3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~ 作:トッシー00
季節は2月半ば。
春が近づくこの季節、ブレイブルー学園は今日も忙しい。
そんな中で、ラグナはレイチェル校長に呼び出される。
「呼び出しって、どうしたんだよ校長」
ラグナの表情は苦い。それもそのはず、レイチェル校長がラグナを呼び出すということは、またろくでもない無茶振りか、雑用等を押し付けられるに決まっているからである。
仕事は少ないに限る。早く終わらせて早々と家に帰りたいラグナ。そんなラグナに、レイチェル校長は口を開いた。
「実は明日、御剣機関高等学校が連携しているソーシャルゲームを開発・販売している会社のクリエイターの人がうちの学校に商品の説明にくるらしいのよ。最近はeスポーツなどの普及もあって、そういう方面に進みたいって学生も多くて。そのために企業説明会もかねてうちの学校に説明をしに伺いたいのだそうよ」
レイチェル校長はそうラグナに切り出した。
御剣機関高等学校は、ブレイブルー学園とかねてから親交のある別地域の高校。
学校同士の学生教育プログラムのやり取り、イベントやオンライン授業など多岐にわたる連携を行っており、互いの学校通し縁も深い間柄なのである。
「ふーん。んで? 俺になんか関係あるわけ?」
「正直私げーむとか全く詳しくないのよ。だから家でゲームばかりやって引きこもってそうなあなたが代わりに対応して頂戴」
それを聞いて、ラグナはうわーでたよ…と濁った表情を浮かべた。
毎度のことながら急になっての仕事の無茶振り、押しつけである。
しかも別に口に出さなくても良いいらない偏見も付随しての物言い、当然ラグナは断ろうとする。
「なんで俺がそんなめんどくさいことを。しかも明日とか話が毎度毎度急なんだよ。てか家でゲームばかりやって引きこもってるってなんだよ? 俺はそんなつまらない人生送ってねえよ」
「そうかしら? 結婚願望もない、給料の大半はパチンコだの競馬だのにつぎ込むような一般男性の悪い例を見せつけているようなあなたが。どうせそのげーむとやらにも金をつぎ込んでるのでしょう?」
相変わらずの一を言ったら百で帰ってくるような校長の容赦ない物言いに、ラグナも気分を害する。
そんな校長に対し、ラグナは一部否定するようにこう返した。
「はん! ぶっちゃけパチンコ等は否定しきれないところはあるが……」
博打癖に対しては素直に認めるラグナであった。
「意外かもしれねぇが。俺、ソーシャルゲームは一切手を付けてねえんだよなぁ~」
その言葉を聞いて、レイチェルはきょとんとした表情を見せた。
そう、意外なことにラグナはソーシャルゲームをやらない。一応ゲーム自体は趣味の一つではあるが、この男……根っからのコンシューマー派の人間である。
ラグナ曰く、コンシューマーゲームはゲーム機とソフトを用意すればある程度楽しめる作りになっているのに対し、ソーシャルゲームは基本無料と銘打ってはいるがそこから金をかけなければ細部まで楽しむことができない、という作りが嫌いらしい。
つまり、ゲームに対して課金をするという考えが嫌いなのである。
「いつサービス終了するかもわからないものに対して、強いキャラが実装されるたびに時間をかけて貯めたアイテムを使ってガチャを引き、出なかったらコンビニに行って大金叩いてカードを買ってガチャを引き、目当てのキャラが当たったら来月にはそれより強いキャラ出てまた金かける。ぶっちゃけ俺にはそれの何が楽しいんだか理解できねぇ。それに俺としては目玉のキャラが当たったらツ〇ッターとかで「〇〇が出ました!」ってツイートするあれよ。あのツイート見るたびにぶっちゃけどうでもいいわ! って腹立つんだわマジで」
