3年B組ハーデス先生~ブレイブルー学園パロ~ 作:トッシー00
ブレイブルー学園教員、アマネ・ニシキ。
美女を思わせるような美貌を持ち、女生徒だけでなく男子生徒にもファンを持つカリスマ教師である。
蝶のように舞い蜂のように刺す。時に優しく時に厳しい、内に熱さを秘めた男である。
そんな彼が受け持つ部活が演劇部。受け持つというよりは、彼がこの学校に来て自分で立ち上げた部活である。
アマネは教員でありながら劇団員でもあり、自らが座長を務める『劇団ニシキ』は多数の舞台で講演をし人気を博しているという。
そんなカリスマの彼だが、今のブレイブルー学園の演劇部に対し頭を悩ましていた。
演劇部を立ち上げたは良いものの、入部を希望するのが大抵女子生徒なのである。
具体的には女子が20人、男子が2人とかそんな割合である。
そこでアマネは積極的に男子生徒を勧誘し続けたのだが、そこで一つあらぬ誤解を生んでしまった。
男子生徒が欲しい、美少年が欲しいと言い続けていたために、一部の女子生徒が四つん這いになってアマネを見るようになってしまったのである。
男子生徒が少ない→男子が欲しい→比較的美少年がいい→美少年好き
→┌(┌^o^)┐。
ということで男子部員を集めるのを断念したアマネは、女子だけでもいいからすばらしい劇を作ろう。そう決意をしたのであった。
「やぁよく来てくれたなぁ3人とも」
ブレイブルー学園のとある日。
アマネは3人の女子生徒を演劇部の部室に招待した。
3人の女子生徒とは、マコト、ノエル、ツバキの3人である。
「こんにちはアマネ先生~」
「こ、こんにちは」
「こんにちは」
初めに元気よく挨拶をするマコト。
続いてノエルとツバキも会釈をする。
あまり身近で見ることがないために、改めてアマネの美貌に目を奪われる女子三人組。
下手したら自分たちよりも美人じゃないか、そんな対抗心すら消えうせるほどアマネは美人なのであった。
「それで、あたしたちになんか用ですか~?」
マコトは改めて、アマネに呼ばれた理由を聞くことに。
「実は今、劇の台本を考えていてね。そこで日頃見てて華のある君達を元に台本を書かせてもらおうかなと思ってねぇ」
と、アマネは頼み込むように言った。
アマネは昔から台本はもとより、演出や配置等も全て自分で考えている。
これは座長としての役割もあるが、彼は昔から演出等を考えるのが好きで、いかに自分が作り上げた舞いで人を魅了させられるかを考えている。
「え、あたし達でいいんですかぁ?」
少し嬉しそうにマコトが言うと、アマネはニコリとほほ笑んだ。
「でも、先生確か男子部員を探してたような。あたし達だとさらに女子だらけになりますよ?」
「ま、まぁもう時間もねぇし。女性が多いなら女性を主体に舞いを考えればいいだけだ」
不本意ながらアマネはそう言い、誤魔化すように話を先に進めた
不本意とは言うが、アマネは美少年好きのあっち系ではない。きちんと女性だって好きである。
具体的には、男性8割、女性2割の優先度である。特にショタが好きでロリとぶりっこは大嫌いである。
「というわけでおめぇさん達にも演劇に参加してもらうわけだが、一応許可をとっておかねぇとな」
アマネが言うと、マコトは即OK。ツバキも満更ではないが乗り気であった。
だが、残り一人はというと。
「え、でも演劇か。ちょっと恥ずかしいなぁ」
「ノエルくん、おめぇさんが恥ずかしがり屋なのはわかる。でもどうしても無理というなら引き留めはしねぇよ」
「そ、そうですか。じゃあちょっと……やめとこうかな」
「そうかい残念だ。じゃあおめぇさんの変わりは"セリカくん"にでm」
「私やります!! 私、演劇気になります!!」
ノエルは恥ずかしいので断念、と思っていたのだが。
それを見兼ねたアマネがノエルの代わりに『セリカ』の名前を出した瞬間ノエルは急に人が変わったように承諾をした。
「そうかそうか! やってくれるかノエルくん!」
何はともあれ引き受けてくれたノエルに、アマネは素直に喜んだ。
一方で、ノエルの変わりようにマコトとツバキは首をかしげ。
「……どうしたののえるん?」
「あれじゃないの? ヒロインの座がどうとかじゃないの?」
色んな事情が絡んでいる事がわかったが、触れないであげようそれが友達。
そんなこんなで士官学校3人娘のオーディションが始まった。
