当作品におけるデュエル中のルールと表記について
・新マスタールール
・禁止・制限は更新時の最新のもの。
・LP8000 ← 自分のデュエル構成の力不足でLP4000では一部描写したいカードの使用が非常に厳しかったため。
モンスターの表記
〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性
カード名、レベル、種族、属性
レベル部分はランクなら★、リンクならLINKで表記
ATK300→表示形式と数値
〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性
ATK300 ↓ ←リンクマーカーの向き
リンクモンスター☆
表側攻撃表示◯
表側守備表示□
裏側守備表示■
表側魔法・罠△
裏側魔法・罠▲
表側フィールド▽
裏側フィールド▼
手札枚数 手札◯枚
キャラ名 LP 手札○
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー ←EXモンスターゾーン
ーーーーー ←バトルゾーン
ーーーーー ー ←フィールド魔法
↑
魔法&罠
キャラ名 LP 手札◯
例
遊騎 LP8000 手札4
ーー△ーー ー
ー□ーーー
☆ ー
ーー■ーー
ーー▲▲ー ▽
遊花 LP8000 手札3
☆
遊騎 LP8000
騨 LP8000
「先攻は俺様だ‼︎まずはこの世界を俺様の色に染めてやる‼︎フィールド魔法、飛竜艇ーファンドラを発動!!」
空閑と名乗った男がデュエルディスクにカードを置くと、俺達の周りの景色が空に浮かぶ船の甲板に変わった。
少し離れた場所には他の飛行艇が2隻見え、ここは1番大きな飛行艇のようだ。
これが奴のフィールド魔法、飛竜艇ーファンドラの船の上か。
立体映像なのはわかってるが、世界が塗り替えられるようなこの感覚は何度体験しても驚かされる。
「そしてまずはコイツからだ‼︎空牙団の剣士ビートを召喚‼︎」
〈空牙団の剣士ビート〉☆3 戦士族 地属性
ATK1200
現れたのは毛皮を被った小型の戦士。
下級モンスターではあるが、こういうモンスターが意外と曲者だったりするのだ。
そんな俺の予想通り、小柄な戦士が動きを見せる。
「空牙団の剣士ビートの効果発動‼︎1ターンに1度手札から同名以外の空牙団モンスター1体を特殊召喚する‼︎俺様は空牙団の参謀シールを特殊召喚‼︎」
〈空牙団の参謀シール〉☆4 獣戦士族 闇属性
DEF1000
ビートが毛皮から取り出した角笛を吹くと船の中から学者のような獣人が現れ、ビートの横に並び立った。
「さらにモンスターゾーンに存在する状態で自分フィールドに自分以外の空牙団が特殊召喚されたことで空牙団の剣士ビートの効果発動‼︎1ターンに1度、デッキから空牙団モンスター1体を手札に加える‼︎俺はデッキから空牙団の孤高サジータを手札に加える」
「特殊召喚をさせてサーチまで出来るなんて厄介なモンスターだな」
「これだけじゃねぇよ‼︎空牙団の参謀シールも空牙団の剣士ビートと同様に同名以外の空牙団を手札から特殊召喚できる‼︎空牙団の参謀シールの効果で、来やがれ‼︎空牙団の孤高サジータ‼︎」
〈空牙団の孤高サジータ〉☆5 鳥獣族 風属性
DEF2400
シールがビートと同じように角笛を吹くと、船のマストからライフルを持った鳥人が甲板に降り立った。
そしてその鳥人はそのままライフルの銃口をこちらに向けた。
「特殊召喚した空牙団の孤高サジータの効果発動‼︎特殊召喚した時に同名以外の自分フィールドの空牙団モンスターの種類×500ポイントのダメージを相手に与える‼︎」
「何⁉︎」
「俺様のフィールドには空牙団の孤高サジータ以外に空牙団の剣士ビートと空牙団の参謀シールの2体がいる。よって1000ポイントのダメージを受けな‼︎」
「くっ‼︎」
遊騎 LP8000→7000
サジータがライフルの引き金を引き、俺の身体が撃ち抜かれてライフが削られる。
まさか先攻からライフが削られるとは思わなかったな。
そんな俺を見て取り巻き達が野次を飛ばす。
「先攻からライフを削るなんて流石っす、空閑さん‼︎」
「どうだ‼︎見やがったか空閑さんの実力を‼︎」
「テメェみたいな男が勝てる相手じゃねぇんだよ‼︎」
そう言って嘲笑う取り巻き達に空閑が軽く手を振って応える。
そしてその顔に獰猛な笑みを浮かべた。
「さらに空牙団の孤高サジータには永続効果で相手はコイツ以外の空牙団モンスターを効果の対象にできねぇ。俺様はカードを1枚伏せてターンエンドだ。さぁ、偉そうな口を叩いたお前の実力を見せて貰おうか‼︎」
遊騎 LP7000 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ー□◯□ー
ーー▲ーー ▽
騨 LP8000 手札1
