遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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今回は遊騎のデュエル回。
今回はコミカル(?)な感じでお送りしていきます。
うん、コミカル………コミカルなハズ………コミカルってなんだろう?
そして今回はちょっとだけ、フィールドの表記をいつもと変えてます。
いつもの表記だとどうしても分かりにくくなるカードがあったので。
理由は本編を見れば分かります。





第25話 笑顔の空模様

 

 

 

 

「はぁ………結構体力落ちてるな」

 

夕方の病院内、リハビリ室から車椅子で自分の病室に戻りながら俺は思わずため息を吐く。

 

入院してそろそろ2週間になるが、やはり基本的には寝たきりのせいか体力が落ちてきている。

 

このままだと退院してもすぐには仕事とはいかないだろうし、このままだとまた仕事を辞めることになりそうだ。

 

「ただでさえ入院費のせいでお金もとぶって言うのに………」

 

暗い未来に頭を抱えたくなる。

 

リハビリも終わったし、いっそのこと今日は不貞寝でもしてやろうか等とアホなことを考えながら自分の病室が見える位置までやってくる。

 

すると、病室の前にいる奇妙な存在が目に入った。

 

「ん?」

 

そこにいたのは完全に夏になろうとしているこの時期に黒いコートを着てサングラスをかけ、何かをブツブツと呟きながら彷徨いている不審な人物。

 

「………」

 

あまりに面倒そうな展開に思わずUターンして屋上にでも逃げてやろうかと考えてしまう。

 

彼方はまだこちらに気づいていないのか、そのままブツブツと呟きを続ける。

 

「うーん、どういう風に入ればインパクトがあるかなー?遊騎さん、リアクション薄いしなー………でも、エンターテイナーとして退きたくはないし………どうせならやっぱり驚かせたいし………」

 

「………」

 

そんな声が聞こえてきて、俺は思わず苦笑いを浮かべる。

 

というのも、その正体に心当たりがあったのと既にネタバレをくらってるようなこの気持ちをどうしようかという思いからなのだが………というか、リアクションが薄いは余計だ。

 

「いっそのこと扉をぶち破ってとかーーー」

 

「おい止めろ」

 

「………えっ?」

 

不穏なことを言い出したので思わずツッコミを入れてしまい、その人物がぎこちない動きでこちらを見る。

 

そしてしばらくしてふるふると身体を震わせると、思いっきり絶叫した。

 

「うひゃぁぁぁ⁉︎どうしてそっちにいるの〜〜〜‼︎」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「ぐすん、辱められちゃいました………エンターテイナーなのに………驚かす側なのに………美傘 、一生の不覚」

 

「人聞きの悪いことを言うな。お前がまた突飛な行動に出ようとしたからだろ?」

 

「そんな⁉︎まるで私がいつも突飛な行動をしてるみたいな言い方を⁉︎」

 

「してないのか?」

 

「………はい、してます」

 

俺が借りている病室の中、ベッドの横にある椅子にしょんぼりと座っている女性に、俺は呆れた視線を向ける。

 

先程までのコートとサングラスはのけて、今の格好は水色のフレアワンピースだ。

 

黒髪のカジュアルショートに、日本人にしてはとても珍しい黒目と青目のオッドアイ。

 

童顔でクリッとした大きな目はどこか小動物を思わせる。

 

雨夜 美傘(あまや みかさ)。

 

プロ決闘者でありながらフリーのアナウンサーをやっている、自称エンタメデュエリストで、プロリーグ時代の俺の知り合いだ。

 

性格は気さくで人懐っこく、誰かを驚かせることが好きだからプロ決闘者になったとかいうちょっと変わった奴だ。

 

歳は確か俺の2つ下。

 

彼女の新人時代、大会で何回か彼女とデュエルする機会があり、その際にアドバイス等をしていたらそれ以来何かと懐かれている。

 

エンタメデュエリストというのは、彼女しかそのエンタメデュエリストというのを名乗っていないから正直よく分からない。

 

彼女曰く、デュエルで皆を驚かせて笑顔にする決闘者のことらしいのだが………ある意味で言えば遊花が目指しているものもそこなので普通のプロ決闘者となにが違うのかは俺には分からないが、彼女の中では何か明確な線引きがあるのだろう。

