今回は遊騎視点でお送りします。
それじゃあ本編にGOなのです‼︎
☆
「ん〜このカード………俺にデッキに欲しいよな………だけど、今月はお小遣いを使い切っちゃったし………」
「遊騎………」
「ん?ああ、闇か。今日も来たんだな」
いつものように『Natural』のショーケースにあるカードを見て唸っていた俺に、掻き消えてしまいそうな程小さな声で、ここ最近『Natural』によく来るようになったほとんど表情が変わらない少女ーーー闇が声をかけてきた。
俺の問いかけに、闇はこくんと頷き、途切れ途切れになりながら、相変わらずの小さな声で答える。
「ん、遊騎とデュエル、楽しい、から、それに、デュエル、してると、遊騎のこと、分かるから」
「俺のこと?」
「ん、こんなことが、好きなんだ、とか、こんなことが、苦手なんだ、とか」
「………そういうのは別に聞いてくれたら普通に答えるぜ?」
俺の困ったような顔に、闇はふるふると首を振る。
「いいの。こっちの方が、楽しい。デュエルの方が、遊騎のこと、いっぱい、分かる、から」
「………まあ、俺もデュエルしてる中で闇のことが分かってきてるし、闇がいいって言うなら別にいいか。んじゃ、今日もデュエルするか?」
「ん」
そういって、俺達はデュエルスペースに移動し、お互いにデッキを取り出す。
そしていつものように、日が暮れてお互いに帰らないといけない時間になるまでデュエルをした。
そんな日常が、俺達にとっては当たり前になっていって。
いつのまにか、俺達は話をするよりも、デュエルをすることでお互いのことが分かるようになっていた。
その日の攻め方やその際の表情から、お互いの感情が伝わってきて、直接言葉にしなくても、お互いの気持ちが分かるようになって………
だからこそ、俺達は『Natural』で再開した時、デュエルをしなかった。
俺が『Trumpfkarte』から離れた2年間で変わってしまった部分が、デュエルで伝わってしまうのが怖かったから。
俺はヒロイック、闇はヴェルズ。
お互いに使うカードまでもが変わっていて………それを知られて、小学生の頃からの友人に、どう思われるのかが、お互いに怖かったから。
だけど、それは杞憂だった。
変わってる部分もあるけど、俺も闇も、根っこの部分は変わっていないことが、話や他人とのデュエルを見ているだけでも、十分に分かったから。
だからこそ、このデュエルはーーー
ーーーーーーー
「………それじゃあ準決勝第2試合、無所属、結束 遊騎VS『Trumpfkarte』所属、冬城 闇を開始する………か」
「ん………」
遊花とリーネのデュエルが終わり、俺と闇は向かい合う。
そんな俺達を見て、遊花が困ったような表情で俺達を見る。
多分、遊花のことだからどっちを応援すればいいんだろうとか考えているのだろう。
そんな遊花を見て、リーネは優しい表情を浮かべて遊花の手を引く。
「それじゃあ遊花ちゃん。リーネ達は2人のデュエルを邪魔したらいけないので観戦に戻るのです」
「は、はい‼︎え、えっと、師匠‼︎闇先パイ‼︎」
「なんだ?」
「何?」
リーネに手を引かれて観戦場所に戻っていく遊花が俺達に声をかける。
首を傾げる俺達に、遊花は困った表情でいっぱいいっぱいになりながらも、一生懸命な声でその言葉を口にした。
「師匠と闇先パイのデュエル、楽しみにしてます‼︎だから、師匠達も楽しんでデュエルをしてください‼︎」
「………ぷっ」
「………ふふ」
「え、ええっ?私、何か変なこと言いましたか?」
遊花の言葉に、俺達は思わず顔を綻ばせ、それを見て遊花がわたわたと焦ったような表情を浮かべる。
そんな遊花に、俺達は優しい表情を浮かべながら言葉を返した。
「いや、遊花らしいなって思っただけさ。任せとけ、遊花の期待に添えるような楽しいデュエルにしてやるさ」
「私と遊騎のデュエルだから心配無用。遊花の参考になれるよう、頑張る」
「‼︎はい‼︎」
俺達の言葉に満足したのか、遊花は笑顔を浮かべて観戦場所に戻っていく。
そんな遊花を見て、闇は優しい表情のまま口を開く。
「本当に、面白い子だね、遊花は」
「あれが遊花のいいところだけどな。いつも他人のことを気にかけて、それでいて自分の芯をしっかりと持っている、強い奴だよ」
そんなことを呟きあい、俺達は再び向かい合う。
「………本当はさ、俺はこの大会でいつ負けてもいいって思ってたんだ。この大会はあくまで遊花の成長を促すもので、それを見れるだけで十分だって」
この大会は、遊花がプロ決闘者になるための一歩を踏み出せるようにするための試練で、だからこそ、俺のデュエルは関係ないと思ってた。
「だけど、今日の遊花のデュエルを見て、我慢できなくなっちまった。あの日、遊花と俺が出会った日から、遊花がどれだけ成長したのか、実際にデュエルをして試してみたくなった。だからこそ、相手がお前でも負けないぜ、闇」
そういって、俺はデュエルディスクを起動して構える。
そんな俺を見て、闇も自分のデュエルディスクを起動しながら口を開く。
「私も、遊騎が遊花とデュエルしたいなら、デュエルの勝利は譲ってもいいかなって思ってた。だけど、やっぱり我慢できない。強くなった遊花と、私もデュエルしたい。それに、やっぱり遊騎とのデュエルで手加減はしたくない。今の私を、遊騎に全力でぶつけたい」
お互いにはっきりと自分の意思を伝え、笑い合う。
「闇と最後にデュエルをしたのっていつだっけ?」
「遊騎がプロリーグから追放される前日」
「………結構時間が経ったもんだよな。俺はプロリーグから追放され、闇は世界ランキング4位。だいぶ差がついちまった」
「他人が決める評価なんて関係ない。それに、今日のデュエルを見てたら分かる。遊騎の強さは昔からちっとも衰えてない」
「そうだといいけどな。それじゃあ、始めるか。お互い、再開してから言葉じゃ伝えれなかったこともたくさんあるだろ?俺達の間なら、言葉よりもデュエルの方が分かりやすい」
「ん、余計な言葉は不要。私達が分かり合うにはデュエルが1番。私達は、デュエルをすることでしか分かり合えない」
「………いくぜ、闇」
「………ん」
『決闘‼︎』
遊騎 LP8000
闇 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は私。私はレスキューラビットを召喚」
〈レスキューラビット〉☆4 獣族 地属性
ATK300
闇が呼び出したのはヘルメットを被ったうさぎのモンスター。
「レスキューラビットの効果、フィールドのこのカードを除外して、デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される」
レスキューラビットが空高く跳び上がって姿を消す。
代わりに空中から落ちてきたのは2体の禍々しい闇を纏った岩石の戦士。
「私はヴェルズヘリオロープを2体特殊召喚」
〈ヴェルズヘリオロープ〉☆4 岩石族 闇属性
ATK1950
「………久しぶりだな、ジェムナイトエメラル」
俺の呟きに、2体のヘリオロープが恭しく頭を下げる。
