遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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遅くなってしまい申し訳ありません。
今回の話は難産でした。
そして滅茶苦茶長いです、削れるところは削ったハズなのにとうとう今回は約3万字ですって。
デュエル内容は遊騎VS紅葉。
前話から一転してシリアス回です。
遊騎の過去や在り方について触れる回になっています。
基本的には遊騎、途中で少しだけ遊花視点が混ざります。




第37話 絵札VS花札・消せない罪

 

 

全てを焼き尽くすような業火が、辺り一面に広がっている。

 

辺りから聞こえる悲鳴が、どこか遠くの出来事のように思える。

 

俺はその業火が全てを焼き尽くすのを見ていることしか出来ない。

 

ああ………どうして………

 

どうして俺は見ているだけしかできないのだろう?

 

どうして俺は取り残されてしまうのだろう?

 

どうして………俺は あの業火の中にいないのだろう( ・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

ーーーーーーー

 

 

「それじゃあここからがBブロックの試合だ。1回戦第5試合、無所属、結束 遊騎VSデュエルアカデミア所属、桜糀 紅葉だ。俺の方はすでに準備が出来ているから、桜糀は試合の準備を頼む」

 

大会のアナウンスをしてから、デュエルディスクにデッキをセットする。

 

何とかここまでは順調に進行することが出来ていてホッとする。

 

それにしても、まさか遊花がプロ決闘者である竜河に勝ってしまうとは思わなかった。

 

遊花自身、かなり実力をつけていることはこの間の期末テストや闇からの報告で分かっていた。

 

それでもまだプロ決闘者に勝てるまでの実力には届いていないだろうというのが、闇から聞いていた評価だったのだ。

 

そんな遊花が竜河に勝ち、2回戦に駒を進めた。

 

それが、自分のことのように嬉しく思う。

 

「………俺も負けてられないよな」

 

遊花が1回戦を突破したのに、師匠である自分が1回戦負けなど笑い話にもならない。

 

彼女の師匠として情けないところは見せられないと自分を鼓舞していると、俺の目の前に1人の少女が歩いてくる。

 

上品な雰囲気を纏っているその少女の顔は険しく、俺を真っ直ぐ睨みつけており、思わず苦笑してしまった。

 

………分かっていたハズだった。

 

それでも、異世界に行くという経験で、一瞬でも夢を見てしまったからだろうか?

 

だから、今こうして現実がやってくる。

 

「………お初にお目にかかります、結束 遊騎さん。貴方が、遊花さんの師匠ということに間違いありませんか?」

 

「………ああ、そういうことになっている」

 

「………何故、貴方のような人に遊花さんが弟子入りを………」

 

桜糀は1度目を閉じてから、覚悟を決めた厳しい表情で俺を見る。

 

「結束 遊騎さん。私は貴方のような人が遊花さんの師匠に相応しいとは思えません」

 

「………成る程、ね。それで?」

 

俺の問いに桜糀は強い意志を込めた声色で、口を開いた。

 

「私が勝ったなら、貴方は遊花さんの師匠を辞め、彼女には二度と近づかないでください」

 

「⁉︎桜糀さん⁉︎なんで………」

 

遊花の悲しそうな声が聞こえてくる。

 

俺は真っ直ぐ桜糀を見つめ返しながら尋ねる。

 

「一応、理由を聞いていいか?」

 

「それは貴方が1番分かっているのではありませんか?イカサマでプロリーグを追放された貴方が」

 

「まあ、そんなところだろうな………いいぜ。その条件、受けよう」

 

「ちょっ、結束⁉︎アンタ何言って………」

 

俺の言葉に、宝月が驚きの声を上げる。

 

それでも俺は目を逸らさずに桜糀に告げる。

 

「どっちにしろ、大会なんだから逃げるわけにもいかないしな。ただし、そっちにだけ利があるような条件には乗れない。だから俺が勝ったら、俺と遊花の師弟関係にこれ以上口出しするのは止めて貰うぜ。これは遊花が望んだものだからな。師匠として、弟子の望みを断つなんて無責任なことはしたくないからな」

 

「………いいでしょう。このデュエル、勝たせていただきます」

 

「悪いが、俺もこのことに関しては今更引く気はないんだよ。遊花が俺を師匠だと呼んでくれる限りは、俺は遊花の師匠であり続ける………そう決めてんだ」

 

そう、例え俺自身がこの街の人々にとって、どうしようもない罪人なのだとしても………

 

俺と桜糀、2人同時にデュエルディスクを起動し、構える。

 

負けるつもりは元々なかったが、今回は余計に負けられない。

 

このデュエル………絶対に勝ってみせる。

 

『決闘‼︎』

 

 

遊騎 LP8000

 

紅葉 LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻はいただきますわ。魔法カード、花合わせを発動します。花合わせは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は花札衛モンスターしか召喚・特殊召喚できなくなりますが、その代わりにデッキから同名カードは1枚までで攻撃力100の花札衛モンスター4体を攻撃表示で特殊召喚します‼︎」

 

「⁉︎魔法カード1枚からモンスターを4体特殊召喚だって⁉︎」

 

「ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、アドバンス召喚のためにはリリースできません。私はデッキから、花札衛( カーディアン)ー松ー、花札衛( カーディアン)ー芒ー、花札衛( カーディアン)ー柳ー、花札衛( カーディアン)ー桐ーを特殊召喚しますわ‼︎」

 

 

〈花札衛ー松ー〉☆1 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

〈花札衛ー芒ー〉☆8 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

〈花札衛ー柳ー〉☆11 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

〈花札衛ー桐ー〉☆12 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

フィールドに現れたのは4体の花札のモンスター。

 

流石にたった1枚のカードから4体のモンスターが出てくるとは思っていなかった。

 

花札衛モンスターしか召喚・特殊召喚できなくなる制約があるとはいえ、それでも使って攻撃力100のモンスターを並べてきたのだから、ここから繋がる何らかの召喚方法が必ずあるハズ………これは最初からかなりマズイことになったかもな。

 

「私はフィールドにいる花札衛ー柳ーをリリースしてチューナーモンスター、花札衛( カーディアン)-柳に小野道風-を特殊召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー柳に小野道風ー〉☆11 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

現れたのは柳と人型のモンスターが描かれたモンスター。

 

「このカードが特殊召喚に成功した場合、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確さます。それが花札衛モンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚でき、違った場合、そのカードを墓地へ送ります」

 

そういって桜糀がカードをドローし、そのカードを俺に見せる。

 

「私がドローしたカードは花札衛( カーディアン)ー芒に月ー。花札衛モンスターなので特殊召喚しますわ」

 

 

〈花札衛ー芒に月ー〉☆8 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

次に現れたのは芒に月の絵が描かれたモンスター。

 

「続けて花札衛ー芒に月ーの効果を発動します。このカードも特殊召喚に成功した場合、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認し、それが花札衛モンスターだった場合、そのカードを特殊召喚でき、違う場合は墓地へ送る効果を持っていますわ」

 

「フィールドは埋まってるからドローがメインってわけか」

 

「私がドローしたのは花札衛( カーディアン)ー桐に鳳凰ー。花札衛モンスターなのでそのまま手札に加えます。そしてチューナモンスター、花札衛ー柳に小野道風ーの効果を発動します。フィールドのこのカードをシンクロ素材にする場合、このカードを含む全てのシンクロ素材モンスターを、レベル2のモンスターとして扱うことができます‼︎」

 

「⁉︎ということはレベル10のシンクロ召喚か‼︎」

 

「私は、レベル2となった花札衛ー桐ー、花札衛ー松ー、花札衛ー芒ー、花札衛ー芒に月ーに、同じくレベル2となったチューナーモンスター、花札衛ー柳に小野道風ーをチューニング‼︎」

 

小野道風が光の輪になり、他の花札衛達が小さな星に変わり、光の道になる。

 

光の道が輝くと、その中から現れるのは刀を持った巨大な戦士。

 

「四季の力が重なりし時、そこに満ちるは神秘の光‼︎シンクロ召喚‼︎世界を照らす威光‼︎花札衛( カーディアン)ー五光ー‼︎」

 

 

〈花札衛ー五光ー〉☆10 戦士族 闇属性

ATK5000

 

 

「まさかいきなり攻撃力5000のシンクロモンスターを出してくるなんてな」

 

「花札衛ー五光ーはただ攻撃力が高いだけのモンスターではありません。花札衛ー五光ーは1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時、その発動を無効にし破壊します。さらに自分の花札衛モンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、バトルフェイズの間だけその相手モンスターの効果は無効化され、シンクロ召喚したこのカードが戦闘で破壊された場合、または相手の効果でフィールドから離れた場合、EXデッキから花札衛-五光-以外の花札衛シンクロモンスター1体を特殊召喚出来ます」

 

「っ………ただでさえ攻撃力が高いってのに魔法・罠無効に戦闘補助、おまけに除去されても後続を呼び出せるのかよ………」

 

「貴方のような人に花札衛-五光-を突破できますか?私はこれでターンエンドといたします」

 

 

遊騎 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

紅葉 LP8000 手札4

 

 

1ターン目からかなり動きにくくなった上に、攻撃力5000なんていうモンスターを突破しなくてはいけなくなってしまったが、だからといって簡単に引き退るつもりはない。

 

「俺のターン、ドロー‼︎まずは速攻魔法、手札断殺‼︎お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後、それぞれデッキから2枚ドローする‼︎」

 

「手札交換のカードですか………その効果は通しましょう」

 

「なら次に墓地に送られた墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える」

 

「それは先程の試合で天羽さんが使っていたカードですね。その効果も通しましょう。サーチしたカードを無効にすればいいだけですからね」

 

