今回から1章ラストになる、ささなかな大会編開始です。
最初は遊花視点・中盤遊騎視点・終盤のデュエルパートを第三者視点でお送りします。
ささやかな大会編は遊騎と遊花以外のデュエルが多く、第三者視点が多くなってくるので、ご了承下さい。
そして今回は説明+デュエルがあるので少し長めです。
★
「桜ちゃん‼︎早く早く‼︎」
「そんなに急がなくても、大会は全員が揃ってから始めるから大丈夫だって結束が言ってたでしょ。それに、結束達にも大会の準備があるんだから、急いでもどうしようもないじゃない」
「でもでも、待ちきれないんだもん‼︎」
「………まあ、大会を怖がってるよりはマシよね。分かったから少しは待ちなさいって」
とある週末。
私はデュエルアカデミアに向かう通学路の途中でうずうずと身体を動かしながら呆れた表情を浮かべる桜ちゃんを待っていた。
今日は待ちに待った『Natural』で大会が開かれる日だ。
師匠が退院をして1週間が経った。
その間にも色々なことがあったが、ようやく師匠の体力も戻ってきて、参加者の人達の予定を調整した結果、この週末に大会が開かれることになった。
師匠の話によると大会は私達デュエルアカデミアの生徒や師匠の知り合いを入れて合計で15名が参加する一発勝負のトーナメント形式で行うらしい。
人数が中途半端になるのでシード枠が出来てしまったのだが、師匠としては好都合だったらしく、シード枠は満場一致で闇先パイに決定したらしい。
理由についてはーーー
ーーーーーーー
『世界ランキング4位の人間と1回戦で当たるとか罰ゲームでしかないだろうが』
『闇ちゃんは間違いなく参加者の中で1番強くて当たった人の見せ場が無くなっちゃうので、シード枠があるならシード枠以外は認めてあげないのです‼︎社長命令なのです‼︎』
『………解せぬ。これも全てプロリーグって奴の仕業なんだ………やっぱり潰そう』
『八つ当たりに風評被害を加えるのは止めてやれよ』
ーーーーーーー
ーーーという会話が師匠達の間であったとか。
実際、闇先パイの強さはまだまだ底が知れないので妥当だと私も思ってしまう。
闇先パイにはデュエルを教えて貰っているので、当然デュエルをする機会が何度もあるのだが、今だに闇先パイにはエクシーズ召喚とリンク召喚しか使わせることが出来てなくて、全部の召喚方法を見るのなんかいつになるのか分からないぐらいだ。
正直、大会で闇先パイに当たったらほぼ確実に負けると思う。
勿論、負けるつもりでデュエルするつもりは無いけど、実力差がそれぐらい圧倒的にあるということぐらいは理解しているつもりだ。
今回の大会は私の成長を師匠に見せるためのチャンスだし、流石に1回戦負けだけは控えたい。
私にだって、それぐらいの見栄はあるのだ。
「お、来た来た。おーい、遊花ー‼︎桜ー‼︎」
「さ、九石君。落ち着いて‼︎」
「大地、ここは外。もう少し周りの迷惑を考えるべき」
「あ、大地君、天雷君、霊華さん‼︎」
「あ、遊花、急に走らないでよ‼︎………全く、相変わらず九石は無駄に元気よね。叫ばなくても聞こえてるわよ」
デュエルアカデミアの校門が見える位置まで来ると、大地君が私達に向かって手を振りながら声を上げているのが見えた。
その近くには霊華さんや他の人達の姿も見え、私は思わず校門に向かって駆け出す。
校門に近づくと他の人達も私に近づいてきた。
「こんにちは、遊花さん。本日はお招きいただきありがとうございます」
「桜糀さん‼︎いえいえ、こちらこそ桜糀さんに来てもらえて嬉しいです‼︎」
「うふふ、今日はプロ決闘者の方々と見えることも出来ると聞きました。その上、遊花さんのお誘いですもの、断るわけがございませんわ」
そういって、桜糀さんが上品に笑う。
よかった………正直迷惑なんじゃ無いかと思ってたけど、喜んで貰えたみたい。
この前は不甲斐ない姿を見せちゃったから、今日は頑張らないと。
そう気合を入れ直していると、後ろから男の人に声をかけられる。
声をかけて来たのは喰代君だった。
「栗原、今日は大会への招待、感謝する。また何か機会があれば、このお礼はさせて貰おう」
「喰代君。いえ、私が誘いたいと思っただけだから気にしないで下さい。お礼というのであれば、またリベンジをさせていただければ、それでいいです」
「フッ、そうか。栗原程の決闘者の挑戦であれば、いつでも受けさせて貰おう」
喰代君はそういって口元を引き攣らせる。
………うん、笑ってるんだろうな、これ。
相変わらず喰代君は表情が固いみたい。
私は何となく分かるようになって来たけど………毎日喰代君よりも表情が動かない闇先パイと過ごしてるしね。
「これで全員揃ったのか?」
「揃ってるわよね、遊花。さあ、さっさといきましょ」
「あ、ちょっと待って、桜ちゃん‼︎まだ全員揃ってないから‼︎」
ここには用はないとばかりにすぐに『Natural』に移動しようとする桜ちゃんを引き止め、きょろきょろと辺りを見渡す。
すると、私達から少し離れた所で校門に持たれかかっている見覚えがあるドレッドヘアーが見えた。
私は笑顔を浮かべるとその人影に向けて駆け寄っていき、声をかけた。
「こんにちは、空閑君‼︎来てくれたんだね‼︎」
「………ああ、まあな」
そこにいたのは苦い表情を浮かべている空閑君だった。
何で苦い表情を浮かべているのか分からず、首を傾げながらも、私はもう1度辺りを見渡しながら空閑君に尋ねる。
「今日は取り巻きの子達は来てないの?」
「アイツらがいると、またお前にちょっかいを出すだろうからな。そうなるとお前も困るだろう?」
「別に気にしないのに。どうせなら、皆で楽しくデュエル出来た方がいいし」
「………栗原、お前、正気か?俺様も含め、お前を馬鹿にし、大事なカードを奪った連中だぞ?何故そんな俺様に笑顔を向けて簡単に許すことが出来る」
空閑君が正気を疑うような目でこちらを見る。
私は空閑君のそんな言葉にきょとんとしながらも答える。
「?だって、馬鹿にされるのはいつものことだし、自分がまだまだだってことはよく知ってるもん。それに、カードは師匠が取り返してくれたし、空閑君だって理由も教えてくれて、ちゃんと謝ってくれたでしょ?なら、私が怒る理由なんてもうないよ」
「………いかれてやがる」
「あはは、そうかも。でもでも、それで皆が笑顔でいられるなら、いかれてるのって、そんなにダメ?」
そういって不思議そうに首を傾げる私を見て、空閑君は何かを考えはじめる。
そして深いため息を吐いて吐き捨てるように呟いた。
「………そうでもないな」
「えっ?」
「そうでもないって言ったんだ。全く、俺様も焼きが回ったな………俺様も大概いかれてやがる………『Natural』って、店でやるんだろ?悪いが場所が分からん。案内を頼めるか」
「‼︎うん‼︎一緒に行こう‼︎」
「おい‼︎引っ張るんじゃねぇ‼︎」
空閑君の言葉に嬉しくなって、私は空閑君の腕を引いて桜ちゃん達が待っている場所に駆け出した。
お父さん、お母さん、今日はいい日になりそうです‼︎
ーーーーーーー
☆
「とりあえず、大会の準備としてはこんなところか」
「島さん、大丈夫そう?」
「ああ、大丈夫だとも。流石に手際がいいね」
遊花と約束した大会の開催日。
俺と闇は一足先に『Natural』に来て、大会を開催する準備をしていた。
とは言ったものの、大会ルール自体の確認は済んでいるし、やることといえばデュエルスペースにある机や椅子を観戦しやすいように移動させたり、トーナメント表を張り出すぐらいではあるのだが。
手際よく準備を進めていく俺と闇を見て、島さんは感心したような声をあげるが、そんなに大したことはしていないので俺と闇は苦笑を浮かべるしかない。
「規模が少し大きくなったとはいえ、昔はいつもやってたからな」
「なんだか懐かしい。昔は遊騎と2人っきりの大会なんてざらだったから、よく2人で大会の準備をしてた。中学生の途中頃からは炎も増えたけど」
