今回は遊花のデュエル回。
前回のあとがきで前後編に分かれると言ったな?
………あれは嘘だ。
本当は長くするつもりだったんですが、思ったより長引かせる要素がなかったんです。
遊花が成長し過ぎてて展開を考えるのも大変………まだ1章の半ばなんだよなー
そして今回は期末試験編のラスボス的なキャラが登場?
★
「残念ながらアンタには難題は解けなかったみたいね。じゃ、これで終わりよ‼︎バトル‼︎雷撃壊獣サンダーザキングでダイレクトアタック‼︎グラビティレイ‼︎」
「うわぁぁぁ‼︎」
「おお‼︎桜の奴、派手にやってるな‼︎」
「桜ちゃん、いつも容赦ないから」
「彼もヘルテンペストを受けてよく耐えた方だと思う」
期末試験2日目。
自分のデュエルの順番がまだ回ってきていない私は大地君と霊華さんと一緒に、桜ちゃんのデュエルを観戦していた。
といっても、桜ちゃんが後攻1ターン目に妨げられた壊獣の眠りからドゴランとサンダーザキングを呼び出し、ジェスターコンフィで自爆特効を仕掛けてヘルテンペストを決め、そのままサンダーザキングを処理することが出来ずに攻撃をされ続ける様を見てただけなんだけど………相変わらず容赦ないなぁ、桜ちゃんは。
「桜のデュエルは派手だからすっげーワクワクするんだよな‼︎」
「派手なデュエルであることは認めるわ。受ける側としては堪ったものじゃないけど」
「因みに2人だったらどうやって桜ちゃんと戦うの?」
「俺はマグネットリバースでマグネットバルキリオンを出して攻撃力で超える」
「私はフィールドにモンスターが残らないから壊獣を出される心配は基本的にない。後はヘルテンペストの予兆が見えた時にPSYフレームで使わせないようにする。そうじゃなくても除外を利用したギミックも入ってるからその除外を活かして戦うだけ」
「へぇ〜やっぱり2人共対処できるんだ」
「遊花はどうするんだ?」
「うーん、虹クリボーかクリボールで自爆特効をさせないぐらいかな?」
「遊花のデッキは遊花自身を守るための防御よりだものね」
「そう考えると、遊花と桜って真逆だよな。防御特化の遊花に攻撃特化の桜って感じで」
「あはは、確かにそうかもね」
桜ちゃんとデュエルするのは、正直私のデッキでは分が悪い。
私のデッキはクリボー達の防御能力でライフを繋いでから逆転していくデッキだけど、桜ちゃんのヘルテンペストはその防御能力を持つモンスター自体をデッキから消してしまう。
おまけに私のクリボー達は攻撃力が低いけど、桜ちゃんのデッキは高い攻撃力を誇る壊獣達がいっぱいいる。
攻撃力対決ではどうしてもこちらが攻めれない内に負けてしまうのだ。
それでも、最近は色々な召喚方法を覚えたお陰か少しは勝負になるようになってきたけど、桜ちゃんに対する勝率は1割ぐらいしかない。
うぅ〜桜ちゃんとデュエルする時、どうするかも考えておかないとな〜
そんなことを考えていると、いつの間にか後ろの方から桜ちゃんが伸びをしながらこちらにやってきた。
「ふー終わった終わった。手応えがないわね、全く」
「あ、桜ちゃん、お疲れ様‼︎」
「桜、お疲れ様」
「ありがと、遊花、御子神」
「やっぱり桜のデュエルってすげー派手だよな。次は俺とやろうぜ‼︎」
「今は試験中よ?出来る時間なんてあるわけないじゃない」
「ちぇっ、じゃあ試験が終わったらどうだ?」
「はいはい、考えといてあげるわ」
そういいながらぱたぱたと手を振る桜ちゃん。
それ、善処するって奴だよね?
後で絶対やらないパターンの奴だよね?
