また遅くなってしまいました。
本当、間に合うかなこれ?
期末編ラストデュエル。
遊花VS神路祇、前編です。
★
「桜ちゃん、そろそろ離れない?」
「うぅ〜」
私に抱きついたままぶんぶんと首を振る桜ちゃんに、私は思わず困った表情を浮かべながらも次のデュエルに向けてデッキを調整していく。
次のデュエルは神路祇君だし、デュエルしたことがある桜ちゃんの意見も少しは聞きたかったんだけど、今は無理そうだから諦めるしかないよね。
「お疲れ様、2人共」
「よう‼︎遊花も桜もいいデュエルだったぜ‼︎」
「あ、霊華さん、大地君」
声が聞こえた方向を見ると、霊華さんと大地君が軽く手を振りながらこちらに近づいてきていた。
そして私に抱きついている桜ちゃんを見ると、2人して首を傾げる。
「桜、どうかしたの?」
「あーうん、まあ、ね。さっきのデュエルのことで、ちょっと………」
「?さっきのデュエルで何かおかしなことがあったかしら?素晴らしいデュエルだったと思うのだけれど………」
「あーそうじゃなくて、デュエルの内容じゃなくてね………」
「あ、そういえばびっくりしたぜ。まさか桜が泣くなんてな。何言ってるのか聞こえなかったけど、それだけ悔しかったんだな」
「っ〜〜〜‼︎」
「………大地君、桜ちゃんが恥ずかしがってるからそれ以上言わないであげて」
「………成る程、そういうこと」
大地君の死体蹴りに、桜ちゃんが顔を真っ赤にしながらさらに力を込めて私に抱きついてくるので、桜ちゃんの頭を優しく撫でてあげる。
………そう、桜ちゃんがさっきから私に抱きついているのは、泣いている姿を大勢に見られたのが恥ずかしいからだ。
私も桜ちゃんもデュエルに集中し過ぎていたから忘れてたけど、あれは期末試験のデュエルで、行われていたのは他の生徒も見学ができるフィールドの上。
当然、泣き出した桜ちゃんと抱きしめていた私を、周りの生徒達は何事かと見ていた。
正直、気を遣って声をかけてくれた先生がいなかったらまだフィールドの上で桜ちゃんを抱き締めていたかもしれない。
声をかけられたことで周りに人が沢山いたことに気づいた桜ちゃんは泣いていた時とは違う意味で真っ赤になり、顔を隠すように私に抱きついて離れなくなってしまった。
私は、普段から奇異の視線で見られてるから別に気にもしなかったんだけど、桜ちゃんにはその視線が耐えられなかったみたい。
普段の桜ちゃんを見てると、泣くようなタイプに見えないから、あんなに泣いてる姿を見られたのは桜ちゃんにとって凄いダメージだったんだろう。
だけど、多分桜ちゃんは気付いてないんだろうな………今のこの状態の方が視線を集めてるってこと。
「それで、遊花は何やってたんだ?」
「デッキの最終調整かな?いよいよ最後のデュエルだからね」
「そういえばもう最後だったな。だけど、油断すんなよ?」
「あはは、油断なんか出来るほど、私は強くないよ。ここまでだって、皆が力を貸してくれたから何とかなったんだもん」
そんなことを話しながらデッキを組み上げていく。
そんな中、私は1枚のカードに目がいき、そのカードを手に取り、考え込む。
その様子を見て、大地君が首を傾げながら声をかけてくる。
「?何のカードを見てるんだ?」
「あ、うん。このカード、こないだ島さんに貰ったカードなんだけど………」
「あの面白い波動を感じたカード?」
「えっと、波動って言うのはよく分からないですけど………期末試験初日に私が拾ったカードです」
「そのカードがどうかしたのか?」
「あ、うん。一応デッキには入ってるんだけど………実は、今まで1度もドローしたことがなくて………」
「えっ?あれだけデュエルしてるのにか?」
「うん………そうなんだよね」
「不思議。遊花はデッキ調整も合わせれば少なくとも今日までに30回以上はデュエルしてるハズ。それなのに1度もドローしてないの?」
「はい………だから少し気になってて………」
私はそういって視線を手に持ったカードに移す。
今までも出す条件が整えられなかったりするカードがあったけど、それでもドローするまでは出来ていた。
だけど、今回は根本的にドローすら出来ていない。
まるでこのカード自体が出ることを拒んでいるみたいに………
「それで、遊花はどうするの?どうしてもドロー出来ないなら、いっそのことデッキに入れないというのもアリだと思うけど………」
「………それでも、私はこの子と一緒にデュエルがしたいです。なんでドロー出来ないのかは分からないですけど、それでもデッキから抜くことだけはしたくないです」
「………そう。遊花がそう感じたのなら、それでいいと思う」
「案外、遊花の覚悟を試したりしてるのかもよ?まあ、勘なんだけどさ」
「試されてる、か………なら、余計に逃げちゃダメだよね」
大地君のそんな言葉に私は握っていたそのカードと、並べていたカードを集めて1つのデッキにしていく。
「よし、これで完成‼︎」
私はそうして出来上がったデッキを胸の前で抱きしめる。
最後までよろしくね、皆。
そんなことを思っていると、いつもデュエル中に聞こえているモンスター達の声が聞こえた気がして、思わず表情が緩む。
そんな私に微笑みながらも、霊華さんは1度表情を引き締めると真剣な表情で声をかけてきた。
「次のデュエルの相手は神路祇………十分に気をつけてデュエルした方がいい。神路祇は恐ろしいカードを持っている」
「恐ろしいカード………ですか?」
「ええ。特に、女の子にとっては余計に」
「女の子は?それってーーー」
『第3学年、出席番号98番、栗原遊花さん。至急第1フィールドへお越しください』
霊華さんの言葉の意味を聞こうとしたところで、呼び出しのアナウンスが入る。
………ちょっと気になる話だったけど、どちらにしろデュエルしないといけないんだし、その時には分かることだよね。
私は目をつぶって1つ深呼吸をすると、霊華さんと大地君に笑顔で告げた。
「それじゃあ、いってきます‼︎」
「おう‼︎頑張ってこいよ‼︎遊花のデュエル、期待してるぜ‼︎」
「遊花ならきっと神路祇にも勝てる。頑張って」
「はい‼︎」
2人の言葉に頷き、今度は背中に抱きついたままの桜ちゃんに声をかける。
「それじゃあ桜ちゃん。私、行ってくるね」
私の言葉を聞き、桜ちゃんはゆっくりと離れていく。
