今回は序盤遊花視点、後半遊騎視点でお送りします。
今回はどちらかと言うとギャグ回です。
ですがデュエルはかなりガチです。
そして増え続ける文字数。
減らない、1話完結にしようとしたせいで文章が減らないよ。
★
「おはようございます」
「来たわね、遊花‼︎」
「ひゃぅ⁉︎さ、桜ちゃん?」
『Natural』に行き、師匠の過去を聞いたり私のデッキに新しい仲間が加わった次の日、お仕事に行った師匠を見送ってデュエルアカデミアの教室に入ると、教室の入り口で桜ちゃんが仁王立ちをして私を待っていた。
私の反応に、教室中の視線が私に向く。
そんな私の反応を気にした様子もなく、桜ちゃんは私に思いっきり顔を近付ける。
「さぁ‼︎聞かせて貰うわよ‼︎昨日言ってた言葉の意味を‼︎」
「き、昨日?私、何か変なこと言った?」
「アンタが‼︎急に‼︎カードショップに‼︎行くって‼︎言うから‼︎でしょうが‼︎」
「わあっ‼︎ち、近い近い‼︎近いよ桜ちゃん‼︎」
物凄い剣幕で顔を近付けてくる桜ちゃんに。私は教室の隅に追い込まれてしまう。
「当然、全部話してくれるのよね?」
「そもそも桜ちゃんに隠すようなことがな………」
い、と言い切ろうとした所でふと思う。
流石に師匠が私の家に泊まっていることは怒られるのではないだろうか、と。
下手したら師匠に迷惑がかかってしまうのではないかと。
「………」
「ちょっと‼︎何でそこで黙るのよ⁉︎」
桜ちゃんの言葉に思わず視線を逸らしてしまう。
いや、だってこの問題はそう簡単には解決しそうにないし、したくないんだもん。
どうやって誤魔化せばいいのか考えている内に最初の講義を担当している先生が入ってくるのが見えた。
た、助かった。
今はこれで誤魔化そう。
「あ、さ、桜ちゃん。ほら、今は講義の先生が入って来ちゃったから座らないと‼︎」
「あ、ちょっ‼︎待ちなさい、遊花‼︎」
私はこれ幸いにと桜ちゃんを振り切り、自分の席に移動して急いで座った。
でも、これだと次はお昼休みに聞かれちゃうよね?
うぅ〜講義中にどう誤魔化すか考えないと。
私はどう桜ちゃんの追求を乗り切ろうか考えながら午前中の講義の準備を始めるのだった。
ーーーーーーー
「ゆ・う・か?」
「ひぅっ‼︎」
午前中の講義が全て終わったと同時に私の後ろから底冷えするような低い声が聞こえた。
私がゆっくりと振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべながらも目が一切笑っていない桜ちゃんの姿があった。
こ、怖い‼︎
怖すぎるよ桜ちゃん‼︎
「今度こそ逃がさないわ‼︎何があったのか、全部、まるっと、聞かせて貰おうじゃない‼︎」
「わ、わかったよぅ‼︎話す‼︎話すから‼︎」
ごめんなさい、師匠。
頑張って隠しますけど、全部は隠しきれないかも知れません。
………嘘ついたら本当に殺されちゃいそうなので。
ーーーーーーー
「はぁ⁉︎あの、結束 遊騎に弟子入りしたぁ⁉︎」
「桜ちゃん、声‼︎声が大きいよ‼︎後、師匠のことをあのとか言わないで‼︎」
結局、家に師匠が泊まっていることは何とか誤魔化せたけど、師匠に弟子入りした経緯などは全て話してしまった。
周囲には桜ちゃんの剣幕があまりにも怖かったせいか人が全然いないけど、それでも他人の迷惑になるのだから声のボリュームぐらいは考えてほしい。
桜ちゃんは怖い顔で私に詰め寄ってくる。
「馬鹿‼︎バッカじゃないの‼︎デュエルが出来るようになったのは嬉しいけど、何でよりにもよって弟子入りしたのがあの結束 遊騎なのよ‼︎イカサマをしてプロリーグを追放されたような奴なのよ⁉︎」
「だからあのとか言わないでよ‼︎それに、師匠はイカサマなんて絶対にしてないし、他の人じゃダメなの‼︎師匠だったから、私はもう1度デュエルが出来るようになったんだから‼︎例え桜ちゃんでも、師匠を馬鹿にするのは許さないよ‼︎」
「なっ⁉︎」
私が正面から言い返したことに驚いたのか桜ちゃんが面食らった表情を浮かべる。
例え、お友達である桜ちゃんが相手でもそこだけは譲れない。
私は師匠の思いを受け継ぎ、背負っているのだから。
そんな私を見て何を思ったのか、桜ちゃんも何かを決めた顔をする。
「………遊花が言いたいことは分かったわ。でも、私はやっぱり納得出来ない」
「桜ちゃん………」
「だから、今日の放課後、結束 遊騎のところに連れて行きなさい。私が直接見て、結束 遊騎がどういう人間なのか判断してあげるわ」
「………分かった。ちゃんと師匠を見て、判断してね」
「………フン………でも、遊花がもう1度デュエルが出来るようになって、よかったわ。それだけは、結束 遊騎に感謝してあげる」
「‼︎桜ちゃん‼︎」
「わあっ⁉︎ちょっと、遊花⁉︎」
そっぽを向きながらそう呟く桜ちゃんに、私は気持ちが抑えきれずに抱き着いた。
「ありがとう、大好き‼︎」
「ちょっ⁉︎恥ずかしいこと言ってるんじゃないわよ‼︎は・な・し・な・さ・い‼︎」
顔を真っ赤にしながら私を引き離そうとする桜ちゃんを力一杯抱き締める。
私は、幸せものだ。
こんなに私の事を心配してくれる人がいるのだ。
だから、桜ちゃんも師匠のこと、分かってくれたらいいな。
私は幸せな気持ちを抱えたまま、気が済むまで桜ちゃんを抱き締めるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ねぇ、本当にこんなところにいるの?」
「うん。昨日聞いた時に、ここの清掃員の仕事に決まったって言ってたから」
「元プロ決闘者の末路が公園の清掃員、ね」
放課後。
全ての講義を終えた私と桜ちゃんは、師匠に会うために師匠と出会ったあの公園に来ていた。
公園の中を見渡してみるが、師匠の姿は見えない。
もしかして、もう帰った後だったりするんだろうか?
