3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~ 作:トッシー00
ブレイブルー学園が位置するカグツチ市。
そのカグツチ市の隣街に該当するのが、イリュリア連王市と呼ばれる街である。
そこはカグツチ市とは似ているようで違う世界観を醸し出しており、雰囲気や浸透している科学も異なる。
カグツチ市が術式が主流としている街ならば、イリュリア連王市は法力が主流となっている。
そしてそのイリュリア連王市にも、とある一つの学校が存在するのである。
――それが、ギルティギア高校である。
「……あぁてめぇら。口を閉じて静かにしやがれ」
そうぶっきらぼうな口調でギルティギア高校3年G組の教壇に立つのは、クラスの担任であるソル・バッドガイ先生。通称:バッドガイ先生である。
あちらの高校には銀髪のオッドアイな教師らしくない格好の男がいるのであれば、こちらにも尚更教師らしくない風貌の男がいるのである。
黒茶色の跳ねた髪をしたがたいの良い教師。その表情は常にめんどくさそうな面をしている。
そしてとても生徒を想いやっていないような態度。教師というのに教室でタバコをふかし。理不尽がおきれば暴力で解決しようとする。
ソルという男は、そういう教師なのである。これでも立派な教師なのである。
「じゃあ出席を取る。見た所全員いるみてぇだな。したら無用な出席確認は不要だ」
と、これまた朝のホームルームの過程すら無視しだすこの男。
そんな彼のやり方に、彼の隣に立つ教師が物申した。
「ソル。お前は毎回毎回ぶっきらぼうなことばかり。一教師として恥ずかしいとは思わないのか?」
そう言うのは、この3年G組の副担任を務めるカイ・キスクである。
ソルとは違い身なりからきちっとしている金髪の顔立ちの良い教師で、いかにも皆から慕われていそうな外見である。
だが実際はこのギルティギア高校自体が、柄の悪い生徒と真面目な生徒の差が極端すぎて、どちらかというと真面目なカイ先生はあまり良く見られていない方である。
更に言えばこの学校の真面目な教師といえばカイ一人だけなので、そのおかげか真面目なのに一人だけ浮いているという珍妙な光景となってしまっているのである。
「ったくお前は毎朝毎朝ごちゃごちゃうるせぇな。このクラスの担任は俺だ。副担任のテメェは俺の方針に従ってればいいだけの話だ」
「お前が慕うに値する教師ならそうしたいところだが。お前にすべて任せてしまっては何もかもがめちゃくちゃになってしまうから口を出しているんだ」
と、朝から口喧嘩が絶えない二人。
そんな口うるさいカイに、ソルはカイが口をふさぐしかないような一言を口にする。
「ったく。そうやって口出しばかりするようなら、今後シンを我が家で預かるのは無しにするがな」
「ぐっ。シンを盾に取るとは卑怯な……」
ソルの言うシンとは、カイ・キスクの実の息子である。
カイは既婚者であり、妻のディズィーと六年前に結ばれた。
だが色々あってシンが小さい時にソルにあずかってもらうことになり、今もシンはソルの家で住んでいる。
なので本来なら、カイはソルに逆らいづらい関係なのである。
「いいのか? 来年はシンも小学校に入学しなきゃならねぇ。そんな大事な時期にいざこざがあっては洒落にならねぇだろうが」
「うぐっ。頼むから良い小学校に入学させてあげてくれ。資金提供は惜しまない……」
「ったくしかたねぇな」
なんやかんやで、ソルはシンの面倒を見ることは嫌ではないのである。
話を戻すが、今は3年G組のホームルーム中である。
本来なら出席を取るだけではなく、色々学校側から問題のあることを話さなければならないのである。
「えー。ソル先生がめんどくさがって話を端折ろうとするので私から言わせていただくが。最近この学校の評判が更に悪くなっている。なので生徒達にもきちんとこういった問題に向き合っていただきたいわけだ」
