いよいよもう1人の主人公、遊花のデッキが明かされます。
☆
「私を………私を、貴方の弟子にしてくれませんか‼︎」
「………は?」
空閑とのデュエルが終わり、公園を立ち去ろうとした俺に、少女は真剣な表情を浮かべながらそんなことを告げてきた。
正直、意味がわからない。
一体何処からそのような話に繋がったのだろうか?
あまりの展開に思わず頭を抱えたくなるが、真剣な表情でこちらを見ている少女を放って置くのも悪いと思い、どうしてそのような話になったのかを問いかけてみることにした。
「あ〜すまない、どうしてそういう話になったんだ?」
「………その、私が言った言葉、覚えていますか?その、色々あってデュエルが出来ないって………」
「………まぁ、だからこそさっき俺がデュエルしたんだからな」
覚えていないわけがない。
その言葉は確かに俺の心に響いて、だからこそ、先程のデュエルに至ったんだから。
少女は顔を俯かせながら、ポツポツと話始める。
「その、私も2年前までは、デュエルが出来ていたんです」
「………っ‼︎2年前?」
2年前という言葉に一瞬息が詰まりそうになった。
何故ならそれは、俺がデュエルが出来なくなったのと同じ時期で………
「あの頃は、本当に、毎日デュエルを出来ることが楽しくて、それを見て喜んでくれる人がいて………でも、そんな時間も、急に終わってしまって………私がデュエルをしていなければ、そんな時間が終わらなかったんじゃないかって、ありもしないことが、どうしても浮かんでしまって………デュエルをすることが、怖くなって………凄く凄く………怖くなって………」
独自するように、心情を吐露していく少女の身体が震え始める。
その独白に、その震えに、どれ程の思いが宿っているのだろう?
どれ程の激情が眠っていたのだろう?
「………でも、本当は………本当は………あの頃みたいに、デュエルがしたい‼︎」
「っ‼︎」
だからこそ、少女の心からの叫びに、俺の心が揺さぶられる。
何故なら、その思いは………
「怖いのも‼︎辛いのも‼︎無くなったりなんて、しないけど‼︎失くしてしまったものも、戻ってなんかこないけど‼︎それでも‼︎それでも、私は………心の中に残ってる思い出を‼︎お父さん達の願いを‼︎嘘になんてしたくない‼︎この思いを………運命だからなんて諦めたくない‼︎」
こちらを真っ直ぐに見つめ、泣きながらその思いの丈を叫ぶ少女を見て、俺は思う。
………あぁ………どうしてこの少女は………こんなにも
「だから………お願いします………私に、デュエルを教えて下さい………もう1度、あの頃みたいに………楽しんで………誰かを喜ばせれるようなデュエルを………そんなデュエルが出来るようなプロ決闘者に、私はなりたいんです‼︎お願いします‼︎」
そういって少女は俺に頭を下げる。
………出来るのだろうか?
俺に彼女が望むようなデュエルを教えることが。
許されるのだろうか?
俺のような人間が、誰かを教えることが。
「………どうして、俺なんだ?他の奴に教えて貰うんじゃダメなのか?」
「………空閑君とのデュエルを見てる時、懐かしい感じがしたんです」
「懐かしい?」
「はい………プロ決闘者だった、お父さんのデュエルを思い出したんです。どんな逆境でも、笑顔で、楽しそうに切り抜けて、皆を驚かせる。そんなデュエルが………私が目指したい場所なんです」
「………君は知らないみたいだけど、俺はこの街では悪名が高い。そんな奴の弟子になんかなったら、君にも悪名がつくかも知れないぞ?」
「さっき空閑君達が言ってたイカサマって奴ですか?」
「そうだ。それが原因で俺はプロリーグから追放されている。その弟子だからなんて理由で嫌がらせを受けたりするかも知れないぞ?」
「でも、貴方は絶対にそんなことしていません」
少女が1度顔をあげ、涙を拭いながら優しい目でこちらを見てくる。
「………知りもしなかったのになんで分かるんだ?」
「さっきのデュエルを見たら分かります。後は………その、女の勘って奴とか?ほら、私って女の子ですから」
「根拠なんてないじゃないか」
「根拠なんていらないんです。朝ぶつかっただけの女の子を全力で助けてくれた人なんですから。それに私、耐えるのは得意ですから。何を言われようがへっちゃらです」
そういって優しい笑顔を浮かべる少女。
あぁ、これは何を言っても聞きそうにない。
なら、俺がやることは………
「俺に君が望むことを教えられるかは分からない。でも、君の気持ちは分かった。だからこそ、君の覚悟を問いたい」
「覚悟………ですか?」
「デュエルだ」
そういって俺はデュエルディスクを起動する。
それを見て、女の子は少しだけ表情を歪め、身体を震わせる。
「君の気持ちが強いことは分かった。だからこそ、本当にそこに至りたいのなら、今ここで、覚悟を見せて貰う」
「………」