桜ちゃんの表情はどこか不安そうだ。
そんな桜ちゃんに、私は満面の笑みを浮かべて頭を撫でる。
「大丈夫だよ。桜ちゃんの仇、ちゃんと取ってくるからね」
「遊花………」
「だから、ちゃんと見ててね?私が神路祇君に勝つところ」
「………分かったわ。でも、無理はしちゃダメよ?」
「うん‼︎頑張ってくるね‼︎」
そういってフィールドに向けて移動する。
フィールドには既に神路祇君の姿があった。
神路祇君は私を見て、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら口を開く。
「あ、やっと来た、虫けらさん?あまりにも遅いから怖くて逃げ出しちゃったかと思ったよ〜?ヒヒヒ」
「残念ですが、怖くても逃げ出すわけにはいかないので。私も退学がかかってますから」
平然として言葉を返す私を見て、神路祇君は一瞬忌々しそうな表情を浮かべ、しかしすぐに表情をニヤニヤとしたものに戻し、デュエルディスクを起動した。
「へぇ〜虫けらさんの癖に生意気なこと言うじゃん。それじゃあさっさとやりますか。その平然とした態度を恐怖と絶望に歪ませるってのも、面白そうだし〜お友達の宝月さんに、自分の友人が無様にやられる様を見せるのも楽しそうだからね〜ヒヒヒ」
そんな神路祇君の言葉を聞きながら、私もデュエルディスクを起動する。
神路祇君は桜ちゃんに勝った学年3位の決闘者。
だから、全力で挑む‼︎
「いきます‼︎」
『決闘‼︎』
遊花 LP8000
電二 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は僕ちゃんだよ〜といっても、手札が悪いね〜仕方ない、ここはカードを3枚伏せてターンエンドといこう」
遊花 LP8000 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ーーーーー
ー▲▲▲ー ー
電二 LP8000 手札2
神路祇君のフィールドには3枚の伏せカード。
手札が悪いとは言ってたけど、神路祇君の態度からそれが本当なのか罠なのか判断がつかない。
それでも、私は私に出来ることをやるだけ‼︎
「私のターン、ドロー‼︎私はジェットシンクロンを召喚‼︎」
〈ジェットシンクロン〉☆1 機械族 炎属性
ATK500
現れたのは小さなジェット機のようなモンスター。
「バトル‼︎ジェットシンクロンでダイレクトアタック‼︎ブーストストライク‼︎」
ジェットシンクロンが勢い良く神路祇君に突撃していく。
そんなジェットシンクロンを見て、神路祇君は嘲笑を浮かべる。
「攻撃力たった500で攻撃してくるなんて、舐められてるね〜まあ、通してなんかやらないんだけどさぁ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎メタバース‼︎」
「‼︎やっぱり罠カードがありましたか………」
「このカードはデッキからフィールド魔法を手札に加えるか、自分フィールドに発動することが出来るのさ‼︎さあ、よからぬことを始めようじゃないか‼︎フィールド魔法、Gボールパークを発動‼︎」
「Gボールパーク?」
辺りの風景が山の中にある球場のような風景に変わる。
このタイミングで発動されるフィールド魔法………でも、なんだろう、凄く嫌な予感が………
「Gボールパークの効果発動‼︎ダメージ計算時に、1ターンに1度その戦闘で発生するお互いの戦闘ダメージを0にし、自分のデッキからレベル4以下の昆虫族モンスター1体を墓地へ送ることが出来るのさ‼︎僕ちゃんが墓地に送るのはゴキボール‼︎というわけで、虫けらさんの攻撃は効かないよ〜」
ジェットシンクロンの攻撃が神路祇君に当たる直前何かの黒い影が横切ってジェットシンクロンを弾く。
「さらにさらに、豪華特典として〜この効果で通常モンスターが墓地へ送られた場合、さらにその同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から任意の数だけ選んで特殊召喚できるのさ‼︎さあ、デッキから現れな、2体のゴキボール‼︎」
「ひぅっ‼︎」
〈ゴキボール〉☆4 昆虫族 地属性
ATK1200
フィールドに現れたのはどう見ても台所に出没してカサカサと動く黒いアレ。
その姿を見て、私は思わず悲鳴を漏らしてしまう。
そんな私を見て、神路祇君は愉快そうな笑みを浮かべる。
「ヒヒヒ………おいおい、どうしたんだ?たかが攻撃力1200の効果も持たない雑魚モンスターだぜ?どうしてそんなに怖がる必要があるんだよ〜」
神路祇君が何かを言って笑ってるけど、私はそんな神路祇君に反応を返す余裕はない。
無理無理無理‼︎アレだけは無理なんだよ‼︎
霊華さんが言ってた恐ろしいカードってそういう意味⁉︎
確かに恐ろしいカードだよ‼︎
立体映像になることでこんなに恐ろしくなるカードがあるなんて思わなかったよ‼︎
れ、れれれ冷静になれ、私。
アレはモンスターの立体映像………実体じゃない実体じゃない実体じゃない実体じゃないーーー
「め、メインフェイズ2‼︎導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」
「へぇ〜お得意のリンク召喚か」
私の前に大きなサーキットが現れる。
「し、召喚条件はレベル1モンスター1体‼︎私はジェットシンクロンをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎色々な意味でお願い、希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」
〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性
ATK300 ↓
現れるのは青い球体型のモンスター。
リンクリボーがいつものように擦り寄ってくる前にこちらからリンクリボーを抱きしめる。
リンクリボーは驚きながらも嬉しそうに擦り寄ってくる。
うぅ〜癒しだよ〜向こうのフィールドを見たくないよ〜
「ヒヒヒ、立体映像に縋るとか、流石最底辺の虫けらさん、情けないね〜」
うぅ〜なんとでも言うといいよ‼︎