そうカイが話すのは、ギルティギア高校の他者からの評判である。
この学校の歴史はあのブレイブルー学園よりはるかに長く、歴史ある学校として有名である。
だが年々この学校の生徒の質が落ちてきており、一癖も二癖もある問題児ばかりが集うようになってしまった。
それが生徒だけに留まらず、今ではソル先生を皮切りに、教師達までも無法地帯と化しているのである。
男女問わず浣腸をお見舞いする変態保険医や、女好きで男子生徒に眼もくれない先生。常にギターを片手にエロスを撒き散らし、教師とは思えない汚い言葉を連発するような女性教師。と後をたたない。
そんな問題に、カイは必死に悩んでいた。ちなみにソルはそこまで悩んでいなかった。
「今日もこうして苦情が来ている。うちの子が浣腸されて部屋に引きこもってしまっただとか、ビリヤードだけに飽き足らず玉を棒で突かれたとか、大砲で遠くまで飛ばされたとか、中華屋でバイトしている子にぼったくられたとか、女の子だと思ってナンパしたら男だっただとか、美少女が男子の制服着てたとか、ヨーヨーが上手い女の子が実は男だっただがそれがいいですだとか」
「ぐだぐだと長ったらしいな。てかやたら最後の一人だけ問題が固まってる気がするが……」
ソルの疑問はよそに、とにかくギルティギア高校には今も問題がはびこっている。
今日という今日こそは、問題解決を打ちだし、ギルティギア高校の評判を良い方向にするしかない。
カイは張り切っていた。だがソルはというと、やっぱりめんどくさいのかカイに全てを放り投げ教室の外へ。
「ソル! どこへ行くつもりだ!?」
「かったりぃから後はテメェに任せる」
「おい! このクラスの担任はお前ではなかったのか!?」
「俺は無駄なことが嫌いだ。話し合いで解決することなんざたかが知れてる。あとはテメェで好きにしやがれ」
とても教師とは思えない発言をするソル。
そんなソルを止めることなどできず。カイは仕方なしと、一言だけソルに言葉を贈った。
「……ならば一つだけ言わせてくれ。必ず……帰って来い」
「いやこんな状況でそんなシリアスな物言いされても困る。腹が減ったから中華屋の麻婆豆腐食べに行ってくる」
「戦を前に逃げ出すつもりか!? ソルーーー!!」
「なんというか、熱血真面目教師なんざこのご時世勤まらねぇと思うがな」
そう言い残して、ソルは言ってしまった。
残されたカイは、なんとか自分一人でもこの問題を解決せねばと、クラスの生徒たちと向き合うことに。
「まったくなぜあいつが担任で私が副担任なんだ。どんな人選だ」
文句の一つでも出てきながら、本題へと話を戻すカイ。
最初に目をつけたのは、背の小さい女の子のメイだった。
彼女は学校でジェリーフィッシュ快賊団という良く分からないサークルを作って活動している女の子である。
「えぇと。まずはメイ。何でも最近近所のコンビニで万引きを働いたそうだな」
「違うよ。あそこの古いコンビニ賞味期限切れの弁当を普通に置いていたり、店員がくっちゃべってたりと評判悪いから懲らしめに行ったんだよ。ボク達ジェリーフィッシュ快賊団はか弱い一般市民の味方をしているだけなの」
「理由はどうあれ、そういうのは先生に相談しなさい」
どのような経緯があるにせよ、メイの行った万引きは立派な犯罪行為だ。
初めに先生に相談してくれればもう少し上手く事が進んでいたはずだ。そうカイはメイを叱るのだが。
「したよ。女性客がコンビニの店員にセクハラ受けてるってジョニー先生に言ったら、「そんなコンビニはぁ、跡形もなく潰してこいやぁぁぁ!!」って助言くれたもん」
「わかりました。今度からは私に相談しなさい。そしてなるべくジョニー先生の言うことは真に受けないこと」
「えー。カイ先生みたいなうさんくさいロリコンの言うことより女性に優しいジョニー先生の方がよっぽど頼りになるよー」
(私はいつロリコンになったんだ!? 妻の影響か!?)