「勿論、断ってくれて構わない。デュエルが始まってからも、辛くなったらいつでも止めていい。正直、荒療治だということは自覚している」
俺の言葉に少女は目をキツく瞑りながらも1つ深呼吸をし、自分のカバンからデッキケースとデュエルディスクを取り出し、デッキをデュエルディスクにセットした。
その身体はやはり震えており、開かれた目には薄っすらと涙すら浮かんでいる。
それでも少女はしっかりとした目で俺を見る。
「まだ………怖いです………身体は震えるし………今だって逃げ出したいけど………でも、変わるって、決めたんです‼︎」
「………ふっ、そういえばお互いに名乗ってなかったな。俺は………結束 遊騎。君は?」
「栗原………栗原 遊花です‼︎」
「そうか………それじゃあ行くぞ‼︎遊花‼︎」
「はい‼︎」
『決闘‼︎』
遊騎 LP8000
遊花 LP8000
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★
「今回のチャレンジャーは君だ。それに、久しぶりのデュエルということもあるだろう。先攻でも後攻でも、好きな方を取るといい」
「ありがとうございます。それなら、先攻はいただきます」
身体はまだ震えている。
正直、変わるって決めた今でも、怖いことには変わりはない。
それでも、この怖さにも、痛みにも、きっと意味はあるハズだから。
私は手札にあるカード達を見る。
この子達を見ると、少し心が軽くなる。
この子達も、久しぶりのデュエルを待ち望んでいたのが分かるから。
「また、一緒に頑張ってくれる?」
私の問いかけに、優しい声が返ってきた気がした。
「私はクリバンデッドを召喚します‼︎」
〈クリバンデッド〉☆3 悪魔族 闇属性
ATK1000
私の前に現れたのは盗賊のような姿をした黒い毛玉のモンスター。
凄く好戦的にぴょんぴょんと跳ねながら手を振ってるけど………ゴメンね、1ターン目だから攻撃出来ないの。
「私はカードを2枚伏せて、エンドフェイズにクリバンデッドの効果発動‼︎このカードをリリースしてデッキの上から5枚めくり、その中から魔法・罠カード1枚を手札に加えて残りを墓地におきます」
ぴょんぴょん跳ねていたクリバンデッドの姿が消える。
その代わりに私はデッキの上から5枚のカードをめくって中から1枚のカードを手札に加えた。
「私は増殖の魔法カードを手札に加えてターンエンドです」
遊騎 LP8000 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ーーーーー
ーー▲▲ー ー
遊花 LP8000 手札3
「俺のターン、ドロー‼︎俺は
〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性
ATK1300
遊騎さんの前に現れたのは頭巾を被り、背中に何本もの刀を背負った戦士。
さらに遊騎さんはそのモンスターの効果を発動させる。
「H・C サウザンドブレードの効果発動‼︎1ターンに1度手札にあるヒロイックカードを捨ててデッキからヒロイックモンスターを特殊召喚する‼︎俺は手札にある
〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性
ATK1800
遊騎さんの前に現れたのは先程のデュエルでも見たハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。
あのモンスターは確かサーチ効果も持ってるんだよね。
「この効果を使ったH・C サウザンドブレードは守備表示になる」
H・C サウザンドブレード
ATK1300→DEF1100
サウザンドブレードが守備表示になったのは嬉しいけど、ハルベルドは少し厄介だなぁ。
最もーーーーー
「バトル‼︎H・C 強襲のハルベルトでダイレクトアタック‼︎ライトニングハルバード‼︎」
「攻撃宣言時、手札から虹クリボーの効果発動‼︎このカードをそのモンスターに装備し、そのモンスターは攻撃することが出来ません‼︎レインボーガード‼︎」
「成る程、いい判断だ。H・C 強襲のハルベルトは貫通効果もあるからな」
ーーーーー防ぐ手はちゃんと持っているけど。
私の手札から虹色の角を持つ球体が現れてハルベルドの動きを止めた。
折角手札を1枚使わせて出てきたのにサーチで増やされたら堪らない。
「なら、メインフェイズ2に移るよ。早速行かせて貰おうか。斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
「リンク召喚ですか………」
遊騎さんがそういって手を前に突き出すと、遊騎さんの前に巨大なサーキットが現れる。
3体はいないからエクストラジョーカーではないはずだけど、何が来るんだろう?
