3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~   作:トッシー00

17 / 33
第17話です。


第17話:マイ・ナツメの受難

「そしたら、明日放課後ケーキ食べに行こうね。約束だよ~」

「うん、わかった」

 

 ブレイブルー学園。ここに一人の女子高生がいる。

 その少女の名は"マイ・ナツメ"。長くて青い髪の毛が、スラリと伸びているまごうことなき美少女だ。

 成績は標準だが、運動神経なら男子生徒にも負けていないほどその動きは俊敏。その逞しさから男女問わず人気が高い彼女。

 友達も多く。今日もマコト達と明日ケーキを食べる約束をした。

 何不自由の無いように見える極々普通の美少女。だが、彼女にはとんでもない秘密があった。それは……。

 

「お~うマイマイ~。相変わらずその後ろ姿、いやぁ惚れちまうぜマジで」

「カグラ先生~」

 

 そんな彼女に後ろから声をかけるのは、ブレイブルー学園一の女好きであるカグラだ。

 彼はいつも可愛い女の子を見つけてはナンパをする。無論、マイとて例外ではない。

 

「どうだ? 明日一緒にデートでも……。エスコートさせていただけませんかね、クールなお嬢さん?」

「やめてください気持ち悪いです。それに私……いや」

 

 そう、カグラの誘いを突っぱねるマイ。

 そんな彼に対して、マイは隠さずにはいられない自分の本来の呼び方でカグラと接する。

 

「……"僕"の正体……おわかりですよね?」

「いやいやマイちんよぉ。確かに俺は"お前の秘密"を知ってるわけだが……雰囲気ってのは大事だぜ?」

「雰囲気って。僕は確かに今の所女の子かもしれませんが……本質は……"男"なんですよ?」

 

 そう、マイは困ったように言う。

 何を隠そうこのマイ・ナツメ。外見はどう見ても美少女にしか見えないのだが。

 これでもれっきとした"男"であり、わけあって今は女子高生として学校に通っているのだ。

 体つきも事故により女の身体になってしまい、一日でも早く元に戻りたいと切に願っている。

 そんなマイに対して、カグラはそんなこと知ったことではないと話を続けた。

 

「いやでも考えなおしてみろよマイマイ。この世には美少女になってみたいと叶うはずのない願いを抱いている野郎どもがいくらいると思ってんだ? お前は事故とはいえその夢のような出来事が叶ってしまったんだぞ? 贅沢にこの先の人生を女として楽しめよ、なんなら俺が一生養ってやるぜ?」

「うるさいですよ、あなた絶対ヒモ男になるタイプでしょ? それに女の子になってうれしいとか……まぁちょっとはうれしいこともあったけど、でも……男に戻りたいんですよ」

「贅沢なやつだなマイマイ。そんなお前の親戚としては大切な従弟の願いを叶えてあげたいところ、だがそんな美少女を失うのは男としては惜しい所。どこまでも悩ませるぜ……今晩、俺のこの悩みを受け止めてくれないかハニー?」

「カグラ先生、例え僕が本当に女だったとしてもあなたは眼中にないんで!!」

 

 しつこく食らいついてくるカグラに対して、マイはドンとつきとばす。

 最初からカグラになど頼ってはいないマイ。それに、なにやらマイには男になる手掛かりがあるというのだ。

 

「もうすぐ、僕が男に戻れる日がやってくると思うのでいい加減諦めてくださいカグラ先生」

「なんだと!? お父さんは許さんぞ!!」

「誰が父さんだ。いや、小耳に挟んだんだけどなにやら特殊な術で、対象を過去の姿にできる能力を持つ先生がいるらしいんですよ」

 

 そうマイはカグラに説明をする。

 マイは男に戻る手掛かりを見つけたのだ。後はなんとかその先生にお願いしてその力を使ってもらうだけ。

 だがマイを男に戻したくないカグラは、マイの太ももをわし掴んで必死に止める。

 

「ひぃ! どこ触ってるんですかカグラ先生!!」

「頼むよマイマイ~。俺お前のこと男だとわかっていてもガチで愛してるんだよ~。あぁ無論そっちの意味じゃなくて女の身体になってるお前ってことね」

「いや知ってるわ! じゃなかったらガチで引くし!!」

「それにお前が男に戻ったら俺のカグラガールズがお前に何人か持ってかれそうで怖いんだよぉ~。お前ってジンに匹敵するくらいの美少年じゃねぇか、美少女失ってライバル増やすとかマジ損にしかならねぇ!!」