 

さっきまでの怪しさ満点の格好は変装と俺を驚かせる為にしていたものらしい。

 

………どうして俺の周りにはこう変装が下手な奴しかいないのか。

 

「素直なのはお前のいいところなんだけどな………というか、突飛な奴じゃなかったらゲリラ放送なんてするものか。街中で見た時は何事かと思ったぞ?」

 

「だって、皆驚いてくれると思ったんですもん………スポンサーだって乗り気だったし………実際、人気はあるんだよ?」

 

「どうしてお前のスポンサーもそんな企画を通しちゃったかなー?」

 

「それはほら‼︎私はエンタメデュエリストだから‼︎」

 

「なんだそのドヤ顔は。理由になってないし。というか、何しに来たんだ、お前?というか、なんで俺がここにいることを知ってる?」

 

凄くウザいドヤ顔を浮かべる美傘に疑問に思っていたことを尋ねる。

 

美傘が俺を訪ねてくる理由なんてものはないと思うが………

 

「ふっふっふ、そこは今日匿名で情報提供が有ったからだよ。ここでは仮にYさんとーーー」

 

「闇に聞いたのか」

 

「あっさり言い当てないでよ‼︎ここは分かってても言わないのがお約束でしょ⁉︎」

 

「いや、そんなもの知らんし。というか、よくアイツが話したな。お前、闇と接点あったのか?」

 

俺が覚えている限りではあまり闇と美傘の間に接点はなかったように思うのだが、そんな人物に闇が何かを話すとも考えにくい。

 

「まあ、そこはほら、遊騎さんが追放された時に色々接点が出来て………それで、情報自体は今朝大会で闇さんと対戦する機会があって、その時に何処か機嫌が良さそうだったから聞いてみたら教えてくれたんだ………デュエル自体は容赦なくボコられたけど………」

 

「ああ………まあ、闇だしな………」

 

「………後攻1ターン目に闇と魔のデッキ破壊ウイルスを両方打ち込まれて手札が全て消えたらどうすればいいんですかね」

 

「うわぁ………」

 

真顔な上に敬語で思ってた以上に残虐な攻撃を受けてたことを告げてくる美傘に何も言えなくなる。

 

いや、分かってたけどさ、闇が容赦がないってことは。

 

「そ、それはともかく‼︎その時に闇さんが言ってたんだよ‼︎遊騎さんに会ったって。だから、ここはお世話になった身としては1度ご挨拶にいかないとな〜と」

 

「そんなこと、別に気にしなくても良かったんだがな。スキャンダルとかになったら大変だろ?」

 

俺はこの街では罪人だ。

 

それをテレビとかでよく出る人間が会ってたとなると、それこそパッシングがヤバいんじゃないのか?

 

そんな俺に美傘はあっけらかんとした顔で告げる。

 

「にひひ、そんなの今更気にしないよ。元々遊騎さんが追放された時に遊騎さんのニュースでアナウンサーしろって言うのを断ったから一部から干されてるしね」

 

「おい、それ初耳だぞ?なんで断ったりなんかしたんだよ?」

 

2年前というと、彼女はまだまだ新人時代だ。

 

そんな時期に仕事を断ったらそりゃ干されもするだろう。

 

しかし、美傘はなんてことないというように、むしろ少し怒ったような様子で口を開く。

 

「そんなの当たり前。私がこうしてプロ決闘者を続けられているのは新人時代に遊騎さんが色々アドバイスして貰ったからだよ?そんな恩人を売るような真似は死んでもお断りです」

 

「………おいおい」

 

「大体、私は今だって遊騎さんがイカサマしたなんてことは信じてないもん。色々ときな臭い話を耳にするし、不知火さんとよく話してるもん」

 

「………もしかして、不知火さんに色々情報を流してるのってお前か?」

 

「そうだよ?報道に回る側だと、色んな情報が入って来るからね。ゲリラ放送を始めたのだって、認知度をあげていきなり私が消えるようなことがあれば怪しまれるようにするためだし。いつか世界をひっくり返して、皆を驚かせちゃおうね‼︎」

 

「お前‼︎………お前な〜」

 

「あいた‼︎なんで頭を叩くの⁉︎」

 