「まずは小手調べ。私は2体のレベル4ヴェルズモンスター、ヴェルズヘリオロープ2体でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚」
2体のヘリオロープが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から青い翼を持つ漆黒の龍が舞い降りた。
「希望を消し去る暴龍、ランク4、ヴェルズオピオン」
〈ヴェルズオピオン〉★4 ドラゴン族 闇属性
ATK2550
「ヴェルズオピオン………グングニールだな」
「ヴェルズオピオンの永続効果、イビルソートカース。オーバーレイユニットを持っているこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない」
「なかなか面倒な効果だな」
俺のデッキは絵札の三銃士を主軸にしているためジャックスナイトやアルカナナイトジョーカーのようなレベル5以上のモンスターを特殊召喚する機会は割と多い。
少なくともオピオンがいる間は絵札の三銃士が封じられるのは結構な痛手だ。
「さらにヴェルズオピオンの効果発動、イビルソートインベーション。オーバーレイユニットを1つ使い、1ターンに1度、デッキから『侵略の』魔法・罠カード1枚を手札に加える。私はデッキから永続罠、侵略の侵喰感染を手札に加える。侵略の侵喰感染は1ターンに1度、自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在する、ヴェルズと名のついたモンスター1体をデッキに戻してデッキからヴェルズと名のついたモンスター1体を手札に加えることができる。私はカードを3枚伏せてターンエンド」
遊騎 LP8000 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ○
ーーーーー
ー▲▲▲ー ー
闇 LP8000 手札2
「俺のターン、ドロー‼︎」
特殊召喚を制限するオピオンにセットカードが3枚。
かなり万全そうな布陣だが、あのセットカードの1枚はさっきサーチした侵略の侵喰感染だろうし、先程の闇のデュエルを見る限り直接モンスターを除去するカードは少なそうだ。
それならば、この手札でオピオンを突破できる。
「相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚することができる。来い、
〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性
ATK1800
俺の前に現れたのはハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。
「ヒロイック………私が知らない遊騎の新しいモンスター」
「このカードは守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与えることができる。そして装備魔法、月鏡の盾をH・C 強襲のハルベルトに装備‼︎このカードの装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時のみ、装備モンスターの攻撃力・守備力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力と守備力の内、高い方の数値を+100ポイントアップした数値になる‼︎」
「むぅ、流石遊騎。もうヴェルズオピオンを突破してくるんだ」
ハルベルトの手元に満月のような綺麗な金色の輝きを放つ盾が現れる。
これならばハルベルトでオピオンを突破できる。
「バトル‼︎H・C 強襲のハルベルトでヴェルズオピオンを攻撃‼︎フルムーンハルバード‼︎」
「仕方ない………迎え撃って、ヴェルズオピオン。暴虐のクリエイションクライシス」
「ダメージ計算時、月鏡の盾によりH・C 強襲のハルベルトはヴェルズオピオンの攻撃力を+100ポイントアップした数値になる‼︎」
H・C 強襲のハルベルト
ATK1800→2650
オピオンが口から闇を纏った氷のブレスをハルベルトに向かって放つが、ハルベルトが月鏡の盾で防ぐと氷のブレスは反射され、自分のブレスを受けたオピオンが怯む。
その隙にハルベルトはオピオンに近づくとハルバードでオピオンを貫き、破壊した。
闇 LP8000→7900
「H・C 強襲のハルベルトの効果発動‼︎このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時にデッキからヒロイックカードを手札に加える。俺はデッキから
〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性
ATK1300
フィールドに頭巾を被り、背中に何本もの刀を背負った戦士が現れる。
それを見て、俺は正面に手をかざす。
「斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
「リンク召喚だね………」
俺の前に巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はH・C 強襲のハルベルトとH・C サウザンドブレードの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600 ↙︎ ↘︎
ハルベルトとサウザンドブレードの2体がサーキットの中に消えると代わりに金髪と白髪の2人の女性が現れる。
「墓地に送られた月鏡の盾とチェーンして聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎聖騎士の追想 イゾルデをリンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキからキングスナイトを手札に加える‼︎そして墓地に送られた月鏡の盾の効果、表側表示のこのカードがフィールドから墓地へ送られた場合、500ライフポイントを払ってこのカードをデッキの一番上または一番下に戻す。俺は月鏡の盾をデッキの下に戻す」
遊騎 LP8000→7500
「まだ終わらない‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、神剣-フェニックスブレード、月鏡の盾、最強の盾を墓地に送り、デッキからクィーンズナイトを守備表示で特殊召喚‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
俺の前に現れたのは赤い鎧を身に纏った女性の騎士。
先程のサーチ効果でキングスナイトも手札に加わってるから、クィーンズナイトが破壊されなければ次のターンには絵札の三銃士を揃えられる。
そしてクィーンズナイトを破壊してもイゾルデが残っていればまたクィーンズナイトを呼ぶことができる。
さて、闇はどう対処してくるかな?
