3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~   作:トッシー00

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第10話です。


第10話:ブレイブルー学園の授業 世界史編

「授業すっぞ~」

 

 ブレイブルー学園3年B組の一時間目。

 ラグナは教壇に立ち、教科書をボンと机に置いた。

 当然学校なので、授業があるのだ。なのだが……。

 

「ラグナ先生、授業なんてめずらしいですね? 私先生が真面目に授業している所なんて初めて見ましたよ」

 

 そう茶々を入れたのはノエルだった。

 ノエルがこう言うのも無理はない。

 なぜなら今までのブレイブルー学園を見返してみると、大体が生徒と先生ないし、生徒同士や先生同士の学園生活での日常ばかりが描写されていた。

 その中で学校と言えば最も大切な授業のシーンがまったく存在していない。強いて言うなら最初の方の料理や体育の授業くらいであった。

 

「ノエル、てめえそれだと俺がサボりまくってるみてえじゃねえか、どうすんだよ今の俺の評価ガタ落ちだよ」

「なにがガタ落ちですか、元から自由すぎるクセに」

 

 どうも評価を気にするラグナは、悪態をつくノエルの言い分に反論する。

 ラグナだって立派な先生。授業くらいはして当然である。

 そんなラグナの大ぶりな物言いに対しノエルは言い返すのだが。

 

「うっせえんだよ、カタブツな先生よりこういう先生の方が評価されるんだよ。お前の乳はカタブツだから理解できないのかもしんねえがな」

「さりげなくおっぱいネタ振らないでください! 乳がカタブツってどういう意味ですか!?」

 

 ラグナはお得意のナイチチネタでノエルを攻撃し、ノエルの反撃を食い止めるのであった。

 そんなノエルのツッコミを軽くスルーし、ラグナは授業の内容を説明しだした。

 

「はい、じゃあ今日はブレイブルーのストーリーについて勉強すっぞ。世界史の時間だからな~」

「ほうほう。にしてもまたどうしてそんな勉強を?」

 

 ノエルのその質問に、ラグナは軽くため息をついて答える。

 

「お前はあれだな。歴史や世界史なんて勉強したって将来使いものにならないから意味ないですって文句を言うタイプの生徒だな」

「そ、そんなことないですよ……」

「歴史と世界史っていうのは人類がどのようにして今の世の中を作っていったかの仕組みを知る勉強なんだよ。そういう世の中の仕組みってのを知らずにこれから社会で働くてめぇらがこれからの社会作れるわけねぇだろうが」

「め……珍しくラグナ先生がまともなこと言ってる……」

 

 そのラグナの熱弁には、ノエルも驚きを隠せなかった。

 やっぱこの人なんだかんだで先生だったんだと、見せつけられた瞬間だった。

 そんなノエルの反応にラグナは煮え切らないものを感じながら、授業の続きを進める。

 

「はいじゃあ教科書開いて~」

「せんせ~い、机の中にお魚しかないニャス」

「よしわかった。タオカカは廊下に立ってなさ~い」

「は~いニャス!」

 

 教科書を出す際に、タオカカは食べ物しか持ってきていなかったため、そんな不真面目な生徒は授業に出る資格はないとラグナはタオカカを追い出した。

 そんなことがあった次、あまりしゃべらないアラクネが珍しく口を開く。

 

「せん い、ト レ行っ 来て い ですか?」

「おう言ってこい、あと戻ってこなくていいぞ。お前の言葉文字にすんのめんどくせえから」

「ひどい……」

 

 ラグナは触れてはならない事情で、トイレに行きたいと言ったアラクネを無理やり追い出した。

 そんなので先生やっていていいのだろうか、ノエルは再度ラグナに不安を募らせる。

 

「え~とだなぁ。こうアニメも始まったわけだし、お前ら色々と知らないことも多いだろうしな。アニメから入るって人にもある程度大雑把になんだかんだで教えていこうと思う」

「先生。さっきから誰に言ってるんですか? なんか私たちとは目線が違うような」

「いいんだよナイチチ。お前の胸みたいに無駄な事には触れなくていいの」

「無駄ってどういうことよ!!」

 

 ラグナのナイチチいじりを、反応してはいけないとわかっていながらもつい咄嗟に反応してしまうノエル。

 そして教科書の最初のページ。

 この教科書にはカラミティトリガーと書かれており、ブレイブルーの一作目の事が大体的に書かれている。

 というか最初に出た設定資料集が教科書と書かれていただけだった。

 