呆れながらも思わず軽く頭を叩くと、美傘は涙目になりながらこちらを睨んでくる。

 

全く、本当に呆れた奴だ。

 

美傘にアドバイスをしたのなんて片手で数える程度。

 

その程度の恩に、コイツは自分の人生をかけたのだ。

 

本当に、コイツは考え無しの大馬鹿だ。

 

でも………

 

「あんまり危ない橋は渡んなよな。お前に何かあると、俺だって心配するぞ?」

 

「‼︎にひひ‼︎おやおや、まさかの脈ありかな〜?ダメだよ〜私がいくら可愛いからって〜」

 

「………はっ」

 

「鼻で笑われた⁉︎冗談‼︎冗談だからそれは止めて‼︎」

 

寝ぼけたことを言い出した美傘を鼻で笑うと途端に慌て出す。

 

全く、どこか残念なところも美傘らしいところだな。

 

コイツのそういうところには、少し救われる。

 

本当に、誰かを笑顔にするのが得意な奴だよ、お前はさ。

 

「そ、そうだ‼︎遊騎さん、デュエルをしよう‼︎最後に会った時はボロ負けだったからね、今からリベンジマッチです‼︎」

 

「今から?まあ別に俺は構わないが、お前は仕事とか大丈夫なのか?」

 

「次の仕事は夜遅くにあるやつだから、少しぐらい大丈夫‼︎それよりも、遊騎さんに私の進化したエンタメデュエルを見てもらわないとね‼︎」

 

「お前、夜遅くなら休んだ方がいいんじゃ………まあいい。それじゃあここじゃ狭すぎて立体映像も上手く映らないだろうし、屋上にでも移動するか。悪いが車椅子を押してくれるか?」

 

「了解‼︎にひひ、進化した私の姿を見て遊騎さんがどう驚くか楽しみだよ‼︎」

 

「………そういうところが残念なんだよ、お前は」

 

締まらないな、コイツは………

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

『決闘‼︎』

 

 

遊騎 LP8000

 

美傘 LP8000

 

 

「先攻は私‼︎私は雪天気シエルを召喚‼︎」

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

ATK0

 

 

フィールドに現れたのは背中に雪の結晶のようなものをつけ、手に銃のような物を持っているモンスター。

 

前に美傘とデュエルした時には見たことがなかったカードだから、俺がプロリーグを追放されてから手に入れたカードなのだろう。

 

「雪天気シエルの効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時にデッキから天気魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置くよ‼私はデッキからフィールドの中央に永続魔法、雪の天気模様を置くね‼︎」

 

「ふーん、発動じゃなくて置くか。珍しい効果だな」

 

シエルが銃のような物を握ると空から雪が降り出しわ辺り一面が雪景色になっていく。

 

今の時期は夏だから、夏に降る雪って言うのはまた面白いものだな。

 

「雪の天気模様はちょっと変わった効果を持ってて、雪の天気模様は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できず、このカードと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーン及びその両隣の自分のメインモンスターゾーンに存在する天気効果モンスターはこのカードを除外してデッキから天気カード1枚を手札に加え、この効果は相手ターンでも使えるという効果を得る。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分はドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできなくなるけど」

 

「へぇ、フリーチェーンの効果をモンスターに与える魔法カードか。確かに変わってるな」

 

「むぅ………そこはもう少し驚いたっていいと思うんですけど………まあいいや、遊騎さんだし」

 

「どういう意味だよそれ」

 

「べっつにぃ〜」

 

「なんだよ、その『べっつにぃ』って、なんか色々と含みがありそうな表現は」

 

「なんでもないよ。私は雪の天気模様の効果を得た雪天気シエルの効果を発動‼︎このカードを除外してデッキから天気カード1枚を手札に加えるよ。雪天気シエルを除外してデッキから雷天気ターメルを手札に加えるよ。私はこれでターンエンド‼︎」

 

 

遊騎 LP8000 手札5

 

 ーーーーー ー

 ーーーーー

  ー ー

 ーーーーー

 ーー雪ーー ー

 

美傘 LP8000 手札5

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎」

 

「スタンバイフェイズ‼︎雪天気シエルの効果発動‼︎フィールドのこのカードが天気カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに除外されているこのカードを特殊召喚するよ‼︎」