「更に墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える。俺はデッキから黄金色の竹光を手札に加える。カードを2枚セットしてターンエンドだ」
遊騎 LP7500 手札4
ーー▲▲ー ー
ー□ーーー
☆ ー
ーーーーー
ー▲▲▲ー ー
闇 LP7900 手札2
「私のターン、ドロー。クィーンズナイトとキングスナイトを揃えられたのは面倒だけど、要はその効果を使わせなければいいだけ。私はヴェルズカストルを召喚」
〈ヴェルズカストル〉☆4 戦士族 闇属性
ATK1750
現れたのは闇を纏った白い鎧をつけた戦士。
「次はお前か、セイクリッドポルクス………」
「ヴェルズカストルの召喚時、手札にあるカゲトカゲの効果発動。自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。それにチェーンしてリバースカードオープン。罠発動、エンペラーオーダー」
「っ、エンペラーオーダーがあったか………というかそのコンボがすでに揃っているのも厄介だな」
「エンペラーオーダーの効果、モンスターが召喚に成功した時に発動するモンスターの効果が発動した時、その発動を無効にし、無効にされたプレイヤーは1枚ドローする。私はカゲトカゲの特殊召喚を無効にして1枚ドロー。ドローはされちゃうけど、エンペラーオーダーがあればキングスナイトの効果は発動しないから、絵札の三銃士が揃うことはない。そしてヴェルズカストルには召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけヴェルズと名のついたモンスター1体を召喚できる効果がある。私はヴェルズサンダーバードを召喚」
〈ヴェルズサンダーバード〉☆4 雷族 闇属性
ATK1650
次にフィールドに現れたのは漆黒の身体を持つ鳥のようなモンスター。
闇の言葉通りなら、あれは霞の谷の巨神鳥か。
「ヴェルズサンダーバードの召喚時、手札にあるカゲトカゲの効果発動。自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。それにチェーンしてエンペラーオーダーの効果、モンスターが召喚に成功した時に発動するモンスターの効果が発動した時、その発動を無効にし1枚ドローする。このまま攻めてもいいけど、遊騎相手ならこっち。顕現せよ………邪念渦巻くサーキット」
「リンク召喚か………」
闇が正面に手をかざすと巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件はヴェルズモンスター2体。私はヴェルズカストルとヴェルズサンダーバードをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイ」
カストルとサンダーバードがサーキットに吸い込まれていく。
そしてサーキットから溢れ出るように現れたのはガスのように実体がない黒い霧のモンスター。
「リンク召喚。始まりの悪意。リンク2、インヴェルズオリジン」
〈インヴェルズオリジン〉LINK 2 悪魔族 光属性
ATK2000 ↑↓
「インヴェルズオリジン………」
このカードが、闇が言っていたヴェルズを生み出した闇のカード。
思わず注視していると、どこからか興味深そうな声が聞こえてきた。
『カ コトオ ナンビフ ウイカト キウユ ルイテニ ニレワ ガマサキ ウホ』
「………不憫は余計だ」
『カイナ ハデルア ガロコドミ ハトルス イカリ ヲゴンゲ ノラレワ ウモ ウホ』
「………闇に教えられたしな」
「インヴェルズオリジン………ここは人前………喋るの、ダメ」
『タツカワ ナダ ウドンメ』
そういうと、本当に仕方なさそうにオリジンは話すのを止めた。
………少し会話しただけだが、なんか妙に人間臭い奴だったな………オリジン。
「デュエルを続ける。インヴェルズオリジンの永続効果、イビルリストレイント。このカードがEXモンスターゾーンに存在する限り、お互いにEXデッキからメインモンスターゾーンにモンスターを特殊召喚する場合、このカードのリンク先にしか出せない。さらにこのカードのリンク先にモンスターが存在する限り、このカードは効果の対象にならず、戦闘・効果では破壊されない」
「面倒な制約効果だな」
「インヴェルズオリジンの力はそれだけじゃない。本番はここから。バトル。インヴェルズオリジンでクィーンズナイトを攻撃。マレヴァランスオリジン」
「クィーンズズナイトを狙ってくるのか?」
オリジンから黒い闇の波動が放たれ、それを受けたクィーンズナイトが闇に呑まれて消滅する。
クィーンズナイトを呑み込んだ闇は、闇のフィールドに集まると、何かの形を作り始める。
「インヴェルズオリジンの効果、マレヴァランスインクリース。1ターンに1度、フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された時、その破壊されたモンスターの数まで、デッキからレベル4以下のヴェルズモンスターを守備表示で特殊召喚する」
「っ、ヴェルズモンスターを増やせるのか⁉︎」
「私はデッキからヴェルズケルキオンを守備表示で特殊召喚」
〈ヴェルズケルキオン〉☆4 魔法使い族 闇属性
DEF1550
現れたのは闇を纏い両手に杖を持った魔術師のようなモンスター。
「メインフェイズ2、ヴェルズケルキオンの効果、自分の墓地のヴェルズモンスター1体を除外し、自分の墓地のヴェルズモンスター1体を対象としてそのモンスターを手札に加える。私は墓地のヴェルズヘリオロープ1体を除外してもう1体のヴェルズヘリオロープを手札に加える。さらにヴェルズケルキオンには墓地からモンスターを回収する効果を発動したターンのメインフェイズにヴェルズモンスターを1体召喚できる」
「っ、ということは………」
「私はヴェルズヘリオロープを召喚」
〈ヴェルズヘリオロープ〉☆4 岩石族 闇属性
ATK1950
再び現れる禍々しい闇を纏う岩石の戦士。
「ヴェルズヘリオロープの召喚時、手札にあるカゲトカゲの効果発動。自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。それにチェーンしてエンペラーオーダーの効果、カゲトカゲの発動を無効にし1枚ドローする」
「………あれだけ召喚したのにターンの最初より手札が増えてるな」
「まだ終わりじゃない。私は2体の闇属性レベル4モンスター、ヴェルズヘリオロープとヴェルズケルキオンでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚」
ヘリオロープとケルキオンが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けるとフィールドに赤いマントを羽織った鎧の戦士が現れる。
「希望を忘れさせる悪夢、ランク4、ヴェルズナイトメア」
〈ヴェルズナイトメア〉★4 悪魔族 闇属性
DEF1950
あのモンスターにも見覚えがある。
間違っていなければ、あのモンスターの元になったのはXX-セイバー ボガーナイトだろう。
この調子だと、まだまだ俺の知ってるモンスター達がヴェルズとして現れそうだ。