考えてみたらいつ終わるかとか聞いてなかったし………家に帰って待ってた方が確実?
でも、そうなると師匠が家に住んでいることがバレちゃうし………
「ん?遊花か?」
「あ、師匠‼︎」
どうしようかと悩んでいると、私の後ろから作業着に身を包み、ゴミ袋を抱えている師匠が声をかけてきた。
よかった、ちゃんと見つかったよ〜
「もうデュエルアカデミアは終わったのか?」
「あ、はい‼︎それで、その………師匠に合わせたい人がいるんですが………」
「俺に合わせたい人?」
「ねぇ、遊花。コイツなの?」
「あ、うん」
師匠に事情を説明しようとすると、その前に桜ちゃんが師匠の前に立った。
師匠の前に立った桜ちゃんは値踏みをするような目付きで師匠を見る。
「アンタが結束 遊騎ね」
「………そうだが、君は?」
「私は宝月 桜。遊花の………その、と、友達よ‼︎」
「何故照れる?………そうか………遊花には友達がちゃんといたのか」
「酷くないですか師匠⁉︎」
頰を赤らめて投げやり気味にいい放つ桜ちゃんに師匠が首を傾げながらもそんなことを呟いた。
お友達ぐらいいますよ‼︎
………桜ちゃんだけだけど。
そんな私を見て師匠が首を振りながら口を開く。
「いや、悪い意味じゃないんだ。俺の時は友達って言える人もいなかったからな。宝月のような友人がいてよかったと思っただけだ」
「あ………ごめんなさい」
思い出した………島さんが言っていた………師匠はいじめられていた時期に荒れていて、世界の全てが敵に見えていた、と。
だからこそ、私にお友達がいたことを、本当に喜んでくれたんだ。
私が、1人じゃないっていうことを。
「どうして謝る。お前が気にすることじゃないさ」
師匠が苦笑いを浮かべながらも優しい目で私を見る。
私は、少し泣きそうになってしまった。
「………コホン、それで本題なんだけど‼︎」
自分のせいで変な雰囲気になったのを気にしたのか、仕切り直すように桜ちゃんが咳払いをしてから師匠を睨み付ける。
「アンタ、遊花の師匠をやってるんですって?」
「2日前からのまだまだ新米だけどな」
「正直に言うわ。私はアンタのことを信用していない」
「桜ちゃん⁉︎」
桜ちゃんのはっきりとした拒絶に私はショックを受ける。
しかし、それに対して師匠は特に動揺することもなく、頷いた。
「まあ当然だろ。俺はこの街じゃ罪人だからな。知らなかったとは言え、あっさり受け入れた遊花の方がどちらかと言うとおかしい」
「………動揺とかしないのね?」
「生憎、蔑まれたり裏切られたりしてばかりの人生を歩んで来たからな。その程度のことで動揺する感情は、俺にはもう無いよ」
師匠の言葉に桜ちゃんもばつが悪そうな表情を浮かべる。
それに対して師匠はまた苦笑いを浮かべる。
「どうして気にしてるんだ?俺はお前にとって信用出来ない奴なんだろ?だったら、気にする必要なんてないじゃないか」
「………あーもう‼︎調子狂うわね‼︎」
桜ちゃんが頭を掻きながら、師匠から顔を背けて口を開く。
「………確かにまだ信用していないけど、一応、遊花を助けてくれたみたいだし、それに遊花がもう1度デュエルを出来るようにしてくれたのは………感謝してるし、信用したいって、思うのよ」
「‼︎桜ちゃん‼︎」
桜ちゃんのそんな言葉に私は思わず笑顔を浮かべてしまう。
「うっ‼︎で、でも‼︎やっぱり私は自分の目でしっかりと確認しないと安心出来ないの。だから、アンタが本当に遊花が言うような人間なのか、見極めさせて貰うわ‼︎」
そういって桜ちゃんがデュエルディスクを起動し、師匠に向けて構える。
「私とデュエルしなさい‼︎それでアンタのことを見極めてあげるわ‼︎」
そういう桜ちゃんに、師匠は首を振って答える。
「無理だ」
「っ、何よ‼︎逃げるって言うの⁉︎」
「いや、そうじゃなくてだな………」
師匠が困った顔で桜ちゃんを見る。
でも、うん………それは無理だよ、桜ちゃん………だってーーー
「俺、まだ仕事中だからな。しかも、清掃員の仕事だからデュエルディスクもデッキもロッカーに預けてきてるし」
「………あ」
ーーー師匠はどう見てもデュエルディスクを持っていないのだから。
師匠はまだその手にゴミ袋を抱えたままでいる。
そもそも師匠は私を見かけたから仕事中に声をかけてくれただけだ。
今すぐにデュエルって言うのは流石に無理だよ。
「というわけで、もう少しで仕事も終わるから悪いが少し待っていてくれ」
「………さ」
「さ?」
「先に言いなさいよ〜〜〜‼︎」
公園に顔を真っ赤にした桜ちゃんの叫び声が響いた。
桜ちゃん、意外とおっちょこちょいだもんね。
ーーーーーーー
☆
『決闘‼︎』
遊騎 LP8000
桜 LP8000
しっかりと仕事を終え、デュエルディスクとデッキを取ってきた俺は約束通り、遊花の友人である宝月とデュエルを始めていた。
遊花に聞いた話では宝月は学年でトップ10に入る程の強さらしい。
今からどんなデュエルが出来るかが楽しみだ。
そんな宝月は顔を真っ赤にしながら恨めしそうにこちらを睨み付ける。
「よくも私に恥をかかせてくれたわね‼︎絶対に後悔させてやるんだから‼︎」
「いや、あれは宝月の自爆だった気がするが………とりあえず始めるぞ?」
デュエルディスクの決定により先攻は俺からだ。
手札は………まぁ、ある意味いつも通りか。
「魔法カード、手札抹殺‼︎お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数と同じ枚数ドローする‼︎俺は4枚、お前は5枚捨ててドローだ」
「いきなり手札全部交換なの?そんなに手札が悪いのかしら」
「まぁ、いつものことだ。こうでもしないと動けないからな。全く、運がいいんだか悪いんだか………俺は墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから妖刀竹光以外の竹光カードをデッキから手札に加える」
「っ‼︎墓地起動の効果があったのね」
「俺がデッキから手札に加えるのは黄金色の竹光だ。俺は
〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性
ATK1700
俺が出したのは2つの槍を持った白い戦士。
そのモンスターは出てくると同時に勇ましい雄叫びをあげる。
「H・C ダブルランスの効果発動‼︎召喚成功時に手札・墓地の同名モンスターを表側守備表示で特殊召喚する‼︎俺は墓地のH・C ダブルランスを特殊召喚だ‼︎」
「さっきの手札抹殺で落ちていたのね………」
「ただしこのカードはシンクロ素材にできず、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない」
〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性
DEF900
もう1体ダブルランスが現れる。
そして俺は正面に手を翳す。
「早速行かせて貰おうか。斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
「リンク召喚ね………」
俺の前に巨大なサーキットが現れる。
まずはコイツだ‼︎
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺は2体のH・C ダブルランスをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600 ↙︎ ↘︎
2体のダブルランスがサーキットの中に消えると代わりに現れたのは金髪と白髪の2人の女性。
早速準備をさせて貰おうか‼︎
「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキからキングスナイトを手札に加える‼︎」
「それがアンタの代名詞、絵札の三銃士ね」
「知っているようなら話は早いな。早速準備をさせて貰う‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、神剣-フェニックスブレード、最強の盾、閃光の双剣-トライスを墓地に送り、デッキからクィーンズナイトを守備表示で特殊召喚‼︎」
「キングの次はクィーンか」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
俺の前に現れるのは赤い鎧を身に纏った女性の騎士。
先程のサーチ効果でキングスナイトも手札に加わっているから絵札の三銃士を出す準備は取り敢えず整ったな。
「更に墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える。俺はデッキから折れ竹光を手札に加える。さらに手札から装備魔法、折れ竹光をクィーンズナイトに装備。魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎魔法カード黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎」
「何でバトルゾーンに3枚もカードがあるのに手札は初手より増えてるのかしらね」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ」
準備は万全。
さぁ、今のデュエルアカデミアの学年トップ10はどう動いてくる?
遊騎 LP8000 手札5
ー△▲ーー ー
ー□ーーー
☆ ー
ーーーーー
ーーーーー ー
桜 LP8000 手札5
「私のターン、ドロー‼︎フッ、結束 遊騎‼︎どうやら私のデッキは全力でアンタを試したいみたいよ‼︎」
「何だって?」
「私を後攻にしたことを後悔させてあげるわ‼︎魔法カード、妨げられた壊獣の眠り‼︎このカードの発動時、フィールドのモンスターを全て破壊するわ‼︎」
「⁉︎ブラックホールと同じ効果だと⁉︎」
フィールドが揺れ、イゾルテとクィーンズナイトが地割れに呑み込まれて消滅する。
その代わりに俺のフィールドには巨大な地竜が、宝月のフィールドには三つ首の竜が現れた。
「その後、デッキからカード名が異なる壊獣モンスターを自分・相手のフィールドに1体ずつ攻撃表示で特殊召喚するわ‼︎この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更できず、攻撃可能な場合は攻撃しなければならないけどね。私はアンタのフィールドに怒炎壊獣ドゴラン、そして私のフィールドには私の切り札の登場よ‼︎あなたの全てを壊してあげる‼︎雷撃壊獣サンダーザキング‼︎」
〈怒炎壊獣ドゴラン〉☆8 恐竜族 炎属性
ATK3000
〈雷撃壊獣サンダーザキング〉☆9 雷族 光属性
ATK3300
俺のフィールドに呼び出されたのは攻撃力3000のモンスター。
だが、このまま戦ったら宝月のモンスターにやられてしまう。
そして宝月の動きはまだ終わらない。
「そしてこの娘が私のもう1体の切り札、私の相棒よ‼︎月より来たる永遠の姫‼︎
〈妖精伝姫-カグヤ〉☆4 魔法使い族 光属性
ATK1850
宝月が相棒と称して現れたのは月のマークが入っている扇子を持ったお姫様。
カグヤってことは難題が出されそうだな。
「妖精伝姫-カグヤの効果発動!召喚に成功した時、デッキから攻撃力1850の魔法使い族モンスター1体を手札に加える。私は2体目の妖精伝姫-カグヤを手札に加えるわ。まだまだ行くわよ、このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚出来るわ。来なさい、ジェスターコンフィ‼︎」
〈ジェスターコンフィ〉☆1 魔法使い族 闇属性
ATK0
現れたのは球に乗った道化師のモンスター。
こんな状況で攻撃力が0のモンスターを攻撃表示で出してくるなんて嫌な予感しかしない。
「バトルよ‼︎ジェスターコンフィで怒炎壊獣ドゴランを攻撃‼︎スーサイドマジック‼︎」
「攻撃力0のモンスターで攻撃だと⁉︎」
やっぱり何か効果があるのか?