「え~と、まずオープニングの部分でなんか突っぱねた銀髪の男と妙に気持ち悪い眼帯の女が意味深な会話をしてたよな~」

「はーいラグナ~! それは私とラグナの愛の誓いのシーンだよね☆」

 

 そう反応を示したのは、妙に気持ち悪い眼帯の女ことニューだった。

 ニューは自分の都合のいい解釈をしながら、そのシーンの説明をしようとする。

 だがそんな説明では勉強にならないため、ラグナは咄嗟に否定する。

 

「違います。てかまだ先生教科書読んでるだけだから、適当に入ってくんじゃねぇ」

「しょぼーん」

「何がしょぼーんだバカが」

 

 ニューはしょぼくれたことを文字にして現わし、小さく縮こまった。

 邪魔が入ったため、ラグナが授業を軌道修正する。

 

「そもそもあそこで何が起こっているかまるで意味がわからんぞって奴らに説明をしておくとだな、ラグナってやつ……つまり先生のことな。ラグナは目的を持ってあそこにニューを殺しにやってきたわけだ。教科書の6ページを開くように」

 

 そうラグナが言って、教科書の6ページを開くと。

 そこには物語のあらすじが書かれていた。

 

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 ――かつて「黒き獣」に蹂躙されていた世界。そこに突如現れた「六英雄」は、伝えられた魔術と科学を融合させた「術式」によって黒き獣を退けられたが、人類は半減し地上が魔素に覆われてしまった。

 後に『第一次魔道大戦(暗黒大戦)』と呼ばれるこの戦いに勝利した人類は、術式によって栄華を極めるが、同時にさらなる格差を生み出す。

 

 イカルガ連邦を舞台に術式の力によりこれを打破しようとするも、世界虚空情報統制機構(以下、統制機構)により壊滅してしまい、これによって統制機構は「刃向かうなら、容赦なく殲滅する」と言う理念を世界に知らしめることになる。この戦争を『第二次魔道大戦(イカルガ内戦)』と呼んでいる。

 

 西暦2199年12月、SS級世界虚構情報統制機構反逆者であるラグナ=ザ=ブラッドエッジが、第十三階層都市「カグツチ」に出没。そのラグナに賭けられた莫大な報奨金や、彼が持つ魔道書を狙う者、また統制機構からの刺客がカグツチに集結した。

 

-----------------------

 

「はい西暦2199年12月、ここテストに出るからな~」

「おぉ、本格的だ……」

 

 そう感じながら、ラグナが示した年号をノートに写すノエル。

 

「暗黒大戦は後日ハクメン先生の歴史の授業でやるからここは省く。ここで今後重要になってくるのは「術式」「魔素」「統制機構」「魔道書」そのあたりだ」

「メモメモ……」

「それでラグナがなんでカグツチに大量の賞金を懸けられながらもやってきたかというと、ラグナは子供の時に悪党に右腕を切られたあげく、大事な弟と妹を奪われたからだ。復讐のためにカグツチにやってきました」

 

 そう、ラグナがカグツチにやってきた経緯を話すと。

 突如隣の教室から、非常に目障りなかけ足が聞こえてきた。

 

「兄さん! 今僕のこと呼んだ!?」

「呼んでません。てめぇはA組に帰れ!!」

 

 そう軽くジンをあしらい、ラグナは授業を再開。

 この先もなんか言うたびに特定の人物がちょっかいをかけてくるのかと、ラグナは後先心配になる。

 

「あとはそうだな、ジンの事を説明したらめんどくさくなるから飛ばす」

「兄さん呼んだぁぁぁぁぁぁ!?」

「帰れーーーーーーーーー!!」

 

 どうやらジンの名前をちょくちょく出しただけで、隣のうるさい弟はやってくるらしい。

 ラグナは今後言葉に気をつけながら、説明していくことに。

 

「え~と、一応アニメは見たんだが。どうにも原作版とアニメ版のヒロインは違うみたいだな」

「先生同じです。同じ人ですよ~」

 

 ラグナがさりげなく言った悪愚痴に、ノエルは冷静に返す。

 ちなみにどうしてラグナがそんな遠回しな悪口を言ったかというと、こんな理由があった。

 

「えぇ? だってアニメ版の金髪の子、普通に"胸があったぞ"。胸へこんでたならまだわかるんだがよ」

「それどういう意味ですか!? つか私だって普通に胸ありますからね!! ノエルは立派な女の子です!!」

「いやあの子とお前を一緒にすんじゃねぇよ。あの金髪の子に失礼だろうが」

「あの金髪の子も私も同一人物じゃボケ!!」

 