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はH・C 強襲のハルベルトとH・C サウザンドブレードの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600 ↙︎ ↘︎
ハルベルトとサウザンドブレードの2体がサーキットの中に消えると代わりに現れたのは金髪と白髪の2人の女性だった。
あのモンスターには一体どんな効果が………そんな私の疑問はすぐに解消される。
「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキからキングスナイトを手札に加える‼︎」
「っ⁉︎キングスナイトが手札に………‼︎」
「これだけじゃ終わらない‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、神剣-フェニックスブレード、折れ竹光、閃光の双剣-トライスを墓地に送り、デッキからクィーンズナイトを守備表示で特殊召喚‼︎」
「クィーンズナイトまで⁉︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
遊騎さんの前に現れたのは赤い鎧を身に纏った女性の騎士。
おまけに先程のサーチ効果でキングスナイトも手札に加わっている。
先程私を助けてくれたモンスターが次は私を試す為に牙を向くんだね。
「更に墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える。俺はデッキから黄金色の竹光を手札に加える。カードを 2枚セットしてターンエンドだ」
遊騎 LP8000 手札4
ーー▲▲ー ー
ー□ーーー
☆ ー
ーーーーー
ーー▲▲ー ー
遊花 LP8000 手札2
遊騎さんの場に2枚の伏せカードが追加される。
あれだけ動いてハルベルドのサーチは防いだのに遊騎さんの手札は4枚。
おまけに手札とフィールドでもう絵札の三銃士を揃える準備が出来ている。
ハルベルトがいなくなったことで虹クリボーも墓地に落ちたけど、私が動くにはまだまだ準備が足りない。
………やっぱり、この人は強い。
「私のターン、ドロー‼︎」
ドローカードを確認する。
悪くは、ない。
「私は手札からジャンクリボーを捨てて魔法カード、ワンフォーワンを発動‼︎デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する‼︎お願い、ミスティックパイパー‼︎」
〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性
DEF0
現れたのはフルートのようなものを弾いている男の人。
お願い、私に希望を繋いで‼︎
「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドローします。そしてこの効果でドローしたカードをお互いに確認し、レベル1モンスターだった場合、自分はカードをもう1枚ドローする」
「成る程、ということは当然レベル1をドローしやすいように構築してあるってことだよな。遊花のデッキはローレベルが主体のデッキなのか?」
「はい。1人1人の力は小さくても、皆の力が合わさればどんな困難だって乗り越えていける………私はそう信じたいですから」
そう例え小さな小さな力だったとしても、合わさって1つになればいつかは強大な壁だって、乗り越えられるハズだから‼︎
「ミスティックパイパーの効果発動‼︎カードを1枚、ドローです‼︎」
ミスティックバイパーが私に背を向けながらサムズアップをして姿を消す。
そして私はデッキからドローしたカードを確認する。
「私が引いたのはクリアクリボー‼︎レベル1モンスターなのでもう1枚ドローです‼︎」
追加で引いたカードも確認。
モンスターを突破することは出来ないけど、これならまだまだ戦える‼︎
「私はクリアクリボーを召喚‼︎」
〈クリアクリボー〉☆1 天使族 光属性
ATK300
現れたのは紫色の毛玉のようなモンスター。
召喚されたクリアクリボーは不安そうな鳴き声をあげている。
ご、ゴメンね‼︎
君であのモンスター達を倒してなんか言わないから、泣かないで‼︎
「そのモンスターでどうするんだ?」
「こうするんです‼︎導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」
「リンク召喚か………」
私が正面に手をかざすと私の前に大きなサーキットが現れる。
「召喚条件はレベル1モンスター1体‼︎私はクリアクリボーをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」
〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性
ATK300 ↓
クリアクリボーがサーキットに入り、代わりに出てきたのは青い球体型のモンスター。
リンクリボーはそのまま私の周りを嬉しそうにくるくる回ったり、擦り寄るような動きを見せる。
うーん、久しぶりだからかな?