そう思って身構えるもコンフィはドゴランに火炎を吐かれ、そのまま消滅してしまった。
桜 LP8000→5000
宝月のライフが大きく減る。
一体どういう意味が………そう考えた時、宝月がニヤリと笑った。
「さぁ、これが貴方に出す1つ目の難題よ‼︎3000ポイントの戦闘ダメージを受けた時、速攻魔法発動、ヘルテンペスト‼︎」
「⁉︎そのカードは‼︎」
「このカードは3000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動する事ができるわ。お互いのデッキと墓地のモンスターを全てゲームから除外する‼︎」
「っ‼︎」
宝月がそう宣言するとお互いのデッキ、墓地からモンスターが一気にいなくなる。
そして宝月の戦術はまだ続く。
「そしてデッキから除外されたネクロフェイスの効果発動‼︎このカードがゲームから除外された時、お互いはデッキの上からカードを5枚ゲームから除外する‼︎」
「なっ⁉︎」
俺のデッキが更に薄くなる。
しかも、よりによって今日は遊花と戦った時とは違い、いつもよりモンスターを多めのデッキ編成に変えてしまっていた。
元々ドローカードやサーチカード、デッキからの特殊召喚が多めのデッキなので俺のデッキはいつも45枚で組むようにしている。
しかし、それを含めても今のヘルテンペストで墓地も含めてモンスターが18枚、更にネクロフェイスで5枚のカードが除外され、一気に23枚のカードが無くなった。
さらに今回はイゾルテや竹光で19枚のカードをすでに使っている。
つまり合計で39枚のカードが無くなり俺の残りデッキは残り6、いや、次のドローがあるから残り5枚だ。
デッキ枚数を45枚にしていたのは幸いだった。
40枚なら次のドローだけで解決できなければ負けているからな。
そして恐ろしいのはこれがまだバトルフェイズの最初だと言うところだろう。
そう、宝月の攻撃はまだ終わっていないのだ。
「そして2つ目の難題の時間よ。妖精伝姫-カグヤの効果発動‼︎アンリーゾナブルディマンド‼︎1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動‼︎相手はそのモンスターの同名カード1枚を自身のデッキ・エクストラデッキから墓地へ送ってこの効果を無効にできる。墓地へ送らなかった場合、このカードと対象のモンスターを持ち主の手札に戻す。因みにこの効果は相手ターンでも発動できるわ。対象は勿論怒炎壊獣ドゴランよ」
「俺のデッキに怒炎壊獣ドゴランは入っていない。いたとしてもヘルテンペストで消えている。成る程、効果名がUnreasonable demand(無理難題)とは言ったもんだな」
「そういうことよ。怒炎壊獣ドゴランと妖精伝姫-カグヤは手札に帰るわ。これでデッキにモンスターがいないアンタは表側で出すモンスターは出しても妖精伝姫-カグヤに戻されるようになった。そしてこれで貴方の場はガラ空きよ。これが3つ目の難題よ。毎ターンの3300の攻撃に耐えられるかしら?雷撃壊獣サンダーザキングでダイレクトアタック‼︎グラビティレイ‼︎」
「ぐっ‼︎」
遊騎 LP8000→4700
サンダーザキングの三つ首からレーザーが放たれ、俺のライフが大きく削られる。
こんなもの何度も耐えてられないぞ………
「カードを1枚セット。教えておいてあげる。壊獣モンスターは全て相手モンスターをリリースして相手フィールドに特殊召喚する共通効果を持っているわ」
「っ‼︎つまり、守備表示でモンスターを出そうがそのモンスターをリリースして壊獣が現れ、それをカグヤが手札に戻して行くわけか」
「そう、これが4つ目の難題よ。ついでに言っておいてあげる。5つ難題はアンタの除外されている23枚。アンタの選択次第ではその次の6つ目の難題が私の除外されたカード25枚よ」
「俺と宝月の除外の枚数が難題になる、か」
「さぁ、アンタは幾つの難題が解けるかしら?遊花の師匠を名乗りたいならこれぐらい超えてみなさい‼︎私はこれでターンエンド」
「………桜ちゃん、本気だ」
そんな遊花の呟きが聞こえる。
これで学生だって言うんだから本当に末恐ろしいって奴だよな。
遊騎 LP4700 手札5
ーー▲ーー ー
ーーーーー
ー ー
ーー◯ーー
ーーー▲ー ー
桜 LP5000 手札4
「俺のターン、ドロー‼︎」
「さぁ、5つ目の難題よ。スタンバイフェイズ、罠発動‼︎D.D.ダイナマイト‼︎相手が除外しているカードの数×300ポイントダメージを相手ライフに与えるわ‼︎」
「何⁉︎」
「アンタの除外は23枚‼︎よって6900ポイントのダメージを相手に与えるわ‼︎防げないならこれで終わりよ‼︎」
俺の目の前にダイナマイトが現れる。
っ、こんなところで終わってたまるか‼︎
「まだだ‼︎まだ終わっていない‼︎墓地からダメージダイエットの効果発動‼︎墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる‼︎」
「耐えてみせたわね。でも、除外されてるカードが増えた為、7200ダメージの半分、3600のダメージを受けて貰うわ‼︎」
「ぐあっ‼︎」
遊騎 LP4700→1100
何とか耐えることは出来た。
だが、状況は全くよくない。
宝月のデュエルはまるで詰将棋のように相手の一手一手を確実に潰しに来ている。
………面白い、これが今のデュエルアカデミアトップ10の実力か。
そんな俺を見て、宝月が訝しげな顔をした。
「アンタ、笑ってるの?」
「ああ。お前とのデュエル、最高に面白いからな」
「⁉︎アンタ、私のデュエルが面白いとか、正気?これでもデュエルアカデミアでは私なんて恐怖の対象なのよ?」
「何だそれ。こんなすぐに状況が変化する面白いデュエルが恐怖の対象とか、見る目ないんだな、今の学生って」
「なっ⁉︎」
宝月が俺の言葉に驚いた表情を浮かべ、ぱくぱくと口を開く。
そんなに変なことを言っただろうか?