闇が昔を懐かしむように目を閉じる。
小学生の頃から俺と闇は『Natural』に通っていたわけだが、その頃からこの店にはあまり決闘者が来ず、大会の時間になっても俺と闇の2人しかいないことなんてざらにあった。
その頃は2人しかいなかったので、よく2人だけで大会を行ったりしていたものだ。
まあ、内容は景品があるフリーデュエルみたいなものだったが、それでもその頃の俺達にとってはとても楽しみにしていたものだった。
「それからも基本的に3人での大会だったもんな。それ以外の決闘者が来てくれることなんて何回あったか………」
「ははは。もしかしたら『Natural』史上最大の大会かも知れないね」
「いや、島さん………それはちょっと笑いにくいよ」
「15名程度の大会が最大規模なんて、悲しすぎる………」
嬉しそうに笑う島さんを見て、俺と闇が微妙な表情になる。
そんな時、店の扉が勢いよく開かれた。
開かれた扉の方を見ると、そこには満面の笑みを浮かべるリーネの姿があった。
「おっはよーございまーすなのです‼︎」
「頭の悪そうな挨拶をしながら入ってくるな、アホめ。近所迷惑だ」
「朝っぱらからアホって言われたのです⁉︎」
俺の辛辣な言葉にリーネが驚愕の表情を浮かべる。
そんなリーネに呆れたような声をかけながら、リーネの後ろから2人の男性が姿を見せた。
「いや、今のは天羽が悪いだろう。今日な貸切になってるとはいえ、そこには配慮するべきだ」
「まあまあ、社長も悪気があったわけじゃないですからその辺にしておきましょうよ」
「不知火さん‼︎それにお前は………治虫か?」
「お久しぶりです、結束さん」
不知火さんと一緒に現れたのは黒髪をベリーショートにした温厚そうな顔つきをした青年。
御影 治虫(みかげ おさむ)。
『Trumpfkarte』の最後の1人でクラブスートを務める青年であり、デュエルアカデミア時代の俺と闇の後輩だ。
『Trumpfkarte』を結成する直前、偶々デュエルアカデミアでデュエルする機会があり、その後しばらくリベンジのために付きまとわれ、その際にこの店にやってきてリーネに見定められた俺達の中では少し変わった経歴で加入した奴だ。
性格は温厚でお人好しだが、少しお調子者の部分があり、そのせいでデュエルに負けることもしばしば。
最も、それは俺が『Trumpfkarte』を辞める前の話だから今どうなっているのかまでは分からないが………何となく変わってない気がするんだよな………闇の態度的に。
「治虫も来たんだ。忠告しとくけど、遊花に悪影響を与えたら問答無用でぶっ飛ばす」
「むっ、そんな言い方はないじゃないですか。遊花さんって言うのはウチの新しいメンバーになるかもしれない人なんでしょ?そんな人に悪影響なんて与えるわけないじゃないですか」
「そう言うのは少しは負け癖を治してから言うべき。フォローするこちらの身にもなれ」
「っ、言わせておけば………今日こそ絶対に勝ってみせる」
「私に勝つなんて1万年早い。そして今回の大会の趣旨は私達がデュエルすることじゃない。それすら理解出来ていない奴が私に勝つなんて笑わせる」
そういって闇と治虫の間に火花が散る。
『Trumpfkarte』の中で、この2人だけは相性が悪い。
元々、治虫が俺に付き纏っていたことに対して闇がいい印象を持っていなかったのだが、そのうえ治虫のお調子者の部分がどうも根が真面目な闇とは性に合わないらしく、会うたびに喧嘩をしている気がする。
最初は仲裁をしていたのだが何度言っても止めようとしないので俺はもう止めるのを諦めた。
こういうのは好きなようにやらせていたらいつのまにか解決したりするものだし、止めるのも俺よりも適任な奴がいる。
「はいはい、そこまでなのです‼︎皆で楽しむ日に喧嘩なんかしちゃいけないのです‼︎」
「むっ………」
「でも………」
「でもも何もないのです‼︎今日は2人とも仲良くするのです‼︎社長命令なのです‼︎言うこと聞かないならリーネも本気で怒っちゃうのです‼︎」
その言葉に闇と治虫がビクッと身体を震わせる。
こんなふざけた態度のリーネだが、怒ると物凄く怖い。
俺も1度リーネが本気で怒った姿を見たことがあるが、それ以来『Trumpfkarte』の中でリーネを怒らせることはタブーになった程だ。
リーネのそんな態度に闇と治虫は少し顔を青くしながらおずおずと引き退った。
「今日のところはこの辺にしとく」
「そうですね、流石に社長を怒らせるようなことだけはしたくないです」
「はい、2人共お利口さんなのです‼︎いい子いい子してあげるのです‼︎」
そう言いながらリーネが2人の頭を優しく撫でるが、2人の表情は引き攣ったままだ。
きっと今の2人は草食動物が住処から出ようとしたら、入り口で肉食動物が寝ていたような気持ちなのだろう。
まあ、自業自得なので助けないが。
俺と同じ気持ちなのか、そんな3人をよそに不知火さんが俺に話しかけてくる。
その目はアレとは関わらないでおこうと雄弁に語っていた。
「それで、噂の結束の弟子はまだ来ていないのか?」
「遊花は今日参加するデュエルアカデミア生を迎えに行ってから来るので、もうそろそろ来ると思います。俺達は大会の準備があったので」
「そうだったのか。それならば店先に出ていなくていいのか?大会があることは知っていても、今日は貸切にしているから扉には休業中の札をかけてるだろう?」
「やべっ、忘れてた‼︎」
不知火さんの指摘に俺は入り口の扉を見ると、そこには既に島さんが立っていた。
そして島さんは店先で何かを見て、笑っている。
それを見て、俺は表情を崩す。
その表情で、島さんが見ている光景には想像がついたから………
しばらくすると島さんは外にいた誰かと話をすると店の中に入ってくる。
店に入ってくる島さんの後ろには、俺の予想通り遊花達の姿があった。
遊花は店の中に入ってくるなり、俺の姿を見つけると笑顔を浮かべて俺に駆け寄ってきた。
「師匠‼︎私が誘った人達を連れてきました‼︎」
「おう。まあ、まだ来てない奴がいるから悪いけどもう少しだけ待ってくれ」
「はい‼︎」
「結束、この子がお前の弟子か?」
「はい。遊花、紹介しておくな。この人は不知火 炎さん。闇と同じ『Trumpfkarte』のメンバーだ」
「『Trumpfkarte』の方ですか⁉︎はじめまして、師匠の弟子の栗原 遊花です‼︎今日はよろしくお願いします‼︎」
「うん、元気が良くていいな。不知火 炎だ。君の話は冬城から聞いている。長い付き合いになりそうだ、こちらこそよろしく頼む」
「はい‼︎」
不知火さんが笑顔で手を差し出し、遊花も嬉しそうにその手を握り握手をする。
………よかった、不知火さんなら遊花の緊張も解してくれると思ったが、その必要がないぐらい遊花も大会を楽しみにしてくれているみたいだ。
今日の大会は遊花のトラウマを軽減させれるいいチャンスだ。
これ以上の条件での大会は恐らくもう作れないだろう。
だからこそ、今日の大会は遊花にとって楽しいものであって欲しい。
………だが、少しだけ懸念していることもある。
俺はちらりとまだ2人の頭を撫でているリーネの方を見る。
この前聞いた遊花とリーネの関係。
今のところ気付かれてはいないみたいだが、気づいてしまった時、遊花がどういう反応を示すのか想像がつかない。
遊花は今までも家族に対することでトラウマを再発させていた。
今回の件は特にその事故の根幹に関わる部分だ。
それだけに確実に遊花はトラウマを再発させるだろう。
だが、それを隠し続けたまま遊花を『Trumpfkarte』に誘うのもまた違うと思ってしまう。
この考えは俺のエゴだとは思う………それでも、俺は出来ることなら2人共に救いがある結末になってほしいと思う。
俺を助けてくれたリーネと、俺が助けたい思った遊花………どちらも俺にとっては大切な存在だ。