立体映像のハズなのに、なんか私のモンスターは遊騎さんのモンスターに比べると凄く嬉しそうに動いてるんだけど………昔からこんな感じで動いてたっけ?
「どうかしたか?………やっぱり体調が悪いか?」
「あ、いえ何でもないです‼︎」
突然黙り込んだ私を見て、遊騎さんが心配そうにこちらを見てくる。
いけないいけない、相手はあの空閑君に勝った遊騎さん。
今はデュエルに集中しないと。
「私はカードを1枚伏せてターンエンドです」
遊騎 LP8000 手札4
ーー▲▲ー ー
ー□ーーー
☆ ☆
ーーーーー
ー▲▲▲ー ー
遊花 LP8000 手札1
「俺のターン、ドロー‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、最強の盾、折れ竹光、D・D・Rを墓地に送り、デッキからを
〈H・C エクストラソード〉☆4 戦士族 地属性
ATK1000
現れたのは銀色の鎧を身に纏った二刀流の戦士。
あのモンスターはエクシーズ召喚したモンスターの攻撃力を上げていたハズだから注意しないと。
「更に墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える。俺はデッキから折れ竹光を手札に加える。そしてそのまま魔法カード、折れ竹光をH・C エクストラソードに装備!!」
エクストラソードの剣が片方折れ竹光に変わった。
それを見てエクストラソードが落ち込んでいるように見えるのも気のせいなのかな?
「魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎魔法カード黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎さらに今引いた2枚目の黄金色の竹光を発動‼︎」
「えっ⁉︎また⁉︎」
「さらに2枚ドローする‼︎」
これで遊騎さんの手札は7枚。
もうどんな攻撃が来てもおかしくない。
「さぁ、全力で行くぞ‼︎俺はキングスナイトを召喚‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
クィーンズナイトの横に並び立ったのは黄金の鎧を身に纏った騎士。
これは空閑君とのデュエルの時にも見た光景。
そしてクィーンズナイトとキングスナイトはお互いに剣を掲げて更なる騎士を呼ぶ。
「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げる青い鎧の騎士が現れる。
絵札の三銃士。
遊騎さんの代名詞と言われているモンスターが揃った。
「クィーンズナイトを攻撃表示に変更する」
クィーンズナイト
DEF1600→ATK1500
「そしてバトルフェイズ‼︎H・C エクストラソードでリンクリボーを攻撃‼︎エクストラスラッシュ‼︎」
エクストラソードが折れ竹光を構えながらリンクリボーに斬りかかってくる。
うっ、絵面的に使わなくていい気もしてくるけど使わないとダメージを受けちゃう‼︎
「相手モンスターの攻撃宣言時、リンクリボーの効果発動‼︎ゼロリンク‼︎このカードをリリースし、その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで0になる‼︎」
リンクリボーの身体が粒子に変わってエクストラソードに纏わりつく。
そのままエクストラソードが私に斬りかかってきたが、竹光が折れて私のダメージは0………って、これじゃあ竹光が折れたからダメージが入らなかったようにしか見えないよ⁉︎
そしてエクストラソードも竹光が折れたことに驚かないでよ‼︎
「行け‼︎クィーンズナイトでダイレクトアタック‼︎クィーンズスラッシュ‼︎」
「あぅ‼︎」
遊花 LP8000→6500
クィーンズナイトに剣で斬り付けられる。
そ、そうだった………立体映像のコミカルな動きに思わずツッコミを入れちゃったけどまだバトルフェイズだった‼︎
「続け‼︎キングスナイトでダイレクトアタック‼︎キングススラッシュ‼︎」
「うっ‼︎」
遊花 LP6500→4900
「追撃だ‼︎ジャックスナイトでダイレクトアタック‼︎ジャックススラッシュ‼︎」
「ううっ‼︎」
遊花 LP4900→3000
「まだ終わっていないぞ‼︎聖騎士の追想 イゾルデでダイレクトアタック‼︎ツインアタック‼︎」
「くぅ‼︎」
遊花 LP3000→1400
攻撃はなんとか耐えきった………なんて、思ってはいけない。