とまあ、ラグナらしくないと思うかはさておき傍から聞けば結構まじめな内容のことを熱弁するラグナなのであった。ちなみに後半のツ〇ッターうんぬんのくだりは最近作者のリアル友人が実際に食事の席で話していた内容である。
要約すると、ラグナはソーシャルゲームが大嫌いなのである。なので今回の案件はラグナ向きではないということをレイチェルに言っているのである。そんなラグナに対してレイチェル校長はというと。
「ふーん。パチンコには金を使うのに?」
「ぐっ……」
校長からしてみれば、ソーシャルゲームの課金もパチンコへの投資も大差ないものに感じている。ラグナ自身もそこら辺のことに対しては反論しきれないようである。
「でも困ったわね。御剣機関の頼みは極力聞いてあげたいのよ」
「別にココノエ先生とかに頼めばいいだろ。あいつの方がそういう案件向いているだろうに」
ラグナは今回の仕事に対しココノエを推薦する。というかうまいこと別の誰かに押し付けようとする。
その提案に対し、レイチェル校長は己自身の考えをラグナに口にした。
「彼女では先方の作った作品大してあいまいな感想しか述べないと思うけど。だって自分が作った作品が他より優れていると心から自負しているのでしょう彼女」
その考えを聞いて、ラグナはつい納得してしまった。
ココノエはモノづくりに対して優れすぎており、ほかのものと比べるということをしないのである。
そして校長は、今回の仕事をラグナに振った理由みたいなものを口にした。
「私としては。考えが庶民的で、作品に対して一般的にたらたらとSNSとかでとりあえずいちゃもんをつけることからやりそうな、普通に他の物を素直に褒めるということをしない捻くれた考えをしている。愚鈍で家畜で貧乏だけど金遣いの荒い、衣食住より趣味にお金を使いような男で、機嫌が悪いときに他人がうまくいっていることに対してとりあえず否定的なことを口にするような一派庶民みたいな人に先方の作品を評価してもらおうと思っただけなのだけれど……」
「なんかめちゃくちゃ悪口言われているだけな気がするんだけどぉぉぉ!? しかも人に仕事頼む態度じゃないよねそれ!?」
相変わらず流れるようにラグナの悪口が出てくる校長。
当然そんな人が適任と思ってのことではなく、とりあえずラグナをからかいたいのとめんどくさいことは一般庶民のラグナにやらせとけばいいやと常日頃校長が思っているだけである。
当然そんなことを言われておいてはいわかりましたとラグナが首を縦に振るわけはなく、そんなラグナに対し校長はというと。
「なるほど上司の指示に耳を貸さないってわけ? なら給料査定に響くことも覚悟の上ってことね?」
「なっ!? 校長てめぇ卑怯だぞ!?」
校長の言うことを聞けなければ減俸。要はそういうことである。
ラグナにとって給料日は生活における生命線。給料が減ると生活はもちろん先ほどの趣味に対する投資もままならない。
「それでラグナ? 私の言うことは聞けるのかしら?」
「てめぇ……。近いうち労基にかけこんでやる……」
ラグナはそう吐き捨てて、泣く泣く首を縦に振るのだった。
結局その日のうちに資料を作成、プレゼンテーションのための部屋づくりと夜中まで残業。御剣機関のゲーム会社の方を招き入れる準備を行う。
そして翌日、ラグナは数時間しか寝ていない体で学校へと出勤する。
「……なぜ我も同伴せねばならんのだラグナ先生よ」
そこにはラグナだけでなく、半分付き合わされたハクメン先生も一緒にいた。
ラグナがハクメン先生を選定したのには、ちゃんと理由があるとのこと。
「いや、ぶっちゃけ俺ソシャゲはやってないわけだし。そんな知識のない奴が一人で文句垂れてばかりじゃ先方に失礼だろ? だから実際に趣味でソシャゲをやっている人が一緒にいてくれたら参考になるだろ」
ラグナはそういった理由でハクメン先生を巻き込んだのである。
ハクメン先生はブレイブルー学園の古株、年季が入っている教師でソシャゲなどをするイメージはないのだが……。