だからこそ、まだ何をすればいいかは分からないが、俺は2人のために自分に出来ることはしたいと思う。
皆が笑っていられるなら、それが1番いい結末なのだから。
「師匠?どうかしたんですか?」
「っ、悪い悪い。大会のことで少し考え事をな」
「なあ、遊花。その人が言ってた遊花の師匠なのか?」
「あ、大地君。うん、私の師匠の結束 遊騎さんだよ」
俺を見て首を傾げる遊花に考えていたことを誤魔化していると、そんな遊花に声をかける人物がいた。
遊花に声をかけたのは大地君と呼ばれた茶髪の青年。
その名前は入院中に遊花から聞いたことがある。
確か、遊花と何回デュエルをしても引き分けになってしまう青年だったな。
「結束 遊騎だ。弟子の遊花が世話になってるな」
「あ、えっと、九石大地だ、です。遊花とは何度かデュエルしててさー………です」
「いやお前、敬語苦手過ぎだろ。別に敬語じゃなくていいぞ?俺はそんなに大した人間じゃないからな」
「………そう言ってくれると助かるぜ、いやー遊花の師匠だけあって話が分かる人でよかったぜ。遊花の師匠なんだからスッゲー強いんだろ?俺、今からワクワクが止まらなくてさ」
「もう、大地君‼︎………ごめんなさい、師匠」
言い辛そうにしていた敬語を止め、爽やかな笑顔を浮かべながら話しかけてくる大地を見て、遊花が恥ずかしそうに頰を赤くしながら謝ってくる。
まあ、この時期だと敬語が使えなくても珍しくはないし、俺としても特に気にしているわけじゃないからいいだろう。
「そうか。俺も君の話は遊花から聞いてるよ。主催者ではあるが、俺も大会には参加する予定だから大会で当たることを楽しみにしてるよ」
「おう‼︎く〜今から楽しみだぜ‼︎」
そう言ってワクワクを抑えきれないという風に笑顔を浮かべる大地を見て、思わず笑顔が溢れる。
気持ちのいい青年だ。
純粋にデュエルを楽しみにしているのがこちらにも伝わってくる。
これが次世代の決闘者か………遊花といい宝月といい、デュエル界の未来は明るそうだな。
そんなことを思っていると、店の扉が勢いよく開き、何かが店の中に入ってくる。
俺達がそちらを見るとそこにいたのは黒いスーツに白いマントとシルクハットをつけ、青いベネチアンマスクをつけた怪しい人物。
………うん、大体正体に察しはついた。
というかこんなチグハグで突拍子のないことをやるのはアイツしかいない。
その人物は全員の視線が自分に向いたことを確認すると、マスクを投げ捨てマントを翻しながら楽しそうに名乗りを上げた。
「会場を彩る神秘のベール‼︎純情可憐な笑顔の奇術師‼︎問答無用のエンターテイナー‼︎雨夜美傘、ここに参上‼︎観客のハートは、私がいただき‼︎」
そういってドヤ顔で仁王立ちの決めポーズをとる美傘。
ポカンとするデュエルアカデミア生一同と、予想出来ていたからこそ頭を抱えているプロ決闘者数名。
そんな中、とりあえず俺は美傘に近づき、その額に勢いよくチョップをくらわした。
「あいた‼︎」
「い・い・か・げ・ん・に・し・ろ‼︎」
「あいた‼︎あぅ‼︎ちょ‼︎ストップ‼︎タンマ‼︎タンマです‼︎そんなに、叩かないで‼︎」
リズムよくチョップを入れていくと、美傘は慌てた様子で涙目になりながら、額を押さえる。
そんな美傘に俺は引き攣った笑顔を浮かべながら、握り拳を作って美傘の両こめかみに拳の先端を挟み込ませ、ネジ込むように圧迫した。
「反省してないからやってんだ‼︎前にも突拍子もないことは止めろって話をしたばかりだろうが‼︎この考え無しの大馬鹿野郎が〜〜〜‼︎」
「あぅ〜‼︎痛い、超痛いです‼︎具体的に言うと頭がぺちゃんこに潰れそうなぐらい、あいたたたたた‼︎遊騎さん‼︎ギブ‼︎ギブです‼︎私が悪うござんした‼︎勘弁してくだせぇ〜〜〜‼︎」
美傘は泣き叫びながら必死に俺の腕をタップするので、仕方なく離してやると頭を押さえてその場に崩れ落ちる。
それを見て俺はため息を吐きながら、しゃがみ込み、美傘の顔を覗き込む。
「どうしてお前は結果が分かってるのにそういう突拍子もないことをするかねー」
「うぅ〜だって、絶対驚いてくれると思ったんだもん………」
「方向性を間違えてるって言ってんだよ。お前のデュエルは十分他人を驚かせれるんだからそっちを主にして、普段のはもう少し抑えろって」
「うぅ〜善処します………」
「それは実行しない時の言葉なんだよな………」
俺がもう1度深いため息を吐いていると、遊花が困惑した表情で近づいてくる。
「あ、あの、師匠………そちらの方は………?」
「ああ〜こんなんでも一応参加者だ。他の奴らも悪いな、驚かせて」
「こんなのって言うのは酷い………って、師匠⁉︎今、遊騎さんのことを師匠って言いました⁉︎」
「えっ、あの、はい………言いましたけど………?」
遊花の言葉を聞き、美傘がガバッと顔をあげ、キラキラとした目を遊花に向けながら勢いよく立ち上がって、遊花の手を握る。
………立ち直り早いな、おい。
「うわぁ〜それじゃあこの子が噂のお弟子さんなんですね‼︎初めまして、エンタメデュエリストの雨夜美傘です‼︎」
「えっと………栗原 遊花、です」
「遊花ちゃんですね‼︎うぅ〜可愛い‼︎これが、これが妹弟子‼︎良い‼︎凄く良いよ‼︎」
「い、妹弟子ですか?」
「だから、お前を弟子にした覚えはないと言ってるだろうが」
「ええ〜つれないですよ〜あんなにいっぱいアドバイスをくれたのに〜」
「うるさい。お前が何と言おうが俺の弟子は遊花だけだ」
「し、師匠………」
俺の言葉に美傘は不満そうに頰を膨らませ、遊花は嬉しそうに頰を染める。
他のデュエルアカデミア生もなんだかざわざわし始めているし、このままじゃ収集がつかなくなってしまう。
そこで俺は忘れかけていた美傘の役割を思い出す。
「というか、美傘。お前、知り合いを参加者として連れてくるって言ってただろうが。そいつはどうしたんだよ?」
「えっ?多分外にいますよ?」
「ならさっさと呼んでやれよ‼︎なんで放置してきたんだよ⁉︎」
「だって、一緒に入るとインパクトが………」
「それが理由かよ⁉︎なおさら早く呼んでこい‼︎」
「はーい。それじゃあ入っていいですよー」
「ホンマ?それじゃあ失礼して………って、入りにくいっちゅうねん‼︎盛り上げてくる言うてたのに、自分なんちゅう空気を作ってくれとるん⁉︎」
「っ‼︎お前は………‼︎」
そうノリツッコミをしながら入ってきたのは染めた色が落ちかけて地毛の黒色が見えている出来損ないの金髪をセミロングにしたエセ関西弁の男。
その男は俺を見るとニヤリと笑った。
「よう、遊騎。久しぶりやないか」
「お前は………………誰だっけ?」
「って、覚えてへんのかい‼︎自分、普通ライバルの顔を忘れるか⁉︎」
「………………冗談だ。久しぶりだな」
「なんや、心臓に悪いわぁ………ホンマに冗談なんか?今なんか不自然な間があらへんかった?」
「………………………気のせいだ」
「なあ、なんで今間が伸びたん?ちゃんとワイの目を見てワイの名前を言うてくれへんか、なあ?」
男の言葉に俺は必死に目を逸らしながら、自分の記憶を手繰り寄せる。
確かこの男の名前は霧生 竜河(きりゅう りゅうが)。
プロリーグ時代に何度かデュエルしたことがあるプロ決闘者だ。
性格は………直情的で好戦的な馬鹿だったということは覚えている。
プロリーグの試合で初めてデュエルした際に俺が勝利して以来目の敵にするように何かあるとすぐに突っかかってきていたと思う。
エセ関西弁なのは確かキャラ作りとか言ってたな………何でも昔に漫画で読んだお気に入りの決闘者が関西弁だったから真似してそうなったとか………まあ、本人が気に入ってるなら何も言うまい。
所属チームは『
ドイツ語で荒くれ者を意味するチームで、パワフルな戦術を使う決闘者が多く、世界ランキングでも結構上位に食い込んでいるチームだったハズだ。
………よし、辛うじて思い出した。
「………冗談に決まってるだろ、竜河」