「なら俺はデッキから黄金色の竹光を手札に加える。そして装備魔法、妖刀竹光を花札衛-五光-に装備する」

 

「っ、私のモンスターを利用してきましたか。そのカードは無効にするだけ無駄ですね」

 

花札衛-五光-の刀が禍々しい竹光に変わる。

 

これでドローする準備は出来たが………さあ、どこを止めてくるかだな。

 

「魔法カード黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎」

 

「………その効果も通しましょう」

 

「ドローを通してきたか………なら次だ。魔法カード、予想GUYを発動‼︎自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのカードは発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する‼︎」

 

「通常モンスター………っ、確か貴方のデッキは絵札の三銃士を使うのでしたね。ならば、止めさせていただきます。花札衛ー五光ーの効果を発動します、光輝燦然‼︎1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時、その発動を無効にし破壊します‼︎」

 

五光の身体が光輝き、その強い光で予想GUYのカードが割れる。

 

よし、これでこのターンはもう魔法・罠を無効に出来ない………それじゃあ、早速新しい力を試してみるか。

 

「俺はスケール2の魔装戦士ドラゴディウスとスケール7の魔装戦士ドラゴノックスでペンデュラムスケールをセッティング‼︎」

 

「っ、ペンデュラム召喚⁉︎」

 

「ええっ⁉︎遊騎さんがペンデュラム召喚⁉︎そんなの私聞いてないよ⁉︎」

 

俺を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に2体の戦士の姿が浮かびあがり、下に2と7の数字が現れる。

 

俺がペンデュラムスケールをセッティングをしたことで店内がざわつき始める。

 

特に、美傘がうるさい。

 

アイツの十八番であるペンデュラム召喚をいきなり俺が使ったら驚くとは思っていたが、もう少し静かにできないのだろうか?

 

チラリと観戦席を見ると遊花も驚いたように目を見開いていた。

 

まあ、遊花を驚かせてやれただけでもやったかいはあったか。

 

「………結束 遊騎がペンデュラム召喚を使うなんて話は聞いたことがありませんが………」

 

「最近使う機会があったから覚えたんだよ」

 

「使う機会、ですか」

 

「ああ、ちょっと異世界でな」

 

「………私を馬鹿にしているのですか?」

 

「さあ、どうだろうな?これにより俺は3から6までのモンスターを同時に召喚可能‼︎魂に宿りし剣よ‼︎煌めく勇気となりて、運命を超える力を導け‼︎ペンデュラム召喚‼︎現れろ、俺のモンスター達‼︎」

 

俺がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって2つの光が舞い降りる。

 

「レベル4、H・C( ヒロイックチャレンジャー)ダブルランス‼︎」

 

 

〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性

ATK1700

 

 

最初に現れたのは2つの槍を持った白い戦士。

 

そしてその後ろに赤い鎧を身に纏った女性の騎士が現れる。

 

「レベル4、クィーンズナイト‼︎」

 

 

〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性

DEF1600

 

 

「っ、クィーンズナイトはすでに手札にあったのですか、ということは最後の手札は………」

 

「察しがいいな。俺はキングスナイトを召喚‼︎」

 

 

〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性

 ATK1600

 

 

クィーンズナイトの横に並び立ったのは黄金の鎧を身に纏った騎士。

 

そしてクィーンズナイトとキングスナイトはお互いに剣を掲げて更なる騎士を呼ぶ。

 

「さあ、お前が花札なら俺は絵札を呼ばせて貰おうか。キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」

 

 

〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性

ATK1900

 

 

クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げる青い鎧の騎士が現れる。

 

それを見て、桜糀が苦い表情を浮かべる。

 

だが、こちらも加減するつもりはない。

 

俺はすぐに手を正面にかざす。

 

「斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」

 

「リンク召喚ですか………」

 

俺の前に巨大なサーキットが現れる。

 

花札衛ー五光ーの無効化効果も次のターンには復活してしまう。

 

だからこそ、このターンで花札衛ー五光ーを倒す‼︎

 

「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はジャックスナイトとH・C ダブルランスの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」

 

 

〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性

ATK1600 ↙︎ ↘︎

 

 

ジャックスナイトとダブルランスの2体がサーキットの中に消えると代わりに金髪と白髪の2人の女性が現れる。

 

「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキからH・C( ヒロイックチャレンジャー)エクストラソードを手札に加える‼︎まだ終わらない‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、神剣-フェニックスブレード、ビッグバンシュート、最強の盾を墓地に送り、デッキからH・C( ヒロイックチャレンジャー)サウザンドブレードを攻撃表示で特殊召喚‼︎」

 

 

〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性

ATK1300

 

 

現れたのは頭巾を被り、背中に何本もの刀を背負った戦士。

 

そしてこのモンスターはフィールドに更なる戦士を呼べる。

 

「まずは墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから2枚目の黄金色の竹光を手札に加え、そのまま黄金色の竹光を発動‼︎カードを2枚ドローする‼︎」

 

「また手札が………」

 

「さらにH・C サウザンドブレードの効果発動‼︎1ターンに1度手札にあるヒロイックカードを捨ててデッキからヒロイックモンスターを特殊召喚する‼︎俺は手札のH・C エクストラソードを捨ててデッキから現れろ、H・C( ヒロイックチャレンジャー)強襲のハルベルト‼︎」

 

 

〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性

ATK1800

 

俺の前に新たに現れたのはハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。

 

「そしてこの効果を使ったH・C サウザンドブレードは守備表示になる」

 

 

H・C サウザンドブレード

ATK1300→DEF1100

 

 

「くっ、次々にモンスターがフィールドに………」

 

「まだまだ終わらないぜ‼︎斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」

 

「っ、再びリンク召喚………」

 

俺の前に再びサーキットが現れる。

 

さあ、行くぞ‼︎

 

「召喚条件はカード名が異なる戦士族モンスター3体‼︎俺はキングスナイト、H・C サウザンドブレード、聖騎士の追想イゾルデの3体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

キングスナイト、サウザンドブレード、イゾルデがサーキットに吸い込まれていく。

 

そしてサーキットのリンクマーカーが輝くとサーキットの中から白銀の鎧を身に纏った騎士が現れた。

 

「リンク召喚‼︎運命と戦う孤高の騎士‼︎リンク3‼︎アルカナエクストラジョーカー‼︎」

 

 

〈アルカナエクストラジョーカー〉LINK3 戦士族 光属性

ATK2800 ↙︎ ↑ ↘︎

 

 

「絵札の三銃士のリンクモンスター………それが貴方の切り札ですか」

 

「これだけじゃないぜ。俺は戦士族、レベル4のクィーンズナイトとH・C 強襲のハルベルトでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

クィーンズナイトとハルベルトが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けるとそこにいたのは赤い鎧を着た王者の風格を漂わせる戦士。

 

「光を纏て、闇を切り裂く孤高の王者‼︎HーC( ヒロイックチャンピオン)エクスカリバー‼︎」

 

 

〈HーC エクスカリバー〉★4 戦士族 光属性

ATK2000

 

 

「エクシーズモンスター………」

 

「HーC エクスカリバーの効果発動‼︎シャイニングフォース‼︎オーバーレイユニットを2つ使い、このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる‼︎」

 

エクスカリバーの周りを漂っていたオーバーレイユニットがエクスカリバーに集まり、エクスカリバーの身体が光り輝いた。

 

 

HーC エクスカリバー

ATK2000→4000

 

 

「攻撃力4000⁉︎ですが、それでも花札衛-五光-は倒せません‼︎」

 

「ああ。五光を倒すのはエクスカリバーの役目じゃないさ。墓地に存在する神剣-フェニックスブレードの効果発動‼︎自分の墓地に存在する戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、このカードを自分の墓地から手札に加える。俺は墓地から聖騎士の追想イゾルデとH・C エクストラソードを除外してこのカードを手札に戻す。そしてバトル‼︎アルカナエクストラジョーカーで花札衛-五光-を攻撃‼︎」

 

「⁉︎攻撃力が低いアルカナエクストラジョーカーで攻撃⁉︎花札衛-五光-の効果発動‼︎光明遍照‼︎自分の花札衛モンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、バトルフェイズの間だけその相手モンスターの効果は無効化されます‼︎迎え撃ってください、花札衛-五光-‼︎光風霽月‼︎」

 

五光が光を纏った刀を振り下ろそうとする。

 

「俺はペンデュラムゾーンの魔装戦士ドラゴディウスの効果発動‼︎」

 

「っ、ペンデュラム効果⁉︎」

 

「自分のモンスターが相手の表側表示モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に手札を1枚捨て、その戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力は半分になる‼︎」

 

 

花札衛-五光-

ATK5000→2500

 

 

「っ、攻撃力が………」

 

「行け、アルカナエクストラジョーカー‼︎ストレートフラッシュ‼︎」

 

五光の身体を抑えるようにドラゴディウスが現れる。

 

その隙にエクストラジョーカーが五光に大剣を振りかざし、斬り伏せた。

 

 

紅葉 LP8000→7700

 

 

「くっ………ですが、花札衛-五光-の効果発動‼︎千紫万紅‼︎シンクロ召喚したこのカードが戦闘で破壊された場合、または相手の効果でフィールドから離れた場合、EXデッキから花札衛-五光-以外の花札衛シンクロモンスター1体を特殊召喚出来ます‼︎世界を包む涙雨‼︎花札衛( カーディアン)ー雨四光ー‼︎」

 

 

〈花札衛ー雨四光ー〉☆8 戦士族 闇属性

DEF3000

 

 

現れたのは小野道風に描かれていた傘を持った和風の戦士。

 

