皆さんお久しぶりです。
なんとか生きてましたブレイドJです。
更新が大変遅くなってしまい申し訳ありません。
『遊戯王Trumpfkarte』も4周年‼︎
というわけで番外編です‼︎
今回は桜視点で進んでいきます。
本編開始前、デュエルアカデミア高等部に入ったばかりの桜の物語です。
●
『ねぇ、そこでなにしてるの?』
水色のリボンをつけた少女が不機嫌そうな顔をした少女に話しかける。
『なによ、わたしになにかよう?』
『むこうであそばないの?むこう、おともだちがたくさんいるよ?』
『いないわよ、おともだちなんて』
『いないの?』
『あいつら、わたしのことばかにするし。なんでおまえには"ぱぱ"がいないんだって。だから、あんなやつら、しらないわ』
『そうなんだ』
そういうとリボンをつけた少女は不機嫌そうな少女の隣に座り込んだ。
能天気な顔をして座り込む少女に不機嫌そうな少女は思わず、むっとして怒鳴り声をあげる。
『なんなのよ‼︎わたしにようがあるわけじゃないんでしょ⁉︎さっさとどっかいきなさいよ‼︎』
『?なんで?』
『あんたもどうせわたしのことをばかにするんでしょ‼︎』
『??なんでばかにするの?』
『なんでって、ばかにしてんの⁉︎』
『???ゆうか、ばかにしてないよ?』
『あーもう‼︎なんなのよあんたは‼︎』
『?ゆうかはゆうかだよ?』
『なまえをきいたんじゃないわよ‼︎』
リボンをつけた少女は不機嫌そうな少女がどれだけ敵意を見せても怯まず、首を傾げる。
不思議そうに首を傾げる少女の姿に、ついには不機嫌そうな少女の方が泣き出してしまう。
『どうしたの?どこかいたいの?』
『いたい、わけじゃ、ない、わよ‼︎』
『えっと、えっと、いたいの、いたいの、とんでけー?』
『だから、いたいんじゃ、ない、わよー‼︎』
『でもでも、ないてるし。あのあの、なかないで?ぎゅー‼︎いいこいいこ』
突然泣き出した少女を、リボンをつけた少女は心配そうに抱き締めながら頭を撫でる。
『うわ、ああああああ‼︎』
『だいじょうぶ、だいじょうぶだよー』
『ああああああ‼︎』
『ゆうかがいっしょにいるよーだから、だいじょうぶだよーいたくないよー』
保育園の先生が近づいてくるまで、不機嫌そうな少女はリボンをつけた少女に抱きしめられながら泣き続けた。
これが私達の始まり。
私達の最初の物語。
そしてーーー
ーーーーーーー
「ーーーーお…て……ら……ん‼︎」
朦朧とする意識の中、誰かの声が遠くで聞こえる。
心地よい揺れに優しい声が私を呼んでいる。
「はや……お……いと………し…ゃ…よ‼︎」
揺れはどんどん激しくなり、声もだんだん焦ったような声に変わっていく。
「もう‼︎起きて、桜ちゃん‼︎遅刻しちゃうよ‼︎」
そんな声が響いたと思うと、眩しい光が私に降り注いだ。
「ひゃっ‼︎………も〜なによ〜?」
あまりの眩しさに汗で張り付いた髪を掻き上げ、ベッドから起き上がる。
寝ぼけ眼を擦りながら起き上がった私が目にしたのはーーー
「あ、やっと起きた。相変わらず寝坊助さんだね。おはよう、桜ちゃん」
ーーー太陽のように眩しい笑顔を浮かべる私の親友ーーー栗原 遊花がそこにいた。
「遊花………?おは………よぅ?」
「早く着替えないと遅刻しちゃうよ?今日から本格的に高等部の講義も始まるんだし」
遊花の言葉がまだ寝ている頭の中を素通りしていく。
遊花の言ってることの意味を頭が理解できない。
「ん〜まだ、ねむぃ………」
「わわっ、二度寝しようとしちゃダメだよ‼︎もう、桜ちゃんったら。ほら、着替えて着替えて‼︎」
「ん〜遊花………着替えさせて〜………むにゅ」
「………もう、仕方ないなぁ、桜ちゃんは」
もう一度布団の中に入ろうとする私を遊花は苦笑しながら引っ張り起こし、ベッドの縁に座らせるとクローゼットの中から私の制服を取り出してくる。
「ほら、パジャマ脱いで」
「んゆぅ………」
「はい。制服に袖を通して………ボタンもして………髪も梳いてくね」
「ん〜」
遊花にされるがままにされながら、私は朝の支度をしていく。
結局、意識がしっかりと覚醒し、遊花が自分の家の中にいたことの違和感に気づいたのは遊花に手を引かれデュエルアカデミアに着いた時だった。
ーーーーーーー
「ごめん‼︎遊花‼︎朝からいっぱい迷惑かけちゃって………」
「大丈夫、気にしてないよ。桜ちゃんは昔から朝弱いもんね」
私の隣の席に座り、微笑ましげに笑う遊花に私はがっくりと肩を落とす。
起こしてもらうところから始まり、着替えにご飯、登校まで遊花の手を煩わせてしまうなんて本当に自分が情けない。
「お仕事に行こうとしてた睡蓮さんにお家に入れて貰ってよかったよ。あのまま寝過ごしちゃったら遅刻してたもんね」
「うぐぅ………否定できる要素がないわ」
「まぁ、間に合ったんだし結果オーライだよ。高等部の初講義で遅刻したらすごく目立ったと思うし」
「そうね………本当にいつもありがとね、遊花」
「ふふっ、どういたしまして」
柔らかく笑う遊花を見て、私は内心ため息を吐いた。
私の親友であり幼馴染の少女、栗原 遊花はとても心優しい少女だ。
いつも太陽の下に咲き誇る花のような柔らかい笑顔を浮かべ、困っている人を放っておけないお人好し。
素直で大人しい性格ではあるけれど、心にしっかりとした芯を持っていて1度決めたことは絶対に曲げないほど強い意志を持っている。
私が知る中で誰よりも強く優しい女の子。
保育園の頃、父親がいないことでいじめられていた私の側にいつもいてくれて、私のことを馬鹿にするいじめっ子達に玩具を投げつけられて怪我をしようが一歩も引かずに私を護ってくれた。
『ゆうか‼︎もういい‼︎もういいから‼︎このままじゃゆうかがいっぱいけがしちゃう‼︎』
『だいじょうぶ。へいき、へっちゃら。だから、しんぱいしないで』
『なんだよ、おまえ‼︎』
『おれたちにたてつくなんて、なまいきなんだよ‼︎』
『おまえにはかんけいないだろ‼︎ひっこんでろよ‼︎』
『かんけいなくない‼︎さくらちゃんは、ゆうかのおともだちだもん‼︎ゆうかのおともだちに、ひどいことしないで‼︎』
どんなに怪我をしようと、どんなに馬鹿にされようと、私を庇うように両手を広げて一歩も引かない遊花の姿は今でも鮮明に覚えている。
その内いじめっ子達の攻撃の矛先はいつも私を庇う遊花にむいていってーーー
『ゆうか‼︎ごめんね、わたしのせいで、ゆうかが………‼︎』
『えへへ、だいじょうぶ。へいき、へっちゃらだよ。さくらちゃんがけがしなくてよかった』
たくさん怪我をしたハズなのに、私を見て柔らかく笑う遊花を見て、私は強くならなきゃって強く思った。
私のせいで遊花が傷つくことがないように。
遊花が傷つきそうになった時、今度は私が遊花を守れるようになるように。
『ゆうかのおとうさん‼︎』
『ああ、桜君か。遊花から話は聞いたよ。怪我がなくてよかったーーー』
『わたしを、つよくしてください‼︎』
『ーーーえっ?』
『わたし、つよくなりたい‼︎わたしをまもってくれるゆうかをまもれるように、つよくなりたいの‼︎だから、わたしをつよくしてください‼︎』
『え、ええっと………』
『でゅえるでも、けんかでも、ゆうかのてきはわたしがぜんぶぶっとばすの‼︎だからおねがいします‼︎』
『………よわったなぁ。あまり物騒なことを子供に教えたくはないんだが………意志は硬いみたいだしねぇ』
子供ながらの無茶苦茶な言葉で、無茶苦茶なお願いを遊花のお父さんーーー栗原 遊翼さんは困った顔をしながらも聞いてくれて………
『うわっ⁉︎』
『ぎゃあ‼︎』
『い、いてぇよ〜‼︎』
『ふん。あんたたち』
『ひっ‼︎』
『ゆうかにてをだしたら、こんどはこんなものじゃすまさないから。さっさとうせなさい‼︎』
『ひ、ひぃ〜‼︎』
『ま、まてよ‼︎』
『うぇーん‼︎まま〜‼︎』
いじめっ子達を返り討ちにできるぐらい、私は強くなった。
だけどーーー
『さ、さくらちゃん‼︎だいじょうぶ⁉︎』
『このぐらい、へいきよ………って、ゆ、ゆうか⁉︎』
いじめっ子達との喧嘩で傷だらけになった私を、遊花は優しく抱き締めてくれて。
『いたかったよね。たたかれたのも、たたくのも』
『えっ?べつに、わたしはいたくなんて………』
『だいじょうぶ、だいじょうぶだよー』
『ゆう………か』
『ゆうかがいっしょにいるよーだから、かなしいかお、しないで?だいじょうぶだよーいたくないよー』
『うわ、ああああああ‼︎』
結局、また護られたのは私の方だった。
誰かと戦うことの恐怖を、傷つけることの恐怖を、私の心を、遊花は優しく抱きしめて護ってくれた。
「?桜ちゃん、どうかした?」
「っ、何でもないわ」
「そう?調子悪いなら言ってね?」
「えぇ、ありがと、遊花」
過去を思い返し、無意識のうちに遊花を見つめていた私は首を振って笑顔を作る。
小さな身体に、どこまでも大きな優しさと強さを秘めた私の親友。