『第3学年、出席番号98番、栗原遊花さん。至急第3フィールドへお越しください』
「あ、私の番だね」
「お、次は遊花の番か‼︎今日はどんなデュエルを見せてくれるか、楽しみにしてるぜ‼︎」
「私の時と同じ、どんな状況でも決して諦めずに楽しんで頑張ってくるといいわ。そうすれば、貴方のカード達は貴方を助けてくれるわ」
「うん‼︎今日も楽しんで頑張ってくるね‼︎」
「………遊花」
「?どうしたの、桜ちゃん?」
大地君と霊華さんの応援に笑顔で答えていると、桜ちゃんがどこか心配そうな顔で声をかけてきた。
「その………相手に何か言われても気にしなくていいんだからね?遊花は遊花らしくいればいいんだから」
「?よく分からないけど、いつも通り頑張ってくるね」
「ええ、それでいいわ」
桜ちゃんの言葉に首を傾げながらも駆け足でフィールドに移動する。
そこで待っていたのは黒髪を坊主にした少年。
その少年は私を見ると不機嫌そうな表情を浮かべた。
「やっときたのかよ。雑魚の癖に僕より遅れてくるなんて生意気な奴だな」
「えっと、ごめんなさい?」
「ハッ、謝るぐらいならさっさと負けてくれよ。なんで学年トップ10に入ってる僕が学年最下位の雑魚決闘者なんかとデュエルしなきゃいけないんだ」
そういって不機嫌そうに少年は表情を歪ませる。
まあ、普通に考えたらいきなり学年最下位の人とデュエルしろって言われても、強い人であればある程納得できないよね。
霊華さんや大地君の反応の方がどちらかというと変わっていた方なんだろう。
自分の言葉に特に反応を見せない私に苛立ったのか、少年は舌打ちしながらも嗜虐的な笑みを浮かべた。
「チッ………まあいいや。お前、この試験の結果で退学が決まるんだろう?なら、学年トップ10のこの僕、不死川 王我(しなずがわ おうが)が君に引導を渡してあげるよ‼︎嬉しいだろ?」
「うーん、退学するのは流石に嫌ですね。まだ、やりたいことも学びたいこともありますから」
「はあ?学年最下位の雑魚決闘者が僕に勝つつもりなのか?」
「はい。私は負けるつもりでデュエルしたことはありません」
私の返事に不死川君は余計に不機嫌そうな顔をしながらデュエルディスクを起動する。
それを見て、私も自分のデュエルディスクを起動して構える。
確かに、私は学年最下位だ。
でも、やっぱり負けるつもりはない。
私はまだここで学びたいことがある。
一緒に過ごしたい人達もいる。
だから、誰になんと言われようと退学になんてなるつもりはない。
「チッ、雑魚決闘者が粋がりやがって‼︎なら、圧倒的な力で叩き潰してやる‼︎」
「私はまだここにいたいんです。だから、負けません‼︎」
『決闘‼︎』
遊花 LP8000
王我 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は僕だ。モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド」
遊花 LP8000 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ーー◼︎ーー
ーー▲ーー ー
王我 LP8000 手札3
セットモンスターと伏せカードが1枚ずつ。
今までデュエルしてきた人達よりかなり控えめな1ターン目だけど、相手は学年トップ10、油断は出来ない。
「私のターン、ドロー‼︎クリバンデットを召喚」
〈クリバンデッド〉☆3 悪魔族 闇属性
ATK1000
私の前に現れたのは盗賊のような姿をした黒い毛玉のモンスター。
うん、今日も攻撃したいのは分かってるから大丈夫だよ。
でも、今まで1度もクリバンデットの攻撃って成功したことが無いんだよね………今日は大丈夫かな?
