遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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本当に大変長らくお待たせしました。
今回は美傘VS夜のデュエル回です。
前半夜視点、後半美傘視点でお送りします。
それでは本編へGO‼︎




第93話 夜に架かる虹

 

 

● 夜sido

 

 

『ッ………やっぱりもう、この手しかないか』

 

『ダメ‼︎これ以上、そんなことしたらあなたがーーー‼︎』

 

『わかってる………わかってるけど、もう………こうするしかないんだ………ごめんね。ボクがもっと強ければ、キミにこんなことを背負わさなくても済んだのに………』

 

『ッ………‼︎』

 

渦巻く闇の瘴気の中で、覚悟を決めた聞き慣れた声が聞こえてくる。

 

『だけど、後悔はしない。キミがいてくれたから、ボクはここまでこれた。そして、 ボクの続き( ・・・・・)は、キミが見てくれる。ボクの最高の相棒である、キミが』

 

『ッ、違う‼︎私は、そんな、こと………あなたに、相棒なんて言われる存在じゃ………』

 

否定を続けるもう1つの声に、聞き慣れたその声は優しく語りかける。

 

『ううん。キミはボクの相棒だよ。キミがなんであろうと、どうなろうとも、いつまでもキミはボクの相棒だ。それだけは、ボクが 溶けても( ・・・)変わらない。これからも、ずっと一緒だ』

 

『ッ………』

 

そういう聞き慣れたその声の主は優しく私を撫でた。

 

『彼のことも任せたよ。いじっぱりでちょっと捻くれてて無愛想だけど、本当はとても優しい人だから………って、これは言うまでもなくキミに 伝わる( ・・・)よね』

 

そこまで言うと声の主は真っ直ぐに眼前の敵に目を向けた。

 

『じゃあ、そういうわけだから………後は任せるね『           』………ううん、新しい『ボク( ・・)』』

 

最後に聞こえたその声は、とても寂しそうに、闇の中に響いた。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「よっ………‼︎ッ………‼︎うぐっ、あぁ………‼︎」

 

闇の中から覚醒し、飛び起きたボクは、身体中に響く痛みに思わずその場にのたうち回る。

 

「ぐっ………あっ………ここ、は?」

 

痛む身体を抑えながら辺りを見回す。

 

気を失っていたボクが眠っていたのはどこかの建物の一室にあるベッドの上だった。

 

部屋の中は妙に生活感に溢れており、乱雑に脱ぎ捨てられた衣服やコンビニで買ってきたのであろう惣菜の食べ終えたゴミがゴミ箱に突っ込まれている。

 

「ボク、は………ッ‼︎」

 

『引き金は2度引かねぇ。この一撃で終いだ‼︎砕け散れ‼︎ドレッドノートレールガン‼︎』

 

「ッ………そうだ、ボク………アイツに………」

 

思い出したのはグスタフマックスから放たれた光弾に撃ち抜かれ、大和とのデュエルに敗北した記憶。

 

「ッ………クソッ‼︎」

 

ボクは思わず、様々な怒りからベッドに握り拳を叩きつける。

 

行き場のない感情が自分の中で暴れ回り、そんなボクの感情に呼応するかのように眼の色が 真紅( ・・)に染まっていく。

 

「ッ………うっ、ぁぁぁ、くっ………はぁ………はぁ………」

 

暴れ回る自分の感情を押さえつけるように自分の身体を抱きしめると、徐々に昂っていた感情が収まり眼の色も元の黒に戻っていく。

 

感情を押さえつけたボクは思わず深く息を吐き、呟いた。

 

「………やっぱり、ボクじゃダメだよ………キミじゃないと………ダメなんだよ………」

 

思わず漏れ出してしまった弱音に自己嫌悪していると、部屋の外からドタバタと足音が聞こえ、勢いよく部屋の扉が開いた。

 

大きな音に驚いて視線を向けると、そこにはボクの顔を見て安堵の表情を浮かべている美傘がいた。

 

「夜ちゃん‼︎よかった、目が覚めたんだね‼︎」

 

「美傘………」

 

「大丈夫?どこも痛いとこない?夜になっても目を覚さないから心配したよ‼︎美傘さんのこと分かる?」

 

「ちょっ、ちょっと、美傘⁉︎」

 

心底心配している表情でボクの身体をぺたぺたと触る美傘。

 

それがくすぐったくてボクは思わず身体をくねらせる。

 

というか、どさくさに紛れて変なとこ触ってるよね⁉︎

 

「あーもう、若干離れて‼︎」

 

「うぉいた⁉︎………うー何も叩かなくても」

 

「美傘が変なとこ触るからだよ‼︎」

 

チョップをくらった額を押さえながら美傘が涙目で身体を離す。

 

そんな美傘の様子にため息を吐こうと下を向いてーーー

 

「………えっ?」

 

ーーー背筋が凍りついた。

 

「あれ、なん、で………ボクの、服………」

 

先程までは自分の激情を抑え込むのに必死で気づかなかったが、ボクの服は意識を失う前に自分が着ていたパーカー姿から美傘がよく着ている水色のフレアワンピースに変わっていた。

 

そんなボクの様子に美傘は気まずそうな、そして心配するような表情でボクを見る。

 

「えっと、夜ちゃんの服はあのデュエルでボロボロになっちゃって………血とかついてたから今はお洗濯中なんだ。汚れたままの服でいるのも傷に影響しちゃうかもと思ったから、マンションにある私の部屋に運んで代わりに私の服に着替えて貰ったんだけど………」

 

美傘の言葉が耳を通り抜けて行くのを感じながら、私は自分の背後を見る。

 

美傘の部屋の照明が照らす私の背後には宙に浮かんでいるように 美傘のフレアワンピース(・・・・・・・・・・・) の影だけが(・・・・・)映っていた。

 

ーーー見られた。

 

「ッ‼︎」

 

「っ⁉︎夜ちゃん⁉︎」

 

美傘の驚いた顔を横目に、私はベッドの横に置いたままになっていたボクのデュエルディスクを手に、美傘の部屋から飛び出した。

 

ーーー外はボクの感情を反映するかのように、夜の闇に加え、雨が降りそうな曇天の暗闇が迫っていた。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

● 美傘sido

 

 

「っ⁉︎夜ちゃん⁉︎」

 

勢いよく部屋を飛び出していった夜ちゃんを追って、私も慌ててデュエルディスクを手に部屋を飛び出す。

 

部屋の外にはすでに夜ちゃんの姿はなく、足音も聞こえない。

 

「夜ちゃん‼︎どこ⁉︎」

 

私は急いでマンションの階段を駆け降り、マンションの前の通りを見回すがやはり夜ちゃんの姿は見えない。

 

これはまずい。

 

非常にまずい。

 

夜ちゃんは気づいたのだろう。

 

自分に影がないということが私にバレたことを。

 

そしてそれは、夜ちゃんにとってとても悪いことだということを。

 

このまま夜ちゃんを見失ったら、もう2度と夜ちゃんに会えなくなるという確信めいた予感が私の頭によぎる。

 

「っ、考えろ‼︎考えろ、雨夜 美傘‼︎」

 

慌てそうになる心を必死に抑え、私は考える。

 

夜ちゃんの身体はまだぼろぼろだ。

 

起きてすぐにそんなに遠くにはいけないはず。

 

そしていくら夜闇があるからといって、まだ人通りがある時間帯に街灯がある街中にでれば夜ちゃんの影のことが不特定多数にバレる可能性があるということを考えれば街中に出たとは考えにくい。

 

なら、夜ちゃんを探している私を撒くために行く場所はーーー

 

「外じゃない、()‼︎」

 

そこまで考えたところで私は降りてきたマンションの階段を駆け上がっていく。

 

「夜ちゃんの、馬鹿‼︎………まだ、何も話してないじゃんか‼︎」

 

不安と憤りを抑えつけ、降り始めた雨の音を聞きながら私は一心不乱に上を目指した。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

「はぁ、はぁ、見つけた、夜ちゃん」

 

「ッ………美傘」

 

降りしきる雨の中、屋上の影で膝を抱えていた夜ちゃんに声をかけ、私は切れた息を整える。

 

そんな私を見て、夜ちゃんは悲しそうに顔を歪める。

 

「なんで、追ってきたの?」

 

「夜ちゃんが、逃げる、から」

 

「………見たんだろ、ボクの影」

 

「………うん、見たよ」

 

「ッ………」

 

私が肯定するのを見て夜ちゃんは悲しげに笑う。

 

「なら、余計になんで追ってきたのさ。こんな 化け物( ・・・)を」

 

「夜ちゃんは化け物なんかじゃーーー」

 

「化け物さ、ボクは。誰よりも醜くおぞましい。化け物なんだよ、ボクは」

 

そういって夜ちゃんは目を閉じると悲し気な表情のまま立ち上がった。

 

「だから、終わりにしよう」

 

「えっ?」

 

「化け物は化け物らしく、闇に消える。もう2度と、陽の当たる場所に出ることはない。美傘の前に現れることもない………最初から、そうしていればよかったんだ」

 

そういって、夜ちゃんは屋上を去ろうとする。

 

だけどーーー

 

「行かせないよ」

 

「ッ………美傘」

 

ーーー私は屋上の出口の前で扉を塞ぐように立ち塞がった。

 

「どいて」

 

「どかない」

 

「どいて‼︎」

 

「どかない‼︎」

 

「どいてって言ってるでしょ‼︎」

 

「どかないって言ってるでしょ‼︎」

 

苛立った表情で私を睨みつける夜ちゃんを、私は正面から見つめ返す。

 

「逃げないでよ‼︎」

 

「ッ………」

 

「まだ、何もお話ししてないのに、勝手に逃げないでよ‼︎」

 

私の言葉に気圧されたのか、夜ちゃんが半歩後ろに下がる。

 

だけど、それでも夜ちゃんは私を正面から睨みつける。

 

「美傘に話すことなんて、何もない‼︎」

 

「っ………」

 

夜ちゃんからの強い拒絶の意志に私は胸が締めつけられる。

 

でも、この程度の胸の痛みで引き下がるわけにはいかない。

 

だって、本当に痛いのはーーー

 

「なら、なんでそんなに泣きそうな顔をするの?夜ちゃん」

 

「ッ‼︎」

 

ーーー今にも泣いてしまいそうな顔をしている、夜ちゃんの方だから。

 

私は腕につけていたデュエルディスクを起動し、夜ちゃんに向けて構える。

 

「デュエルだよ、夜ちゃん」

 

「ッ………」

 

「夜ちゃんが勝ったら、もう何も言わない。夜ちゃんのしたいようにしたらいい。だけど、私が勝ったら、夜ちゃんの抱えてること、全部お話しして貰うから」

 

「………よく言ったものだね。ボクに勝ったことなんて、ほとんどない癖に」

 

「例え勝率が僅かでも、その僅かな勝率をここで引き寄せればいいだけだよ‼︎」

 

「………ホント、口だけは達者だよね、キミは」

 

そういって、夜ちゃんは一瞬口元を緩ませたが、すぐに真剣な表情でデュエルディスクを起動した。

 

「なら、ここで終わりにしよう。ボクとキミの全てを」

 

「終わりになんかさせない‼︎絶対に、夜ちゃんにお話を聞かせて貰うんだから‼︎」

 

『決闘‼︎』

 

 

美傘 LP8000

 

夜 LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻は私だよ‼︎私は雪天気シエルを召喚‼︎」

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

ATK0

 

 