モンスターの展開をしながら手札補充とバーンによる先制攻撃、さらには効果耐性の付与。
傲慢な態度を取っているが着実な手を打ってくる辺り案外油断ならなそうだ。
おまけに発動したフィールド魔法の効果はまだ現れてないがここまで堅実な手を打ってくる奴が使ったものなら強力な効果を秘めているんだろう。
「………面白い。俺のターン、ドロー‼︎」
俺は笑みを浮かべながらデッキからカードを引いた。
「まずは魔法カード、手札抹殺‼︎お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数と同じ枚数ドローする‼︎俺は5枚、お前は1枚捨ててドローだ」
宣言して俺は手札全てを墓地に送り、新しく5枚のカードをドローした。
それを見て同じようにドローをした空閑が笑う。
「ハッ、いきなり手札全部交換かよ。そんなに手札が悪かったのか?」
「ある意味でな。でもこれで万全に動けそうだ。俺は墓地に送られた2枚の妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから妖刀竹光以外の竹光カードをデッキから手札に加える」
「チッ、墓地発動効果があったのか」
「俺がデッキから手札に加えるのは黄金色の竹光と折れ竹光だ。そして相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚することができる。来い、
〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性
ATK1800
俺の前に現れたのはハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。
戦士はこちらを一瞥してから楽しげに空牙団を見据えた。
俺が召喚したモンスターを見て空閑が嘲笑を浮かべる。
「ヒロイックだと?ハッ、ヒーロー気取りにはお似合いのカードだな」
「好きに言ってろ。バトル‼︎H・C 強襲のハルベルトで空牙団の剣士ビートを攻撃‼︎ライトニングハルバード‼︎」
「チッ、それぐらいは受けてやる。だが、ただでとは言わねぇ‼︎永続罠、空牙団の修練‼︎」
「罠カードか………」
「このカードに攻撃を止める能力はねぇ。空牙団の剣士ビートは討たせてやらぁ」
ハルベルトが持っていたハルバードに雷が落ち、ハルベルトはそのまま雷を纏ったハルバードでビートの身体を貫いた。
貫かれたビートは派手に爆散し、その爆風が空閑を襲う。
騨 LP8000→7400
「H・C 強襲のハルベルトの効果発動‼︎このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時にデッキからヒロイックカードを手札に加える」
「サーチ効果か。だが、こちらも空牙団の修練の効果が発動する‼︎自分フィールドの空牙団モンスターが戦闘または相手効果で破壊された場合、デッキからそのモンスターの元々のレベルより低いレベルを持つ空牙団モンスターを特殊召喚する‼︎俺様はデッキから空牙団の撃手ドンパを特殊召喚だ‼︎」
〈空牙団の撃手ドンパ〉☆2 獣族 風属性
DEF1000
ビートが生み出した爆風から小型船に乗った小さな獣が飛び出してきた。
今までの空牙団を見る限り下級モンスターには他の空牙団を呼び出し、呼び出した後に何かを発動する効果があるようだ。
あのモンスターにも注意が必要か。
「俺はデッキから
〈H・C エクストラソード〉☆4 戦士族 地属性
ATK1000
現れたのは銀色の鎧を身に纏った二刀流の戦士。
俺はその姿を確認してから、2体の戦士に手をかざす。
「俺は戦士族、レベル4のH・C 強襲のハルベルトとH・C エクストラソードでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎」
「チッ、エクシーズ召喚か‼︎」
H・C 強襲のハルベルトとH・C エクストラソードが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から赤い鎧を着た馬に乗る弓兵が舞い降りた。
「エクシーズ召喚‼︎現れろ
〈HーC ガーンデーヴァ〉★4 戦士族 地属性
ATK2100
「エクシーズモンスターか………ソイツには一体どんな効果が………」
「焦るなよ。まずはエクシーズ素材になったH・C エクストラソードの効果発動‼︎」
「エクシーズ素材になった時の効果だと⁉︎」
「このカードを素材としてエクシーズ召喚したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする‼︎」
HーC ガーンデーヴァ
ATK2100→3100
ガーンデーヴァを赤いオーラが包んでいく。
元々ガーンデーヴァは攻撃力が低めのエクシーズモンスターだ。
