3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~   作:トッシー00

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第五話です。


第5話:僕じゃない

 とある普通の、至って変わらぬ平日の朝。

 

「……う……ん」

 

 ラグナはいつもの時間に目を覚ます。

 そしていつものように腰をひねりストレッチ。

 時計を見て、朝が来てしまったと頭の中で文句を言いながら、寝ているベッドから降りる。

 

「もう朝かよ、ったく支度して早く出勤しねぇとなぁ」

 

 そんな愚痴をこぼし、周りを見渡す。

 と、そこでラグナはあることに気づいた。

 ベッドから降りて地面を踏むと、ぐしゃりと段ボールの残骸を踏んでしまったのだ。

 その感触でラグナの意識が完全に冴え、その目に映り込んだ光景。

 それは、綺麗好きのラグナの部屋にしては少し――というかかなり散らかった部屋の光景。

 

「あれ? なんで俺の部屋こんなに散らかってんだ?」

 

 ラグナは休みの日は毎日朝は掃除から始めている。

 なのに地面には通販で届いた段ボールの残骸や頼んだピザの箱が散らばっている。

 それら大量のごみのせいで部屋がやたらと狭い。それにラグナが疑問を抱いた。

 

「俺の部屋こんなに狭くねぇぞ……」

 

 ひょっとしたらまだ夢でも見ているのだろうか。

 そう思いながらもう一つ、ラグナが感じた違和感。

 体が軽い。そしてなにか変な感触がある。

 それは男であるラグナには感じることのない感触だった。

 いつもの自分の体ではないような変な感覚。そんなものを抱きながらとりあえず歩きだす。

 とりあえず顔を洗おうと、部屋の隅っこにある洗面所へと移動する。

 そしてそこにある鏡を見たその時……ラグナの感じた違和感と異変が現実のものとなった。

 

「……え?」

 

 その鏡に映っていたのは、ラグナではなくノエルであった。

 普通鏡と言えば自分を映し出すものである。

 なのに今鏡に映っているのは自分ではなくノエルの顔。

 

「なんで鏡にノエルが写ってるんだ? いやいやおかしいだろ、俺はノエルじゃなくて"ラグナ"先生だ」

 

 そう自分言い聞かし、再度部屋に戻り周りを見渡すと。

 とりあえず先ほどの踏んだ段ボールの残骸を手に取る。

 そしてそこに書いてある宛名欄に目を移す。そこにははっきりと『ノエル・ヴァーミリオン様』と書いてあるではないか。

 

(……これって……まさか?)

 

 ※その頃のラグナ家

 

「な……なんで私がラグナ先生になってるの? 私がラグナでラグナが私、ラグナが私で私がラグ(ry」

 

 ラグナの家にいるラグナの体をした何者かも、その異変に気づいている真っ最中であった。

 そう、二人は神のいたずらなのか体が入れ替わってしまったのだ。

 つまり現在のノエルはラグナであり、ラグナがノエルなのである。

 文字で書くとややこしいのだが、そういうことである。

 

-----------------------

 

 ※この話ではラグナとノエルは入れ替わっています。

 

(いったい何がおこった……なんで俺がノエルの姿になってんだ? 俺がこいつで、こいつが俺で……)

 

 そんなことを思っていると、外から八時を知らせる鐘が鳴り響く。

 その鐘の音を聞いてラグナが時計を見ると午前八時、早くいかないと学校に遅刻してしまう。

 

「やっべもうこんな時間だ!? くそぉ、もう少し時間があったら少しは掃除をしてやりてぇところなのにっ!!」

 

 などと綺麗好きの血が騒ぎながら、仕方なくラグナは学校を出る。

 無論ノエルの体で、今日の自分はノエルである。

 学校に向かう最中も何度も頭でそう意識した。

 

「……ノエルの体か……ぶっ! へ……変な想像しちまった!! あのナイチチの体なのに!!」

 

 

 学校にて……

 

「まずは俺を見つけないとな……」

「おうおはようノエルよ」

 

 学校について、とりあえずラグナはラグナを見つけることに専念した。

 正確には、ラグナになっているノエルである。

 そんな最中、向かいからやってきたハクメン先生に挨拶を交わされる。

 