メイになにやらとんでもなく誤解されそうなことを言われ内心動揺するカイ。
確かにカイは年下の妻と結婚した。だがその妻は精神と身体こそ二十歳前半のそれだが実の所年齢が小学生のそれと変わらないという事情を持っている。
そこから変に噂が派生したのか、メイはカイを幼女を嫁にもらったとあられもない誤解を抱いていたのであった。
ちなみにメイ自身はカイの妻とは逆の立場で、見た目は小学生なのだが立派な高校生となっている。
「とにかく。今後はそういうことはしないこと」
「ぶー」
そう釘を刺すカイであるが、メイは反省の色があまり無さそうにほっぺを膨らませて気にいらなさそうな顔をしていた。
次にカイが見たのは、銀髪の跳ねた髪をした。自称:忍者を名乗る男子生徒。チップ・ザナフである。
「チップ。君は大統領になるというその寛大な夢を持つことは先生としては応援したくなるが、他の人をむりやり投票させようとするのはやりすぎだ」
「つってもな。大体のやつらって見た目とか履歴だけで物を見やがる。先生だってイケメンだから市長になれたんだろ?」
「私の事は関係ないだろう。それに私をただイケメンだったってだけみたいに言うな」
そうカイはチップの言うことに反論する。
ちなみに薄らと出たが、カイはこのイリュリア連王市の三人の市長の一人である。
市長という偉い立場であるが、なぜかこの学校の先生で、しかも副担任と立場が薄い。
「私の場合は色々と努力をしたものだ。人の評価を得るためには、力押しだけでなく小さい所から努力をしてだな、自分よりもまず他者の良い所を知り、自分の良い所を知ってもらってだな」
「遠回りな話だな。イソッチは回れ右にってコトワザか?」
「それを言うなら急がば回れだ」
「なら俺は善を急ぎまくれって方を取るぜ。でも安心しろ、急ぎすぎて先生みたいに幼女を妻にしたりしねぇからよ」
(だから私はそういうつもりでディズィーと結婚したわけじゃないんだけどね!!)
またもや余計なことを言われくすむカイ。
結局チップはやり方を変えないようである。
次にカイが見たのは、長い金髪をした美女。いつも髪の毛をいじっているミリア・レイジ。
「ミリア。髪の毛は女性にとって大切だが、授業中まで髪の毛をいじるのはやめないか?」
「あらなによ。私にとって髪の毛は授業よりよっぽど大事よ。それともなに? 先生は私にはげになれとでも言うの?」
「いやそうは言っていないが……」
やっぱり反論されるカイ。
確かにミリアがはげなのは絵面が悪い。だが問題は髪の毛をいじって全然授業に集中していないことである。
「別に成績が悪いわけでもないでしょ? ザトー先生からは将来は世界をまたに駈ける暗殺者だなってお墨付きも得ているのよ?」
「いやそれは正直どうなんだ……。だが君の場合髪の毛のセットに失敗したから遅刻するとか、自由すぎるのではと言っているんだが……」
「そんなの当たり前じゃない? 先生の幼女妻も髪の毛には結構苦労なさっているのでしょう?」
「まぁ確かにネクロとウンディーネには私も何度か灰にされかけたことはあるが。てか幼女じゃないし! 身体は立派なボンキュッボンで、もう最初は間近に見れないくらい身体付きはすごいんですよ彼女!!」
「うわ。身体目的で幼女と結婚とか……」
「なんでそうなんのぉぉぉ!?」
これ以上話をしたら、カイの変な噂がさらにひどくなる。
メイの方を見ると、メイが「うわ……」みたいな顔をしているし。
なんか向こうに座っている身体のでかいポチョムキンが怖い顔で見ているし。
これはすぐに話を反らす必要がある。カイはすぐさま違う生徒に眼を移す。
対象となったのは、服の胸元がぱっくり開いている褐色肌の、長い髪の毛に顔が隠れているなんともアレな雰囲気のヴェノムだった。
「ヴェノム! 君はなんだか変な疑いをかけられていると聞くぞ!?」
「わ、私はザトー様以外とは!!」
「いやだからそんなんじゃなくてね!!」
「うわーカイ先生。ロリコンで身体目的でおまけにフォモな性癖まで持ってるのー?」
「なんかさっきから私の悪評だけがひどくなってんだけどぉぉぉ!!」
メイの表情が更に疑惑の表情となり、ヴェノムは胸を必死に隠している。
もうすでにカイは最初に比べて、ものすごいロリコンで身体目的のおまけにフォモというとんでもない人物になっていた。