だが、エクスカリバーの敵ではない‼︎

 

「花札衛-五光-が破壊されたことで装備していた妖刀竹光も墓地に送られている。その効果でデッキから3枚目の黄金色の竹光を手札に加える。続けてHーC エクスカリバーで花札衛ー雨四光ーを攻撃‼︎必殺剣 刀光剣影‼︎」

 

「迎え撃ってください、花札衛ー雨四光ー‼︎弾丸雨注‼︎」

 

雨四光の傘から集束された雨の弾丸がエクスカリバーに向けて撃ち出される。

 

エクスカリバーは撃ち出された弾丸に剣を振るい、弾丸ごと雨四光を斬り裂いた。

 

「くっ………雨四光までやられるとは………追放されたとはいえ、それでもプロ決闘者だっただけのことはあるということですか………」

 

「………メインフェイズ2、墓地に存在する神剣-フェニックスブレードの効果発動‼︎H・C 強襲のハルベルトとジャックスナイトを除外してこのカードを手札に戻す。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

遊騎 LP8000 手札3

 

△ー▲ー△ ー

ーー○ーー

☆ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

紅葉 LP7700 手札4

 

 

「たった1ターンで五光が倒されるとは思いませんでしたが、貴方のような人に私は負けません‼︎私のターン、ドロー‼︎私は花札衛ー松ーを召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー松ー〉☆1 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

フィールドに現れたのは松の絵が描かれた花札のモンスター。

 

「花札衛ー松ーの効果を発動します。このカードが召喚に成功した場合、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認します。それが花札衛モンスター以外だった場合、そのカードを墓地へ送ります」

 

そう言って桜糀がドローしたカードを見せる。

 

「ドローしたカードは花札衛( カーディアン)ー桜に幕ー。花札衛モンスターなので手札に加えます。そして手札から花札衛ー桜に幕ーの効果を発動します。手札のこのカードを見せ、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認します。それが花札衛モンスターだった場合、このカードを特殊召喚し、違う場合はこのカードとドローしたカードを墓地へ送ります。私がドローしたカードは花札衛( カーディアン)ー松に鶴ー。よって花札衛ー桜に幕ーは特殊召喚しますわ」

 

 

〈花札衛ー桜に幕ー〉☆3 戦士族 闇属性

DEF2000

 

 

フィールドに幕の上に桜が描かれているモンスターが現れる。

 

手札を増やされながらモンスターが増えるというのはなかなか面倒だ。

 

おまけに手札に加わったのは名前からして先程特殊召喚した柳に小野道風のようなモンスター。

 

「そして手札から花札衛ー松ーをリリースし、花札衛ー松に鶴ーを特殊召喚しますわ」

 

 

〈花札衛ー松に鶴ー〉☆1 戦士族 闇属性

DEF2000

 

 

予想通り、松の姿が消え、代わりに松の絵に鶴が加わったモンスターが現れる。

 

「花札衛ー松に鶴ーの効果を発動します。このカードが特殊召喚に成功した場合、自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認します。それが花札衛モンスターだった場合、そのカードを特殊召喚でき、違う場合は墓地へ送ります」

 

「そのドロー効果は花札衛の共通のものだったのか………」

 

「私がドローしたのは花札衛ー柳ー‼︎花札衛モンスターなので特殊召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー柳ー〉☆11 戦士族 闇属性

DEF100

 

 

現れたのは柳の絵が描かれたモンスター。

 

あのモンスターはさっきチューナーの柳に小野道風に変わった。

 

ということはまたシンクロ召喚がくる可能性があるのか………

 

「花札衛ー柳ーの効果を発動します。墓地に存在する花札衛モンスター1体をデッキに加えてシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローしますわ。私は墓地の花札衛ー五光ーをデッキに戻して1枚ドローします。そして花札衛ー柳ーをリリースしてチューナーモンスター、花札衛-柳に小野道風-を特殊召喚します‼︎」

 

「やっぱり出てきたか」

 

 

〈花札衛ー柳に小野道風ー〉☆11 戦士族 闇属性

DEF2000

 

 

「花札衛ー柳に小野道風ーの効果を発動します。私がドローしたのは花札衛( カーディアン)ー荻に猪ー。花札衛モンスターなので特殊召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー荻に猪ー〉☆7 戦士族 闇属性

DEF1000

 

 

次に現れたのは荻と猪の絵が描かれたモンスター。

 

ステータスが他の花札衛と異なってるということはまた違った効果を持っているモンスターか?

 

「花札衛ー荻に猪ーの効果を発動します。特殊召喚に成功した場合、デッキから1枚ドローし、それをお互いに確認して花札衛モンスターだった場合、相手フィールドのモンスター1体を破壊して、違った場合は墓地へ送ります‼︎」

 

「っ、破壊効果を持ってる奴までいるのか」

 

「私がドローしたのは花札衛ー松ー。花札衛モンスターなのでアルカナエクストラジョーカーを破壊します‼︎」

 

荻に猪がエクストラジョーカーに回転しながら突撃し、エクストラジョーカーが破壊される。

 

「っ、対象に取らない効果だから防げない………おまけに戦闘でもないから後続も呼べないか」

 

「そしてチューナモンスター、花札衛ー柳に小野道風ーの効果を発動します。フィールドのこのカードをシンクロ素材にする場合、このカードを含む全てのシンクロ素材モンスターを、レベル2のモンスターとして扱うことができます‼︎私は、レベル2となった花札衛ー松に鶴ー、花札衛ー荻に猪ーに、同じくレベル2となったチューナーモンスター、花札衛ー柳に小野道風ーをチューニング‼︎」

 

「今度はレベル6のシンクロ召喚か」

 

小野道風が光の輪になり、松に鶴と荻に猪が小さな星に変わり、光の道になる。

 

光の道が輝くと、その中から現れたのは鹿の角がある兜に猪の蝶の鎧を身につけた鎧武者。

 

「四季の力が重なりし時、そこに現れるは美しき命‼︎シンクロ召喚‼︎世界を巡る生命の力‼︎花札衛( カーディアン)ー猪鹿蝶ー‼︎」

 

 

〈花札衛ー猪鹿蝶ー〉☆6 戦士族 闇属性

DEF2000

 

 

「花札衛ー猪鹿蝶ーの効果を発動します‼︎春愁秋思‼︎1ターンに1度、自分の墓地の花札衛モンスター1体、花札衛ー芒ーを除外して、次の相手ターン終了時まで、相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地からモンスターを特殊召喚できなくなりますわ‼︎」

 

「っ‼︎なら、それにチェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎貪欲な瓶‼︎墓地に存在する妖刀竹光3枚と黄金色の竹光2枚をデッキに戻してシャッフルし、カードを1枚ドローする‼︎」

 

猪鹿蝶が槍を振るうと俺の墓地を隠すように紅葉が降り注ぐ。

 

これでサウザンドブレードとダブルランスは使えなくなった。

 

それにフェニックスブレードも捨てたら戻せなくなる………これは結構痛いな。

 

「だが、花札衛ー猪鹿蝶ーじゃ俺のHーC エクスカリバーは超えられないぜ?」

 

「ええ、だからこのカードを使わせて貰います。魔法カード、シンクロキャンセル‼︎フィールドのシンクロモンスター1体を対象として、そのシンクロモンスターを持ち主のEXデッキに戻し、その後、EXデッキに戻したそのモンスターのシンクロ召喚に使用したシンクロ素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールドに特殊召喚できます‼︎」

 

「なっ⁉︎って、ことは………」

 

「私は花札衛ー猪鹿蝶ーをEXデッキに戻して、墓地から花札衛ー松に鶴ー、花札衛ー荻に猪ー、花札衛ー柳に小野道風ーを特殊召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー松に鶴ー〉☆1 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

〈花札衛ー柳に小野道風ー〉☆11 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

〈花札衛ー荻に猪ー〉☆7 戦士族 闇属性

DEF1000

 

 

猪鹿蝶の姿が粒子になって拡散し、その粒子が再び花札達に変わる。

 

そして特殊召喚されたということは………

 

「特殊召喚された花札衛ー松に鶴ー、花札衛ー柳に小野道風ー、花札衛ー荻に猪ーの効果を発動します‼︎チェーンにより花札衛ー荻に猪ーの効果から発動します。私が引いたのは花札衛ー桐ー。花札衛モンスターなのでHーC エクスカリバーを破壊します‼︎」

 

「くっ………エクスカリバーまでやられるか」

 

荻に猪が今度はエクスカリバーに回転しながら突撃し、エクスカリバーが破壊される。

 

「次に花札衛ー柳に小野道風ーの効果を発動します。私がドローしたのは花札衛ー桐に鳳凰ー。花札衛モンスターなので特殊召喚します」

 

 

〈花札衛ー桐に鳳凰ー〉☆12 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

現れたのは桐の花と鳳凰が描かれたモンスター。

 

これでフィールドに5体の花札衛が揃ったからまた五光を出す準備が整ったわけか。

 

「最後に花札衛ー松に鶴ーの効果を発動します。私が引いたのは魔法カード、名推理。花札衛モンスターではないのでこのまま墓地に送られます。さらに花札衛ー桐に鳳凰ーの効果を発動します。私がドローしたのは魔法カード、花積み。このカードもそのまま墓地へ送られます。そしてこのままバトルフェイズに入ります‼︎花札衛ー松に鶴ーでダイレクトアタックですわ‼︎孤雲野鶴‼︎」

 

「くっ‼︎」

 

 

遊騎 LP8000→6000

 

 

松に鶴の絵の中から鶴が飛び出し、俺の身体に突撃し、ライフが削られる。

 