「ああハクメン先生おはよう」

「……なんかいつもより挨拶が雑じゃないか?」

 

 そうハクメン先生に指摘されて、ラグナはハッとする。

 今のラグナはノエルになっている。そのまま対応してると何かと厄介になるのである。

 普通ならばノエルは「おはようございます」と言うところ。たまに口調が荒れることがあるが大体ノエルは敬語で話す。

 

「あ……いえいえそんなことはありませんよ、なはっはっはっはっはっはっは!」

「そうか、それならいいのだが……」

「そんなことよりハクメン先生、ラグナ先生はもう学校に来て……いるんですか?」

 

 ラグナはめんどくさいなぁと思いながらも口調をノエルに合わせて質問する。

 言っている内容も自分がどこにいるのかというヘンテコなもの。

 そう尋ねられたハクメン先生は、腕を組みながら答えた。

 

「それがな、珍しくまだ学校に来ていないのだ。あいつが遅刻するなんて珍しい」

「ち……遅刻!?」

 

 ラグナはそれを聞いて表情をゆがめた。

 ノエルになったラグナはいつものように定時に学校へやってきたのだが、遅刻魔のノエルがラグナになってしまったため今日ラグナは遅刻をしてしまっている。

 当然社会人として遅刻などご法度。ラグナの体になって戸惑っていたのはわかるのだがラグナ自身は迷惑な話だった。

 

「あの女ぁ! 俺の評価が下がったらどうするんだよナイチチがーーー!!」

「の……ノエルどうした急に?」

 

 ラグナはこのことに憤慨する。

 だがハクメンからすると、ノエルが自分自身のことに腹を立てナイチチと侮辱しているように見える

 ハクメンに気を使われ、ラグナはこの時改めて自分のやっている事のおかしさに気づく。

 

「しまっ……いえいえなんでもないですわ! さよ~なら~!!」

「な~んかいつもと様子がおかしいような……」

 

 そうなんとか誤魔化し、ラグナはノエルのいるクラス、3年B組へと向かっていった。

 この時ハクメンに事情を話してもよかったのだが、そう簡単には信じてくれないのと、仮に信じてもらっても後々からかわれるのが嫌なので明かすことはしなかった。

 教室についてラグナは一息つく。

 

「ったく、こうなったら俺の授業の時にあいつに接触するしかないな……」

「おはようのえるん~」

 

 席に着くと、友達のマコトが声をかけてきた。

 当然マコトからすればノエルの意識がラグナになっていることなんか知る由もない。

 

「ああ、マコトか……おはよう」

「どうしたののえるん? なんかいつもより顔が険しくない? というか怒ってない?」

「そんなことねえよ」

 

 ラグナは相手がアホのマコトなのをいいことにわざわざ口調を変えることはしなかった。

 いたって普通に受け流す。適当にあしらっておけばマコトなら勝手に自己解決してくれるからである。

 

「な~んか、頼もしいっていうか……。まぁいっか」

「(脳筋で助かる……)そうそう、俺はノエルです。ノエルですよぉ~」

 

 そうやさぐれながら答えると、奥からツバキもやってきた。

 ここまでなんとかノエルとしてやりすごしてきたラグナ。変なボロを出さなければばれることはないだろうとラグナは自信を持つ。

 問題はノエルの方だ。あっちの方は常にボロを出しまくるはず。放置しておくと大変なことになりかねない。

 後に体が元に戻った時言い訳が大変だなぁとラグナは頭を抱えた。なんとか早めにノエルに接触しなければならない。

 とか思っていた時、マコトがツバキとこんなやり取りをしていた。

 

「そういや今日って"午前授業"だよね~」

「そうよ、今日は理科と英語と体育で終わりよ」

 

 そのやり取りを聞いて、ラグナは「ん?」と二人に目をやった。

 

「は? ちょっとまって今なんって言ったの?」

 

 そしてラグナはこう二人に聞く。

 するとツバキとマコトはいたって普通に、変わりなくこう答えた。

 

「だから、今日は理科と英語と体育の午前授業よ、どうしたの?」

「放課後一緒に買い物行こうっていったじゃ~ん」

「じゃあ俺の授業ねえじゃねえかーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「「!?」」

 

 そう、ラグナが顧問をしているのは家庭科の授業。おまけに今日は午前授業のため授業が終われば強制下校である。

 運が悪すぎるラグナ、授業の都合上ラグナとなったノエルに会うことはできそうにないのである。

 そしてなんやかんやで理科と英語が終了……。授業間の休み時間では時間が足りなさすぎる。

 

(ったく早く終わってくれよ、どうせ明日になったら元に戻ってるってパターンでしょ?)