その優しさに、私は何度も護られてばかりだ。
だからせめて、遊花のその優しさと笑顔が失われないようにしたい。
今日から高等部の生活が本格的に始まる。
中等部の時と違ってケルンの外から進学してきた人間もいる。
中等部の頃までいた連中は………まぁ、
だからこそ、大切な親友を守れるように気をつけないとね。
私は拳を硬く握りながら決意を新たにするのだった。
ーーーーーーー
「ーーーというわけで、今日のデュエル学実技の時間は皆さんの顔合わせもかねてデュエルをしてもらいます」
新たに始まった高等部の学園生活。
その最初のデュエル学の時間に先生から言われたのはそんな言葉だった。
「皆さんの中には中等部から上がってきた人やケルンの外部から来た人など様々な人がいると思います。これから3年間続く高等部で過ごしていく仲間がどのような人達なのか今日のデュエルで感じて貰いたいと思います。組み合わせは私が名簿からランダムに決めてあるので呼ばれた人から順番に出てきてください」
先生がそういって何人かの生徒の名前を呼び上げていき、デュエルスペースへと移動してデュエルを始めていく。
ふと、隣を見ると遊花がとてもわくわくした表情で行われているデュエルを眺めていた。
私はそんな遊花の姿に思わず笑みをこぼしながら口を開く。
「楽しそうね、遊花」
「うん‼︎だって、今まで見たことがない色んな人のデュエルが見れるんだもん‼︎どんな戦術を使う人達がいるのかすごーく楽しみ‼︎」
そういって目をキラキラと輝かせながら食い入る様にデュエルを観戦する遊花。
本当に、この子はデュエルが好きなんだから。
きっと彼女の父親である遊翼さんがプロ決闘者だって言うのも理由なのだろうけれど、それを踏まえても遊花のデュエルに対する熱意は凄まじかった。
中等部の頃もどんなに強い相手に打ちのめされても楽しそうにデュエルをしていたし、遊花の笑顔が最も輝くのはデュエルをしている時と言ってもいい。
そんな遊花はデュエルの成績も非常によく、悪く見積もっても中の上。
贔屓目に見なくても十分に成績上位陣に通用する実力者だった。
「わぁ‼︎見て見て、桜ちゃん‼︎あのドラゴンすっごくカッコいいよ‼︎ 空牙団?って言うんだって‼︎いいなぁ、私もデュエルしてみたいなぁ………」
「ふふっ、もう、遊花ったら」
そういって屈託ない笑顔を浮かべる遊花に私は苦笑を浮かべる。
その遊花がデュエルをしたいって言ってる相手はどう見ても不良といった態度を隠そうともしてないような奴なのに全く気にした様子がない。
本当に、いつまで経っても変わらないんだから。
「ーーー次、出席番号98番。栗原 遊花さん。出てきてください」
「あ、私の番だ‼︎」
先生に名前を呼ばれた遊花がとても嬉しそうな表情を浮かべる。
そんな遊花に私は右手を握りながらジャブを打つように突き出した。
「頑張ってね、遊花。外から来た奴らの度肝を抜くようなデュエルをかましてきなさい」
「そ、そんなにすごいデュエルができるかはわからないけど………うん、頑張ってくるね‼︎」
私の突き出した拳に控えめに拳を当ててから遊花は楽しそうな笑顔を浮かべてデュエルスペースに移動していく。
同じように遊花がいるデュエルスペースに1人の男子生徒が入っていく。
見覚えがないから、恐らくは外部から入学した生徒だろう。
というよりは、恐らく外部と繰り上がり組で当たるように組み合わせられてるのね。
そんなことを考えながらデュエルスペースに移動した遊花を見る。
遊花は楽しそうな笑みを浮かべているが、男子生徒は明らかにそんな遊花を見て見下すような表情を浮かべている。
「栗原 遊花です‼︎よろしくお願いします‼︎」
「ふん、見るからに弱そうな奴だ。これは楽勝だな」
………デュエルの結果がどうであれ、アイツはシメた方が良さそうね。
まあ、デュエルが始まる前からあんなこと言ってる奴が遊花に勝てるとも思わないけど。
明らかに侮りを隠さない男子生徒を相手にしても遊花は気にせずにデュエルディスクを起動する。
さぁ、遊花。
遊花のデュエル、遊花を舐めてる奴らに見せつけてやりなさい‼︎
「いきます‼︎」
「すぐに終わらせてやるよ‼︎」
『決闘‼︎』
遊花 LP8000
男子生徒 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は貰います‼︎ 私はクリバンデッドを召喚します‼︎」
〈クリバンデッド〉☆3 悪魔族 闇属性
ATK1000
遊花の前に現れたのは盗賊のような姿をした黒い毛玉のモンスター。
凄く好戦的にぴょんぴょんと跳ねながら男子生徒を見て手を振り威嚇をしている。
「私はカードを2枚伏せて、エンドフェイズにクリバンデッドの効果発動‼︎このカードをリリースしてデッキの上から5枚めくり、その中から魔法・罠カード1枚を手札に加えて残りを墓地におきます」
ぴょんぴょん跳ねていたクリバンデッドの姿が消える。
その代わりに遊花はデッキの上から5枚のカードをめくって中から1枚のカードを手札に加えた。
「私は増殖の魔法カードを手札に加えてターンエンドです」
遊花 LP8000 手札3
ーー▲▲ー ー
ーーーーー
ー ー
ーーーーー
ーーーーー ー
男子生徒 LP8000 手札5
「俺のターン、ドロー‼︎お前なんかさっさと潰してやる‼︎まずは速攻魔法、手札断殺‼︎お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後、それぞれデッキから2枚ドローする‼︎手札を2枚墓地へ送り2枚ドロー‼︎」
「私も手札を2枚墓地へ送り2枚ドローします‼︎」
「さらに魔法カード、おろかな埋葬‼︎ デッキからモンスター1体を墓地へ送る‼︎俺はデッキから化合獣オキシンオックスを墓地へ送る‼︎そして魔法カード、トライワイトゾーン‼︎ 自分の墓地のレベル2以下の通常モンスター3体を対象としてそのモンスターを特殊召喚する‼︎墓地より蘇れ、化合獣オキシンオックス‼︎ 化合獣カーボンクラブ‼︎ 化合獣ハイドロンホーク‼︎」
〈化合獣オキシンオックス〉☆2 獣族 風属性
DEF2100
〈化合獣カーボンクラブ〉☆2 水族 炎属性
DEF1400
〈化合獣ハイドロンホーク〉☆2 鳥獣族 水属性
ATK1400
男子生徒の墓地から3体の化合獣が現れる。
「一気にモンスターが3体………しかも出てきたあのモンスター達は確か………」
「くっくっくっ、お前にこのデッキの恐ろしさを見せてやる‼︎速攻魔法、フォースリリース‼︎ このカードの発動時に自分フィールド上に表側表示で存在する全てのデュアルモンスターは再度召喚した状態になる‼︎」
「っ、やっぱりデュアルモンスターですか………」
「ただし、この効果を適用したモンスターはエンドフェイズ時に裏側守備表示になるがな。さあ、目覚めよ‼︎化合獣達よ‼︎
化合獣達の身体を光が包み込み、光が霧散すると化合獣達が咆哮を上げた。
「化合獣カーボンクラブの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、デッキからデュアルモンスター1体を墓地へ送り、その後、デッキからデュアルモンスター1体を手札に加える‼︎俺はデッキから進化合獣ヒュードラゴンを墓地に送り、進化合獣ダイオーキシンを手札に加える‼︎さらに化合獣オキシンオックスの効果発動‼︎ 手札からデュアルモンスター1体を特殊召喚し、自分フィールドの全てのデュアルモンスターのレベルはターン終了時まで、この効果で特殊召喚したモンスターの元々のレベルと同じになる‼︎現れろ、進化合獣ダイオーキシン‼︎」
〈進化合獣ダイオーキシン〉☆8 悪魔族 闇属性
ATK2800
化合獣オキシンオックス
☆2→8
化合獣カーボンクラブ
☆2→8
化合獣ハイドロンホーク
☆2→8
オキシンオックスが吠えると、牛の角と蟹の身体を持つ悪魔が現れる。
「レベル8モンスターが4体⁉︎」
「まだだ‼︎手札を1枚捨てて化合獣ハイドロンホークの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、手札を1枚捨て、自分の墓地のデュアルモンスター1体を対象としてそのモンスターを守備表示で特殊召喚する‼︎甦れ、進化合獣ヒュードラゴン‼︎」
〈進化合獣ヒュードラゴン〉☆8 ドラゴン族 水属性
DEF2800
ハイドロンホークが嘶くと三つ首の水竜が現れた。
「っ、また⁉︎」
「さあ、行くぜ‼︎結合せよ‼︎変化を導くサーキット‼︎」
男子生徒が正面に手をかざすと光り輝くサーキットが現れる。
「召喚条件はカード名が異なるモンスター3体‼︎俺は進化合獣ダイオーキシン、化合獣ハイドロンホーク、化合獣カーボンクラブの3体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク3‼︎ 混沌の戦士 カオスソルジャー‼︎」