これぐらいしておかないとすぐに破壊されてしまうからな。
「攻撃力3100だと⁉︎」
「おまけにHーC ガーンデーヴァは1ターンに1度、レベル4以下のモンスターが特殊召喚された時にオーバーレイユニットを1つ使うことでそのモンスターを破壊できる。この効果は対象を取らないから空牙団の孤高サジータでも防げないぜ」
とは言ったもののレベル4以下のモンスターなら通常召喚してしまえばいい上に空牙団の特殊召喚効果にレベル制限はない。
大型の空牙団モンスターが出てきた時点でガーンデーヴァが越えられてしまうこともあり得る。
そもそも、俺のデッキは一騎打ちには強いが複数のモンスターを対処するのは苦手なのだ。
それを踏まえて俺ができることは………俺は自分の手札を一瞥しーーー
「俺はこれでターンエンドだ」
「何だと⁉︎」
ーーーそのままターンエンドを宣言した。
そんな俺を見て、空閑は目の色を変え、取り巻き達はざわめきだし、女の子は青ざめた。
俺の行動に腹が立ったのか空閑が怒鳴り声をあげる。
「そんだけ手札があるのに伏せカードすら無しだと⁉︎テメェ俺様を舐めてやがるのか‼︎」
「別に舐めてなんかないさ。俺にとってこれが最善手ってだけだ」
「何処までもふざけた真似をしやがって‼︎その澄ました面、今すぐ歪めてやらぁ‼︎」
空閑が怒り狂った表情でこちらを睨みつける。
俺はその表情を見て、改めて覚悟を決める。
このターンだ。
このターンの行方で、勝負が決まる。
遊騎 LP7000 手札6
ーーーーー ー
ーーーーー
◯ ー
ー□□□ー
ーー▲ーー ▽
騨 LP7400 手札1
「俺様のターン‼︎ドローする代わりに飛竜艇ーファンドラの効果発動‼︎」
「ここでフィールド魔法の効果か………」
ドローの代わりに効果を発動するフィールド魔法があることは知っている。
そしてドローの代わりに効果を発動するということは大抵の場合ーーー
「通常ドローをする代わりにデッキから空牙団モンスターを手札に加える‼︎俺様が手札に加えるのは空牙団の団長‼︎空牙団の英雄ラファールだ‼︎」
ーーードローよりも確実なサーチを行うものだ。
おまけにあの口振り、どうやらサーチしてきたカードはあのデッキの切り札のようだ。
俺はそれを見て気を引き締める。
ここからは少しのミスが負けに繋がる。
「早速コイツを呼び出したいところだが、まずはコイツだ。空牙団の闘士ブラーヴォを召喚‼︎」
〈空牙団の闘士ブラーヴォ〉☆4 爬虫類族 炎属性
ATK1900
現れたのは鉤爪を着けた赤いリザードマン。
下級の空牙団には他の空牙団が特殊召喚された時の効果がある。
このタイミングで出して来たってことはそれなりに厄介な効果があるのだろう。
そして何より、ここからが本番だ。
「空牙団の闘士ブラーヴォの効果発動‼︎1ターンに1度、手札から同名以外の空牙団モンスター1体を特殊召喚する‼︎大空に君臨する伝説の傭兵‼︎空牙団の英雄ラファールを特殊召喚だ‼︎」
空閑の呼び声に応えるように雄叫びをあげて甲板に降り立ったのは蒼い巨龍。
そして巨龍に応えるようにバトルゾーンにいる空牙団のモンスター達が雄叫びをあげる。
これが空牙団の切り札か‼︎
〈空牙団の英雄ラファール〉☆8 ドラゴン族 光属性
ATK2800
空閑が出したモンスターを見て取り巻き達の中からも歓声があがる。
「出た‼︎空閑さんの切り札‼︎空牙団の英雄ラファール‼︎」
「これでアイツももう終わりだ‼︎」
そんな取り巻き達の声を聞きながら空閑は獰猛な笑みを浮かべた。
「さぁ、いくぞ野郎共‼︎空牙団の英雄ラファールが特殊召喚されたことで空牙団の英雄ラファールと空牙団の参謀シール、空牙団の闘士ブラーヴォ、空牙団の撃手ドンパの効果が発動だ‼︎」
「一気に4体のモンスター効果が発動か………」
「まずは空牙団の撃手ドンパの効果‼︎モンスターゾーンに存在する状態で自分フィールドに自分以外の空牙団が特殊召喚されたことで、1ターンに1度フィールドの表側表示のカード1枚を対象にし破壊する‼︎消え去れ、HーCガーンデーヴァ‼︎」
「っ⁉︎させるか‼︎墓地から罠カード、スキルプリズナーを発動‼︎」
「墓地から罠だと⁉︎」
「このカードを除外し、HーCガーンデーヴァを選択し、このターン選択したカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする‼︎」
ドンパがガーンデーヴァに向けて銃弾を放つが、ガーンデーヴァの周りに見えない壁のようなものができ、その弾丸を弾き返した。
「手札抹殺の時に捨ててやがったか‼︎なら攻撃力で上回ってやりゃあいいだけだ‼︎モンスターゾーンに存在する状態で自分フィールドに自分以外の空牙団が特殊召喚されたことで、1ターンに1度フィールド全ての空牙団モンスターの攻守をターン終了時まで500ポイントアップする‼︎」
「ここに来て全体強化か‼︎」