「続けて花札衛ー柳に小野道風ーでダイレクトアタックです‼︎柳眉倒豎‼︎」

 

「ぐっ………」

 

柳に小野道風の絵の中から柳の葉が嵐のように俺の身体を貫いていく。

 

 

遊騎 LP6000→4000

 

 

 

「さらに花札衛ー桐に鳳凰ーでダイレクトアタックですわ‼︎伏竜鳳雛‼︎」

 

「っ⁉︎ぐあっ‼︎」

 

 

遊騎 LP4000→2000

 

 

桐に鳳凰の絵の中から火の鳥が飛び出し、俺の身体を貫く。

 

「花札衛ー桐に鳳凰ーの効果を発動します。このモンスターが相手に戦闘ダメージを与えたことでカードを1枚ドローします。さらにバトルフェイズ終了時に花札衛ー松に鶴ーの効果も発動します。このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時にカードを1枚ドローします………成る程、このカードですか。確かに、このデュエルには御誂え向きのカードかも知れませんね」

 

花札衛モンスターの効果で手札を増やした桜糀が何かを呟く。

 

この状況でさらに手札が増えるのはかなりマズイ。

 

おまけに………

 

「メインフェイズ2。チューナモンスター、花札衛ー柳に小野道風ーの効果を発動します。フィールドのこのカードをシンクロ素材にする場合、このカードを含む全てのシンクロ素材モンスターを、レベル2のモンスターとして扱うことができます‼︎私は、レベル2となった花札衛ー松に鶴ー、花札衛ー桜に幕ー花札衛ー荻に猪ー、花札衛ー桐に鳳凰ーに、同じくレベル2となったチューナーモンスター、花札衛ー柳に小野道風ーをチューニング‼︎」

 

小野道風が光の輪になり、他の花札衛達が小さな星に変わり、光の道になる。

 

光の道が輝くと、その中から再び現れるのは刀を持った巨大な戦士。

 

「四季の力が重なりし時、そこに満ちるは神秘の光‼︎シンクロ召喚‼︎もう1度世界を照らしてください‼︎花札衛ー五光ー‼︎」

 

 

〈花札衛ー五光ー〉☆10 戦士族 闇属性

ATK5000

 

 

「まあ、当然出てくるよな」

 

再びフィールドに現れた五光。

 

いくらまだドラゴディウスが残っているとはいえ、かなり厳しいことになってきたな。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドといたします」

 

 

遊騎 LP2000 手札4

 

△ーーー△ ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

紅葉 LP7700 手札6

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎」

 

このターンは猪鹿蝶の効果で墓地は使えない。

 

幸いペンデュラムスケールはまだある。

 

ペンデュラム召喚を使って何とか突破口を作る‼︎

 

「俺はすでにセッティングされているペンデュラムスケールで再びペンデュラム召喚を行う‼︎魂に宿りし剣よ‼︎煌めく勇気となりて、再び運命を超える力を導け‼︎ペンデュラム召喚‼︎現れろ、俺のモンスター達‼︎」

 

俺がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって2つの光が舞い降りる。

 

「レベル4、H・C ダブルランス‼︎」

 

 

〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性

DEF900

 

 

「レベル4、タスケナイト‼︎」

 

 

〈タスケナイト〉☆4 戦士族 光属性

DEF100

 

 

俺のフィールドに2つの槍を持った白い戦士と赤い鎧の戦士が現れる。

 

それを見て、桜糀は真っ直ぐな目で俺を睨んだ。

 

「ペンデュラム召喚はもう通させません。リバースカードオープン‼︎永続罠、イカサマ御法度‼︎」

 

「っ………イカサマ御法度?」

 

発動されたカードの名前を聞き、俺の心臓がドクンと跳ねる。

 

「このカードは1ターンに1度、相手が手札からモンスターを特殊召喚した時に発動し、手札から特殊召喚された相手フィールドのモンスターを全て持ち主の手札に戻します‼︎」

 

「っ⁉︎なんだって⁉︎」

 

「最も、このカードはフィールドに花札衛シンクロモンスターが存在しない場合には墓地へ送られてしまいますが………それでもこの状況では十分。H・C ダブルランスとタスケナイトには手札に戻っていただきます‼︎」

 

イカサマ御法度の効果でフィールドに現れていたダブルランスとタスケナイトが手札に戻ってくる。

 

よりにもよってこの状況でペンデュラム召喚を封じてくる罠カード。

 

前までの俺のデッキなら手札からの特殊召喚なんてものはあまり行わなかったから効かなかったが、今の俺のデッキはペンデュラム召喚も戦術の一部としてしっかりと組み込まれているのでこのカードはかなりの痛手だ。

 

………その名前といい、運命が俺に言っているのだろうか?

 

お前に与えられた罪は………絶対に消えることはないと。

 

「っ………俺はモンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

遊騎 LP2000 手札3

 

△ー▲ー△ ー

ーー◼︎ーー

ー ○

ーーーーー

ーー△ーー ー

 

紅葉 LP7700 手札6

 

 

「私のターン、ドロー‼︎………面白いカードを引きましたね。私は花札衛ー松ーを召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー松ー〉☆1 戦士族 闇属性

ATK100

 

 

「花札衛ー松ーの効果を発動します‼︎私がドローしたのは花札衛( カーディアン)ー紅葉に鹿ー。花札衛モンスターなのでそのまま手札に加えます。そして花札衛ー松ーをリリースして、花札衛ー紅葉に鹿ーを特殊召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー紅葉に鹿ー〉☆10 戦士族 闇属性

DEF1000

 

 

現れたのは紅葉と鹿の絵が描かれたモンスター。

 

「花札衛ー紅葉に鹿ーの効果を発動します‼︎特殊召喚に成功した場合、デッキから1枚ドローし、それをお互いに確認して花札衛モンスターだった場合、相手フィールドの魔法・罠を1枚破壊して、違った場合は墓地へ送ります‼︎」

 

「っ、ここで魔法・罠破壊の花札衛が出てくるのか⁉︎」

 

「私がドローしたのは花札衛ー芒に月ー。花札衛なのでペンデュラムスケールの魔装戦士ドラゴディウスを破壊します‼︎」

 

花札衛ー紅葉に鹿ーが回転しながらドラゴディウスがいる光の柱に突撃し、光の柱ごとドラゴディウスを破壊する。

 

イカサマ御法度の効果でペンデュラム召喚はほぼ無意味になっていたとはいえ、ペンデュラム効果が使えなくなったのは痛い。

 

俺のデッキのモンスターでは攻撃力で五光を超えるモンスターはおらず、魔法・罠も無効化されるため装備魔法で突破するのも難しい。

 

このままだと高攻撃力で押し切られる。

 

そんな俺をさらに追い詰めるように、桜糀は更なるモンスターをフィールドに呼ぶ。

 

「私は墓地の魔法カード、花積みを除外して効果を発動します。墓地にある花札衛モンスター1体、花札衛ー桐ーを手札に加えます。そして私は手札から2枚の花札衛ー桐ーと花札衛ー桐に鳳凰ーを墓地へ送り、モンタージュドラゴンを特殊召喚します‼︎」

 

「⁉︎花札衛じゃないモンスターだと⁉︎」

 

 

〈モンタージュドラゴン〉☆8 ドラゴン族 地属性

ATK?

 

 

現れたのは不自然に巨大化した腕を持つ3つ首の不気味なドラゴン。

 

そして何よりも不気味なところは………

 

「攻撃力が決まってない?」

 

「モンタージュドラゴンは通常召喚できず、手札からモンスター3体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できます。そしてこのカードの攻撃力は、墓地へ送ったそのモンスターのレベルの合計×300ポイントになります‼︎」

 

「なんだって⁉︎」

 

「墓地に送った花札衛ー桐ーと花札衛ー桐に鳳凰ーはレベル12のモンスター。よってその攻撃力は………」

 

 

モンタージュドラゴン

ATK?→10800

 

 

「攻撃力………10800⁉︎」

 

「バトルフェイズ‼︎花札衛ー五光ーでセットモンスターを攻撃します‼︎光風霽月‼︎」

 

「っ………通さない‼︎俺はペンデュラムスケールに存在する魔装戦士ドラゴノックスのペンデュラム効果を発動‼︎」

 

「っ、このタイミングでもう1枚のペンデュラムスケールの効果ですか………」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを破壊し、そのバトルフェイズを終了する‼︎」

 

ドラゴノックスの光の柱が割れ、辺りを暗闇が包み込む。

 

そして暗闇が晴れるとバトルフェイズが終了した。

 

「まさかバトルフェイズ自体を止める効果を持っているとは思いませんでした………メインフェイズ2。私は何もせずにターンエンドといたします」

 

 

遊騎 LP2000 手札3

 

ーー▲ーー ー

ーー◼︎ーー

ー ○

ーー○ーー

ーー△ーー ー

 

紅葉 LP7700 手札4

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎………くっ」

 

ドローしたカードを見るが、現状を解決できるカードではなかった。

 

墓地のカードも使えるようになったがモンタージュや五光を超えることはできない。

 

なら、俺に出来ることは………

 

「モンスターをセット。カードを3枚伏せてターンエンドだ」

 

 

遊騎 LP2000 手札0

 

ー▲▲▲▲ ー

ーー◼︎◼︎ー

ー ○

ーー○ーー

ーー△ーー ー

 

紅葉 LP7700 手札4

 

 

「………防戦一方ですか。フェニックスブレードと黄金色の竹光まで伏せたのは本命が破壊される確率を減らすためのブラフと言ったところでしょうか?」

 

「………さあ、どうだろうな?」

 