〈混沌の戦士 カオスソルジャー〉LINK3 戦士族 地属性
ATK3000 ↙︎↑↘︎
サーキットから現れたの重厚なる鎧を纏った戦士。
「混沌の戦士 カオスソルジャー………」
「混沌の戦士 カオスソルジャーは永続効果、スターアーマーによりレベル7以上のモンスターを素材としてリンク召喚したこのカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されなくなる‼︎」
「っ、耐性持ち、ですか」
「まだ終わりじゃねぇぞ‼︎俺はレベル8デュアルモンスター、進化合獣ヒュードラゴンとレベル8となった化合獣オキシンオックスをオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」
男子生徒が手をかざすとヒュードラゴンとオキシンオックスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆け、現れたのは牛の角に、鷹の翼、蟹の鋏と脚を持つ合成獣。
「現れろ‼︎叡智より生まれし超獣‼︎超化合獣メタンハイド‼︎」
〈超化合獣メタンハイド〉★8 獣戦士族 炎属性
ATK2800
「ランク8エクシーズ………」
「超化合獣メタンハイドの効果発動‼︎ケミカルコンビネーション‼︎このカードがエクシーズ召喚に成功した時、自分の墓地のデュアルモンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚する‼︎甦れ、進化合獣ダイオーキシン‼︎」
〈進化合獣ダイオーキシン〉☆8 悪魔族 闇属性
ATK2800
「またダイオーキシンが………」
「まだだ‼︎覚醒しろ‼︎進化合獣ダイオーキシン‼︎
ダイオーキシンの身体を光が包み込み、光が霧散すると共にダイオーキシンが咆哮を上げる。
それに呼応するかのように超化合獣メタンハイドが咆哮を上げた。
「この瞬間、超化合獣メタンハイドの効果発動‼︎バーンアイス‼︎ デュアルモンスターが召喚に成功した時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、相手は自身の手札・フィールドのカード1枚を墓地へ送らなければならない‼︎」
「っ⁉︎プレイヤー指定の除去効果⁉︎私は手札を1枚墓地に送ります」
遊花がそう言って手札のカードを選ぶと、遊花が選んだ手札が一瞬で凍りついたかと思うと、凍ったカードを焼き尽くすように氷が燃え上がり消失した。
「これだけじゃ終わらないぜ‼︎ 進化合獣ダイオーキシンの効果発動‼︎インコンプリートコンバスチョン‼︎1ターンに1度、自分の墓地のデュアルモンスター1体を除外し、相手フィールドのカード1枚を対象としてそのカードを破壊する‼︎俺は墓地の化合獣ハイドロンホークを除外し、お前のセットカードを1枚破壊する‼︎」
ダイオーキシンが鋏を振るうと炎の斬撃が放たれ、遊花のセットカードを燃やしながら切り刻んだ。
だが、破壊されたセットカードを見て、遊花は笑みを浮かべる。
「この瞬間、破壊された罠カード、運命の発掘の効果発動‼︎」
「何⁉︎」
「フィールドのこのカードが相手の効果で破壊された場合、自分の墓地の同名カードの枚数分だけ、自分はデッキからドローします‼︎墓地にはもう1枚、運転の発掘が存在するため2枚ドローします‼︎」
「っ、運がいい奴だ。だが、終わりにしてやる‼︎バトル‼︎ 進化合獣ダイオーキシンでダイレクトアタック‼︎シェルタックル‼︎」
ダイオーキシンは身体を屈めて勢いよく遊花に向かって走り出す。
自分の眼前まで迫ったダイオーキシンを見て、遊花は楽しそうに笑う。
「リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎ ディメンションウォール‼︎ 相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、この戦闘によって自分が受ける戦闘ダメージは、かわりに相手が受けます‼︎」
「何だと⁉︎」
遊花の正面に次元の歪みが現れ、そこにダイオーキシンが突っ込んだかと思うと、姿を消したダイオーキシンは男子生徒の背後に現れ、男子生徒を弾き飛ばした。
「ぐあぁ‼︎」
男子生徒 LP8000→5200
「ぐっ、やりやがったな‼︎ 超化合獣メタンハイドでダイレクトアタック‼︎メタンハイドレード‼︎」
メタンハイドが咆哮を上げると極大の結晶が遊花に向かって放たれる。
そんなメタンハイドを見て、遊花は墓地から1枚のカードを取り出す。
「相手モンスターの直接攻撃宣言時、墓地のクリアクリボーの効果発動‼︎自分はデッキから1枚ドローし、そのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚してその後、攻撃対象をそのモンスターに移し替えます‼︎」
「チッ、そんなのを墓地に送っていやがったか‼︎」
「ドローしたのはハネクリボー‼︎モンスターだから特殊召喚します‼︎ いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」
〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性
DEF200
現れるのは遊花が相棒と呼ぶ天使の羽を持つ茶色い毛玉のようなモンスター。
ハネクリボーは遊花を守るように両手を広げ、極大の結晶に弾き飛ばされ粒子に変わる。
そして粒子となったハネクリボーが遊花を包むように漂い始めた。
「ハネクリボーの効果発動‼︎プリフィケーション‼︎このカードがフィールドから墓地に送られたターン、自分の受ける戦闘ダメージは0になる‼︎」
「チッ、悪運が強い‼︎ターンエンドだ‼︎」
遊花 LP8000 手札4
ーーーーー ー
ーーーーー
☆ ー
ー○○ーー
ーーーーー ー
男子生徒 LP5200 手札2
「私のターン、ドロー‼︎私は手札からジャンクリボーを捨てて魔法カード、ワンフォーワンを発動‼︎デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する‼︎お願い、ミスティックパイパー‼︎」
〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性
DEF0
現れたのはフルートのようなものを弾いている男。
「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドローします。そしてこの効果でドローしたカードをお互いに確認し、レベル1モンスターだった場合、自分はカードをもう1枚ドローします‼︎私が引いたのはクリボルト‼︎レベル1モンスターなのでもう1枚ドローです‼︎そして私はクリボルトを召喚‼︎」
〈クリボルト〉☆1 雷族 光属性
ATK300
出て来たのは電気を出している黒い球体のモンスター。
「はっ、そんな雑魚モンスターを出して何になる‼︎」
「雑魚なんかじゃありません‼︎例え小さくても、小さい者には小さい者の戦い方があるんです‼︎クリボルトの効果発動‼︎自分のメインフェイズ時にオーバーレイユニットを持っているエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターのオーバーレイユニットを1つ取り除き、自分のデッキからクリボルト1体を特殊召喚します‼︎」
「何だと⁉︎」
「私は超化合獣メタンハイドのオーバーレイユニットを1つ使って、おいで‼︎クリボルト‼︎」
〈クリボルト〉☆1 雷族 光属性
ATK300
メタンハイドのオーバーレイユニットの1つが遊花のフィールドに飛んでくると、その光がクリボルトに変わる。
「そして魔法カード、ミニマムガッツ‼︎」
「ミニマムガッツだと?」
「自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動‼︎私は1体のクリボルトをリリースして進化合獣ダイオーキシンを選択します‼︎選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで0になり、このターン選択したモンスターが戦闘によって破壊され、相手の墓地に送られた時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えます‼︎」
「何だとっ⁉︎」
「お願い、クリボルト‼︎」
クリボルトが青いオーラを纏い身体を粒子に変えながら、ダイオーキシンに突撃していく。
ダイオーキシンはクリボルトの体当たりを受けて膝をついた。
進化合獣ダイオーキシン
ATK2800→0