空牙団のブラーヴォが雄叫びをあげると空牙団モンスター全てに赤いオーラが宿る。
これは少しマズイかもしれないな。
空牙団の闘士ブラーヴォ
ATK1900→2400
空牙団の孤高サジータ
DEF2400→2900
空牙団の参謀シール
DEF1000→1500
空牙団の撃手ドンパ
DEF1000→1500
空牙団の英雄ラファール
ATK2800→3300
「まだまだいくぞ‼︎空牙団の参謀シールの効果‼︎モンスターゾーンに存在する状態で自分フィールドに自分以外の空牙団が特殊召喚されたことで、1ターンに1度墓地から空牙団モンスター1体を手札に加える‼︎俺様は墓地から空牙団の剣士ビートを手札に加える‼︎」
シールが何かの紙を広げるとその中からカードが現れて空閑の手札に加わった。
あれが墓地から回収されたビートなのだろう。
「そしてお待ちかねの空牙団の英雄ラファールの効果発動‼︎スコールリンク‼︎このカードが特殊召喚された時、同名以外の空牙団モンスターの種類の数だけ自分のデッキをめくり、その中から1枚を手札に加え、残りをデッキに戻す‼︎」
ラファールが辺りを雄叫びをあげるとデッキの上から1枚のカードが手札に加わった。
「そして俺様のモンスターは全て攻撃表示に変更だ‼︎このターンでテメェを叩き潰してやる」
空牙団の参謀シール
DEF1500→ATK2100
空牙団の撃手ドンパ
DEF1500→ATK1000
空牙団の孤高サジータ
DEF2900→ATK1700
空閑のモンスター全ては強化され、ラファールにはガーンデーヴァの攻撃力を超えられた。
おまけにサジータに全体に効果耐性を与えたように、ラファールの効果もあれだけとは思えない。
さて、耐えきれるかどうかやって見ようじゃないか。
「バトルだ‼︎空牙団の英雄ラファールでHーCガーンデーヴァを攻撃‼︎」
「手札から
「無駄だ‼︎空牙団の英雄ラファールの効果発動‼︎シールハウリング‼︎1ターンに1度、相手のモンスター効果が発動した時、手札から空牙団カード1枚を捨ててその発動を無効にする‼︎」
「っ‼︎ソードシールドが………‼︎」
ラファールが空間を震わせる程の咆哮をあげると、ソードシールドが効果を失う。
これじゃあガーンデーヴァは守りきれない‼︎
「もう邪魔は入らねぇ‼︎空牙団の英雄ラファールでHーCガーンデーヴァを攻撃‼︎突風のアウトレイジファング‼︎」
「っ、迎え撃て‼︎暴嵐の矢‼︎」
ガーンデーヴァはラファールに向かって暴風のような数の矢を番える。
しかし、突風を纏ったラファール はその矢を全て吹き飛ばし、ガーンデーヴァの身体に喰らいついて噛み砕いた。
「ぐっ‼︎」
ガーンデーヴァが爆散し、突風で俺のライフが削れていく。
遊騎 LP7000→6800
「どんどんいくぞ‼︎空牙団の撃手ドンパでダイレクトアタック‼︎ウィンドシューター‼︎」
「っ‼︎」
遊騎 LP6800→5800
「続け‼︎空牙団の参謀シールでダイレクトアタック‼︎タクティシャンストーム‼︎」
「くっ‼︎」
遊騎 LP5800→3700
「どうした‼︎もう後がねぇぞ‼︎空牙団の闘士ブラーヴォでダイレクトアタック‼︎ゲイルフィスト‼︎」
「ぐあっ‼︎」
遊騎 LP3700→1300
「ああ………‼︎」
空牙団モンスターの連続攻撃でライフが一気に削られ、見ていた少女から悲痛な声が聞こえる。
ボロボロにされる俺を見て、取り巻き達は歓声をあげわ空閑も勝ち誇ったような嘲笑を浮かべる。
「これで終いだ‼︎空牙団の孤高サジータでダイレクトアタック‼︎」
空閑の宣言でサジータがライフルを構え、俺に照準を合わせて引き金を引こうとする。
しかし、そんな俺を守るようにサジータとの間にいつのまにか馬に乗った亡霊の騎士が現れていた。
〈幻影騎士団シャドーベイル〉☆4 戦士族 闇属性
DEF300
「何っ⁉︎」
「相手の直接攻撃宣言時、墓地から罠カード幻影騎士団シャドーベイルの効果発動‼︎このカードをレベル4、戦士族、攻撃力0、守備力300の通常モンスターとして守備表示で特殊召喚する」
「っ‼︎そんなものまで墓地に送ってやがったのか‼︎クソッ‼︎空牙団の孤高サジータで幻影騎士団シャドーベイルを攻撃‼︎ブラストバレット‼︎」
「特殊召喚した幻影騎士団シャドーベイルはフィールドから離れる時に除外される」
サジータの放った弾丸が当たり、シャドーベイルは空気に溶けるように消えていった。
これで決まると思っていた取り巻き達はざわめきだし、少女はホッとしたように息を吐く。
「俺様の攻撃を耐えきっただと………」
「ふぅ………残念だったな。このターンで決められなくて」
「ぐっ………だが‼︎俺様の場は完璧‼︎ライフにも余裕がある‼︎それに比べてテメェの場には何も残っちゃいねぇ‼︎この状況をひっくり返せるわけがねぇ‼︎」
そういって怒鳴り声をあげる空閑に、俺は不敵に笑った。