「バトル‼︎クリバンデットでセットモンスターを攻撃‼︎バンデットクロー‼︎」
「セットモンスターはワイトプリンス」
〈ワイトプリンス〉☆1 アンデット族 闇属性
DEF0
姿を見せたのは王子様のような姿をしたガイコツのモンスター。
クリバンデットはその爪でワイトプリンスを引き裂くと、ワイトプリンスはバラバラになって崩れ落ちた………えっ⁉︎普通に倒せた⁉︎
やった‼︎やったね、クリバンデット‼︎
ようやく攻撃が成功したよ‼︎
そんな思いでクリバンデットを見ると、クリバンデットははしゃいだように跳ねまわり、それから私に抱きつくように擦り寄ってくる。
うんうん、嬉しいよね‼︎
やっと攻撃が成功したもん‼︎
そんな私を、不死川君は鼻で笑う。
「ハッ、この程度で喜ぶなんて流石は最底辺の雑魚決闘者だ‼︎墓地に送られたワイトプリンスの効果発動‼︎このカードが墓地に送られた場合、デッキからワイトとワイト夫人1体ずつを手札・デッキから墓地に送る‼︎僕はデッキからワイトとワイト夫人を墓地へ送る‼︎」
そういって不死川君はデッキから2枚のガイコツのカードを墓地に送った。
ワイトという名前には聞き覚えがある。
ステータス自体はかなり低い通常モンスターだが、墓地にそのカードが増えると大変なことになると。
「君がやったことは僕が勝利するためのサポートでしかないのさ。そんな雑魚モンスターで少しモンスターを破壊できたぐらいで喜んでる奴なんかが僕に勝てるかよ」
不死川君の言葉にクリバンデットがしょんぼりとした声で鳴く。
ううん、気にしなくてもいいんだよ、クリバンデット。
私はしょんぼりしていたクリバンデットの頭を撫でるように手を動かしながら、不死川君の顔を見る。
「はあ?なんだよ、その不機嫌そうな顔は?」
「………」
「雑魚に雑魚って言ったことが気に障ったの?本当に生意気な奴だな、君は」
確かに、クリバンデットがワイトプリンスを倒したことでこちらは不利になるのかも知れない。
でも、クリバンデットがいつも私のために頑張ってくれてるのは分かっている。
例え立体映像が映し出している演出であろうとも、その頑張りを馬鹿にすることだけは赦せない。
「メインフェイズ2、私はカードを2枚伏せてエンドフェイズにクリバンデットの効果発動‼︎このカードをリリースしてデッキの上から5枚めくり、その中から魔法・罠カード1枚を手札に加えて残りを墓地におきます‼︎」
クリバンデットの姿が消え、私はデッキの上から5枚のカードをめくって中から1枚のカードを手札に加える。
貴方の頑張り、私は無駄にしないからね。
「私は魔法カード、賢者の石-サバティエルを手札に加えてターンエンドです」
遊花 LP8000 手札4
ーー▲▲ー ー
ーーーーー
ー ー
ーーーーー
ーー▲ーー ー
王我 LP8000 手札3
「生意気な顔をしちゃって、君なんかじゃ僕には勝てないんだよ‼︎僕のターン、ドロー‼︎ふっ、このターンで君にトドメを刺してあげるよ‼︎手札からワイトプリンスを捨てて魔法カード、ワンフォーワンを発動‼︎デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する‼︎来い、僕の切り札‼︎数多の屍の上に君臨する骸達の王‼︎ワイトキングを特殊召喚‼︎」
〈ワイトキング〉☆1 アンデット族 闇属性
ATK?
