シンとレンの十二の冒険   作:kuraine

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第8話 王子と貴族の戦い

 シンとレンが城の入り口で戦っている頃、エルフィンは城に攻めて来た反乱勢力を鎮圧すべく、貴族達が来るであろう階まで来ていた。

 

「王子と王女は殺すなよ。生かして人質として利用するんだ!」

 

「ですが、こうもあっさり入れるとは、思ったより簡単でしたな。」

 

 反乱戦力の指揮を取っているのは、シン達と戦っているライザッド。そして、貴族の二人がこの作戦の指揮を取っていた。そして、ライザッド以外の戦力は王子と王女を人質とすべく、城の王室付近までもう少しのところまで来ていた。

 

「父上と母上がいない時に襲って来るとは、舐められたものだな。」

 

 そこには、エルフィンが貴族達を待ち構える形で立っていた。

 

「これは、これは、王子自らお出ましとはありがたいですな。」

 

「お前らを捕らえて早くライラに会いに行かなければならないんでね。手加減はせんぞ。」

 

 そう言うと、エルフィンは手に握っていた刀を抜いた。刀の刀身の長さは他の刀と同じだが、刀身は鮮やかな真紅色をしていて、少し不気味さを醸し出していた。

 

「幾らあなたと言っても、この数相手に一人で相手をするつもりですか?」

 

「そうですよ?それこそ舐めてると言うものですな。」

 

 貴族達がそう言うのもそのはず、貴族二人を先頭として、後ろにも兵士達が数百人は居るだろうというぐらい、数の上では圧倒的な程差があった。

 

「おいおい、一人ではない。まあ、数の上で言うなら勝てないが、実力なら貴様らの兵士よりも、私の兵士の方があると思うがね。」

 

 そう言うと、反乱勢力を囲む形で鋼の鎧を纏い、大楯に剣を構える、統率の取れた兵士が数十人現れた。

 

「軽装の兵士は北の関所に行かせ、後は城の警備に回らせたからな。」

 

「ですが、あなた方の不利な状況に変わりはありませんよ?」

 

 そう言うと、貴族の二人が剣を抜いた。それに続いて兵士達の抜剣し、両者ともに戦闘態勢に入った。

 

「これより、王子を確保する。やれ!!」

 

 貴族のその掛け声が戦いの始まりの合図となった。だが、次の瞬間、エルフィンの持っていた刀が赤い輝きを放ち、景色が一変した。一体、何が起こったのか、そこに居た者は理解が出来ていなかった。エルフィンただ一人を除いては。そして、少し時間が空き、貴族二人が自分の置かれている状態に気づく。そこには、いつも当たり前のようにあった腕がなかった。そう、エルフィンは刀が赤く輝いた瞬間に貴族二人の腕を切り落とし、戦力と指揮を奪ったのだ。

 

「う”あ”あ”あああああぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 貴族二人の悲鳴が鳴り響く。痛みを必死に堪えるためか、人間の本能的な行動なのか床に蹲り、苦し悶えていた。

 

「次はお前達だ。」

 

 エルフィンが兵士達に刀を向ける。すると、今のを見てた兵士どもが恐怖に戦き、逃げ出す者、その場に蹲るものや泣き叫ぶ者すらいたが、誰一人として剣を向けて来る者はいなかった。

 

「さてと、ここの処理はお前達に任せる。私は、まだ城にいるかもしれない反乱勢力の残党と北の関所の様子を見て来る。何かあれば知らせに来い。」

 

「はっ!了解しました。先ほど城の入ってすぐの場所に貴族と少年と少女が戦闘をしているとの報告がありました。」

 

「少年と少女?仲間割れか?」

 

「いえ、どうやらそうではなく、貴族達の後を追って来た者達なのではないかと。」

 

「ほ〜、この状況になると踏んでいた奴がいたのか。分かった、俺はそっちに向かってから北の関所に向かうとしよう。」

 

 そうして、時は現在に繋がる。

 

「おや!?これは〜エルフィン王子さ〜ま!ではありませ!んか。」

 

「アーク・ライザッドか、お前が主犯だな。」

 

「いかにも〜そのと〜りですね!?」

 

 シンとレンは新しく現れた男に誰だろうと疑問を抱いていたが、ライザッドの発言でこの国の王子様と言うこと知ることが出来た。

 

「あなたがここにいると言うことは!??」

 

「先に来た貴族なら俺が止めた。」

 

「そうですか!?それは残念ですね!?後もう〜少しだったというのに。」

 

「お前もここで終わりだ。」

 

 そう言うと、エルフィンは刀を抜いた。それを見てか、ライザッドも剣を構える。シンとレンはこれから何が起こるのか分からないが、邪魔をしてはいけない。そんな雰囲気がまだ若い二人にも伝わって来た。

 

「その刀は〜変な色してますね!?」

 

「この刀は神器、血刀ティルボルグ。力と速さが高まり、この刀は血を吸い込むことで、この刀の効果を高め、刃毀れを直し、斬れ味を最大限に保つ刀だ。」

 

「あれが神器!?俺たちのと全然違うな。」

 

「ええ、私たちのは戦闘に向かない神器なのでしょう。」

 