フィールドに現れたのは背中に雪の結晶のようなものをつけ、手に銃のような物を持っているモンスター。

 

「雪天気シエルの効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時にデッキから天気魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置くよ‼︎私はデッキからフィールドの中央に永続魔法、雪の天気模様を置くね‼︎」

 

シエルが銃のような物を握ると空から雪が降り出し、辺り一面が雪景色になっていく。

 

雪に辺りの電流が反射し、雪が薄緑に光り幻想的な風景を作り出す。

 

「雪の天気模様は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できず、このカードと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーン及びその両隣の自分のメインモンスターゾーンに存在する天気効果モンスターはこのカードを除外してデッキから天気カード1枚を手札に加え、この効果は相手ターンでも使えるという効果を得るよ。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分はドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできなくなるけどね」

 

「美傘お得意の天気魔法か………」

 

It's Showtime( さあ、ショータイムだ)‼︎私はスケール2の曲芸の魔術師とスケール8のオッドアイズミラージュドラゴンをペンデュラムスケールにセッティング‼︎」

 

私を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に道化師のような魔術師と緑のドラゴンの姿が映り、その下には2と8の数字が浮かぶ。

 

「いきなりペンデュラム召喚か、本当にとばしてるね………」

 

「これで私は3から7までのモンスターを同時に特殊召喚可能‼︎揺れろ揺れろ、魂の振り子‼︎空に輝け、虹のアーチ‼︎ペンデュラム召喚‼︎飛び出せ、私のモンスター‼︎」

 

私がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって1つの光が舞い降りる。

 

「レベル4、 EM( エンタメイト)ペンデュラムマジシャン‼︎」

 

 

〈EMペンデュラムマジシャン〉☆4 魔法使い族 地属性

ATK1500

 

 

現れたのは真っ赤なシルクハットを被ったマジシャンのモンスター。

 

「EMペンデュラムマジシャンの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、自分フィールドのカードを2枚まで対象としてそのカードを破壊し、破壊した数だけデッキからEMペンデュラムマジシャン以外のEMモンスターを同名カードは1枚まで手札に加えるよ‼︎私はEMペンデュラムマジシャンとペンデュラムゾーンのオッドアイズミラージュドラゴンを破壊してデッキから EM( エンタメイト)リザードローと EM( エンタメイト)ギタートルを手札に加えるよ‼︎」

 

ペンデュラムマジシャンが指を鳴らすと、降っていたペンデュラムマジシャンとオッドアイズミラージュが消え、私の手元に2枚のカードが現れる。

 

「さらにペンデュラムゾーンの曲芸の魔術師の効果発動‼︎自分フィールドのモンスターが効果で破壊された時、ペンデュラムゾーンのこのカードを特殊召喚する‼︎おいで、曲芸の魔術師‼︎」

 

 

〈曲芸の魔術師〉☆5 魔法使い族 闇属性

DEF2300

 

 

光の柱から曲芸の魔術師が飛び出して私のフィールドに舞い降りる。

 

「まだまだ‼︎私はスケール6のEMギタートルとスケール6のEMリザードローをペンデュラムスケールにセッティング‼︎」

 

再び私を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に帽子を被ったトカゲとギターの形をした亀のモンスター姿が映り、その下には6の数字が浮かぶ。

 

「またペンデュラムスケールを?スケールも一緒だし、ペンデュラム召喚ももうしたハズだけど?」

 

「チッチッチッ、狙いはそっちじゃないんだよ‼︎EMギタートルのペンデュラム効果発動‼︎同名カードのペンデュラム効果は1ターンに1度しか発動できず、もう片方の自分のペンデュラムゾーンにEMカードが発動した場合、自分はデッキから1枚ドローする‼︎さらに、EMリザードローのペンデュラム効果発動‼︎同名カードのペンデュラム効果は1ターンに1度しか発動できず、自分メインフェイズにもう片方の自分のペンデュラムゾーンに同名カード以外のEMカードが存在する場合、このカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローするよ‼︎」

 

「ッ‼︎狙いはペンデュラム効果でのドローか………」

 

ギタートルが私に向かって音符を放ち、リザードローが粒子に変わって私の手元に集まり、私はデッキから2枚のカードをドローする。

 

よしよし、これならまだ動ける‼︎

 

夜ちゃんに私の全力をぶつけられる‼︎

 

「ここからが私のステージだよ‼︎私はフィールド魔法、天空の虹彩を発動‼︎」

 

「ッ、それも引かれちゃったか………」

 

私がフィールド魔法を発動させると、雪が舞う空間に大きな虹が現れる。

 

「天空の虹彩の効果を発動‼︎1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの表側表示のカード1枚を破壊してデッキからオッドアイズカードを手札に加えるよ‼︎私は曲芸の魔術師を破壊してデッキから魔法カード、オッドアイズフュージョンを手札に加えるよ‼︎」

 

「オッドアイズの融合魔法………」

 

「私は雪の天気模様の効果を得た雪天気シエルの効果を発動‼︎このカードを除外してデッキから天気カード1枚を手札に加えるよ‼︎雪天気シエルを除外してデッキから虹の天気模様を手札に加える‼︎さらに魔法カード、ペンデュラムホルト‼︎ 自分のEXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターが3種類以上存在する場合、自分はデッキから2枚ドローする‼︎ただし、このカードの発動後、ターン終了時まで自分はデッキからカードを手札に加える事はできないよ‼︎」

 

「制約を重ねてこれ以上美傘の手札は増えることはない………まぁ、もう十分すぎる程増えてるけど」

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド‼︎」

 

 

美傘 LP8000 手札3

 

△▲雪ー▲ ▽

ーーーーー

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

夜 LP8000 手札5

 

 

「ボクのターン、ドロー‼︎」

 

「スタンバイフェイズ‼︎雪天気シエルの効果発動‼︎フィールドのこのカードが天気カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに除外されているこのカードを特殊召喚するよ‼︎」

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

DEF2200

 

 

「悪いけど、手は抜かないよ。まずはカードを1枚伏せて、魔法カード、手札抹殺‼︎お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数と同じ枚数ドローするよ‼︎ボクは4枚、美傘は3枚捨ててドローだ‼︎」

 

「うっ、せっかくオッドアイズフュージョンを手札に加えたのに………」

 

「オッドアイズボルテックスドラゴンは厄介だからね。そうそう出させるわけにはいかないさ。墓地に存在する馬頭鬼の効果発動‼︎自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する‼︎甦れ、精気を吸う骨の塔‼︎」

 

「うえっ⁉︎そのモンスターは‼︎」

 

 

〈精気を吸う骨の塔〉☆3 アンデット族 闇属性

DEF1500

 

 

夜ちゃんのフィールドに骨が組み合わさった不気味な塔が現れる。

 

「さらにリバースカードオープン‼︎魔法カード、シエンの間者‼︎自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してこのターンのエンドフェイズ時まで、選択したカードのコントロールを相手に移すよ‼︎ボクの精気を吸う骨の塔を美傘にあげる」

 

「ええっ⁉︎いらないよ⁉︎なら、チェーンしてリバースカードオープン‼︎永続罠、虹の天気模様‼︎ 虹の天気模様は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できず、このカードと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーン及びその両隣の自分のメインモンスターゾーンに存在する天気効果モンスターは相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードを除外してデッキから、このカードとカード名が異なる天気モンスター1体を特殊召喚する効果を得る‼︎ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分はデッキからモンスターを特殊召喚できず、この効果は相手ターンでも発動できるよ‼︎私は虹の天気模様の効果を得た雪天気シエルの効果発動‼︎ このカードを除外してデッキからおいで、雨天気ラズラ‼︎」

 

 

〈雨天気ラズラ〉☆3 天使族 水属性

DEF1400

 

 

シエルが虹の橋を渡って姿を消すと代わりに虹橋かや降りてきたのはメガネをかけ、手にペンのような物を持っているモンスター。

 

「シエンの間者の効果で精気を吸う骨の塔は美傘のフィールドに移動するよ」

 

夜ちゃんのフィールドから骨の塔が私のフィールドに移ってくる。

 

不味いことになったかもだけど、やれることはやっとかないとね‼︎

 

「雨天気ラズラの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、手札から天気魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置くよ‼︎私は手札から永続魔法、晴れの天気模様を置くよ‼︎」

 

ラズラがペンを空にかざすと、雪が降り、虹がかかるフィールドに大きな太陽が現れた。

 

「今度は太陽か………だけど、いくら光がさそうと、絶望が始まることに変わりはないよ。墓地に存在するチューナーモンスター、ゾンビキャリアの効果発動‼︎手札を1枚デッキの上に置くことでこのカードを墓地から特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。おいで、ゾンビキャリア‼︎」

 

 

〈ゾンビキャリア〉☆2 アンデット族 闇属性

DEF200

 

 

夜ちゃんのフィールドに小さなゾンビのモンスターが現れる。

 

「この瞬間、美傘のフィールドの精気を吸う骨の塔の効果発動‼︎アンデット族モンスターが特殊召喚に成功する度に、相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送るよ」

 

「うぇー始まったー」

 

骨の塔から溢れ出した青い人魂が夜ちゃんのデッキへと向かって放たれ、夜ちゃんのデッキが削られる。

 

すると、削られた夜ちゃんのデッキの上から真紅の悪魔が現れた。

 

「精気を吸う骨の塔の効果で墓地に送られた闇より出でし絶望の効果発動‼︎このカードが相手の効果で手札・デッキから墓地へ送られた時、このカードをフィールドに特殊召喚する‼︎」

 

 

〈闇より出でし絶望〉☆8 アンデット族 闇属性

ATK2800

 

 

「闇より出でし絶望が特殊召喚されたことで美傘のフィールドの精気を吸う骨の塔の効果が再び発動‼︎ボクのデッキの上からカードを2枚墓地へ送るよ」

 

骨の塔から溢れ出した青い人魂が夜ちゃんのデッキを再び削りとる。

 

「ボクは堕ち武者( デスサムライ)を召喚‼︎」

 

 

〈堕ち武者〉☆4 アンデット族 闇属性

ATK1700

 

 

フィールドに現れたのは顔だけになった侍の亡霊。

 

「堕ち武者の効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時、デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る‼︎ボクはデッキからグローアップブルームを墓地に送る‼︎そして墓地に落ちたグローアップブルームを除外して効果発動‼︎このカードが墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外してデッキからレベル5以上のアンデット族モンスター1体を手札に加え、フィールドゾーンにアンデットワールドが存在する場合、手札に加えず特殊召喚する事もできる。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない‼︎ボクはデッキから黄金卿エルドリッチを手札に加えるよ‼︎ボクは、レベル4、アンデット族の堕ち武者に、レベル2、チューナーモンスター、ゾンビキャリアをチューニング」

 

ゾンビキャリアが光の輪になり、堕ち武者が小さな星に変わり、光の道になる。

 

光の道が輝くと、その中から現れるのは骨の身体を持つ骸の龍。

 

「紅き月に導かれ、死者の声を世界に届けよ‼︎シンクロ召喚‼︎死に寄り添う優しき賢竜‼︎デスカイザードラゴン‼︎」

 

 

〈デスカイザードラゴン〉☆6 アンデット族 炎属性

ATK2400

 

 

「デスカイザードラゴン………」

 

「デスカイザードラゴンが特殊召喚されたことで美傘のフィールドの精気を吸う骨の塔の効果が再び発動‼︎ボクのデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。そして相手のカードの効果によって墓地へ送られた魔法カード、ジャックポット7の効果発動‼︎」