いくら3人が今時女子高生で華があるとはいえ、演技力と舞いがなければ話にならない。
アマネは情熱を燃やし、3人それぞれの演技力をチェック。色々と指摘をしながら徐々にステップをあげていく。
「ツバキくんはどっちかというと嫉妬深い女性が似合うかもしれねぇな」
「そ、そうですか? 真面目な生徒会長タイプとよく言われますが」
最初に演技指導を受けているのはツバキ。
アマネはツバキの演技から彼女の本質を観察し、確実な指摘をしていく。
「なんかこう言葉の一つ一つから男性を思う心が見えてくるような気がするよ」
「そ、それって……やっぱりそうなのかなぁ?」
「でも、その男性は別の人に惹かれていて、それに対してたくさんの感情が渦巻いているねぇ。それを表に出してみるのもいいぜ」
「わ、わかりました!! ふぅ……ジンn」
その後30分くらいツバキは想いを叫び続け、次にノエルが入ってきたころにはアマネはどうにもいえない表情をしていた。
ということで次の演技指導はノエル。アマネ的には一番面倒のかかる生徒である。
「ふえぇ、難しいですよぉ」
「そ、そうかい……(ぶりってんじゃねぇよナイチチがぁ……)」
「……今なんかすごい表情しませんでした?」
「いやいや別に~」
涼しい顔をして、アマネはノエルの指導を続ける。
「感情を乗せて、えぇと……」
「やっぱり難しかったかな。仕方ねぇ、ここはセリカくんに」
「うおぉぉぉぉぉやるぞぉぉぉ!!」
こうしてアマネはセリカを出汁に、ノエルを一人前の役者にすることに成功した。
ノエルの指導を終えたあと、最後はマコトの指導に入る。
「ど、どうですか? やっぱべたすぎますかね?」
「……いや、俺的にはその純粋さ……嫌いじゃねぇぜ」
マコトの純粋な演技に、アマネは正直なところ感心していた。
マコトが他人を思う心、あらゆることを思う心は演技に乗せると自然に聞こえ、それが耳に響いて心地よかった。
アマネはマコトの演技を見て、メモ帳を取り出す。
「……なるほど、おめぇさん達3人とも合格だ。3人の誰かに主役をやってもらうことにしよう」
「え!?マジですかアマネ先生!!」
「それに加え、主役をモチーフとした物語にすることにするよ。明日また3人で部室に来てくれ」
こうして、今日のところは部活が終わり、みんなは解散することに。
帰り道、マコトは忘れ物をし学校に戻ることに。
夜道は危険だから注意しろとツバキから言われ、走って学校まで向かう。
学校を見ると、職員室がまだ電気がついていた。教室に忘れ物を取りに行くついでに寄ってみることに。
職員室に行くと、アマネが一人で真剣な顔で台本を書いていた。
「あ、アマネ先生~!」
「おぉ、マコトくん」
マコトが来たことに気づき、夜遅いから帰りなさいと言いたかったがおそらくマコトは聞かないだろう。
アマネはしょうがないなといった顔をして、台本作りに顔を向ける。
マコトは興味津々でアマネの方へ向かう。
「台本どんな感じですかぁ~?」
「秘密だ。だが俺の長年の経験で作っている。期待は裏切らねぇさ」
そう言って、アマネは会話をしつつも台本をパソコンに撃ち続けている。
その中で、アマネは自らの劇に対する思いを語り始めた。
「小さい頃、初めて舞いを見た日のことを覚えている。その素晴らしい物語と演出に心を奪われた」
「へぇ、あたしはそういうのあまり見ないですからね」
「物語と演出は人の個性だ。そういうものには想いが……"魂"が込められている」
次第に、語り続けていくうちにアマネの言葉に熱さが宿り始める。
「なのに最近は、その魂を平気で真似る輩が多い。影響を受けたと尊敬心を利用し素晴らしい物語を自分の個性だと言って主張する輩。俺はそういうのを許せねぇな」
「アマネ先生……」
「それと同様に、素晴らしい物語が出来ても、それを『何かに似ている』『パクリ』だと言って侮辱をする輩がいるのも事実。そうやって演出家が苦しむ様を見て笑う者は一生、演劇なんて楽しめねぇだろうな」
アマネの語ること、その怒りにも似た熱弁に、マコトは引き込まれるように耳を傾ける。
普段は涼しく振舞っている彼だが、根はこんなにも熱い。
その熱さに、自分の他を大事にする心と似た部分を感じるなとマコトは思い始める。