現れたのは身体中から闇を溢れ出させているガイコツのモンスター。
攻撃力が決まってない………なら、その効果は予想がつく。
「まずは墓地に送られたワイトプリンスの効果発動‼︎このカードが墓地に送られた場合、デッキからワイトとワイト夫人1体ずつを手札・デッキから墓地に送る‼︎そしてワイトキングの永続効果、グールズエクスプロイテイション‼︎このカードの攻撃力は墓地に存在するワイトキングとワイトの数×1000ポイントの数値になる‼︎さらに墓地に存在するワイト夫人とワイトプリンスはワイトとして扱うため、その攻撃力は‼︎」
ワイトキング
ATK?→6000
「攻撃力6000………」
「まだだ、まだこの程度じゃ終わらないさ‼︎墓地に存在するワイトプリンスの効果発動‼︎自分の墓地からワイト2体とこのカードを除外してデッキからワイトキングを特殊召喚する‼︎僕は墓地のワイト、ワイト夫人、ワイトプリンスを除外してワイトキングを特殊召喚だ‼︎」
〈ワイトキング〉☆1 アンデット族 闇属性
ATK?→3000
「さらに手札から通常召喚‼︎ワイトキング‼︎」
〈ワイトキング〉☆1 アンデット族 闇属性
ATK?→3000
並び立つのは3体のワイトキング。
攻撃力が少し下がったとはいえ、それでも3000のモンスターが並んでいるのは十分脅威だ。
そして不死川君はこちらを嘲笑うように笑う。
「攻撃力が下がってることに安心したかい?そんなに僕は甘くないんだよ‼︎手札からワイトメアの効果を発動‼︎このカードを手札から捨てて以下の効果から1つを選択して発動する事ができる‼︎ゲームから除外されている自分のワイトまたはワイトメア1体を選択して自分の墓地に戻すか、ゲームから除外されている自分のワイト夫人またはワイトキング1体を選択してフィールド上に特殊召喚することができる‼︎僕はワイト夫人を特殊召喚‼︎」
〈ワイト夫人〉☆3 アンデット族 闇属性
DEF2200
ワイトキングの横に現れるのは貴婦人のような姿をしたガイコツのモンスター。
そのモンスターからワイトキングを包むように黒いオーラのようなものが溢れ出す。
「ワイト夫人の永続効果、このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、ワイト夫人以外のフィールド上のレベル3以下のアンデット族モンスターは戦闘では破壊されず、魔法・罠カードの効果も受けない‼︎」
「っ、耐性の付与………」
伏せカードの1枚は聖なるバリア -ミラーフォース-だったけど、また使えないか………
「まだだ‼︎リバースカードオープン‼︎速攻魔法、異次元からの埋葬‼︎除外されている自分及び相手のモンスターの中から合計3枚までそのモンスターを墓地に戻す‼︎僕はは除外されているワイトとワイトプリンスを墓地に戻し、再びワイトプリンスの効果が発動‼︎さらにデッキからワイトとワイト夫人を墓地に落とす‼︎さらにさっき手札から墓地に送ったワイトメアも効果によりワイトとして扱われる‼︎よってワイトキングの攻撃力は‼︎」
ワイトキング
ATK?→8000
「攻撃力8000の耐性持ちモンスターが3体………‼︎」
「さあ、さっさと潰れろ雑魚決闘者‼︎バトル‼︎ワイトキングでダイレクトアタック‼︎キングダークネス‼︎」
ワイトキングが身体上から溢れ出る闇を拳に集め、私を殴ろうと突撃してくる。
確かに攻撃力も耐性もかなりの脅威だ。
でも、今更そんな単純な攻撃程度でやられる私じゃない‼︎
「速攻魔法、クリボーを呼ぶ笛‼︎その効果で自分はデッキからクリボーまたはハネクリボー1体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる‼︎私か選ぶのは特殊召喚‼︎いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」
〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性
DEF200
現れるのは天使の羽を持つ私の最高の相棒。
ハネクリボーは私を守るように手を広げる。
「ハッ、そんな雑魚モンスター1体で何が出来るんだよ‼︎ワイトキングでハネクリボーを攻撃だ‼︎」