「ソシャゲが趣味って。パ〇ドラのことか?」
そう、ハクメン先生の趣味の一つがパ〇ドラである。
休日はトレーニングかレンタルビデオ屋で映画を借りて家で見るのが主な生活スタイルであったが、数年前から生徒とのコミュニケーションツールとして兼脳トレの一環としてパ〇ドラを始めたとのこと。
当然課金などは一切しない硬派な無課金。だが作品へのリスペクト精神は忘れておらず、グッズを数点買ってはいるとのこと。
ハクメン先生曰く、トラのようなドラゴンのマスコットがお気に入りらしい。
「そのパ〇ドラの知識を生かして、俺をサポートしてほしい」
「知識ってほどでもないし、ただ趣味でやっていることだぞ? 最近は裏修羅の幻界などをクリアした程度だ」
ラグナからすれば裏修羅がどういうものかわからないが、ハクメン先生はそれなりの高難度はクリアしてきているらしい。
といったような話をしていると、御剣機関の人が学校内へとやってきた。
見た限り、ノエルたちと変わらない歳くらいの薄い金の短い髪の少女が、なにやら白くて丸い物体を持ってラグナたちの方へと向かってくる。
「初めましてラグナ先生。ハクメン先生。私はシエル・サルファーと言います。こちらはわが社のサポートロボットのアストロラーベです」
そう丁寧に挨拶をするシエルという少女。アストロラーベ、通称:ラーベ はふよふよと宙を浮かんでいる。
ラグナとハクメン先生も挨拶を返す。
「どうも。ブレイブルー学園の教師のラグナ・ザ・ブラッドエッジです」
「我が名はハクメン先生です」
お互いに名刺交換を行い。ラグナはシエルに問う。
「えっと。クリエイターって聞いてたんだが。あんたまだ学生じゃ……」
「はい、私はまだ学生です。ですが学生として何点か試作品を作ってはあらゆる企業へと作品を提出し、卒業後は会社への就職も約束されています」
「へ、へぇ~。うちのノエルたちとはレベルが違うなぁ~」
御剣機関高等学校はブレイブルー学園に比べ専門知識に特化した教育プログラムを組み込まれており、専門知識を多数備えた学生が多く在籍している。
未来のエンジニアやクリエイターの卵を多数抱えており、学校に在籍している中で内定をもらっている生徒などごく普通のこととのこと。
「と、挨拶はそれくらいにして。実は会社より今回新作のゲームをリリースすることになりまして。その作品への感想を踏まえたうえで、そちらの学校の生徒さんにもうちの会社への就職の案内などをさせていただきたく」
「まあ堅苦しいのは無しにしようぜシエルさんよ」
ラグナはあまり堅苦しい場の空気は好きではない。なるべく楽に、ライクに話し合いをしたいと考えている。
奥からハクメン先生がお茶と菓子折りを持ってきたところで、話は本題へ。
そう、今回プレゼンするゲームの話である。
「今回我々が開発した新作のゲーム。【ブレイブルー:オルタナティブダークウォー】です」
そうスマホ端末を数個用意し、シエルはゲームを起動した。
ブレイブルー:オルタナティブダークウォーは、2月に配信を開始したばかりのスマホアプリ、ソーシャルゲームである。
あの一世を風靡した格闘ゲームの革命児、ブレイブルーシリーズの流れを汲んだ完全新作、ストーリー特化型チェーンコンボ×ノベルRPGである。
画面からは作品ファンをうならせる世界観の説明と、懐かしのBGMが花を添える。
ラグナとハクメン先生は、ゲームを見る、そして触ってみる。
「ブレイブルーかぁ。確かシリーズが5年前くらいに終わった格ゲーだっけか?」
「最近だとペル〇ナ4とかとコラボしたシリーズが展開されているやつだな。ちなみにパ〇ドラもペル〇ナ4とコラボしたぞ」
ラグナもハクメン先生も、ブレイブルーという作品自体は聞いたことがあるらしい。
「しかしどうして数年前にシリーズが終わったのに今度はソシャゲで出したんだ?」