 

「‼︎自力で戻ってこれたのか‼︎」

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

DEF2200

 

 

「にひひ、少しは驚いた?」

 

「まあな、おまけに戻ってきたってことはまた俺のターンでも雪の天気模様で除外してサーチ出来るってことだろ?」

 

That's right( その通り)‼︎流石遊騎さん、理解が早いね」

 

「そりゃどうも。相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚することができる。来い、H・C( ヒロイックチャレンジャー)強襲のハルベルト‼︎」

 

 

〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性

ATK1800

 

 

俺の前に現れたのはハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。

 

それを見て、美傘が少し微妙な表情をする。

 

「ヒロイック………闇さんから少しだけ聞いてたけど、本当にあのモンスター達は今使ってないんだね」

 

「まあ、そうなっちまったな」

 

「ちょっと残念。あのモンスター達にもリベンジしたかったし、遊騎さんのあのモンスター達、遊騎さんに似合ってたから好きだったんだけどな〜」

 

「………今の俺にアイツらは似合わねぇよ。さらにH・C( ヒロイックチャレンジャー)エクストラソードをを召喚‼︎」

 

 

〈H・C エクストラソード〉☆4 戦士族 地属性

ATK1000

 

 

現れたのは銀色の鎧を身に纏った二刀流の戦士。

 

俺はその姿を確認してから、2体の戦士に手をかざす。

 

「俺は戦士族、レベル4のH・C 強襲のハルベルトとH・C エクストラソードでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎」

 

ハルベルトとエクストラソードが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると空から赤い鎧を着た馬に乗る弓兵が舞い降りた。

 

「エクシーズ召喚‼︎現れろHーC( ヒロイックチャンピオン)ガーンデーヴァ‼︎」

 

 

〈HーC ガーンデーヴァ〉★4 戦士族 地属性

ATK2100

 

 

「まずはエクシーズ素材になったH・C エクストラソードの効果発動‼︎このカードを素材としてエクシーズ召喚したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする‼︎」

 

 

HーC ガーンデーヴァ

ATK2100→3100

 

 

ガーンデーヴァを赤いオーラが包んでいく。

 

「攻撃力3100⁉︎」

 

「さらにHーC ガーンデーヴァは1ターンに1度、レベル4以下のモンスターが特殊召喚された時にオーバーレイユニットを1つ使うことでそのモンスターを破壊できる。逃げてもいいが、帰ってこれなくなるかもしれないぜ?」

 

「‼︎むむむ、相変わらず対処が早いね、遊騎さんは」

 

「バトル‼︎HーC ガーンデーヴァで雪天気シエルを攻撃‼︎」

 

「むむむ………決めた‼︎私は雪の天気模様の効果を得た雪天気シエルの効果を発動‼︎このカードを除外してデッキから天気カード1枚を手札に加えるよ。雪天気シエルを除外してデッキから雨の天気模様を手札に加えるよ‼︎」

 

シエルの姿が再び消え、美傘の手札にカードが加わる。

 

だけど、これで美傘のフィールドはがら空きだ‼︎

 

「だったら、HーC ガーンデーヴァでダイレクトアタック‼︎暴嵐の矢‼︎」

 

ガーンデーヴァが嵐のように矢を放ち、それが全て美傘の身体を貫いた。

 

「あいた‼︎うぅ〜3100は流石に痛いよー」

 

 

美傘 LP8000→4900

 

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

遊騎 LP8000 手札3

 

 ーー▲ーー ー

 ーーーーー

  ○ ー

 ーーーーー

 ーー雪ーー ー

 

美傘 LP4900 手札6

 

 

「私のターン、ドロー‼︎スタンバイフェイズ‼︎雪天気シエルの効果発動‼︎フィールドのこのカードが天気カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに除外されているこのカードを特殊召喚するよ‼︎」

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

DEF2200

 

 

「さあ、特殊召喚されたけどHーC ガーンデーヴァの効果は使う?」

 

「いや、今回は使わない。使ったらお前のことだ、手札にはあるんだろ?あのカード達が」

 

「そ、そそそ、そんなことないよー」

 