「………イカサマをした貴方のような方の実力など所詮この程度。やはり貴方は遊花さんの師匠には相応しくありません」

 

「………ああ、分かってるよ」

 

桜糀の言葉に、俺はぽつりと呟く。

 

そんなこと、誰よりも分かっている。

 

俺のような人間が、遊花の師匠には相応しくないことぐらい。

 

そんなこと、遊花の師匠をすることになった時から分かっていたさ。

 

「だからこそ、ここで引導を渡してあげましょう。私のターン、ドロー‼︎魔法カード、札再生を発動します‼︎自分の墓地の花札衛モンスター1体を対象に、そのカードを手札に加え、その後手札から花札衛モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できます‼︎私は墓地の花札衛ー桜に幕ーを手札に加え、手札から花札衛ー芒に月ーを特殊召喚します‼︎」

 

 

〈花札衛ー芒に月ー〉☆8 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

「花札衛ー芒に月ーの効果を発動します‼︎私がドローしたのは仁王立ち。花札衛モンスターではないので墓地に送られます。バトルフェイズ‼︎花札衛ー芒に月ーでセットモンスターを攻撃します‼︎雲心月性‼︎」

 

「セットモンスターはH・C ダブルランス‼︎」

 

 

〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性

DEF900

 

 

芒に月の絵の中から満月が飛び出し、ダブルランスを斬り裂いて破壊する。

 

「花札衛ー芒に月ーの効果を発動します‼︎1ターンに1度、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、デッキからカードを1枚ドローします‼︎続けて、花札衛ー五光ーでセットモンスターを攻撃します‼︎光風霽月‼︎」

 

「セットモンスターはタスケナイト‼︎」

 

 

〈タスケナイト〉☆4 戦士族 光属性

DEF100

 

 

五光の刀から衝撃波が飛び、タスケナイトが斬り捨てられる。

 

「これで終わりでしょうか?モンタージュドラゴンでダイレクトアタックです‼︎シンセシスフレア‼︎」

 

モンタージュが俺に向けて3つ首から炎のブレスを放つ。

 

「まだ………終われるか‼︎墓地に存在するタスケナイトの効果発動‼︎このカードが墓地に存在し、自分の手札が0枚の場合、相手モンスターの攻撃宣言時にデュエル中に1度だけ発動出来る‼︎このカードを墓地から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する‼︎」

 

「っ⁉︎またバトルフェイズを終了させるのですか⁉︎」

 

 

〈タスケナイト〉☆4 戦士族 光属性

ATK1700

 

 

タスケナイトが俺を庇うように現れ、俺の周りが立体映像の炎に包まれる。

 

それを見て、様々な光景が脳裏に浮かぶ。

 

畏怖。

 

侮蔑。

 

嘲笑。

 

様々な光景が、浮かんでは消えていく。

 

………ああ、どうして俺はーーー

 

「っ‼︎遊騎‼︎」

 

「っ、闇?」

 

聞き慣れた声が耳に届き、俺の意識は現実に呼び戻される。

 

驚いて声が聞こえた方を見てみると、闇が心配そうな表情で俺をジッと見ていた。

 

そんな闇を見て、俺は頭を振って自分の頭の中にある暗い感情を追い出す。

 

そんな俺を見て、桜糀は不可解そうな表情を浮かべる。

 

「………何故、そんな泣きそうな表情を浮かべているのですか?」

 

「………そっか。俺はそんな表情をしてるのか」

 

桜糀の言葉に、俺は苦笑したと思う。

 

それは闇にも心配をかけるハズだ。

 

………ダメだな、俺は。

 

もう考えても仕方がないことだっていうことは、分かってるっていうのに………

 

「君が気にすることはないさ。君がやることは変わらない。俺に勝って遊花の師匠を止めさせる。それだけのことさ。それに、聞かれても俺には答えられないしな」

 

「貴方は………」

 

「さあ、デュエルを続けようぜ。バトルフェイズは終了したが、まだ君のターンだ。俺もこのデュエルを諦めるつもりはないからな。全力で抗わせてもらう」

 

「………ですが、流石にこれ以上は耐えることはできないハズ。次のターンで御首級を頂戴いたします。メインフェイズ2、私は何もせずにターンエンドといたします」

 

 

遊騎 LP2000 手0

 

ー▲▲▲▲ ー

ーー□ーー

ー ○

ー○○ーー

ーー△ーー ー

 

紅葉 LP7700 手札5

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「あの、闇先パーーー」

 

「ごめん、遊花、桜。少しついてきて。島さん、店の奥の部屋を少し借りる」

 

「………ああ、大事な話になりそうだからね。構わないよ」

 

「ありがと。遊花、桜、来て」

 

「わっ⁉︎や、闇先パイ?」

 

「ちょっ、待ちなさいよ⁉︎」

 

デュエル中、師匠に心配そうな声をあげた闇先パイに質問をしようとすると、闇先パイは少し切羽詰まった表情を浮かべて私と桜ちゃんをお店の奥にある部屋に引っ張っていく。

 

部屋の中に入ると、闇先パイは真剣な表情で私たちに尋ねる。

 

「遊花、桜。最近、私が知らないところで遊騎に何かあった?」

 

「えっ?」

 

「………何というべきかしら」

 

闇先パイの質問に、私は桜ちゃんと顔を見合わせ難しい表情を浮かべる。

 

闇先パイが知らず、私が知っていることで師匠に最近あったことと言えば、やはり異世界での戦いのことだろう。

 

でも、それを話してもいいのだろうか?

 

そんな私達を見て、闇先パイは目を伏せながら寂しそうな声を出した。

 

「話せないなら話さなくてもいい。でも、そっか………あったんだ。そこで、遊騎を揺さぶる何かが………」

 

「えっと、あの………師匠はどうしたんでしょうか?あんな表情の師匠、初めて見ます」

 

今まで見たことがない、悲しそうで………まるで今にも消えてしまいそうな表情を浮かべる師匠を見て、私は困惑する。

 

そんな私を見て、闇先パイは困ったように自分の頭をポンポンとノックするように叩き、1度目を閉じると、覚悟を決めた表情を浮かべた。

 

「遊花。遊花から見て、遊騎はどんな人に見える?」

 

「えっ?」

 

「難しく考えなくていい。遊花から見た遊騎を教えてほしい」

 

真っ直ぐに私を見る闇先パイに、私は少し考えてから口を開く。

 

「師匠は………辛いことがあっても諦めないで、誰かの思いを守るために頑張れる………強くて、とても優しい人だと思います」

 

出会ってばかりの私のために、デュエルをしてくれて、師匠になってくれて、私のためにこんな素敵な大会まで開いてくれた、強くて優しい人。

 

そんな私の答えに、闇先パイは少し悲しそうな表情を浮かべた。

 

「………そっか」

 

「あの………何か間違っていたでしょうか?」

 

「ううん………遊花は悪くない。遊騎の行動は、確かにそう見えるから」

 

「そう見えるって………なら本当は違うって言うの?」

 

「違うわけでもない。でも、本質でもない」

 

「師匠の本質………ですか?」

 

「ん」

 

闇先パイはそこで言葉を区切り、少し躊躇いながらその言葉を口にした。

 

「いつかは話さないといけないと思ってた。だから、いい機会だから話しておく。遊騎はね………弱い人だよ。とってもね」

 

「えっ………?」

 

師匠が、弱い?

 

「まず、勘違いを1つ正しておく。遊騎は辛いことがあっても諦めないんじゃない。遊騎はもう……… 辛いということが認識できない( ・・・・・・・・・・・・・・)だけ。それぐらい………結束 遊騎は 壊れている( ・・・・・)

 

「………えっ?」

 

「ちょっと⁉︎それってどういうことなのよ⁉︎」

 

闇先パイの告げた言葉に桜ちゃんは声を荒げ、私は愕然としてしまう。

 

辛いことが認識できないぐらいに壊れている?

 

「どこから話すべきかは少し悩むけど、今は遊花達が分かるところだけを話す。遊騎の両親が火事で亡くなったこと、その後に遊騎がいじめにあって荒れていたことまでは知ってるよね?」

 

「………はい」

 

『Natural』であった大会の帰りに、師匠の家で火事が起こり、師匠の両親が亡くなったこと、その後にデュエルアカデミアでいじめが起こり、師匠が荒れていたという話は島さんから、そして師匠自身から聞いている。

 

「じゃあ、何で遊騎がいじめられることになったのか、遊花達は知ってる?」

 

「師匠がいじめられていたわけ、ですか?」

 

「………そういえば、結束がいじめられてたとか、荒れてたって話は聞いたけど、その理由までは聞かなかったわね」

 

桜ちゃんの言葉に私もハッとする。

 

事が起こったことは知っていても、その理由までは確かに聞いてなかった。

 

話の上辺だけを聞いて、その理由まで思い至らなかったことに自責の念が湧く。

 

そんな私に闇先パイは苦笑を浮かべながら口を開く。

 

「遊花が気にする必要はない。その話は多分、遊騎が意図的に隠しただろうし、聞かれても遊騎も答えにくかったと思うから」

 

そして、闇先パイは残酷ないじめの実情を口にする。

 

「遊騎がいじめられてた理由はね。遊騎が家族で唯一生き残ったから」

 

「………えっ?」

 

「っ、ちょっと待って‼︎それってまさか⁉︎」

 

闇先パイの言葉が理解出来ず、私は首を傾げ、桜ちゃんは何かに気づいたのか声を荒げる。

 

師匠が生きてることがなんでいじめられることにーーー

 

「遊騎がいじめられていた理由………それは遊騎が唯一生き残ったからこそ、遊騎が 自分の家族を殺した( ・・・・・・・・・)んじゃないかって、噂が流れたから」

 

「っ⁉︎どうして⁉︎師匠がそんなことするわけないじゃないですか‼︎」

 

闇先パイの言葉に、私は思わず声を荒げてしまう。

 

そんな私に、闇先パイは淡々と真実を告げていく。

 

「どこからそんな噂が流れたのかは、私にも分からない。誰かが冗談のつもりで言ったのか、遊騎を気に入らない誰かが言ったのか………それでも、当時のデュエルアカデミアでは確かにそんな噂が流れていた。そして、ほとんどの人がそんな噂を事実だと思った」

 

「なんでですか⁉︎師匠がそんなことする人じゃないことなんて、少し接しただけでも分かるじゃーーー」

 

「いなかった」

 

「ーーーえっ?」

 

「いなかったの。当時のデュエルアカデミアには。私以外に遊騎と接している人なんて」

 

闇先パイは淡々と、それでいて拳を握りしめながらそう口にした。

 

闇先パイ以外に師匠と接する人がいなかった?