 

 そう自分の都合のいいことばかり話すカグラ。

 そんなカグラをマイは必死に突き放そうとするのだが。

 カグラはこの状態をいいことに、マイの胸をわし掴みにしてマイを説得し始めた。

 

「ちょ! だからどこ触ってるんですか!? 今は立派な女なのに!!」

「いやぁ、この中から大にかけての丁度いい大きさとほどよい柔らかさ、最高だね! マイ、男に戻るんだったらよ……戻る前に一夜くらい俺と一緒に寝てくれ!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!! この変態ーーーーーーーーーーーー!!」

 

 マイは今の自分の中に眠る乙女心を前回にして叫び、カグラを半殺しにした。

 その後必死に逃げ出し、誰にも見られない所でぐずぐずと泣いたという。

 だがこんなことはこれっきりだ。きっと男に戻れる。

 いや……必ず男に戻って見せると、マイは自分の大和魂に誓ったのだった。

 

-----------------------

 

 そして数日後。

 マイは噂を頼りに、演劇部の部室に向かった。

 そこにいたのは、演劇部の顧問であるアマネであった。

 

「おやぁ? 珍しいお客さんだねぇ~」

「し、失礼しますアマネ先生! 今日はちょっとお願いがありまして……」

 

 マイはそのアマネの美しさを見て、ついつい見惚れてしまう。

 男としての美意識の高さへの憧れ、そして女としての美しさへの魅了といったところか。

 だが見惚れていては始まらない、マイはアマネにあるお願いをする。

 

「アマネ先生! なんでも先生は、対象を過去の姿に戻す力があるとか!?」

「ん? "業破抱擁"のことかい?」

 

 そう、マイが聞いたその過去に戻す力を持つ人物はアマネの事であった。

 若得命華の業破抱擁。アマネの奥義の中でも秘伝の中の秘伝とされているもので、アマネの舞の最高傑作と呼べるもの。

 その技をかけてもらえるよう、マイはアマネにお願いする。

 

「いやいやマイくん。辛い今を捨てて過去に戻って楽をしようとするのは良くないことだ。この力は過去の所業を改めさせるために対象を過去の姿に戻す力だ。この技を使うと俺の体力もがっつり奪われてしまうんでねぇ。そう易々とは使えないよ」

「うっ……」

 

 そうアマネはそれらしい理由をつけて業破抱擁の使用をためらう。

 とは言う物の、アマネはあまり女子に優しくないだけであり、別にそんな立派な理由があるわけではない。

 実際はもっとくだらない理由で使ってばかりいるのだが、今日のアマネはただめんどくさかっただけなのか、それともマイがアマネにとってなんの興味も無い美少女だったからなのか嫌そうな顔をする。

 だがマイからすれば使ってもらいたい理由がある。ここは素直に話すことにした。

 

「実は……どうしてもちょっと前の私に戻りたい理由がありまして……」

「ふ~ん。まぁ一応、聞かせてもらおうかね……」

「実は私は"男"でして、魔道書の事故で女になってしまったんです」

「それでそれで!?」

「ひぃ!?」

 

 なんということか、マイはアマネに理由を話した途端、先ほどまでめんどくさがっていたアマネの目の色が鋭くとがった。

 そしてめちゃくちゃ食いついてくる。いったい何がどうなったというのか……。

 よくわからないマイは、とりあえず戸惑いながらも続きを話す。

 

「そ……それで、男に戻す方法をいくつか試したのですが上手くいかず。そこで過去に戻るという方法を考えた時……アマネ先生の……噂が……」

「なるほど一大事だね!! いやいや先生としてはね、ぜひともその悩みを解決してあげたいところだねぇ~!!」

「……体力をがっつり使うとか言ってませんでした?」

「誰がそんなこと言ったんだね君は! 困っている生徒のためなら己の体力なんておれっちは気にしねぇよ!!」

 

 どうにもさっきまでと態度が違うアマネ。

 よくわからないが、マイはとりあえず安堵した。

 これで男に戻れる。ならば早々とやってほしい。

 と、思っている所にアマネがなにやら身体をくねらせてマイにすりよってきた。

 