美傘がわざとらしく目を逸らす。

 

演技なのか素なのか判断に困るが、この反応は素だな。

 

「でも、今使わないならもうHーC ガーンデーヴァを使う機会はないよ‼︎私は永続魔法、雨の天気模様を発動‼︎」

 

「雪の次は雨か………」

 

降りしきる真夏の雪に雨が混ざり始める。

 

天気が荒れてきたものだ。

 

「雨の天気模様も自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できず、このカードと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーン及びその両隣の自分のメインモンスターゾーンに存在する天気効果モンスターにこのカードを除外し、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象としてそのカードを持ち主の手札に戻す効果を与えるよ。当然、この効果も相手ターンに発動できる‼︎」

 

「っ、相手ターンにも戻せるのは厄介だな」

 

「雨の天気模様の効果を得た雪天気シエルの効果を発動‼︎このカードを除外して遊騎さんのセットカードを手札に戻すよ‼︎」

 

「………いいぜ、このカードは手札に戻る」

 

「よし‼︎なら、フィールド魔法、天空の虹彩を発動‼︎」

 

美傘がフィールド魔法を発動させると、空に大きな虹が現れる。

 

本当によく天気が変わるもんだ。

 

確かに、これなら観客から見ればフィールドがどんどん様変わりして楽しいのかもな。

 

「天空の虹彩の効果を発動‼︎1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの表側表示のカード1枚を破壊してデッキからオッドアイズカードを手札に加えるよ‼︎私は雪の天気模様を破壊してデッキからオッドアイズペンデュラムドラゴンを手札に加えるよ‼︎」

 

「っ、来たか。お前の切り札、オッドアイズ‼︎」

 

雪が降り止み、雨が降りながら虹がかかるフィールドの中、美傘は1枚のドラゴンを手札に加える。

 

そして、あのカードを手札に加えたなら来るハズだ、ペンデュラムが。

 

It's Showtime( さあ、ショータイムだ)‼︎私はスケール4のオッドアイズファントムドラゴンと、スケール8、オッドアイズミラージュドラゴンでペンデュラムスケールをセッティング‼︎」

 

「っ⁉︎他のペンデュラムカードはすでに揃ってたのか⁉︎」

 

美傘を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に2体のドラゴンの姿が映る。

 

そしてそのドラゴンの下には4と8の数字が浮かぶ。

 

「正直少し事故ってたけどね。だけど、これで私は5から7までのモンスターを同時に特殊召喚可能‼︎揺れろ揺れろ、魂の振り子‼︎空に輝け、虹のアーチ‼︎ペンデュラム召喚‼︎飛び出せ、私のモンスター達‼︎」

 

美傘がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって2つの光が舞い降りる。

 

「レベル6、極天気ランブラ‼」

 

 

〈極天気ランブラ〉☆6 天使族 闇属性

ATK2200

 

 

先にフィールドに降り立ったのはオーロラを背にしている長い緑髪のモンスター。

 

そして、その後ろより現れる赤と青の目を持つ巨大な龍。

 

「そして、美しき2色の眼で観客を魅了せよ‼︎レベル7、オッドアイズペンデュラムドラゴン‼︎」

 

 

〈オッドアイズペンデュラムドラゴン〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2500

 

 

「………相変わらず綺麗だな、美傘のオッドアイズは」

 

「‼︎にひひ、遊騎さんにそう言われると嬉しいな。だけど、そんなに余裕はないと思うよ?私は雷天気ターメルを召喚‼︎」

 

 

〈雷天気ターメル〉☆3 天使族 光属性

ATK1700

 

 

現れたのはクレヨンのような物を持ち背中に雷を背負ったモンスター。

 

次は雷かよ………本当に天気が荒れてきたな。

 

「バトル‼︎オッドアイズペンデュラムドラゴンでHーC ガーンデーヴァを攻撃‼︎この瞬間、ペンデュラムスケールのオッドアイズファントムドラゴンの効果発動‼︎1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにオッドアイズカードが存在する場合、自分の表側表示モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時にその自分のモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1200ポイントアップする‼︎」

 

 

オッドアイズペンデュラムドラゴン

ATK2500→3700

 

 