 

「遊騎は明るくて、素直で、困っている人は誰だって助けてしまう程お人好しで、凄く純粋な人だった。そして、純粋過ぎるが故に、遊騎のことを誰も理解出来なかった。純粋で、真っ直ぐ過ぎる子供みたいで、何をするかが分からないから怖がった」

 

「なん………ですか、それ………」

 

「だからこそ、そんな根も葉もない噂を誰もが信じてしまった。ううん、本当は信じてはいなかったのかもしれない。だけど、そうしていた方が 攻撃しやすいから( ・・・・・・・・)信じていなくても、噂を肯定した。遊騎を生贄に、自分の鬱憤を晴らすため、自分がいじめの標的にならないため、色んな思いから、誰もが遊騎の存在を否定した」

 

「どうして………」

 

「そして遊騎も家族を殺したということを強く否定出来なかった」

 

「………えっ?」

 

「はあ⁉︎」

 

闇先パイの言葉に私も桜ちゃんも目を見開く。

 

「どうしてよ⁉︎結束の家族が亡くなったのはアイツがいない間に火事が起こったせいでしょ⁉︎結束には何も関係ないじゃない‼︎」

 

「………桜には難しいかも知れないけど、遊花なら分かるかも知れない」

 

「私が、ですか?」

 

「辛いことを聞くことになるけど、思ったことはない?自分がいなければ、両親は死ななかったんじゃないかって」

 

「っ………それは………」

 

闇先パイの問いに、私は顔を伏せる。

 

………確かに、そう思ったことはある。

 

私が大会に出なければ、それ以前に生まれていなければ、両親は死ななかったんじゃないかって、両親が亡くなってすぐの頃はずっとそんなことを考えていた。

 

「だから、遊騎も思ったの。自分が両親に『優勝してくるからご馳走を用意して待ってて』なんて言わなければ、両親は死ななかったんじゃないかって」

 

「そんなこと分からないじゃない‼︎」

 

「分からないよ。だからこそ、本当にどうなったか分からないからこそ、遊騎はそれを罪だと認めてしまった。 自分のせいで両親は死んだ( ・・・・・・・・・・・・)のだと」

 

闇先パイはとても悲しそうな顔でそう呟く。

 

「そんなこともあったからなんだろうね。遊騎は、今でも火を見るのが苦手なの」

 

「っ‼︎だからさっき………」

 

「うん。多分、モンタージュドラゴンの攻撃の立体映像で思い出しちゃったんだと思う。昔はもっと取り乱してたからまだマシな方ではあったけど………」

 

「?待って。だけど前に私とデュエルした時、ドゴランが吐いた炎を見ても結束は平気だったわよ?」

 

桜ちゃんの言葉に私もそういえばと思い返す。

 

師匠と桜ちゃんが初めてデュエルした時、ヘルテンペストを使うためにドゴランを使っていた気がする。

 

「普段の遊騎なら、立体映像だと分かってるから大丈夫なの。そこはプロ決闘者になる時に社長や炎と克服できるように頑張ったから。だけど、今回は遊花の師匠を継続できるかがかかってるデュエルな上に場所は遊騎の思い出の場所であり、トラウマの場所でもある『Natural』………遊騎は今かなり不安定になってるハズ」

 

「………ちょっと、それマズイんじゃない?結束が負けたら………」

 

不安そうな顔を浮かべる桜ちゃんに闇先パイは明るい顔で首を振る。

 

「ううん、遊騎は負けないよ。遊花が俺を師匠だと呼んでくれる限りは、俺は遊花の師匠であり続けるって宣言してたからね」

 

「いや、そんな気持ちだけじゃ………」

 

「その気持ちが、遊騎には1番大事なの。遊花は遊騎にとって大切な弟子だから………だからこそ、遊騎は 壊れてる( ・・・・)んだけど」

 

「あの………それはどういう意味なんですか?師匠が………その、壊れてるって」

 

躊躇いながら尋ねる私を見て、闇先パイは少し悲しそうな表情で口を開く。

 

「さっきの話の続きになるけど、遊騎は両親が死んだのが自分のせいだと思ってる。そしてその罪悪感からか、はたまたいじめられている間に精神が摩耗したからか、遊騎はもう、自分の命を塵程にも大事に思っていないの」

 

「っ⁉︎」

 

「なっ⁉︎」

 

「だからこそ、自分がどんな目にあっても遊騎は辛いなんて思わない。遊騎が まだ( ・・)生きてるのは、自分が死ぬことで私や島さん達みたいな、自分にとって大切な人達が悲しむのが嫌だからって言うだけ。そしてその思いの根本には、『大切なもの』という括りが重要になっている」

 

「………括り、ですか?」

 

闇先パイの衝撃的な発言に私は何とか言葉を絞り出す。

 

そんな私の気持ちを汲んでか、闇先パイはこくりと頷いて言葉を続ける。

 

「遊騎の本質はここにある。重要なのは遊騎が自分の命を価値があるものだと思っていないこと。自分の命なんて………自分なんてどうでもいいと思ってる。そのくせ、遊騎はこと自分の友人や家族と言える存在に対する思い入れは強い。だからこそ、遊騎の辞書の中で『大切なもの』の前には必ず『自分よりも』という一文がつく。だから、遊騎の『大切な弟子』である遊花のことなら、遊騎は必ず守るよ。それこそ、自分の命をかけてもね」

 

「………でも、それって………」

 

暗い表情を浮かべる私に、闇先パイは真剣な表情で私を見る。

 

「だからこそ、改めて遊花に問う。今ならまだ、結束 遊騎の弟子からただの栗原 遊花に戻れる。遊騎が壊れてることを知って、それでも貴方は結束 遊騎の弟子であることを選べる?」

 

「私はーーー」

 

そんな闇先パイの問いに、私はーーー

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

桜糀のターンが終わり、俺のターンになる。

 

しかし、状況はかなり絶望的だ。

 

俺のフィールドにモンスターはタスケナイトのみ。

 

伏せカードはブラフの黄金色の竹光とフェニックスブレード。

 

残り2枚は使用することは出来るが片方は確実に五光に止められてしまう。

 

だが勝利の可能性を考えるとどちらのカードも通せなければかなり難しい。

 

そして負けるということは、遊花の師匠を辞めるということ。

 

遊花との約束を………守れなくなるということだ。

 

ちらりと店の奥の方に視線をやる。

 

さっきの俺の様子を見て、闇が遊花と宝月を店の奥に連れていくのが見えた。

 

おそらく俺の様子について聞いているのか、俺のことについて話しているのだろう。

 

………俺のことを聞いて、遊花はどう思うだろうか?

 

こんなことなら最初から正直に話しておけばよかったと、今更ながらに思う。

 

自分のような壊れている人間を師匠にするべきではない、と。

 

分かっているのだ、自分はどうしようもなく歪んでいる異常な人間なのだと言うことも………誰かを導けるような真っ当な人間じゃないことも。

 

俺のせいで、両親は死んだ。

 

あの日、俺が家で待っていてくれだなんて言ったから。

 

いや、そもそもあの日に大会に行っていなければ、両親を助けられたかもしれない………もしくは、俺も最後まで一緒にいられたのかもしれない。

 

どうして、俺だけ取り残されてしまったのだろう?

 

俺が生きていること自体が、消せない罪だと言うのに………

 

「………何故、貴方は遊花さんの師匠になろうと思ったのですか?」

 

「ん?」

 

暗い考えが頭に浮かんでは消えていく最中、桜糀が真剣な表情でそんなことを尋ねてくる。

 

そんな桜糀に、俺も真剣な表情で答える。

 

「遊花の話を聞いた時にな、俺に似てるなって思ったんだよ。性格とか雰囲気とかそんなんじゃない。俺の生きてきた人生に似てると思った」

 

「………」

 

「だからこそ、そんな奴が俺みたいな決闘者になるために弟子になりたいって言ってきた時に思ったんだ。この子は 俺のようにしてはいけない( ・・・・・・・・・・・・)って」

 

「………それは最初から遊花さんをまともに教える気はなかったということですか?」

 

「違う。俺みたいに壊れた人間になって欲しくなかっただけさ。遊花は俺に似た人生を歩んでいる。だからこそ、一歩踏み外してしまえば俺みたいな存在になってしまう」

 

こんな………生きているのか、死んでいるのかも分からないような中途半端な存在に成り果ててしまう。

 

そんな存在に………遊花にはなって欲しくなかった。

 

「だからこそ、守ってやりたいと思った………だけど、余計なお世話だったのかもな。俺がいなくたって、遊花はもう道を踏み外したりなんかしないだろうし、楽しんでデュエルすることができる。大会だって怖くなくなるだろう。ちゃんと教えれたのは1週間ぐらいのものだったが、それでも俺の役目はすでに終わってるんだよ」

 

不意に異世界で言われた言葉を思い出す、守ることだけが師匠の役目じゃないと。

 

ならば、どうすればよかったのだろう?