「今でも根強いファンがいるとのことで、ストーリーもまだ幅を広げることができるとのことだとかで」
シエルはあくまで作品の紹介に来ているだけなので、詳しいことはわからないとのこと。
長い年月をかけて封を切られた作品の新作。
とまあ話を聞いただけではゲームの詳細はわからないので、とりあえずチュートリアルをプレイしてみることに。
数分プレイして、ラグナはため息をついて端末を机に置いてゲームをやめた。
「ラグナ先生。どうされました?」
シエルはゲームをやめたラグナにそう尋ねると。
ラグナは厳しい表情でシエルを目やり、現状のゲームに対する率直な感想を述べる。
「ぶっちゃけあんたらのゲームの悪口を言うわけじゃないんだが。これあれだよな? FG〇だよな?」
ラグナは他作品のゲームを例えに出してゲームを酷評。
ラグナの言うF〇Oとは、コマンド選択式のターン性RPGにおいて、ソーシャルゲーム界隈の中でもトップクラスの売り上げを記録しているスマホアプリである。
そしてブレイブルーオルタナティブダークウォー(以下BBDW)もコマンド選択をするタイプのゲームであった。
正直この手のスマホゲームは今のソーシャルゲームにおいては数多く見られるのである。特に特定の作品を題材としたゲームなら大体はそのような作りになるらしい。ただどうしてソシャゲをやらないラグナがそんなことを知っているのかはさておき。
「……いや、確かにF〇Oによく似てはいると思いますが」
「似てるっちゅうかこれまんまFG〇だよこれ。作品を題材にしてコマンド選択式のゲームにしたら真っ先にFG〇が浮かんでしまうのはしょうがないんだよ。ナ〇イドさんが動画でそう言ってたんだよ」
「すいませんあの、文字隠す場所配慮してもらえませんか……。てか文句の言い方が雑、ほかの人の酷評そのままだし……」
ラグナのセリフ欄では某ゲームは全く名称が隠れていないようなもの。
しかもラグナは今日のために某動画サイトでスマホアプリの紹介を行っているユーザーの動画を急ピッチで見漁ったらしく、評価も酷評もそれに沿った全くあてにならない発言ばかりである。
こんなことでは正直作品の評価など進まないため、ハクメン先生が割って入る。
「まあまあラグナ先生よ。言いたいことはわかるがほかのゲームのパクリで話を終わらせては評価のしようもないだろう」
「パクリって言わないでインスパイアって言って……」
ハクメン先生もさりげなく容赦ないことを言うのであった。
とまあ酷評はそれくらいにして、ハクメン先生は作品の良い部分にも触れようとする。
「そもそもキャラゲーに必要なのはゲーム性よりもキャラの魅力をいかにゲーム内に落とし込んでいるか、そして推しキャラを育てることに真価があるだろう。このゲームは格闘ゲーム内には登場していなかったキャラも多数出てるようだ。資料には外伝小説のキャラもCV付きで実装されているとのことだ。これには作品ファンも目を光らせることだろう」
「あ、ありがとうございますハクメン先生」
「んだよそれらしいこと言いやがって」
ハクメン先生の芯としたまっとうな意見にシエルも多少安堵する。ラグナはあまり快く思っていなようだが。
続けてハクメン先生は己の持論を述べるのであった。
「以前まで声がついていなかったものに声がつくという現象はファンが喜ぶものだ。私もパ〇ドラがアニメになったときに使用していたキャラクターが声付きでしゃべっているのをテレビで見て思うものがあった」
「あの……。なるべくほかの作品の名前をださないでほしいんですが。あとさっきから比較対象の規模がでかい……」
「それにパ〇ドラだってずっとトップを走っていたわけではない。そもそも操作が難しいと気軽にやっていたユーザーが高難度に勝てなくてゲームをやめてしまう場面も多く見てきた。いいキャラが手に入っても素材を手に入れるためのクエストがクリアできないなどの時期もあった。曲芸師というキャラが実装されたころはそのキャラが強すぎて多数のユーザーが阿鼻叫喚したと聞く」