「ヴェルズナイトメアは相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、オーバーレイユニットを1つ取り除いてその特殊召喚したモンスターを裏側守備表示にすることができる」
「それでイゾルデは残したってわけか」
イゾルデでモンスターを特殊召喚しても裏守備にしてしまえばリンク召喚やエクシーズ召喚の素材にすることができない。
おまけにイゾルデではオリジンとナイトメアを突破することは出来ないし、新たにEXデッキからあのモンスター達を倒せるモンスターを出そうとしても現状オリジンのリンクマーカーの先にしか特殊召喚できないため、オリジンは耐性を得てしまう。
イゾルデを倒してくれてたらナイトメアが出る前に戦闘ダメージを受けるからサウザンドブレードが出せたから突破する手段もあったんだが………これはなかなか厄介だな。
「私はこれでターンエンド」
遊騎 LP7500 手札4
ーー▲▲ー ー
ーーーーー
☆ ☆
ーーー□ー
ー▲▲▲ー ー
闇 LP7900 手札4
「俺のターン、ドロー‼︎裏守備にされようがやるしかないな。聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから妖刀竹光、折れ竹光、ビッグバンシュート、閃光の双剣-トライスを墓地に送り、デッキから
〈H・C エクストラソード〉☆4 戦士族 地属性
DEF1000
現れたのは銀色の鎧を身に纏った二刀流の戦士。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える」
「それは仕方ない。ヴェルズナイトメアの効果発動、アネンディングナイトメア。相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、オーバーレイユニットを1つ取り除いてその特殊召喚したモンスターを裏側守備表示にする」
「ならそれにチェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎一族の結集‼︎フィールドの表側表示モンスター1体を対象として、そのモンスターと元々のカード名が異なり、元々の種族が同じモンスター1体を自分の手札・墓地から選んで特殊召喚する‼︎俺が対象にするのは戦士族の聖騎士の追想 イゾルデ‼︎俺は墓地からH・C 強襲のハルベルトを攻撃表示で特殊召喚‼︎」
〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性
ATK1800
俺の前に再びハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士が現れる。
それを見て、闇は少し困ったような表情を浮かべる。
「厄介なモンスターが蘇生されちゃったね。チェーンの関係でヴェルズナイトメアの効果はH・C 強襲のハルベルトには使えない。だけど、H・C エクストラソードには眠ってもらう」
ナイトメアの鎧から闇が溢れだし、エクストラソードを呑み込むと、エクストラソードがその場に崩れ落ちる。
すまない、エクストラソード。
だが、お前のおかげでこの状況の突破口を開けそうだ。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果で俺はデッキから折れ竹光を手札に加える俺は装備魔法、折れ竹光を聖騎士の追想 イゾルデに装備‼︎」
金髪のイゾルデの手元に折れ竹光が現れる。
「そして魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎そして墓地に存在する神剣-フェニックスブレードの効果発動‼︎自分の墓地に存在する戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、このカードを自分の墓地から手札に加える。俺は墓地からクィーンズナイトとH・C サウザンドブレードの2体を除外して神剣-フェニックスブレードを手札に戻す。そして魔法カード、手札抹殺‼︎」
「‼︎ここで一気に手札入れ替え………おまけにカゲトカゲまで処理されちゃうね」
「お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数と同じ枚数ドローする‼︎俺は6枚、闇は4枚捨ててドローだ。さらに再び魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎」
「むぅ………ドローが止まらない」
手札抹殺で手札を全て入れ替え、さらに黄金色の竹光でドローする。
よし、これなら………‼︎
「H・C エクストラソードをリリースして
〈H・C ウォーハンマー〉☆6 戦士族 地属性
ATK2100
フィールドに現れたのは鋼鉄の鎧に身を包み、巨大なハンマーを持ったモンスター。
「上級のヒロイックもいるんだ………ヴェルズナイトメアの守備力を超えられちゃった」
「それだけじゃないぜ。H・C ウォーハンマーはこのカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備し、このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップすることができる」
「むむっ、自己強化まであるんだ………なかなか厄介」
「これだけじゃ終わらない‼︎魔法カード、ヒロイックチャンス‼︎自分フィールド上のヒロイックと名のついたモンスター1体を選択し、このターン、選択したモンスターは攻撃力が倍になる‼︎ただし、相手プレイヤーにダイレクトアタックは出来なくなる。俺が選択するのはH・C 強襲のハルベルト‼︎」
H・C 強襲のハルベルト
ATK1800→3600
「むぅ、H・C 強襲のハルベルトにも越えられちゃった………おまけに守備貫通もあるんだよね」
「これで準備は整った‼︎バトル‼︎H・C 強襲のハルベルトでヴェルズナイトメアを攻撃‼︎ライトニングハルバード‼︎」
ハルベルトが持っていたハルバードに雷が落ち、ハルベルトはそのまま雷を纏ったハルバードでナイトメアの身体を貫いた。
闇 LP7900→6250
「H・C 強襲のハルベルトの効果発動‼︎このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時にデッキからヒロイックカードを手札に加える‼︎」
「それにチェーンしてインヴェルズオリジンの効果、マレヴァランスインクリース。デッキからレベル4以下のヴェルズモンスター、ヴェルズサンダーバードを守備表示で特殊召喚する」
〈ヴェルズサンダーバード〉☆4 雷族 闇属性
DEF1050
再びフィールドにサンダーバードが現れる。
だが、サンダーバードならまだ突破できる‼︎
「H・C 強襲のハルベルトの効果で俺はデッキから
「ここは逃げる。リバースカードオープン。罠発動。深すぎた墓穴。自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として、次の自分スタンバイフェイズにそのモンスターを墓地から自分フィールドに特殊召喚する。私が選択するのは私の墓地にあるヴェルズゴーレム」
