3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~   作:トッシー00

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第15話です。


第15話:ハザマ先生がこんなにいい人なわけがない

 ブレイブルー学園生徒会。

 一癖も二癖ある生徒達をまとめる多分、というか結構つらい仕事をする人たちである。

 そんな生徒会の顧問をしている……押しつけられているハザマ先生は、今日も生徒会メンバーを集め会議を行っていた。

 

「それでは、本日は学内予算についての会議を行います。キサラギ会長、後はお願いします」

「わかった。それでは一から十まで説明する。一度しか言わないのできちんと聞くように特に障害」

「へ?ああああはい!ちゃんと聞きます!!」

 

 と、よだれを垂らして虚ろになっていたノエルが生き返ったような顔をした。

 

 ブレイブルー学園の生徒会のメンバーは、以下の通り。

 まずはこのブレイブルー学園の生徒会長のジン・キサラギ。

 容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀。人望も厚く全生徒の注目の的。

 ここまで書けば隙の無い出来た人物のように思えるが、重度のブラコンなのが玉に傷なのである。

 

 続いては、副会長を務めているツバキ・ヤヨイ。

 名門ヤヨイ家の生まれにして、全ての女子生徒の憧れの的となっている。

 成績もよく人柄もいい。が、ジン同様どこか兄の事になると箍が外れておかしくなるところがある。

 

 次に、生徒会書記のノエル・ヴァーミリオン。

 書記というのは名ばかりで、実際はただの雑用である。

 おっちょこちょいで仕事もままならず、皆の足を引っ張りまくっている。

 生徒会に入った理由も、ツバキとマコトがいるからという他人任せなもの。なので毎度ジンをイラつかせている。

 

 次に、生徒会会計のマコト・ナナヤ。

 こちらはノエルよりは仕事ができるが、会計仕事というか計算は苦手なのでそのほとんどがツバキにまかせっきり。

 実際は学園の物品を運んだり、その帳簿をつけたりする方に力を入れている。

 

 そしてその生徒会の顧問をしているのがハザマ先生である。

 上記にも書いたとおり完全に押しつけられた仕事であり、毎度適当に相槌を打つだけで実際は学園の事などあまり考えてはいないのが現状。

 

「というわけでそれぞれの部活にあてる予算は今のところ問題ない」

「そうですね会長、みんな部活動がんばって結果出してますし」

 

 こういった仕事の時だけは、ジンがものすごく輝いて見えるもの。

 ツバキもそれに負けじと、一生懸命に意見を出す。

 本日の議題は学内の予算についてである。

 ブレイブルー学園はアルカード家の財力、その他統制機構や第七機関のような組織からの援助で成り立っている。

 その為学生の学力増進や個々の技術向上のためへの予算については妥協すべきところがない。

 全ての学生が満足できる最高の学園施設を目指しているのだ。

 

「だが……中には学校の予算を無駄に使っているところもある。特にこの……ブレイブルー学園の科学部」

 

 ジンが困ったような顔つきでそう言った。

 ブレイブルー学園の科学部とは、ココノエ先生がいるあの科学部である。

 あらゆる環境への投資に妥協が無いブレイブルー学園において、この科学部はこの学校で一番お金を使っている。

 最新設備で最新の科学を研究、近未来的な開発に力を入れており。その設備にかかる費用は国家プロジェクト並みである。

 そこまでの予算を設けているのだが、問題はココノエ先生にある。

 彼女の開発するものはくだらないものが多く、人に迷惑をかける始末である。

 ほとんどの教師、生徒がそのとばっちりを受けており、学校の予算を使って人に迷惑をかけ続けているという、あってはならない自体をおこしているのである。

 当然そんな部活に与える予算が一番多いのでは正直お金の無駄遣い、それを知っている多少の生徒からは苦情などが相次いでいる始末である。

 

「とまぁ、今まであらゆる手を使って予算を減らすよう交渉を続けてきているのだが、あの教師……相当手ごわい」

「ははは、なんとなく私もわかりますよぉ」

 

 ここ数ヶ月、生徒会は何度かココノエ先生に忠告をし続けてきた。

 なのだが、うまく誤魔化されたり、言いくるめられたり、挙句の果てには実力行使で追い返されたりと一向に予算が減ったためしはない。

 その話を聞いたハザマ先生も、なんとなく嫌な思い出があるようだ。

 普段から二人は仲が悪い、その母ナインとも仲が悪いのでハザマ先生にココノエ先生を語らせれば悪い部分しか出てこないだろう。

 