 

 もうラグナからすればそんなお決まりの奇跡に頼るほかはなかった。

 今日一日は我慢しよう。夜寝る時とか少し悶えるとか変な行為に走るかもしれないとかあるが今日一日なら我慢できると覚悟を決めた。

 要は気にしなければいいのである。ノエルとしての一日をこなしながら、結局自分はラグナであることを意識していればいいのである。

 そんなことで解決していると、マコトに声をかけられる。

 

「のえるん、次体育だよ。早く着替えないと遅刻するよ~」

「ああ、わかった……」

 

 次は体育、ラグナは体操服に着替えるべく女子更衣室へと向かう。

 その向かう最中はまだ、ラグナはなんの違和感を抱くことはなかった。

 徐々に体育館の裏、女子更衣室へと近づいて行く。

 そして女子更衣室に入った時、ラグナは初めて自分がノエルであることの採算がやってきたのであった。

 

(……あれ?)

「どうしたのよノエル?」

(いや……だって……)

「なにキョトンとしてんの? 今日なんか変だよのえるん?」

 

 そうツバキとマコトに心配されるも、ラグナからしてみれば変もくそもありはしなかった。

 今自分の周りでは年頃の女子高生が生着替えをしているのである。

 

(今俺の目の前で女生徒が着替えてる。あのさ、俺だって一応"男"だ。今の外見は女だが、中身は"男"なんだが……)

 

 ラグナの考えている通り、今の外見がノエルだからこそ許されるものであるが、中身は男のラグナ。

 当然男性が抱く欲というか、そういった女性に対する意識は男性のそれのままである。

 そこはノエルになった所で考え方や感じ方が女性になるわけではない。

 そう、体が女になっているとはいえ中身は立派な男。

 女子の着替えなど間近で見れるはずもない……。

 

「あ、また胸がでかくなったかも☆」

「モルスァァァァ!!」

「ちょちょちょ、どうしたののえるん!?」

 

 そんなラグナの隣で何も知らないマコトが服を脱ぐ。

 その時ラグナの目に飛んできたのは大きな乳。あの南半球の全容である。

 これにはたまらずラグナは鼻血を出す。無論ノエルの体で……である。

 

「い……いやいやいやいやなんでもない!なんでもないからーー!!」

 

 マコトの心配をなんとかかわし誤魔化すラグナ。

 なるべく見ないようにしようと、ラグナは自分の服も脱ぐ。

 当然ノエルの体である。だが不思議かラグナは何も感じることはなかった。

 

(ったく勘弁してくれよ本当、こいつの体はまだいいよ、ほとんど"無い"から……)

「のえるん、相変わらず"無い"ね~」

「ああ、まったくだな……」

 

 本来のノエルなら怒るところだが、ラグナは自分じゃないことをいいことにそう受け流す。

 

「あれれ、いつもと反応違くない?」

「気のせいだよったく……」

「ほら、元気出してよ~」

 

 そういってマコトはラグナ(外見はノエル)の胸をもみ始めた。

 

「ちょ!何をする!?」

「よいではないかよいではないか~」

「あ……あぁ! やめろ! やめ……あぁぁぁぁ……」

「こうやってもめば大きくなるかもよ~」

「やめろ! あぁなぜだろう、くやしいけど感じちゃう……あ……あぁぁぁぁ!! ってなにやらすんじゃボケェーーー!!」

 

 ゴチーーン!!