 どうにも譲らないラグナに痺れを切らし、ノエルは多少暴力的にツッコミを入れる。

 ちなみにラグナの表情を見る限り、完全にわざと言っていた。

 話は変わると、またもそんなノエルをぞんざいに扱いラグナは話を進めた。

 

「そんな背景がありながら、ラグナは優しいので道端に倒れていた猫に餌をあげたりしながら、統制機構支部に辿りついたわけだ」

「どこが優しいんですか。完全に横暴で人相悪かったくせに」

「そういえば仮眠を取ってたら、あの胸がある金髪の女の子が俺を見張っててくれたんだよな~」

「だからそれ私!!」

 

 ラグナはそのネタを無理やり引っ張りながら、ノエルの反応を面白がって見ていた。

 

「そこでジ……統制機構第四師団師団長のちょっと頭のいかれた少佐を倒したラグナは、地下にある窯に行くわけだ。一連の流れでわかりづらかっただろうがそういう経路だったんだぞ。はいそこテストに出るからな」

「上手くかわしましたね……」

「そこでなんか質問あるか?」

 

 物語がざっくばらんに説明し終えた所で、ラグナは生徒達に質問を取る。

 そこでノエルが、質問したいであろう色んな人に変わって色々と質問を投げかけた。

 

「はい先生。色々質問したい事があります」

「はいナイチチ。えぇとあのアニメのヒロインの女の子の名前か?」

「だからノエル・ヴァーミリオンだって! そろそろ泣きますからね先生!!」

「確か"セリカ"つったかな」

「わざとか!? お願いだから私の立場を揺るがしかねないその名前を出さないでください!!」

 

 ノエルは半分泣きながら、ラグナの洗礼に耐え忍んでいた。

 そろそろいじりネタも飽きた所で、ノエルは改めて質問へと移る。

 

「その、よく言われるのが「あの世界の事情がいまいち掴めない」ってことなんですよ? あれはどういった世界なんですか?」

「あぁはいはい。簡単に言うとあの世界は『ループ』していてな。レイチェルってやつが「また……繰りかえすのね」「もう何度も見てきたのだけれど」とかポエム言ってたのにはそういった裏があったんだ」

 

 ラグナは説明をする際に、軽く馬鹿にしたようにレイチェルのモノマネを入れた。

 

 そう、あの本編の世界はラグナの言う通りループしているのだ。

 あらすじにもあった黒き獣と、それに立ち向かう六英雄の話。

 そして六英雄が術式を広め黒き獣を打倒し、百年の月日が流れ今の至る。

 そういった経緯を、何回も何回も繰り返してきたのだ。

 決められた事象の中で同じ時間を繰り返していったある日の事、アニメのヒロインの子が……。

 

「ノエルね!!」

 

 ……ノエルが窯に落ちようとするラグナを助けたことによってループから外れたのだった。

 そして時がリセットされる前に、レイチェルが天高くに存在するアークエネミーハイランダー・タケミカヅチの攻撃を食い止めるのであった。

 

 以上そこまでが、カラミティトリガーの時系列である。

 

「ざっとそんなもんだ。ちなみにラグナの復讐の裏には、ラグナの家族を手にかけた六英雄のユウキ・テルミや帝を引きづり下ろすという目的があってのことだ。ちなみに補足をしておくとだな、あの時ノエルが助けてくれなかったら、ラグナとニューが融合して黒き獣になって百年前に飛ばされることになる。だから繰り返すってわけだ」

「そうそう! ラグナとニューの愛の結婚式だね!!」

「違います。ニューはバケツ5つくらい持って廊下に立ってなさい」

「は~い☆」

 

 またも適当に解釈するニューを、ラグナは荒っぽく教室から追い出した。

 

「そんであの白いお面野郎が俺を殺そうとしていたのは、黒き獣になるであろう俺を弱いうちに倒してしまえっていう理由で襲ってきたわけだ。急に出てきたからわかんない人も多かっただろう」

「なるほど……」

「次にそうだな、術式や魔素、魔道書の説明といくか。世界を知っておくのに必要なことだからな」

 

 ラグナはそう言って、教科書の後半のページを開く。そこには術式と魔素、魔道書についてざっくばらんに書かれていた。

 