「それはどうかな?」
「何?」
「お前がこのままバトルフェイズを終了するなら、俺は手札からこのカードを発動させて貰う‼︎自分フィールドにカードが存在しない場合、手札から罠発動‼︎拮抗勝負‼︎」
「っ⁉︎手札から罠だと⁉︎」
「相手フィールドのカードの数が自分フィールドのカードの数より多い場合、自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる‼︎自分フィールドのカードの数と同じになるように、相手はフィールドのカードを裏側表示で除外しなければならない‼︎」
「何だと⁉︎」
俺の言葉に空閑が目を見開き、取り巻き達のざわめきが大きくなる。
「俺のフィールドには今発動した拮抗勝負のみ。さらにこの効果な相手プレイヤーに強要する効果のため空牙団の孤高サジータの対象に取られない効果も意味がない‼︎さぁ、お前もフィールドのカードが1枚になるようにカードを除外して貰おうか‼︎」
「ぐっ………俺は………空牙団の英雄ラファールを残し、他のカードを除外する………」
空閑がそう宣言するとラファール以外のモンスターが粒子になって消えていき、辺りも飛行艇から元の公園に戻る。
「馬鹿な………あの空閑さんの圧倒的なフィールドが………」
「一瞬で消えちまうなんて………」
「………すごい」
取り巻き達や少女からそんな声が聞こえてくる。
まぁ、伏せカードすらない状況から凌ぎきったからな。
そういう反応にもなるか。
「ふぅ………フィールド魔法は臨場感があるが、やっぱり普通の場所が1番だな」
「………テメェ、最初からこれを狙ってやがったのか」
一息吐いた俺を空閑が物凄い剣幕で睨み付ける。
そんな空閑に俺は苦笑を浮かべた。
「まさか、買い被り過ぎだ。HーCガーンデーヴァを手札と墓地のカードで守りきり、その攻撃力と効果で押せたままならそれでよかったさ。結局は想定が甘かったお陰でこんなギリギリのところまで追い詰められるはめになった。こんなの予想外もいいところさ」
「………」
「さぁ、まだお前のターンだ。空牙団の英雄ラファールと手札1枚でどう動く?」
「ぐっ………俺はカードを伏せてターンエンドだ」
遊騎 LP1300 手札4
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ーー◯ーー
ーー▲ーー ▽
騨 LP7400 手札0
苦々しい表情でターンエンドを宣言する空閑とその表情を見て呆然とする取り巻き達。
少女も何が何だかわからないというように呆然としている。
追い詰めていたと思ったら追い詰められていたのは自分だった。
きっと今の彼らの心情はそんな感じなのだろう。
「(まぁ、実際はあまり変わってないんだがな)」
確かに空閑のフィールドをある程度一掃することは出来たが、それでも空閑のフィールドには切り札であるラファールと伏せカードが残っている。
俺は自分の手札をもう1度見るが、これだけ手札があるというのに現状ではラファールをどうにかする手段がない。
というより、モンスターカードすら存在しない。
仮に壁のモンスターをドロー出来て出したとしてもライフ的に下級モンスター1枚引かれただけでも十分負けてしまう可能性がある。
ならば、ドローするしかない。
この状況を逆転する為のカードを。
「俺のターン………ドロー‼︎」
俺はドローしたカードを確認し、思わず笑みを浮かべるとそのままそのカードを発動した。
「俺は魔法カード、予想GUYを発動‼︎」
「予想GUYだと?」
「自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのカードは発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する‼︎俺が呼び出すのはこのモンスターだ‼︎来い、クィーンズナイト‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
俺の前に現れたのは赤い鎧を身に纏った女性の騎士。
そしてクィーンズナイトを見て、空閑は驚愕に目を見開いた。
「馬鹿な‼︎クィーンズナイトだと⁉︎」
クィーンズナイトの姿に辺りの取り巻き達もざわめきはじめる。
わからなそうに首を傾げているのはあの少女ぐらいか。
まぁ、確かにコイツらは色々な意味で有名だからな。
いや、半分以上は俺のせいでもあるんだが………俺はそんな周りの反応を気にしないように次のカードを発動する。
「俺はクィーンズナイトに装備魔法、折れ竹光を装備する。これ自体には何も効果はないが、さらに魔法カード黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎」
俺はドローしたカードを確認し、デッキが久しぶりのデュエルを楽しんでいるのを再確認する。
あぁ、思う存分戦わせてやるさ‼︎