今はそんなこと気にしてる余裕なんてないもん‼︎
「私はカードを2枚伏せてターンエンド‼︎」
遊花 LP8000 手札3
ー▲▲ーー ー
ーーーーー
☆ ー
ーー○○ー
ー▲ー▲ー ▽
電二 LP8000 手札2
「ヒヒヒ、僕ちゃんのターン、ドロー‼︎おお、いいカードを引いたね。速攻魔法、手札断殺‼︎お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後、それぞれデッキから2枚ドローする」
「手札交換のカード………」
お互いに手札を2枚捨てて新しいカードをドローする。
ドローしたカードを見て、神路祇君は面白そうに笑った。
「ヒヒヒ、それじゃあいきますか。僕ちゃんは
〈甲虫装機ダンセル〉☆3 昆虫族 闇属性
ATK1000
現れたのは虫を模した赤い装甲を纏い、片手に銃を持っているモンスター。
そして神路祇君は手を前にかざす。
「犇めきあえ‼︎光を呑み込むサーキット‼︎」
「っ、リンク召喚………」
「召喚条件は昆虫族モンスター2体‼︎僕ちゃんはゴキボール2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎
〈甲虫装機ピコファレーナ〉LINK2 昆虫族 闇属性
ATK1000 ↙︎↘︎
2体のゴキボールがいなくなり、代わりに蛾を模したピンク色の装甲を纏い、リボンを手に持ったモンスターが現れる。
………良かった、ゴキボールがいなくなって。
そう安堵している私を見て、神路祇君は面白そうに笑う。
「何を安堵してるんだ〜?ここからが本番だって言うのにさ〜甲虫装機ピコファレーナの効果発動‼︎インゼクターフォーゼ‼︎このカードがリンク召喚に成功した場合、手札を1枚捨て、このカード以外の自分フィールドの昆虫族モンスター1体を対象としてデッキから昆虫族モンスター1体を攻撃力・守備力500ポイントアップの装備カード扱いとして対象のモンスターに装備する‼︎俺は手札を1枚捨ててデッキから甲虫装機ダンセルに
ピコファレーナがリボンを振るうと、どこからか蜂を模した装甲を纏ったモンスターが現れ、その手に持っていた蜂を模した銃をダンセルに渡し、姿を消した。
甲虫装機ダンセル ☆3→6
ATK1000→1500→2000
装備された時に効果を発揮するモンスター。
だけど、そんなモンスターの効果があれだけとは思えない。
「さらにさらに、手札から捨てられたゴキポールの効果発動‼︎このカードが墓地へ送られた場合にデッキからレベル4の昆虫族モンスター1体を手札に加える。この効果で通常モンスターを手札に加えた場合、さらにそのモンスターを手札から特殊召喚でき、その後、この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力以上の攻撃力を持つ、フィールドのモンスター1体を選んで破壊できる。まあ、流石にリンクリボーよりも攻撃力が低い通常モンスターなんていないからね。今回は
「っ、リビングデッドの呼び声が………」
ダンセルがホーネットから渡された銃を構え、私のセットカードに向けて砲撃し、セットカードを跡形もなく消しとばす。
その砲撃でエネルギーが切れたのか、銃は機能を停止し、消滅した。
甲虫装機ダンセル ☆6→3
ATK2000→1000
「まだこれだけじゃ終わらないぜ。甲虫装機 ダンセルの効果発動‼︎このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合、デッキから甲虫装機 ダンセル以外の甲虫装機モンスター1体を特殊召喚する‼︎現れろ、
〈甲虫装機センチピード〉☆3 昆虫族 闇属性
ATK1600
現れたのは百足を模した茶色の装甲を纏ったモンスター。
「甲虫装機センチピードの効果発動‼︎1ターンに1度、自分メインフェイズに自分の手札・墓地から甲虫装機モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する‼︎僕ちゃんはさっき墓地にいった甲虫装機ホーネットを甲虫装機センチピードに装備するよ〜」
「っ⁉︎それじゃあ………」
再びホーネットが現れ、センチピードに自分の銃を手渡す。
甲虫装機センチピード ☆3→6
ATK1600→2100
そしてセンチピードはその銃を私のセットカードに向ける。
「さあ、再び装備カードとなった甲虫装機ホーネットの効果発動このカードを墓地に送り、もう1枚のセットカードも破壊させて貰おうか‼︎スティンガースパーク‼︎」
甲虫装機センチピード ☆6→3
ATK2100→1600
「っ、リバースカードオープン‼︎速攻魔法、クリボーを呼ぶ笛‼︎その効果で自分はデッキからクリボーまたはハネクリボー1体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができます‼︎私か選ぶのは特殊召喚‼︎いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」
〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性
DEF200
私の前に相棒が現れる。
相棒は私を見て、少し心配するような表情を浮かべた。
相棒の姿を見て、神路祇君は一瞬つまらなそうな表情を浮かべたが、何かを思いついたのか不気味な笑みを浮かべた。
「速攻魔法だったか〜残念だったな〜まあとりあえず、甲虫装機センチピードの効果発動‼︎このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合、デッキから甲虫装機カード1枚を手札に加える。僕ちゃんが手札に加えるのは 2枚目の甲虫装機ダンセルだ」
「後続までサーチしてくるなんて………」
「おおっと、まだ終わっちゃいないよ?甲虫装機ダンセルにも、1ターンに1度、自分メインフェイズに自分の手札・墓地から甲虫装機モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する効果があるのさ‼︎」
「っ⁉︎それじゃあまたホーネットが………」