「バトル‼︎クリボルトで進化合獣ダイオーキシンを攻撃‼︎プチボルト‼︎」
電気を纏ったクリボルトがダイオーキシンに突撃する。
膝をついていたダイオーキシンはクリボルトの身体を受け止め切れず、その巨体を貫かれ、爆散した。
男子生徒 LP5200→4900
「くっ‼︎小賢しい真似を………‼︎」
「そしてミニマムガッツの効果‼︎戦闘によって破壊された進化合獣ダイオーキシンの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えます‼︎」
「ぐあぁっ‼︎」
男子生徒 LP4900→2100
「よし、もう少し‼︎メインフェイズ2‼︎ 導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」
「リンク召喚か………」
遊花が正面に手をかざすと遊花の前に大きなサーキットが現れる。
「召喚条件はレベル1モンスター1体‼︎私はクリボルトをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」
〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性
ATK300 ↓
クリボルトがサーキットに入り、代わりに出てきたのは青い球体型のモンスター。
「私はカードを2枚伏せてターンエンドです‼︎」
遊花 LP8000 手札1
ーー▲▲ー ー
ーーーーー
☆ ☆
ー○ーーー
ーーーーー ー
男子生徒 LP2100 手札2
「クソッ‼︎雑魚が粋がりやがって‼︎テメェなんかさっさと潰れちまえばいいんだよ‼︎俺のターン、ドロー‼︎クックック、来たぜ‼︎魔法カード、
「っ‼︎そのカードは………」
「自分のフィールド・墓地から、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する‼︎俺は墓地からデュアルモンスター、進化合獣ヒュードラゴンと化合獣オキシンオックスを融合‼︎」
フィールドに現れた小さな鏡にヒュードラゴンとオキシンオックスが吸い込まれていく。
「交わり生まれる水蛇よ、勇猛なる雄牛と交わりて、全てを呑み込む魔獣となれ‼︎」
鏡が光り輝き、砕け散ると中から現れたのは様々な生物が混ざった魔龍。
「融合召喚‼︎来やがれ、数多の生物を結合した超魔生物‼︎ 超合魔獣ラプテノス‼︎」
〈超合魔獣ラプテノス〉☆8 ドラゴン族 光属性
ATK2200
「超合魔獣ラプテノス………あのカードは確か………」
「超合魔獣ラプテノスの永続効果、デュアルアップはこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドのデュアルモンスターはもう1度召喚された状態として扱う‼︎これで召喚権を使わずとも俺のモンスターは全てデュアルモンスターになるわけだ‼︎魔法カード、黙する死者‼︎自分の墓地の通常モンスター1体を対象としてそのモンスターを守備表示で特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できない。甦れ、化合獣カーボンクラブ‼︎」
〈化合獣カーボンクラブ〉☆2 水族 炎属性
DEF1400
「化合獣カーボンクラブの効果発動‼︎俺はデッキから化合獣オキシンオックスを墓地に送り、進化合獣ダイオーキシンを手札に加える‼︎さらに魔法カード、闇の量産工場‼︎ 自分の墓地の通常モンスター2体を対象としてそのモンスターを手札に加える‼︎俺は墓地から化合獣オキシンオックスと進化合獣ダイオーキシンを手札に加える‼︎化合獣オキシンオックスを召喚‼︎」
〈化合獣オキシンオックス〉☆2 獣族 風属性
ATK0
「化合獣オキシンオックスの効果発動‼︎ 現れろ、進化合獣ダイオーキシン‼︎」
〈進化合獣ダイオーキシン〉☆8 悪魔族 闇属性
ATK2800
化合獣オキシンオックス
☆2→8
化合獣カーボンクラブ
☆2→8
「っ、これは………」
「まだ終わりじゃねぇぞ‼︎俺はレベル8となったデュアルモンスター化合獣オキシンオックスと化合獣カーボンクラブをオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」
男子生徒が手をかざすとオキシンオックスとカーボンクラブが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆け、現れたのは2体目の牛の角に、鷹の翼、蟹の鋏と脚を持つ合成獣。
「現れろ‼︎叡智より生まれし超獣‼︎超化合獣メタンハイド‼︎」
〈超化合獣メタンハイド〉★8 獣戦士族 炎属性
ATK2800
「っ、2体目の超化合獣メタンハイド………」
「超化合獣メタンハイドの効果発動‼︎ケミカルコンビネーション‼︎甦れ、進化合獣ダイオーキシン‼︎」
〈進化合獣ダイオーキシン〉☆8 悪魔族 闇属性
ATK2800
「また進化合獣ダイオーキシン⁉︎そんなカードいつ………っ、化合獣ハイドロンホークの手札コストの時に………」
「さぁ、圧殺してやる‼︎バトル‼︎ 超合魔獣ラプテノスでリンクリボーを攻撃‼︎シンセシスブラスト‼︎」
「相手モンスターの攻撃宣言時、リンクリボーの効果発動‼︎ゼロリンク‼︎このカードをリリースし、その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで0になる‼︎」
超合魔獣ラプテノス
ATK2200→0
リンクリボーの身体が粒子に変わってラプテノスに纏わりつき、ラプテノスが放とうとしたブレスを無力化する。
「これで邪魔者は消えた‼︎進化合獣ダイオーキシンでダイレクトアタック‼︎シェルタックル‼︎」
「うっ‼︎」
遊花 LP8000→5200
「まだまだ行くぞ‼︎2体目の進化合獣ダイオーキシンでダイレクトアタック‼︎シェルタックル‼︎」
「きゃあ‼︎」
遊花 LP5200→2400
2体のダイオーキシンのタックルを受けて遊花のライフが大きく削られる。
しかも、男子生徒にはまだ攻撃できるモンスターが3体残ってる。
「さぁ、終わりだ‼︎ 超化合獣メタンハイドでダイレクトアタック‼︎メタンハイドレード‼︎」
メタンハイドが咆哮を上げ、極大の結晶が遊花に向かって放たれる。
「まだ終わりません‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動、ガードブロック‼︎ 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができ、その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする‼︎」
遊花を守るように障壁が現れ、メタンハイドが放った結晶を防ぐ。
「チッ、悪あがきを‼︎2体目の超化合獣メタンハイドでダイレクトアタック‼︎メタンハイドレード‼︎」
「攻撃宣言時、手札から虹クリボーの効果発動‼︎このカードをそのモンスターに装備し、そのモンスターは攻撃することが出来ません‼︎レインボーガード‼︎」
遊花の手札から虹色の角を持つ球体が現れてメタンハイドの動きを止める。
それを見て男子生徒は苛立ちを強くする。
「雑魚がうぜぇんだよ‼︎さっさと潰れやがれ‼︎ 混沌の戦士 カオスソルジャーでダイレクトアタック‼︎混沌流転斬‼︎」
混沌の戦士が跳躍し、遊花に向けて剣を振り下ろす。
迫る剣に対し、それでも遊花は余裕の笑みを浮かべた。
「リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎カウンターゲート‼︎ 相手モンスターの直接攻撃宣言時、その攻撃を無効にし、自分はデッキから1枚ドローする‼︎」
「っ⁉︎これも防ぐだと⁉︎」
遊花の前に扉が現れ、混沌の戦士の剣は防がれる。
「さらにそのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを表側攻撃表示で通常召喚できますが、その効果は使いません」
「っ‼︎あぁぁぁ‼︎ムカつくぜ‼︎雑魚の癖になんでさっさと潰れねぇんだよ‼︎俺はこのままターンエンドだ‼︎次だ‼︎次のターンで必ずテメェを潰してやる‼︎」
遊花 LP2400 手札2
ー△ーーー ー
ーーーーー
☆ ー
○○○○○
ーーーーー ー
男子生徒 LP2100 手札1
「なんとか凌ぎ切ったわね………とはいえ、ここからどうする気かしら」
遊花のことだから防ぐ手立ては必ずあるとは思ったけど、流石にあれだけのモンスターが並んで攻撃してきたのには焦った。
とはいえ、遊花が劣勢であることには変わりがない。
遊花のデッキはローレベルのモンスターが軸のデッキだ。
今のように大型モンスターを並べられると対処するのは難しいはずだ。
