3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~ 作:トッシー00
「ハザマ先生、お茶をどうぞぉ~」
「あぁ、ありがとうございます……」
デスクで仕事をしていたハザマにさりげなくお茶を振舞う女教師。
彼女の名前はトリニティ・グラスフィール。
プラチナブロンドのふわっとした髪の毛、そしておしとやかなその風貌は場の空気でさえ静寂につつんでしまいそうであった。
静寂というか、普段はぼーっとしているだけであるが。
「さすがはトリニティ・グラスフィール先生、あいかわらずおいしいお茶を淹れてくれる」
あまり人とは関わらない、普段は飄々としているハザマであるが、彼女とは昔から交友があった。
ハザマとトリニティは学生時代からの同級生であり、当時はテルミという名前で荒れていたハザマをいつも悪く言わずに見守ってくれていたのがトリニティである。
トリニティは内気ではあったが、あまり友人を作らなかった当時の生徒会長、ナインが心を許していた少ない友人の一人であった。
とろくておっちょこちょいであったが人を惹きつける。トリニティはそんな女性であった。
「相も変わらず仲良くやっているなハザマ先生」
「ハクメン先生、別にそんなんじゃないですよ。昔のよしみってだけですよ」
満更でもないハザマをからかうハクメン先生。
この二人、今でこそ普通に接しているが学生時代は犬猿の仲で、何かある度に喧嘩をしていた。
「そうか、お前は100年経っても奥手だな。不良だった時も大人しくなった今も女性の扱いは苦手か」
「あなたに言われたくはありませんよハクメン先生」
女性に対して奥手なのはハクメン先生も同じであった。
と、そこへ二人ほど会話に割り込んできた。
一人は美女、もう一人は猫である。
「なに?またくだらない話してんのあんたたち?」
紫混じった赤い髪をした美女、かつてブレイブルー学園の生徒会長を務めていた人物。
今でも容姿が変わることのない、そう、彼女がナインであった。
そしてもう一人、ナインの横にいる猫。立っている眼帯をつけたかわいらしい猫は獣兵衛。
どちらもブレイブルー学園の教員であり、ハザマとハクメンのかつてのクラスメートである。
「おやおやナイン先生、猫の旦那にべったりのあなたが他人の話に割り込むとはめずらしい」
「あら?別にあんたの話題に興味があったわけじゃないわよ。あんたが私の友人を変な目で見ていないか心配しているだけよ」
「あはは心配なさらないでください。あなたの旦那選びほど目は腐っていませんから」
ハザマのその煽りに、ナインは聞きずてならないといった表情で。
「あんたそうとう死にたいようね?私の獣兵衛は世界一かっこいいイケメンなんだから!もう猫とか超越した、てかもう世界一かっこいい猫よ!!もう人間とかそんなの超越した世界一かっこいい何かよ!!」
「おいおいナイン……」
色々褒められた獣兵衛は苦い顔をした。
ナインと獣兵衛は結婚しており、すでに子供も一人いる。
その子供も立派に教員をしているのだが、娘と親との仲はあまりよろしくない。
「まったく獣とヤリたがるなんて物好きですねぇ。しかし普通の男には興味ありませんとか言って100人以上もの男を振ってきたあなたがまさか猫と奇天烈プレイして子まで授かるとは、これじゃああなたに惚れてきた男たちまで物好きにも思えてきましたよ」
「……殺すわよ?」
「おいおい……やんのかよこのクソ女ぁ!!」
ナインとハザマは今でも仲が悪い。
ハザマは怒ると昔の血がうずくようで、テルミへと戻ってしまう体質を持つ。
ハクメンと獣兵衛はまた始まったか、と呆れ二人を止めに入る。
「おいお前らやめろ」
「こんなところでファイヤーボールとか飛ばすなよナイン……」
と、二人が取っ組み合いの喧嘩に発展しそうになるところを二人は何とか制止する。
ナインを獣兵衛が押さえつけ、ハクメンが多少荒っぽく蹴りでハザマをふっ飛ばす。