甲虫装機ダンセル ☆3→6
ATK1000→1500
「大正解〜‼︎僕ちゃんはさっき墓地にいった甲虫装機ホーネットを甲虫装機ダンセルに装備‼︎そして装備カードとなった甲虫装機ホーネットの効果発動このカードを墓地に送り、虫けらさんのリンクリボーを破壊だ‼︎」
「っ、リンクリボー‼︎」
抱きしめていたリンクリボーがダンセルの銃に撃ち抜かれて粒子になる。
「さあ、また甲虫装機 ダンセルの効果発動‼︎このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られたから、再びデッキから現れろ、甲虫装機センチピード‼︎」
〈甲虫装機センチピード〉☆3 昆虫族 闇属性
ATK1600
「まだまだ動かせて貰うよ?甲虫装機ピコファレーナの効果発動‼︎同名モンスターは1ターンに1度自分の墓地の昆虫族モンスター3体を対象としてそのモンスターをデッキに加えてシャッフルし、その後、自分はデッキから1枚ドローする‼︎僕ちゃんは墓地のゴキボール3枚をデッキに戻して1枚ドロー‼︎」
「うっ………」
ゴキボールがデッキに戻ったってことはGボールパークの効果が発動したらまたバトルゾーンにゴキボールが出てきてしまい、またリンク召喚やエクシーズ召喚に繋げられる可能性がある。
これじゃあ迂闊に攻撃出来ない………色々な意味で。
「さてと、このままだとハネクリボーが邪魔でダメージが与えられないか〜困ったな〜」
神路祇君がそんなわざとらしい言葉を漏らす。
こんな言葉を漏らすということは十中八九どうにかする手段があるということ………一体次はどんな手を………
「よし、じゃあこうしよう。リバースカードオープン。永続罠、DNA移植手術。発動時に僕ちゃんは光属性を選択。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド上の全ての表側表示のモンスターは光属性になる」
「えっ?」
甲虫装機ダンセル
闇属性→光属性
甲虫装機センチピード
闇属性→光属性
甲虫装機ピコファレーナ
闇属性→光属性
フィールドのモンスターが全て光属性に変わる。
だけど、そんなことに何の意味が………、
「僕ちゃんは昆虫族・光属性のレベル3モンスター2体以上、甲虫装機ダンセルと2体の甲虫装機センチピードでオーバーレイ。3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」
「っ⁉︎エクシーズ召喚のために属性変更を⁉︎」
ダンセルと2体のセンチピードが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると現れたのは電子的な身体を持つフンコロガシのようなモンスター。
「現れろ‼︎ランク3、
〈電子光虫-スカラジエータ〉★3 昆虫族 光属性
ATK1800
「驚いてるところ悪いけど、まだ終わりじゃないんだよ‼︎僕ちゃんは電子光虫-スカラジエータのオーバーレイユニットを2つ取り除き、電子光虫-スカラジエータ1体でオーバーレイ‼︎」
「えっ⁉︎」
「1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築‼︎ランクアップエクシーズチェンジ‼︎」
スカラジエータが再び空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると次に現れたのは電子的な身体を持つモンシロチョウのようなモンスター。
「現れろ‼︎ランク5、
〈電子光虫-コアベージ〉★5 昆虫族 光属性
ATK2200
「電子光虫-コアベージは自分フィールドのランク3・4の昆虫族エクシーズモンスターからオーバーレイユニットを2つ取り除き、そのエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚することが出来るのさ‼︎」
「………まさか神路祇君もエクシーズモンスターのランクを上げる方法があるなんて………」
「電子光虫-コアベージの効果発動‼︎デジタルフラッピング‼︎1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象としそのモンスターを持ち主のデッキに戻す‼︎対象は勿論、君の相棒のハネクリボーだ‼︎」
「⁉︎デッキバウンス⁉︎墓地に存在するリンクリボーの効果発動‼︎スケープリンク‼︎このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル1モンスター1体をリリースしてこのカードを墓地から特殊召喚する‼︎私はハネクリボーをリリース‼︎戻ってきて、リンクリボー‼︎」
〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性
ATK300 ↓
相棒の姿が消え、代わりにリンクリボーが跳ねるように私の前に現れる。
ホッと一息をつく私を見て、神路祇君が愉快そうな表情を浮かべる。
「まさか耐え切れたなんて思ってないよな〜?」
「っ⁉︎」
「リバースカードオープン‼︎永続罠、リビングデッドの呼び声‼︎自分の墓地のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する‼︎現れろ、
〈電子光虫-ウェブソルダー〉☆3 昆虫族 光属性
ATK500
現れたのは電子の身体を持つ蜘蛛のようなモンスター。
見覚えがないということは手札断殺の時に墓地に送られていたカードだろう。
「電子光虫-ウェブソルダーの効果発動‼︎1ターンに1度、自分フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として、そのモンスターを守備表示にし、手札から昆虫族・レベル3モンスター1体を守備表示で特殊召喚する‼︎僕ちゃんは電子光虫-ウェブソルダーを守備表示にして甲虫装機ダンセルを特殊召喚だ‼︎」
「っ⁉︎またダンセルが⁉︎」
電子光虫-ウェブソルダー
ATK500→DEF1500
〈甲虫装機ダンセル〉☆3 昆虫族 闇属性→光属性
DEF1800