「僕やツバキやマコト、無駄と分かっていながらもノエルに行かせたこともあったが……今のところ全滅だ」

 

 ノエルのことを話す際に一言余計につけたすあたり嫌悪感に魂入ってるジン。

 ここまで生徒会フルメンバーでココノエ先生に挑んだが、みんな返り討ちにあっている。

 しかしここらへんでそろそろ決着をつけなくては学園の未来のためにはならない。

 そしてジンは、ただ突っ立っているハザマに向けてこう頼みごとをした。

 

「というわけで、今回はハザマ先生に頼みたいのだが」

「わかりました~ってはいぃ!? なんで私があんなくそ猫のラボに足を運ばなければならないんですか!?」

 

 この四人が駄目であった以上、残されたのは顧問のハザマのみ。

 珍しくジンに頼みごとをされたハザマであるが、本人はとてつもなくいやそうな顔をした。

 ただでさえ猫臭いと関わりたくないのに、その上予算による交渉。難攻を極める上にものすごくめんどくさいはず。

 

「僕たち四人がだめだったんだから残っているのはハザマ先生だけだろう。多分返り討ちにあってノコノコ戻ってくるのがオチだと思うが、少しばかり期待しておいてやる」

「こ……このクソガキ。人に仕事押し付けたあげく言いたいことをペラペラと……」

 

 ハザマの性格をよくわかっているジンは、うまく彼を小馬鹿にしながら煽るようにそう言った。

 ハザマは内心、このガキいつか殺す。と思ったりしながらも、しっかりとジンの策略に乗ってしまうのだった。

 

「……まぁ言われっぱなしではこちらも黙ってるわけにはいきませんからね、その交渉やらに行ってきますよ」

 

 こうして、ハザマ先生は意地と怒りが混ざったようななんともいえない顔で生徒会室を後にした。

 

 

 数分後、理科室の奥の奥にあるココノエ先生のラボについた。

 

「ったくこんな猫臭いとこなんざ来たくなかったんですけどねぇ。まぁちゃっちゃとビビらせて帰りますかね」

 

 ハザマはそう文句を垂らしながら、めんどくさそうにラボの扉の目に佇む。

 相手はあのココノエ先生。ひと癖もふた癖もある手ごわい相手である。

 素直に予算を減らせと言って承諾するような軟な精神など持ち合わせてはいない。

 なので基本的に実力行使にしようと、ハザマはそう心に決めていた。

 

「ハザマです。少しばかり用があってきました~」

 

 ハザマは扉の横についているチャイムを押して、ココノエを呼ぶ。

 なのだがラボからは一切反応がない……。なのでもう一度、二度ほどチャイムを押した。

 

「……ハザマですけどぉ、ココノエ先生~。お~いココノエ~。クソ猫こらぁ~」

 

 何度呼んでもココノエは答える気配すらない。

 徐々にハザマの口調が荒れていく。そして髪の毛が逆立ち始め、ドアに蹴りを入れようとしたその時。

 

「居留守使ってんじゃねえぞこnぎょえ!」

「うるさいぞこの変態緑髪……」

 

 さすがにうるさいと思ったのか、ココノエ先生は思いっきりドアを開けた。

 開いたドアが蹴ろうとした右足を思いっきり押し、ハザマはバランスを崩して後ろに倒れる。

 ハザマ先生はたまらず後ろ頭を押さえなんとか痛みを堪える。

 

「ったくいつもいつも人にぶつけることを前提にドアを開けるのやめてもらえますかねぇ、てかそのドア横開きじゃないんですか?」

「横にも縦にも開く万能ドアだ」

「どんなドアだよ……」

 

 扉の形状を見る限り、横にスライドして開くタイプのドアをしている。

 しかしその扉の枠外が外開きになっており、横にも縦にも開く仕組みになっている。

 そんな大して意味もない発明ばかりをしているものだから、こうやって予算を減らしに生徒会がやってくるというのに。

 ハザマは心の中でそう呆れながら、本題へと持っていこうとする。

 