そのはずなのにーーー
「………全く、あの子ったら、あんなに楽しそうな表情しちゃって」
私の眼に映る遊花の表情はどう見ても楽しそうだった。
明らかな逆境のはずなのに、輝きが増していく楽しそうな笑顔。
明らかに暴言を吐かれて始まったデュエルのはずなのに、そんなことを全く気にも留めていない。
きっと、遊花の中ではこのデュエルはただの楽しいデュエルでーーー
「すー………はー………私のターン‼︎ドロー‼︎」
遊花は楽しそうな表情のまま深く深呼吸をして、勢いよくカードをドローする。
そしてドローしたカードを見て、不敵に笑った。
「見えました、あなたの攻略法‼︎」
「っ、何だと?雑魚がイキがりやがって‼︎戯言を言ってんじゃねぇ‼︎」
「戯言かどうか、今から自分の眼で確かめてください‼︎あなたを、攻略します‼︎まずは墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動‼︎自分フィールドのカード1枚を対象としそのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローします‼︎ただしこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外しなければいけません。私は虹クリボーをデッキに戻してカードを1枚ドローします‼︎私はクリボーを召喚‼︎」
〈クリボー〉☆1 悪魔族 闇属性
ATK300
フィールドに現れたのは小さな毛玉のモンスター。
「速攻魔法‼︎増殖‼︎自分フィールド上に表側表示で存在するクリボー1体をリリースして自分フィールド上にクリボートークンを可能な限り守備表示で特殊召喚します‼︎」
〈クリボートークン〉☆1 悪魔族 闇属性
DEF200
遊花が発動した魔法カードにより、クリボーが分裂していく。
「………クックック、ハハハハハ‼︎何があなたを攻略します、だ‼︎そんな貧弱な雑魚を壁として並べてどうなるって言うんだ‼︎」
遊花のフィールドに分裂していくクリボーを見て男子生徒は笑い声をあげる。
しかし、そんな嘲笑を受けても遊花は楽しそうに笑いながら1枚のカードを掲げる。
「勿論、全てがひっくり返るんですよ‼︎」
「………何?」
「見せてあげます、あなたの言う雑魚の意地ってものを‼︎これが私の奥の手です‼︎魔法カード、弱肉一色‼︎」
「弱肉一色、だと?」
「このカードは自分フィールド上にレベル2以下の通常モンスターが表側表示で5体存在する時に発動する事ができる‼︎お互いのプレイヤーは手札を全て捨て、レベル2以下の通常モンスターを除くフィールド上に存在するカードを全て破壊します‼︎」
「何だと⁉︎」
「お願い、クリボー‼︎」
増殖を続けるクリボーが男子生徒のモンスター達に突撃していく。
押し寄せるクリボーを叩き落とそうといじめっ子のダイオーキシンが腕を振り下ろすと、振り下ろされた腕に当たったクリボーが派手に爆発し、ダイオーキシンの腕が弾け飛んだ。
「なっ⁉︎」
「クリボーには特殊能力、機雷化があります‼︎クリボーは敵の身体………あるいは攻撃に触れた瞬間、誘爆する‼︎そして増殖を続けるクリボーはどんどん誘爆していく‼︎防ぐことはできません‼︎」
増殖し、男子生徒のモンスター達を呑み込んだクリボーが一気に爆発する。
爆煙が晴れると後に残ったのは混沌の戦士と5体のクリボーだけだった。
「ぐっ、まさかあのフィールドを吹き飛ばすとは………だが、混沌の戦士 カオスソルジャーはレベル7以上のモンスターを素材としてリンク召喚したため相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない‼︎次のターン、その雑魚共をーーー」
「いいえ、あなたに次のターンはありません‼︎このターンで私の勝ちです‼︎導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」
「っ、リンク召喚か‼︎」
遊花の前に大きなサーキットが現れる。
「召喚条件は通常モンスター1体‼︎私はクリボートークンをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク1‼︎リンクスパイダー‼︎」
〈リンクスパイダー〉LINK1 サイバース族 地属性
ATK1000 ↓
遊花の前に機械の蜘蛛が現れる。
それを確認しながら遊花は再びサーキットを開く。
「まだいきます‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」
「連続リンク召喚か‼︎」
「召喚条件はモンスター2体‼︎私はクリボートークン2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎プロキシードラゴン‼︎」
〈プロキシードラゴン〉LINK 2 サイバース族 光属性
ATK1400 ←→
次に現れたのは白い身体をした機械の竜。
「墓地に存在するリンクリボーの効果発動‼︎スケープリンク‼︎このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル1モンスター1体をリリースしてこのカードを墓地から特殊召喚する‼︎私はクリボートークンをリリース‼︎戻っておいで、リンクリボー‼︎」
〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性
ATK300 ↓
墓地から蘇るリンクリボー。
この流れは、来るわね、遊花の切り札が。
「そして導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」
このターン3度目のサーキット。
遊花は1度目を閉じて、深呼吸をしてからそのモンスターを呼ぶ。
「召喚条件は効果モンスター3体以上‼︎私はリンクスパイダー、リンクリボー、プロキシードラゴンを 2体分として扱ってリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」
「リンク4のモンスターだと⁉︎」
サーキットに遊花のモンスター達が吸い込まれていく。
そしてサーキットが光り輝くと、中から現れたのは弾丸の如き巨龍。
「閉ざされた運命を撃ち抜く信念の弾丸‼︎リンク4‼︎ヴァレルロードドラゴン‼︎」
遊花の声に応えるように、巨龍の咆哮が世界に響いた。
〈ヴァレルロードドラゴン〉LINK4 ドラゴン族 闇属性
ATK3000 ↙︎←→↘︎
「馬鹿な⁉︎ヴァレルシリーズだと⁉︎テメェみたいな雑魚がなんでーーー」
「これで決めます‼︎バトル‼︎ヴァレルロードドラゴンで混沌の戦士 カオスソルジャーを攻撃‼︎銃声のイジェクトフレア‼︎」
「っ、相打ち狙いか⁉︎」
ヴァレルロードドラゴンの口から砲台が現れ、混沌の戦士に向けて粒子砲を放つ。
混沌の戦士は粒子砲を防ごうとするが、無駄だ。
遊花の切り札はその程度で防げるものじゃない。
「この瞬間、ヴァレルロードドラゴンの効果発動‼︎エロージョンエイミング‼︎このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップ開始時に、その相手モンスターをこのカードのリンク先に置いてコントロールを得ます‼︎」
「なっ⁉︎コントロール奪取だと⁉︎」
「そのモンスターは次のターンのエンドフェイズに墓地へ送られます。そしてこの効果は対象を取らない‼︎ 混沌の戦士 カオスソルジャーでも防げません‼︎」
ヴァレルロードドラゴンの粒子砲を受けた混沌の戦士は消滅し、遊花のバトルゾーンに移動する。
「これで決まりです‼︎ 混沌の戦士 カオスソルジャーでダイレクトアタック‼︎混沌流転斬‼︎」
「ぎゃあああああああ‼︎」
男子生徒 LP2100→0
ーーーーーーー
「そこまで‼︎勝者、出席番号98番。栗原 遊花さん‼︎」
「ふぅ………私の勝ちです‼︎」
「馬鹿な、こんな軟弱そうな奴に、俺が負けるなんて………‼︎」
嬉しそうに笑う遊花を見て、男子生徒は悔しげな表情で遊花を睨みつける。
周りの反応としては遊花が勝ったことに対する驚き半分、納得と男子生徒への侮蔑がさらに半分ずつってところかしら。
驚いている人達はアレだけ強力なモンスターが並んでいる状態をローレベルモンスターで戦っていた遊花が覆したことによる驚きだろう。
男子生徒への侮蔑の視線もアレだけ優位な状況を覆されて負けたことに対してだと思う。
そして納得しているのは遊花の普段のデュエルを知っている中等部上がりの生徒。
遊花と1度でもデュエルしたことがあれば、遊花の諦めの悪さからくる逆転劇は想像に難くないだろう。
相手の攻勢を受けきり、反撃に転じて勝利する。
それこそが栗原 遊花のデュエルなのだから。