 と、限界に達したラグナが思いっきりマコトの頭にげんこつをかます。

 本来ノエルはそんな攻撃を加えないのだが、意識がラグナなため仕方がない。

 

「いった~い!!」

「はぁ……はぁ……貴重な体験をした……」

「なにバカなことやってんのよ二人とも、早くしなさい」

「は~い、待ってよツバキ~」

「ったくなんなんだよいったい……」

 

 ツバキに怒られ、マコトは半分謝りながら体育館へと向かう。

 ラグナも未だに揉まれた胸の感触を気にしながらマコトについて行く。

 そんな体育の授業、女子の今日の課題はバレーである。

 体育館の敷地の半分を使い、女子生徒がそれぞれ組に分かれて行う。

 ラグナはマコトとツバキと三人でバレーボールをパスで回す。

 のだが、ここでもラグナの男性としての欲を引きだす罠が待ち構えていたのであった。

 

「マコト、パ~ス」

「ツバキ、ト~ス」

(女の体操着やべーって!!)

 

 巨乳のマコトはともかく、ツバキもそこそこ胸がある。

 バレーボールを弾く際に揺れる胸。そして女子の体操服からあふれ出る女子の肉体美。

 ラグナは自分で気にするなと念を入れるがどうしても目が行ってしまう。

 そんな中、ボールはラグナの方へ。

 

「ノエル、ボール行ったわよ~」

「やべっ! うおおおおおおお!! ガントレットハーデスボレー!!」

 

 もはやノエルになっていることなど忘れ、自分の技を使ってしまうラグナ。

 意外なことに使えてしまった。こうしてノエルに貴重な中段択が追加されたのであった。

 

「うおぉ、のえるんすご~い」

「はっ、どんなもんだ!!」

「いやいやおかしいでしょ! それあなたの技じゃないでしょ!!」

 

 マコトは素直に絶賛する中、ツバキはおかしいとばかりラグナにツッコミを入れる。

 

「ラグナ先生から盗み編み出したのよ」

「と……とりあえずボールが遠くまで飛んで行ったわよ」

「あ、私取ってくるよ~」

 

 そういってマコトはボールの方へ走っていく。

 そして投げて渡さず、そのボールを抱えて走ってきた。

 そのでかい胸を揺らしながら。ラグナの方へ一直線に。

 

「たたのむから普通に持って来い!!」

「いっくよーーー!!」

 

 そう言ってマコトはなぜかラグナを押しつぶす。

 そのでかい胸で押しつぶされたラグナは悶絶、そして……。

 

「ぶ……ぶーーーーーーーーーー!!」

「ちょ……大丈夫ノエル!? 先生ーーー! ノエルが鼻血出して倒れましたーーー!!」

 

 ラグナ、ここで限界が来る。

 男としての幸せを感じながら、保健室へと運ばれるラグナ。

 ちなみに保健室では保健室で同じく巨乳のライチ先生がいたため、結果的に保健室でもう一度鼻血を撒き散らすことになってしまったラグナ。

 なんとか出血多量で救急車は免れ、保健室から出て廊下を彷徨い歩く。

 

-----------------------

 

「あぁ、あんなにムラムラしたのは久しぶりだ。快感を通り越して拷問だよ……」

 

 こうなったら一刻も早くノエルを見つけるしかない、そう思い自分の時間割を思い出すラグナ。

 今の自分は自由時間だ。授業中のラグナ(中身はノエル)を見つけ出し、先日の補修の件とか適当に話を作って呼び出せば接触できるだろう。

 

「今日ってなんかあったっけか、2年の国語か……1年の社会だったっけか……」

「兄さーーーん!!」

「ん?」

 

 そうラグナが自分の授業を想いだしている最中。

 突如ジンの声が"家庭科室"から聞こえてきた。

 

「家庭科室からジンの悲鳴……家庭科室……料理……」

 

 もうそこまで単語がそろえば充分だった。

 それらを繋ぎ合わせた先の答えが頭をよぎった時、ラグナの表情が青に染まる。

 

「……まさか!?」

 

 急いでラグナは家庭科室に走って向かう。

 そして扉を開け中を見ると、そこには料理という名の兵器を開発しているラグナ……もといノエルがいた。

 

「兄さん! 今日はいったいどうしたの!?」

「ひぃ~ん、ごめんなさ~い!!」

「兄さんってこんなに料理が下手じゃないはずだよ!まるであの障害じゃないか!!」

(しまったぁ! 今日は3年A組の調理実習の日だったーーーーーーーーーー!!)

