきた。その正体はこの国の兵士だった。兵士は階段を上がると、膝をついた。

 

「報告します。先程、仰せ付かったグラートの詳細ですが、それらしき人物を探し出す事が出来ました。」

 

「ほう、左様か。」

 

「グラートが!?」

 

 兵士の話を聞いていたレンがグラートが見つかったと聞いて驚いていた。

 

「して、何処に?」

 

「場所は此処より東方の関所の近くなのですが……」

 

「何かあったのか?」

 

 王様の問いに兵士が言葉を詰まらせた。そんな兵士の様子を見ていたエルフィンが不思議に思い聞いた。

 

「それが、話をしようとしているのですが、聞く耳を持ってくれないのです。我々は何とか足止めをするのが精一杯でして……」

 

「あ〜、ごめんなさい。グラートはあんまり人の言う事を聞かないので……」

 

 兵士の話を聞いたレンが申し訳なさそうに言った。

 

「一度会いに行ったらどうだ?その方が早いだろ?」

 

「そうですね。」

 

 エルフィンがレンにそう言うと、レンは返事をした。

 

「では、レン殿、私と一緒に来て下さい。案内致します。」

 

「はい。……シンはどうする?」

 

「……俺も行くよ。その為に此処まで来たしな……」

 

 レンはシンが辛そうな顔をしていたのを見ていたので聞き辛かったが聞いてみると、シンは兄の事があったからなのか、元気のない返事をしたが一緒に行く事にした。

 

「それではこちらです。」

 

 こうして二人は兵士の後をついて行ってグラートの元へと向かった。

 

次回、グラート

 

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