 

「げげっ‼︎そのカードは………」

 

「このカードは相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、ゲームから除外され、この効果によってゲームから除外された自分のジャックポット7が3枚揃った時、自分はデュエルに勝利する」

 

夜ちゃんの後ろに強欲な壺が乗った巨大なスロットマシーンが現れ、左端のスロットが7の数字で止まる。

 

これで私は夜ちゃんのエクストラウィンにまで警戒しないといけなくなった。

 

というか、警戒しようがもう始まってしまったからこのまま終わっちゃうかも………参ったなぁ。

 

「さてと、遊騎から教えて貰った戦術使わせて貰うよ。ボクは墓地に存在する速攻魔法、バスターモードゼロを除外して効果発動‼︎自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して、手札・デッキからバスターモード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする‼︎そしてこの効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる‼︎ボクはデッキから罠カード、バスターモードをセットする‼︎」

 

「っ⁉︎バスターモード⁉︎」

 

セットされたバスターモードを見て、夜ちゃんは1度目を閉じるとその力を解放する。

 

「行くよ、デスカイザードラゴンをリリースし、リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎バスターモード‼︎」

 

「っ‼︎」

 

「自分フィールドのシンクロモンスター1体をリリースしてそのモンスターのカード名が含まれる/バスターモンスター1体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する‼︎アクセスコード、デスカイザードラゴンEXE‼︎」

 

デスカイザーの正面に骸骨で出来た鎧が現れる。

 

デスカイザーが咆哮を上げると、鎧が弾け飛びデスカイザーに装着されていく。

 

装着が終わるとそこに佇むのは悪魔の鎧を見に纏った骸の竜。

 

「幽鬼合体‼︎デスカイザードラゴン/バスター‼︎」

 

 

〈デスカイザードラゴン/バスター〉☆8 アンデット族 炎属性

ATK2900

 

 

「デスカイザードラゴン/バスター………」

 

「さあ、亡霊の宴を始めよう。デスカイザードラゴン/バスターの効果、それにチェーンしてデスカイザードラゴン/バスターが特殊召喚されたことで美傘のフィールドの精気を吸う骨の塔の効果が再び発動‼︎ボクのデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。そして、デスカイザードラゴン/バスターの効果発動‼ゴーストフィースト‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、自分・相手の墓地からアンデット族モンスターを任意の数だけ選択して自分フィールド上に特殊召喚する‼︎」

 

「っ⁉︎アンデットモンスターの大量蘇生効果⁉︎もう‼︎ただでさえ夜ちゃんは強いのに、遊騎さんも余計なことをして‼︎」

 

「ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、このターンのエンドフェイズ時に破壊されるけどね。墓地より甦れ、堕ち武者‼︎シノビネクロ‼︎ヴァンパイアロード‼︎」

 

 

〈堕ち武者〉☆4 アンデット族 闇属性

ATK1700

 

 

〈シノビネクロ〉☆2 アンデット族 闇属性

DEF0

 

 

〈ヴァンパイアロード〉☆5 アンデット族 闇属性

ATK2000

 

 

デスカイザードラゴン/バスターが咆哮を上げると、夜ちゃんの墓地から大量のアンデットが姿を現す。

 

「アンデット族が特殊召喚されたことで美傘のフィールドの精気を吸う骨の塔の効果が再び発動‼︎ボクのデッキの上からカードを2枚墓地へ送る‼︎」

 

「うぐっ、なら、ここだ‼︎チェーンしてリバースカードオープン‼︎速攻魔法、速攻魔法、皆既日蝕の書‼︎」

 

「なっ⁉︎」

 

「太陽の光が隠れることで全てのモンスターが眠りにつき、フィールドの表側表示モンスターを全て裏側守備表示になるよ‼︎ ただし、このターンのエンドフェイズに、相手フィールドの裏側守備表示モンスターを全て表側守備表示にし、その後、この効果で表側守備表示にしたモンスターの数だけ相手はデッキからドローさせちゃうけどね。さらにそれにチェーンして雪の天気模様の効果を得た雨天気ラズラの効果を発動‼︎雨天気ラズラを除外してデッキから雷の天気模様を手札に加える‼︎」

 

ラズラの姿が雪のように消えていくと、フィールドに現れていた太陽に月が重なり、太陽の光が遮られてフィールドが夜のように暗くなる。

 

あたりが暗くなったことにより、フィールドにいたモンスターは全て眠りについた。

 

前に遊花ちゃんとデュエルした時に使われて、皆既日食は私のデッキのイメージにもあってるから入れてみたけど、やっぱり優秀な防御カードだね。

 

「………やられたね。まさかそんな防御手段があるなんてね」

 

「ふふん‼︎これでも気象予報士だからね‼︎天気や空気を読むのはお手の物だよ‼︎」

 

「………」

 

「なんでそこで目を逸らすの⁉︎まるで私が空気が読めてないみたいじゃん‼︎そういうのいくないよ‼︎」

 

そういって私が胸を張ると夜ちゃんがスッと目を逸らした。

 

天気も読める美傘になんでそんな反応なの⁉︎

 

「………コホン。確かに展開は防がれたけど、裏側表示になったことでデスカイザードラゴン/バスターの自壊効果も消えるし、手札も増える。まだまだこっちが有利なことには変わりない。ボクはカードを1枚セットし、墓地の黒き覚醒のエルドリクシルを除外して効果発動‼︎このカードは2つの効果を持ち、同名カードその効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。墓地のこのカードを除外してデッキから黄金郷魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする‼︎ボクはデッキから永続罠、黄金郷のコンキスタドールをセット‼︎そしてエンドフェイズ、墓地の黄金郷のワッケーロを除外して効果発動‼︎このカードも2つの効果を持ち、同名カードの効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。自分・相手のエンドフェイズに墓地のこのカードを除外してデッキからエルドリクシル魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする‼︎ボクはデッキから速攻魔法、白き宿命のエルドリクシルをセット。皆既日蝕の書の効果で眠っていたモンスターが目覚め、表側守備表示になりボクはカードを5枚ドロー‼︎

 

 

〈闇より出でし絶望〉☆8 アンデット族 闇属性

DEF3000

 

 

〈デスカイザードラゴン/バスター〉☆8 アンデット族 炎属性

DEF2000

 

 

〈堕ち武者〉☆4 アンデット族 闇属性

DEF0

 

 

〈シノビネクロ〉☆2 アンデット族 闇属性

DEF0

 

 

〈ヴァンパイアロード〉☆5 アンデット族 闇属性

DEF1500

 

 

「このドローで手札が7枚になったから手札超過で1枚捨てるよ」

 

「私のフィールドにいる精気を吸う骨の塔はシエンの間者の効果で夜ちゃんのフィールドに戻ろうとするけど、夜ちゃんのフィールドが埋まってるから墓地に送られるよ」

 

 

美傘 LP8000 手札3

 

△虹雪晴ー ▽

ーーーーー

ー ー

□□□□□

ー▲▲▲ー ー

 

夜 LP8000 手札6

 

 

「さぁて、華麗に逆転しちゃうよ‼︎私のターン、ドロー‼︎スタンバイフェイズ‼︎除外された雪天気シエル、チェーンして雨天気ラズラの効果発動‼︎フィールドのこのカードが天気カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに除外されているこのカードを特殊召喚するよ‼︎戻っておいで、雨天気ラズラ、雪天気シエル‼︎」

 

 

〈雨天気ラズラ〉☆3 天使族 水属性

DEF1400

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

DEF2200

 

 

「まずは永続罠、虹の天気模様を墓地に送って魔法カード、マジックプランター‼︎自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って自分はデッキから2枚ドロー‼︎墓地に存在する晴天気ベンガーラの効果発動‼︎このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示の永続魔法・永続罠カード1枚を墓地へ送って、このカードを守備表示で特殊召喚し、手札から天気魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置くよ‼︎私は晴れの天気模様を墓地に送り、墓地の晴天気ベンガーラを特殊召喚し、手札から永続罠、雷の天気模様をフィールドに置くよ‼︎」

 

「手札抹殺の時に墓地に送られてたか………」

 

 

〈晴天気ベンガーラ〉☆3 天使族 炎属性

DEF400

 

 

フィールドから大きな虹が消え、光り輝く太陽が雲に隠れていくと、雷と共にパレットと筆を持ったモンスターが現れる。

 

「行くよ‼︎輝いて‼︎笑顔で溢れるサーキット‼︎」

 

私の前に巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は天気モンスター3体‼︎私は雪天気シエル、雨天気ラズラ、晴天気ベンガーラをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

サーキットの中にシエル、ラズラ、ベンガーラが吸い込まれていく。

 

そしてサーキットが光り輝くと、中から現れるのは虹を模したパレットと絵具を持つ白銀の髪を持つ天使。

 

「リンク召喚‼︎笑顔に繋がる希望の架け橋‼︎リンク3‼︎虹天気アルシエル‼︎」

 

 

〈虹天気アルシエル〉LINK 3 天使族 光属性

ATK2400 ↙︎↓↘︎

 

 

「天気のリンクモンスター………」

 

「私はスケール1の EM( エンタメイト)スマイルマジシャンをペンデュラムスケールにセッティング‼︎」

 

私を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に小さなシルクハットを被り、笑顔を浮かべたマジシャンの姿が映り、その下には1の数字が浮かぶ。

 

「EMギタートルのペンデュラム効果発動‼︎もう片方の自分のペンデュラムゾーンにEMカードが発動したからデッキから1枚ドロー‼︎さらに天空の虹彩の効果発動‼︎私は雪の天気模様を破壊してデッキからオッドアイズファントムドラゴンを手札に加えるよ‼︎」

 

「来たね、オッドアイズファントムドラゴン………」

 

降り注いでいた雪が止み、私の手札にファントムドラゴンが手札に加わる。

 

さあ、ショータイムだ‼︎

 

「私は2から5までのモンスターを同時に特殊召喚可能‼︎揺れろ揺れろ、魂の振り子‼︎空に輝け、虹のアーチ‼︎ペンデュラム召喚‼︎飛び出せ、私のモンスター達‼︎」

 

私がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって3つの光が舞い降りる。

 

「まずはEXデッキからご登場‼︎レベル4、 EMペンデュラムマジシャン‼︎」

 

 

〈EMペンデュラムマジシャン〉☆4 魔法使い族 地属性

ATK1500

 

 

最初に現れたペンデュラムマジシャンが夜ちゃんに恭しく頭を下げる。

 

「レベル3、EMリザードロー‼︎」

 

 

〈EM リザードロー〉☆3 爬虫類族 地属性

DEF600

 

 

ペンデュラムマジシャンの横に現れたリザードローはシルクハットを外して一礼する。

 

「お次は手札からの登場です‼︎レベル3、雷天気ターメル‼︎」

 

 

〈雷天気ターメル〉☆3 天使族 光属性

ATK1700

 

 

次に現れたクレヨンのような物を持ち背中に雷を背負ったモンスター。

 

「一気に3体のモンスターをペンデュラム召喚か………流石だね」

 

「EMペンデュラムマジシャンの効果発動‼︎私はEMリザードローとペンデュラムゾーンのEMギタートルを破壊してデッキから EM( エンタメイト)ドクロバットジョーカーと EM( エンタメイト)バリアバルーンバクを手札に加えるよ‼︎」

 

ペンデュラムマジシャンが指を鳴らすと、降っていたリザードローとペンデュラムゾーンギタートルが消え、私の手元に2枚のカードが現れる。

 