「――そういう厳しい時代だからこそ、才能があっても世に送り出せない若い卵が多いのかもしれねぇ。物語は一人一人によって作りが違う。影響を受ける物も違う。10人いれば10人別の事を思い浮かぶ。俺はそう思うな」
「――確かに年々様々な作品が生まれ、数億の作品に被らないものを作るのは難しいかもしれねぇ。だからといって真似るのではなく、『捉え方』で、自分の作品に対する『想い』で勝負をしてほしい。最初は認められねぇだろう、色んな事を言われるだろう。だがその中でも一人でも『おもしろい』『楽しい』と言ってくれればそこから成長できるだろう」
「――作品とは、芸術とは人と人とのつながりだ。どんなに素晴らしい作家がいようと一人では成り立たねぇ。作家と読者、視聴者――そこに境界線はねぇ。読者と視聴者だって作品を作っているんだからな」
「――そしてそれを演じる役者だ。作る魂と演じる魂はイコール。作品を作る数多くの強者に、嘘偽りを妥協して良い理由などねぇ」
「――最高の強者が揃う最高の舞台、俺はそんな舞台で舞いたい。それが俺の望みだ」
そう語り終え、少し熱くなりすぎたかと顔を赤らめるアマネ。
マコトはアマネの舞いに対する想いに、改めて尊敬と敬意を表した。
「……すごいですね、アマネ先生」
「これでも役者のはしくれさ。忘れてくれてもいいぜ」
恥ずかしがるアマネ。
だがアマネはいいことをいった。マコトは心の底からそう思っている。
けして恥ずかしがるようなことはない。だからマコトはそれを吹き飛ばすように熱く返した。
「いえ、あたし絶対に忘れません!! アマネ先生のその熱い想いを!!」
「……そうか、ありがとうマコトくん。君は美しいねぇ」
「そ、そそそそんなことないっすよ! あたしなんて……」
マコトは自分とアマネを見比べて落ち込み気味で返す。
自分なんて、ツバキほど美人ではないし、ノエルほどキュートさが足りない。
ましてや自分は亜人種。獣臭いと罵られてきた過去が邪魔をして、自身を表に出せないでいた。
「いや、亜人種だろうが関係ねぇ。君の心は美しい。ぜひともその舞いで……俺を虜にしてもらいたいねぇ」
「あ、アマネ先生……」
顔を近づけてそう励ましてくれたアマネに、マコトは胸が熱くなるものを感じた。
心臓がキュンとなるこの気持ち、マコトが戸惑っているとアマネが時計を見て。
「……おっと、夜も遅いし帰りな。女性が一人じゃ夜道も危ないぜ」
教師としてあまり夜遅くまで生徒を残してはいけないと、アマネはマコトに帰るように促す。
マコトは戸惑いを隠す暇なく、失礼しましたと言って学校を出た。
帰り道、マコトはアマネのことばかりを考えていた。とても美しくて、心に眠る熱い想い。
「アマネ先生……かっこいいな……」
そんなアマネに、マコトは心を奪われかけていた。
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翌日。
「3人とも、台本が出来たぞ!」
翌日も、アマネに呼ばれ演劇部の部室に呼ばれた3人。
3人ともとても楽しみにしており、心を躍らせていた。
「色々考えたんだが、この劇の主役はマコトくんにやってもらおうと思ってる」
「え? あたしでいいんですか!?」
あまりのことに驚くマコト。
それを聞いた他の二人はというと。
「よかったじゃないマコト!!」
「頑張ってマコト!」
二人とも、マコトの主役抜擢に喜ばしく思っていた。
しかしまだ自分に自信を持てないマコト。そこでアマネは。
「今回の劇は、亜人種と人間の共存も取り入れてあってねぇ」
「え? アマネ先生……」
「確かに世間じゃあ亜人種の差別問題が問題視されている。けど俺は思ったんだ。マコトくんならきっと、亜人種と人間の共存のかけ橋になれるかもしれないってねぇ」
「あ、あたしが……」
「だから、そういう想いを乗せて演じてほしい。君の舞いに……期待しているぜ」
そう言って、アマネはマコトの背中をパンっと押した。
アマネに託された想い、アマネが作り上げた最高の作品。
それを魂を込めて演じる自分、ツバキやノエルという最高の友人と共に作り上げる最高の作品。
あらゆる人の想いを受け取り、マコトは決意を固める。
「あ、あたしがんばります!!」
よしきた! とアマネは笑顔でみんなに台本を渡す。
アマネの作り上げた台本、劇団ニシキの座長、長年のキャリアが生んだ作品。
そして、熱弁の通りの魂の込めた作者としての腕前。3人ともごくりと唾をのみ、台本の1ページ目を開いた。