私が見たこの人のデュエルは、バトルフェイズにこそ真価があるのだから。
そんな私の予想を裏切らず、それでいて最も効果的な一手を、遊騎さんは打った。
「さぁ、これに耐えられるか?リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎ワンダーエクシーズ‼︎その効果により自分フィールド上のモンスターでエクシーズ召喚を行う‼︎」
「バトルフェイズ中にエクシーズ召喚⁉︎しまっーーー」
「俺は戦士族、レベル4のキングスナイトとH・C エクストラソードでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎」
キングスナイトとエクストラソードが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から赤い鎧を着た馬に乗る弓兵が舞い降りた。
「エクシーズ召喚‼︎現れろ
〈HーC ガーンデーヴァ〉★4 戦士族 地属性
ATK2100
「ガーンデーヴァ………そのモンスターは………」
「まずはエクシーズ素材になったH・C エクストラソードの効果発動‼︎このカードを素材としてエクシーズ召喚したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする‼︎」
HーC ガーンデーヴァ
ATK2100→3100
ガーンデーヴァを赤いオーラが包んでいく。
そして何よりガーンデーヴァは私のデッキと致命的な程に相性が悪い。
「HーC ガーンデーヴァは1ターンに1度、レベル4以下のモンスターが特殊召喚された時にオーバーレイユニットを1つ使うことでそのモンスターを破壊できる。おまけにこれは一度に複数体召喚されてもそのモンスターを全て破壊することができる」
そう、現状まずクリボーを特殊召喚はさせてもらえないだろうけどクリボーを出して増殖を使ってもトークンは同時に出るから一気に破壊される。
それだけじゃなくても私のデッキはローレベルデッキなのだ。
その効果が刺さらないわけがない。
そして更に遊騎さんは駄目押しを入れてくる。
「まだだ‼︎速攻魔法発動‼︎ライバルアライバル‼︎」
「⁉︎その速攻魔法は‼︎」
「このカードは自分・相手のバトルフェイズに発動でき、モンスター1体を召喚する‼︎来い、キングスナイト‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
再び現れるキングスナイト。
そしてフィールドにはクィーンズナイトがいる。
「そしてライバルアライバルで行われるのは特殊召喚ではなく召喚。よって、キングスナイトの効果発動‼︎クィーンズナイトが存在するため、再び集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
フィールドに再びを揃った絵札の三銃士。
おまけでジャックスナイトはもう1人いるけどそんなの笑い話にもならない。
圧倒的に、そして確実に相手の隙を抜い、バトルフェイズ中に奇襲をかけて勝利を掴む。
これが………遊騎さんのデュエル。
正直、ガーンデーヴァがいてあれだけ手札がある今の状況じゃ私の伏せカードも意味がない。
1枚目は増殖だし、2枚目はブラフの強制転移。そして3枚目は聖なるバリア -ミラーフォース-だけど、こうなることがわかってたから温存して使わなかった………というのは嘘で使えなかったが正しいだろう。
あれだけカードを引いて手札が4枚もあり、伏せもあるなら空閑君の時に使ったあのカウンター罠ーーーレッドリブートは伏せか手札にはあるだろう。
使われた時点で後3体分の攻撃なんて防ぎようがない。
でも、それでも………諦めたくない。
「………ふっ、いい目してるな」
「………えっ?」
「こんな状況でも、諦めたくないって目をしてる。それだけでも、十分に凄いことだぜ。震えも止まったみたいだしな」
突然、遊騎さんが嬉しそうに笑った。
そして遊騎さんに言われて初めて気づいた。
身体の震えが、止まってる。
あれだけ怖かったハズなのに、あれだけ苦しかったハズなのに、今はもう、負けたくないって、勝ちたいってことを考えれている。
「っ‼︎」
そのことに気づいた時、懐かしい光景が見えた気がした。
幼い頃にプロ決闘者だったお父さんとデュエルした時の光景。
今よりも遥かに弱かった私は、お父さんに手も足も出なくて、それでも、負けたくなくて、せめて一矢報いたいって考えて………なんで忘れていたんだろう?