「くっそこれでは一人も問題が解決していないどころか私の評判が悪くなっている一方だ。なんとか一人だけでも……」
困り果てるカイ。
そんな彼の眼に映ったのは、教室の隅っこで寝ている少年。
最近ここギルティギア高校に転校してきたベッドマンである。
転校してきたばかりだというのに、常に寝てばかりでまともにコミュニケーションを取ろうとしない困った生徒である。
「ベッドマンくん。転校早々緊張しているのはわかるが、こう他の生徒とも交流を深めないと。例えばカイ先生はロリコンでもないし身体目的でもないしフォモでもないって訴えかけるとか」
なんか説得しているように見えて自分の疑惑を晴らさせてくれるよう誘導しているような気もするが。
そんなカイの説得が届いたのか、ベッドマンは転校してきてからようやく、その重い口を開いた。
「……皆聞いてくれ、カイ先生は皆が思っているような先生ではない」
「うんうん! ベッドマンくんは、先生の気持ちがわかるんだね」
つい涙が頬を伝うカイ。
そんなカイのためなのかよくわからないが、ベッドマンは寝言のように次々と言葉を口に出した。
「カイ先生はディズィーを妻にした際には彼女が生まれたばかりであることを知らなかったんだ。つまりカイ先生は当初はスレンダーな大人な女性を求めディズィーを嫁にもらった。だがそこで問題が発生した。ディズィーは大人な女性ではなく、生まれたばかりの子供同然。それをカイ先生は後天的に知ったわけだからカイ先生はロリコンだったというわけでなく、そこからロリコンに目覚めたと言った方が正しいね。新しい刺激に目覚めたカイ先生はそれに加えスレンダーな大人の女性の魅力を味わえるわけだから正に一石二鳥だったわけだ。カイは子供手なずける紳士のようにそして時には母性に甘えるように巨乳の妻を年上に見立てて甘え、幸せな新婚生活を送ったわけだ。いやぁもう筆を下ろす際にも年下の幼女を強引に○○するような感覚と身体付きの良い妻を余すことなく堪能するという感覚が混じり合って実に極限状態に陥っていたわけだろうね。さて話が変わるわけだがカイ先生がディズィーを妻にする前は女性にはモテていたがやんわりと紳士に断りつづけた。まぁそこは女性を見漁らない彼なりの男性としての矜持があったのだろうが、そんな背景をよそにカイ先生はいつもソル先生と毎日を共にし、時より男女かというくらい顔と顔を近づけたりと、その事実を彼にアプローチをし続けた女性達から言わせれば、「あぁなるほどカイ先生は女性に興味が無いのね」と諦めさせる原因にもなりえた。この事象を先ほどのフォモ疑惑に合わせれば、フォモ疑惑については実の所否定しきれない部分もないとは言えないね。あぁでもけしてカイ先生がロリコンで女性の身体に眼がなくておまけにフォモだと言っているわけではないよ。それを決定づけしていないという僕の優しさがそこにあるわけではなく、そういう疑惑をかけられていてもそうおかしくないという事実は否定しきれないというわけだ。だがこの世の男性、特にジャパニーズの男子に関してロリコンがどうだとか変な目で見ることに関しては、ジャパニーズの漫画やアニメ政策の裏側はそう男性たちを洗脳したという過程の、あぁ過程の説だからあまりそう批判的な目で見ないでくれたまえ。そういう背景があるのだから三人に一人くらいロリコンがいたっておかしくないわけだよ。その中にも合法ロリというマニアックなジャンルがあるわけだが、カイ先生はそこに目をつけたということになるね。合法ロリといえば……」
「ベッドマン。カイ先生とっくの昔に教室から逃げ出したわよ……」
「……zzz」
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外は夕方、すっかり放課後となり生徒達は下校し始めたころ。
カイはイリュリア市内をさまよっていた。やつれているのは多分気のせいだろう。
「……はぁ。私にはあの学校は向いていないのだろうか」
そう悩みを呟きながら街をさまよっていると。
「おいちょっと待て! あんたギルティギア高校の教師だな」
急に呼びとめられるカイ。
そこにいたのは、黒いマントを羽織った青年。
見た所、隣町のブレイブルー学園の教師のようだ。
「はい、なんでしょうか?」
「なんでしょうかじゃねぇよ。おめぇんとこの学校はいったいどうなってんだよ?」
やれやれまたか……。とカイは困り果てる。