「手札抹殺で落ちたカードか………」
「さらにそれにチェーンしてヴェルズサンダーバードの効果、このカードを除外して魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、自分フィールド上のこのカードをゲームから除外し、この効果で除外したこのカードは次のスタンバイフェイズ時にフィールド上に戻り、攻撃力は300ポイントアップする」
「そんな効果を持ってたのか………」
フィールドからサンダーバードの姿が消え、攻撃を仕掛けようとしていたイゾルデの動きが止まる。
「攻撃対象がいなくなったことで攻撃は取り止める。次だ、H・C ウォーハンマーでインヴェルズオリジンを攻撃‼︎ギガントブレッヒェン‼︎」
「………インヴェルズオリジン」
『ルオテッカワ』
「ならいい。迎え撃って、インヴェルズオリジン。マレヴァランスオリジン」
オリジンが闇の波動をウォーハンマーに向けて放つが、ウォーハンマーはハンマーを振るって闇の波動ごとオリジンを打ち砕いた。
闇 LP6250→6150
「H・C ウォーハンマーの効果発動‼︎このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備し、このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップすることができる‼︎」
H・C ウォーハンマー
ATK2100→4100
ウォーハンマーのハンマーに、破壊したオリジンが吸い込まれていき、ハンマーが薄っすらと闇を纏う。
………擬似的とはいえ闇のカードのコントロールを得たんだから前のコードオブアームズの時みたいに痛みが来るかと思ったんだが………
そんな疑問を抱いた俺に、オリジンが小さな声で語りかけてくる。
『ルレラコオ トルヤ イナ ハトコルス クヨシンシ ヲマサキ ガレワ』
「………なんというか、すまん」
『ナルスニキ』
少し怯えた声を出すオリジンに同情しながらも、切り替えてデュエルに意識を戻す。
「これで闇のフィールドはがら空きだ‼︎速攻魔法、ライバルアライバル‼︎」
「‼これは………」
「このカードは自分・相手のバトルフェイズに発動でき、モンスター1体を召喚する‼︎来い、H・Cダブルランス‼︎」
〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性
ATK1700
フィールドに2つの槍を持った白い戦士が現れる。
そのモンスターは出てくると同時に勇ましい雄叫びをあげる。
「H・C ダブルランスの効果発動‼︎召喚成功時に手札・墓地の同名モンスターを表側守備表示で特殊召喚する‼︎ただしこのカードはシンクロ素材にできず、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない」
「さっきの手札抹殺で落ちたんだね………仕方ない、それにチェーンしてエンペラーオーダーの効果、モンスターが召喚に成功した時に発動するモンスターの効果が発動した時、その発動を無効にし1枚ドローさせる」
「エンペラーオーダーの効果で1枚ドロー‼︎そしてH・C ダブルランスでダイレクトアタック‼︎ツヴァイシュティヒ‼︎」
ダブルランスが勢いよく闇に突撃し、2つの槍でその身体を貫く。
「うっ………」
闇 LP6150→4450
「まだ終わらない‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎罠発動‼︎ワンダーエクシーズ‼︎その効果により自分フィールド上のモンスターでエクシーズ召喚を行う‼︎」
「やっぱり、これは遊騎の十八番。バトルフェイズ中の連続召喚による奇襲攻撃‼︎」
「俺は戦士族、レベル4のH・C ダブルランスとH・C 強襲のハルベルトでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎」
ダブルランスとハルベルトが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から赤い鎧を着た馬に乗る弓兵が舞い降りた。
「エクシーズ召喚‼︎現れろ
〈HーC ガーンデーヴァ〉★4 戦士族 地属性
ATK2100
「そして今はまだバトルフェイズ中だ‼︎HーC ガーンデーヴァで闇にダイレクトアタック‼︎暴嵐の矢‼︎」
「っ………」
闇 LP4450→2350
ガーンデーヴァが放つ嵐のような弓矢が闇のライフを大きく削る。
これでライフもフィールドもこちらの方が有利になった。
闇相手に油断は出来ないが、このまま押し切って………そんなことを考えながら闇の方を見る。
するとそこにはーーー
「ぐすっ………うぅ………」
「いいっ⁉︎や、闇⁉︎おま、なんで泣いてるんだよ⁉︎」
ーーー目から大粒の涙を流し泣いている闇の姿があった。
俺ですら初めて見る闇の泣き顔に、辺りは騒然とし、俺もあまりの事態に動揺してしまう。
そんな騒然とした店内で、闇は震えた声で途切れ途切れになりながら、それでもはっきりとその言葉を口に出す。
「………楽しい」
「………えっ?」
「楽しい………楽しいね………遊騎………やっぱり………あの頃と………同じ………遊騎とのデュエルが………1番………楽しい………心が……踊る‼︎」
「‼︎闇………お前………笑って………」
いつも無表情な闇が、涙を流しながらも、誰が見ても分かるような、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「だから………もっと、もっと、デュエル、する‼︎遊騎と、楽しい、デュエル、たくさん、する‼︎」
「………最悪だ」
そんな、満面の笑みを浮かべる闇を見て、俺は自分の至らなさに思わず、右手で自分の頭を勢いよく殴る。
「こんなことならもっと早く、お前とデュエルをしてやればよかった………本当に、自分の至らなさが嫌になる」
俺は1度目を閉じて、両手で自分の頰を叩くと、闇に向けて満面の笑みを浮かべた。
「ああ、続けようぜ、闇。俺とお前の、楽しいデュエルを‼︎」
「‼︎うん‼︎」
俺の言葉に、闇が満面の笑みで応える。
もう、勝敗なんて関係ない。
今だけは、闇が………そして俺自身が望んだ楽しいデュエルのために、全力でぶつかる‼︎
「メインフェイズ2、カードを2枚伏せてターンエンドだ‼︎」
遊騎 LP7500 手札3
ー☆▲▲ー ー
ー○○ーー
☆ ー
ーーーーー
ーー△▲ー ー
闇 LP2350 手札4
「私のターン、ドロー‼︎スタンバイフェイズ、深すぎた墓穴の効果で墓地からヴェルズゴーレムを特殊召喚‼︎」
〈ヴェルズゴーレム〉☆5 岩石族 闇属性
ATK2150
闇のフィールドに胴体が真っ二つに折れ、その中から黒い昆虫の甲殻が生えている機械のモンスターが現れる。
外見からして、アレはAOJカタストルか。
「さらに除外されていたヴェルズサンダーバードはフィールドに戻ってくる‼︎これは特殊召喚じゃないからHーC ガーンデーヴァの効果にも引っかからない‼︎」
ヴェルズサンダーバード
ATK1650→1950
姿を消していたサンダーバードが再びフィールドに現れる。
さあ、どう動いてくる、闇?