あの時だって、今より弱かった私だって、最後まで絶対に諦めなかった。
なら、今の私が諦めることなんて、出来るわけがない‼︎
「………遊騎さん」
「………どうした?」
「………私は、諦めません」
「………」
「これから何があったって、どんな困難に見舞われたって、諦めることだけは、絶対にしません‼︎運命は、私が斬り開いて行きます‼︎だから………」
「………」
「だから、このデュエルも絶対に勝たせて貰います‼︎」
「………ふっ、そうか。なら、やってみな」
「はい‼︎」
もう後ろ向きに考えたりしない。
絶対に俯いた考え方になんてならない。
絶対絶対、諦めたりなんかしない‼︎
「行くぞ‼︎HーC ガーンデーヴァで遊花にダイレクトアタック‼︎暴嵐の矢‼︎」
「相手モンスターの直接攻撃宣言時、墓地のクリアクリボーの効果発動‼︎自分はデッキから1枚ドローし、そのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚してその後、攻撃対象をそのモンスターに移し替えます‼︎さらにチェーン発動‼︎聖なるバリア -ミラーフォース-‼︎攻撃表示のモンスターを全て破壊します‼︎」
「させるか‼︎リバースカードオープン‼︎レッドリブート‼︎相手が罠カードを発動した時に発動‼︎その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする」
「………やっぱりありましたか」
「その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。ただしこのカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない」
「それでも………諦めません‼︎私はデッキから活路への希望をセットします‼︎そしてクリアクリボーの効果発動‼︎」
お願い、私のデッキ………私の思いに応えて‼︎
「ドロー‼︎」
そして、私が引いたのはーーー
「いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」
「っ⁉︎ここでハネクリボー⁉︎」
ーーー私の、最高の相棒だ‼︎
〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性
DEF200
現れるのは天使の羽を持つ茶色い毛玉のようなモンスター。
そのモンスターが私を守るように両手を広げる。
「っ、攻撃対象はハネクリボーに移っている。HーC ガーンデーヴァでハネクリボーに攻撃‼︎暴嵐の矢‼︎」
私を庇うように、ハネクリボーがガーンデーヴァの矢を受け、粒子になる。
粒子になる瞬間、ハネクリボーは私を見て笑った気がした。
そして粒子となったハネクリボーが私を包むように漂い始めた。
「ハネクリボーの効果発動‼︎プリフィケーション‼︎このカードがフィールドから墓地に送られたターン、自分の受ける戦闘ダメージは0になる‼︎」
「まさか、本当に耐えられるとはね。メインフェイズ2‼︎俺は光属性レベル5のジャックスナイト2体でオーバーレイ‼︎2体の光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
2体のジャックスナイトが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から純白の鎧を見に纏った戦士が降りてくる。
「星々を守りし光の戦士‼︎セイクリッドプレアデス‼︎」
〈セイクリッドプレアデス〉★5 戦士族 光属性
ATK2500
「ランク5のエクシーズモンスター………こんなモンスターまで………」
「まだだ‼︎斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
遊騎さんの目の前に再び巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件はカード名が異なる戦士族モンスター3体‼︎俺はクィーンズナイト、キングスナイト、聖騎士の追想 イゾルデの3体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」
イゾルデとクィーンズナイト、キングスナイトがサーキットに吸い込まれていく。
そしてサーキットのリンクマーカーが輝くとサーキットの中から白銀の鎧を身に纏った騎士が現れた。
「リンク召喚‼︎運命と戦う孤高の騎士‼︎リンク3‼︎アルカナエクストラジョーカー‼︎」
〈アルカナエクストラジョーカー〉LINK3 戦士族 光属性
ATK2800 ↙︎ ↑ ↘︎
現れたのは絵札の三銃士のリンクモンスター。
本当に、遊騎さんは本気で私にぶつかってくれてるんだ。
「俺は墓地にある神剣-フェニックスブレードの効果発動‼︎墓地にある聖騎士の追想 イゾルデとH・C 強襲のハルベルトを除外してこのカードを手札に戻す。カードを2枚伏せてターンエンドだ」
ライフはかなりのギリギリ、相手の布陣は完璧でこちらはほとんど使えない伏せカードばかりで手札も少ない。
でも、絶対に諦めない‼︎
遊騎 LP8000 手札3
ーー▲▲ー ー
◯ー◯ーー
☆ ー
ーーーーー
ー▲▲▲▲ ー
遊花 LP1400 手札1
次回予告
少女の思いに応えるかのように、戦いは激しさを増していく。
戦いの中、少女は1つの再会を果たす。
お互いのモンスターがぶつかり合う時、最後に勝利する者はどちらなのか?
次回 遊戯王Trumpfkarte
『譲れないもの』
というわけで長くなってしまったので前後編になりました。
というか、構想の段階では軽く終わらせるハズだったのになんか最終決戦の形相を呈しているのですが………おかしいなぁ?