「んぎょ!おいこらぁ!扱いが違いすぎんじゃ……」
ぱきり……。
よろけたハザマがテーブルに手をつくと、何かが割れた音がした。
見るとそこはトリニティ先生の席で、手の傍には砕けたメガネのフレームとレンズ。
勢いよくよっかかったせいで、見るも無残な姿になっていた。そして同時に先ほど職員室から出て行ったトリニティが帰ってくる。
「あぁ、そういえばスペアメガネをケースに入れ忘れてしまいまし……」
呑気にそう言いながら入ってくるトリニティ先生。
そしてなにやら気づいたようだ。そう……自分のスペアメガネが無残な姿になっている事を。
トリニティが急に無言となり、ゆっくりと自分の席へと向かって行く。
ハザマ達4人はただただそれを見るだけ、他の先生たちは見て見ぬふりをしている。
そう、何せこのトリニティ。普段はおとなしいがあることが起きることで大変なことになることで有名なのだ。
「……メガネが……壊れてしまいました」
ましてや今回はメガネが壊れるとこまでいってしまった。
そう、このトリニティ。メガネに対しては相当の思いがあり。
「メガネが……わたしのメガネがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
狂ったように叫ぶトリニティ。
その当事者であるハザマは、すぐさまいつもの調子に戻り弁解する。
「いやそのトリニティ・グラスフィール先生!これには海より深い事情が……」
「私のメガネを!!壊したのはだれですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
トリニティはそう叫ぶと、ハザマの首根っこをつかみ片手でぶんぶん振りまわす。
そしてラグナの席へと投げ飛ばし、ナインたちを睨みつける。
「ぐえ!!」
とばっちりを受けるラグナ。
そして睨みつけられたナイン達3人はというと、ひやっとした顔で言った。
「いや、メガネを壊したのは」
「さっきお前が投げ飛ばした」
「ハザマ先生だぞ」
それを聞き、トリニティがどしどしとハザマのところへ歩き出し。
ハザマ先生をまた片手で持ち上げ、お前はブ○リーかとか言いたかったがそんなことを言っている暇もなく。
「ハザマ先生……?」
「はい……なんで……しょうか?」
「……お話があります」
そして6時間後。
「………」
もやしのようにやつれたハザマ。
そう、6時間もトリニティに説教されたのだ。何度も逃げようとした。
蛇翼も蛟竜も打ったが利かなかった。何度も何度も同じ話を聞かされ続け6時間。
それを見てあのナインがなんとも言えない表情で。
「その、私もやりすぎたわ」
「はい……私もやりすぎました」
二人を互いに謝らせるほど、トリニティが怒るとやばかった。
普段は温厚だがメガネが汚れたり、ましてや壊れるなどご法度で、トリニティは怒ると誰も手がつけられなかった。
「とりあえずなんだ?説教しても未だにトリニティは初号機のように呻きを発しているし……」
「今回はちょっとまずいんじゃないか?」
ハクメン先生と獣兵衛に言われトリニティの方を見ると。
もう今にでも使徒を食いちぎってしまいそうな顔で、ウォォォォォォ!と叫んでいた。
「この場合、どうすればいいんだ?」
「メガネを弁償すればいいんじゃないかしら?」
ナインの案を聞いて、ハザマがポンと手を叩く。
「それです!トリニティ・グラスフィール先生!!明日の休み私暇なんで一緒にメガネを買いに行きましょう!!」
ハザマがそう言うと、トリニティはウォ?と反応を見せた。
が、このままだとまた襲われそうだったので、すぐさま後退するハザマ。
「それで、トリニティ・グラスフィール先生の行きつけはどこなんですか?」
「待て、今プラチナに連絡を取って聞いてみる」
獣兵衛は電話をかけた。
相手はプラチナ・ザ・トリニティのルナの方。活発な少女が獣兵衛の電話に嬉しさを醸し出していた。