どうやらこの教師も、うちの学校に苦情があるらしい。
「あの? いったいうちの学校が何をやらかしたんですか?」
「おめぇんとこの金髪のヨーヨーの上手い可愛い女の子、もうすっげぇ可愛くてナンパしたんだが……。あれ男じゃねぇか!!」
「あんたらの苦情それしかないんかい!!」
どうやらカイの知る苦情の中で最も案件の多いやつだった。
もうどうせなら退学にしてしまおうかと思うくらい、とにかくその少年は可憐なのだという。
「この俺としたことが、男子生徒を口説いたとなれば学校の連中に顔向けできねぇ。どうしてくれんだよ!」
「いや知らないですよ! 間違えたあんたたちが悪いんでしょ!?」
「とにかくだ。てめぇんとこの学校はなんでも悪評ばかり聞く。別の学校の教師だが黙って見てられねぇ。特にあんな可愛い女の子を男だなんて言わせてる外道の奴らはよ!!」
「なんか現実を信じられなくて言ってることめちゃくちゃ! 言っておきますが彼は立派な男子生徒ですからね!!」
その教師。その少年が男である事実を付きつけられたのだが、やっぱり今も男だと信じられなくて現実逃避しているようである。
このままではまたいざこざが起きる。どうにか穏便に事を収めたいのだが。
朝もソルが言っていたように、話し合いで解決できることなんかたかが知れているのかもしれない。
実際に、生徒たちとも必死に話をしようとしたがまるで聞いてもらえず。むしろあらぬ噂までひどくさせられている始末。
もう無理なのか。全てを諦めるしかないのだろうか。そうカイがうつろな表情をした時だった。
突如、その教師を横からとび蹴りをかます男が現れた。そう、ソルである。
「ぐほっ!」
「ったく見てられねぇな坊や……」
「ソル!」
驚くカイ。そしてなんということをしてしまったのかと。
これじゃあ学校間で変な争いの火種になってしまう。
そう危惧するカイだが、そこはバッドガイ先生。ぶっきらぼうに解決に乗り出した。
「おいてめぇ。なんだかうちの学校に因縁つけようとしてるが。そもそも女目的でふっかけたのはテメェらだろうが」
「うぐっ。いやまぁ確かにそうだが……」
「いいか。あのガキの性別なんざ知ったこっちゃねぇが。要は竿がついてるかついていないかの話でしかねぇ。つまるところ魚釣りと何ら変わりねぇ」
「なんかこいつの言ってること意味わかんないんですけど!!」
ソルは何とも上手いんだか訳わからないんだか理解しがたい例えを強引にふっていく。
「いやしかし。ありゃ一見しただけじゃ見分けつかねぇだろ? そこんとこはどうなんだよ?」
そう教師は尋ねるが、どうなんだよと言われてもギルティギア側は答えるのに苦労する問題である。
そんな質問にソルは、やっぱり理論的ではなく豪快な言い回しでこう言った。
「だから言ってんだろうが。あいつは正真正銘男だ。だがそれでいい、もうそれでいいだろうがめんどくせぇ」
「あぁもうこいつ全部投げ出したよ……」
「……そうかもな。あいつは男だからいいのかもな」
「納得しちゃったよ!!」
ソルの説得? が上手くいったのかはわからないが、その教師は満足してカグツチ市に帰って行った。
結局、真面目に事を成そうとするカイよりも、豪快なやり方のソルの方が上手くいってしまう。
カイはなんとなく気にいらない顔をするが、それがソルの良い所なのであることは長い付き合いの中で理解している。
深く考えない、その場その時のやり方で、なればなるような気持ちで問題に向かっていく。
その中でけして諦めないこと。彼は諦めるという言葉が誰よりも嫌いだった。
そうだった。ソル・バッドガイという男はそういう男だった。カイは嫉妬が混じりながら、小さくソルに尊敬心を抱いた。
「どうした? 顔がにやけてるぞ」
「ふふっ。やはりお前には敵わないな」
「そうか。せっかくだ。一緒に中華屋の麻婆豆腐を食べに行くか。無論テメェのおごりだ」
「って、それ食事誘う意味あるのか!?」
こうして、今日も一つ、ギルティギア高校の問題は解決された……のであろうか。
――ちなみに余談であるが、シンが小学校に入学してからの一幕。
「オヤジ! 小学校ってエキサイティングな場所だよな!? ラムってやつが笑わなくてハイな毎日でスパーキングだぜ!!」
「あぁそうだな。てかまずてめぇは九九から覚えてこい……」
カイの息子、シンが良い小学校に入れたかは誰も知らない。