 そんなことを話していると、エルフィンとライザッドの戦いが始まった。エルフィンとライザッドはほぼ互角と言っていい勝負をしていた。辺りには、刀と剣の当たった時の金属音と、火花が散っていた。だが、ライザッドの動きが少しだけ鈍くなって来た。おそらく、シンとレンとの戦闘で受けた傷が動きを鈍らせているのだろう。そして、刀と剣の攻防に限界が見え始めた。エルフィンの刀が、ライザッドの頰を少しだけ掠った。すると、それからは一つ、また一つと体に傷をつけた。どんどん早くなるエルフィンに対して、鈍くなっていくライサッド。そして次の瞬間、エルフィンの刀がライザックの剣を上に弾き飛ばし、丸腰になったライザックを左肩から右脇腹にかけて斬り、そこから全身に深い傷をつけた。すると、ライザックはその場に倒れた。

 

「ふぅ〜、手負いなのにタフなやつだったな。ところで君たちは?」

 

 シンとレンが呆気にとられていると、エルフィンはシン達に話しかけてきた。シン達はここに来た経緯や今まで旅してきて出会った反乱勢力のことを簡単に説明した。

 

「なるほど、そう言うことか。君たちには悪い事をしたね。」

 

「いえ、私たちが勝手にやった事ですから。」

 

「そう言ってくれると、ありがたい。」

 

 エルフィンは軽く会釈した。シン達は一国の王子がどこの誰かもわからない自分たちに頭を下げた事に戸惑いを隠せなかった。その当の本人はそんな事は微塵も気にしていない様子だった。

 

「さてと、私はこのまま北の関所に向かうが君たちはどうする?このままここに残るかい?」

 

「いいえ、俺たちも行きます。」

 

「そうですね、北の関所の方々が心配です。私たちも一緒に行かせてください。」

 

「そうか、なら俺について来てくれ!」

 

「はい!」

 

 エルフィンは北の関所に急いで向かうべく走った。シンとレンはそれに離されないようについて行った。

 

「、、、詰めが、、甘い、ですね!?」

 

 その声の主はライザッドだった。全身は傷だらけで血がドバドバと流れ出るぐらい出血していた。普通の人間なら生きているのがおかしいぐらいの傷だったが、大きな筋肉と厚い脂肪が致命傷を逃れたらしい。ライザッドは床に這いつくばりながらも、その手には西洋風の木製でできた拳銃が握られていた。そして、その銃口の先にはエルフィンの後ろを走っていたレンに向けられていた。声に気づき、振り向いた次の瞬間、銃声がした。

 

「危ない!!」

 

 シンはレンを庇うように銃弾の弾道を遮ってレンに背を向ける形で前に立った。すると、銃弾はシンの胸元に当たった。

 

「シンっ!!」

 

 レンは自分の事を庇ってくれシンが目の前で撃たれ、倒れていく姿を見た。シンの胸元からは血が流れ出ていた。レンの目からは自然と涙が流れていた。

 

「バカな、、人ですね!?イヒヒヒ」

 

 ライザッドのその人を馬鹿にした笑い声を聞いた瞬間、レンは涙を流しながらも、立ち上がり、涙を拭き、ライザッドに向かって走り出していた。レンは物凄い速さでライザッドの所まで行き、ライザッドの拳銃を持っていた手を足で押さえつけ、拳銃を奪い、銃口をライザッドに向けた。

 

「私が、、そんなにも憎いですか!?」

 

 ライザッドは笑いながらそんな事を発した。レンにとって、その笑い声は許し難く、癇に障る言い方だった。手は震え、視界は涙でよく見えていなかった。すると、横からエルフィンがレンの持っていた拳銃に手を触れた。

 

「君はこの引き金を引くべきでは無い。もう戻れなくなってしまう。こいつを倒し切れていなかったのは私だ。私が最後までやろう。」

 

 そう言うと、エルフィンはレンから拳銃を取り、刀を抜いた。そして、エルフィンはライザッドの腕に刀を突き刺した。すると、見る見るうちライザッドの血の気が悪くなり、肌の色も白になっていた。

 

「ここまで血を吸えば、何もする事は出来ないだろう。」

 

 レンはその場に座り込み、涙を流していた。その姿を見たエルフィンは声をかけることが出来なかった。

 

「う”う”う”ううう」

 

 その聞き慣れた声の正体にレンは驚きと喜びで涙が止まらなかった。エルフィンも驚いた様子でその声の方を見ていた。そこには、撃たれて死んだと思われていたシンの姿だった。

 

「これは驚いた。」

 

「シンっ!あなたなんで生きているのよ!?」

 

「いや〜、それが銃弾が当たって、俺も流石に死んだと思っていたんだが、たまたま懐にしまっていた俺の短剣に当たってな。短剣が折れちまった代わりに、俺は何とかなったって訳だ。」

 

 シンは震えている声に加えて、座り込みながら涙を流しているレンにどう接したら良いのか困惑していた。

 

「私は北の関所に行って、様子を見てくるから君たちはここにいるといい。」

 

 そう言うと、エルフィンは北の関所に早早と行ってしまった。残されたシンとレンはと言うと、レンがずっと泣いているのでシンが何とか泣くのを収めようと必死だった。すると、ようやく落ち着いてきたのかレンが泣き止んだ。

 

「少し落ち着いたか?」

 

「うん」

 

そこには今まで見た事がないくらい目元が涙で赤くなり、しょんぼりしたレンの姿だった。そんなレンの姿に内心、シンはドキドキしていた。

 

「死んじゃったんじゃ無いかと思って、私、心配で、心配で、、」

 

「大丈夫だよ!俺は運だけはいいからな。」

 

 今にもまた泣き出してしまいそうなレンに、シンは笑顔で答えた。

 

次回、レンが旅する理由

 

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