遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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遊花のデュエル回後編です。
遊花は紅葉の強力な布陣を突破することができるのか?
そして一昨日から友達が勧めてくれた『Daisy Blue 』という曲をずっと作業用BGMとして聴きながら執筆しています。
なんか歌詞がこの作品のイメージとぴったりな感じがして執筆意欲が上がりっぱなしです。
………残念なことに、本当に残念なことに書くスピードが限界値なので上がりませんでしたが。
よろしければ1度聴いてみてから読むと面白いかもです。





第23話 私が私で在るために

 

 

 

遊花 LP8000 手札4

 

 ーー▲▲ー ー

 ーーーーー

  ー ☆

 ーー□□◯

 ーーーーー ー

 

紅葉 LP4000 手札3

 

 

「わ、私のターン、ドロー‼︎」

 

「花札衛ー雨四光ーの効果を発動します、苦雨凄風‼︎相手のドローフェイズに相手が通常のドローをした場合、相手に1500ポイントのダメージを与えます‼︎」

 

「うっ‼︎」

 

 

遊花 LP8000→6500

 

 

雨四光の傘から雨のような弾丸が私に向けて放たれ、私のライフが削られる。

 

この効果もそう何度も食らうことはできない。

 

私は改めてドローしたカードと手札を確認する。

 

ダメ、この手札じゃ今の状況を覆すことは出来ない‼︎

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドです」

 

「エンドフェイズ、花札衛ー雨四光ーの効果で次の自分ターンのドローフェイズをスキップする効果を選択しますわ」

 

 

遊花 LP6500 手札4

 

 ー▲▲▲ー ー

 ーーーーー

  ー ☆

 ーー□□◯

 ーーーーー ー

 

紅葉 LP4000 手札3

 

 

「私のターン。花札衛ー雨四光ーの効果でドローフェイズはスキップされますわ。花札衛ー猪鹿蝶ーの効果を発動します、春愁秋思‼︎墓地の花札衛ー牡丹に蝶ーを除外して、次の相手ターン終了時まで、相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地からモンスターを特殊召喚できなくなりますわ‼︎」

 

「っ‼︎」

 

再び猪鹿蝶が槍を振るい私の墓地を紅葉が覆い隠す。

 

これでまた墓地を使用することが出来なくなっちゃった。

 

「さらに花札衛ー雨四光ーと花札衛ー猪鹿蝶ーを攻撃表示に変更しますわ」

 

 

花札衛ー雨四光ー

DEF3300→ATK3300

 

 

花札衛ー猪鹿蝶ー

DEF2300→2300

 

 

「バトルフェイズ‼︎花札衛ー五光ーでダイレクトアタックですわ‼︎光風霽月‼︎」

 

「させません‼︎手札からクリフォトンの効果発動‼︎このカードを手札から墓地へ送り、2000ライフを払って、このターン、自分が受ける全てのダメージは0になります‼︎」

 

 

遊花 LP6500→4500

 

 

五光が光を纏った刀を振り下ろし、私に向かって衝撃波が飛んでくる。

 

それを私の前に現れた電球のような姿をしたモンスターが、私の身体を包みこむように光の粒子を放ち、五光の放った衝撃波は霧散した。

 

「このターンの攻撃は防がれてしまいましたか。ならば、私はこれでターンエンドといたします」

 

 

遊花 LP4500 手札3

 

 ー▲▲▲ー ー

 ーーーーー

  ー ☆

 ーー◯◯◯

 ーーーーー ー

 

紅葉 LP4000 手札3

 

 

「わ、私のターン、ドロー‼︎」

 

「花札衛ー雨四光ーの効果を発動します、苦雨凄風‼︎相手のドローフェイズに相手が通常のドローをした場合、相手に1500ポイントのダメージを与えます‼︎」

 

「くぅっ‼︎」

 

 

遊花 LP4500→3000

 

 

雨四光の傘から雨のような弾丸が私に向けて放たれ、私のライフが3000になる。

 