「まあいいぜ。今はとにかく、この面白いデュエルを続けよう」
「っ、や、やれるもんならやってみなさい‼︎」
「ああ。手札のシャッフルリボーンを捨てて除外されているH・C ダブルランスを対象として装備魔法、DDRを発動‼︎そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。フィールドに舞い戻れ、H・C ダブルランス‼︎」
〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性
ATK1700
再びフィールドに現れるのは2つの槍を持った白い戦士。
「さらにキングスナイトを召喚‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
次に現れたのは黄金の鎧を身に纏った騎士。
といっても、今回はクィーンズナイトもいないし、デッキにモンスターも残っていないから完全にバニラだ。
「フン、自慢の絵札の三銃士も効果がなければ意味がないわよ?」
「今回はそれでもいいんだよ。俺は戦士族、レベル4のキングスナイトとH・C ダブルランスでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
キングスナイトとダブルランスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けるとそこにいたのは赤い鎧を着た王者の風格を漂わせる戦士。
「光を纏て、闇を切り裂く孤高の王者‼︎
〈HーC エクスカリバー〉★4 戦士族 光属性
ATK2000
「エクシーズモンスター………」
「HーC エクスカリバーの効果発動‼︎シャイニングフォース‼︎オーバーレイユニットを2つ使い、このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる‼︎」
エクスカリバーの周りを漂っていたオーバーレイユニットがエクスカリバーに集まり、エクスカリバーの身体が光り輝いた。
HーC エクスカリバー
ATK2000→4000
「攻撃力4000⁉︎」
「バトル‼︎HーC エクスカリバーで雷撃壊獣サンダーザキングを攻撃‼︎必殺剣 刀光剣影‼︎」
「くっ、迎え撃ちなさい‼︎雷撃壊獣サンダーザキング‼︎グラビティレイ‼︎」
サンダーザキングが三つ首からレーザーを放ち、エクスカリバーを迎撃しようとする。
しかし、エクスカリバーはその攻撃を全て躱すと空に向けて力強く跳び上がり、一刀の元その全ての首を斬り裂いた。
桜 LP5000→4300
「っ‼︎やってくれるわね」
「俺はカードを1枚セットし、ターンエンドだ」
やれることは全部やった。
正直に言って、最初に伏せたカードはコンボ前提のカードだったため、ヘルテンペストの影響で現状完全に死に札になっている。
どうにかする手がないわけではないのだが、その可能性を掴めるかはかなり怪しいものだ。
しかも、そのコンボを入れたのも………まぁ、理由はあるのだが、気持ち的な問題で、デッキとしてのシナジーなんて一切ない。
だから後は………
遊騎 LP1100 手札3
ーー▲▲ー ー
ーーーーー
◯ ー
ーーーーー
ーーーーー ー
桜 LP4300 手札4
「私のターン、ドロー‼︎………なら、宣言通り6つ目の難題といきましょうか。私は紅蓮魔獣ダイーザを召喚‼︎」
〈紅蓮魔獣ダイーザ〉☆3 悪魔族 炎属性
ATK?