「俺はキングスナイトを召喚‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
クィーンズナイトの横に並び立ったのは黄金の鎧を身に纏った騎士。
そしてクィーンズナイトとキングスナイトはお互いに剣を掲げて更なる騎士を呼ぶ。
「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げる青い鎧の騎士が現れる。
現れた3体の騎士を見て、空閑が目に見えて動揺した。
その表情は険しく、俺を強く睨みつける。
「絵札の三銃士………だと?テメェは一体………」
「動揺してるところ悪いが、コイツらを呼び出したからにはさっさと決めさせて貰う。斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
俺がそういって手を前に突き出すと、俺の目の前に巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件はカード名が異なる戦士族モンスター3体‼︎俺はクィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイトの3体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」
絵札の三銃士がサーキットに吸い込まれていく。
そしてサーキットのリンクマーカーが輝くとサーキットの中から白銀の鎧を身に纏った騎士が現れた。
「リンク召喚‼︎運命と戦う孤高の騎士‼︎リンク3‼︎アルカナエクストラジョーカー‼︎」
〈アルカナエクストラジョーカー〉LINK3 戦士族 光属性
ATK2800 ↙︎ ↑ ↘︎
現れた銀色の騎士を見て、空閑は確信を持ったという風に口を開く。
「アルカナエクストラジョーカー………遊騎………間違いねぇ。テメェ、あの結束遊騎か?」
「………まぁ、バレるよな」
俺が使うデッキにはいつも絵札の三銃士が入っている。
だからこそ、絵札の三銃士は俺の代名詞になってしまった。
自分のせいで自分の大好きなカードまで貶されるという現状は、正直心苦しい。
俺が肩を竦めると周りにいた取り巻き達もざわめき始める。
まぁ、そういう反応になるよな。
あの少女は相変わらず首を傾げているけどさ。
「結束遊騎って、あの2年前に対戦相手のデッキを盗み見たとかでプロから追放されたっていう………」
「あの世界ランキング2位の実力派プロチーム『Trumpfkarte』のエースだったって言うあの結束遊騎⁉︎」
「じゃあさっき空閑さんのモンスターを完璧なタイミングで一掃したのもイカサマなんじゃ………」
周りの蔑むような、怯えるような視線に少し気分が悪くなってくる。
まぁ、俺の世間からの評価を考えれば妥当だろう。
世間から見れば俺は勝つ為にどんなことでもやった男という風に見えるのだ。
ったく、折角気分が乗って来たって言うのに………
そう気分が落ち込みそうになった時ーーー
「うるせぇ‼︎テメェらは黙ってろ‼︎」
「⁉︎く、空閑さん?」
突然、空閑が取り巻き達を怒鳴りつけた。
あまりの展開に思わず呆然としていると、空閑が怒気を含ませたまま口を開く。
「デュエルが始まったらデッキとしてセットしていたカード以外にはデュエルディスクは反応しねぇ。さっきの戦術にイカサマなんてもんが介入する余地はねぇ」
「………」
「それにコイツの目とデュエルを見りゃ分かる。コイツはイカサマなんてつまらねぇことする男じゃねぇ。デュエルってのは嘘をつけねぇ。これ以上つまらねぇことで騒いでデュエルを邪魔する奴は俺様が直々に叩き潰してやるから出て来やがれ‼︎」
空閑の堂々とした物言いにざわめいていた取り巻き達が静まりかえる。
俺は取り巻き達を黙らせた空閑を驚いた表情で見つめる。
「アイツらが邪魔したな。さぁ、さっさとターンを続けな」
「いや、いいのか?俺は悪名高い結束遊騎だぞ?」
「テメェまでつまらねぇこと言ってんじゃねぇ‼︎いいからターンを進めろ‼︎」
そう言って忌々しそうに顔を逸らす空閑を見て、俺は思わず笑ってしまった。
「ぷっ、ははははは‼︎」
「っ、何が可笑しい‼︎」
「いや………なんだ、こういうのも何だが、ありがとな」
俺の言葉に空閑も目を見開く。
まさか他人のカードを奪おうとしている奴に慰められるとは思わなかった。
俺は深呼吸をして改めて空閑を見る。
「認めるよ、空閑騨。少々捻くれてるが、お前はその空牙団が似合う立派なデュエリストだ」
「………」
「だからこそ、俺の本気を見せてやる。このターンで俺の勝ちだ‼︎」
「‼︎ほぅ………おもしれぇ。やれるもんならやってみやがれ‼︎」
そんな俺の勝利宣言に空閑は心底愉快そうに笑った。
俺は手札を確認し、最後の準備を始める。