こうなってしまったらもう貫通ダメージを1度受けただけでもアウトだ。

 

でも、私の手札にこの状況を突破出来そうなカードはない。

 

まだ、耐えるしかない。

 

「私はさらにカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「エンドフェイズ、花札衛ー雨四光ーの効果で次の自分ターンのドローフェイズをスキップする効果を選択しますわ」

 

 

遊花 LP3000 手札3

 

 ー▲▲▲▲ ー

 ーーーーー

  ー ☆

 ーー◯◯◯

 ーーーーー ー

 

紅葉 LP4000 手札3

 

 

「私のターン。花札衛ー雨四光ーの効果でドローフェイズはスキップされますわ。花札衛ー猪鹿蝶ーの効果を発動します、春愁秋思‼︎墓地の花札衛ー荻に猪ーを除外して、次の相手ターン終了時まで、相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地からモンスターを特殊召喚できなくなりますわ‼︎このターンで終わりでしょうか?バトルフェイズ‼︎花札衛ー五光ーでダイレクトアタックですわ‼︎光風霽月‼︎」

 

「まだ………通すわけにはいきません‼︎手札からゴーストリックランタンの効果発動‼︎その攻撃を無効にし、このカードを手札から裏側守備表示で特殊召喚します‼︎」

 

光を纏った刀を私に振り下ろそうとした五光の前に一瞬だけジャックオーランタンのような幽霊が現れる。

 

それに驚いたのか五光は動きを止めた。

 

「防がれましたか。ですが、守備表示でも私の花札衛の攻撃は防げませんよ‼︎花札衛ー雨四光ーでセットモンスターに攻撃‼︎」

 

「終わらせません‼︎リバースカード、オープン‼︎罠発動‼︎ダメージダイエット‼︎このターン自分が受ける全てのダメージは半分になります‼︎」

 

「通させませんわ‼︎花札衛ー五光ーの効果を発動します、光輝燦然‼︎1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時、その発動を無効にし破壊します‼︎」

 

五光の身体が光輝き、その強い光でダメージダイエットが消し飛ぶ。

 

「これでお終いですわ‼︎弾丸雨注‼︎」

 

「っ、ゴーストリックランタン‼︎」

 

 

〈ゴーストリックランタン〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF0

 

 

「花札衛ー猪鹿蝶ーの効果でこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の花札衛モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与えますわ‼︎」

 

雨四光の傘から集束された雨の弾丸が打ち出され、ランタンを貫いて私の身体まで届こうとする。

 

しかし、そんな私を守る影が1つ。

 

「手札から、クリボーの効果発動‼︎ダークエンヴェロップ‼︎相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になります‼︎」

 

「‼︎この攻撃も凌ぐとは………」

 

クリボーが私の代わりに弾丸に撃ち抜かれる。

 

「まだまだ行きますわ‼︎花札衛ー猪鹿蝶ーでダイレクトアタック‼︎秋風冽冽‼︎」

 

「きゃあ‼︎」

 

 

遊花 LP3000→700

 

 

猪鹿蝶の槍に貫かれ、とうとうライフが3桁になる。

 

そして桜糀さんのフィールドにはスカルデッドがいる。

 

「今度こそ終わりでしょうか?鎖龍蛇ースカルデッドでダイレクトアタック‼︎蛟竜毒蛇‼︎」

 

スカルデッドの首が伸び、私を吞み込もうと迫ってくる。

 

でも、まだ………‼︎

 

「まだ………まだです‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎びっくり箱‼︎相手フィールドにモンスターが2体以上存在する場合、相手モンスターの攻撃宣言時にそのモンスター1体を対象として発動‼︎その攻撃を無効にし、そのモンスター以外の相手フィールドのモンスター1体を選んで墓地へ送り、墓地へ送ったモンスターの攻撃力と守備力の内、高い方の数値分だけ対象のモンスターの攻撃力をダウンします‼︎この墓地送りは対象を取りません‼︎私は花札衛ー雨四光ーを墓地において鎖龍蛇ースカルデッドの攻撃力を3000ポイントダウンします‼︎」