宝月の前に現れたのは翼が生えた小さな赤い悪魔。
だが、あのモンスターの攻撃力は決まっていない。
となればーーー
「紅蓮魔獣ダイーザの永続効果、ディメンジョンイート。このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている自分のカードの数×400ポイントの数字になる。私の除外されたカード25枚。よってその攻撃力は‼︎」
紅蓮魔獣ダイーザ
ATK?→10000
「‼︎攻撃力10000‼︎」
ダイーザの身体が膨れ上がり、先程まで戦っていたサンダーザキングよりも大きくなる。
流石に攻撃力10000は予想外だ。
「さあ、この攻撃力に耐えられるかしら?バトル‼︎紅蓮魔獣ダイーザでHーC エクスカリバーを攻撃‼︎ディメンジョンクラッシュ‼︎」
ダイーザの攻撃がエクスカリバーに迫る。
でも………ただの攻撃だけなら耐えられる‼︎
「リバースカードオープン‼︎永続罠、光の護封霊剣‼︎相手モンスターの攻撃宣言時に1度、1000ライフを払ってその攻撃を無効にする‼︎」
遊騎 LP1100→100
「防がれた、か」
「まぁ予想通りだったからな。自分の除外の数が関係する奴は大体攻撃力をあげるカードだ。それだけなら流石に防げる。それに宝月の手札はほとんど分かってるんだ。デッキにモンスターがいない現状で召喚権を使い、場が空く可能性が高い妖精伝姫-カグヤと怒炎壊獣ドゴランは使ってこないと思っていた」
「まぁ、当然よね。メインフェイズ2、私はカードを1枚伏せてターンエンドよ」
「エンドフェイズ、HーC エクスカリバーの上昇していた攻撃力は元に戻る」
HーC エクスカリバー
ATK4000→2000
遊騎 LP100 手札3
ーー▲△ー ー
ーーーーー
◯ ー
ーー◯ーー
▲ーーーー ー
桜 LP4300 手札3
「俺のターン、ドロー‼︎」
自分がドローしたカードを見て、今の自分が取れる手段を考える。
何とか耐えることは出来た。
だが、宝月のフィールドには攻撃力が10000にまで高められたダイーザがいる。
俺のデッキはモンスターとの戦闘を基本としているため、効果破壊などが出来るモンスターは少ない。
その上、宝月には伏せカードがある。
そして、今目に見えているカードだけでは、現状を打開出来ないのが分かる。
なら、俺に出来そうなことはーーー
「………ねぇ?何で諦めようとしないの?」
「ん?」
考えを巡らせる俺を見て、宝月が思わずと言った風に口を出す。
「極論を言ってしまえば、このデュエルの結果なんて意味がないわ。私が気に入らなければ、やっぱりアンタを認めないし、師匠になったとは言え経った2日前に出会った相手にそこまで入れ込むことなんて、無いじゃない」
真剣な表情で自分の思いを真っ直ぐに俺に伝えてくる宝月を見て、俺は、少しだけ、話す気がなかった本音を話すことにした。
「正直に言うと、宝月の言う通りではあると思う。確かに、俺と遊花は偶然に出会っただけの存在。言ってしまえばそれだけになってしまうだろうし、俺の存在がどれだけ遊花に迷惑をかけてしまうのかは、理解しているつもりだ」
「なら、何で………」
「でもな、俺は出会った日の遊花を見て思ったんだ。俺は、確かに今まで積み上げていたものは全て失った。でも、積み上げていたものが崩れても、その土台になっているもの………俺の中に確かに残っているデュエルに対する思いは、遊花の助けになり、遊花にもう1度、楽しいデュエルが出来る道に戻してやれるんじゃないかって」
「っ‼︎師匠………」
俺の言葉に後ろで見ていた遊花が泣きそうな声を出す。
そういう風にするために言ったんじゃないんだから、泣くのは勘弁してほしいのだが………まあ、クサいことを言ってる自覚はある。
「遊花の何があっても諦めないという願い。俺の身体を動かすのは、義務とか使命じゃない。遊花が俺に見せてくれた絶対に諦めないという意思………それを守るために、俺は退くわけにはいかないんだ‼︎」
「っ‼︎なら、その覚悟をしっかり見せてみなさいよ‼︎スタンバイフェイズ、リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎早すぎた帰還‼︎」
「⁉︎」
「その効果により、手札1枚を除外し、除外されている自分のモンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚するわ‼︎手札の妖精伝姫-カグヤを除外し、私が出すのはメタモルポット‼︎」
「メタモルポットだって⁉︎」
「効果は有名だから知っているわよね?このカードがリバースした時、お互いは手札を全て捨てて5枚ドローする。アンタのデッキはもう5枚もない。このカードがリバースした時点で、貴方の負けは決定する‼︎さぁ、これが7つ目、最後の難題よ‼︎超えられるものなら超えてみなさい‼︎」
それは、宝月が始めて見せた感情的な一手だった。
本来なら、今そのカードを使う必要はない。
俺が伏せカードの破壊を狙ったり、ダイーザを超えて攻撃してきた際に使えばいいものだ。
それを除去される可能性もあるタイミングで使ってきた。
これは試されているのだ。
俺の言葉が真実なら、この現状を超えてみせろという。
ならば、それに応えないでどうする‼︎
今の手札に無いのなら、例え可能性が僅かであろうともその可能性を手繰ってみせる。
「俺は………諦めない。遊花の師匠として、それだけはするわけにはいかない‼︎俺は墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動‼︎自分フィールドのカード1枚を対象としそのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローする。ただしこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外する‼︎俺はフィールドのHーC エクスカリバーをEXデッキに戻し、カードを1枚、ドローする‼︎」
「………」
ドローしたカードを遊花も宝月も真剣な表情で見てくる。
俺はそのカードを見て、思わず笑顔を浮かべた。