「おおっと、それだけじゃないぜ?電子光虫-コアベージの効果発動‼︎1ターンに1度、フィールドのモンスターの表示形式が変更された場合に自分の墓地の昆虫族モンスター1体を選び、このカードのオーバーレイユニットとする‼︎僕ちゃんは墓地のゴキポールをオーバーレイユニットにするぜ‼︎」
コアベージにオーバーレイユニットが補充される。
しかも、ゴキポールは確か墓地にいった場合にレベル4モンスターをサーチすると言っていた。
つまり、オーバーレイユニットから墓地にいってもあの効果は発動する。
動きに全然無駄がない。
前に大地君の言っていた言葉の意味を今実感する。
態度はおちょくるようにふざけていても、プレイングには全然隙がない。
これは確かに本気なのか遊ばれているのかすら分からない。
「さあ、もういちいち説明しなくてもいいよな〜?甲虫装機ダンセルの効果で甲虫装機ホーネットを甲虫装機ダンセルに装備‼︎そして装備カードとなった甲虫装機ホーネットの効果発動このカードを墓地に送り、もう1度リンクリボーを破壊だ‼︎」
「っ、ごめん………リンクリボー」
「そしてそして〜また甲虫装機 ダンセルの効果発動‼︎このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られたから、再びデッキから現れろ、甲虫装機センチピード‼︎」
〈甲虫装機センチピード〉☆3 昆虫族 闇属性→光属性
ATK1600
「ついでだし、甲虫装機センチピードの効果発動‼︎僕ちゃんはさっき墓地にいった甲虫装機ホーネットを甲虫装機センチピードに装備するよ〜」
甲虫装機センチピード ☆3→6
ATK1600→2100
「それじゃあバトルフェイズ。甲虫装機ピコファレーナでダイレクトアタック‼︎ジャイロハリケーン‼︎」
「うっ………」
遊花 LP8000→7000
ピコファレーナのリボンが叩きつけられ、私のライフが削られる。
「あれあれ〜防御しないのかい?甲虫装機センチピードでダイレクトアタック‼︎ハンドレットスティング‼︎」
「うぐっ‼︎」
遊花 LP7000→4900
センチピードがホーネットの銃を連射し、私の身体を撃ち抜いていく。
まだ攻撃は終わらない。
「ほらほら、ご自慢の防御で防いでみなよ‼︎電子光虫-コアベージでダイレクトアタック‼︎デジタルハリケーン‼︎」
「くぅっ‼︎」
遊花 LP4900→2700
コアベージの羽から電気を纏った鱗粉が飛ばされ、私の近くで誘爆する。
「僕ちゃんはカードを1枚伏せてターンエンド。さあ、精々足掻いて見せてよ、虫けらさん?ヒヒヒ」
遊花 LP2700 手札3
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ☆
□□ー○○
ー△△△▲ ▽
電二 LP8000 手札1
「私のターン、ドロー‼︎」
神路祇君のバトルゾーンは盤石。
少しでも取りこぼしがあればすぐにダンセルとセンチピードでこちらのカードを破壊しながら再展開されてしまう。
おまけにDNA移植手術が妙なところで効いている。
あれがあるせいでフィールドのモンスターが光属性になってしまうため、スターヴヴェノムが融合出来なくなっているのだ。
なら、ここは………
「私はミスティックパイパーを召喚‼︎」
〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性
ATK0
現れたのはフルートのようなものを弾いている男の人。
お願い、私に可能性を運んで‼︎
「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドローします。そしてこの効果でドローしたカードをお互いに確認し、レベル1モンスターだった場合、自分はカードをもう1枚ドローします‼︎」
「おやおや〜ここにきてドロー頼みか?いいカードが引けたらいいな?」
「私が引いたのはクリボール‼︎レベル1モンスターなのでもう1枚ドロー‼︎さらに魔法カード、手札抹殺‼︎お互いに全ての手札を捨てて同じ枚数ドローします‼︎私は4枚、神路祇君は1枚ドローです‼︎」
「チッ………手札交換カードを引いたか。いいものは引けたかな?」
「………ターンエンドです」
「ぷっ、あれだけドローして結局何も引けなかったのか?流石は最底辺の虫けらだな〜」
遊花 LP2700 手札4
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ☆
□□ー○○
ー△△△▲ ▽
電二 LP8000 手札1
「僕ちゃんのターン、ドロー‼︎さっさとトドメを刺してあげたいけど、僕ちゃんは慎重派でね。もうちょっといたぶらせて貰おうかな〜甲虫装機ピコファレーナの効果発動‼︎同名モンスターは1ターンに1度自分の墓地の昆虫族モンスター3体を対象としてそのモンスターをデッキに加えてシャッフルし、その後、自分はデッキから1枚ドローする‼︎僕ちゃんは墓地の甲虫装機センチピード 2枚と甲虫装機ダンセルをデッキに戻して1枚ドロー‼︎甲虫装機ダンセルを攻撃表示に変更」
甲虫装機ダンセル
DEF1800→ATK1000
「電子光虫-コアベージの効果発動‼︎1ターンに1度、フィールドのモンスターの表示形式が変更された場合に自分の墓地の昆虫族モンスター1体を選び、このカードのオーバーレイユニットとする‼︎僕ちゃんは墓地の甲虫装機ホッパーをオーバーレイユニットにするぜ‼︎そしてバトルフェイズ‼︎甲虫装機ダンセルでダイレクトアタック‼︎」
「バトルフェーダーの効果発動‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了するよ‼︎そしてこの効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外されます」
「防御カードを引いてたか、虫けらだけあってしぶといね〜」
〈バトルフェーダー〉☆1 悪魔族 闇属性
DEF0
鐘の音を鳴らす悪魔が現れ、ダンセルが動きを止める。
「でも、フィールドにモンスターが出ても意味ないんだよ‼︎メインフェイズ2‼︎装備カードとなった甲虫装機ホーネットの効果発動このカードを墓地に送り、バトルフェーダーを破壊させて貰おうか‼︎スティンガースパーク‼︎」