 

スカルデッドの前に小さな箱が現れ、その箱が急に開くと中からスプリングがついた拳が現れる。

 

スカルデッドは拳を避けることが出来たが、後ろにいた雨四光に当り、雨四光の姿が消滅し、雨四光に当たった拳が跳ね返ってスプリングがスカルデッドの身体に巻きついて動きを止めさせた。

 

 

鎖龍蛇ースカルデッド

ATK2800→0

 

 

「っ、お見事です。まさかそんな手段で雨四光を退けてしまうとは………流石に鎖龍蛇ースカルデッドをこのままにしておくわけにも行きませんね。メインフェイズ2‼︎私は私は花札衛ー松ーを召喚します」

 

 

〈花札衛ー松ー〉☆1 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

「花札衛ー松ーの効果を発動します。このカードが召喚に成功した場合、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認します。それが花札衛モンスター以外だった場合、そのカードを墓地へ送ります。私が引いたのは花札衛ー桜に幕ー。このまま手札に加えます。そして手札から花札衛ー桜に幕ーの効果を発動します。手札のこのカードを見せ、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認します。それが花札衛モンスターだった場合、このカードを特殊召喚し、違う場合はこのカードとドローしたカードを墓地へ送ります。私がドローしたカードは花札衛ー柳に小野道風ー。よって花札衛ー桜に幕ーは特殊召喚しますわ」

 

 

〈花札衛ー桜に幕ー〉☆3 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

「参ります‼︎優雅に彩るサーキット‼︎」

 

「っ、またリンク召喚‼︎」

 

桜糀さんの前に大きなサーキットが現れる。

 

「召喚条件は闇属性モンスター2体‼︎私は、花札衛ー松ーと花札衛ー桜に幕ーをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎見習い魔嬢‼︎」

 

 

〈見習い魔嬢〉LINK2 魔法使い族 闇属性

ATK1400→1700 ↙︎↘︎

 

 

現れたのは箒を持った魔女のようなモンスター。

 

そして桜糀さんはさらにサーキットを開く。

 

「まだまだ、参ります‼︎優雅に彩るサーキット‼︎召喚条件はリンクモンスター2体‼︎私は見習い魔嬢と鎖龍蛇ースカルデッドをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎‼︎リンク召喚‼︎世界を繋ぐ双竜‼︎リンク2‼︎ダブルバイトドラゴン‼︎」

 

 

〈ダブルバイトドラゴン〉LINK2 サイバース族 闇属性

ATK1500 ↑↓

 

 

スカルデッドと見習い魔嬢の姿が消え、代わりに現れたのは身体が繋がっている双竜。

 

「ダブルバイトドラゴンの攻撃力はリンク素材としたモンスターのリンクマーカーの合計×300ポイントアップしますわ。見習い魔嬢のリンクマーカーは2、鎖龍蛇ースカルデッドは4。合計6になるので攻撃力は1800ポイントアップしますわ」

 

 

ダブルバイトドラゴン

ATK1500→3300

 

 

「攻撃力3300⁉︎」

 

「さらにダブルバイトドラゴンはモンスターゾーンに存在する限り、リンクモンスター以外のモンスター効果を受けず、リンクモンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されませんわ」

 

「っ、その上耐性まで………」

 

「(無理をすれば雨四光をシンクロ召喚できますが………遊花さんのデッキが相手ならば猪鹿蝶の方が遊花さんは動きにくくなるハズ)私はこれでターンエンドといたします」

 

 

遊花 LP700 手札1

 

 ーー▲▲ー ー

 ーーーーー

  ー ☆

 ーー◯ー◯

 ーーーーー ー

 

紅葉 LP4000 手札3

 

 