「まずはフィールド魔法、混沌空間を発動‼︎」
闇がそう宣言すると、店内の風景が様々な場所に渦巻きが存在する青白い不気味なフィールドに書き換えられる。
「混沌空間の効果でモンスターが表側表示で除外される度に、1体につき1つこのカードにカオスカウンターを置くようになるよ。さらに相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、手札からヴェルズマンドラゴを特殊召喚‼︎」
〈ヴェルズマンドラゴ〉☆4 植物族 闇属性
ATK1550
新しく出てきたのは闇を纏ったマンドラゴラのようなモンスター。
元になったのは、ナチュルコスモスビートか?
何だろうと止めておいた方がいいか。
「HーC ガーンデーヴァの効果発動‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、相手フィールド上にレベル4以下のモンスターが特殊召喚された時、その特殊召喚されたモンスターを破壊する。裁きの神弓‼︎」
「させない‼︎それにチェーンしてリバースカードオープン‼︎永続罠、侵略の侵喰感染‼︎1ターンに1度、自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在する、ヴェルズと名のついたモンスター1体をデッキに戻してデッキからヴェルズと名のついたモンスター1体を手札に加えることができる‼︎私はフィールドのヴェルズマンドラゴをデッキに戻してデッキから2体目のヴェルズマンドラゴを手札に加える‼︎」
「うっ、やべっ、すっかり忘れてた」
「これでもうHーC ガーンデーヴァの効果は使えない‼︎そしてデッキに戻ったからまだ遊騎のモンスターの方が多い‼︎手札からヴェルズマンドラゴを特殊召喚‼︎」
〈ヴェルズマンドラゴ〉☆4 植物族 闇属性
ATK1550
ガーンデーヴァの放つ弓をマンドラゴは地面に潜って躱し、しばらくして再び姿を現わす。
「どんどん行く‼︎ヴェルズゴーレムの効果発動‼︎1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在する、闇属性以外のレベル5以上のモンスター1体を選択して破壊できる‼︎私はH・C ウォーハンマーを破壊する‼︎」
「くっ、すまない、H・C ウォーハンマー」
ヴェルズゴーレムの目から闇を纏ったレーザーが放たれ、それを受けたウォーハンマーが消滅する。
「まだまだ………まだまだ‼︎私は召喚僧サモンプリーストを召喚‼︎」
〈召喚僧サモンプリースト〉☆4 魔法使い族 闇属性
ATK800
闇の前に現れたのは黒いローブを纏った魔法使い。
「召喚僧サモンプリーストは召喚時に効果で守備表示になる。それにチェーンしてエンペラーオーダーの効果、モンスターが召喚に成功した時に発動するモンスターの効果が発動した時、その発動を無効にし1枚ドローする‼︎そして、召喚僧サモンプリーストの効果発動‼︎1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて、デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。私はシャッフルリボーンを捨てて、デッキからヴェルズケルキオンを特殊召喚‼︎」
〈ヴェルズケルキオン〉☆4 魔法使い族 闇属性
ATK1600
「っ、まだヴェルズケルキオンの効果も使ってないのにモンスターゾーンが埋まった⁉︎ってことは次は………」
「そして顕現せよ………邪念渦巻くサーキット‼︎」
「っ、やっぱりリンク召喚か‼︎」
闇が正面に手をかざすと大きなサーキットが現れる。
「召喚条件はモンスター2体‼︎私はヴェルズマンドラゴと召喚僧サモンプリーストをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2、魔界の警邏課デスポリス‼︎」
〈魔界の警邏課デスポリス〉LINK 2 悪魔族 闇属性
ATK1000 ↙︎↘︎
マンドラゴとサモンプリーストがサーキットに吸い込まれ、代わりに現れたのは警察官の格好をした悪魔の少女。
「魔界の警邏課デスポリスはカード名が異なる闇属性モンスター2体を素材としてリンク召喚した時、1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体をリリースし、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として戦闘・効果で破壊される場合、代わりに1つ取り除くことができる警邏カウンターを1つ置くことが出来る効果を得る‼︎さらにヴェルズケルキオンの効果、私は墓地のヴェルズナイトメアを除外してヴェルズカストルを手札に加える‼︎さらに混沌空間の効果でモンスターが表側表示で除外されたからカオスカウンターを1つ置く‼︎」
混沌空間
カオスカウンター0→1
カストルを手札に加えたところで闇は1度目を閉じ、本当に楽しそうな、それでいて確かな自信を秘めた目で俺を見た。
「ここからが本番………私の今出せる全力、私の切り札達‼︎全部全部、遊騎に見せる‼︎儀式魔法、
「っ………それも今のデッキに入ってたのか………」
闇が使ってきた儀式魔法に、俺は目を見開く。
俺がまだ『Trumpfkarte』にいた頃、闇は『氷結界』のデッキを使っていた。
だが、それも正確に言うと正しいわけではない。
闇は俺があげたカードでデッキを組んでいた頃から、色々な召喚方法に興味を持ち、積極的に自分のデッキに取り入れていた。
だから、闇のデッキはシンクロ召喚が軸になる『氷結界』デッキでありながら
その中で、闇が『氷結界』の頃からデッキの中に取り入れていたのが、闇が使う氷結界の三龍の力を持った『影霊衣』の儀式モンスター達。
闇が初めて遊花に会った時、確かに全部の召喚方法が使えると宣言していたが、まさか影霊衣がそのまま取り入れられているとは思っていなかった。
そして今のフィールドを見る限り、この状況で出てくるのは闇のお気に入りであるあのモンスターの力を秘めた影霊衣。
「影霊衣の反魂術の効果でレベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、自分の手札・墓地から影霊衣儀式モンスター1体を儀式召喚する‼︎私はフィールドにいるレベル5のヴェルズゴーレム、レベル4のヴェルズサンダーバードをリリースして墓地から儀式召喚を行う‼︎」