「っ、攻撃力を超えられたか‼︎迎え撃て、HーC ガーンデーヴァ‼︎暴嵐の矢‼︎」

 

「いっけ〜オッドアイズペンデュラムドラゴン‼︎螺旋のストライクバースト‼︎」

 

ガーンデーヴァがペンデュラムドラゴンに向かって嵐のように矢を放つ。

 

しかし、ペンデュラムドラゴンの放つ虹色のブレスに矢は全て呑み込まれ、ブレスはそのままガーンデーヴァに当たり爆散した。

 

「オッドアイズペンデュラムドラゴンの効果発動‼︎ダブルストライク‼︎このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる‼︎」

 

「ぐっ‼︎」

 

 

遊騎 LP8000→6800

 

 

「追撃だよ‼︎雷天気ターメルでダイレクトアタック‼︎ライトニングスタンプ‼︎」

 

ターメルが持っていたクレヨンのような物をこちらに投げつけてくる。

 

「くっ‼︎」

 

 

遊騎 LP6800→5100

 

 

「極天気ランブラでダイレクトアタック‼︎オーロラシュート‼︎」

 

「ぐあっ‼︎」

 

 

遊騎 LP5100→2900.

 

 

ランブラが放つ光弾が俺の身体を貫き、ライフを削る。

 

結構削られちまったな。

 

「メインフェイズ2ーーー」

 

「待った‼︎お前がこのままバトルフェイズを終了するなら、俺は手札からこのカードを発動させて貰う‼︎自分フィールドにカードが存在しない場合、手札から罠発動‼︎拮抗勝負‼︎」

 

「ええっ⁉︎手札から罠カード⁉︎」

 

「ああ、お前がさっき戻してくれたカードだぜ?相手フィールドのカードの数が自分フィールドのカードの数より多い場合、自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる‼︎自分フィールドのカードの数と同じになるように、相手はフィールドのカードを裏側表示で除外しなければならない‼︎」

 

「ええっ⁉︎それじゃあ⁉︎」

 

「俺のフィールドには今発動した拮抗勝負のみ。さぁ、お前もフィールドのカードが1枚になるようにカードを除外して貰うぜ」

 

「うぅ〜まさか遊騎さんに驚かされることになるなんて………私はオッドアイズペンデュラムドラゴン以外のカードを全て除外するよ」

 

ペンデュラムドラゴンだけがフィールドに残り、他のモンスターやフィールドを彩っていた天気が消えて、夕暮れ時の屋上に戻る。

 

「ぐぬぬ………まだ、まだ負けてないもん‼︎私はこれでターンエンド‼︎」

 

 

遊騎 LP2900 手札3

 

 ーーーーー ー

 ーーーーー

  ー ー

 ーー○ーー

 ーーーーー ー

 

美傘 LP4900 手札1

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎」

 

「スタンバイフェイズ‼︎雪天気シエルの効果発動‼︎フィールドのこのカードが天気カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに除外されているこのカードを特殊召喚するよ‼︎」

 

 

〈雪天気シエル〉☆3 天使族 地属性

DEF2200

 

 

「よし‼︎どうやら久しぶりのお前とのデュエルに俺のデッキも張り切ってるみたいだからな。久しぶりに見せてやるよ。俺は魔法カード、予想GUYを発動‼︎」

 

「予想GUYって………遊騎さん、私へのあてつけ?」

 

「今ドローしたんだから仕方ないだろ。自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのカードは発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する‼︎俺が呼び出すのはこのモンスターだ‼︎来い、クィーンズナイト‼︎」

 

「あ………」

 

 

〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性

DEF1600

 

 

俺の前に現れたのは赤い鎧を身に纏った女性の騎士。

 

それを見て美傘は嬉しそうに笑う。

 

「絵札の三銃士………なんだか、凄く懐かしい」

 

「感傷に浸るのはまだ早いぜ?俺はキングスナイトを召喚‼︎」

 

 

〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性

ATK1600

 

 

クィーンズナイトの横に並び立ったのは黄金の鎧を身に纏った騎士。

 

そしてクィーンズナイトとキングスナイトはお互いに剣を掲げて更なる騎士を呼ぶ。

 

「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」

 

 

〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性

ATK1900

 

 

クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げる青い鎧の騎士が現れる。

 