雨四光は退けることが出来たけど、桜糀さんのフィールドにはまだ魔法・罠を無効化し、戦闘するモンスターの効果を封じる五光と墓地を封じ、貫通効果を付与する猪鹿蝶がいる。

 

さらにはリンクモンスター以外では倒せないダブルバイトドラゴンに、五光を倒したら再び雨四光が出てくるだろう。

 

私の手札も伏せカードも今の状況では使うことが出来ない。

 

もし、使えるようになったとしても五光に無効化される。

 

手詰まり。

 

どうすればこの状況を覆せるのかが全く分からないし、イメージすら湧いてこない。

 

『まあそう言うわけで、その時にはーーー存分に壊して遊んであげるから、待っててね、虫けらさん?ヒヒヒ、ヒハハハハ‼︎』

 

嘲笑うような神路祇君の笑い声が再び私の頭の中に響いてくる。

 

………やっぱり、私はまだ弱いままなの?

 

こんな私で………本当に勝てるの?

 

そんな考えが、私を蝕んでいく。

 

そんな、思考の海に消えてしまいそうな私の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「こらー‼︎何俯いてんのよ‼︎ちゃんと顔を上げなさい‼︎」

 

「っ………‼︎」

 

思わず声が聞こえた方を振り向くと、そこには怒りの表情で声を張り上げている桜ちゃんと、その周りで同じように声を張り上げようとしている大地君と霊華さんの姿が見えた。

 

「まだ終わってないだろ‼︎見せてくれよ、俺の時みたいな逆転劇を‼︎」

 

「私の時に見せたワクワクしてる表情、今日は見せて貰ってない。貴方の波動、また感じさせて」

 

皆の声に、私は唖然としてしまう。

 

そんな私に、桜糀さんも声をかけてくる。

 

「遊花さんは良いお友達がいるのですね」

 

「あ、えっと………その………」

 

「遊花さんが何を思い悩んでいるのか、私には見当もつきません。ですが、それが遊花さんを苦しめていて、そのせいで、昨日の遊花さんのデュエルで拝見させて頂いたような貴方様の楽しそうにデュエルをするお顔を曇らせてしまっているというのは分かります」

 

「っ‼︎」

 

桜糀さんの言葉に、私の胸が痛む。

 

そうだ………今日、私は楽しんでデュエルをしていない。

 

あんなに桜ちゃん達に言ってたのに、勝つことばかりに頭がいって、桜糀さんだって、そんな私のデュエルが見たいって言ってくれたのに………

 

別に、勝ちたいと思うことが悪いとは思わない。

 

でも、それだけ考えてデュエルするのは………私らしくない。

 

今までだって、勝ちたいって思う時は沢山あった。

 

でもそれは、相手を倒したいから勝ちたいんじゃなくて………デュエルが楽しいから………皆と一緒に全力で楽しいデュエルがしたいから、勝ちたいって思ってたハズだ。

 

なのに、今の私はなんだ。

 

ただただ焦って、勝つことだけを考えて………そんなの、私らしくない………そんなんで私のデッキが応えてくれるわけがない。

 

私のメインデッキのカード達は1枚1枚は凄く小さな力しか持たないローレベルなモンスター達でほとんど構成されている。

 

でもそれは、1人1人の力は小さくても、皆の力が合わさればどんな困難だって乗り越えていける………そう信じたいから、私はこのデッキと、このカード達と一緒にデュエルするって決めたんじゃないのか?

 

例え小さな小さな力だったとしても、合わさって1つになればいつかは強大な壁だって乗り越えられるって信じたから、どんな時だってこのデッキと一緒にデュエルしてきたハズだ。

 

それなのに、なんだこのザマは、栗原 遊花。

 

勝ちたいからって自分の力だけで戦おうとするお前に、このデッキが力を貸してくれる訳ないじゃないか。

 

お前が目指したのはそんな決闘者だったのか?

 

いや、違う。

 

私が目指したのは、どんな逆境でも楽しんで、全力でぶつかって越えにいくような決闘者だ。

 

そういう人の弟子に、正統な後継者になると決めたんじゃないのか?