「私はEMドクロバットジョーカーを召喚‼︎」

 

 

〈EMドクロバットジョーカー〉☆4 魔法使い族 闇属性

ATK1800

 

 

フィールドに現れたのは帽子を被ったマジシャンのようなモンスター。

 

「EMドクロバットジョーカーの効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時、デッキからEMドクロバットジョーカー以外のEMモンスター、魔術師ペンデュラムモンスター、オッドアイズモンスターの内、いずれか1体を手札に加えるよ‼︎私はデッキから貴竜の魔術師を手札に加えるよ‼︎」

 

「ッ、その魔術師は………」

 

「行くよ、夜ちゃん‼︎私はレベル4、EMペンデュラムマジシャンとEMドクロバットジョーカーでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」

 

「ッ、エクシーズ召喚か‼︎」

 

私が手をかざすとペンデュラムマジシャンとドクロバットが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると白いローブを羽織った魔術師がフィールドに舞い降りる。

 

「笑顔が輝く希望の奇術師‼︎ランク4‼︎ペンデュラムエクシーズモンスター、希望の魔術師‼︎」

 

 

〈希望の魔術師〉★4 魔法使い族 光属性

ATK2500

 

 

「ペンデュラムエクシーズモンスター、だって?」

 

「希望の魔術師の効果発動‼︎スマイルホープ‼︎同名カードの効果は1ターンに1度しか発動できず、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、手札からレベル7以下のペンデュラムモンスター1体を効果を無効にして守備表示で特殊召喚し、その後、表側表示のこのカードを自分のペンデュラムゾーンに置く事ができる‼︎」

 

「ッ、レベル7以下のペンデュラムモンスター………ということは‼︎」

 

希望の魔術師が光り輝き、光の柱が立ち昇る。

 

その光の柱に導かれるように現れたのは骨を想起させる身体を持ち、眼に青い炎が宿った龍。

 

「美しき2色の眼で観客を幻惑せよ‼︎オッドアイズファントムドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズファントムドラゴン〉☆7 ドラゴン族 闇属性

DEF2000

 

 

「そして希望の魔術師自身の効果により、私はフィールドのスケール8、希望の魔術師をペンデュラムスケールにセッティングするよ‼︎」

 

光が弾けると、希望の魔術師が浮かび上がった光の柱に8の数字が刻まれた。

 

「ペンデュラムスケールになるエクシーズモンスターか………だけど、美傘の切り札のオッドアイズファントムドラゴンは守備表示。ボクのモンスター達を倒すこともできないよ」

 

「ふっふっふ、今日の夜ちゃんはせっかちさんだね。まだまだ美傘のショーは始まったばかりだよ‼︎手札を3枚墓地へ送って、魔法カード、 EM( エンタメイト)ポップアップ‼︎同名カードは1ターンに1枚しか発動できず、手札を3枚まで墓地へ送って発動できる。自分はその数だけデッキからドローし、その後、この効果でドローした数まで、自分のペンデュラムゾーンのカード2枚のペンデュラムスケールでペンデュラム召喚可能なレベルを持つ、EMモンスター、魔術師ペンデュラムモンスター、オッドアイズモンスターを同名カードは1枚まで手札から特殊召喚できる‼︎」

 

「ッ⁉︎実質2回目のペンデュラム召喚を行うカードってわけか」

 

「ただし、このカードの効果で特殊召喚しなかった場合、自分は自分の手札の数×1000ライフポイントを失うけどね。私は3枚の手札を墓地へ送ったから3枚のカードをドローする‼︎そして、再び揺れろ、魂の振り子‼︎空に輝け、虹のアーチ‼︎ペンデュラム召喚‼︎飛び出せ、私のモンスター‼︎」

 

私がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって1つの光が舞い降りる。

 

フィールドに舞い降りたのは赤と青の目を持つ巨大な龍。

 

「美しき2色の眼で観客を魅了せよ‼︎ レベル7、オッドアイズペンデュラムドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズペンデュラムドラゴン〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2500

 

 

「オッドアイズペンデュラムドラゴン………美傘のもう1体の切り札か」

 

「お楽しみはこれからだ‼︎墓地に存在する貴竜の魔術師の効果発動‼︎このカードが手札・墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル7以上のオッドアイズモンスター1体を対象として、そのモンスターのレベルを3つ下げ、このカードを特殊召喚する‼︎」

 

「ッ、EMポップアップで墓地に送ってたか………」

 

「私はオッドアイズファントムドラゴンのレベルを3つ下げて貴竜の魔術師を召喚‼︎」

 

 

オッドアイズファントムドラゴン

☆7→4

 

 

〈貴竜の魔術師〉☆3 魔法使い族 炎属性

DEF1400

 

 

現れたのは白いローブを纏った魔法使いのモンスター。

 

「チューナーモンスターか。なら、次にくるのは………」

 

「貴竜の魔術師の効果でこのカードをシンクロ素材とする場合、ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できず、他のシンクロ素材にオッドアイズモンスター以外のモンスターを使用した場合、このカードを持ち主のデッキの一番下に戻るよ。私は、レベル4となったオッドアイズファントムドラゴンに、レベル 3、チューナーモンスター、貴竜の魔術師をチューニング‼︎」

 

貴竜の魔術師が光の輪になり、ファントムドラゴンが小さな星に変わり、光の道になる。

 

そして光の道が輝くと、その中から燃え上がる炎と共にルビーのような体躯を持つ龍が現れた。

 

「シンクロ召喚‼︎観客を魅力し、熱狂の炎を灯せ‼︎オッドアイズメテオバーストドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズメテオバーストドラゴン〉☆7 ドラゴン族 炎属性

ATK2500

 

 

「シンクロの炎のオッドアイズか‼︎」

 

「オッドアイズメテオバーストドラゴンの効果発動‼︎ペンデュラムコネクト‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、自分のペンデュラムゾーンのカード1枚を対象としてそのカードを特殊召喚する‼︎ただし、このターン、このカードは攻撃できなくなる‼︎」

 

「ッ、だけどそのオッドアイズを残させるわけにはいかない‼︎チェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動、閻魔の裁き‼︎相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、そのモンスターを破壊する‼︎」

 

「っ‼︎流石、夜ちゃんだね………」

 

メテオバーストドラゴンの背後に閻魔が現れ、メテオバーストドラゴンを叩き潰す。

 

しかし、破壊されたメテオバーストドラゴンの身体の下から炎の魔法陣が姿を現し、その魔法陣の中から笑顔を浮かべたマジシャンが現れる。

 

「私がペンデュラムゾーンから選択するのはこのカード‼︎デュエルで笑顔を‼︎EMスマイルマジシャン‼︎」

 

 

〈EMスマイルマジシャン〉☆8 魔法使い族 光属性

ATK2500

 

 

「EMスマイルマジシャン………」

 

「EMスマイルマジシャンの効果発動‼︎ハッピースパイラル‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからスマイル魔法・罠カード1枚を手札に加える‼︎私はデッキから魔法カード、スマイルワールドを手札に加えるよ‼︎」

 

「スマイル、ワールド?」

 

「お楽しみは後にとっておかないとね。お次はこの子だ‼︎私は儀式魔法、オッドアイズアドベントを発動‼︎」

 

「ッ⁉︎儀式のオッドアイズまで呼びだすつもりか‼︎」

 

「レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのペンデュラムモンスターをリリースし、自分の手札・墓地からドラゴン族の儀式モンスター1体を儀式召喚する‼︎私は手札のオッドアイズファンタズマドラゴンをリリースし、墓地から儀式召喚を行うよ‼︎」

 

ペンデュラムが飾られた祭壇が現れると私の手札から1体のオッドアイズが光に変わり、ペンデュラムに吸い込まれていく。

 

ペンデュラムが光り輝くと地面の中から岩石覆われたインペリアルトパーズのような体躯を持つ龍が現れた。

 

「儀式召喚‼︎観客を魅力し、その重力で惹きつけろ‼︎オッドアイズグラビティドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズグラビティドラゴン〉☆7 ドラゴン族 地属性

ATK2800

 

 

「儀式の地のオッドアイズ………本当、色んな召喚方法をよくもここまで使いこなせるものだね」

 

「ふふん、美傘さんはやればできる子ですからね‼︎オッドアイズグラビティドラゴンの効果発動‼︎グラビティリッパー‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す‼︎この効果の発動に対して相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない‼︎」

 

グラビティドラゴンが夜ちゃんに向けて両手を振り下ろすと、空間が歪みはじめ、辺りを覆っていた電流が流れる緑色の空間が消え、伏せカードと共に夜ちゃんの手札に戻っていく。

 

「これで厄介なセットカードも無くなった‼︎ さらに魔法カード、ペンデュラムホルト‼︎ 自分のEXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターが3種類以上存在するから自分はデッキから2枚ドローする‼︎そして魔法カード、スマイルワールド‼︎フィールドの全てのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、フィールドのモンスターの数×100ポイントアップする‼︎」

 

「ッ⁉︎全体強化の魔法カード⁉︎」

 

「私のフィールドには、虹天気アルシエル、EMスマイルマジシャン、オッドアイズグラビティドラゴン、オッドアイズペンデュラムドラゴンの4体。夜ちゃんのフィールドには守備表示のモンスターが5体‼︎だからフィールドのモンスターの攻撃力は全て900ポイントアップするよ‼︎」

 

 

虹天気アルシエル

ATK2400→3300

 

 

雷天気ターメル

ATK1700→2600

 

 

EMスマイルマジシャン

ATK2500→3400

 

 

オッドアイズグラビティドラゴン

ATK2800→3700

 

 

オッドアイズペンデュラムドラゴン

ATK2500→3400

 

 

闇より出でし絶望

ATK2800→3700

 

 

デスカイザードラゴン/バスター

ATK2900→3700

 

 

堕ち武者

ATK1700→2600

 

 

シノビネクロ

ATK800→1700

 

 

ヴァンパイアロード

ATK2000→2900

 

 

フィールドに笑顔が描かれた星が散らばると、その星々を見てモンスター達が笑顔を浮かべる。

 

「これで準備は完了‼︎バトル‼︎ オッドアイズペンデュラムドラゴンで闇より出でし絶望を攻撃‼︎螺旋のストライクバースト‼︎」

 

ペンデュラムドラゴンが放つ虹色のブレスが闇より出でし絶望を呑み込み消滅させる。

 

「ッ………」

 

「続けてEMスマイルマジシャンでデスカイザードラゴン/バスターを攻撃‼︎スマイルプレゼント‼︎」

 

スマイルマジシャンがトランプを投げ、デスカイザードラゴン/バスターにトランプが突き刺さると、トランプが煙を立てて消滅し、トランプの代わりに爆弾が現れて爆発し、デスカイザードラゴン/バスターが爆風に包まれた。

 

「くっ………やってくれるね。だけど、破壊されたデスカイザードラゴン/バスターの効果発動‼︎バスターキャストオフ‼︎フィールド上のこのカードが破壊された時、自分の墓地のデスカイザードラゴン1体を選択して特殊召喚できる‼︎」

 

「っ、デスカイザードラゴンが⁉︎………だけど、オッドアイズグラビティドラゴンの永続効果、フォースプレッシャー‼︎このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は500ライフポイントを払わなければ、カードの効果を発動できないよ‼︎」

 