「な……なんですか?」

「いやさ、その……。過去の姿ってのを思い浮かべて術の成功度を上げたいんでねぇ。マイくんの過去の写真とか……"美少年だった時"の、美少年だった時の写真持ってたりする?」

「なぜそこを強調したんだ……? ま、まぁいいや。えぇと確か携帯のフォルダに友達と遊びに行った時の写真が……」

 

 マイは自分の美少年だった時の写真を携帯の中から探す。

 そしてだいぶ下の方にそれがあるのを発見し、アマネにその写真を見せると……。

 

「フォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「びくぅ!」

 

 突如ガッツポーズで発狂し始めたアマネ。

 今にも携帯の画面を舐めまわさんとする勢いで、マイの美少年だった時の写真をガン見。

 そして数分後、ワナワナと身体を震わせてその携帯をマイに返した。

 

「……マイ・ナツメくん。その……業破抱擁が上手く行った暁には、その……対価ってわけじゃないんだけどさ~」

「……はい」

 

 やたら身体をくねらせてマイに近づくアマネ。

 マイは本心では気持ち悪いなと思いながらも、そのアマネの言葉に対して答えると。

 

「その……俺のものになってくれ!!」

「……」

 

 そう躊躇なく宣言するアマネ。

 マイはなんとも珍妙な生き物を見るような目でアマネを見て、内心ドン引き。

 もうすぐ男に戻れる。だが男に戻った瞬間、なにやらとんでもない目に合う気がしてマイは若干躊躇する。

 

「……あの、頼んでおいてあれなんですけど……もう二~三日待ってもらえませんか? 心の準備が」

「いやいや善は急げと言うじゃないかマイくん! あ~なんか今日じゃないと業破抱擁打てない気がするなぁ~。ゲージ100溜まってるの今日だけなんだけどなぁ~」

 

 気持ち悪い動きをしながらマイをなだめるように見てそう言うアマネ。

 マイはなんだか身震いが止まらなくなり、アマネの所に来たことを後悔し始めた。

 本気でマイが困り始めたその時、演劇部の部室に一人の男がやってくる。

 

「愛しの女が困ってる所に……黒騎士が舞い降りる。助けに来たぜマイマイ!!」

「カグラ先生!!」

 

 現れたのはカグラ。マイが男に戻ることを阻止しにやってきたようだ。

 どうにもややこしい場面で現れたなとマイは困り果てる。

 

「アマネ先生よ。女の子に自分の考えを押し付けるってのはあんたのような美系がやっていいことじゃねぇなぁ」

「おいおいカグラ先生よぉ。人の元ある姿ってのは大切なもんでよぉ、マイくんは元の自分に戻りたいっていう強い意志の元やってきてるんでぃ。その意志を阻もうとするのは教師としてどうなんだろうねぇ?」

 

 互いに自分の意地を曲げないカグラとアマネ。

 そんな二人に挟まれて、マイは本気で悩んでいた。

 女のままでいればカグラにナンパされる日々、かといって今男に戻ればアマネに掘られる可能性あり。

 女のままでいても男に戻ってもピンチなのは変わらないのだ。どうしてこうなったんだとマイは頭を抱えた。

 

「すいません、今日の所は帰してください……」

「駄目だマイ! 今日は俺の家に来るんだろ!?」

「マイくん! これから楽しいことが待ってるんだ!!」

「えーーーん! 誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 そうマイが泣き叫び、空を切るように助けを呼ぶと。

 その助けを呼ぶ声に、反応する何かがあった。

 透き通るような鈴の音が、その空間に響き渡る。

 

「鈴の音鳴らしてリンリンリン♪ 呼ばれて飛び出てトリニティ~☆」

「と、ブレイブルー学園の破壊者……アズラエルだ」

 

 まさかの組み合わせで現れたトリニティとアズラエル。

 なんとも助けに来たとは思えない連中だが、マイは縋るように二人に願う。

 

「よくわからないけど、助けてください!!」

「わかりました~。それではご唱和ください、ピンポンダ~ッシュ!!」

 

 そうマイの願いを叶えるように、トリニティはカグラに伝家の宝刀ピンポンダッシュをお見舞いした。

 それを食らったカグラは思いっきり吹き飛ばされ、はるか遠くへ消え去った。

 