フィールドに輝くダイヤモンドのような物が現れ、それにヴェルズゴーレムとサンダーバードが吸い込まれる。
しばらくするとそのダイヤモンドが輝きはじめ、ダイヤモンドの周囲が凍り付いていく。
「その身に宿すは最凶の龍‼︎今こそ最凶の力を得て、全てを凍りつかせよ‼︎儀式召喚‼︎」
闇の声に応えるように、ダイヤモンドまでもが凍りつくと、ダイヤモンドが砕け散り、その中から氷の鎧を身に纏い、氷の剣を持った戦士が現れた。
「最凶の龍を秘めた凄まじき戦士‼︎トリシューラの
〈トリシューラの影霊衣〉☆9 戦士族 水属性
ATK2700
「やっぱりそいつだったか………トリシューラの影霊衣」
「トリシューラの影霊衣の効果発動、トリニティブリザード‼︎このカードが儀式召喚に成功した時、相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚選び、その3枚を除外する‼︎私は遊騎の手札1枚、フィールドのHーC ガーンデーヴァ、墓地のH・C ダブルランスを除外する‼︎」
「っ、手札からはジャックスナイトが除外される」
トリシューラの影霊衣の氷の剣を振るうと、俺の手札とフィールドにいたガーンデーヴァと、墓地のダブルランスが凍り付き、消滅する。
相変わらず強力な効果をしてやがるな。
「さらに混沌空間の効果でモンスターが表側表示で3体除外されたからカオスカウンターを3つ置く‼︎」
混沌空間
カオスカウンター1→4
「そしてヴェルズケルキオンには墓地からモンスターを回収する効果を発動したターンのメインフェイズにヴェルズモンスターを1体召喚できる‼︎私はヴェルズカストルを召喚‼︎」
〈ヴェルズカストル〉☆4 戦士族 闇属性
ATK1750
「ヴェルズカストルには召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけヴェルズと名のついたモンスター1体を召喚できる効果がある。私はヴェルズサラマンドラを召喚‼︎」
〈ヴェルズサラマンドラ〉☆4 恐竜族 闇属性
ATK1850
現れたのは闇が身体から溢れ出し、黒い棘が身体から生えているモンスター。
今度はジュラックタイタンかよ………
そして、闇の攻撃はまだまだ終わらない。
「私は墓地に存在するチューナーモンスター、グローアップバルブの効果発動‼︎デュエル中に1回、このカードが墓地に存在する場合に、自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、このカードを特殊召喚する‼︎」
「グローアップバルブ⁉︎っ、手札抹殺の時に落ちてたのか⁉︎」
〈グローアップバルブ〉☆1 植物族 地属性
DEF100
フィールドに現れたのは白い花が生えた球根のようなモンスター。
闇のフィールドに新しく出たのはレベル1のチューナー。
そして闇のフィールドにはレベル4モンスターがたくさんいる。
これは、奴が来る‼︎
「私は、レベル4、ヴェルズサラマンドラ、レベル4、ヴェルズカストルに、レベル1、チューナーモンスター、グローアップバルブをチューニング‼︎」
グローアップバルブが光の輪になり、サラマンドラとカストルが小さな星に変わり、光の道になる。
「全てを消し去る破壊の槍よ、今ここに最凶の力を示せ‼︎シンクロ召喚‼︎」
そして光の道が輝くと、その中から現れるのは氷の翼を持った三つ首の氷龍。
闇の『氷結界』時代からの切り札であり、異名である『氷の女王』の所以たるモンスター。
「希望を、世界すらも凍結させる最凶の氷龍‼︎氷結界の龍トリシューラ‼︎」
〈氷結界の龍トリシューラ〉☆9 ドラゴン族 水属性
ATK2700
「っ、やっぱり本物のトリシューラは迫力が違うな」
身体にその力を秘めているトリシューラの影霊衣とは違う、圧倒的な存在感と威圧感。
最凶の龍足るその力が、今から猛威を振るう。
「氷結界の龍トリシューラの効果発動、トリニティフリーズ‼︎このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる‼︎」
「くっ、なら、チェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎ダメージダイエット‼︎このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる‼︎」
「ダメージが減るのは仕方ない………だけど、他は全部貰う‼︎氷結界の龍トリシューラの効果で1、遊騎の手札‼︎」
「くっ、オネストが………」
トリシューラの三つ首の左の顔から氷のブレスが放たれ、手札のオネストが凍り付き、消滅する。
「2、フィールドにある遊騎の最後の伏せカード‼︎」
「っ、拮抗勝負までやられるか………」
今度はトリシューラの三つ首の右の顔から氷のブレスが放たれ、フィールドの拮抗勝負が凍り付き、消滅する。
「3、遊騎の墓地にある神剣-フェニックスブレード‼︎この3枚を除外する‼︎トリニティフリーズ‼︎」
最後にトリシューラの三つ首の中央の顔から氷のブレスが放たれ、墓地のフェニックスブレードが凍り付き、消滅した。
逆転するのに必要そうなカードを全て凍り付かされた………これは流石に痛すぎる。
「混沌空間の効果でモンスターが表側表示で1体除外されたからカオスカウンターを1つ置く‼︎」
混沌空間
カオスカウンター4→5
「まだ………まだ私はやれる‼︎フィールド魔法、混沌空間の効果発動‼︎1ターンに1度、自分フィールドのカオスカウンターを4つ以上取り除き、取り除いた数と同じレベルを持つ、除外されている自分または相手のモンスター1体を対象としてそのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する‼︎私はカオスカウンターを4つ取り除き、除外からヴェルズヘリオロープを特殊召喚‼︎」
混沌空間
カオスカウンター5→1
〈ヴェルズヘリオロープ〉☆4 岩石族 闇属性
ATK1950
「まだ終わりじゃない‼︎魔法カード、使者蘇生。墓地に存在するモンスター1体を特殊召喚する‼︎」
「ここで蘇生カードだって⁉︎」
「墓地から甦れ、もう1体のヴェルズヘリオロープ‼︎」
〈ヴェルズヘリオロープ〉☆4 岩石族 闇属性
ATK1950
「そして、バトル‼︎トリシューラの影霊衣で聖騎士の追想 イゾルデを攻撃‼︎陰影のアイシクルアパリション‼︎」
トリシューラの影霊衣が地面に向けて氷の剣を突き刺すと、地面がひび割れ、地面から大量の氷柱が出現し、イゾルデ達の動きを拘束する。