「ッ、そんな効果も持ってたね………だけど、構うもんか。ボクは500ライフポイントを支払い、デスカイザードラゴン/バスターの効果発動‼︎キャストオフだ、デスカイザードラゴン‼︎」

 

 

夜 LP8000→7500

 

 

爆煙を弾き飛ばすように、骸骨で出来た鎧が弾け飛び、爆煙の中からデスカイザーが力強い雄叫びをあげて現れた。

 

 

〈デスカイザードラゴン〉☆6 アンデット族 炎属性

DEF1500

 

 

「デスカイザードラゴンは蘇生されちゃったけど、お楽しみはまだまだこれからだよ‼︎速攻魔法発動‼︎瞬間融合‼︎」

 

「ッ⁉︎融合魔法⁉︎」

 

「自分フィールドに存在から融合モンスターによって決められた融合素材を墓地に送り、EXデッキから融合モンスターを特殊召喚するよ‼︎ただし、この効果で融合召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。私が融合するのはオッドアイズペンデュラムドラゴンと魔法使い族モンスター、EMスマイルマジシャン‼︎」

 

フィールドに現れた渦にスマイルマジシャンを背に乗せたペンデュラムドラゴンが飛び込んでいく。

 

「笑顔を与える魔術師よ‼︎龍の眼に宿て、未知なる世界に笑顔を示せ‼︎」

 

そして渦が爆けるとその中から現れるのは左眼に秘術を宿した叡智の龍。

 

「融合召喚‼︎笑顔の秘術を極めし賢龍‼︎ルーンアイズペンデュラムドラゴン‼︎」

 

 

〈ルーンアイズペンデュラムドラゴン〉☆8 ドラゴン族 闇属性

ATK3000

 

 

「ルーンアイズペンデュラムドラゴン⁉︎ッ、確かそのモンスターは………」

 

「ルーンアイズペンデュラムドラゴンの永続効果、サプライズルーン‼︎このカードは、オッドアイズペンデュラムドラゴン以外の融合素材としたモンスターの元々のレベルによって効果を得る。レベル4以下の魔法使い族モンスターの場合、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃でき、レベル5以上の魔法使い族モンスターの場合、このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる‼︎」

 

「くっ、EMスマイルマジシャンはレベル8………ということは‼︎」

 

「ルーンアイズペンデュラムドラゴンは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できるってわけさ‼︎ルーンアイズペンデュラムドラゴンでデスカイザードラゴンを攻撃‼︎衝撃のファーストバースト‼︎」

 

ルーンアイズの背中にある金色の輪が輝くと、金色の輪から雷の弾丸が放たれ、デスカイザーを一瞬で焼き尽くす。

 

「くっ、すまない、デスカイザードラゴン」

 

「続けて、ルーンアイズペンデュラムドラゴンで堕ち武者を攻撃‼︎劇滅のセカンドバースト‼︎」

 

ルーンアイズの背中にある金色の輪が再び輝くと、金色の輪から雷撃が放たれ堕ち武者を蒸発させる。

 

「ッ………」

 

「ラスト‼︎ルーンアイズペンデュラムドラゴンでヴァンパイアロードを攻撃‼︎瞬光のファイナルバースト‼︎」

 

ルーンアイズの背中にある金色の輪が一際強く耀くと、金色の輪から雷の弾丸と雷撃が放たれ、それに合わせるようにルーンアイズが光のブレスを放ち、ヴァンパイアロードを消滅させた。

 

「雷天気ターメルでシノビネクロを攻撃‼︎ライトニングスタンプ‼︎」

 

ターメルが持っていたクレヨンのような物を投げつけ、シノビネクロを破壊する。

 

「くっ、5体いたボクのモンスターが全滅………やってくれるね」

 

「これで夜ちゃんを守るモンスターはいなくなった‼︎虹天気アルシエルでダイレクトアタック‼︎」

 

「残念だけど通す気はないよ。ボクは500ライフポイントを支払い、墓地から罠カード、もののけの巣くう祠を除外して効果発動‼︎自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象としてそのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する‼︎」

 

 

夜 LP7500→7000

 

 

「っ、墓地から罠⁉︎だけど、それこそ通さなければいいだけ‼︎ 私は虹天気アルシエルの効果を得た雷天気ターメルの効果を発動‼︎アルカンシエル‼︎虹天気アルシエルのリンク先の天気効果モンスターは魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを除外してその発動を無効にし破壊する‼︎私は雷天気ターメルを除外してもののけの巣くう祠を無効にするよ‼︎」

 

ターメルが虹色に輝くと、夜ちゃんの発動しようとしていた祠に突撃し、破壊すると光の中に消えていった。

 

「ッ、防がれたか」

 

「これで虹天気アルシエルの攻撃は防げないよ‼︎撃ち抜け、レインボーティアーズ‼︎」

 

「くっ‼︎」

 

 

夜 LP7000→3700

 

 

アルシエルが虹を模した絵具を向け、7色のレーザーが夜ちゃんを撃ち抜く。

 

私にはまだグラビティドラゴンの攻撃が残っている。

 

グラビティドラゴンの攻撃力は3700。

 

そしてさっきライフポイントを支払ったことで夜ちゃんのライフポイントも残り3700だ。

 

Well then finale( それじゃあフィナーレだよ)‼︎オッドアイズグラビティドラゴンでダイレクトアタック‼︎グラビドンクロー‼︎」

 

グラビティドラゴンが腕を振るうと重力波の斬撃が夜ちゃんに向かって放たれる。

 

しかし、重力波が夜ちゃんを斬り裂く瞬間、夜ちゃんを守るように骨が飛び出した黒豚のモンスターが現れた。

 

「ボクは500ライフポイントを支払い、墓地のタスケルトンの効果発動‼︎モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、墓地のこのカードをゲームから除外し、デュエル中に1度だけ、そのモンスターの攻撃を無効にする‼︎」

 

「っ‼︎墓地誘発のモンスターがいたんだね………」

 

 

夜 LP3700→3200

 

 

重力波を受けてタスケルトンが消滅するが夜ちゃんのライフは削りきれなかった。

 

このターン、私にこれ以上の攻撃は不可能。

 

残った手札を見るがこの状況を打破するものではなく、次のターンを防げるかも怪しい。

 

不安に焦りそうになる心を無理矢理鎮め、顔を振って前を向く。

 

まだデュエルは終わってない。

 

なら、諦める道理はない‼︎

 

「メインフェイズ2‼︎私はカードを2枚伏せてターンエンド‼︎エンドフェイズ、スマイルワールドの効果は消え、瞬間融合で融合召喚されたルーンアイズペンデュラムドラゴンは破壊され、スマイルワールドの効果は切れる」

 

 

虹天気アルシエル

ATK3300→2400

 

 

オッドアイズグラビティドラゴン

ATK3700→2800

 

 

美傘 LP8000 手札0

 

△雷▲▲ー ▽

ーーー○ー

⭐︎ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

夜 LP3200 手札8

 

 

「まさかここまでやられるとはね。正直、侮ってたよ」

 

「むむっ、失礼な。私だって一応プロ決闘者なんだよ?」

 

「そりゃあわかってるけど、普段が普段だからねぇ?」

 

「むわぁー‼︎それは確実に失礼な奴だよ‼︎名誉毀損だよ‼︎」

 

私の猛攻を耐え切った夜ちゃんが苦笑いを浮かべながら私を煽ってくる。

 

だけど、夜ちゃんはすぐに苦笑いを止め、一度目を閉じるとどこか寂しそうな目で私を見た。

 

「だけど、それもここまで。このデュエルはボクが貰う」

 

「っ、私だってそう簡単にはーーー」

 

「いや、勝つのはボクだ。もう、ボクは誰にも負けるわけにはいかないんだ‼︎」

 

「っ‼︎」

 

そういうと、夜ちゃんはどこか悲しげな顔でデッキの上のカードを掴み、勢いよくカードをドローした。

 

「終わらせよう。ボクと美傘の何もかも‼︎ボクのターン、ドロー‼︎ ボクは500ライフポイントを支払い、スタンバイフェイズ、墓地に存在する死霊王 ドーハスーラの効果発動‼︎フィンドリバイヴ‼︎フィールドゾーンに表側表示でカードが存在する場合、自分・相手のスタンバイフェイズ、このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する‼︎」

 

「うなっ⁉︎もう墓地に落ちてたの⁉︎」

 

「蘇れ、死霊王 ドーハスーラ」

 

 

夜 LP3200→2700

 

 

〈死霊王 ドーハスーラ〉☆8 アンデット族 闇属性

DEF2000

 

 

地面に穴が開くとその中から現れたのは髑髏の身体を持つ魔術師のような蛇。

 

「くっ、除外された雷天気ターメルの効果発動‼︎フィールドのこのカードが天気カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに除外されているこのカードを特殊召喚するよ‼︎戻っておいで、雷天気ターメル‼︎」

 

 

〈雷天気ターメル〉☆3 天使族 光属性

DEF0

 

 

「雷天気ターメルが戻ってきたね。だけど、その程度じゃボクは止められないよ‼︎ ボクは500ライフポイントを支払い、手札からリターンオブアンデットと黄金卿エルドリッチを捨てて黄金卿エルドリッチの効果発動‼︎グリードディルジョン‼︎手札からこのカードと魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象としてそのカードを墓地へ送る‼︎対象はオッドアイズグラビティドラゴン‼︎」

 

 

夜 LP3200→2700

 

 

「っ‼︎」

 

「それにチェーンしてボクは500ライフポイントを支払い、死霊王ドーハスーラの効果発動‼︎ゴーストグラジュエイト‼︎死霊王 ドーハスーラ以外のアンデット族モンスターの効果が発動した時に2つある効果から1つを選んで適用する。ただし、このターン、自分の死霊王 ドーハスーラの効果で同じ効果を適用できない。その効果を無効にするか、自分または相手のフィールド・墓地のモンスター1体を選んで除外する‼︎ボクは2つ目の効果で虹天気アルシエルを除外する‼︎」

 

 

夜 LP2700→2200

 

 

「っ、それは通さないよ‼︎虹天気アルシエルの効果を得た雷天気ターメルの効果を発動‼︎アルカンシエル‼︎雷天気ターメルを除外して死霊王ドーハスーラの効果を無効にし、破壊する‼︎」

 

ターメルが虹色に輝きながらドーハスーラに突撃し、その身体を貫いて破壊し、光の中に消えていく。

 

「だけどこれで黄金卿エルドリッチの効果は止められない‼︎オッドアイズグラビティドラゴンは墓地送りだ‼︎」

 

グラビティドラゴンの足元からいきなり金色の腕が生え、グラビティドラゴンを掴むと、そのまま地面の中にグラビティドラゴンを引き摺り込み消えていった。

 

「これでボクの行動を阻むライフ制限は無くなった‼︎まずは魔法カード、三戦の才‼︎同名カードは1ターンに1枚しか発動できず、このターンの自分メインフェイズに相手がモンスターの効果を発動している場合、3つの効果から1つを選択して発動できる‼︎1つ目は自分はデッキから2枚ドローする効果、2つ目は相手フィールドのモンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る効果。3つ目は相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んでデッキに戻す効果だ‼︎」

 

「ええっ⁉︎何そのトンデモ⁉︎全部禁止カードの効果じゃん⁉︎」

 

「ボクは1つ目の効果で2枚ドロー‼︎さらに魔法カード、シャッフルリボーン‼︎自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地のモンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに除外される‼︎甦れ、ヴァンパイアロード‼︎」

 

 

〈ヴァンパイアロード〉☆5 アンデット族 闇属性

DEF1500

 