そこには劇の題名が書いていた。その題名を読んでみる。
題名『リスキング』。
「………」
なんか予想していたのと違う。マコトはそう思ったが題名だけではわからないだろう。
この後はアマネの指示で台本をめくり、アマネの解説を入れて劇の全容を見ることに。
「タイトルはリスキング、マコトくんはリスだからねぇ」
「まぁ……そうですけど」
「それで、物語のあらすじはっと……」
そう言って、アマネは2ページ目を開く。
アマネに合わせてみんなも、するともくじが載っていた。
それを飛ばして3ページ目へ、アマネはページを開くと説明を始めた。
「えぇと、物語はこんな感じだ。『そこには動物達の王国があり、その国の王様は皆から尊敬を集めていた』」
………。
一見普通の掴みではあるが、マコトはそれを聞いて顔を苦くした。
一方でツバキとノエルは、普通に聞いていた。きっとなにも思うところはないのだろう。
「それで、『その王は娘(マコト)に王がなんたるかの教えを説く。だけどマコトは他の子供達と呑気に遊ぶばかり。そんな中、王の弟は王と娘の親子を無き者にする計画を企てるのであった』」
ここまで聞いて、マコトの目は完全にジト目となり、アマネを睨むように見ていた。
その一方で、ツバキとノエルはなにもおかしいと思っていないのか、わくわくしながらアマネの言葉を聞いていた。
「えぇと、して……『最終的に王様は死んでしまい、マコトはその責任を問われ王国から追放されてしまう』」
「………」
「『父親を失い、故郷から追い出され絶望に支配されたマコトは、猫とイノシシ(ノエルとツバキ)に会うわけだ』」
もうここまで聞いて、あきらかにどっかで見たことのあるやつだと確信したマコトは身体をぶるぶる震わせていた。
他の二人は、まったく疑ってすらいなかった。
「さてと最後らへんだ。『王国は王の弟に支配されていた。それを友達から聞いたマコトは立ちあがる。王の弟を倒して自らが王となり王国を再建するために』」
「………」
「これ、おもしろそうですね!!」
「アマネ先生、聞いてはいたけどさすがの手腕ね」
マコト以外はアマネを尊敬の目で見ていた。
そして最後にアマネは、この物語の補足説明をしだした。
「ちなみにこの劇を考える際に、ある"歌"を聞きながらイメージしてみたんでぇ」
「……その歌ってなんです?」
「お、気になるかいマコトくんよぉ!」
マコトは静かにそう質問をした。
アマネが影響を受けた歌とははたして。
「俺はあまり歌がうまくないが、特別に頑張って歌ってみよう。きっといい曲だ。間違いないねぇ~」
「……おねがいします」
「せ~の~さんで。ハク~ナ・マタt」
「ライオ○キングじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
歌の出だしを聞いて痺れを切らし、アマネに対してビッグバンスマッシュ(溜め3)をぶっ放すマコト。
それをもろにくらい吹き飛ぶアマネ。
「ぐほぉ! な、何をするんでぇマコトくん……」
「何かしてんのはあんたのほうじゃ!! 思いっきりそれライオンのやつのパクリじゃん!!」
そう、アマネの考えた劇に、マコトは覚えがあった。
あの有名どころが考えた。有名な劇団が全国公演してるやつのまんまそれであったのだ。
「いや違う違う、ライオンじゃなくてリスだってぇ!」
「ライオンとかリスとかどうだっていいわ!! なにがパクリは許せないだ!! あんたが作ったやつひどすぎだわ!! 言葉も出ないわ!!」
あまりのひどさに言いたいことが多すぎるマコト。
「も~~~~~~~う! 返せあたしのこの気持ち!! この胸の高鳴り返せぇぇぇ!!」
「ふ……ふふふ、心配をするなやマコトくん。いや……心配ないさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「心配しかないさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こうして、結局劇は中止になった。
次のコンクールは3ヶ月後、アマネはまた人材を集めることに。
「ん~、彼女たちには嫌われてしまったしねぇ。やっぱり美少年だな!! 美少年最高でぇ!!」
こうして、またアマネのよからぬ噂は増えるのであった。