「ありがとうございました‼︎いいデュエルでした‼︎」
「っ、舐めやがって‼︎」
「あぅ‼︎」
デュエル終了の握手を求めて遊花が差し出した手を怒りの表情を浮かべた男子生徒が払いのける。
「お、お前みたいな雑魚に俺が負けるなんて何かの間違いだ‼︎調子乗ってるんじゃねぇぞ‼︎」
「あっ………」
怒鳴り散らしながら不機嫌そうに去っていく男子生徒を遊花は悲しげな表情で見送る。
遊花はしばらく悲しげな表情を浮かべていたが、頭を振ると笑顔を貼り付けて私の方に戻ってきた。
「桜ちゃん‼︎私、勝ったよ‼︎」
「えぇ、ちゃんと見てたわ。流石は遊花ね」
「えへへ」
私が褒めると遊花は表情に少しの翳りを残しながらも嬉しそうに笑う。
………全く、新生活早々
「………遊花の笑顔を曇らせた落とし前、どうやってつけてやろうかしら」
「?桜ちゃん、何か言った?」
「………ううん、なんでもないわ。それよりも、次のデュエルが始まるみたいよ」
「あ、本当だ‼︎次はどんなデュエルが見られるかな?」
デュエルスペースで始まったデュエルを見て瞳を輝かせている遊花を横目に私は落とし前をつけさせる方法を考えるのだった。
ーーーーーーー
「ん〜今日も遊花の作ったお弁当は美味しいわ。世界一美味しいと言っても過言じゃないわね」
「もう、桜ちゃんったら。大袈裟だよ」
お昼休み。
デュエル学の講義を終えた私達は教室で遊花とお互いにお弁当のおかずを交換しながら談笑していた。
自分のデュエルを終えた後、少々表情を曇らせていた遊花だが、デュエル学の講義で他の人のデュエルを見ているうちにすっかり元気になったようだ。
何にせよ、元気になったみたいで私はホッとしていた。
「それにしても、楽しかったなぁ。デュエル学の講義」
「デュエルが好きな遊花にとっては夢のような講義だものね」
「うん‼︎だって、見たことないモンスター達もいっぱい見れたんだもん‼︎これからデュエルする機会があるんだって思うと楽しみで………えへへ」
嬉しそうに笑う遊花を見ると私も思わず表情が緩む。
遊花の嬉しそうな笑顔はいつも私の心を癒やしてくれる。
その太陽のような笑顔は嫌な思いを全て浄化してしまうぐらいに暖かく柔らかい。
ちょっと捻くれてる私には眩しすぎるぐらい………なんてね。
少し自分の考えを恥ずかしく感じた私は誤魔化すように席を立つ。
「………ちょっと喉渇いたから飲み物買ってくるわ。遊花は何か欲しいのある?奢ってあげる」
「えっ⁉︎そんなの悪いよ」
「気にしなくていいわ。今朝のお礼よ」
「うーん………なら、緑茶で」
「緑茶ね、了解。じゃあ、ちょっと待ってなさい」
「うん、いってらっしゃい。桜ちゃん」
遊花に見送られながら私は飲み物を買いに歩き出す。
そんな私達の姿を見ていた悪意の視線を、私は気づかなかった。
ーーーーーーー
「思ったより時間がかかっちゃったわね」
2つの飲み物を抱えた私は小走りをしながら教室へと急ぐ。
学内に設置された自動販売機を見つけたまではよかったのだが、お昼時ということもあってか何人か同じように飲み物を買おうとしていた生徒が並んでいたのだ。
「遊花、待ちくたびれてなきゃいいけど………ん?」
有り得ないであろう想定をしながら小走りで教室まで駆けていると教室の方からなんだか良くない雰囲気と騒めきを感じた。
何かあったのかと教室を覗き込むと、そこには柄の悪い2人の男子生徒に威圧されている遊花の姿があった。
よく見ると片方の男子生徒は先程のデュエル学で遊花に敗北した男子生徒だった。
教室にいる他の生徒は関わり合いになりたくないのか顔を逸らしている。
これは、穏やかじゃないわね。
「えっと、ですからあの、私、友達を待っているのでここから離れるわけにはいかなくて………」
「あ"ぁ⁉︎テメェの都合なんざ知ったことかよ⁉︎」
「いいから面を貸せってんだよ‼︎俺に恥をかかせやがってただで済むと思ってんのか‼︎」
「きゃっ⁉︎」
逆上した男子生徒が遊花の腕を掴んだ瞬間、私は抱えていた飲み物を放り出してその場から駆け出し、勢いよく跳び上がる。
「いいから来いってーーー」
「失せなさい、クソ野郎‼︎」
「ーーーぶべらっ⁉︎」
「あん?」
「ふぇっ⁉︎さ、桜ちゃん⁉︎」
そしてその勢いのまま遊花に掴みかかったクソ野郎の横っ面に跳び蹴りをかました。
私の跳び蹴りを顔面にくらったクソ野郎は突然の衝撃に掴んでいた遊花の腕を話し、錐揉み回転しながら教室の壁に頭から突っ込み、ずるずるとその場に倒れ込む。
私はそのまま地面に倒れたクソ野郎に近づくと髪を引っ張って顔を上げさせる。
「誰の親友に手を出してんのよ、ねぇ?」
「かっ、な、なんだキサマーーー」
「恥だなんだとぐだぐだ五月蝿いのよ‼︎私の親友に手を出そうとするクソ野郎が‼︎黙って床のシミにでもなってなさい‼︎」
「ーーーげぶっ‼︎ぶへぇ‼︎」
掴んでいた髪を放し、喚いているクソ野郎の脳天に踵落としをくらわしてから横っ腹に思いっきり蹴りを入れるとクソ野郎は教室の床の上をごろごろと転がっていき、うつ伏せになるようにして止まるとピクリとも動かなくなった。
『………』
沈黙したクソ野郎の姿と怒気を隠そうともしない私の姿に、教室の空気が一気に重苦しくなる。
そんな中で真っ先に声をかけてきたのは遊花だった。
顔を真っ青にしながら慌てた様子で私に詰め寄る。
「さ、桜ちゃん⁉︎やり過ぎ‼︎やり過ぎだから‼︎」
「そんなことないわ。私の親友に手を出そうとしたんだもの、これでもまだやり足りないぐらいよ」
「絶対そんなことないからね⁉︎絶対にやり過ぎだからね‼︎」
目をぐるぐると回しながらちょっと泣きそうな表情を浮かべる遊花。
その姿を見るとちょっと心が痛むけど、反省はしないし後悔もしない。
もし私が帰ってくるのが間に合わなければ遊花は力づくで連れて行かれていただろう。
こんな輩がその後どうするかなんて、考えたくもない。
私にとって大切なのは遊花だ。
たった1人の親友を守れるなら、後はどうだっていい。
「て、テメェ俺様のダチに何してくれてんだ⁉︎クソアマが⁉︎」
「あ"ぁ⁉︎か弱い女の子に手を出すような下郎がなんか文句でもあるっていうの?」
「さ、桜ちゃん落ち着いて‼︎その声は明らかに女の子が出しちゃいけない声だよ⁉︎その道の人の声だよ⁉︎」
激怒してメンチ切りながら喚き散らす不良を威嚇するように睨みつけると、こちらの様子を見守っていたギャラリーから恐怖を堪えるような悲鳴が聞こえる。
こんな状況に怯えるぐらいならさっさと先生でも呼んで対処しなさいっての。
「生意気なクソアマが‼︎」
ブチギレた不良が私に向かって拳を振り抜く。
私はその拳を躱しながら振り抜かれた腕を掴み、身体をずらしながらその腕を引っ張りながら屈み、がら空きの不良の足を蹴り払うと、身体が宙に浮いた不良はその勢いのまま私に投げ飛ばされ教室の壁に叩きつけられた。
「がっ‼︎」
「フン、この程度で喧嘩なんか売ってきてんじゃないわよ」
私が鼻を鳴らしながら地面に横たわった不良を見下ろすと、不良は顔を怒りで真っ赤にしながら立ち上がった。
「テメェ‼︎」
「あら、まだ実力差も分からないのかしら?アンタ程度じゃ何回やっても無駄よ」
「ぐっ」
私の冷めた目を見て、不良がたじろぐ。
しかし、すぐに立ち上がると懐に手を入れてデッキを取り出すと私に向けて構えた。
「なら、こっちだ‼︎俺とデュエルしろ‼︎」
「………へぇ、デュエルならアンタが私に勝てるとでも?」
みっともなく喚き散らす不良に思わず低い声が出る。
断るのは簡単だ。
だけど、それじゃあ私の気が収まらないのも事実。
ならーーー
「いいわ、受けてあげる。アンタが誰の親友に手を出したのか、思い知らせてあげるわ」
「さ、桜ちゃん‼︎」
「悪いわね、遊花。どうしても、コイツは潰しとかないと気が済まないの」
悲しげな声を出す遊花に胸を痛めながらも私はデュエルディスクを装着し、デッキをセットを取り出す。
私の大切な親友を守るために、今日も力を貸して貰うわね。
『ーーー』
「ん?………気のせいかしら?」
デュエルディスクにデッキをセットした瞬間、何かの音が聞こえた気がした。
私が首を傾げていると同じようにデュエルディスクにデッキをセットした不良が怒りの目でこちらを見ていた。
「ぐちゃぐちゃに叩き潰して誰を敵に回したか思い知らせてやる‼︎クソアマ‼︎」
「それはこちらの台詞よ。私の親友に手を出したこと、後悔させてあげるわ‼︎」
『決闘‼︎』
桜 LP8000