「………まあええわ、何や意外と元気そうやないか。プロ決闘者辞めて落ちぶれてるかと思うてたけど、目は昔と全然変わっとらん。心配して損した気分や」
そういって竜河は面白そうに笑う。
そんな竜河の態度に俺は首を傾げる。
「………俺はイカサマしたって理由で辞めることになったのに、俺を疑っていないのか?」
「アホぬかせ。ワイは自分と何度もデュエルしたことがあるんやぞ?自分がそんなことする決闘者やないことぐらい、嫌って程理解しとるわ。イカサマなんかに頼った奴に負ける程、ワイも落ちぶれとるつもりはあらへんぞ」
そういって、竜河が真剣な表情で俺を睨む。
………どうやら無用な心配だったみたいだな。
よく考えれば、竜河は美傘が誘った決闘者だ。
その誘いに乗ってる時点で、俺を疑ってる可能性なんて低いか。
「覚悟しとれよ、遊騎。ワイは今日こそお前を倒しに来たんやからな‼︎」
「………当たるかどうかすら分からないのにそう言われても困るが………まあ当たった時はこちらも全力でいかせて貰うだけだ」
「上等や‼︎自分がおらんなって最近はあまりおもろいデュエルができへんかったけど、今日は久しぶりに魂が滾る程おもろいデュエルができそうや‼︎」
そういって竜河が好戦的な笑みを浮かべる。
当たると決まったわけでもないのに、気が早い奴だ。
………だけど、こういう馬鹿は嫌いじゃない。
遊花の成長を促し、確認するための大会ではあるが、俺にとっても重要な、楽しい大会になりそうだ。
「………遊騎君、人数も揃ったようだし、そろそろ大会を始めるかい?」
「そうですね………それじゃあ、注目‼︎これより大会を開始する‼︎」
俺のその言葉に周りの視線が一気にこちらに向く。
こういうのは慣れていないがやれるだけやってみるしかないよな。
「まずは今日の大会に参加してくれたことを感謝する。俺は今回の大会の参加者であり主催者の結束 遊騎。多分、名前を知らない奴はいないよな?主に悪名ではあると思うが………」
そんな俺の言葉に一部のデュエルアカデミア生が反応する。
多分、今反応した子達は俺の名前を聞かされてなかったんだろうな。
遊花は俺のことを師匠としか呼ばないしな。
「今日の大会は言うなれば俺が弟子の実力を見たいがために開いた我が儘によるものだ。そんな大会にデュエルアカデミア生もプロ決闘者もこんなにも集まるとは正直思っていなかった。心から感謝を」
そう言って俺は1度頭を下げて言葉を続ける。
「今日の大会でデュエルアカデミア生はプロの世界を、プロ決闘者はこれからのデュエル界を担う次世代の決闘者達を直に見るチャンスだ。大会が完全に終わるまではフリーデュエルはなるべく勘弁して欲しいが、積極的に交流してくれて構わない。ただし、一部のプロ決闘者はくれぐれも自重するように‼︎次世代の子達にトラウマを残すようなことだけは止めてくれよ?」
俺がそういうと『Trumpfkarte』のメンバーが一斉に目を逸らした。
………本当に分かってるのか、コイツら?
「それじゃあ、長ったらしい話はここら辺にして、組み合わせを決めていきたいと思う。本日の参加者は俺を含めて15名だが、悪いがシード枠は先に決めてある。冬城 闇………『氷の女王』と言った方が分かりやすいかも知れないが、現世界ランキング4位の劇物が混ざってる。流石にそんな奴を1回戦に混ぜるわけにはいかないからシードに隔離している。理解してほしい」
そんな俺の言葉にプロ決闘者勢が当たり前だというように頷き、闇は「………解せぬ」と呟いた。
いや、当然の対応だからな?
そして再び騒つくデュエルアカデミア生達。
流石に現世界ランキング4位なんてものがこんなに小さな大会に混ざってるとは思ってもいなかったんだろうな。
闇は大会中は服装もゴスロリを着せられてるから普段とイメージが全然違うし、外見だけだと小学生にしか見えないし。
遊花もそこは伝えなかったのだろう。
伝えたとしても信じて貰えるか怪しいものだしな。
「それじゃあ誰からでもいいからカウンターにおいてあるカードを引いて、そこに書かれてある数字と名前をカウンターにいる島さんに言ってくれ。その番号を張り出してあるトーナメント表に書いていくからな」
俺の言葉に参加者達がカウンターに集まりカードを引いていき、番号を島さんに告げていき、それを俺がトーナメント表に書き写していく。
全員がカードを引き終わるのを確認すると、残ったカードを俺のものとしてトーナメント表に書き加えた。
「よし、それじゃあ組み合わせを発表していくぞ?まずはAブロック、1回戦『Trumpfkarte』所属、天羽リーネVSデュエルアカデミア所属、喰代 影竜」
「わわっ、最初からリーネの出番なのです‼︎張り切っていくのです‼︎」
「最初からプロ決闘者が相手か………自分の実力がどこまでプロに通用するのか、試すチャンスだな」
1回戦
天羽リーネ
VS
喰代 影竜
「2回戦、デュエルアカデミア所属、宝月 桜VS『Trumpfkarte』所属、不知火 炎」
「いきなり闇の同僚が相手………全力でいかないとすぐに負けちゃいそうね」
「宝月 桜………冬城が言っていた栗原の友人だな。油断は出来んか」
2回戦
宝月 桜
VS
不知火 炎
「3回戦、デュエルアカデミア所属、栗原 遊花VS『Rauh』所属、霧生 竜河」
「いきなりプロ決闘者の人が相手………師匠の手前、情けないデュエルは見せられません」
「なんや初っ端はデュエルアカデミア生かいな。まあ、肩慣らしには丁度ええかも知れへんな」
3回戦
栗原 遊花
VS
霧生 竜河
「4回戦、無所属、雨夜 美傘VSデュエルアカデミア所属、御子神 霊華」
「デュエルアカデミア生が相手か〜これはたくさん驚いて貰うチャンスだね‼︎」
「さっきの奇抜な人が相手………面白いことになりそうね」
4回戦
雨夜 美傘
VS
御子神 霊華
「ここからがBブロックだ。第5試合、無所属、結束 遊騎VSデュエルアカデミア所属、桜糀 紅葉………Bブロックはいきなり俺の出番なのか。遊花の後に情けないデュエルは出来ないな」
「あの御仁とのデュエルですね………手間が省けて丁度良いかも知れません」
第5試合
結束 遊騎
VS
桜糀 紅葉
「第6試合、『Trumpfkarte』所属、御影 治虫VSデュエルアカデミア所属、九石 大地」
「デュエルアカデミア生が相手か………次は結束さんとデュエル出来そうだな」
「く〜最初からプロ決闘者が相手か‼︎6試合目まで待ちきれねぇよ‼︎早くデュエルしてぇ‼︎」
第6試合
御影 治虫
VS
九石 大地
「第7試合、デュエルアカデミア所属、天雷 終夜VSデュエルアカデミア所属、空閑 騨」
「空閑君とのデュエル………頑張ろう」
「天雷が相手か………プロ決闘者とやりあえなかったのが残念だが、ここらで雪辱を晴らすのには丁度いいな」
第7試合
天雷 終夜
VS
空閑 騨
「そしてBブロックのこの後に闇のシード枠がある」
「むぅ………退屈過ぎる」
「我慢しろ。試合はデュエルスペースの関係と、プロ決闘者勢から他の試合を観戦したいという希望があった為、1試合ずつ行っていき、ルールは通常のデュエルと同じで、新マスタールールで禁止・制限は最新のものを使い、LP8000の1発勝負だ。準決勝に入るところでお昼休憩を挟むのも覚えておいてくれ。それじゃあ試合はお互いの準備が出来次第はじめていく。各自試合を観戦しながらも、各々の準備は怠らないように。他に何か質問はーーー」
「はい‼︎」
質問を受けようとすると美傘が勢いよく手をあげる。
………正直まともな質問がこない気がするからあまり聞きたくはないのだが、他に質問するような人もいなさそうなので仕方なく美傘に応える。
「………美傘」
「この大会の名前を教えてください‼︎」
「………そんなもの考えてないっての」
「ええ〜せっかくだから考えてくださいよ‼︎重要な大会って、やっぱり名前があった方が映えるじゃないですか」