「獣兵衛様!?いったいどうしたの!?あたしに何か用か?」
「あぁいや大したことじゃないんだ。トリニティの行きつけのメガネ屋かなんか知ってるか?」
「姉ちゃんの行きつけのメガネ屋?確か第十一階層都市シナツ市のメガネのプ○ンスだったような……」
カグツチから離れるんかい……とハザマは頭を抱える。
しかもプ○ンスならカグツチにもあるだろ、とか色々思ったが今のトリニティに逆らうわけにもいかず。
「だそうだ。というわけでハザマ先生、トリニティ先生にメガネを買ってやるといい」
「それしかない……ですね」
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こうして翌日の休日。
ハザマとトリニティはメガネを買うためシナツ市へ。
「メガネを買うなんて久しぶりですぅ~」
新品のメガネが手に入るということで気分を良くするトリニティ。
これでもうあんな怖いトリニティを見ることがないならと、ハザマは苦笑しながら隣を歩く。
「普段どれくらいメガネ屋に来られるのですか?」
「ルナとセナの世話であまり時間はとれませんが、暇な時は色んなメガネ屋をはしごしていますぅ~」
動物園に行く感覚でメガネ屋に行くトリニティに、ハザマが苦笑する。
彼女にとってメガネは命の次に大事な品。
説教の内容がメガネが作られた秘話から誰々の役に立ちと端から端まで話す様を見れば思い入れがわかる
ちなみにコンタクトレンズはつけないとのこと。管理がめんどくさいとかなんとかで。
「そうなんですか、と……話しているとあっという間についてしまいましたね」
カグツチポートから魔操船で移動して数時間、シナツ市の発着場から歩いて数分のところにメガネのプ○ンスはあった。
ここのメガネ屋は他の店に比べると少しばかり大きかった。
入ると右手の方に最新のメガネが展示されており、奥の方にはアンティーク物。
さらに進むと科学によって作られたハイテクなもの、スカ○ターや犯人追跡メガネまで置いてあった。
メガネの博物館じゃねぇか……とハザマは内心思う。
そんなメガネの博物館に入るなり、トリニティはきゅんと声をならし。
「久しぶりに来ましたがぁ~うわぁこれすごい品質のメガネですぅ。艶といいフォーム、プロポーションなどよくできてますぅ~」
どうしてこうもメガネに対してうっとりと語れるのだろうか。
ハザマはいつものトリニティとは違うことを確証し、少し間をあけて自らもメガネを見て回る。
「……しかしまぁ色んなメガネがありますね。うっわフレームが8万!?高すぎるでしょここ……」
安いものからあきらかに度が過ぎるくらい高いものまで。
値段を見てそういえば、と何かを思い出したかのようにトリニティの方へ向かい。
「そういえばトリニティ・グラスフィール先生、あのスペアメガネっておいくらくらいしたのですか?」
「このメガネもなんという上質感~」
きいてねぇよ。と、ハザマは苦い顔をする。
すっかりメガネワールドに入ってしまったトリニティ、少し間をおいてハザマの方を見る。
「……あ、なんですかぁハザマ先生?」
「いやあの、メガネのお値段を……」
改めてあのスペアメガネの値段を聞くハザマ。
「あれですかぁ?あれはスペアだったので少々安いのを買ったんですよぉ。でもガタが来てましたからねぇ」
「そうなんですか、ということはたいしたお値段でh」
「ざっと18万ほどですぅ~」
「ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
値段を聞いて思わず噴き出すハザマ。
たかがメガネを壊してしまっただけと甘く見ていたハザマであったが、壊した品がそこまでの高級品だったとは。
というかこの人どんだけメガネに金かけてんだよ、ハザマはアホを見るような目でトリニティを見る。
「ま……まさか私、それくらいの値段の物を買わされるのですか?」