「思いは………繋がった‼︎」
「⁉︎」
「行くぞ宝月‼︎俺はH・Cダブルランスを召喚‼︎」
〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性
ATK1700
俺が出したのは2つの槍を持った白い戦士。
そのモンスターは出てくると同時に再び勇ましい雄叫びをあげる。
「H・C ダブルランスの効果発動‼︎召喚成功時に手札・墓地の同名モンスターを表側守備表示で特殊召喚する‼︎俺は墓地のH・C ダブルランスを特殊召喚だ‼︎」
「まだ手札に残っていたのね………」
「ただしこのカードはシンクロ素材にできず、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない」
〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性
DEF900
もう1体ダブルランスが現れる。
そして俺は正面に手を翳す。
「俺は戦士族、レベル4のH・C ダブルランス2体でオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
2体のダブルランスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けるとそこにいるのはやはり赤い鎧を着た王者の風格を漂わせる戦士。
「もう1度、俺の思いに応えてくれ‼︎光を纏て、闇を切り裂く孤高の王者‼︎HーCエクスカリバー‼︎」
〈HーC エクスカリバー〉★4 戦士族 光属性
ATK2000
「HーC エクスカリバー………でも、そのモンスターじゃ届かないわ‼︎」
「HーC エクスカリバーの効果発動‼︎シャイニングフォース‼︎オーバーレイユニットを2つ使い、このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる‼︎」
エクスカリバーの周りを漂っていたオーバーレイユニットがエクスカリバーに集まり、エクスカリバーの身体が光り輝いた。
HーC エクスカリバー
ATK2000→4000
「俺は墓地に存在する神剣-フェニックスブレードの効果発動‼︎墓地に存在する戦士族モンスター2体を除外し、このカードを手札に戻す。俺はH・C ダブルランス2体を除外して神剣-フェニックスブレードを手札に戻し、HーC エクスカリバーに装備‼︎攻撃力を300ポイントアップする‼︎」
HーC エクスカリバー
ATK4000→4300
「その程度じゃ焼け石に水よ‼︎」
「さらに魔法カード、ヒロイックチャンス‼︎自分フィールド上のヒロイックと名のついたモンスター1体を選択し、このターン、選択したモンスターは攻撃力が倍になる‼︎ただし、相手プレイヤーにダイレクトアタックは出来なくなる」
HーC エクスカリバー
ATK4300→8600
「攻撃力8600⁉︎それでも届かないわよ‼︎」
「いいや、届かせて見せる‼︎手札から速攻魔法、異次元からの埋葬を発動‼︎お互いの除外されているカードから3枚まで選び、そのカードを墓地に戻す‼︎」
「っ‼︎ダイーザの攻撃力をそれで下げるつもり?」
「そんなことはしない‼︎俺は真っ正面からその難題を超えていく‼︎俺は自分の除外から2体のH・C ダブルランスとタスケルトンを墓地に戻す‼︎」
「タスケルトン………ですって?」
「バトル‼︎HーC エクスカリバーで紅蓮魔獣ダイーザを攻撃‼︎この瞬間、墓地のタスケルトンの効果発動‼︎モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、墓地のこのカードをゲームから除外し、デュエル中に1度だけ、そのモンスターの攻撃を無効にする‼︎」
「⁉︎そんな行動に何の意味が………」
「意味ならある‼︎これが俺の諦めないという意思だ‼︎モンスターの攻撃が無効になった時、リバースカードオープン‼︎速攻魔法、ダブルアップチャンス‼︎」
「⁉︎」
「攻撃が無効になったモンスターを対象にして発動‼︎このバトルフェイズ中、選択したモンスターはもう1度だけ攻撃でき、その場合、選択したモンスターはダメージステップの間、攻撃力が倍になる‼︎」
「何ですって⁉︎」
「バトル‼︎HーC エクスカリバーで紅蓮魔獣ダイーザを攻撃‼︎」
エクスカリバーがダイーザに向かって剣を振るうがダイーザの身体に弾かれる。
しかし、それでも諦めずエクスカリバーは何度もダイーザに剣を振るう。
「ダメージステップ‼︎ダブルアップチャンスの効果、HーC エクスカリバーの攻撃力を倍にする‼︎」
HーC エクスカリバー
ATK8600→17200
「攻撃力………17200ですって⁉︎」
「行け‼︎HーC エクスカリバー‼︎必殺剣 二の太刀‼︎快刀乱麻‼︎」
エクスカリバーがもう1度剣を構え、集中する。
すると、エクスカリバーの剣に光が集まり、そのままエクスカリバーがダイーザに向かって突撃し、通り過ぎるとダイーザの身体は完全に両断されていた。
「っ………これが、アンタの覚悟………か」
桜 LP4300→0
ーーーーーーー
「師匠‼︎桜ちゃん‼︎」
デュエルが終わり、公園に静けさが戻る。
デュエルが終え、一息ついている俺達に遊花が駆け寄ってくる。
その姿を眺めながら、俺は宝月に声をかけた。
「お前から見て、俺は信頼するに値したか?」
「………あんなの見せられたら、認めないわけないでしょ?突破する手段なんて、いくらでもあったハズ。それをあんな真正面から突破してくるような人を、信じないわけないじゃない………私のデュエルも認めてくれたし」
「………そうか、ありがとう」
「………フン」
少し頰を赤らめながら、宝月がそっぽを向く。
………俺も、少し前に進めただろうか?
俺はデッキの中から1枚のカードを取り出して眺めた。
ダブルアップチャンス………遊花の諦めない姿勢を見て、何となく気になって入れてしまったカードだ。
おかげで何のシナジーもないタスケルトンまで入れることになったが、それでも、このカードが無かったら先程の結果には辿り着けれなかっただろう。
………俺はこのカードが似合う者になれるだろうか?