「ありがとうございます! 続けてこっちのオカマ野郎も!!」

 

 と、マイがアマネの方を指さすと。

 トリニティはニコニコ笑って、そして一言。

 

「何を言ってるのですかぁ~? アマネ先生を攻撃する必要はありません~」

「へ?」

 

 どうにもアマネの味方をするトリニティ。

 するとアマネが、にへらと笑ってトリニティに声をかける。

 

「助かったぜトリニティ先生。これでマイくんを男に戻してあげられるな」

「そうですねぇ~。マイくん、ささ遠慮なさらず男に戻ってください~」

「……どういうことですか?」

 

 マイにはトリニティがアマネに賛同する理由がよくわからなかった。

 そんな彼に対して、アズラエルがワケありに口を開く。

 

「なんでもトリニティ先生殿いわく、アマネ先生殿が貴様を男に戻した暁には……俺は強者である男の貴様と殺りあえると聞いたものでな」

「えーーーーーーーーーーーー!?」

 

 なんということか、いつのまにかそんな契約がトリニティとアズラエルの間で結ばれていた。

 アズラエルと言えばブレイブルー学園歴代の生徒の中でも最強と名高い。喧嘩などして勝てるわけがないし、大けがを負うに決まっている。

 だが、アズラエルはトリニティに「マイ・ナツメの全盛期はすごく強い(意味深)」と聞いており、すっかり鵜呑みにしてしまっているらしい。

 

「はい~。もう激しいほどにヤりやってください~」

「アズラエルくん! 君は勘違いしている!! 僕はそんなに強くないよ!!」

 

 待ちわびるトリニティをよそに、マイはなんとか誤解を解こうとするのだが。

 

「そんなものはやってみないとわからん。俺としては目の前に強者がいるなら……食らいつくすまでだ」

「しゃ……しゃぶりつくすですって!?」

「言ってない! アズラエルくん一言もそんなこと言ってない!!」

 

 どうにもこのトリニティとアズラエルは微妙に相性がいいのか、互いに都合のよく言葉を解釈し合う。

 絶体絶命のマイ。ただでさえ言葉にするのもひどい空間に、元凶となったアマネまで話に割って入る。

 

「おいおい俺を置いていくなよ。マイくんは俺のものになるんだぜ?」

「いやいや! そんなこと決められても困ります!!」

 

 そんなアマネの一方的な発言にマイは否定する。

 そして向かいで、アマネの発言を聞いてトリニティが身体をぶるぶると振るわせる。

 その後、規制をあげてコロンビアのポーズを取るトリニティ。

 

「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「トリニティ先生!?」

「来ました来ましたぁ~!! 美を追求した好青年と可愛らしい男の娘を……イカつい漢であるアズラエルくんが襲う。夢のような、夢にまでみた3P……あぁもう私色んなところがぐちょぐちょですぅ~!! 今日はよいしょ本が五冊は書けそうですぅ~!!」

 

 今にもトリップしそうな勢いでトリニティが昇天寸前に喚きちらす。

 もうマイには未来が無いのだろうか。男に戻れる、どれだけ願ったことだろうか。

 だが男に戻った瞬間、目の前には美少年好きのオカマ教師に筋肉ムキムキの別にそういう類じゃないけどそういう類に見えてしまう人、そして腐り果てた眼鏡教師。

 最悪のバミューダトライアングル。マイに待ち構えているのは死よりもむごい未来だった。

 そんな状況に絶望しかけた時、再三カグラ先生がやってくる。

 

「おいおい……。俺を無視するんじゃねぇ、マイは……俺が守る!!」

 

 そうかっこつけた台詞を言って、カグラはマイを守る騎士の如くトリニティ達の前へと立ちふさがる。

 

「カグラ先生……」

「マイ。そんな焦んなよ、お前には大切な友達がいるはずだ。ノエルちゃん達にとってのマイ・ナツメは、優しくも勇敢で逞しい女の子だったはずだ。今お前が男に戻ってしまえば、あいつらは別れの言葉も言えずに、親友と別れることになっちまうんだぞ?」

「う……うぅ……」

「きっとノエルちゃん達は泣くだろう。お前は男として、あんな可愛い女の子達を泣かせて恥ずかしくないのか?」

「ぐす……。僕……いや私は、大切な友達を放って消えることなんてできない!!」

 