 

「っ‼︎」

 

私は両手で自分の頰を思いっきり叩き、大きく深呼吸をする。

 

また………まただ。

 

また私は諦めそうになっていた。

 

本当に、自分が情けない。

 

まだ、ライフは残っている、ドローだってある。

 

なのに、どうして諦めようとしている?

 

そもそも、諦めないことを取ったら、私に何が残るというんだ。

 

どんなに弱くても、諦めずに頑張ることだけが、私の取り柄だと言うのに。

 

諦めてしまうなんて、私らしくない。

 

諦めてしまったら、それはもう栗原 遊花とは言えない。

 

あの人の弟子だなんて、絶対に言えない‼︎

 

「………桜糀さん、すみませんでした‼︎」

 

「えっ?あの、遊花さん?」

 

「私が楽しそうにデュエルをする姿を見たいって言ってくれたのに、こんな情けない姿を見せて、本当にすみませんでした‼︎」

 

突然自分の頰を叩いた私に驚いている桜糀さんに、私は頭を下げる。

 

この人は、こんな私とのデュエルを楽しみにしていてくれた。

 

デュエルを通して私のことを理解したいと言ってくれた。

 

そんな人に、なんて姿を見せていたんだ、私は。

 

「もう、大丈夫です。勝てるのかとか、どうやったら強くなるとか、そんなことをうじうじ考えるのは、もう止めました。そんなこと考えてる人間は、それはもう栗原 遊花だって、言えないんです。栗原 遊花は、小さくても、弱くても、それでも諦めないで進むことしかできない人間なんです」

 

そう、私はここで改めて私を定義する。

 

これからも、迷うことはあるだろう。

 

でも、最後には絶対にここに辿り着く。

 

弱くても、諦めないで、笑顔で進んでいく。

 

それだけが、栗原 遊花が唯一出来ることで………私が、私で在るために必要なことなのだから。

 

「だから、ここからが栗原 遊花の本当のデュエルです。正直、どうやったら桜糀さんのモンスター達を突破出来るかとか、全然分からないですけど、それでも、最後まで諦めないで、最後まで楽しんでデュエルします‼︎」

 

そういって、私は笑顔を見せる。

 

あの人は、どんなにピンチの時でも笑っていた。

 

私はその姿を見て、またデュエルが出来るようになった。

 

なら、私だってピンチでも笑って見せる。

 

諦めないで、笑顔で、皆が楽しんで貰えるようなデュエルをする。

 

それが、今の私なのだから。

 

「………そうですか。なら、私の期待に、応えて下さい。貴方様の楽しんでデュエルをする姿を、存分に見せて下さい」

 

「はい‼︎」

 

私のライフは残り700。

 

おまけに防御カードももうありはしない。

 

これが、正真正銘のラストターン。

 

でも、もうさっきまでの暗い感情は何処にも湧いてこなかった。

 

今はただ、どうやってこの状況を突破出来るのかにワクワクしてる。

 

私は自分のデッキを見つめる。

 

さっきまで、ゴメンね。

 

また不甲斐ない所を見せちゃったし、心配させちゃった。

 

でも、もう大丈夫。

 

私はまだまだ弱いけど………それでも、皆と一緒に、力を合わせて進んでいくよ。

 

だから、お願い………私に、また力を貸して‼︎

 

「私のターン………ドロー‼︎」

 

ドローしたカードを見る。

 

まだ、何も終わってない‼︎

 

「速攻魔法、クリボーを呼ぶ笛‼︎その効果で自分はデッキからクリボーまたはハネクリボー1体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができます‼︎」

 

「………その効果は通します」

 

「なら、私が選ぶのは特殊召喚‼︎いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」

 

 

〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性

DEF200

 

 

現れるのは天使の羽を持つ私の最高の相棒。

 

相棒はまだまだ心配そうな顔で私を見る。

 

うん、本当に心配かけちゃってゴメンね。

 

また、相棒の力をいっぱい借りることになるんだけど、いいかな?