ワイトキングは突撃の勢いのままハネクリボーを殴り飛ばし、ハネクリボーが粒子に変わる。
しかし、その粒子は私を守るように私の身体を包み込む。
「ハネクリボーの効果発動‼︎プリフィケーション‼︎このカードがフィールドから墓地に送られたターン、自分の受ける戦闘ダメージは0になる‼︎」
「なに⁉︎小賢しい真似をしやがって‼︎だけど、僕には攻撃力が8000のワイトキングが3体‼︎さらに、ワイト夫人の効果で戦闘破壊されず魔法・罠の効果も受けない‼︎しかも、例えワイト夫人を処理し、ワイトキングを戦闘で破壊出来ても、ワイトキングは戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地のワイトキングまたはワイト1体をゲームから除外する事で特殊召喚することが出来る‼︎君みたいな雑魚決闘者に突破できるわけがない‼︎僕はこれでターンエンドだ‼︎」
遊花 LP8000 手札4
ーーー▲ー ー
ーーーーー
ー ー
□◯◯◯ー
ーーーーー ー
王我 LP8000 手札3
分かったことがある。
この人は昨日の私のデュエルを見ていない。
最下位の雑魚だと侮って、当たり前に勝てると思っているからこそ、あの耐性だけで耐えられると思っている。
でも………それぐらいじゃ私は止まらない‼︎
「私のターン、ドロー‼︎魔法カード、魔法カード、賢者の石-サバティエル‼︎このカードは自分の墓地にハネクリボーモンスターが存在する場合、ライフポイントを半分払って発動できます」
遊花 LP8000→4000
「そうすることで、デッキから融合魔法カードまたはフュージョン魔法カード1枚を手札に加えることが出来る‼︎ 私が手札に加えるのは、融合‼︎」
「ふん、雑魚が一端に融合召喚でもする気か?」
「私は金華猫を召喚‼︎」
〈金華猫〉☆1 獣族 闇属性
ATK400
現れたのは霊体になっている猫のようなモンスター。
「金華猫の効果発動‼︎召喚した時、墓地に存在するレベル1モンスターを特殊召喚します‼︎墓地から戻ってきて、サクリボー‼︎」
〈サクリボー〉☆1 悪魔族 闇属性
DEF200
現れるのはクリボーに似た毛玉のようなモンスター。
サクリボーは何処か怒ってるように興奮し、金華猫もいつもと違って不機嫌そうだ。
君達も怒ってくれてるんだね?
うん、一緒に見返してやろう‼︎
「私は魔法カード、融合を発動‼︎自分の手札・フィールドから融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、その融合モンスター1体をEXデッキから特殊召喚します‼︎私が融合するのは、フィールドの金華猫とサクリボー‼︎」
「何?」
フィールドに現れた渦の中に金華猫とサクリボーが飛び込んでいく。
「守護霊となりし猫よ、小さき悪魔と交わりて、孤独を壊す力となれ‼︎融合召喚‼︎閉ざされた世界を溶かす毒龍‼︎スターヴヴェノムフュージョンドラゴン‼︎」
〈スターヴヴェノムフュージョンドラゴン〉☆8 ドラゴン族 闇属性
ATK2800
スターヴヴェノムがフィールドを揺らす程の咆哮を上げる。
貴方も仲間を侮辱されたことを怒ってくれてるんだね。
ありがとう、それじゃあ終わらせよう。
「あんな雑魚モンスターがドラゴンの融合モンスターになるだと⁉︎」
「スターヴヴェノムフュージョンドラゴンの効果発動‼︎パワースワローヴェノム‼︎このカードが融合召喚に成功した場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする‼︎対象にするのはワイトキング‼︎」
「何⁉︎」
スターヴヴェノムフュージョンドラゴン
ATK2800→10800
スターヴヴェノムの放つ毒の瘴気がワイトキングの身体を溶かし、その力を奪い去っていく。
これで準備は整った‼︎
「攻撃力10800だって⁉︎だが、それもこのターンだけ‼︎次のターンにワイトキングで攻撃すればライフが半分になった君なんか一撃だ‼︎」
「貴方に次のターンなんてありません‼︎バトル‼︎スターヴヴェノムフュージョンドラゴンでワイトキングを攻撃‼︎そして攻撃宣言時、速攻魔法、決闘融合-バトルフュージョン‼︎自分フィールドの融合モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動‼︎その自分のモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする‼︎」