「………お前、放送しようとしてないか?言っとくが放送は却下だぞ」
「………ナ、ナンノコトヤラ」
「こんな小規模な店で世界ランキング4位を含めた世界有数のプロ決闘者が罪人である俺を含めたデュエルアカデミア生とデュエルしてるような映像が流れてみろ。街中で大混乱が起こるし、参加者にどんな厄介事がやってくるか分からないんだぞ?当然却下だ。俺は主催者としてここにいる全員を守る義務がある」
美傘が俺の言葉を聞いてハッとした後にしょんぼりとする。
よかった、大会前に釘を刺すことができて。
美傘は後先考えない行動ばかりするから、他の被害とか思いつかなかったんだろう。
こういう危なっかしいところがあるから、美傘はほっておけないのだ。
これでこの質問は終わりかと思ったが、意外なところから声が上がった。
「だが、結束。放送云々はともかく、大会名はしっかりと決めた方がいいんじゃないか?」
「⁉︎不知火さん⁉︎」
「そうなのです‼︎この大会はそれだけ重要な大会になるのです‼︎遊騎君は、弟子の第一歩を踏み出すための大会を、そんな適当に進める気なのですか?」
「リーネまで………分かった。ちょっと考えるから待ってくれ」
リーネと不知火さんの言葉に、俺は真剣に大会名を考えはじめる。
この大会は公式の記録に残るようなものではないし、むしろメンバー的には残すわけにはいかない大会だ。
だからこそ、ささやかなもので、大層な大会名なんてない方がいいと思っていた。
でも、それでも遊花のこれからに関わる大切な大会なのだ。
例えどんな記録にも残らないとしても、遊花の記憶に残る大事なものになるのなら、確かに名前は考えておくべきだったのかも知れない。
俺はしばらく考えて、1つの言葉を口にした。
「………『
「ささやかな………です?」
「元々、この大会は不安がるものは何もないささやかな大会にしようって趣旨で生まれたんだ。そんな大会に大層な名前なんて必要ない。この大会ができたのは、今こうして参加してくれた奴らのささやかな思いのおかげなんだからさ」
「成る程、なのです。うん、リーネは凄くいいと思うのです‼︎」
「社長に同じく。私も、その名前がちょうどいいと思う」
「わ、私も、それがいいです‼︎」
リーネと闇、そして遊花の言葉に周りも納得したように頷く。
それを確認してから俺は改めて大会の開始を宣言する。
「それじゃあ改めて、大会、『Bescheiden』スタートだ‼︎第1試合から準備が出来次第スタートする。全員、精一杯のデュエルをし、全力で楽しもう‼︎」
『お〜‼︎』
こうして、俺達のささやかな大会は始まった。
ーーーーーーー
○
「遊騎君、リーネは準備万端なのです‼︎」
「こちらもいつでも始められる」
「よし、双方準備が出来たみたいだな。これより、1回戦、第1試合。天羽リーネVS喰代 影竜の試合を開始する」
残りの参加者が観戦を始める中、参加者の中央でリーネと影竜はお互いにデュエルディスクを構える。
デュエルディスクを構え終えると、リーネは笑顔で影竜に声をかけた。
「えっと、影竜君であってたですよね?リーネはリーネと言うのです。今回はよろしくお願いするのです‼︎」
「こちらこそ、まさか初戦から世界ランキング2位のチームのメンバーと戦えるとは思いませんでした。今回は胸をお借りさせていただきます、天羽プロ」
「むぅ、固苦しいのです。でもでも、目は全然胸を借りるなんて言っていないので、許してあげるのです‼︎」
言葉では謙虚ながらも闘志を絶やさない影竜を見て、リーネはニコニコとした笑顔を見せながらも、少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「最初に謝っておくのです。リーネは手加減をするのがすっごく苦手なのです。なので、すぐに終わっちゃったらごめんなさいなのです」
「っ………」
リーネの言葉から溢れてくる圧倒的な自信と気迫に、影竜は厳しい表情を浮かべる。
影竜は気圧されそうになる自分を振り払うように、声をあげた。
「デュエルアカデミア所属、喰代 影竜、挑ませていただく‼︎」
「『Trumpfkarte』所属、天羽リーネ、出撃なのです‼︎」
『決闘‼︎』
リーネ LP8000
影竜 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は貰う。速攻魔法、超再生能力を発動。このカードを発動したターンのエンドフェイズ、自分の手札から捨てられた及び自分の手札・フィールドからリリースされたドラゴン族モンスターの数だけ自分はデッキからドローする」
「んードラゴン族デッキなら止めておくのです。手札から灰流うららの効果発動なのです‼︎デッキからカードを手札に加える効果、デッキからモンスターを特殊召喚する効果、デッキからカードを墓地へ送る効果、そのいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨ててその効果を無効にするのです‼︎」
「っ、手札誘発のモンスターか………」
リーネの手札から動物の耳が生えた着物の少女が現れ、その少女が手をかざすと桜吹雪が起こり、超再生能力が消滅した。
「なら次だ‼︎手札のエクリプスワイバーンを捨て、魔法カード、ドラゴン目覚めの旋律を発動。デッキから攻撃力が3000以上で守備力が2500以下のドラゴン族モンスター2体まで手札に加える。俺はデッキから闇黒の魔王ディアボロスとダークホルスドラゴンを手札に加える。墓地に送られたエクリプスワイバーンの効果発動、デッキから光属性か闇属性のドラゴン族・レベル7以上のモンスター1体を除外する。俺はレッドアイズダークネスメタルドラゴンを除外する‼︎さらに手札の闇黒の魔王ディアボロスを捨てて魔法カード、トレードイン。手札のレベル8モンスター1体を捨てることデッキから2枚ドローする」
「やっぱりドラゴン族デッキは1度動きはじめるとよく動くのです」
「さらに魔法カード、成金ゴブリン。デッキから1枚ドローし、相手は1000ライフポイント回復する」
リーネ LP8000→9000
「魔法カード、竜の霊廟をデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送り、この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。俺はダークストームドラゴンを墓地に送り、ダークストームドラゴンはデュアルモンスター。墓地では通常モンスターのため、さらに亡龍の戦慄ーデストルドーを墓地に送る。カードを2枚伏せてターンエンドです」
リーネ LP9000 手札4
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ーーーーー
ーー▲▲ー ー
影竜 LP8000 手札1
「リーネのターン、ドローなのです‼︎影竜君が動いてくれたので、リーネも思いっきり動けそうなのです‼︎魔法カード、隣の芝刈り発動なのです‼︎」
「隣の芝刈り?」
聞き覚えがないカード名に影竜は首を傾げる。
そんな影竜にリーネはニコッと笑いながら効果を説明する。
「このカードは自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できるのです。その効果はデッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送るというものなのです‼︎」
「っ、大量の墓地肥やしカードか‼︎」
「リーネのデッキは60枚なので、一気に墓地肥やしができるのですよ。さあ、影竜君の残りのデッキ枚数を教えて欲しいのです」
「っ、俺のデッキ枚数は27枚です………」
「リーネは54枚なので、その差分の27枚のカードを墓地に送らせて貰うのです」
リーネのデッキが一気に半分墓地に送られ、影竜は苦い表情を浮かべる。