「そして魔法カード、融合‼︎自分の手札・フィールドから融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、その融合モンスター1体をEXデッキから特殊召喚する‼︎俺が融合するのは、絵札の三銃士‼︎」

 

「‼︎ということは………」

 

フィールドに現れた渦に3体の騎士達が飛び込んでいく。

 

そして渦が爆けるとその中から現れるのは黒い鎧を身に纏った漆黒の騎士。

 

「クィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイトの3体で融合‼︎融合召喚‼︎運命に打ち勝つ勇敢なる騎士達の主‼︎アルカナナイトジョーカー‼︎」

 

 

〈アルカナナイトジョーカー〉☆9 戦士族 光属性

ATK3800

 

 

「アルカナナイトジョーカー………で、でも‼︎それだけじゃ私のライフは尽きないよ‼︎」

 

「ああ、だから凄く単純な方法で超えさせて貰うぜ。装備魔法、巨大化をアルカナナイトジョーカーに装備‼︎自分のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる‼︎俺のライフは2900、お前のライフは4900‼︎よって攻撃力は倍だ‼︎」

 

「なっ⁉︎」

 

 

アルカナナイトジョーカー

ATK3800→7600

 

 

「攻撃力………7600⁉︎」

 

「バトル‼︎アルカナナイトジョーカーでオッドアイズペンデュラムドラゴンを攻撃‼︎ストレート‼︎」

 

「っ‼︎迎え撃って、オッドアイズペンデュラムドラゴン‼︎螺旋のストライクバースト‼︎」

 

ペンデュラムドラゴンが虹色のブレスをアルカナナイトジョーカーに放つ。

 

アルカナナイトジョーカーは大剣に石版のような物をつけると、大剣が巨大化し、その大剣でブレスごとペンデュラムドラゴンを斬り裂いた。

 

「………私の負け、か」

 

 

美傘 LP4900→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

「うぅ〜負けた〜遊騎さんを驚かせるどころか遊騎さんに驚かされてばかりだったし〜自信無くしちゃうよ〜」

 

そう言って頭を抱えて座り込む美傘に俺は苦笑しながらも話しかける。

 

「美傘、お前強くなったな。おまけにフィールドをどんどん変化させて、流石エンタメデュエリストってところか。観客を驚かせる為の魅せ方、様になってたじゃないか」

 

俺の言葉に美傘は勢いよく顔を上げて俺を見る。

 

その顔は物凄くニヤけており、喜んでいるのが伝わってくる。

 

「ホント?遊騎さんも驚いた?驚いた?」

 

「ああ、驚いた驚いた。あそこまで立体映像の特色を活かして魅せれるような奴は俺は知らないぜ」

 

「‼︎にひひ、そっか〜遊騎さんも驚いちゃったか〜やっぱり私って才能ある?」

 

「調子に乗るな」

 

「あいた‼︎だから、どうして頭を叩くの〜」

 

少し褒めてやると物凄くウザいドヤ顔を披露されたので、軽く頭を叩いて戒める。

 

こういうところがなかったら、もう少し手放しで褒められるんだがな………

 

「それにしても、残念だな〜あのままだったら、遊騎さんに私のスケールを超えた新しいペンデュラム召喚を見せられたのに………」

 

「新しいペンデュラム召喚?」

 

「おっと‼︎これ以上は内緒だよ?ネタバレは良くないもん。これ以上は次に遊騎さんにデュエルを見せる時ね。私のデッキだって、まだまだ驚かせるギミックはいっぱい入ってるんだから」

 

そういって胸を張る美傘。

 

む、そう言われると気になるな。

 

と、そこでいい考えが浮かんだので美傘に提案してみる。

 

「そうだ、美傘。今度身内で小さな大会を開くんだが、お前来るか?」

 

「えっ?大会?」

 

「ああ………まあ本題は俺の弟子の為なんだが………」

 

「⁉︎遊騎さんの弟子⁉︎行く‼︎絶対行く‼︎仕事休んででも行く‼︎」

 

「いや、仕事は休むなよ………」

 

思った以上の食いつきの良さに面食らってしまう。

 

そんなに来たいか?