 本編でラグナ達が使っていた技を、大体が術式と呼んでいる。

 術式はあらすじにも出てきたように、六英雄が魔術と科学を融合して生みだした画期的な技術である。

 どんなものかというと、科学の力で魔法を限りなく再現してみようぜ! ってことである。

 超能力と違うところは、その力を使うためには別のエネルギーが必要になるということと、それを発現させるための道具が別途に存在してあるということである。

 そのエネルギーというのが、魔素である。

 魔素というのは黒き獣が撒き散らした有害物質であり、例えるなら空中に漂っている薬物のようなもの。

 当然多量に吸ってしまえば生態系に重大なダメージを負うことになり、それに魅了され中毒になってしまったら最後、その者は暴走した後死にいたる。

 この魔素は主に地上に存在し、その大量にある魔素から逃れるために、人類は『階層都市』というものを建設したのである。

 山の上に作られた各階層都市、そのうちの一つがカグツチなのである。

 無論魔素から逃れたとはいっても、階層都市にも微量ながら魔素は存在している。

 そこでその微量の魔素をエネルギーにしているのが、魔道書なのである。

 そこに魔素と魔道書の関係が存在しており、それらを利用して生みだされる強大な力が術式なのである。

 術式には様々な属性や形が存在すると言われている。その内ラグナは闇、ジンは氷という風に形となって表れている。

 反面属性を持たないので言うならば、ノエルの持つ銃――ベルヴェルクであろうか。

 あれは特定の場所に術式を発生させるという能力を持っている。なので遠く離れた所でも狙った位置に術式のエネルギーを発現させることができるのである。

 この武器とジンの持つユキアネサ。その他合計全十機の特別な魔道書の事は、『事象兵器アークエネミー』と呼ばれている。

 

「――ってなわけだ。これを頭に入れておけば、カグツチがどうしたブレイブルーがどうしたとかなんとなくわかるはずだ」

「お~。なんか難しくて頭が痛くなってきた……」

「ったくお前は頭もなければ胸もないな」

「あ~絶対言うだろうなと思ってたのに……」

 

 授業が本格的になった際にも、ラグナはノエルをいじることを忘れていなかった。

 

「さてと、もうすぐチャイムなるし。続きは次の時間に……」

 

 そうラグナが、教科書をたたもうとした瞬間。

 突如レイチェル校長が3年A組に入ってきた。

 

「ラグナ。なんかものすごく本格的な授業をしてるわね」

「校長。どうよ俺だってたまにはやるんだよ」

「でも、そんないちいち説明していてはキリがないわよ。こういうのは一気に最後の方を見せて生徒の意欲を引き出す物よ」

「は? いやいや校長。そんないきなりネタバレしたってわからない生徒らからしたら意欲もくそも……」

「ってことで特別にトゥルーエンドを見せてあげるわ」

 

 ラグナの意見などどうでもよく、レイチェルは勝手にCSの最後の部分を流し始めた。

 ラグナとノエルは流されるままにモニターの方へ目を向ける。

 いきなり二作目の最後を見せられた所で、流れもなにもないままで意欲など持ってくれるだろうか。

 二人の心配をよそに、そのVTRが流れ始める。

 

『しゃっはっはっはっはーーー! ラグナ君よ、てめえの"レイチェル"は俺の手の内だぜ……』

『テルミーーー!!』

 

「ちょっと待ってくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 VTRが流れてすぐ、テルミとラグナの因縁の対決が流れた直後、ノエルが勢いよく割って入った。

 一体どうしたというのか、レイチェルがノエルに意を唱える。

 

「ちょっとノエル。いったいなによ? これは授業中よ」

「いやいや! なんかおかしくないですかね!? なんで校長が捕まってヒロインみたいになってるんですか!?」

 

 そう、ノエルは咄嗟に気づいたのだ。

 底に写されていたのはラグナとテルミとレイチェル。そう、メインヒロインであるはずのノエルがどこにもいないのだ。

 その上でレイチェルがテルミに囚われて、それを救おうとしているラグナがいる。

 これは明らかにおかしいだろうと、ノエルは文句を言いだしたのだ。

 

「確かに、こんな展開じゃなかったよな……」

「む……。と、とりあえず最後まで見ればいいじゃない」

「あ、開き直ったこいつ……」

 

 二人の疑問に押されたのか、レイチェルは何か吹っ切れたように、無理やりVTRを流し始めた。

 

-----------------------

 

『しゃっはっはっはっはーーー! ラグナ君よ、てめえのレイチェルは俺の手の内だぜ……』

『テルミーーー!!』

『ラグナ! はやく私をたすけなさい!』

 

「ってなんで命令口調!?」

 

 そこにはやっぱり捕まっているレイチェルが。

 先ほどのVTRと何ら変わりのない、本編とはどこかが違う場面。

 そして三人の会話が進む中、もう一人奥の方でウロボロスに捕まっているやつがいた。

 

『きゃーーー!助けてーーー!!』

 

「なんでノエルも捕まってんだよ……」

 