 なんだかんだ下心しかなかったカグラだが、今マイの前に立つのは、マイの親戚として……義兄としてのカグラだった。

 カグラはマイに問う。大切な友達を放り投げて自分の願いを叶えることが大切なのかと。

 そして考えろと、マイ・ハヅキには出来なくて、マイ・ナツメにしか出来ないことがあると。

 だから踏みとどまれと、そのカグラの男気溢れる説得に、マイは涙を流した。

 そんな二人の会話に、トリニティが眼鏡を曇らせて口を開いた。

 

「あ……兄貴系イケメンと可愛い弟系のボーイズラブキタァァァァァァァァァ!!」

 

 どうにも空気をぶち壊すような叫びだった。

 そんな彼女たちに対し、カグラは怯まず仁王立ちする。

 

「悪いなてめぇら。この"男"には守るべき女どもがいるんでな、だから今ここで女どもを見捨てるわけにはいかないんだよ!!」

「カグラ先生……!」

「行けよハヅキ。心配するな、いつか男に戻れるさ。男に戻ったらよ……俺の酒に付き合えよ」

 

 そう親指を立てて、背中越しにカグラはマイを送り出す。

 逃げるマイ。それを見てトリニティとその取り巻き二人は追おうとするのだが。

 カグラが立ちふさがる。そして睨みあった。

 

「あ~! あんな美少年の原石が……絶対に逃がしてたまるかってんだ!!」

「ははは! 俺としてはようやく貴様と……黒騎士と殺りあえるのだ。ならばもう……この場から動く必要はないな!!」

「これはこれで絵になりますぅ~。あぁもう全力でハッテンしてくださいぃ~!! 小並感なんて言わせないくらい激しいのを……あふん!!」

 

 アマネ、アズラエル、トリニティ共に己の意義を主張し。

 そんな強者三名に対して、カグラは怯むことなく、剣を構えた。

 

「黒騎士カグラ……可愛い女の子と己の認めた男の前で……恥ずかしい格好はできねぇからなぁーーーーーーーーー!!」

 

 こうして、互いが互いの全てを出し。

 揺るぎ無き魂を賭けた男たちとそれに加わる腐った魂の女性教師が、この場で激しくぶつかった。

 

-----------------------

 

 翌日。

 

「おはようカグラ先生。んだ? なんかすっげぇ怪我してっけど大丈夫なのか?」

「あ、あぁラグナ。ちょっと久しぶりに無理しちまってないてて……」

 

 朝、ラグナは大怪我で通勤してくるカグラを見て心配の言葉をかけた。

 昨日の戦いで激しいダメージを負ったカグラ、だが教師としては学校を休めない。

 一方で、自分の作業机でお経を唱えるように浮かれているトリニティもいた。朝から誰も近づいていないとのこと。

 カグラは倒れそうなのを我慢しながら、自分の席についた。

 

「あぁ身体いてぇ……ん?」

 

 そして椅子に座り机を見やると。

 そこには一個の、小さなプレゼント箱があった。

 

「なんだこれ?」

「あぁ、マイのやつが朝一でお前の机に置いてったぞ。ったくモテモテだな」

 

 そう、これはマイが朝一でカグラの机に置いたものだった。

 中身はクッキー。どうやら手作りのようだ。

 そして一緒に入っている手紙には、こう書かれていた。

 

『カグラ先生。昨日は助けていただきありがとうございました。私、自分の事ばかり考えていたようで、友達にひどいことをしてしまうところでした。今度は友達のこともよく考えて、ちゃんと決断をしたいと思います。カグラ先生……かっこよかったですよ。byマイ・ナツメ PS:……』

 

 それを読むと。カグラはふっと小さな笑みを浮かべた。

 

「ったく、マイのやつ。女としては百点満点だぜ」

 

 そう彼女のことを褒めると。

 カグラはクッキーを一つつまみ、そして口にした。

 

「……ぎゃあああああああああああああああああ!!」

 

 そしてクッキーを口にしたまま、泡を吹いて職員室で倒れた。

 

 

『PS:私は料理が苦手なので、料理が得意な"ノエル"に手伝ってもらいました。おいしければ幸いです』




マイ・ナツメはニコニコエイジプレミアムで掲載されているブレイブルーリミックスハートのキャラクターです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。