「いえいえ、今回はハザマ先生が買ってくださるというので、ハザマ先生に選んでもらおうかなとぉ~」
今回は人の贈り物ということで強要はしないとトリニティは言う。
ほっと安心をし、ならばさっさと選んでしまおう。ハザマはそういって張り切りメガネを選ぶ。
するとそこへ、メガネ屋の店員がハザマに話しかけてきた。
「お客さん、メガネをお探しニャスか?」
店員はメガネをかけたカカ族であった。
「まぁそうですねぇ、何かこうデザインチックなやつあります?」
「ならばこちらですよニャス。もしかしてあそこの女性……ってことはお捜しなのは婚約メガネニャスか?」
(婚約メガネってなんだよ……)
聞き慣れない言葉がハザマの耳に入ってくる。
婚約って別にそんなのではない、ハザマは一応否定しておく。
「わたしがオススメするのはこのあたりのやつニャス。今女性に大人気のブースですよ」
「ほぉ、確かにカラフルチックで……」
「それだけではないニャス、ここ最近犯罪も増えてきたニャスから防災グッズにもなってるニャス」
防災つきのメガネとはいったい。
聞いただけではわからないからと、カカ族の店員は実践して見せてくれた。
「これかけると目から光○力ビームが……」
「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
かけた瞬間、メガネから高圧ビームがハザマを襲った。
間一髪でよけるハザマ。
「どうニャス?」
「物騒すぎんだろうが!!じゃなくて……こんな物騒な物、彼女には似合いませんよ」
似合わないと言うか、仮にまた怒った時にこんなのでビームとか出されたら厄介極まりない。
と、遠くからトリニティの声が聞こえてきた。
「あぁハザマ先生、店員さんといたんですかぁ?じゃあちょっとこちらに来てくださいぃ~」
トリニティにそう言われ、違うコーナーへと向かう二人。
「このメガネ、今話題のアークエネミーフレームですよねぇ?」
「おっとお嬢さんお目が高いニャス、衝撃耐久に優れるためヒヒイロカネを使用した最新のメガネニャスよ」
なんかもう色々と恐ろしい素材の話題が聞こえてきて萎えるハザマ。
しかし、真に萎える理由はそこではなかった。
あのトリニティが、店員とメガネの話をしだしたということである。
ということはとことん長話になるだろう。気が付けば店に来店してから1時間経っている。
「長くなりそうなので、私は遠くの方を見ていますから」
「いえいえ、ハザマ先生もぜひぜひ聞き入ってください。そりゃあもうためになる話ですよぉ~」
「ひぇ!?」
さっさとメガネを選んで帰るだけのはずが、思わぬハプニングを引き起こしてしまった。
実のところ半分は予期していたことだったのだが、そのまま思い通りの展開になってしまうとは。
こうしてトリニティと店員の話を聞くだけとはいえ足止めを食らったハザマは、3時間、メガネの創世記の話から最新技術の話までを聞く羽目に。
「お客さん大人しそうニャスから、バレル型がオススメニャスよ」
「それよく言われますぅ。ハザマ先生ならフォックス型が似合うと思うんですけどぉ、ハザマ先生どうですかぁ?」
「は……はぁ……もうなんですか?」
専門用語ばかりで耳にすら入っていないハザマ。
立ったままで体力も次第に消費されてゆく、しかし話は終わりそうにない。
さらに2時間、ようやくメガネ選びを再会したトリニティ。ハザマはすでにくたくたであった。
「ハザマ先生、これなんてどうですかぁ?」
「いいんじゃないですかねぇ……」
適当に答えるハザマ。
トリニティはなにやら気にいらない様子で。
「ちゃんと見てくださいハザマ先生!」
「……はぁ、ひょっとしてトリニティ・グラスフィール先生。誰かとメガネを買いに行くなんて初めてですか?」
「学生時代にナインとセリカさんを連れて。最近ではルナとセナを連れてきたことがあるんですが不思議なことに1度行ったっきり付き合ってくれなくなったんですよねぇ」