しかし、リーネはただ墓地を肥やしただけではなかった。
「さらに墓地に送られた2枚の妖刀竹光の効果発動なのです‼︎」
「っ、墓地起動効果のカードも落ちたか………」
「デッキから妖刀竹光以外の竹光カードをデッキから手札に加えるのです。リーネがデッキから手札に加えるのは黄金色の竹光と燃え竹光なのです。そしてリーネの相棒の登場なのです‼︎戦場を舞う始まりの戦乙女‼︎閃刀姫-レイ‼︎」
〈閃刀姫ーレイ〉☆4 戦士族 闇属性
ATK1500
リーネの前に現れたのは刀を持ち、制服を着た白髪の少女。
「そのカードが貴方の相棒ですか………」
「リーネのデッキはこの子から始まるのです。それじゃあ早速行っちゃうのですよ‼︎」
そういってリーネが正面に手をかざす。
「刀術式起動なのです‼︎戦場へと続くサーキット‼︎」
「っ、リンク召喚か‼︎」
リーネが正面に手をかざし、巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は炎属性以外の閃刀姫モンスター1体‼︎私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」
レイがサーキットに吸い込まれる。
そしてサーキットが輝くとサーキットの中から真っ赤な鎧を身に纏った白髪の少女が現れた。
「リンク召喚‼︎業火の如き閃滅の刃なのです‼︎リンク1‼︎閃刀姫-カガリ‼︎」
〈閃刀姫-カガリ〉LINK1 機械族 炎属性
ATK1500 ↖︎
「閃刀姫-カガリの効果発動‼︎アルヴィト‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の閃刀魔法カード1枚を対象としてそのカードを手札に加えるのです‼︎リーネは墓地から閃刀起動-エンゲージを手札に加えるのです‼︎」
「成る程………貴方のデッキは閃刀というカードが主軸になっているのか」
「まだまだこれからなのですよ‼︎魔法カード、閃刀起動-エンゲージなのです‼︎自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動でき、デッキから閃刀起動-エンゲージ以外の閃刀カード1枚を手札に加え、その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、自分はデッキから1枚ドローできるのです‼︎リーネの墓地には勿論3枚以上魔法カードがあるので後の効果も発動するのですよ」
「‼︎サーチ効果に合わせてドローまでするのか‼︎」
「リーネはデッキから閃刀機-イーグルブースターを手札に加えてさらに1枚ドローなのです‼︎いいものを引いたのです‼︎まずは永続魔法、燃え竹光を発動なのです‼︎さらに装備魔法、妖刀竹光を閃刀姫-カガリに装備するのです‼︎」
「さっきの墓地起動のカード………3枚目を引いていたか………」
フィールドに燃え盛る竹刀と禍々しいオーラを纏った竹刀が現れ、禍々しいオーラを纏った竹刀をカガリが持つ。
すると、燃え盛っていた竹刀から炎が舞い上がった。
「この瞬間、永続魔法、燃え竹光の効果発動なのです‼︎このカードが魔法&罠ゾーンに存在する状態で自分が竹光カードを発動した場合、次の相手のメインフェイズ1をスキップするのです‼︎」
「何っ⁉︎」
燃え竹光から舞い上がった炎が影竜を囲むように辺りに広がった。
それを見て、影竜は苦い表情をさらに濃くした。
「まだ終わってないのですよ。永続魔法、端末世界を発動なのです‼︎自分メインフェイズ1にのみこのカードを発動でき、このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのメインフェイズ2をスキップするのです‼︎」
「っ⁉︎つまり………」
「次の影竜君のターンはドローフェイズ、スタンバイフェイズ、バトルフェイズ、エンドフェイズのみになるのです。影竜君がこの状況を突破してこれるのか、試させて貰うのです」
オレンジ色の球体が現れ、リーネと影竜を包む。
メインフェイズを封じられたことで影竜は表情をさらに厳しいものに変えた。
「そして突破するのにもそんなに時間をあげるつもりはないのです‼︎閃刀姫-カガリの永続効果‼︎ヒルド‼︎このカードの攻撃力は自分の墓地の魔法カードの数×100ポイントアップするのです‼︎」
「何だと⁉︎」
「今のリーネの墓地には隣の芝刈りで28枚の魔法カードがあるのです‼︎なので攻撃力は………」
閃刀姫-カガリ
ATK1500→4300
「攻撃力4300だと⁉︎」
「カードを2枚伏せてバトルフェイズなのです‼︎閃刀姫-カガリでダイレクトアタック‼︎一刀三礼‼︎」
「ぐっ………」
影竜 LP8000→3700
カガリが妖刀竹光を使い、影竜の胴を打ちつけ、影竜のライフが一気に削られる。
「リーネはこれでターンエンドなのです」
「ならば、エンドフェイズ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎活路への希望‼︎」
「‼︎成る程、なのです。文字通り、まだまだ希望は捨ててないみたいで安心したのです」
「自分のLPが相手より1000以上少ない場合、1000LPを払って発動‼︎」
影竜 LP3700→2700
「お互いのLPの差2000につき1枚、自分はデッキからドローする‼︎俺のライフは2700‼︎天羽プロは9000‼︎よって3枚のカードをドローする‼︎」
影竜が一気に手札を増やし、リーネが嬉しそうな笑みを浮かべる。
影竜は増えた手札を見て、口を引き攣らせた。
リーネ LP9000 手札2
▲△△△▲ ー
ーーーーー
☆ ー
ーーーーー
ーーー▲ー ー
影竜 LP2700 手札4
「俺のターン、ドロー‼︎」
「燃え竹光の効果でメインフェイズ1はスキップなのです‼︎」
「構わない‼︎このままバトルフェイズに入る。速攻魔法、手札断殺を発動‼︎お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後、それぞれデッキから2枚ドローする‼︎」
「黄金色の竹光も使っておくべきだったですかね………だけど、墓地に魔法が増えたので閃刀姫-カガリの攻撃力がさらに上がるのです」
閃刀姫-カガリ
ATK4300→4500
「攻撃力が上がるのはこの際構わない‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎戦線復帰‼︎自分の墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する‼︎俺は墓地からアークブレイブドラゴンを特殊召喚だ‼︎」
〈アークブレイブドラゴン〉☆7 ドラゴン族 光属性
DEF2000
影竜の前に現れたのは白い身体に金の模様が入ったドラゴン。
「アークブレイブドラゴンの効果発動‼︎このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードを全て除外し、このカードの攻撃力・守備力は、この効果で除外したカードの数×200ポイントアップする‼︎」
「ふむふむ。竹光と端末世界を一気に除去してきたのですね。お見事なのです」
アークブレイブドラゴンが咆哮をあげると、オレンジ色の球体と竹光が消滅し、リーネが関心した声をあげた。
アークブレイブドラゴン
DEF2000→2600
「これでメインフェイズに入ることができる。メインフェイズ2、墓地のエクリプスワイバーンを除外して暗黒竜コラプサーペントを特殊召喚‼︎」
〈暗黒竜コラプサーペント 〉☆4 ドラゴン族 闇属性
DEF1700
現れたのは黒いワイバーンのようなモンスター。
「除外されたエクリプスワイバーンの効果でレッドアイズダークネスメタルドラゴンを手札に加える。さらに防覇龍ヘリオスフィアを召喚」