「な、なんだって⁉︎」
スターヴヴェノムフュージョンドラゴン
ATK10800→18800
「こ、攻撃力、18800だって⁉︎」
「これで終わりです‼︎消失のヴェノムストリーム‼︎」
スターヴヴェノムフュージョンドラゴンが放った毒のブレスがワイトキングを一瞬で溶かし、そのまま不死川君を呑み込んだ。
「ば、馬鹿な〜‼︎」
不死川 LP8000→0
ーーーーーーー
「そんな馬鹿な⁉︎この僕が、こんな最底辺の決闘者に負けるなんて‼︎」
デュエルが終わり、膝をついてその場で拳を地面に叩きつけ悔しがる不死川君。
私はそんな不死川君に近づき、これだけは言っておきたかったことをはっきりとした口調で伝えておく。
「私は確かに弱いです。デュエルも、心も、まだまだ弱くて、使っているカードだって、貴方達から見たら取るに足らないようなカードしか、使えていないのかも知れません。それでも………それでもそんなカード達が大好きで、そのカード達と一緒に戦いたいから、一生懸命努力している決闘者だっているんです。貴方のワイトだって、ワイトだけならステータスの低い通常モンスターですが、ワイトキング達と合わされば攻撃力8000にまで到達出来る程強化されるように、カード自体の組み合わせで色々な可能性があるんです。それを、ただの外見やステータスだけで判断して、雑魚だなんて………言わないでください」
「っ‼︎ふざけるな‼︎何で僕がお前みたいな雑魚に説教されなきゃいけないんだ‼︎」
「きゃっ‼︎」
急に立ち上がった不死川君に突き飛ばされ、尻餅をついてしまう。
不死川君は憤怒の形相でこちらを睨みつけてくる。
「お前みたいな最底辺決闘者に負けるなんて何かの間違いだ‼︎お前、イカサマしたんだろう⁉︎」
「………なんでそうなるんですか………そもそもデュエルディスクを使用している以上、イカサマなんてしようとしてもデュエルディスクは反応しないし、酷かったら警報がなることぐらい、貴方だって知ってるでしょう?」
「うるさいうるさい‼︎そうじゃなきゃお前のような奴に僕が負けるなんてあり得ないんだ‼︎」
私は思わず呆れた顔で不死川君を見るが、どうしても負けを認められないのか不死川君が摑みかかろうとしてくる。
私はその光景に思わず目を瞑ってしまう。
すると、目の前から何かが吹き飛ばされるような凄い音がした。
いつまで経ってもやってこない衝撃に恐る恐る目を開けると………
「王様気取りのガキ風情が遊花に手を出してんじゃないわよ‼︎2度と立ち上がれないように、そのひょろひょろの身体の骨を全部へし折ってやる‼︎」
「おま、桜、それ以上は止めとけって‼︎」
「見事な飛び蹴りだった。数メートルは吹き飛んだ」
「ちょっ、霊華も止めるの手伝ってくれよ‼︎」
そこには今にも暴れだしそうな桜ちゃんを大地君が必死に抑え、少し先の床に転がっている不死川君を霊華さんが眺めているという光景があった。
………どういうことなの?
「えっと………桜ちゃん?」
「っ‼︎遊花‼︎大丈夫‼︎怪我とかない⁉︎待ってなさい、今からアイツを成仏させてくるから‼︎」
「ちょっと、待って待って‼︎やり過ぎ‼︎それはやり過ぎだから‼︎」
「ほら、遊花もこう言ってるんだから少しは落ち着けよ」
「アンタは何も思わないの⁉︎遊花が傷つけられたって言うのに‼︎」
「いや、俺だってイラっとは来たけどさ。お前がやり過ぎて傷つくのは遊花だぜ?だから、落ち着けって、な?」
「桜ちゃん………」
「桜、貴方が遊花を悲しませてたら本末転倒よ」
「うっ………あーもう分かったわよ‼︎あの蹴りだけでチャラにしてあげるわ‼︎」
桜ちゃんはそういうと憤りを隠せないという風にそっぽを向いた。
………また桜ちゃんに迷惑をかけちゃった。
桜ちゃんは、小さい頃から私が危なくなったらいつも助けてくれる。
でも、そのせいで桜ちゃんが傷付くのは………凄く悲しい。
………本当に、弱いなぁ………私は………身体も………心も。
そう自己嫌悪に陥る私の耳に聞き覚えがない男性の嘲笑の声が聞こえて来た。
「ヒヒヒ、王我の奴、あんな雑魚に負けてやんの‼︎おまけに宝月に蹴り飛ばされてるし、本当に笑わせてくれるな〜」