「まずは最後の下準備だ。魔法カード、貪欲な壺を発動‼︎墓地に存在するクィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイト、H・C強襲のハルベルトをデッキに、HーCガーンデーヴァをEXデッキに戻してシャッフル。そしてカードを2枚、ドローする‼︎」
「ここにきてまた手札増強か………」
「そしてこのままバトルフェイズに入る‼︎」
「何だと⁉︎」
「アルカナエクストラジョーカーで空牙団の英雄ラファールを攻撃‼︎」
「相討ち狙いか⁉︎だが、そうはさせねぇ‼︎罠発動‼︎和睦の使者‼︎このターン相手モンスターから受ける戦闘ダメージを0にし、自分のモンスターは戦闘では破壊されない‼︎これでこのターン、俺が負けることはねぇ‼︎」
「通すか‼︎ライフポイントを半分払い、手札から罠発動‼︎レッドリブート‼︎」
遊騎 LP1300→650
「っ⁉︎また手札から罠だと⁉︎」
「相手が罠カードを発動した時に発動できる‼︎その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする‼︎」
「何っ⁉︎和睦の使者が‼︎」
発動しようとしていた和睦の使者が再びセットされる。
これでこのターンに防がれることはない。
「その後相手はデッキから罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。最もこのカード発動後、ターン終了時まで罠カードは発動できないけどな」
「チッ………俺はデッキから空牙団の修練をセットする」
「これで止めるものは無くなった‼︎アルカナエクストラジョーカーで空牙団の英雄ラファールを攻撃‼︎ストレートフラッシュ‼︎」
「クソッ‼︎迎え撃て‼︎突風のアウトレイジファング‼︎」
アルカナエクストラジョーカーが大剣を振りかざし、ラファールが突風を纏ってぶつかり合う。
何度も激突した2体はそのままお互いに爆散した。
ありがとう、アルカナエクストラジョーカー。
お前の死は無駄にはしない。
「チッ‼︎だが、お互いのモンスターはいなくなった。テメェのライフは下級の空牙団を引いただけでトドメがさせる‼︎」
「これで終わるわけがないだろ。アルカナエクストラジョーカーの効果発動‼︎ユナイテッドリンク‼︎リンク召喚したこのカードが戦闘で破壊され、墓地へ送られた時、デッキから戦士族・レベル4の通常モンスター1体を特殊召喚し、デッキから戦士族・レベル4モンスター1体を手札に加える‼︎俺はデッキからクィーンズナイトを特殊召喚し、キングスナイトを手札に加える‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1500
誰もいなくなったフィールドに再びクィーンズナイトが現れる。
これで空閑を守るものは無くなった‼︎
「行け‼︎クィーンズナイトでダイレクトアタック‼︎クィーンズスラッシュ‼︎」
「ぐっ‼︎」
騨 LP7400→5900
「だが、これで攻撃できるモンスターは………」
「まだだ‼︎まだ俺のバトルフェイズは終了していない‼︎速攻魔法発動‼︎ライバルアライバル‼︎」
「‼︎」
「このカードは自分・相手のバトルフェイズに発動でき、モンスター1体を召喚する‼︎来い、キングスナイト‼︎」
「何だと⁉︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
「そしてライバルアライバルで行われるのは特殊召喚ではなく召喚だ。よって、キングスナイトの効果発動‼︎クィーンズナイトが存在するため、再び集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
フィールドに再びを揃った絵札の三銃士を見て、空閑が驚愕の表情を浮かべる。
「バトルフェイズ中に再び絵札の三銃士を揃えただと⁉︎」
「これが俺の騎士達の結束の力だ‼︎バトルフェイズ中の召喚により2体共攻撃する権利が残っている‼︎行け‼︎キングスナイトでダイレクトアタック‼︎キングススラッシュ‼︎」
「チッ‼︎」
騨 LP5900→4300
「追撃だ‼︎ジャックスナイトでダイレクトアタック‼︎ジャックススラッシュ‼︎」
騨 LP4300→2400
「ぐっ………だが、これで絵札の三銃士の攻撃も終わった。これでーーー」
そう………これで本当に最後だ‼︎
「これで終わりだ。速攻魔法発動‼︎瞬間融合‼︎」
「ここにきて融合魔法だと⁉︎」
「自分フィールドに存在から融合モンスターによって決められた融合素材を墓地に送り、EXデッキから融合モンスターを特殊召喚する‼︎俺はクィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイトの3体で融合‼︎」
フィールドに現れた渦に3体の騎士達が飛び込んでいく。