 そこにはノエルの姿もあった。

 やっぱり敵の手にハマってしまったノエル。ここまでは予定調和でしかない。

 ラグナはおかしいなと思いながらもそのVTRを見進める。

 そして目に付く問題は、次のシーンにあった。

 

『兄さん!助けてーーー!!』

 

「なんでジンまでいんの!?」

 

 思わずラグナがツッコミを入れた。

 あろうことかもう一人の主人公とも言えるジンまでテルミに捕まっている始末。

 確かジンはツバキを救うために一生懸命頑張っていたはずである。なのにどうしてヒロインポジションにいるのだろうか。

 

『おい……こんなに人質いたっけか?』

『いや、さっきから増えて……』

 

 これにはVTRの中のラグナとテルミも違和感を覚えていた。

 こうしてブレイブルーのヒロインは三人……と、思いきや。

 

『ラグナーーー!!』

 

 なんとニューも捕まっていた。

 これでヒロインは四人。どこぞのハーレムラブコメ並みにヒロインが多くなってしまった。

 

『え……えぇ……』

 

 これにはVTRのラグナも唖然としていた。

 なんかもう先ほどまでの憎しみ抱いていた感覚が冷めつつあった。

 そんなぐだった流れに、追い打ちをかけるようにまた一人……。

 

『ズェェェェイ! 黒き者よ助けてくれーーー!!』

 

 主要人物の中でも最強に近いハクメンまで、テルミの手の内に。

 こうしてヒロインは計五人。よりどりみどりのブレイブルーヒロインが集まった。

 

『ま……まあいいや。おいラグナ君! 助けたかったら俺を倒して……』

 

 その中でテルミはかなり戸惑いながら、元の高いテンションに戻る。

 こうしてラグナは五人のヒロインを助けることとなった。ところが……。

 

『いや……いいです』

 

 ラグナは疲れた表情でその場を立ち去ろうとする。

 主人公としての職務を放棄して逃げようとするラグナ。

 そんなラグナに対し、ヒロイン達はそれぞれ言いたい事を言いまくった。

 

『ちょっとラグナ! ヒロインを助けないつもり!?』

「ちょっとレイチェルさん! ヒロインは私です!!」

『ふざけるな障害! ブレイブルーののヒロインはこの僕だ!!』

『三人とも、ブレイブルーのヒロインはニューなんだよ!!』

『何をふざけたことを。ブレイブルーのヒロインはこのハクメンだ!!』

 

 五人とも自分がヒロインと主張する。

 テルミも正直お手上げ状態だった。こんなわめくヒロイン達を攫える悪役は徹せないと、諦めてヒロイン達に言う。

 

『あの……もういいです。あなた達今すぐ帰りなさい』

 

 テルミはハザマに姿と口調を戻し、そうヒロイン達を促すのだが……。

 

『私はラグナが助けに来るまでここを離れないわ』

『同じく、ラグナさんに助けてもらうのは私です!!』

『兄さんが助けるのは百発百中僕だ!!』

『ラグナはニューのものなの!!』

『黒き物は私を選んで当然だ!!』

 

 ヒロイン達は嫌でもそこを離れようとしない。

 この結果にハザマは、泣きながらラグナに助けを求めた。

 

『ラグナく~ん! 早くこいつらを救い出してやってくれ~!!』

 

 どいつもこいつもラグナラグナと、ラグナに全部を推しつける。

 痺れを切らしたラグナは、振り返りブレイブルーを展開し、ブチ切れ叫んだ。

 

『どいつもこいつも……てめえら馬鹿かーーーーー!!」

 

 以上でVTRは終了した。

 なんとも醜いヒロイン争い。というか明らかにヒロインじゃない奴までいた気がする始末である。

 こんなヘンテコなVTRがブレイブルーのトゥルーエンドなわけがない。

 ちなみに、現実のレイチェルやノエル達も、VTRに感化されたのか……。

 

「というわけで、ラグナが助けたのはレイチェルよ」

「いや、ノエルです!」

「にいさんのひろいんはぼぐだぁ~(ガラスに貼りついている)」

「ニューなの~!!」

「いや、この我だ!!」

 

 先ほどのVTRと全く変わらない争いをしていた(いつの間にかハクメン先生まで参加していた)

 あっちでもこっちでも自分勝手すぎるやつらに、ラグナは身体をぶるぶる震わせていた。

 

「てめえらいい加減にしろよ……」

 

 こうして授業は終わる。ラグナ先生はいつになく疲れを見せていた。

 一応補足しておくと、ブレイブルーはこんなハチャメチャな話ではないのだ。

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