 

大きな大会をやるわけでもないのに。

 

「だってだって、遊騎さんの弟子ってことは遊騎さんからアドバイスを受けてきた私にとって妹弟子みたいなものだよ⁉︎そんなの絶対に会いに行くよ‼︎むしろ今すぐ会わせて‼︎」

 

「無茶言うな‼︎というかお前を弟子にした覚えはない‼︎」

 

「そんなバッサリ⁉︎うぅ〜酷いよ〜いっぱいアドバイスしてくれた仲じゃないですか〜」

 

そう言って何処かしょんぼりとする美傘に思わずため息が出る。

 

まあ、慕ってくれているのは分かるのだが、流石にこのテンションの美傘を相手にするのは疲れるから勘弁願いたい。

 

「まあ、大会の時にはちゃんと紹介してやるからそれで我慢しろ。お前の予定が空いてる時に出来るようにしてやるから」

 

「本当⁉︎絶対だよ‼︎嘘だったら今度、遊騎さんの病室に乗り込んでゲリラ放送やっちゃうからね‼︎」

 

「なんて脅しをしてくるんだお前は………」

 

そんなの本当に洒落にならないから止めてくれ。

 

しかも、美傘なら本当にやりかねないから、なおのことタチが悪い。

 

「そうだ‼︎遊騎さん、連絡先教えて?結局聞けてなかったし、今後予定を合わすなら分かってた方がいいでしょ?」

 

「………ああ、そういえばそうだな。んじゃ、連絡先も交換しとくか」

 

「うん‼︎にひひ、遊騎さんの連絡先ゲットだぜ‼︎」

 

「なんだそのテンションは………」

 

相変わらずテンションが無駄に高いな、コイツは。

 

そういえば、大事なことを言ってなかったな。

 

「忘れてた。その大会なんだが、俺の弟子の友人であるデュエルアカデミアの生徒や、『Trumpfkarte』のメンバーは全員来るらしいから、そのつもりでな」

 

「へぇ〜………えっ?」

 

美傘が凄く引き攣った顔で俺を見る。

 

そこで恐る恐るといった感じで口を開く。

 

「あの、何処かの世界大会を荒らしに行くぜ、みたいな話じゃないんだよね?」

 

「身内だけの小さな大会だと言ったろ。デュエルアカデミアの生徒も来る」

 

「いやいやいや、『Trumpfkarte』全員が揃うとか、今のプロリーグでデュエルしている身としては悪夢のような大会なんだけど………いじめる?」

 

「いじめねぇよ。いや、正直俺も過剰戦力だと思うんだが、闇や他の連中が乗り気らしくてな」

 

「デュエルアカデミアの子達、トラウマになったりしない?」

 

「………なんとかなると思いたいよな〜」

 

「………そうだね〜」

 

思わず2人して遠い目をして空を見上げる。

 

………うん、本当に大丈夫か、この大会?

 

 

 






次回予告

期末試験も最終日となり、遊花もいつも以上に気合を入れてデュエルに臨む。
そんな遊花の最初の相手は大柄で豪快な青年。
その力任せな戦術を前に、遊花はどう立ち向かうのか?


次回 遊戯王Trumpfkarte
『大きな力と重ねる力』


次回は再び遊花のデュエル回。
もうすぐ期末試験デュエルも終わりです。
そして今回登場した新キャラ、雨夜 美傘ちゃん。
名前だけは実は2話で登場してたりして、メイン程出番はないかもですが、これから重要な役割を担ってくるかもです。
今回は天気オッドアイズとかいう摩訶不思議なデッキを使ってましたが、まだまだ隠されてるギミックやカードもあり、間違いなく現状この作品随一の混沌としたデッキになっているので、これからも彼女の活躍を色々な意味でお楽しみに。
そして今回いつもはオリジナルな攻撃名を考えているのですが、オッドアイズは元のままになってます。
まあ、必殺技カードがある関係なのですが、これからも必殺技カードがあるカードの技名は同じにすると思うのでご了承下さい。
因みに前書きで書いたフィールド表記の変更は天気模様のせい。
場所が重要になってきますからね、アレ。
これからも場所が関係しそうなカードを出す際はあんな表記に変わるかも知れません。
それでは今回はここにてお開き。
ではでは〜
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