不良 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は貰った‼︎魔法カード、強欲で金満な壺‼︎自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外し、除外したカード3枚につ1枚、自分はデッキからドローする‼︎ただし、このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。俺は6枚のカードを除外して2枚ドロー‼︎ ククッ、完璧な手札だ‼︎手札の雷帝家臣ミスラの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、自分メインフェイズにこのカードを手札から特殊召喚し、相手フィールドに雷族・光属性・レベル1・攻撃力800、守備力1000の家臣トークン1体を守備表示で特殊召喚する‼︎ただし、このターン、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。来い、雷帝家臣ミスラ‼︎」
〈雷帝家臣ミスラ〉☆2 雷族 光属性
DEF1000
〈家臣トークン〉☆1 雷族 光属性
DEF1000
フィールドに現れたのは雷を纏った従者。
それに付随して私のフィールドにもミスラそっくりのモンスターが現れる。
「雷帝家臣ミスラをリリースし、ホルスの黒炎竜LV6をアドバンス召喚‼︎」
〈ホルスの黒炎竜LV6〉☆6 ドラゴン族 炎属性
ATK2300
フィールドに現れたのは隼の姿をした神竜。
「ホルスの黒炎竜………ちょっと面倒な奴が出てきたわね」
「クックック、このデッキの恐ろしさ、しっかり味わいな‼︎リリースされた雷帝家臣ミスラの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードがアドバンス召喚のためにリリースされた場合、このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにアドバンス召喚できる‼︎さらに速攻魔法、帝王の烈旋‼︎ 同名カードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。このターン、自分がモンスターをアドバンス召喚する場合に1度だけ、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドのモンスター1体をリリースできる‼︎俺はテメェのフィールドの家臣トークンをリリースして人造人間-サイコショッカーをアドバンス召喚‼︎」
〈人造人間-サイコショッカー〉☆6 機械族 闇属性
ATK2400
家臣トークンが竜巻に飲み込まれ姿を消すと、代わりにフィールドに現れたのは機械の身体を持つ人型のモンスター。
「人造人間-サイコショッカー………」
「さらにホルスの黒炎竜LV6を墓地に送り、魔法カード、レベルアップ!‼︎ フィールド上に表側表示で存在するLVを持つモンスター1体を墓地へ送り、そのカードに記されているモンスターを、召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する‼︎デッキより現れろ、ホルスの黒炎竜LV8‼︎」
〈ホルスの黒炎竜LV8〉☆8 ドラゴン族 炎属性
ATK3000
黒炎竜LV6の身体が光り輝くと、黒炎竜が肥大化していき、光が弾けると巨大な神鳥に姿を変えた。
「ホルスの黒炎竜LV8………面倒な奴が出てきたわね」
「ハーッハハハ‼︎これで俺様の戦術は完成した‼︎ホルスの黒炎竜LV8の永続効果、マジックディサラァウによりこのカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、魔法カードの発動を無効にし破壊する事ができる‼︎さらに人造人間-サイコショッカーの永続効果、トラップジャミングによりこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにフィールドの罠カードの効果を発動できず、フィールドの罠カードの効果は無効化される‼︎つまり、テメェは魔法も罠も使わずにコイツらを倒さなきゃいけないってわけだ‼︎」
「………」
魔法と罠を封じて高レベルモンスターで相手を蹂躙する。
確かに悪くはない戦術ではあるけど………
私が考え事をしていると何を勘違いしたのか遊花を威圧していた不良は気味が悪い笑みを浮かべる。
「クックック、戦意を喪失したか?だが、サレンダーは許さねぇ‼︎俺様達に舐めた口をきいたことをたっぷり後悔させてやる‼︎俺様はこれでターンエンドだ‼︎」
桜 LP8000 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ーー○○ー
ーーーーー ー
不良 LP8000 手札1
「さあ、無様に踊ってみせろよーーー」
「あ〜もう‼︎うるさいわね‼︎大して強くもないくせに粋がってんじゃないわよ‼︎」
「な、何?」
好き放題口にしていた不良は突然キレた私を見て唖然とする。
本当に、腹が立つ。
この程度の相手に舐められる
何が"遊花を守る"だ。
結局は口だけでこの程度の相手に舐められて遊花に手を出される始末。
本当にーーー自分が情けなくて嫌になる。
だからこそーーー
「この程度で遊花に手を出したこと、私を怒らせたことを後悔させてあげるわ‼︎私のターン、ドロー‼︎さぁ、喰らい尽くしてあげるわ‼︎ホルスの黒炎竜LV8をリリースして怒炎壊獣ドゴランを攻撃表示で特殊召喚‼︎」
「っ⁉︎何だと⁉︎」
〈怒炎壊獣ドゴラン〉☆8 恐竜族 炎属性
ATK3000
黒炎竜LV8を喰らいながら、地の底から巨大な地竜が不良のフィールドに降り立つ。
「これでアンタが自慢していた魔法封じは無くなったわ。さぁ、あなたの全てを壊してあげる‼︎ 相手フィールドに壊獣モンスターが存在する場合、このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる‼︎来なさい、雷撃壊獣サンダーザキング‼︎」
〈雷撃壊獣サンダーザキング〉☆9 雷族 光属性
ATK3300
不良のフィールドで咆哮するドゴランに呼応するように私の切り札である三つ首の竜がフィールドに舞い降りる。
「攻撃力3300のモンスターがこんなにあっさりと出てくるだと⁉︎」
「そしてこの娘が私のもう1体の切り札、来なさい、私の相棒‼︎月より来たる永遠の姫‼︎
〈妖精伝姫-カグヤ〉☆4 魔法使い族 光属性
ATK1850
フィールドに現れたのは月のマークが入っている扇子を持ったお姫様。
現れたカグヤは扇子越しに不良に視線を向けた。
「妖精伝姫-カグヤの効果発動!召喚に成功した時、デッキから攻撃力1850の魔法使い族モンスター1体を手札に加える。私は2体目の妖精伝姫-カグヤを手札に加えるわ。まだまだ行くわよ、このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚出来るわ。来なさい、ジェスターコンフィ‼︎」
〈ジェスターコンフィ〉☆1 魔法使い族 闇属性
ATK0
現れたのは球に乗った道化師のモンスター。
「この状況で攻撃力0の雑魚モンスターだと?」
「好きなように思えばいいわ。これが私がアンタに出してあげる難題‼︎気づいた時には終わりだけどね‼︎バトルよ‼︎ 雷撃壊獣サンダーザキングで人造人間-サイコショッカーを攻撃‼︎グラビティレイ‼︎」
サンダーザキングの三つ首からレーザーが放たれ、サイコショッカーの身体を貫くと、サイコショッカーは跡形もなく爆散した。
不良 LP8000→7100
「ぐぁぁぁっ‼︎くっ、俺様のサイコショッカーが………」
「次よ、ジェスターコンフィで怒炎壊獣ドゴランを攻撃‼︎スーサイドマジック‼︎」
「攻撃力0の雑魚モンスターで攻撃だと⁉︎馬鹿が、血迷ったか‼︎」
ドゴランに突撃したコンフィはドゴランに火炎を吐かれ、そのまま消滅してしまった。
桜 LP8000→5000
ドゴランの火炎で私のライフが大きく減る。
それを見て、周りのギャラリーは困惑し、不良はポカンとした表情を浮かべたかと思うとすぐに笑い始めた。
「クックック、ハーッハハハ‼︎どんな効果があるかと思えば何もねぇじゃねぇか‼︎何がしたかったんだよ、テメェはよ‼︎」
大笑いを続ける不良を私は鼻で笑う。
「ふっ、その程度だから粋がるなって言ってんのよ。中途半端にしか状況が見れないから、アンタがもう終わってることにすら気付けない」
「あ"っ?何だと?」
私の言葉に不愉快そうに不良が眉を顰める。
そんな不良に私は1枚のカードを掲げて不敵に笑う。
「何もない?ないわけないでしょ。これがアンタを焼き尽くす私の怒りの炎よ‼︎たっぷりと後悔しなさい‼︎3000ポイントの戦闘ダメージを受けた時、このカードは発動できる‼︎速攻魔法発動、ヘルテンペスト‼︎」
「っ⁉︎ ヘルテンペスト………だと⁉︎」
私が発動したカードに不良は表情が青ざめていき、ギャラリーもざわつき始める。
私がこんなカードを使うなんて思ってなかった、ってところかしら?