「あのすいません、さっきからパ〇ドラの話しかしてませんよねあなた」
シエルはハクメン先生にパ〇ドラの話をいったんやめてもらうよう伝えるが、ハクメン先生のパ〇ドラ話は止まることを知らず。
「だがパ〇ドラは定期的に石を配布してくれるし。数年ぶりにゲームをやってみたらあれだけ手に入らなかった進化アイテムがたくさん配られて驚いたり(※作者の実体験)、近年だと数千円分の石を大盤振る舞いしたり、限定キャラが多数無料で手に入る超絶スーパーゴッドフェスなんていうものまで開催する。伊達に8年も9年もやっていないものだ。ユーザーの需要と供給をよく理解している」
「すげぇなパ〇ドラ。俺もちょっとやってみるかな」
「ちょっとちょっとすいませんすいませんすいません」
ラグナとハクメン先生がパ〇ドラの話で盛り上がり始めてしまったため、シエルが急いで話題をせき止める。
「このままだとパ〇ドラの評判しか上がらないんですが。BBDWの話してもらっていいですか?」
「いいだろ別にしなくても。する必要ねえだろ。ああいうゲームは作品やキャラの知名度があって成り立つもんだろ? シリーズが終わった格闘ゲームが5年も6年も経ってから有名ゲームのシステム借りてスマホゲームとして出したところで長くは続かねぇよ。ってナ〇イドさんならそう言うね」
「いやすっごいネガキャン!!」
正直ラグナ自身ゲームをやる前からそういうゲームが長続きするはずがないと偏見を抱いており、大した評価などするつもりは毛頭なかったようである。
だがこのままでは御剣機関に悪い印象を与えた状態で帰ってしまうため、これでは校長に文句を言われてしまうため。ラグナはゲームを次の段階へと進めた。
「まああれだあれだ。ゲーム性の話をしてもしゃあない。ソシャゲはガチャが命。リセマラとかの配慮がされていればユーザーもゲームを始めやすいだろう」
話はガチャの話題へ。
シエルはそこは抜かりないと自信をもって説明を始める。
「よくぞ言ってくれました。このゲームは最高レアが当たるガチャを無料で何度も納得がいくまで引き直すことができます」
「ほ~うなかなかやるじゃねえか。それなら新規ユーザーもゲームを始めやすいな」
ラグナもその仕様に関しては素直に絶賛をした。
そしていざガチャ画面を開くと。
「まああれだろう。ブレイブルーのゲームなわけだし、ラグナとジンを選べるみたいな仕様になってんだろう」
そう思っていたのだが、ガチャの画面を見ると。
最高レア度のキャラにはジンの名前と。もう一人、ツヴァイという魔法使いのキャラの名前があった。
「ツヴァイって誰? ラグナ(俺)じゃねえの?」
「ソシャゲは女キャラが命ですから、キャラクターにはジン・キサラギとXBLAZEのツヴァイを選定させていただきました。」
チュートリアルガチャの目玉が自分ではないことに対し、ラグナの表情が曇る。
だがラグナは考えた。ラグナは主人公だからきっと性能が強く設定されており、そう簡単には手に入らない仕様になっているのだと。
とりあえずラグナはツヴァイを、ハクメン先生はジンを手に入れてスタートをする。
それに加え、シエルからさらにお得な内容が説明される。
「さらに今ならガチャ10連分の蒼の結晶がもらえますので、もう10連ガチャでSSレアキャラを狙うこともできますよ」
「ほーうそれは太っ腹だな。ラグナ先生よ、少しはやる気が出てきたか?」
ハクメン先生がラグナにそう声をかけると。
ラグナは、またしても端末を床に置いて、プレイをやめてしまった。
「……あの、また何か?」
シエルが嫌な予感を抱きつつ、ラグナにそう尋ねると。
ラグナはものすごくすねたような態度でこう答えた。
「……いないんだよ」
「え?」
「俺が! 主人公のラグナが初期実装されてないの!!」