〈 防覇龍ヘリオスフィア〉☆4 ドラゴン族 光属性
ATK0
続けて現れたのは紫色の体躯をしたモンスター。
そして影竜は正面に手をかざす。
「俺はドラゴン族レベル4モンスター、暗黒竜コラプサーペントと防覇龍ヘリオスフィアでオーバーレイ‼︎。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」
コラプサーペントとヘリオスフィアが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から影のような鎧を纏ったドラゴンが降りて来る。
「漆黒の竜よ‼︎その力で我が
〈銀河影竜〉★4 ドラゴン族 闇属性
ATK2000
現れたのは影のような鎧をつけたドラゴン。
「銀河影竜の効果発動‼︎オーバーレイユニットを1つ使うことで、1ターンに1度、手札からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する‼︎神をも喰らいて現れよ‼︎我が
龍が舞い降りる。
会場を震わせる程の歓喜の咆哮を上げながら。
〈魂食神龍ドレインドラゴン〉☆8 ドラゴン族 闇属性
ATK4000
現れたのは紫色の身体からいくつもの鎌が生えているドラゴン。
ドレインドラゴンはカガリを見て、威嚇するように咆哮をあげる。
「このカードは通常召喚出来ず、自分のドラゴン族エクシーズモンスターの効果でのみ特殊召喚できる。そして魂食神龍ドレインドラゴンの効果発動‼︎グラトニーアブソーブ‼︎このカードを特殊召喚に成功した時、自分のライフポイントが相手より少ない場合、このカードの攻撃力はその差の数値分アップする‼︎」
「‼︎」
「今の俺のライフポイントは2700。天羽プロは9000。よって我が
魂食神龍ドレインドラゴン
ATK4000→9300
「攻撃力9300………」
「ただし、このターン相手が受ける全てのダメージは0になるのと、魂食神龍ドレインドラゴン自体は相手プレイヤーにダイレクトアタックは出来ない。最も、すでにメインフェイズ2なのでそのデメリットは関係ないですが」
「………成る程なのです。強力なうえによく考えられているのです。さっきの言葉から察するにそのドラゴンが影竜君の相棒なのですね」
「………はい。このカードは、俺の転機になったカードですから」
「………そうなのですね。聞いてはみたいのですが、時間も押してるので別の機会にするのです」
「はい。俺はさらに銀河影竜を除外して銀河影竜を除外し、手札よりレッドアイズダークネスメタルドラゴンを特殊召喚‼︎」
〈レッドアイズダークネスメタルドラゴン〉☆10 ドラゴン族 闇属性
DEF2400
銀河影竜の姿が消え、代わりに現れたのは鋼鉄の身体を持つ赤い瞳の龍。
その龍の咆哮は新たな龍を呼ぶ。
「レッドアイズダークネスメタルドラゴンの効果発動‼︎1ターンに1度手札または自分の墓地からレッドアイズダークネスメタルドラゴン以外のドラゴン族モンスター1体を自分フィールドに特殊召喚する‼︎蘇れ、闇黒の魔王ディアボロス‼︎」
〈闇黒の魔王ディアボロス〉☆8 ドラゴン族 闇属性
ATK3000
現れたのは鎖に縛られた漆黒の龍。
「闇黒の魔王ディアボロスの効果発動‼︎自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースし、相手は手札を1枚選んでデッキの1番上または1番下に戻す‼︎俺は闇黒の魔王ディアボロス自体をリリースして効果を発動する」
「うーん、この手札ならデッキの上に戻しておくのです」
「カードを1枚伏せてターンエンドです」
リーネ LP9000 手札1
▲ーーー▲ ー
ーーーーー
☆ ー
ー□○□ー
ーー▲ーー ー
影竜 LP2700 手札0
「リーネのターン、ドローなのです。影竜君、貴方のデュエル、よーく見させて貰ったのです。自分の相棒への愛情と活かすための構築が凄く伝わってきたのです」
「………ありがとうございます」
リーネのそんな言葉に影竜はこの後の自分の展開を悟る。
それでもリーネから目を逸らそうとしない影竜を見て、リーネは嬉しそうな笑みを浮かべて目を閉じる。
そして目を開けると、リーネは今までとは打って変わった真剣な表情に切り替えた。
「きっと、影竜君は立派なプロ決闘者になれるのです。でもでも、リーネも一応はプロ決闘者。それに、リーネには背負っているものもたくさんあるので、そうそう負けてあげるわけにはいかないのです。だからーーー悪いですけど、このデュエルはお終いにするのです」
「っ………‼︎」
「魔法カード、閃刀起動-エンゲージなのです‼︎デッキから閃刀術式-アフターバーナーを手札に加え、その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在するので、デッキから1枚ドローなのです‼︎そして魔法カード、閃刀術式-アフターバーナーなのです‼︎自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてそのモンスターを破壊し、その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊できるのです‼︎」
「何っ⁉︎」
「対象にするのは魂食神龍ドレインドラゴンなのです‼︎因みに魔法・罠カードを破壊する効果は対象を取らないので使うなら今の内なのですよ」
「っ‼︎リバースカードオープン‼︎速攻魔法、禁じられた聖衣‼︎フィールドの表側表示モンスター1体を対象とし、ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が600ポイントダウンし、効果の対象にならず、効果では破壊されない‼︎対象は勿論、魂食神龍ドレインドラゴンだ‼︎」
「ならそれにチェーンしてリバースカードオープンなのです‼︎速攻魔法、旗鼓堂々なのです‼︎このターン、自分はモンスターを特殊召喚できなくなる代わりに、自分の墓地の装備魔法カード1枚をその正しい対象となるフィールド上のモンスターに装備するのです‼︎ただしこの効果で装備した装備魔法カードはエンドフェイズ時には破壊されるのです。リーネは墓地から装備魔法、巨大化を魂食神龍ドレインドラゴンに装備するのです‼︎」
「っ‼︎」
「何もないハズなのでこのままチェーンを解決なのです。まずは巨大化の効果で自分のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になり自分のライフポイントが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の半分になるのです。今のリーネのライフポイントは9000、影竜君は2700。圧倒的にリーネの方が多いのです。なので魂食神龍ドレインドラゴンには元々の攻撃力の半分になって貰うのです」
魂食神龍ドレインドラゴン
ATK9300→2000
ドレインドラゴンの身体に石版のような物が埋め込まれる。
すると、ドレインドラゴンは苦悶の声を上げながら地面に降り立つ。
「ドレインドラゴン‼︎っ、禁じられた聖衣の効果で魂食神龍ドレインドラゴンは攻撃力が600ポイントダウンし、効果の対象にならず、効果では破壊されなくなる………」
魂食神龍ドレインドラゴン
ATK2000→1400
「最後に閃刀術式-アフターバーナーの効果で魂食神龍ドレインドラゴンは破壊できなくて、あまり意味はないのですが禁じられた聖衣を破壊するのです。さらに墓地に魔法カードが2枚増えたので閃刀姫-カガリの攻撃力がさらに上がるのです‼︎」
閃刀姫-カガリ
ATK4500→4700
「攻撃力………4700‼︎」
「
「くっ………迎え撃て、我が
ドレインドラゴンは影竜の言葉に応えるように咆哮を上げると、白と黒が混ざった螺旋のブレスをカガリに向けて放つ。