 

「行くよ、美傘。このカードは通常召喚できず、自分フィールド上に存在するヴァンパイアロード1体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる‼︎ボクはフィールドのヴァンパイアロードを除外する‼︎」

 

「っ、その特殊召喚条件は………」

 

ヴァンパイアロードがマントを翻すと、マントで隠れたヴァンパイアロードの身体が膨れ上がっていく。

 

しばらくしてヴァンパイアロードがいた場所に佇んでいるのは紫色の身体に爪のような物が背中から飛び出した始まりの吸血鬼。

 

「現れろ。全ての吸血鬼を統べる真祖‼︎ヴァンパイアジェネシス‼︎」

 

 

〈ヴァンパイアジェネシス〉☆8 アンデット族 闇属性

ATK3000

 

 

「ボクはカードを1枚セットし、今セットした速攻魔法、アンデットストラグルを墓地に送り、墓地に存在する黄金卿エルドリッチの効果発動‼︎グリーディリバイブ‼︎」

 

「っ⁉︎また⁉︎」

 

「このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送ってこのカードを手札に加え、その後、手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚できる‼︎この効果で特殊召喚したモンスターは相手ターン終了時まで、攻撃力・守備力が1000ポイントアップし、効果では破壊されない‼︎墓地より黄金卿エルドリッチを手札に加え、現れろ‼︎ヴァンパイアグリムゾン‼︎」

 

 

〈ヴァンパイアグリムゾン〉☆5 アンデット族 闇属性

ATK2000→3000 DEF1400→2400

 

 

夜ちゃんの手札から現れたのは死神の鎌を持つ吸血鬼。

 

「まだまだ行くよ‼︎ヴァンパイアジェネシスの効果発動‼︎ソウルサブミット‼︎1ターンに1度、手札からアンデット族モンスター1体を墓地に捨てる事で、捨てたアンデット族モンスターよりレベルの低いアンデット族モンスター1体を自分の墓地から選択して特殊召喚する‼︎ボクは手札のレベル10モンスター、黄金卿エルドリッチを墓地に送って墓地から再び蘇れ‼︎死霊王 ドーハスーラ‼︎」

 

 

〈死霊王 ドーハスーラ〉☆8 アンデット族 闇属性

ATK2800

 

 

「っ、またドーハスーラが………しかも、今度は攻撃表示………っ‼︎」

 

「まだ止まらないよ‼︎速攻魔法、白き宿命のエルドリクシル‼︎同名カードは1ターンに1度、2つある効果の内どちらか1つしか使用できず、自分の手札・墓地からアンデット族モンスター1体を選んで特殊召喚する‼︎ただし、自分フィールドにエルドリッチモンスターが存在しない場合には、この効果でエルドリッチモンスターしか特殊召喚できず、このカードの発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない。墓地より甦れ、黄金卿エルドリッチ‼︎」

 

 

〈黄金卿エルドリッチ〉☆10 アンデット族 光属性

ATK2500

 

 

「それだけじゃないよ。ボクはカードを2枚伏せ、墓地に存在する罠カード、リターンオブアンデットの効果発動‼︎」

 

「っ‼︎さっき黄金卿エルドリッチのコストにしたカード‼︎」

 

「このカードが墓地に存在する場合、除外されている自分のアンデット族モンスター1体を選んでデッキに戻し、このカードを自分フィールドにセットする‼︎ただし、この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。ボクは除外されているゾンビキャリアをデッキに戻してこのカードをセットする。さらに墓地に存在するアンデットストラグルの効果発動‼︎このカードもリターンオブアンデットと同じように除外されている自分のアンデット族モンスター1体を選んでデッキに戻し、このカードを自分フィールドにセットする。ただし、この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。ボクは除外されている馬頭鬼をデッキに戻してこのカードをセットする………そして、カードがセットされたこの瞬間、墓地の EM( エンタメイト)五虹の魔術師の効果発動‼︎」

 

「っ⁉︎そのカードは………‼︎」

 

夜ちゃんの口から飛び出した予想外のカード名に思わず驚きの声を上げる。

 

だって、五虹の魔術師はーーー

 

「………私があげたカード、入れててくれたんだ」

 

「………美傘がくれたカードだからね。無駄にはしたくなかった」

 

「夜ちゃん………」

 

「皮肉なものだよね。そうして美傘が託してくれたこのカードが、このデュエルと、美傘との繋がりに引導を渡す‼︎EM五虹の魔術師の効果発動‼︎このカードが墓地に存在し、自分フィールドに魔法・罠カードがセットされた場合、墓地のこのカードを自分のペンデュラムゾーンに置くよ‼︎」

 

夜ちゃんの右隣に光の柱が立ち上り、その光の中に虹色に輝く魔術師の姿が映る。

 

そしてその魔術師の下には12の数字が浮かぶ。

 

「EM五虹の魔術師のペンデュラム効果により、お互いは自身の魔法&罠ゾーンにセットされているカードの数により効果を適用する。0枚なら自分フィールドのモンスターは攻撃できず、効果を発動できなくなる。そして自分フィールドに4枚以上のセットカードがある時、自分フィールドのモンスターの攻撃力は元々の数値の倍になる‼︎」

 

「っ‼︎」

 

ーーーそして、秘められていた強力な力が解放される。

 

光の柱にいる五虹の魔術師から虹色のオーラが夜ちゃんのモンスター達に放たれ、その身体を包み込んでいく。

 

虹色のオーラに包まれた夜ちゃんのモンスター達は力強い咆哮をあげた。

 

 

黄金卿エルドリッチ

ATK2500→5000

 

 

死霊王 ドーハスーラ

ATK2800→5600

 

 

ヴァンパイアグリムゾン

ATK3000→6000

 

 

ヴァンパイアジェネシス

ATK3000→6000

 

 

「さあ、これで全て終わりにしよう。バトル‼︎ヴァンパイアグリムゾンで虹天気アルシエルを攻撃‼︎ブラッディシックル‼︎」

 

「っ、この瞬間、ペンデュラムゾーンの希望の魔術師の効果発動‼︎ペンデュラムバリア‼︎1ターンに1度、自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、その攻撃を無効にし、その後、このカードを破壊する‼︎」

 

「ッ‼︎攻撃無効のペンデュラム効果があったのか」

 

グリムゾンが鎌を振るい、血の斬撃がアルシエルに向かって放たれるが、光の柱から飛び出してきた希望の魔術師がその攻撃を防ぎ、代わりに破壊される。

 

「なら、ヴァンパイアジェネシスで虹天気アルシエルを攻撃‼︎ブラッディストーム‼︎」

 

「っ、迎え撃って‼︎虹天気アルシエル‼︎レインボーティアーズ‼︎」

 

アルシエルが虹を模した絵具から7色のレーザーをヴァンパイアジェネシスに放つが、ヴァンパイアジェネシスはマントを翻し、その身体を無数の小さな蝙蝠に変えて7色のレーザーを躱しきる。

 

小さな蝙蝠が再び集まり、ヴァンパイアジェネシスが姿を現し、アルシエルに手をかざすと、ヴァンパイアジェネシスの周囲に血で出来た槍が無数に現れ、アルシエルに降り注ぎ、串刺しにした。

 

 

美傘 LP8000→4400

 

 

「これで、全部終わりだ‼︎黄金卿エルドリッチでダイレクトアタック‼︎ゴールデングレイヴ‼︎」

 

「っ、まだ、終わりじゃない‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎スマイルポーション‼︎」

 

「ッ⁉︎スマイルポーション?」

 

「同名カードは1ターンに1度しか発動できず、自分フィールドにモンスターが存在せず、元々の攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターが相手フィールドに存在する場合、自分はデッキから2枚ドローする‼︎」

 

「ドローカード、EM五虹の魔術師の強化が仇に………っ、だけど、今更ドローしたってどうにもならない‼︎運命は何も変わらない‼︎変えられないんだ‼︎」

 

黄金卿の拳が迫る中、勢いよくカードをドローし、ドローしたカードに視線を向けると、夜ちゃんの悲痛な叫びが聞こえてくる。

 

私はそんな夜ちゃんを真っ直ぐに見据える。

 

「夜ちゃんは誰と戦ってるの?」

 

「っ‼︎」

 

「今の夜ちゃんは私を見ているようで見ていない。まるで、私を通してここにはいない誰かと戦ってるみたいだ」

 

私の言葉に夜ちゃんは目を見開く。

 

そう、今の夜ちゃんは私を見ていない。

 

私に誰かを重ね、その誰かに怯え、振り払うように当たり散らす幼子のようだ。

 

「夜ちゃんが何を隠しているかは知らない。過去に何があったかも分からない。だけど、今、夜ちゃんとデュエルしてるのは私だ‼︎見えないどこかの誰かじゃない‼︎エンタメデュエリスト、雨夜美傘だ‼︎」

 

デュエルで皆を驚かせ、笑顔にするエンタメデュエリストである私とデュエルをしていながら、過去ばかりを見て私を全く見ようとしないなんて我慢ならない‼︎

 

私は拳を握りしめて、伏せてあったカードを発動させる。

 

過去( そこ)にいる誰かじゃない‼︎ 現在( ここ)にいる私を見ろ‼︎『眼竜 夜』‼︎手札から魔法カード、死者蘇生を捨てて、リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎決別‼︎」

 

「っ⁉︎決、別………⁉︎」

 

「相手バトルフェイズに手札から魔法カード1枚を墓地へ送り、そのバトルフェイズを終了し、フィールドの表側表示モンスターはターン終了時まで効果が無効化される‼︎」

 

私は振り抜かれた黄金卿の拳をしゃがんで避けると、握りしめた拳を黄金卿に向けて突き上げる。

 

「夜ちゃんの、あほぉ~~~っ‼︎」

 

叫びと共に放った私のアッパーカットを腹部に受けた黄金卿はその場で崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなった。

 

それを見た夜ちゃんは目を見開き、ドーハスーラは震えながらその場に蹲った。

 

「ふぅ〜〜〜これで、夜ちゃんのバトルフェイズは終了‼︎まだデュエルは終わりじゃない‼︎」

 

「………ホント無茶苦茶だ」

 

「忘れちゃったの?無茶苦茶なのが美傘さんのいいとこなんだよ‼︎」

 

そういって胸を張る私を見て、夜ちゃんは一瞬口角を上げたが、すぐに険しい顔をして私を睨んだ。

 

「それでもボクが有利なことには変わりはない。美傘にペンデュラムカードはなく、セットカードもないからモンスター効果はEM五虹の魔術師に無効化される。ボクの有利は覆らない‼︎次のボクのターンで全て終わりだ‼︎ボクはこれでターンエンド‼︎」

 

 

美傘 LP4400 手札1

 

ー雷ーーー ▽

ーーーーー

ー ー

ー○○○○

▲▲▲▲△ ー

 

夜 LP2700 手札0

 

 

「私のターン‼︎」

 

私は気合を入れて状況を整理する。

 

夜ちゃんのフィールドには4体のモンスターが五虹の魔術師に強化されていて、4枚の伏せカードがある。

 

対する私はたった1枚の手札に天空の虹彩、雷の天気模様だけだ。

 

「にひひ、どう見たって私の逆境だよね」

 

圧倒的な逆境。

 

その事実に私は思わず笑顔を浮かべる。

 

そんな私を見て、夜ちゃんは思わずといった風に呟いた。

 

「どうして………」

 

「んぅ?」

 