トリシューラの影霊衣は地面に剣を突き刺したまま勢いよく跳び上がると、足元に氷柱を出現させ、その状態でイゾルデに向けて飛び蹴りを放ち、蹴りの勢いと氷柱によりイゾルデ達の身体を貫いた。
「ぐっ‼︎」
遊騎 LP7500→6950
「続けて、魔界の警邏課デスポリスでダイレクトアタック。ポリスストライク」
「くっ………これくらい‼︎」
デスポリスが警棒で俺の身体を勢いよく叩きつける。
遊騎 LP6950→6450
「もっともっと‼︎ヴェルズケルキオンでダイレクトアタック‼︎クリスタルマジック‼︎」
「っ………」
ケルキオンの持っている杖から闇の球体が放たれ、俺の身体を貫いて消滅する。
遊騎 LP6450→5650
「まだまだ行く‼︎1体目のヴェルズヘリオロープでダイレクトアタック‼︎テンプテーションブレイク‼︎」
「くっ………」
ヘリオトロープが石の剣で俺の身体を斬り裂いていき、さらにその後ろから2体目のヘリオロープの剣が迫る。
「さらに2体目のヴェルズヘリオロープでダイレクトアタック‼︎テンプテーションブレイク‼︎」
「ぐあっ‼︎」
遊騎 LP5650→4675→3700
「最後‼︎氷結界の龍トリシューラでダイレクトアタック‼︎凍結のブリザードノヴァ‼︎」
闇の声に応えるかのようにトリシューラの三つ首全ての目が光ると、トリシューラの身体から吹雪が生み出され、三つ首全てが空気を吸い込むと、圧縮された氷のブレスが俺の身体を呑み込んだ。
「くっ、ぐあああっ‼︎」
遊騎 LP3700→2350
7500もあったライフが一気に闇と同じところまで減らされる。
そして、闇は笑みをさらに強くする。
「やっぱり、遊騎はまだまだ耐え切ってくれる………だから、もっともっと、本気出す‼︎メインフェイズ2、私は3体のレベル4モンスター、ヴェルズケルキオンと2体のヴェルズヘリオロープでオーバーレイ‼︎3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」
ケルキオンと2体のヘリオロープが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると、そこに現れるのはトリシューラと同等の圧倒的な存在感を放つ漆黒の三つ首龍。
「闇に堕ちし最凶の龍………ヴェルズウロボロス‼︎」
〈ヴェルズウロボロス〉★4 ドラゴン族 闇属性
ATK2750
「っ………ヴェルズウロボロス………トリシューラがヴェルズ化した姿、か」
『ゾンセ ハンゲカ メタノウオウヨジ ガワ シカシ ノドキウユ ナタツア タマ』
「ヴェルズウロボロスの効果発動、トリニティカース‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、1ターンに1度、3つの呪いからフィールドに表側表示で存在する限り1度ずつ、1つを相手にかけることが出来る‼︎今回発動するのは、相手の手札をランダムに1枚選んで墓地へ送る‼︎」
「手札破壊⁉︎」
ウロボロスの身体から闇が溢れ出し、俺の最後の手札を呑み込んで消滅させる。
………こいつは流石にマズイぜ。
「墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動‼︎自分フィールドのカード1枚を対象としそのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローする。ただしこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外する‼︎私はフィールドの魔界の警邏課デスポリスをEXデッキに戻し、カードを1枚ドローする‼︎」
「魔界の警邏課デスポリスを逃したか………」
「遊騎には簡単に高攻撃力を出せるヒロイックの切り札がいる。低攻撃力の魔界の警邏課デスポリスは流石に危険。私はカードを1枚伏せてターンエンド‼︎手札がないからシャッフルリボーンのデメリットも無し。さあ、もっともっと、楽しいデュエル、しよ‼︎」
「………ははっ、相変わらず、期待が重いな」
闇の言葉に、俺は思わず苦笑する。
今の俺には手札もフィールドにもカードは無い。
おまけに墓地も重要なカードはほとんど除外されてボロボロ。
この状況で逆転するのは、正直かなり厳しい。
だけど………
俺はチラッときらきらとした満面の笑みで俺を見ている闇の顔を見る。
………分かってる。
普段、ほとんど感情を表に出さないお前が、そんなに楽しいって言うんなら………これはお前にとって、本当に楽しくて………大切なデュエルなんだよな?
「………だったら、やってやろうじゃないか」
気合を入れ、俺も笑顔を浮かべる。
状況は完全にこちらの不利。
次のドロー次第では、その時点でゲームオーバー。
それでも、諦めはしない。
この圧倒的な逆境、必ず攻略してみせる。
なんたってこれは、どこまでも熱く燃えられる………楽しい楽しいデュエルなんだから。
遊騎 LP2350 手札0
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
○ー○ー○
ー▲△△ー ▽
闇 LP2350 手札0
次回予告
戦いは激化していく。
闇の強力な切り札達による猛攻を、遊騎は必死に凌いで勝機を探す。
激しい攻防の末、導かれる運命は?
次回 遊戯王Trumpfkarte
『英雄VS氷槍・蘇る運命』
次回、準決勝・遊騎VS闇、後編です。
激しさを増す遊騎と闇のデュエルはどのような結末を迎えるのか?
次回をお楽しみに。
そして今回の遊騎と闇の前半戦はかなり激しいぶつかり合いになりました。
何があれって2人共ドローし過ぎってところなんですよね。
遊騎はイゾルデの効果を入れるとデッキがもう半分を切ってますし、闇は闇でエンペラーオーダーで手札がなかなか減らないし。
そのくせ今回のラストにはお互い手札が0なんですよね、まさに総力戦って感じです。
そして現れた闇の儀式モンスター、影霊衣です。
今回の最後にはトリシューラを元にした3体のモンスターが並んでましたが、ぶっちゃけ闇のデッキは名前つけるならヴェルズトリシューラとでも言えそうな代物になってます。
他にも様々な理由はあるのですが、ネタバレになっちゃうので、いずれ分かるさ、いずれな、ということで。
それじゃあ今回はここまでです。
ようやく一章も終わりが迫ってきました。
逆にもう50話になるというところでなんでまだ一章も終わってないんだって思いますが………それはそれとして、頑張ります。
ではでは〜