「っ………この虫酸が走る喋り方は………」
桜ちゃんが嫌そうな顔を浮かべると声のする方向を向く。
私も釣られてその方向を見ると、そこには眼鏡をかけた茶髪をコーンロウにした男性がいた。
その男性は桜ちゃんを見てニヤニヤしながら近づいてきた。
「やあ、僕に
「っ………ええ、アンタの顔を見てその気分もさらに最悪になったわよ、神路祇 電二(こうろぎ でんじ)。そんなことも分からないのなら性根と同じで脳味噌まで腐りきってんじゃないの?」
「ヒヒヒ、酷いな〜僕はただ面白そうだからおちょくりに来てあげただけなのに。そんな雑魚に負けた王我とお友達を傷つけられて怒り心頭の宝月さんをさぁ」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる桜ちゃんを横目に神路祇と呼ばれたその男性は不死川君の近くに座り込む。
「やっほ〜怒れる類人猿みたいな宝月さんに蹴り飛ばされた王我君、生きてる〜?」
「っ………神路祇………」
「お、意識あるんだ〜ゴリラに蹴り飛ばされたようなものなのに、さっすが〜骨の王様は違うね〜しぶとさだけなら台所の黒い虫けらと同じぐらいじゃないの〜?」
「何しに来た………」
「勿論、王我君を笑いにだよ。あんな雑魚に負けちゃった上に最後は癇癪を起こして手を出そうとするなんて、王我君、ちょっとイケてないんじゃなーい?慢心ばっかりしてるのも王我君の面白いところだけど、それで負けちゃ世話ないよね〜」
「っ………コイツ‼︎」
「あらやだ、殴りかかってきたりしないでよ?踏み潰したくなっちゃうからさ〜ヒヒヒ」
「がっ‼︎」
「あ、ごっめーん。もう潰しちゃった。足元に転がってるんだから仕方がないよね〜」
そういって床に転がっている不死川君の身体を踏みつける神路祇君。
それを見て思わず私は声をあげる。
「あ、あの‼︎止めて下さい‼︎不死川君、苦しそうです‼︎」
「ん〜?」
神路祇君の視線がこちらに向く。
その視線には色々な感情が込められており、何を考えているかを正確に読み取ることができない。
ただ、ひとつだけ分かっていることがあるとすれば………その視線に1番込められているのはーーー
「最底辺の虫けら風情が何声をかけて来てんの?踏み潰すよ、君もさ?」
「っ………」
ーーー何処までも人を見下す、侮蔑の感情であるということだ。
「ま、いいけどね。今は許してあげるよ、栗原 遊花さん。どうせ期末試験が進めばデュエルすることになるんだから」
「………えっ?」
「あら、僕ちゃんのこと知らない?これでも学年トップ10なのよ、僕ちゃんってさ。さっき言ってたこと、聞こえなかったかな〜?僕は君のお友達の宝月さんに圧勝してんのよ、これでも、さ」
その言葉に桜ちゃんが歯を食い縛る。
そんな桜ちゃんの様子から分かってしまう。
彼が言っていることが本当なのだと。
そして、神路祇君は不死川君の上から足を退けると、私を蔑むような目で見て笑った。
「まあそう言うわけで、その時にはーーー存分に壊して遊んであげるから、待っててね、虫けらさん?ヒヒヒ、ヒハハハハ‼︎」
笑い声を上げながら去っていく神路祇君を、今の私は黙って見送ることしか出来なかった。
次回予告
神路祇との邂逅により、思い悩む遊花。
そんな遊花の次の対戦相手はお淑やかな雰囲気を醸し出している女性。
思い悩み、デュエルに集中できない遊花はその戦術に一気に追い詰められていく。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『華麗なる出来役』
次回も引き続き遊花のデュエル回。
今度こそ前後編になる予定。
おそらく相手役がソリティアに近いことをするので。
今回はデュエルとしてはライフの減少はコストのみのほぼ完全勝利です。
まあ、あれだけ妨害を掻い潜れる遊花相手に妨害1つしなかったらああなりますよね。
そして実力はつけてきているのに自信のなさという精神的な不安定さがまだまだ残っている遊花。
遊花の自信のなさが解決するのはまだまだ先になりそうですね。
そして出てくる遊花に対して純粋な悪意を持っている存在。
遊花はそんな相手にどう向き合っていくのか?
そしてそんな相手の実力は?
というところで今回はお開き。
ではでは〜