「どうしてこの状況で笑っていられるのさ」

 

心底理解できないと言うように、呆然とした声で夜ちゃんは言葉を続ける。

 

「美傘にだって分かるでしょ?この状況から逆転できる可能性は限りなく低いって」

 

「………そうかもね」

 

「ならーーー」

 

「だけど、あいにく、エンタメデュエリストってのは諦めが悪くてね。諦めない限り、希望は最後まで消えないんだよ」

 

「ッ………」

 

「それに、まだ夜ちゃんの笑顔を見てないから」

 

「………は?」

 

私の言葉に夜ちゃんはぽかんとした表情を浮かべる。

 

そんな夜ちゃんに、私は目を瞑って大切な記憶を思い出しながら答える。

 

「昔ね、私がプロ決闘者になったばかりで、観客を驚かせて笑顔にさせるようなデュエルが上手く出来なかった時に、私にアドバイスをくれた人がいたんだ。『顰めっ面でデュエルしてても、誰も笑顔になんかならないぜ。誰かを笑顔にしたいなら、まずは自分が笑顔でいないとな』って」

 

「それって………」

 

「私は夜ちゃんにお話しを聞かせてもらって、また一緒に笑ってほしいからこうしてデュエルをしてる。だから、夜ちゃんが心から笑ってくれるまで、私は笑顔でデュエルをするんだ‼︎」

 

目を開け、満面の笑みでそう告げる私を見て、夜ちゃんは拳を握り締めると明らかに怒っている表情で私を見た。

 

「ッ、意味がわかんない………だからって美傘が笑顔でいることと、ボクが笑顔になることにどんな因果関係があるって言うのさ‼︎ボクを馬鹿にしてるの⁉︎」

 

「………」

 

「負けちゃいけなかったのにアイツに負けて‼︎知られたくなかったことを美傘に知られて‼︎こんな気持ちのボクが笑顔になれるわけないじゃないか‼︎能天気でお気楽者のキミに、ボクの………『私』の何が分かるって言うのさ‼︎」

 

ずっと押し込めていた感情を爆発させるように夜ちゃんが目の色を赤く染めながら涙を流して叫ぶ。

 

そんな夜ちゃんに、私ははっきりとした声で告げる。

 

「分からないよ」

 

「………えっ?」

 

「夜ちゃんはズルいよ。なんでもかんでも1人で完結させようとして。自分の物語を勝手に悲しい結末で終わらせようとしてる。そんなんじゃ夜ちゃんが何を考えてるかなんてわかるわけないじゃん‼︎」

 

「ッ………」

 

私の言葉に夜ちゃんが言葉を詰まらせる。

 

「影がない?化け物?だから何さ‼︎そんなことで私が夜ちゃんを見捨てるとでも思ってるの?私と夜ちゃんが過ごしてきた日々は、その程度のことで全部捨てられるようなものだと思ってるの?そっちの方が馬鹿にしてるよ‼︎」

 

「美傘………」

 

私はそんな夜ちゃんに、真剣な表情で自分の胸の内に秘めていた言葉を口に出す。

 

「確かに私はお気楽者だよ。頭は悪いし、空元気だけが得意技。いつも周りの人に助けられて、呆れられてばっかり。だけど、一人くらい何も背負ってないお気楽者がいないと………もしもの時に重荷を一緒に背負ってあげられないじゃん」

 

私の言葉に夜ちゃんは苦しそうに胸を押さえる。

 

そんな夜ちゃんに私ははっきりと胸の思いを形にする。

 

「夜ちゃんにどんな過去があるのか、何を背負っているのか、私は知らないよ。だけど、もしその過去が悲しい雨となって夜ちゃんを濡らすなら、私はその雨を弾く傘になる。夜ちゃんに寄り添って、いつか雨が上がった空に、笑顔っていう名前の虹をかけて、一緒にみたい。私は夜ちゃんの、そんな親友になりたい‼︎」

 

「ッ、美傘………キミは………」

 

「だって私は、眼竜 夜の親友、 雨夜 美傘( ・・ ・・)だもん‼︎」

 

( なみだ)の夜に寄り添う、美しい傘が私なんだから‼︎

 

「だからこそ、夜ちゃんに降り注ぐ悲しい雨は、私が全部弾き飛ばす‼︎ドロー‼︎」

 

私は決意を胸に笑顔でデッキの上のカードを思いきり引き抜いた。

 

「魔法カード、ペンデュラムパラドックス‼︎同名カードは1ターンに1枚しか発動できず、自分のEXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターの中から、ペンデュラムスケールが同じでカード名が異なるモンスター2体を選んで手札に加える‼︎私がEXデッキから手札に加えるのはスケール6のEMギタートルとEMリザードロー‼︎」

 

「ッ‼︎その2枚は………」

 

「私はスケール6のEMギタートルとスケール6のEMリザードローをペンデュラムスケールにセッティング‼︎」

 

再び私を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中にギタートルとリザードローの姿が映り、その下には6の数字が浮かぶ。

 

「EMギタートルのペンデュラム効果発動‼︎もう片方の自分のペンデュラムゾーンにEMカードが発動したため、デッキから1枚ドロー‼︎さらに、EMリザードローのペンデュラム効果発動‼︎このカードを破壊し、デッキからさらに1枚ドロー‼︎よし‼︎魔法カード、貪欲な壺‼︎墓地に存在する虹天気アルシエル、ルーンアイズペンデュラムドラゴンをEXデッキに、晴天気ベンガーラ、雪天気シエル、雨天気ラズラをデッキに戻してシャッフルし、カードを2枚ドロー‼︎さらに天空の虹彩の効果を発動‼︎私は雷の天気模様を破壊してデッキからオッドアイズアークペンデュラムドラゴンを手札に加えるよ‼︎」

 

「手札がどんどん増えて………」

 

「まだまだ‼︎魔法カード、シャッフルリボーン‼︎墓地より舞い戻り、再び熱狂の炎を灯せ‼︎オッドアイズメテオバーストドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズメテオバーストドラゴン〉☆7 ドラゴン族 炎属性

ATK2500

 

 

「墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動‼︎自分フィールドのカード1枚を対象としそのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローする‼︎ただしこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外する‼︎私はフィールドの天空の虹彩をデッキに戻し、カードを1枚ドローする‼︎カードを1枚セットし、魔法カード、ダウジングフュージョン‼︎同名カードは1ターンに1枚しか発動できず、自分の墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する‼︎」

 

「ッ⁉︎墓地融合の融合魔法⁉︎」

 

「ただし、この効果で融合召喚する場合、ペンデュラムモンスターしか融合素材にできない‼︎私は墓地に存在するオッドアイズペルソナドラゴンとEMペンデュラムマジシャンを除外して融合‼︎」

 

私の前に渦が現れ、そこに仮面の龍とペンデュラムマジシャンが吸い込まれていく。

 

そして渦が弾けると、暴風と共にエメラルドのような体躯を持つ龍が現れた。

 

「仮面の龍、振り子の奇術師よ‼︎今交わりて、笑顔を導く力となれ‼︎融合召喚‼︎観客を魅力し、歓声の旋風を巻き起こせ‼︎オッドアイズボルテックスドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズボルテックスドラゴン〉☆7 ドラゴン族 風属性

ATK2500

 

 

「ッ、ボルテックスドラゴン………‼︎」

 

「オッドアイズボルテックスドラゴンの効果発動‼︎サンダーフォールウインド‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象としてそのモンスターを持ち主の手札に戻す‼︎対象は死霊王 ドーハスーラ‼︎」

 

ボルテックスドラゴンがドーハスーラを中心にして高速で旋回すると、ドーハスーラを包み込むように旋風が発生し、周囲の電流が集まりドーハスーラの動きを止める。

 

ドーハスーラはその旋風に吹き飛ばされ、そのまま姿を消した。

 

「くっ………ドーハスーラが‼︎」

 

「これで邪魔者もいなくなった‼︎ 速攻魔法、揺れる眼差し‼︎ お互いのペンデュラムゾーンのカードを全て破壊する‼︎」

 

「なっ⁉︎」

 

フィールドに巨大な眼が現れ、その眼が赤く光と光の柱に包まれていたギタートルと五虹の魔術師が粒子に変わり消滅した。

 

「その後、この効果で破壊したカードの数によって効果を適用する‼︎1枚以上で相手に500ダメージを与え、2枚以上でデッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加えることができ、3枚以上でフィールドのカード1枚を選んで除外でき、4枚でデッキから同名カード1枚を手札に加える事ができる‼︎破壊されたペンデュラムカードは2枚‼︎よって、夜ちゃんに500ポイントのダメージを与え、デッキから EM( エンタメイト)ダクダガーマンを手札に加える‼︎」

 

「くっ‼︎」

 

 

夜 LP2700→2200

 

 

「さらに、EM五虹の魔術師が破壊されたことで夜ちゃんのモンスターの強化は解かれる‼︎」

 

 

黄金卿エルドリッチ

ATK5000→2500

 

 

ヴァンパイアグリムゾン

ATK6000→3000

 

 

ヴァンパイアジェネシス

ATK6000→3000

 

 

虹色のオーラが弾け、夜ちゃんのモンスター達の力が弱まっていく。

 

「私はスケール2のEMダクダガーマンとスケール8のオッドアイズアークペンデュラムドラゴンをペンデュラムスケールにセッティング‼︎」

 

再び私を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中にシルクハットを被りダガーを手にした奇術師と、オッドアイズの姿が映り、その下には2と8の数字が浮かぶ。

 

「EMダクダガーマンのペンデュラム効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードを発動したターンの自分メインフェイズに自分の墓地のEM モンスター1体を対象としてそのモンスターを手札に加える‼︎私は墓地のEMドクロバットジョーカーを手札に加えるよ‼︎さらにリバースカードオープン‼︎魔法カード、ペンデュラムホルト‼︎自分のEXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターが3種類以上存在するため、カードを2枚ドローする‼︎」

 

「ッ⁉︎まだドローカードが残って………⁉︎」

 

「これで準備は整った‼︎魔法カード、ペンデュラムエクシーズ‼︎同名カードは1ターンに1枚しか発動できず、自分のペンデュラムゾーンのカード2枚を対象として発動できる‼︎そのカード2枚を効果を無効にして特殊召喚し、そのモンスター2体のみを素材としてエクシーズモンスター1体をエクシーズ召喚する‼︎その際、オーバーレイユニットとするモンスター1体のレベルは、もう1体のモンスターと同じレベルとして扱う事ができる‼︎」

 

「なっ⁉︎ペンデュラムスケールからエクシーズ召喚だって⁉︎」

 

「私はペンデュラムスケールからオッドアイズアークペンデュラムドラゴンとEMダクダガーマンを特殊召喚‼︎」

 

 

〈オッドアイズアークペンデュラムドラゴン〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2700

 

 

〈EMダクダガーマン〉☆5 戦士族 地属性

ATK2000

 

 

「そして私はレベル7、オッドアイズアークペンデュラムドラゴンとレベル5、EMダクダガーマンをレベル7として扱い、オーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」

 

 

EMダクダガーマン

☆5→7

 

 

私が手をかざすとアークペンデュラムドラゴンとダクダガーマンが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると吹き荒れる吹雪と共にサファイアのような体躯を持つ龍が現れた。

 

「観客を魅力し、銀雪の輝きを見せよ‼︎オッドアイズアブソリュートドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズアブソリュートドラゴン〉★7 ドラゴン族 水属性

ATK2800

 

 