そして渦が爆けるとその中から現れるのは黒い鎧を身に纏った漆黒の騎士。
「融合召喚‼︎これが俺の切り札だ‼︎運命に打ち勝つ勇敢なる騎士達の主‼︎アルカナナイトジョーカー‼︎」
〈アルカナナイトジョーカー〉☆9 戦士族 光属性
ATK3800
「絵札の三銃士の融合体………アルカナナイトジョーカー………」
呆然としたように呟く空閑。
取り巻き達も怒涛の展開に目を白黒とさせ、少女はその目を輝かせていた。
俺は笑顔を浮かべながら口を開く。
「久しぶりに楽しいデュエルだったぜ、空閑騨。アルカナナイトジョーカーでダイレクトアタック‼︎ロイヤルストレートフラッシュ‼︎」
アルカナナイトジョーカーは大剣を構えると、空閑に突撃し、その大剣を振り下ろした。
「くっ、ぐあぁぁぁ‼︎」
騨 LP2400→0
立体映像が消えると、公園にいつもの光景が戻る。
アルカナナイトジョーカーに斬られ、その場に膝をついた空閑に歩み寄った。
「約束通り、その子のカードは返して貰うぜ」
「………ほらよ」
空閑からカードを受け取るとデュエルをずっと見ていた少女に近づき、受け取ったカードを手渡す。
「これで間違いないか?」
「あっ、はい‼︎ありがとうございました‼︎」
「気にするな。俺も久しぶりに楽しいデュエルが出来たからな」
深く頭を下げる少女に苦笑していると、空閑が立ち上がりこちらに近づいてくる。
「おい、栗原」
「あっ………空閑………君」
空閑を見て怯えたように俺の後ろに隠れる。
まぁ、カードを盗られるところだったしな。
まさか御礼参りとか言わないよな?
そんな俺の予想を裏切るように、空閑は深く頭を下げた。
「すまなかった」
「………えっ?」
「く、空閑さん?」
突然の謝罪に少女はぽかんとした表情を浮かべ、取り巻き達も戸惑いの声をあげる。
そんな少女の様子を気にせず、空閑はさらに言葉を重ねる。
「お前、最近全然デュエルしてねぇだろ」
「っ、それは………」
「テメェの心情がどんなもんかってのは俺には分からねぇ。だが、1年の時に見たテメェのデュエルは凄かった。同年代にここまでおもしれぇデュエルが出来る奴がいるんだってよ。それが今は全然デュエルをしなくなっちまって、お前の大切なカードを賭ければ、またテメェの無茶苦茶なデュエルが見れんじゃねぇかって思っちまったんだ。馬鹿な事をしたよ」
空閑の言葉に少女は悲痛の表情を浮かべる。
………正直、事情に関しては俺には分からないから言えることはない。
ただそのやり方は本人が言うように、馬鹿で、どうしようもなく間違ったやり方だったんだろう。
空閑はどこか吹っ切れた表情で顔をあげる。
「この借りはまた何処かで返す。本当にすまなかった」
「っ………ううん、いいよ。私の方こそ、ごめんなさい」
「テメェが謝ることなんざ何もねぇだろ。じゃあな………おい、行くぞ‼︎」
「は、はい‼︎」
そう言って取り巻きを連れて空閑が公園を出て行こうとする。
そして公園の出口に着いた時、空閑は出口の方を見ながら今度は俺に向かって声をかけてきた。
「結束遊騎」
「ん?」
「お前は本当にイカサマなんてもんをしたのか?」
そんな空閑の問いかけに、俺は真剣に答えた。
「デュエルに嘘はつけないんだろ?それが答えなんじゃないか」
「………そうか」
そう呟くと空閑は取り巻きを連れたまま帰って行った。
………さて、俺もそろそろ今日の宿を探さないとな。
最悪の場合、本当に野宿になってしまいそうだ。
「さてと、それじゃあそろそろ俺も行くよ。もう無いとは思うが、大切なカードなら盗られないようにな」
そう言って俺は置いておいたバイクに乗って公園を去ろうとしーーー
「ま、待って下さい‼︎」
「ん?」
ーーー先程助けた少女に呼び止められた。
少女の方に顔を向けると、少女はどこか覚悟を決めたような目でこちらを見ていた。
「あの、こんなこと、突然口にするなんて、失礼だと思います。でも、ここで言葉にしないと、私はいつまでも変わらないと思うから………だから………」
一体何事だと戸惑っていると、少女は俺の運命を変えることになる言葉を口にした。
「私を………私を、貴方の弟子にしてくれませんか‼︎」
「………は?」
この日、それぞれに止まっていた俺達の時間は重なり合い、少しずつ動き始めた。
次回予告
変わりたいと願う少女は、秘めていた思いを現出させる。
その強き思いは、遊騎を再びデュエルフィールドに誘った。
少女の思いがデュエルフィールドに響く時、止まっていた時間が再び動き始める。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『斬り開く運命』
やって見たかった次回予告。
でも、これめっちゃ難しいです。
これを毎週考えてる人って凄いな。
因みに作中の「斬り開く」という言葉は誤字ではなく仕様です。
というわけで次回は主人公VS主人公。
はてさてどうなることやら。