「っ………バトルフェーダーは破壊されたので除外されます」
甲虫装機センチピード ☆6→3
ATK2100→1600
バトルフェーダーがセンチピードに撃ち抜かれて消滅する。
「甲虫装機センチピードの効果発動‼︎このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合、デッキから甲虫装機カード1枚を手札に加える。僕ちゃんが手札に加えるのはさっきデッキに戻した2枚目の甲虫装機ダンセル。そして電子光虫-ウェブソルダーの効果発動‼︎1ターンに1度、自分フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として、そのモンスターを守備表示にし、手札から昆虫族・レベル3モンスター1体を守備表示で特殊召喚する‼︎僕ちゃんは甲虫装機ダンセルを守備表示にして
〈電子光虫-LEDバグ〉☆3 昆虫族 光属性
DEF0
現れたのは電子の身体を持つテントウムシのようなモンスター。
「僕ちゃんは昆虫族・光属性のレベル3モンスター2体以上、甲虫装機ダンセル、電子光虫-LEDバグ、電子光虫-ウェブソルダーでオーバーレイ。3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎ 再び現れろ‼︎ランク3、電子光虫-スカラジエータ‼︎」
〈電子光虫-スカラジエータ〉★3 昆虫族 光属性
ATK1800
現れる2体目のスカラジエータ。
「僕ちゃんは優しいから虫けらさんに教えておいてあげるよ。電子光虫-スカラジエータは1ターンに1度、オーバーレイユニットを2つ取り除くことで相手フィールドのモンスター1体を対象としてそのモンスターの表示形式を変更し、その効果をターン終了時まで無効にする。この効果は相手ターンでも発動できちゃうよ〜」
「っ………無効化効果に表示形式の変更まで………」
「おまけに1ターンに1度、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に、破壊したそのモンスターをこのカードのオーバーレイユニットにすることができ、さらにさらに豪華特典として、さっきオーバーレイユニットになった電子光虫-LEDバグの効果で相手モンスターを破壊した時にカードを1枚ドローできるのさ‼︎さあ、僕ちゃんはこれでターンエンド。精々頑張って突破して見せてよ、虫けらさん。まあ、無理だと思うけどね、ヒヒヒ」
遊花 LP2700 手札3
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ☆
ーー○ー○
ー△ー△▲ ▽
電二 LP8000 手札3
どんどん状況が悪くなっていくフィールド。
一体どう突破すれば………
「それにしても、この程度の虫けらさんにやられるなんて他の奴らも大したことないね〜虫けら以下とかそれでも本当に僕ちゃんと同じ学年トップ10なのかね〜ヒヒヒ」
「っ‼︎」
そんな神路祇君の笑い声に私は思わず思考を止める。
今、この人は何を言った?
「こんな雑魚に負けるなんてどいつもこいつも情けない奴ばかりさ。力及ばずデュエルで負けてしまいました~楽しいデュエルがしたかったんです〜許して下さいってか?ヒヒヒ、ヒハハハハ‼︎そんなんだから勝てないんだよ〜‼︎」
フィールドに神路祇君の嘲笑の声が響く。
「何が楽しいデュエルだ‼︎デュエルってのは相手を叩き潰すためにあるんだよ‼︎弱い奴らをぶっ潰してぶっ潰してぶっ潰して、地面に這い蹲らせる為にあるってのに、どいつもこいつも仲良しこよしで楽しいだの何だの、下らないことばっかり言いやがる。そんなんだから勝てもしないってことに気づけって話さ‼︎ヒハハーーー」
「ーーーいい加減、戯言を言うことしか出来ないその浅ましい口を閉じてくれませんか?」
「ーーーーは?」
私の口からとても冷たい声が出て、神路祇君が目を丸くする。
無理だった。
どうしても、これだけは耐えることはできそうにない。
「さっきから聞いていれば、まるで自分が学年最強みたいに話してますけど、貴方風に言わせて貰えば、貴方は所詮学年3位でしょ?天雷君や喰代君に勝てていないのに、何様なのですか?いえ、そもそも貴方が本当に3位なのかも疑わしいです。だって………貴方、弱いじゃないですか?少なくとも、私がここまでデュエルをしてきた中で、貴方が1番弱いです」
「………何だと?」
私の言葉に神路祇君が不愉快そうな顔を浮かべる。
それでも私は淡々とその事実を口にする。
「今まで私がデュエルしてきた人達は貴方とは違いました。自分達の好きなカードを全力で活かすために、私の動きを封じてきたり、私の思いもよらない大胆な手を使って、全力で私に勝つための戦術を見せてくれました………こんなに弱い私と、全力でデュエルをしてくれました」
今まで、期末試験でデュエルしてきた人達のことを思い出す。
空閑君は空牙団のモンスター達を一気に展開し、私の防御手段を封じながら一気に攻めきろうとしてきた。
霊華さんは、PSYフレームで私の動きをとことん封じながら、手札に返っていくスピリット達で私を翻弄し、次の手を読ませてくれなかった。
大地君は倒しても倒しても次のターンにはさらに強力なモンスターを用意して、私を圧倒した。
不死川君はコンボで一気に8000のワイトキングを3体も並べて一撃で決着をつけようとしてきた。
桜糀さんは、大型のシンクロモンスターを3体も並べて、防御手段を完全に封じ、時間を稼ぐことすらまともに出来ないようにしてきた。
天雷君はロック戦術で私の動きを封じたと思えば、それが通じなくなると圧倒的な破壊効果で私のフィールドを一気に吹き飛ばした。
斎京君は自分が苦手な効果自体を封じて、得意な攻撃力で私を押し切ろうとしてきた。
喰代君には、自分の好きなカードを最大限に活かし、そのカードの全力で相手を倒すという拘りを見せて貰った。
そして、桜ちゃんには………自分の変わりたいという思いをデッキに込め、自分の戦術をさらに進化させて、デッキもライフもエクストラモンスターゾーンすらも一気に奪われる凄いデュエルを見せて貰った。