 

そんな私に相棒は満面の笑みで頷く。

 

うん、ありがとう、相棒。

 

私は相棒の姿を見ながら正面に手をかざす。

 

「導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「成る程、リンク召喚ですか」

 

私の目の前に大きなサーキットが現れる。

 

「召喚条件はレベル1モンスター1体‼︎私はハネクリボーをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」

 

 

〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性

ATK300 ↓

 

 

フィールドに現れる青い球体のようなモンスター。

 

リンクリボーは私を励ますように擦り寄ってくる。

 

うん、ありがとう。

 

一緒に頑張ろうね。

 

「リンク1のリンクモンスターですか………そのモンスターでどう動くのでしょうか?」

 

「この子の出番は今じゃないです‼︎大事なのは相棒を墓地に送ることでしたから‼︎相棒、貴方の力、借り受けるね‼︎リバースカードオープン‼︎魔法カード、賢者の石-サバティエル‼︎」

 

「⁉︎そのカードは………」

 

「このカードは自分の墓地にハネクリボーモンスターが存在する場合、ライフポイントを半分払って発動できます」

 

 

遊花 LP700→350

 

 

「そうすることで、デッキから融合魔法カードまたはフュージョン魔法カード1枚を手札に加えることが出来ます‼︎」

 

「融合カード………この状況で融合召喚が出来るとは思えませんが………」

 

「さあ、どうしますか?」

 

「………花札衛ー五光ーの効果を発動します、光輝燦然‼︎1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時、その発動を無効にし破壊します‼︎」

 

五光の身体が光輝き、その強い光でサバディエルが割れる。

 

………通してくれたら超融合でスターヴヴェノムを出せたからもう少し確実だったんだけど………ううん、まだ可能性は残ってるもん‼︎

 

「なら、魔法カード、貪欲な壺を発動‼︎」

 

「‼︎ここに来てドローカードが残っていましたか………」

 

「私は墓地に存在するミスティックパイパー、ゴーストリックランタン、クリフォトン、クリボー、ハネクリボーの5体をデッキに戻してシャッフル‼︎そしてカードを2枚、ドローします‼︎………桜糀さん‼︎」

 

「?はい、何でしょう?」

 

「このデュエル………私の勝ちです‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

「私は虹クリボーを召喚‼︎」

 

 

〈虹クリボー〉☆1 悪魔族 光属性

ATK100

 

 

現れたのは虹色の角を持つモンスター。

 

それを見て桜糀さんが首を傾げる。

 

「攻撃力100のモンスター?一体そのモンスターでどうやって………」

 

「こうやるんです‼︎これが私の思いの証‼︎魔法カード、ミニマムガッツ‼︎」

 

「ミニマムガッツ?」

 

「自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動‼︎私は虹クリボーをリリースして花札衛ー五光ーを選択します‼︎選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで0になり、このターン選択したモンスターが戦闘によって破壊され、相手の墓地に送られた時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えます‼︎」

 

「えっ⁉︎」

 

「お願い、虹クリボー‼︎」

 

虹クリボーが青いオーラを纏い身体を粒子に変えながら、五光に突撃していく。

 

五光はそれを刀で受け止めたが、その勢いを抑えきれず、虹クリボーの体当たりを受けて膝をついた。

 

 

花札衛ー五光ー

ATK5300→0

 

 

「五光の攻撃力が0に………‼︎(でも、私の手札にある花札衛ー桜に幕ーは花札衛モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始からダメージ計算前までに手札から捨てることで戦闘する自分のモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000ポイントアップすることが出来ます。攻撃力300のリンクリボーなら返り討ちになり私の勝ち………)」

 

「バトル‼︎リンクリボーで花札衛ー五光ーを攻撃‼︎そしてこれが私の思いをかけた一撃です‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎魂の一撃‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