そう、BBDWには現段階で、本編の主人公のラグナが実装されていなかったのである。
これにはラグナ本人が全力で不服を申し立てる。
「なんでノエルとジンがSSレアで実装されてんのに! 主人公の俺がいないの!?」
「いや、そう言われましても……」
シエルに迫るラグナ。
正直そんなことを言われてもシエルはどう返してよいかわからなかった。
BBDWの主人公は別にいるわけだし、メインキャラクターはシエル・サルファーとなっている。
つまりラグナは本編の主人公ということには間違いないのだが、このゲームからしたら特段特別なキャラというわけではないようである。
「にしたっておかしいだろ!! FG〇だってアルトリアさんが最初から最高レアで実装されてんだぜ!? アルトリアさんが最初から実装されてんのにラグナさんが最初からいないのはおかしいだろ!!」
「お前自分をフェ〇トでいうアルトリアだと思っているのか?」
ハクメン先生があきれ顔でラグナに問う。
そう、主人公と作品の看板は違うものである。一般的にはラグナよりも多分ではあるがブレイブルーといえばノエルというイメージが大きい。実際アプリのアイコンもノエルである。
なので多分フェ〇トでいうアルトリアは、ブレイブルーでいうノエルということになるのだろう。
「あのナイチチ調子に乗りやがって!」
「ちなみに聞いた話だがフェ〇トの主人公は最近F〇Oに実装されたらしい。サービスが始まってから5年ほど経ってのことだ」
「ラグナ実装されるまで5年かかんの!?」
ハクメン先生の言う理論通りだと、SSレアラグナが実装されるまで5年かかることになる。まあ多分年内中には実装されるとは思うが。
その後、数時間ほどストーリーやキャラ育成などをプレイし、気が付けば夕方。
シエルからすればゲームを持ってきたら心無いことを散々と浴びせられただけの、損な結果となってしまった。
だがストーリーの出来はあの家庭用ブレイブルーから続くものとなっており、深みのあるストーリーとなっている。ラグナやハクメン先生も話の後半は結構のめりこんでプレイしていたという。
「アナザーダークマイ……。一体何者なんだ? てかなんだかんだストーリー気になるなぁ」
「なんだかんだ、お気に召していただいたようでなによりです」
「元から格ゲーとは思えないほど親密で濃厚な、大ボリュームのストーリーモードがあったからな。アニメ化もされラジオも大好評の人気作品だ。ちなみにアプリをプレイして作品の内容が気になったやつ、ついでに本編も興味があるなってやつは、【ブレイブルーセントラルフィクションスペシャルエディション】が絶賛発売中だ! ニンテンドースイッチでも遊べるぜ!!」
「ちゃっかり宣伝を忘れないんだなこいつは……」
ラグナはしっかりと本編を宣伝。ハクメン先生はラグナの抜け目の無さと移り変わりの速さに半場あきれる。
こうして、シエルは御剣機関へと帰っていった。満足いく評価はされなかったかもしれないが、自分の会社のゲームを楽しそうに遊んでくれたラグナやハクメン先生に、多少感謝をしていたのかもしれない。
そしてラグナは仕事が終わるや否や、校長へと報告氏に向かう。
「校長。案件終わったぞ~。約束通り給料上げろよ~」
「別に私給料上げるとは言ってないわよ……」
ラグナは自分勝手に横暴にそう言った。
だがなんだかんだ今回の案件もこなしてくれたラグナに、レイチェル校長はらしくなく答える。
「まあでも、今回は少しくらい粗品をあげてもよろしくてよ」
「お、マジかよ太っ腹じゃねえかよ校長」
そう言って、レイチェル校長は青いリンゴのカード1500円分をラグナに手渡しこう言った。
「これでゲームに課金して、SSレアレイチェルを当ててね。実装されてもいない愚鈍なラグナ」
「いらねぇーーー!!」
その後ラグナがBBDWをプレイしているかどうかはまた別の話である。