どのデュエルも、本当は負けてても全然おかしくなくて………何で私が勝てたのか、今ですら分からないようなデュエルばかりだった。
だけどーーー
「それが貴方はどうですか?甲虫装機で私のカードを破壊し尽くしたのも、電子光虫で私の動きを封じてきたのも、確かに凄いです。でも、言うなれば
2ターン目、本当は私のフィールドを吹き飛ばした後にダンセルとウェブソルダーを使ってスカラジエータを出すことも出来ていた。
そうすれば私のライフはもっと削れていたし、ミスティックパイパーも効果が使えず、私は手札抹殺を手札に引き込むことが出来ず、バトルフェーダーも無いから完全に負けていた。
勝とうとしていたならあの状況でスカラジエータを出さなかった理由など考えられない。
フィールドを一掃するような魔法カードなどを使われたらエクシーズしようがしまいが同じだし、ダンセルもウェブソルダーもフィールドにいるだけで効果を発揮するタイプのモンスターでもない。
しかも、ウェブソルダーを使って出せるカードは手札になく、ホーネットをつけたセンチピードがいたのだからサーチ手段も破壊手段もあるのだからより確実に守る方を選んだ方がよかった。
そもそもGボールパークがあるのだから防御はそのまま攻撃にも変えれるのだ。
余計にエクシーズしなかった理由がない。
要は舐めているのだ、そんなことをしなくても散々いたぶった上で私には勝てると。
「貴方が言う通り、確かに私は弱いです。皆がなんでこんな私に期待してくれてるのか、全然分からないぐらいちっぽけで………いつも迷ってばかりで………弱くて、どうしようもないぐらい心も身体も弱くて………だから、私は誰かに馬鹿にされようが何を言われようが構いません。だって、それは間違いなく事実ですから」
そう、私のことを言われているなら、私は耐えられる。
だって、それは確かに事実だと思うから。
私は確かに、どうしようもないくらい弱くて………誰かが支えてくれなければ、こんな場所に立つことすらできない程、ちっぽけだ。
だけどーーー
「だけど、そんなちっぽけな私を支えてくれた人達を………こんな私に全力でぶつかって来てくれた人達を馬鹿にすることだけは絶対に赦せません‼︎はっきりと言いましょう。他のトップ10の方々は貴方では足元に及ばない程強いと‼︎貴方の相手は、雑魚と言われてる私程度がお似合いです」
「っ………言わせておけば好き勝手言ってくれるじゃないか。なら、逆転してみろよ‼︎この何もない状況を‼︎」
そういって表情を怒りに歪ませながら神路祇が私を睨む。
確かに、私の今の手札ではこの状況をどうにか出来るとは言い難い。
だけど、それならドローすればいいだけだ。
この状況をどうにかする可能性を。
引けるかなんて分からない。
でも、退くわけにはいかない。
私が弱いせいで私に全力でぶつかってくれた人達が悪く言われるのなら、私はここから強くなる。
私と全力でデュエルをしてくれた皆はやっぱり凄い人達なのだと、知って貰うために‼︎
「私のターン、ドロー‼︎」
ドローしたカードを見る。
このカード………そして私の手札にあるカード。
さっきまでは難しかったけど、これなら………
「私はカードを3枚伏せてターンエンド‼︎」
遊花 LP2700 手札1
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電二 LP8000 手札3
「ハッ、偉そうなことを言った癖にカードを伏せただけか‼︎結局は口だけの雑魚じゃないか‼︎そんなに無様に負けたきゃさっさとトドメを刺してやる‼︎俺のターン、ドロー‼︎」
「スタンバイフェイズ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎バトルマニア‼︎さらにチェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎リバイバルギフト‼︎」
「何?」
「リバイバルギフトの効果‼︎自分の墓地に存在するチューナー1体を効果を無効にして特殊召喚し、相手フィールド上に悪魔族・闇属性・レベル3・攻撃力・守備力1500のギフトデモントークン2体を特殊召喚します‼︎戻ってきて、ジェットシンクロン‼︎」
〈ジェットシンクロン〉☆1 機械族 炎属性
DEF0
〈ギフトデモントークン〉☆3 悪魔族 闇属性→光属性
ATK1500
再び現れるジェットシンクロンと神路祇のフィールドに現れる2体の小さな悪魔。
「そしてバトルマニアの効果で相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、このターン表示形式を変更する事はできない‼︎また、このターン攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない‼︎」
「チッ、トークンなんて面倒なもん出しやがって、だが今更そんな見え見えの罠なんてなんの意味もなさねえんだよ‼︎俺は甲虫装機ダンセルを召喚‼」
〈甲虫装機ダンセル〉☆3 昆虫族 闇属性→光属性
ATK1000
「甲虫装機ダンセルの効果発動‼︎墓地に存在する甲虫装機ホーネットを装備‼︎そして装備カードとなった甲虫装機ホーネットの効果発動‼︎モンスターに装備されているこのカードを墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として破壊する‼︎どうせそのセットカードが聖なるバリア -ミラーフォース-みたいなカードなんだろう‼︎そんな分かりやすい罠ごと絶望に沈んじまえ‼︎」
ダンセルがホーネットの銃で私の伏せカードを吹き飛ばす。
「ハッ、これでーーー」
「ふふっ」
「っ⁉︎」
破壊された伏せカードを見て、私は笑う。
「かかりましたね。まさかこんなに分かりやすい罠にかかってくれるなんて思いませんでした」
「何だと⁉︎」
「少し考えれば分かるじゃないですか?貴方の手札に甲虫装機ダンセルがあることを、私は知ってたんですよ?だったら伏せカードが1枚だけなら破壊されるなんて、承知の上に決まってるじゃないですか」
「っ‼︎じゃあそのカードは………」