なら、たっぷりと思い知りなさい‼︎
「このカードは3000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動する事ができるわ。お互いのデッキと墓地のモンスターを全てゲームから除外する‼︎」
「な、何だと⁉︎」
私がそう宣言するとお互いのデッキ、墓地からモンスターが一気にいなくなる。
そして私の難題はまだ終わらない‼︎
「そしてデッキから除外されたネクロフェイスの効果発動‼︎このカードがゲームから除外された時、お互いはデッキの上からカードを5枚ゲームから除外する‼︎」
「なっ⁉︎」
ネクロフェイスの力によって私と不良のデッキが更に薄くなっていく。
デッキが一瞬で蒸発し、呆然としている不良を見て、私は不敵な笑みを濃くして笑いかける。
「あら、残念。デッキが1枚残ってしまったわ。倒し損なったわね」
「っ………だ、だが、俺のフィールドにはまだテメェが出した壊獣がいる‼︎次の俺のターンになんとかーーー」
「残念だけど、私はアンタと違ってそんなにぬるくないの。希望なんか残してやらないわ。妖精伝姫-カグヤの効果発動‼︎アンリーゾナブルディマンド‼︎1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動‼︎相手はそのモンスターの同名カード1枚を自身のデッキ・エクストラデッキから墓地へ送ってこの効果を無効にできる。墓地へ送らなかった場合、このカードと対象のモンスターを持ち主の手札に戻すわ‼︎」
「っ⁉︎な、何だと⁉︎」
「因みにこの効果は相手ターンでも発動できるわ。対象は怒炎壊獣ドゴラン。さぁ、デッキから怒炎壊獣ドゴランを墓地に送ってもいいわよ?」
「ふ、ふざけんなぁ⁉︎俺様のデッキに怒炎壊獣ドゴランは入ってねぇし、いたとしてもヘルテンペストで消えている。無理難題もいいとこじゃねぇか⁉︎」
私の言葉に不良は怒りの声をあげる。
そんな不良に私は冷たい笑みで応える。
「教養が足りないわね。妖精伝姫-カグヤはかぐや姫をモチーフにしたモンスター。無理難題を出すからこそ、この子はかぐや姫なのよ。怒炎壊獣ドゴランと妖精伝姫-カグヤは手札に帰るわ」
カグヤとドゴランの姿が光に変わり、私の手札に返ってくる。
「因みにこの効果は相手ターンにも使えるわ」
「な、何だと⁉︎じゃ、じゃあ………」
「例え何とかして生き残ったとしてもアンタが私の出す難題を解ける可能性はないってことよ。メインフェイズ2、カードを1枚セットしてターンエンドよ」
桜 LP5000 手札3
ーー▲ーー ー
ーー○ーー
ー ー
ーーーーー
ーーーーー ー
不良 LP7100 手札1
「お、俺様のターン………」
「さぁ、最後の1枚を引きなさい。それで私を倒せるカードを引けなければアンタの負けよ」
最初の威勢のよさをどこにやったのか。
不良は表情を青ざめさせ、震えながらデッキに残った最後のカードに手を添える。
逃げ出さないだけの意地があるのだけは認めてやる。
最もーーー
「あ、ぁぁぁぁぁぁ‼︎ドロー‼︎」
「アンタはもう終わりだけど。スタンバイフェイズ、罠発動‼︎D.D.ダイナマイト‼︎相手が除外しているカードの数×300ポイントダメージを相手ライフに与えるわ‼︎」
「っ⁉︎な、何だと⁉︎」
「アンタの除外は強欲で金満な壺とヘルテンペストで除外されたカードをあわせて41枚………結果は分かるわよね?」
「あ、ぁぁぁ………‼︎」
不良の目の前にダイナマイトが現れる。
不良が震えながら膝を突き、ダイナマイトに導火線が燃え尽きるのと同時に私はその光景から背を向ける。
「12300ポイントのダメージをアンタに与えるわ。遊花に手を出したことを後悔しながらーーー潰れなさい」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
激しい爆発の中不良の惨めな断末魔の叫び声が響き渡った。
不良 LP7100→0
ーーーーーーー
「口ほどにもなかったわね」
「馬鹿な‼︎俺様が、こんなあっさりと………」
立体映像が消え、青ざめた顔で地面に項垂れる不良に私は近づいていき、その胸ぐらを掴んでこちらを向かせる。
「わかったかしら?誰に喧嘩を売ったのか?」
「ひっ‼︎」
こちらを向かせた不良の顔は恐怖に歪み、震えながら涙を浮かべている。
どうやら先程のデュエルで完全に心が折れたらしい。
最も、容赦してやる気はないけど。
「『誰を敵に回したか思い知らせてやる』って言ってたわよね、アンタは?」
そもそもそこから間違えてるのよ、アンタは。
「敵に回しちゃいない奴は………世界中にいるのよ。アンタの小さな世界の外には、いくらでもね」
この不良は多分外部生だ。
きっと元々いた場所ではそこそこ強かったのだろう。
だけど、それはただの井の中の蛙だ。
その視野の狭さが、コイツの敗因。
そういって私が掴んでいた胸ぐらを離すと、不良はその場でへたり込む。
私はしゃがみこんで不良に視線を合わせると低い声で口を開く。
「今回はこの辺で勘弁してあげる。けど、もし次に同じようなことをした時にはーーー」
私はそこで言葉を区切ると、全力の殺気を不良にむけて叩きつけた。
「ーーー生きてたことを後悔する程、完膚なきまでに叩き潰してあげる」
「ひっ‼︎ひぃっ‼︎」
「そこで倒れてる奴連れてさっさと失せなさい」
「す、すみませんでしたぁ‼︎」
私が殺気を消すと不良は未だに床に転がっていた男子を抱えると脱兎の如く教室から逃げて行った。
「ふぅ、こんなものよね」
私がため息を吐きながら立ち上がると辺りを見渡す。
すると、こちらの様子を傍観していた生徒が怯えた表情で視線を逸らし、ひそひそと話す声が聞こえる。
わかってはいたけれど、どうやら私は周囲から危険人物として認定されたようだ。
まあ、そういう風に映るように振る舞ったんだから当然なんだけどね。
こうしておけばよっぽどの馬鹿か自信家じゃなければ私の
私が多少疎まれるだけで遊花の危険が減るなら安いものだ。
そんなことを考えていると、突然背後から両手が伸びてきて私の身体を掴むと勢いよく身体を後ろに回された。
勢いのまま後ろを見ると頬を膨らませて明らかに怒った顔の遊花がいた。
遊花は怒った表情のまま両手で私の頬を掴むと軽く引っ張る。
「もう、桜ちゃん‼︎危ないことはしちゃダメっていつも言ってるよね⁉︎」
「いひゃ‼︎いひゃいわよ、遊花‼︎」
「助けてくれたのはありがとうだけど、アレはやり過ぎだよ‼︎桜ちゃんに何かあったらどうするの⁉︎」
「ゆ、ゆぅか………」
むぎゅむぎゅと私の頬を遠慮なく引っ張っていく遊花に傍観していた生徒は青ざめていく。
大方これで私が激怒してまた凄惨な事態が引き起こされたらどうするか考えているのだろう。
そんな生徒をよそにどんどん遊花の声には熱がこもっていく。
「やり過ぎたら桜ちゃんの方が悪いことになっちゃうんだよ⁉︎それで‼︎………それで………桜ちゃんが、先生達に怒られ、ちゃったら………」
「ゆ、遊花⁉︎」
突然私の頬を掴んでいた遊花の手から力が抜ける。
そして真正面から私を射抜く遊花の瞳には大粒の涙が溜まっていた。
遊花は掴んでいた頬から手を離すとそのまま私の身体を抱きしめた。
「よかった………桜ちゃんが無事で………よかったよぉ」
「遊花………心配かけてごめん。私は大丈夫だから」
「うん………」
泣きながら私を抱きしめる遊花の身体を抱きしめながら、私は歯を食いしばる。
やっぱり、私は未熟者だ。
遊花の身体を守れても遊花の心を守れない。
それどころかこうやって抱きしめて、私の心が本当に堕ちてしまわないように、護ってもらってばかりだ。
私を抱きしめたまま泣き出した遊花を見て教室の張り詰めた空気が弛緩してうく。
結局は、私の尻拭いを遊花にさせてしまったようなものだ。
私は視線を未だに腕に装着したままにしていたデュエルディスクにセットされているデッキにむける。
やっぱり私は壊獣と同じだ。
相手を喰らい、場を荒らすことしかできない。
そんな私を止めることができるのは、柔らかくそれでいて頑固なこの
………私は本当に守ることができるのだろうか?
この大切な親友を。
「………ううん、やってみせる。絶対に」
「桜、ちゃん?」
「………なんでもないわ。それより、ほら。泣き止んで。せっかくの可愛い顔が台無しよ」
ポケットからハンカチを取り出して遊花の涙を拭う。
涙を拭うと、遊花は控えめながらも柔らかい表情で笑った。
「うん、えへへ」
その笑顔を見て、改めて誓う。
必ずなってみせるこの子に護られるんじゃなくて、この子を守れる親友に。
………この後、遊花がデュエルが出来なくなり自分の無力さを実感したり、急にデュエルができるようになった遊花の師匠に喧嘩を売ったり、その師匠と友人となって遊花と共に同居生活を送ることになるのだが………それはまた、別のお話。
というわけで4周年記念の番外編でした。
今回は遊花の親友、桜のお話でした。
大切な親友である遊花を守るために迷走を続けながらも必死に頑張る桜はとても一途な子です。
自分の不器用さ不甲斐無さを理解しながらも必死に大切な親友のために背伸びを続ける桜の姿は、遊花の背中をいつも支えています。
守り護られるそんな関係はお互いを強く成長させていくでしょう。
さてさてそんなところで今回はこの辺でお開き。
また更新が長いこと止まってしまい申し訳ありませんでした。
去年から少し職場環境が変わったのですが、環境の変化から持病が悪化して一時期割と危険な状態になり入院、復帰したら今度は職場で起きた事故で入院………自分のリアルラックの低さに本気でお祓いに行こうか悩むレベルでした。
歩みが遅く、稚拙な作品ではありますが、これからも皆さまに楽しんでいただけるように精進して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
ではでは〜