 

願ってはいけなかったのだろうか?

 

大切な弟子が傷つかないことを。

 

確かに遊花は無事だった。

 

だが、もしあの時に遊花の身に何かが起こっていたら、きっと俺は全てが許せなくなっていただろう。

 

遊花にそんな戦いを強要した世界を………そして遊花を送り出してしまった俺自身を………だって、それは両親を助けられなかった時のように、俺が見殺しにしたのと同じことなのだから。

 

「なら、初めから私に勝つ気はなかったと?」

 

「まさか、言っただろ?遊花が俺を師匠だと呼んでくれる限りは、俺は遊花の師匠であり続けると。まあ、今もそう思ってくれてるかは分からないし、俺の弟子じゃない方が遊花は幸せになれる。だから、きっと君の方が正しいのさ」

 

………できるなら、遊花には俺の後継者じゃなくて普通のプロ決闘者になってほしい。

 

プロ決闘者になった時、俺の後継者だなんて名乗ったらまともにデュエルなんてさせて貰えないだろう。

 

俺の後継者だなんて言わなければ、遊花はかなり腕を上げているから普通のプロ決闘者として成功するだろう。

 

遊花が望んだ、自分も楽しんで誰かを喜ばせれるようなデュエルが、きっとできる。

 

………だからこそ、俺のような存在はいない方がいい。

 

「………悪い、つまらない話をしたな」

 

「貴方様は………それでいいのですか?」

 

桜糀の雰囲気が少し変わり、そんな言葉が聞こえる。

 

そんな桜糀に、俺はいつも通り苦笑を浮かべ………

 

「いい「いいわけありません‼︎」………えっ?」

 

俺の言葉を聞き覚えがある声が遮る。

 

声が聞こえた方向を見ると、そこには明らかに怒ってますと言うように頰を膨らませて不機嫌そうな顔をした遊花がいた。

 

そして遊花は頰を膨らませたまま俺の方に近づき、俺の正面に立った。

 

「師匠‼︎さっきから聞いていれば、何を頓珍漢なことを言ってるんですか‼︎桜糀さんが正しい?正しいか正しくないかなんてどうでもいいんです‼︎」

 

「お、おう?」

 

「何が俺の役目はすでに終わってるんだよ、ですか‼︎師匠の役目はまだまだ全然、終わってません‼︎師匠に教えて貰いたいことはたくさんあるんです‼︎」

 

「い、いや、それなら闇にでもーーー」

 

「私の師匠は師匠だけです‼︎」

 

「っ、遊花?」

 

そう叫ぶ遊花の目には薄っすらと涙が滲んでいて………

 

「前にも言いました‼︎師匠だからこそ、私は弟子になったんです。他の誰であろうと、私の師匠になることは出来ません‼︎それに何が俺みたいに壊れた人間になって欲しくないですか‼︎師匠は全然壊れてなんてないです‼︎」

 

「いや、あの………」

 

「師匠が本当に壊れているなら、私が治します‼︎何年、何十年経ったとしても、絶対に師匠を治してあげます‼︎だから………」

 

そこで遊花は不機嫌そうな表情を浮かべるのが限界になったのか、クシャッと顔を歪め、目から涙が溢れる。

 

「だから………辞めないで下さい………ずっと………ずっと私の師匠でいてくださいよぅ………師匠」

 

そういって遊花が右手を伸ばして俺の服の端を摘む。

 

そんな遊花を見て、俺は深いため息を吐いた。

 

「………最悪だ」

 

その言葉に遊花の肩がビクッと跳ねる。

 

そんな遊花の頭に手をのせ、優しく撫でる。

 

「弟子にそんなこと言わせちまうなんてな………思い出したよ。俺は遊花をどんな逆境でも、笑顔で楽しそうに切り抜けて、皆を驚かせるデュエルができるようにしてやらないといけないんだもんな」

 

「グスッ………そうですよ………まだ私、闇先パイに勝てませんもん。だから、最低でも闇先パイに勝てるようになるまで絶対に逃がさないんですから………」

 

「ハードル高いな………世界ランキング4位の人間に勝てるようにしろってのか。まあ、頑張ってみるからさ。とりあえず、今は見ててくれ。ここから逆転して、まずは遊花を驚かせて見せるからさ」

 

俺がそういうと、遊花は俺の服から手を放す。

 

そしてまだ少し不安そうな顔で俺を見て願いを口にする。

 

「師匠………」

 

「ん?」

 

「勝って、下さい」

 

「………おう‼︎」

 

俺が笑顔で答えてやると、ようやく安心したような表情を浮かべて遊花が観戦席に戻っていく。

 

遊花が観戦席に戻ったのを確認し、俺は改めて桜糀を見た。

 

「悪い、待たせたな」

 

「………貴方様は今の選択の意味が分かっているのですか?」

 

「ああ、よく分かってるよ」

 

俺の存在は、きっと遊花の人生に暗い影を落とすことになる。

 

遊花のことを考えるなら、俺はいない方がいいのだろう。

 

それでも………

 

「………それでも、約束したもんな」

 

遊花を彼女が望むプロ決闘者にすると。

 

それに、もし俺の存在が必要だと言うのなら………いくらでも使い潰してやる。

 

「そのためにも、勝たせてもらうぜ。このデュエル」

 

「っ、手札もないこの状況から逆転できるというのですか?」

 

「できるかできないかじゃないんだよ」

 

俺はデッキの上のカードを持つ。

 

このドローが運命の分かれ道。

 

だけど、不思議と不安はなかった。

 

何故なら………

 

「今の俺は、負ける気がしないからな‼︎俺のターン、ドロー‼︎」

 

ドローしたカードを見る。

 

まだ、望みはある。

 

「俺は装備魔法、妖刀竹光をタスケナイトに装備する‼︎そしてリバースカードオープン‼︎魔法カード、黄金色の竹光‼︎」

 

「っ、この状況で竹光カードを引いてきましたか。ですが無駄です‼︎花札衛ー五光ーの効果を発動します、光輝燦然‼︎1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時、その発動を無効にし破壊します‼︎」

 

五光の身体が光輝き、その強い光で黄金色の竹光のカードが割れる。

 

「これで貴方様の手札は0。もう打てる手はーーー」

 

「ああ、無効にしてくれると思っていたさ。だからこそ、まだ希望はあるんだ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎活路への希望‼︎」

 

「‼︎」

 

「自分のLPが相手より1000以上少ない場合、1000LPを払って発動‼︎」

 

 

遊騎 LP2000→1000

 

 

「お互いのLPの差2000につき1枚、自分はデッキからドローする‼︎俺のライフは1000‼︎桜糀は7700‼︎よって3枚のカードをドローする‼︎」

 

「ここに来て3枚のドロー⁉︎」

 

「まだ終わらない‼︎黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎さらに魔法カード、貪欲な壺‼︎墓地に存在するアルカナエクストラジョーカー、HーC エクスカリバーをEXデッキに、H・C ダブルランス、H・C サウザンドブレード、キングスナイトをデッキに戻してシャッフルし、カードを2枚ドローする‼︎」

 

「一気に手札が5枚に………」

 

「………繋がった」

 

「っ‼︎」

 

俺の呟きに、桜糀が目を見開く。

 

そんな桜糀に、俺は自信満々に告げる。

 

「桜糀、このデュエル………俺の勝ちだ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎一族の結集‼︎フィールドの表側表示モンスター1体を対象として、そのモンスターと元々のカード名が異なり、元々の種族が同じモンスター1体を自分の手札・墓地から選んで特殊召喚する‼︎俺が対象にするのは戦士族のタスケナイト‼︎墓地から蘇れ、クィーンズナイト‼︎」

 

 

〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性

DEF1600

 

 

「っ、この状況でクィーンズナイトが出てくるということは………」

 

「俺はキングスナイトを召喚‼︎」

 

 

〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性

 ATK1600

 

 

クィーンズナイトの横にキングスナイトが現れ、2人の騎士は剣を掲げて更なる騎士を呼ぶ。

 

「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎再び集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」

 

 

〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性

ATK1900

 

 

クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げてジャックスナイトが現れる。

 

「そして魔法カード、融合を発動‼︎」

 

「ここで融合のカード⁉︎まさか⁉︎」

 

「自分の手札・フィールドに存在する融合モンスターによって決められた融合素材を墓地に送り、EXデッキから融合モンスターを特殊召喚する‼︎俺はフィールドのクィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイトの3体で融合‼︎」

 

フィールドに現れた渦に3体の騎士達が飛び込んでいく。

 

そして渦が爆けるとその中から現れるのは黒い鎧を身に纏った漆黒の騎士。

 

「融合召喚‼︎運命に打ち勝つ勇敢なる騎士達の主‼︎アルカナナイトジョーカー‼︎」

 

 

〈アルカナナイトジョーカー〉☆9 戦士族 光属性

ATK3800

 

 

「絵札の三銃士の融合モンスター………ですが、そのモンスターでも私のモンスター達を突破することは出来ません‼︎」

 

「それはどうかな?リバースカードオープン‼︎装備魔法、神剣-フェニックスブレードをアルカナナイトジョーカーに装備‼︎攻撃力を300ポイントアップさせる‼︎」

 

 

アルカナナイトジョーカー

ATK3800→4100

 

 

「それでも届きません‼︎」

 