「ええ、貴方が破壊してくれたおかげでどうやら逆転出来そうです。破壊された永続罠、ミラーフォースランチャーの効果発動‼︎」
「ミラーフォースランチャーだと⁉︎」
「セットされたこのカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合、墓地のこのカードと自分の手札・デッキ・墓地の聖なるバリア -ミラーフォース-1枚とこのカードを自分フィールドにセットでき、この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる‼︎私は破壊されたミラーフォースランチャーとデッキから聖なるバリア -ミラーフォース-をフィールドにセットします‼︎」
「な………に⁉︎」
神路祇の表情が変わる。
彼はもう召喚権を使っており、フィールドもすでにモンスターで埋まっている。
しかも、先程の彼の発言からすると彼にトークンを自分で処理する方法はなく、バトルマニアの効果で表示形式を変更して逃げることも出来ず、バトルフェイズに必ず入って攻撃しなければならない。
つまりーーー
「ば、馬鹿な………俺のフィールドのモンスターが全滅させられるだと⁉︎」
「絶望に沈んじまえ………でしたっけ?どうやら絶望に沈むのは貴方の方だったみたいですね。さあ、どうしました?まだ貴方のメインフェイズですよ?それとも、もうバトルフェイズに移りますか?」
「ぐっ………て、テメェ‼︎電子光虫-コアベージの効果発動‼︎デジタルフラッピング‼︎1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象としそのモンスターを持ち主のデッキに戻す‼︎対象はジェットシンクロン‼︎」
「ありがとう、ジェットシンクロン。またすぐに呼び出してあげるから少しだけ待っててね」
コアベージの羽ばたきでジェットシンクロンがデッキの中に吹き飛ばされる。
でも、この状況が変わったわけでもない。
「ぐっ………く、クソがぁ‼︎バトルフェイズ‼︎電子光虫-コアベージでダイレクトアタック‼︎デジタルハリケーン‼︎」
「それじゃあお返しの時間です。リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎聖なるバリア -ミラーフォース-‼︎相手モンスターの攻撃宣言時に、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊します‼︎」
コアベージが放った鱗粉を見えない壁が弾き返し、神路祇のモンスターの周りで一気に誘爆し、吹き飛ばした。
「チッ‼︎だが甘いんだよ‼︎オーバーレイユニットになっていたゴキポールの効果発動‼︎デッキからゴキボールを手札に加え、通常モンスターだから特殊召喚だ‼︎」
〈ゴキボール〉☆4 昆虫族 地属性→光属性
ATK1200
「ゴキボールでダイレクトアタック‼︎コックローチアタック‼︎」
「そうですね、甘いですよ………貴方が。相手モンスターの直接攻撃宣言時、墓地のクリアクリボーの効果発動‼︎さらにそれにチェーンして墓地の虹クリボーの効果発動‼︎」
「何⁉︎そんなものいつ⁉︎」
「手札断殺も手札抹殺もあったんですよ?墓地にいくタイミングなんていくらでもあります。虹クリボーの効果‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時、このモンスターを特殊召喚します‼︎ただし、このモンスターがフィールドから離れる場合、除外されます。戻っておいで、虹クリボー‼︎」
〈虹クリボー〉☆1 悪魔族 光属性
DEF100
私を守るように虹色の角を持つ球体が現れる。
「さらにクリアクリボーの効果発動‼︎墓地のこのカードを除外し、自分はデッキから1枚ドローし、そのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚してその後、攻撃対象をそのモンスターに移し替えます‼︎ドローしたカードはそのままにしておきます」
「チッ、ならゴキボールで虹クリボーを攻撃だ‼︎」
「ありがとう、虹クリボー………フィールドから離れた虹クリボーはゲームから除外されます」
虹クリボーがゴキボールに弾き飛ばされ、粒子になって消滅する。
「………それで?」
「っ、おちょくってんのかテメェ‼︎」
「そっくりそのままその言葉を返して上げましょうか?言ったハズですよ、舐めているのか、と。貴方の実力が口だけではないのなら、見せて下さいよ。
「ぐ、グギギギギ‼︎ぶっ潰す‼︎完膚なきまでぶっ潰してやる‼︎このクソ女が‼︎カードを1枚伏せてターンエンド‼︎」
神路祇が怒りの表情でターンエンドを宣言する。
正直言って、フィールドのモンスターを吹き飛ばしてなお、私の方が不利なことには変わらない。
だからこそ、雑魚と侮っていた相手に一矢報いられて冷静さを失っている今の内に一気に巻き返す。
私だって怒っている。
私のことならともかく、桜ちゃん達のことを馬鹿にされて怒らない程、私は甘くない。
だけど、だからこそ冷静にデュエルをしないといけない。
心は熱く、思考は冷静に。
このデュエルだけは絶対に勝つ‼︎
遊花 LP2700 手札2
ーー▲ーー ー
ーーーーー
ー ー
ーー○ーー
ー△▲△▲ ▽
電二 LP8000 手札2
次回予告
神路祇の攻撃に耐え、反撃に出る遊花。
一時は逆転した遊花だが、怒りから本気を出した神路祇に再び窮地に追い詰められる。
遊花が勝利を願う時、遊花のデッキに眠っていた新しい力が覚醒する。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『暗闇に浮かぶ星』
次回、遊花VS神路祇、決着です。
後編はもっと早く書ければいいな、主に甲虫装機がぐるぐるしてたのが長引いた理由な気がしますが………流石一時期の環境トップ。
回し方を思い出すのに時間がかかったせいで、更新が遅れたのは内緒。
そして今回は遊花激怒回。
普段温厚な人程怒るとめちゃくちゃ怖いですよね………特に淡々と怒るタイプ………そりゃあれだけ煽りまくってたら怒るわ。
まだまだ劣勢の遊花、ここからどう巻き返していくのか。
といったところで今回はお開き。
ではでは〜