それに対して、カガリは手に持った刀を腰の辺りで構えて目を閉じた。
「奥義………閃刀術式-アフターバーナー起動」
リーネがそう呟くとカガリの背中に魔法陣が浮かび上がると、その魔法陣から刀の形をした8つの炎が後方に展開され、カガリが手にしていた刀にも炎が宿る。
そしてカガリは閉じていた目を開き、後方に噴き出した炎の勢いを利用して白と黒の螺旋のブレスに突っ込みながら、構えていた刀を横薙ぎに振るった。
「ランドグリーズ‼︎いっとーりょーだーん‼︎」
カガリが放った炎を纏った一閃が白と黒のブレスを斬り裂いていく。
そしてカガリの身体がドレインドラゴンの身体を通り過ぎ、カガリは地面に剣を突き立てて、地面を斬り裂きながらもアフターバーナーの勢いを殺してドレインドラゴンに向き直る。
ドレインドラゴンは申し訳なさそうに影竜に咆哮をあげると、身体から炎を噴き出しながら爆散した。
「いいのだ、我が
影竜 LP2700→0
ーーーーーーー
「そこまで‼︎勝者、天羽リーネ‼︎」
「えへへ、やった〜なのです‼︎」
そういって、リーネが観戦していた『Trumpfkarte』のメンバーに向かってピースサインを向ける。
そんなリーネに、影竜は頭を下げる。
「天羽プロ、この度は至らない自分とデュエルしていただき、ありがとうございました」
「むぅ〜相変わらず影竜君は固いのです。もう少しフランクに接してくれてもいいのですよ?」
「いえ、尊敬できる決闘者を相手に礼儀を欠かすわけにはいきませんから。機会があれば、またよろしくお願いします」
「むぅ〜仕方ないのです。デュエルに関しては勿論なのですよ。リーネも影竜君が立派なプロ決闘者になるのを楽しみにしているのです」
そういってリーネが影竜に手を差し出し、影竜もその手を取って握手をする。
リーネと影竜のデュエルを見て、デュエルアカデミア生の一部は騒然としていた。
自分達の身近にいる学年トップ2の影竜がまるで赤子の手をひねるようにあっさりと倒されてしまったという事実に、自分達とプロ決闘者の間の壁を実感する。
一方、プロ決闘者と驚かなかったデュエルアカデミア生の一部ーーー遊花と桜は冷静にリーネと影竜のデュエルを見ていた。
「あれが、リーネさんの実力………喰代君をあんなにあっさり倒せちゃうなんて凄い‼︎」
「結束や闇とデュエルしたから分かってはいたけど、やっぱりプロ決闘者はレベルが違うわね………最初からワンキルを狙うぐらいのつもりでいかないといけないわね」
「いや、そこのデュエルアカデミア生、自分ら基準が完全におかしくなっとるで?『Trumpfkarte』はプロの世界でもかなり異様な存在やからな?特に世界ランキング4位とあの社長さんの異質さは大概やで」
「うんうん。『Trumpfkarte』のメンバー………その中でも闇さんとリーネさんが普通なんて思われたら、私達は立つ瀬がないよ」
遊花と桜の呟きに思わずといった風に竜河がツッコミをいれ、美傘が頷きながら応える。
そんな美傘達の言葉に遊花と桜は首を傾げる。
「そうなんですか?えっと、雨夜さんと………」
「美傘でいいよ。遊騎さんの弟子なら私の妹弟子みたいなものだしね」
「なんや、この子が言うてた結束の弟子かいな。これは1回戦も楽しみになってきたわ。嬢ちゃん、ワイも竜河でかまへんで。堅苦しいのは苦手なんや」
「えっと、それじゃあ美傘さんと竜河さんで………それで、異質ってどういうことなんですか?私には闇さんもリーネさんも凄く強いってことしか分からないんですが………」
そんな遊花の質問に美傘と竜河は苦笑いを浮かべる。
「凄く強いなんてレベルやない。あの2人は明らかに強すぎるんや」
「強すぎる………ですか?」
「違いがよく分からないのだけれど………」
「2人共、闇さんとリーネさんのここ1年の黒星の数って知ってる?」
「黒星………負けた数ってことですか?いえ、知らないです」
「リーネさんは50、闇さんは10だよ。『Trumpfkarte』は1年間で500試合以上はしてるって言うのにね。因みに竜河さんの黒星は300試合程で105で勝率が6割ぐらいね」
「えっ⁉︎」
「ちょっ⁉︎そんなに勝ってるの⁉︎」
「うん。正直、闇さんとかいつ公式大会を強すぎるのを理由に出禁にされるか分からないぐらいのレベルだよ。というか、『Trumpfkarte』のメンバーの勝率はどの人も年間勝率は8割以上。別に勝ちに拘ったりしているわけでもなく、ただ楽しんでデュエルしているだけでその戦績………プロチームの中でも、あそこはかなり異様なチームなんだよ」
闇とリーネ、プロチーム『Trumpfkarte』自体の戦績に遊花と桜は驚く。
強いということは分かっていたが、具体的な数字で提示されるとその異質さが際立つ。
試合数に反してあまりにも負けた数が少なすぎるのだ。
「ちょっ、なんでそこでワイの黒星を暴露したん⁉︎自分のでも良かったやん⁉︎」
「いや〜私にもプライドってものがありますからね。黒星のことなんて妹弟子には教えたくないじゃないですか」
「それのせいでワイのプライドはズタズタなんやけど⁉︎」
「竜河さんですから大丈夫です。ファイト‼︎」
「やかましいわ‼︎なんやそのぞんざいな声援⁉︎」
美傘と竜河のそんなやり取りを聞きながらも、遊花と桜は改めてプロ決闘者の世界を意識する。
そしてそれと同時に遊騎が次の試合のアナウンスをする。
「それじゃあ、次の試合だ。1回戦第2試合、デュエルアカデミア所属、宝月 桜VS『Trumpfkarte』所属、不知火 炎。両選手は試合の準備を頼む」
「桜ちゃん………」
遊騎のアナウンスに遊花が心配そうな表情で桜を見る。
そんな遊花に、桜は戦意を滾らせた笑顔を見せた。
「………上等じゃない。今の私が『Trumpfkarte』のメンバー相手にどれだけ戦えるか、試してやるわ。私だって、そう簡単に負けてやるつもりはないんだから‼︎」
次回予告
始まる第2試合、桜は『Trumpfkarte』のメンバーである炎とのデュエルに臨む。
いつものように自分らしいデュエルを見せる桜だが、炎はその戦術を逆手にとって桜を襲う。
自分の戦術を利用されながらも、桜は折れずに炎に立ち向かう。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『嵐VS篝火・巻き起こる猛火』
次回、第2試合、桜VS炎です。
桜は炎に勝つことができるのか、炎のデッキとその実力は?
次回をお楽しみに。
そしてついに始まった大会編。
今回も遅くなってしまい申し訳ありません。
ぶっちゃけ組み合わせとかルール説明の描写、キャラ同士の掛け合いで何度か書き直したので時間がかかってしまいました。
まあ、初期のまま描いてたら試合が始まる前に2万とかいう文字数が見えたので、これは流石に添削しないとマズイと思って結果こんな時間に………なので、頑張って整合性を取れるように確認をしながら書いたつもりですが文章に違和感があったら申し訳ありません………もっと文才が欲しいです。
そして大会初戦はリーネと影竜のデュエル。
リーネのデッキは色々なところにパーツが出張してたりする閃刀姫。
書いててやっぱり色々おかしいよな、このテーマとか思ってしまいます、汎用性の高さ的な意味で。
リーネが閃刀姫を使っているのにも理由があったりするのですが、それはまた別のお話で書かれることがあるかも知れません。
正直、今回のデュエルはどう書いていくのがいいのかかなり迷いました。
リーネが圧勝するのがいいのか、少し危ない目にあいながらも勝つのがいいのか。
だけど、今回は初デュエル補正とプロがあまりにも普通の学生相手に苦戦するのもそれはそれで変じゃねってことで圧勝という形になりました。
それでは今回はこのあたりで、次はもっと早く更新出来ればいいな〜(トーチゴーレムから目を逸らしつつ)
ではでは〜