そんなことを考えている俺を横に遊花が宝月に嬉しそうに話し始める。
「これで、桜ちゃんも師匠のこと認めてくれましたよね?ね?」
「………認めるわよ、遊花の言ってたことは、確かに間違いじゃなかったわ」
「そうだよね、そうだよね‼︎師匠、今夜はお祝いです‼︎帰ったら美味しい物をいっぱい食べましょう‼︎」
そういって興奮気味に話す遊花に、宝月は首を傾げながら問いかける。
「ん、帰ったら?何で遊花がそいつと一緒に食べることになってるのよ?」
「………あ」
宝月の質問に、遊花がだらだらと冷や汗を流し始める。
………話してなかったのかよ、その話。
それを見て、宝月は何かに気付いたのか明らかに目が笑ってない笑顔で遊花に近づいた。
「ねぇ、遊花。私に何か隠してること、あるわよね?」
「ひゃぅ⁉︎べ、別にか、隠してることにゃんて、ないよ?」
「つべこべ言わず、全部話しなさい‼︎」
「へぅ‼︎ごめんなさーい‼︎」
ああ、やっぱり面倒なことになった。
迂闊な愛弟子の存在に、俺は頭を抱えるのだった。
ーーーーーーー
「バッカじゃないの‼︎本当にバッカじゃないの⁉︎アンタのその頭の中には何が詰まってるのよ⁉︎」
「ひぅっ‼︎」
結局、宝月から俺が遊花の家に居候しているということも含めて全て喋らされた俺達は、仲良く公園で正座させられ、仁王立ちをしている宝月に怒られていた。
まあ、普通はこういう反応になるわな。
「アンタもアンタよ‼︎そこは野宿でもなんでもするべきでしょ⁉︎なんで弟子の家に居候してるのよ‼︎普通逆でしょ⁉︎」
「だから、俺も最初は野宿しようとしたんだって。そしたら遊花が………」
「師匠を野宿なんてさせられません‼︎そうするなら私だって野宿します‼︎」
「………と言って聞かなくてな。俺は野宿でいいからマジで宝月から何とか言ってやってくれ」
「遊花〜」
宝月が情けない声を出す。
まあ、友人が変な男を自分の家に泊めていたらそりゃ心配にもなるだろう。
隣にいる遊花を見ると、絶対に意思を曲げませんとばかりに胸の前で両手を握っている。
宝月や俺の言い分の方が間違いなく正しいのに何で自信満々なんだろう、この弟子は。
そこから宝月も色々な言葉をかけていくのだが、意思の強さでこの不屈の心を持つ遊花に勝てるわけもなく俺の時のようにやはり諦めさせられていた。
本当に何なんだろうこの弟子は?
その意思の強さがあるならやっぱり俺が師匠である必要とか無くないか?
「でも、実際そいつと2人暮らしっていうのは不味いわよ?ウチのお母さんの追求とかどうやって躱す気なのよ?私からの追求すら誤魔化せないのに………私はまぁ、百歩譲ってソイツの同居は認めてあげるけど、お母さんが見たら間違いなく通報よ」
「うぐっ、それは………桜ちゃん〜」
宝月の言葉に遊花が初めて詰まり、情けない声を出す。
いや、実際問題それは勘弁してほしい。
これ以上冤罪による余罪が増えるのは勘弁だ。
そんな遊花を見て、宝月は何かを考える仕草をすると、こちらをちらちらと見る。
どうかしたのかと首を傾げていると、宝月は少し声を上擦らせながら口を開いた。
「し、仕方ないわね………なら、私も一緒に遊花の家に住んであげる」
「はあっ⁉︎」
「桜ちゃんも家に来てくれるんですか⁉︎」
宝月のあまりの言葉に俺は驚愕の声をあげ、遊花は嬉しそうに目を輝かせる。
「待て待て‼︎何でそうなった⁉︎」
「元々、遊花が1人暮らしを始めた頃に、そういう話しが出てたのよ。やっぱり女の子な1人暮らしは不安だからって。だから、私が一緒ならお母さんの視察も、私が定期報告すれば大丈夫になるハズだわ。最悪視察が来る時も連絡は来るでしょうから、その時にはアンタに席を外して貰えばいいだけだし」
「桜ちゃん‼︎ナイスアイディアだよ‼︎それなら全部解決だよ‼︎桜ちゃんが来てくれるのもすっごく嬉しいもん‼︎」
両手を上げて喜ぶ遊花を見て、俺は頭を抱えたくなる。
そんな俺を見て、宝月はさらに言葉を続ける。
「それに、私が一緒にいれば遊花に変なことしないか、直接監視出来るしね。デュエルでのアンタのことは確かに信頼したけど、それとこれとは話しが別よ」
そういってくる宝月に俺は何も言えなくなる。
確かに、宝月が監視してるなら、分からなくて変な冤罪をかけられる可能性は減るのか?
いや、でもなぁ………
うんうんと考える俺を見て、宝月が少し寂しそうに目を伏せる。
「何よ………私が一緒じゃ、そんなにダメ?」
そんな風に声をかけてくる宝月に、俺は空を仰いでため息を吐いてから苦笑を浮かべた。
「………分かった、確かに宝月が居てくれた方が冤罪は減るだろうし、遊花も喜ぶだろう。よろしく頼むよ、宝月」
「っ‼︎わ、分かればいいのよ‼︎それじゃあ、これからよろしくね、遊花」
「うん‼︎桜ちゃん‼︎」
仲良く話始める遊花と宝月を見て、俺は少し懐かしい感覚を思い出し、夜空を見上げた。
アイツらと一緒にいた頃は、俺もこんな感じだったのかな?
見上げた夜空には綺麗な一番星が光り輝いているのだった。
次回予告
桜の引越しも終え、落ち着いた日々に戻った遊花は約束を果たすため仕事がある遊騎と合流を約束し、桜を連れて『Natural』を訪れる。
そこで待っていたのは得体の知れない不思議な少女だった。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『闇より来たる少女』
次回は遊花を軸にした『Natural』でのお話。
桜は作中でかなり強キャラに設定してましたがちゃんと強キャラ感が出てたか心配です。
因みに作中で桜が使用したデッキはブレイドJが所持しているデッキの中で実際に友達が1番トラウマになっていると言われてるデッキです。
このデッキが描きたかったためにこの小説のライフ設定を8000にしたまであります。
まぁ、4000ライフでヘルテンはシビア過ぎますからね、仕方ないね。
次回は遊花のデュエルまではいかないかな?
デュエルが無いとは言いませんが。
次回は短めに書ける、ハズ‼︎
それではまた次回。
ではでは〜