「ッ、オッドアイズアブソリュートドラゴンまで………だけど‼︎そのオッドアイズ達でも、ボクのモンスターを倒しきってボクを倒すことなんてーーー」

 

「まだ終わりじゃない‼︎夜ちゃんに見せてあげる‼︎私の本当のとっておきを‼︎私は自分フィールドのドラゴン族の融合モンスター、オッドアイズボルテックスドラゴン、ドラゴン族シンクロモンスター、オッドアイズメテオバーストドラゴン、ドラゴン族エクシーズモンスター、オッドアイズアブソリュートドラゴンをリリース‼︎」

 

「ッ⁉︎せっかく出したオッドアイズ達をリリース⁉︎」

 

ボルテックスドラゴン、メテオバーストドラゴン、アブソリュートドラゴンが光の球に代わり重なり合って私の手に集まる。

 

Ladies and() Gentlemen()‼︎ お待たせ致しました‼︎今宵ご覧にいただくのは、2色の眼を持つ龍達が生み出す奇跡の光‼︎瞬き厳禁‼︎どうかお見逃しがないようにご覧ください‼︎」

 

私は集まった光の球を見て不敵に笑うと、勢いよく光の球を空に向かって放り投げる。

 

光の球は輝きを増しながら空へと昇り、勢いよく弾けると、弾けた光の中から巨大な何かがフィールドに降り立つ。

 

「鮮やかな理想を示す進化の輝き‼︎今降り注ぎ、新たな奇跡の扉を開け‼︎」

 

フィールドに降り立ったのは3つの輪を背負い、金色の角に2色の眼を持つ巨大な銀龍。

 

「これが私のとっておき‼︎天衣無縫の進化を遂げた奇跡のオッドアイズ‼︎さぁ、驚け‼︎超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴン‼︎」

 

 

〈超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴン〉☆12 ドラゴン族 光属性

ATK?

 

 

「レベル12のオッドアイズ⁉︎」

 

「超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴンの永続効果、ライフリンクレボリューション‼︎このカードの攻撃力・守備力は相手のライフポイントの半分の数値分アップする‼︎夜ちゃんのライフポイントは2700‼︎よって、超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴンの攻撃力、守備力は1350ポイントアップする‼︎」

 

 

超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴン

ATK?→1350 DEF?→1350

 

 

「攻撃力1350?そんな攻撃力じゃボクのモンスターを倒すこともできないじゃないか‼︎そんなモンスターでーーー」

 

「ちっちっち‼︎気が早いね、夜ちゃんは。お楽しみはこれからだよ‼︎」

 

「ッ‼︎」

 

「自分のライフポイントを半分払い、超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴンの効果発動‼︎」

 

 

美傘 LP4400→2200

 

 

「1ターンに1度、ライフポイントを半分払って発動できる‼︎このカード以外のお互いのフィールド・墓地のカードを全て持ち主のデッキに戻す‼︎」

 

「なっ⁉︎全てのカードをデッキに⁉︎っ、チェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎リターンオブアンデット‼︎フィールドのアンデット族モンスター1体を選んで除外し、その後、そのコントローラーの墓地からアンデット族モンスター1体を選び、その持ち主のフィールドに守備表示で特殊召喚する‼︎これで墓地から墜ち武者を出せばーーー」

 

「ライフポイントを半分払い、手札からカウンター罠発動‼︎レッドリブート‼︎」

 

「ッ⁉︎その、カードは………⁉︎」

 

 

美傘 LP2200→1100

 

 

「相手が罠カードを発動した時に発動できる‼︎その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする‼︎その後相手はデッキから罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。ただしこのカード発動後、ターン終了時まで罠カードは発動できないけどな………なーんてね。 It's Showtime( さあ、ショータイムだ)‼︎ レッドリブートによりリターンオブアンデットの効果が無効‼︎そして、超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴンの効果発動‼︎悲しい過去も、 現実( いま)も‼︎全てを巻き戻し、世界の全てをひっくり返せ‼︎ワールドイリュージョン‼︎」

 

オッドアイズレボリューションが咆哮を上げると、眩い光が世界を照らし、全てのカードがデッキの中に戻っていく。

 

「ボクのカードが全部デッキに………」

 

「私はEMドクロバットジョーカーを召喚‼︎」

 

 

〈EMドクロバットジョーカー〉☆4 魔法使い族 闇属性

ATK1800

 

 

「バトル‼︎ 超天新龍オッドアイズレボリューションドラゴンでダイレクトアタック‼︎驚天のエンドロールバースト‼︎」

 

 

夜 LP2700→1350

 

 

「ぐっ‼︎」

 

オッドアイズレボリューションの光のブレスが夜ちゃんのライフを削り取る。

 

Well then finale( それじゃあフィナーレだよ)‼︎ EMドクロバットジョーカーでダイレクトアタック‼︎」

 

「ッ‼︎」

 

ドクロバットが勢いよく夜ちゃんに向かって走りだし、あまりの勢いに夜ちゃんが思わず目を瞑る。

 

少しの間目を瞑っていた夜ちゃんが恐る恐る目を開けると、夜ちゃんの目の前で止まったドクロバットは夜ちゃんの目に溜まっていた涙を指で拭った。

 

「ドクロバットスティール………夜ちゃんの涙は、私がいただいたよ‼︎」

 

 

夜 LP1350→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

立体映像が消えていき、風景が雨の中の闇夜の屋上に戻り、夜ちゃんが屋上に座り込む。

 

私はデュエルディスクをしまうと、座り込んだ夜ちゃんに近づき、正面にしゃがみ込む。。

 

「私の勝ちだよ、夜ちゃん」

 

「………………うん、ボクの負けだ」

 

夜ちゃんは呆然としたように呟くと、強張らせていた身体の力を抜いた。

 

「まさか、お気楽者の美傘に負けるなんてね。ボクもまだまだだな」

 

「えへへ、お気楽者にはお気楽者の強さがあるんだよ‼︎思い詰めやすい人には何倍もの効力を発揮しちゃうんだよ‼︎どやぁ‼︎」

 

「………………」

 

「ひゃうっ‼︎い、痛たたたた‼︎無言でほっぺたつねるのやめて‼︎ごめん‼︎ごめんって‼︎」

 

「ふっ………全く、キミって奴は………」

 

調子に乗ってドヤ顔を浮かべた私の頬を無言で引っ張っていた夜ちゃんは、涙目の私を見て呆れたように笑った。

 

そんな夜ちゃんを見て、私もようやく安心して笑顔を浮かべる。

 

「ようやく、笑ってくれた」

 

「ッ‼︎あ………」

 

「やっぱり、夜ちゃんはそうやって笑ってくれてた方がいいよ。悲しい顰めっ面でこーんな顔してるより、にっこにこの笑顔の方が私は嬉しいよ」

 

そういって自分の頬を引っ張りながら笑いかけると夜ちゃんの目から涙が溢れ出す。

 

そんな夜ちゃんの身体を私は優しく抱き締める。

 

「夜ちゃんが何を隠してたかなんて、馬鹿でお気楽者な私にはわからない。でも、そんな馬鹿な私でもこれだけはわかる。例え、夜ちゃんが何者だとしても………眼竜 夜は雨夜 美傘の親友なんだよ。それだけは、絶対に間違いなんかじゃないから」

 

「ッ………み………かさ………‼︎」

 

「わっ‼︎」

 

夜ちゃんに正面から抱きつかれ、私は夜ちゃんに押し倒されるように屋上に倒れ込む。

 

「ごめん………ごめんね………美傘………ボクは………『私』は………」

 

ポロポロと涙を流しながら私に抱きつく夜ちゃんを落ち着かせるように私は夜ちゃんの背中を優しく叩く。

 

「大丈夫。聞かせて、夜ちゃんのこと。私、もっと夜ちゃんのこと、知りたいよ」

 

「ッ………うん………わかった」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ーーーこれが、ボクの全て。ボクが絶対に果たさないといけない贖罪なんだ」

 

「………そっか」

 

降り続く雨にうたれながら、夜ちゃんと2人で空を見上げて横になっていた私は目を閉じる。

 

そんな私を見て、夜ちゃんは身体ごと顔を背けて身体を震わせる。

 

真実を知った私がどんな反応をするのかが怖いのだろう。

 

確かに、夜ちゃんが話してくれた真実はそれ程の重さがある………だけど、それだけだ。

 

私は閉じていた目を開けると顔を背けている夜ちゃんの身体を後ろから抱きしめた。

 

「話してくれてありがとう、夜ちゃん。やっぱり、夜ちゃんはすごいね」

 

「………えっ?」

 

私の言葉に夜ちゃんは呆然とした声を出す。

 

「そんな重たいものをたった1人で背負ってきたんだもん。辛くて、苦しかったハズなのに、その重さを投げ出さずに、たった1人で」

 

夜ちゃんの身体を優しく抱きしめながら、私は強く拳を握る。

 

どこまでも重く残酷な真実を、この小さな身体で今まで背負ってきたことが私の胸を刺す。

 

だけど、それも今日までだ。

 

「だから、その重さ、私にも一緒に背負わせてね。そのためのお気楽者なんだよ、美傘さんは」

 

「美傘………ッ‼︎」

 

私の言葉に夜ちゃんは身体をこちらに向けて私の身体を抱きしめる。

 

「夜ちゃんが何者だろうと、私にとって夜ちゃんは夜ちゃんだよ。私の大親友、眼竜 夜だから」

 

「ッ、うっ、ぁぁ‼︎」

 

「夜ちゃんの身体を濡らす( あめ)を弾けるように、私はいつだって、側にいるよ」

 

「う、ん………うん………ッ‼︎」

 

私の言葉に夜ちゃんが涙で顔を歪めながらも、不器用な笑みを浮かべる。

 

すると、そんな夜ちゃんの心を写すように空から降り注いでいた雨が止んでいき、雲の隙間から月明かりが私達を照らし出す。

 

私は雨上がりの空を見上げながら、満面の笑みで夜ちゃんに笑いかける。

 

「ほら、雨、止んだでしょ?止まない雨なんて、この世界にはないんだから」




次回予告

レイナに敗北した遊花は、レイナとデュエルしたことと知らない内に手に入れた白紙のカードのことについて、遊騎達を心配させないために相談できず、思い悩んでいた。
思い悩みながらも普段通りに闇への挑戦権をかけたデュエルを行っていた遊花に、期末試験で遊花と苛烈なデュエルを繰り広げた神路祇が闇への挑戦権をかけてデュエルを申し込む。
デュエルを受けた遊花だったが、神路祇の顔には悪辣な笑みが浮かべられていて………


次回 遊戯王Trumpfkarte
『蠱毒に巣食うモノ』


次回は遊花のデュエル回です。
遊花視点でお送りする予定です。
次回をお楽しみに。

今回は美傘と夜のデュエル回でした。
正直今回のデュエルはかなり難産でした。
主にデュエル描写を書いてる際にオッドアイズと天気とヴァンパイアの新規がきたので。
内容を書き直そうかも考えましたが、ただでさえ更新が滞ってるのにこれ以上伸ばしてもと思い最初に書いた内容を何回か調整しながら今回のデュエルになりました。
なんか内容が変なところがあったら申し訳ないです。
夜の秘密についても今回は詳しく語りません。
またいずれ。
とりあえず今回はここまで。
仕事がかなり忙しく、なかなか執筆時間が取れませんがゆっくりとでも書けていけたらなと思います。
また次回。
ではでは〜
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