「まだだ‼︎速攻魔法‼︎旗鼓堂々‼︎このターン、自分はモンスターを特殊召喚できなくなる代わりに、自分の墓地の装備魔法カード1枚をその正しい対象となるフィールド上のモンスターに装備する‼︎ただしこの効果で装備した装備魔法カードはエンドフェイズ時には破壊される‼︎俺はこの効果で墓地に存在する装備魔法、最強の盾をアルカナナイトジョーカーに装備‼︎攻撃表示だからその元々の守備力分、2500ポイント攻撃力をアップする‼︎」

 

 

アルカナナイトジョーカー

ATK4100→6600

 

 

「攻撃力6600⁉︎」

 

「バトル‼︎アルカナナイトジョーカーで花札衛ー芒に月ーを攻撃‼︎この瞬間、墓地のタスケルトンの効果発動‼︎モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、墓地のこのカードをゲームから除外し、デュエル中に1度だけ、そのモンスターの攻撃を無効にする‼︎」

 

「タスケルトン………手札断殺の時ですか。ですがその行動に何の意味が………」

 

「意味なら大有りだ‼︎モンスターの攻撃が無効になった時、速攻魔法、ダブルアップチャンス‼︎」

 

「⁉︎」

 

「攻撃が無効になったモンスターを対象にして発動‼︎このバトルフェイズ中、選択したモンスターはもう1度だけ攻撃でき、その場合、選択したモンスターはダメージステップの間、攻撃力が倍になる‼︎」

 

「攻撃力を倍にして追加攻撃⁉︎」

 

「続けてアルカナナイトジョーカーで花札衛ー芒に月ーを攻撃‼︎」

 

「させません‼︎墓地の仁王立ちを除外して効果発動‼︎モンタージュドラゴンを対象にしてこのターン、攻撃対象はモンタージュドラゴンしか選べなくなります‼︎」

 

芒に月を攻撃しようとしたアルカナナイトジョーカーの前に、モンタージュドラゴンが立ち塞がる。

 

「ダブルアップチャンスの効果でモンタージュドラゴンは破壊されてしまいますが、それでも私のライフは残ります。そしてこのターンが終われば最強の盾は破壊され、花札衛ー五光ーの攻撃力がアルカナナイトジョーカーを上回り、私の勝ちです‼︎」

 

「いや、お前に次のターンはない‼︎アルカナナイトジョーカーでモンタージュドラゴンを攻撃‼︎そしてダメージステップ開始時、手札からオネストの効果を発動‼︎」

 

「なっ⁉︎そのカードは⁉︎」

 

「オネストは自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる‼︎そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする‼︎モンタージュドラゴンの攻撃力は10800。よって攻撃力を10800ポイントアップさせる‼︎」

 

 

アルカナナイトジョーカー

ATK6600→17400

 

 

「そしてダブルアップチャンスの効果‼︎ダメージステップの間、攻撃力が倍になる‼︎」

 

 

アルカナナイトジョーカー

ATK17400→34800

 

 

モンタージュが3つ首から炎のブレスを放ち、それをアルカナナイトジョーカーは大剣で受け止める。

 

そしてブレスを受け止めていたアルカナナイトジョーカーにオネストとダブルアップチャンスのカードが吸い込まれていくと、アルカナナイトジョーカーの身体が金色の光に包まれ、大剣でブレスを弾き返した。

 

「攻撃力………34800のアルカナナイトジョーカー⁉︎」

 

「これで終わりだ‼︎行け、アルカナナイトジョーカー‼︎ロイヤルストレートフラッシュ‼︎」

 

アルカナナイトジョーカーが大剣を構えると、大剣に金色の光が集まっていく。

 

アルカナナイトジョーカーは勢いよくモンタージュに突撃し、その大剣を振り下ろしてモンタージュを斬り伏せた。

 

「………お見事」

 

 

紅葉 LP7700→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

「………俺の勝ちだ」

 

「はい。そして私の負けでございます」

 

立体映像が消え、静まり返った店内で俺達は言葉を交わす。

 

そしてそれと同時に誰かが走ってくるような音が聞こえーーー

 

「やりました‼︎師匠の勝ちです‼︎」

 

「ぐはっ‼︎」

 

ーーーたと思ったら、背中に凄い衝撃が走った。

 

後ろを振り向くと、背中に思いっきり遊花が張り付いていた。

 

………今の、絶対タックルだったって。

 

だって、めちゃくちゃ痛かったし。

 

………まあ、色々心配をかけただろうし今は好きにさせておこう。

 

「結束さん」

 

そんなことを思いながら遠い目をしていると、桜糀が俺に話しかけてきた。

 

何の用かと思って桜糀の方を見ると、桜糀はその場に跪いて土下座をしようとしてーーー

 

「って、待て待て待て⁉︎何しようとしてるんだ⁉︎」

 

「桜糀さん⁉︎何しようとしてるんですか⁉︎」

 

「いえ、先程まで大変失礼なことを致しましたので謝罪をと」

 

「いやいやいや、別に謝罪とかいらないから‼︎というかお前、俺のこと嫌ってたんじゃなかったの⁉︎」

 

そんな俺の言葉を聞き、桜糀は申し訳なさそうに目を伏せた。

 

「申し訳ありません。先程までの態度や言動は、結束さんがどのような方なのか試していたのでございます」

 

「た、試してた?」

 

「はい。貴方様がどのような方なのか、お弟子さんである遊花さんを見ていれば分かりました。しかし、世間での貴方様の噂はよろしくないものばかり。そのことで、遊花さんも傷ついてしまうのではと愚考いたしまして………」

 

「だからああいう煽るような言い方で俺が実際にはどのような人物かを試していた、と?」

 

「はい………ですが、それは結果として結束さんや遊花さんを深く傷つけるような結果になってしまいました。どんなに謝っても許されることではありません。ですが、私にできることといえばこの頭を下げることぐらい。なんでしたら私のことは如何様にでもしてくださって構いません‼︎」

 

「いやいやいや、何覚悟を決めた目で言ってるんだ⁉︎そういうのいらないから‼︎」

 

ダメだ、まともそうだと思ってたけどこの子結構ぶっ飛んでる子だ⁉︎

 

いや、俺が言える立場じゃないんだけどさ‼︎

 

「あーもう‼︎とにかく、俺は気にしてないから別にいい。それじゃあ気が済まないって言うんなら、これからも遊花のことを気にかけてやってくれ」

 

「………そのようなことで構わないのですか?」

 

「いいんだよ。元々俺が疑われるような人間なのが悪いんだ。君が気にするようなことじゃない。だから、これからも遊花のことを頼む」

 

「………承りました。ですが、それだけではこちらも気が済みません。しかし、今は大会中。今回のお詫びはまた後日」

 

「………君も頑固な奴だな。ああ、それで構わないよ」

 

「はい。それでは敗者は去るといたしましょう。この度は本当に申し訳ありませんでした」

 

頭を下げ、観戦席に桜糀が戻っていく。

 

それを見送ってから視線を遊花に移した。

 

「それで、遊花。そろそろ大会を進行したいから離してくれないか」

 

「嫌です」

 

「即答かよ………」

 

「だって、師匠はいっぱい私に心配かけたんですもん。だから今は嫌です」

 

そう言って不機嫌そうに頰を膨らませる遊花。

 

そう言われてしまうと如何ともしがたい。

 

遊花に心配をかけてしまったのは事実だしな。

 

「それを言われると辛いんだがな………後で俺にできることならなんでもやってやるから、今は離れてくれよ」

 

「なんでも………ですか」

 

俺の言葉に、遊花はしばらく何かを考えるような表情を見せ、考えが纏まったのか笑顔を浮かべて俺から離れた。

 

「分かりました‼︎そういうことなら離れます‼︎」

 

「お、おう」

 

そういってニコニコと笑顔を浮かべながら遊花が俺の身体から離れる。

 

なんだか遊花が妙に笑顔なんだが、一体何を思いついたんだ?

 

………これはプレミしたかな、俺。

 

安易にカードをきってしまったかもしれない。

 

………まあ、それも俺の罰にはちょうどいいかもな。

 

とにかく、今は大会を進めよう。

 

それが今の俺が遊花にできる贖罪だ。

 

そんなことを、俺は冗談交じりに思うのだった。




次回予告

1回戦も半分が終わり、次のデュエルは大地と『Trumpfkarte』の決闘者である治虫。
初めてのプロ決闘者とのデュエルに期待を膨らませて治虫に挑む大地。
そんな大地を、治虫はじわじわと追い詰めていく。

次回 遊戯王Trumpfkarte
『影VS磁石・影に蠢くもの』


次回は大地VS『Trumpfkarte』の決闘者である治虫。
今回はシリアスな感じだったので次はなるべく明るい雰囲気をお送りしたいと思ってます。
なるべく早く更新したいけど、治虫のデッキがある意味面倒なデッキなのでどうなるか………

そして今回は遊騎の過去と在り方に関してのお話でした。
遊騎が遊花を守ろうとする理由は、昔の自分に遊花を重ねただけではなく、自分自身よりも価値がある大切なものだから。
今回の話では綺麗に終わっているようには見えますが、遊騎の歪みが正されたわけでもなく、遊騎の中に残っています。
この遊騎自身の歪みはこれからの物語にも深く関わってくることになります。
遊騎が救われる日は来るんですかね?
少なくともしばらくは無理そうです。

それじゃあ今回はここら辺で。
ストラクのアンデッドワールドも出て最近アンデッドデッキを弄ってばかりです。
今回のストラクのカードが入るキャラもいるのですが。2章の登場予定キャラなんですよね。
先は長そうです。
ではでは〜
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