「自分のライフが4000以下の場合、自分フィールドのモンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時にライフを半分払い、自分フィールドのモンスター1体を選択して発動‼︎選択したモンスターの攻撃力は相手のエンドフェイズ時まで自分のライフが4000より下回っている数値分だけアップします‼︎」

 

 

遊花 LP350→175

 

 

リンクリボー

ATK300→4125

 

 

「攻撃力…………4125⁉︎っ、手札に存在する花札衛ー桜に幕ーの効果を発動します‼︎花札衛モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始からダメージ計算前までに手札から捨てることで戦闘する自分のモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000ポイントアップします‼︎」

 

 

花札衛ー五光ー

ATK0→1000

 

 

「迎え撃って下さい、花札衛ー五光ー‼︎光風霽月‼︎」

 

「お願い、リンクリボー‼︎リンクラッシュ‼︎」

 

五光が光を纏った刀を振り下ろし、リンクリボーに衝撃波を飛ばす。

 

リンクリボーはその衝撃波を物ともせず、赤いオーラを纏ったまま衝撃波ごと弾き飛ばすように五光に突撃し、吹き飛ばした。

 

「っ‼︎」

 

 

紅葉 LP4000→875

 

 

「ミニマムガッツの効果‼︎戦闘によって破壊された花札衛ー五光ーの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えます‼︎」

 

「………お見事です、遊花さん」

 

 

紅葉 LP875→0

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

「見事なデュエルでした、遊花さん。やはり、貴方様は素敵な決闘者でしたわ」

 

「い、いえ、そんな、不甲斐ないところばかりを見せてしまって………」

 

「そんなことありませんわ。自分の心と向き合い、打ち勝つ。そんな素晴らしい光景を見せて貰えましたのですから」

 

デュエルを終え、そんな風に声をかけてくれる桜糀さんに私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 

思えば、最初の方とかかなり上の空な返事をしてた気がするし、うぅ〜私のバカ〜

 

そうして落ち込みそうになる私にも桜糀さんは優しく笑いかけて来てくれた。

 

「そんなに気に病まなくてもよろしいのですが………そうですね………遊花さんが気に病むのであれば、よろしければまた私とデュエルをして頂けませんか?その時は勿論、最初から楽しそうにデュエルする遊花さんと、最後まで楽しいデュエルを」

 

「‼︎は、はい‼︎勿論です‼︎」

 

「うふふ、それでは約束ということで。今日は素晴らしい時間をありがとうございました。また、デュエル出来る日を楽しみにしていますわ」

 

「‼︎はい‼︎私も楽しみにしています‼︎」

 

そういってフィールドから去っていく桜糀さんを、私は見送る。

 

桜糀さんの姿が完全に見えなくなるまで眺めてから、私は何となく自分のデッキをデュエルディスクから抜いて抱きしめた。

 

ありがとう、こんな私にいつも力を貸してくれて。

 

また迷うことはあるかもしれないけど、それでも私はこれからもずっと、貴方達と一緒にデュエルしていくから………だから、これからもよろしくね、皆。

 

そんなことを思う私の耳に、聞き慣れた鳴き声が聞こえた気がした。

 

私は、弱いままだけど………これからも皆と一緒に進んでいきたいな。

 





次回予告

紅葉とのデュエルを得て自分自身の在り方を見つめ直した遊花は次のデュエルに意欲を燃やす。
そんな遊花の次の対戦相手はおどおどとしている気弱な少年。
しかし、その少年には恐るべき秘密が隠されていた。


次回 遊戯王Trumpfkarte
『進化する雷』


次回も遊花のデュエル回。
それが終わったら1度遊騎のデュエル回を挟むと思います。
自分がどういう人間なのかを再認識した遊花は時に迷ったりしながらもゆっくりと前に進んでいきます。
まだまだ未熟な精神面も少しずつ成長していくといいですね。
それでは今回はここまでで。
ではでは〜



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