「それで、私になんのようだ? 悪いが私は貴様と話すことなどなにもない、というか今すぐここから消え去れ」

「私だってあなたとなんてこれーーーーーーーーーーーーっぽちも話したくなんですけどねぇ! でもまぁ仕事なんで一応……」

「そうか、じゃあさっさと話せ」

「科学部にあてられている予算の件でお話g」

 

 その"予算"という言葉が出たとたん、ココノエ先生は刹那の速さでドアを閉めようとした。

 が、そこでドアを閉められたらもうココノエは外に出てこない。

 なのでハザマはその瞬間を逃さず、セールスの手口でよく使われるように、足で閉まるドアを挟んで閉められないようにする。

 結果としてココノエは完全に逃げられなかったが、それを行ったハザマの足に激痛が走る。

 

「ちょ……なんか変な感触が……」

「ココノエ先生……話も聞かずにドアを閉めないでくださいよぉ……。てか足挟まって痛いんですけど!!」

 

 痛がるハザマなど気にせず、ココノエはその足を引きちぎってでもと言わんばかりにドアを無理やり閉めようとする。

 

「いだだだだだだだだだだだだだだだだ!!」

「しつこいぞ貴様! 本当に足引きちぎるぞ!!」

「だから話聞けっつってんだろうがこらぁ!! てめぇんとこにあてられている予算の話だよ!」

「その話を聞きたくないから必死にドアを閉めようとしてんだろうが!!」

 

 ハザマが仕掛ければココノエは必死に抵抗する。

 ドアを閉めようとするココノエ、足に激痛が走りながらも耐えるハザマ。

 ちなみにハザマは予算としか言っていないが、ココノエにはある程度察しがついていた。

 それは予算が増えるといった甘い話ではなく、完全に減らされる。それも洒落にならない額を、である。

 

「ぎゃあああああああ! ちょ……いったんその力を抑えてもらってもよろしいですかねぇ!! あのマジでお願いしますマジで!!」

 

 ここまでくると足を引っこ抜きたくても挟まる強さが強くて引っこ抜けなくなっていた。

 あまりにもしぶといハザマ。下手をすれば本当に足がちぎれてしまうかもしれない。

 

「ちっ……変な足の断片残されても困るし……入れ」

 

 死闘の末、折れたのはココノエの方であった。

 なんとかラボに入ることができたハザマ先生。

 足の痛みを必死に我慢しながら、なんとかラボ内を進む。

 

「お茶やお菓子など一切出さんぞ、貴様に出すだけもったいないからな」

「私だって猫臭い菓子なんて手もつけたくないですよ」

「ぶち……」

 

 笑いながら言うハザマにココノエの血管がちぎれる音がした気がした。

 話をすれば喧嘩になる。彼女の母であるナインもココノエも、どうやっても同じことになってしまうほど両者の仲は悪かった。

 

「それで、その予算がね、あなたんところが一番使ってるわけですよ。なのにその予算の使う先が変なものの開発、つうかくだらねぇおもちゃよ。みんな迷惑してるんですよ。なので60%減らします」

 

 長ったらしく、ほとんどの生徒や教師が思っている事を代弁しながら事を運ばせるハザマ。

 そしてハザマ側生徒会が下した決断が予算の60%カットである。

 予算が今までの半分以下になってしまう。その提案にココノエがまったをかけた。

 

「ちょ……60%も減らされたら、設備の維持すらできないじゃないか!」

「本当なら100%カットしてぇよ!!てか大量の予算使って人に迷惑かける所にそこまでの予算はやれるわけねぇだろが!!」

 

 この辺りはハザマの言う通りである。

 ハザマは変な手を打たれる前に、流れるような早さで強引に話を片つけようとする。

 ココノエ先生も引き下がらない。ハザマ的には短期決戦の予定だったがあっという間に10分、20分、1時間と時間ばかりが経っていった。

 

「頼む! せめて20%カットだ!」

「だめだ! 60%カット!! これは生徒会だけじゃありません、校長を始めとする教師一同の意見でもあるんですよ!」

 

 現在分はハザマ先生にあるようだ。

 ハザマは何とか他の人たちの名前を出しながら順調にココノエを追い詰めていく。

 学園の予算という大勢の人達の事も踏まえた話である以上、ココノエ自身自分勝手なことは言えず、いつにも増して弱り切った表情が多い。

 この様子だとジンあたりでも充分論破できたような気がする。今までの四人は部屋にすら入れなかったのだろうか、ハザマはそう思い始めていた。

 