そりゃそうだろうなぁ……と、ハザマは珍しく誰かに同情した。
が、トリニティはその後何かを思い出したように。
「でもブレイブルー学園に入学したばかりのころ、カズマさんは何度もメガネ屋に付き合ってくれましたぁ」
「カズマさん……ですか」
ハザマはその名前に聞きおぼえがあっても、実際に会ったことはなかった。
カズマという名は、何度もトリニティから聞いたことがある名前だった。
トリニティと一緒のクラスになる前までトリニティとは同級生だったかつての学園の生徒。しかしトリニティが進級する時にどこかへと転校してしまった。
ハザマがテルミのころから、そのカズマに非常に似ているとトリニティに言われ続けていた。
誰かと比べられるのはハザマとしてもあまり良い気分ではない、が……それでも不良だった時の自分を優しい目で見てくれていたのはそんなトリニティだった。
カズマの代わりにされているのだと思い最初は無下に振舞っていたが、次第にトリニティは、ハザマをハザマだと見るようになっていた。
「暇な時にお出かけを誘い、何度も何度も付き合ってくれましたぁ。買い物が終わった後非情にお疲れのようでしたから、体力作りに専念するよう何度かアドバイスをした記憶がありますぅ」
(いや、それきっとあんたに付き合った誰もがぐったりしてたと思いますけど……)
「ハザマ先生、今日は久しぶりに他人とメガネ屋に行けて本当によかったですぅ。135個のスペアメガネのうち一つは壊れてしまいましたがこの休日と引き換えだったら安いものだったかもしれません~」
まだ大量にあんのかよ!!とハザマはふざけるなとばかりの感情を抱いたが表には出さなかった。
「そうですか?もう夜の10時ですか、魔操船の最終発着時間に遅れますよ?」
「あら?もうそんな時間……。う~ん、したらメガネは弁償しなくていいですぅ~」
と、トリニティは頬笑み言った。
しかしそういうわけにもいかない、ハザマは袋をトリニティに手渡す。
その中には、ハザマが自分で選んだメガネが入っていた。
「これは?」
「自分なりに選んで買っておきました。レンズはあなたの視力がわからなかったので伊達メガネということで……」
「ハザマ先生……」
「というわけで色々迷惑をかけましたトリニティ・グラスフィールさん。またお暇が出来たら……お買いもの、誘ってください」
そう言って、二人はカグツチへと戻った。
帰り際、幸せそうな顔を浮かべていたトリニティを、ハザマはしばらく忘れることが出来なかった。
自分が選んだ物を受け取り喜んでくれたことに、ハザマは少しばかりの安堵を浮かべ。今日は枕を高くして寝られると……。
安心して自分の家へ帰った。
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翌日。
「おはようトリニティ、あれ?そのメガネ……」
朝、出勤してきたトリニティに挨拶を交わすナイン。
その際、トリニティの新しいメガネに気付く。
「ハザマ先生に選んでもらいましたぁ~」
トリニティがかけていたのはハザマが買ってあげたメガネであった。
レンズは帰ってから錬金術で製錬したとのこと。
「なによ、あのセンスも欠片もない男にしてはマシなの選んだじゃない?」
「そんな風に言わないで上げないでください~。この緑色のフレーム……結構私の好みですよ」
そう言ってほほ笑むトリニティに、ナインも思わず釣られ笑い。
その際ナインは遠くにいるハザマをちらっと見て、ふんっと鼻で笑い去って行った。
「ハザマ先生、お前も女性の扱いに磨きがかかったな~」
「もう、そんなんじゃないですよ。ただ……」
そう流しめに対応し、トリニティの方をちらっと見て。
かつての学生時代に戻ったように、ふわふわっとして今にもヘマをしそうな。
そんな彼女を見て、ハザマはそっと呟く。
「ったく、放ってはおけねぇやつ……」