 

 時すでに遅し、ノエルはラグナの姿で授業を始めてしまっていた。

 外見がノエルだがラグナの技を使える自分のように、逆もまたしかり。

 外見がラグナだが中身はノエル。ということは当然料理の授業などできるはずがない。

 煙立つ家庭科室、そこに駆け寄る他の教師たち。

 

「おいココノエ、いったい何があった?」

「なんでも今日のラグナ先生は調子悪いみたいで、まるであの"無い"やつみたいに料理で大失敗してしまったらしい……」

「今日も朝遅刻したしな……日頃のストレスか、はたまた病気かなんかだろう……」

 

 と、テイガー、ココノエ、ハクメン先生はそんなラグナの姿を見て色々考えこんでいた。

 当の本人からすればこんな状況を放ってはおけない。

 

「まずいよ、このままじゃ俺の評価がだだ下がりだよ! おいノエル! 今助けに……」

 

 そうラグナが三人の教師の横を通り抜け、ノエルの元へ向かおうとした時。

 刹那の速さでハクメン先生の手がラグナを強く握りしめた。

 

「おい誰だ! はなしやが……」

「貴様、こんなところでなにをやっている?」

「ハクメン先生! 俺はただ、あの現場をなんとかしようと!!」

「お前……それを本気で言っているのか?」

 

 そうココノエに問われ、無我夢中のラグナはこう聞き返した。

 

「ど……どういう意味だココノエ先生?」

「どういう意味も……お前自分を誰だと思っているんだ?」

「誰って俺はラグ……!?」

 

 あまりの絶体絶命の状況下で忘れていた。

 そう、確かに中身はラグナであるが、外見はあの禍々しい料理を作り幾度なく人を地に沈めてきたノエルである。

 ただでさえ料理関係のトラブルにノエルが入り込むとなれば、この学校の崩壊につながる危険性もある。

 他の教師からすればそう思うのも仕方がない。二人が入れ替わっている事実など、他の人からすれば知る由もないのである。

 

「あ、でも……」

「貴様が、あの現場(調理場)に入って、なんとかなるわけないだろ!!」

「奇跡は起きます! 起こして見せます!!」

「だめだ! 貴様はさっさとここから立ち去れ!!」

 

 そういってハクメン先生は、ラグナ(ノエル)を退ける。

 

「……くそ、沈まれ俺の右腕!!」

「誤魔化してもだめだ!!」

 

 ラグナはあの手この手で調理場に入ろうとするのだが、ハクメンに無理やり止められ追い返されてしまうラグナ。

 

「し、信じてくれ!! 俺はラグナだ!! ラグナ先生なんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「あ~! ラグナ先生~!!」

 

 結局その日、ラグナはノエルと接触することはできなかった。

 その後ツバキたちと買い物に出かける時も、夜寝る時も元に戻る奇跡だけを願い続けたラグナ。

 そして次の日、ラグナは目を覚ます。

 

「……ハッ!! ど……どうだ!? 俺は元に戻れているのか!?」

 

 ベッドから起きてすぐさま周りを見渡す。

 足を地面につける。段ボールの感触はない。

 綺麗な自分の部屋。家具もパソコンも自分の物。

 いつも通りの、見慣れた自分の部屋であった。

 

「……元に戻れたのか、俺は」

 

 ラグナは安堵する。

 もしかしたら昨日の出来事は全て夢だったのではないかと、そう思ったりもした。

 色々あったが、こうして自分に戻ることができた。この日の外の天気も、ラグナを祝福するような明るい晴天であった。

 

「さてと、顔洗って学校へ行くか!!」

 

 そう腰を上げ、自分の家の洗面所へ向かうと。

 

「……え?」

 

 鏡を見ると、そこに映っていたのはジンの顔であった。

 これはどういうことだと、ラグナもう一度部屋に戻る。

 すると、もう一つのベッドでラグナが寝ていた。

 

「……あれ?」

「……う……ん?」

 

 と、ラグナの姿をした何者かが目を覚ました。

 

「……まさ……か」

「朝か。さてと学校へ……ん?」

 

 そして、そのラグナがあることに気づく。

 

「こ……これは。この感触は……兄さんの体ハァッ!!」

「やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 こうしてこの一日は、ラグナとジンが入れ替わることになった。

 はたしていつになったら、ラグナは元の体に戻れるのだろうか。その日ははたして来るのだろうか……。

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