「テイガー先生やあなたのご両親だって予算のカットには賛成してましたよぉ。まぁ獣兵衛先生とナイン先生は30%にしてやってくれと相変わらず親馬鹿だったけどなぁ」

「ぐ……」

「おいクソ猫、いい加減素直になれや。教師が生徒より金使ってどうすんだよ」

 

 ここまで来ると、仕事以上に私情が入りこんできたハザマのもの言い。

 今までの恨みを晴らすかのように言いよるハザマ。

 このままいけば仕事も遂行できジンも見返せる上、ココノエを負かすこともできると、徐々にハザマから嫌味ったらしい笑みが浮かびあがってきた。

 追い詰められるココノエ、そして後に引き下がれなくなった彼女はというと……。

 

「う……うぅ……。ひどいぞハザマ先生!」

「……へ?」

 

 なんと、ココノエは柄にもなく泣き始めてしまった。

 要は泣き脅しである。ココノエ先生がこんなことで泣くわけがない。

 騙されるものかと、ハザマは強気に言い返すのだが……。

 

「お……おいココノエ。俺は騙されねぇぞこらぁ。てか……泣くとか卑怯だろうが!!」

「研究は私の人生だ。確かに迷惑かけてるのはわかってるさ……だけどいつか人の役に立つようなものを開発できると信じて、私は頑張っているんじゃないかぁ!!」

 

 意外とマジ泣きであった。

 これが演技だとしたら、アマネが目を付けるほどの役者魂を持っているかもしれない。

 当然こんなココノエに対してハザマがいつもの調子で振舞えるはずもなく、次第に焦りを見せ始める。

 

「お……おいふざけんじゃねえぞ、あぁ~頼みますから一回泣きやんでくれますぅ?」

「私は……お前が引き下がるまで……泣くのを……やめない!!」

「うっぜえこいつ!!」

 

 本来ここは泣くまで殴るのをやめないはずなのだが、ココノエは泣くのをやめなかった。

 あげくのはてには、ココノエは地べたに這いつくばって、大声でこう叫びをあげた。

 

「お願いだハザマ先生! 今日は見逃してくれ、私……なんでもするから!」

「おいココノエ。今お前なんでもするって言ったよね? ……じゃなくて!!」

 

 その流れにハザマが発破をかけた所で何かが変わるわけではない。

 あきらかにこの状況は見栄えが悪い。完全にハザマが悪者になっている。

 

「おいおい勘弁してくれよ、こんなところテイガーや猫又にでも見られたら……」

「だれに見られたら……だって?」

 

 時すでに遅かった。

 その低音ボイスを聞いた時、ハザマの背筋に電撃が走る。

 恐る恐る扉の方を見ると、そこにはテイガーと獣兵衛がものすごい形相で立っていた。

 

「ハザマ先生……」

「ちょっと、表に出てもらおうか。テルミよ……」

 

 テイガーと獣兵衛がいつも以上に怒りをあらわにしながらハザマに言う。

 あきらかに二人は、ハザマがココノエを泣かせたあげくに、変なことまでやらせようとしているように見えている。

 こうなってはハザマに酌量の余地はなく、笑うしかなかった。

 そしていつものような飄々とした容姿で、ハザマは男らしく扉の方へと歩いて行った。

 

「はぁ。まったくしかたありませんね……くっそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 その後、テイガーと獣兵衛の猛撃を受け、ズタボロになりながらハザマは帰って行った。

 結果的に予算は20%カットされただけで終わった。ちなみに20%カットされても学園で一番お金を使っていることは変わらない。

 この一部始終が終わったのち、ココノエはテイガーと獣兵衛に心配されながら、大丈夫だと一言述べて二人を返す。

 二人が去って数分後、ココノエはまるでなにも無かったかのように泣くのをやめ、勝ち誇ったかのようにラムダにこう助言をした。

 

「……意外と泣けばなんとかなるもんだな、ラムダも覚えておけよ」

「了解……」

 

 こうしてハザマの戦いは終わった。

 生徒会室に戻った後、ジンに鼻で笑われたという。

 マジギレしたい気持ちを抑え、ハザマは満身創痍で一人職員室に戻った。

 

「ったくあのクソ猫。絶対にいつかぶっ殺してやる!!」

 

 基本的にあくどいハザマであるが、その人柄はどこか憎めないのであった。

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